図1-3は、Oracle Traffic Directorインスタンスを作成および管理するために実行する必要があるタスクの一般的な順序を示しています。
注意: Oracle Traffic Directorの管理者として、セキュリティの管理、パフォーマンスのためのチューニング、問題のトラブルシューティングなどの追加のタスクを実行する必要がある場合があります。これらのタスクは、固定の順序の特定の時点で必ずしも実行されるわけではないので、フローチャートに示されていません。これらのすべての追加タスクは、このドキュメントのその他の章で説明されています。 |
製品のインストール
サイレント・モードで、または対話型のグラフィカル・ウィザードを使用して、Oracle Traffic Directorをx86_64のOracle Linux 5.6+またはOracle Linux 6にインストールできます。
詳細は、Oracle Traffic Directorインストレーション・ガイドを参照してください。
管理サーバーの作成
製品をインストールした後、Oracle Traffic Directorの管理サーバー・インスタンスを作成する必要があります。管理サーバーは、特別に構成されたOracle Traffic Director仮想サーバーで、Oracle Traffic Directorインスタンスの管理に使用できます。
詳細は、Oracle Traffic Directorインストレーション・ガイドの管理サーバー・インスタンスの作成に関する項を参照してください。
管理サーバーの管理
場合によっては、管理サーバーの停止と再起動、または設定(管理者ユーザー名とパスワードなど)の変更が必要になることがあります。
詳細は、第2章『管理サーバーの管理』を参照してください。
管理コンソールおよびコマンドライン・インタフェースへのアクセス
Oracle Traffic Directorの管理コンソールおよびコマンドライン・インタフェースを使用して、Oracle Traffic Directorインスタンスを作成、変更および監視できます。
管理コンソールおよびコマンドライン・インタフェースへのアクセスの詳細は、2.3項「管理インタフェースへのアクセス」を参照してください。
管理ノードの作成および管理
管理ノードは物理ホストであり、その上にOracle Traffic Directorインスタンスを作成できます。
管理ノードの管理の詳細は、第3章「管理ノードの管理」を参照してください。
構成の作成および管理
管理ノードを作成した後、Oracle Traffic Directorインスタンスを定義する構成を作成します。構成とは、Oracle Traffic Directorのインスタンス化に使用できるメタデータの集合です。この構成は、サーバー・インスタンスの起動時およびクライアント・リクエストの処理中にOracle Traffic Directorによって読み取られます。
構成の管理の詳細は、第4章「構成の管理」を参照してください。
インスタンスの作成および管理
構成を作成した後、1つ以上のホストにその構成をデプロイすることによってOracle Traffic Directorサーバー・インスタンスを作成できます。各インスタンスの現在の状態を表示したり、各インスタンスを起動または停止したり、各インスタンスを再構成して構成の変更を反映させたりすることができます。
インスタンスの管理の詳細は、第5章「インスタンスの管理」を参照してください。
オリジン・サーバー・プールの定義および管理
Oracle Traffic Directorインスタンスによってクライアント・リクエストを分散させるには、バックエンド内に1つ以上のオリジン・サーバー・プールを定義する必要があります。オリジン・サーバー・プールごとに、Oracle Traffic Directorによるリクエストの分散に使用するロード分散方法を定義できます。さらにプール内のオリジン・サーバーごとに、Oracle Traffic Directorによるリクエスト・ロードの制御方法を定義できます。
詳細は、第6章「オリジン・サーバー・プールの管理」および第7章「オリジン・サーバーの管理」を参照してください。
仮想サーバーおよびリスナーの作成および管理
ノード上で実行されているOracle Traffic Directorインスタンスには、1つ以上の仮想サーバーが含まれています。各仮想サーバーには、クライアントからリクエストを受信するための1つ以上のリスナーが備わっています。各仮想サーバーでは、仮想サーバーによるリクエストのルーティング先となるオリジン・サーバー・プール、サービス品質の設定、リクエスト制限、キャッシュ・ルール、ログ・プリファレンスなどのパラメータを構成できます。
詳細は、第8章「仮想サーバーの管理」および第10章「リスナーの管理」を参照してください。
セキュリティの管理
Oracle Traffic Directorは、標準的なネットワークにおいて外部とのやり取りを担う位置に実装されるため、バックエンド内のデータおよびアプリケーションをネットワークの外部からの攻撃や不正アクセスから保護する上で重要な役割を果たします。さらに、Oracle Traffic Directorを通って残りのネットワークに達するデータについて、そのセキュリティおよび整合性を確保する必要があります。
詳細は、第11章「セキュリティの管理」を参照してください。
ログの管理
Oracle Traffic Directorのログ・ファイルには、構成の変更、インスタンスの起動および停止、リクエスト処理中のエラーなどのサーバー・イベントに関するデータが記録されます。ログは、エラーのトラブルシューティングやシステムのチューニングによるパフォーマンス向上に役立ちます。
詳細は、第12章「ログの管理」を参照してください。
統計の監視
Oracle Traffic Directorインスタンスの状態およびパフォーマンスは、構成設定、着信リクエストの量、オリジン・サーバーのヘルス、インスタンスを通過するデータの種類など、複数の要因によって影響を受けます。管理者は、コマンドライン・インタフェースおよび管理コンソールを使用して、これらのすべての要因についてメトリックを確認し、XMLファイルのフォームに統計を出力して詳細な分析を行うことができます。Oracle Traffic Directorによって収集する統計の粒度を調整することもできます。
詳細は、第13章「Oracle Traffic Directorインスタンスの監視」を参照してください。
高可用性を提供するためのOracle Traffic Directorインスタンスの設定
Oracle Traffic Directorインスタンスまたはその実行ノードに障害が発生した場合には、インスタンスによって提供されているロード・バランシング・サービスが、中断されることなく継続的に利用できるようにする必要があります。プライマリ・インスタンスに障害が発生したときにリクエストの処理を引き継ぐ、バックアップ用のOracle Traffic Directorインスタンスを構成することによって、この目標を達成できます。
詳細は、第14章「高可用性のためのOracle Traffic Directorの構成」を参照してください。
パフォーマンス向上のためのチューニング
パフォーマンス統計の分析に基づき、あるいはリクエスト・ロード・プロファイルの変更に応じて、パフォーマンスの維持や向上のためにOracle Traffic Directorのリクエスト処理パラメータの調整が必要になる場合があります。Oracle Traffic Directorにはパフォーマンス・チューニングのための様々なコントロールおよびノブが備わっており、これらを使用して、個々のリクエストのサイズおよび量を制限したり、タイムアウトの設定を制御したり、スレッド・プールの設定やSSL/TLSキャッシュの動作を構成したりすることができます。
詳細は、第15章「パフォーマンス向上のためのOracle Traffic Directorのチューニング」を参照してください。
問題の診断およびトラブルシューティング
どんなに注意を払っていても、Oracle Traffic Directorインスタンスをインストール、構成または監視しているときに問題が発生することがあります。これらの問題の一部は、エラー・メッセージおよびログに表示されている情報に基づいて診断、解決できます。複雑な問題については、オラクル社のサポート担当者が問題の把握、再現および診断に使用できるように、ユーザーが特定のデータを収集する必要があります。
詳細は、第16章「問題の診断およびトラブルシューティング」を参照してください。