プライマリ・コンテンツに移動
Oracle® Traffic Director管理者ガイド
11g リリース1 (11.1.1.9)
B66436-05
  ドキュメント・ライブラリへ移動
ライブラリ
製品リストへ移動
製品
目次へ移動
目次

前
 
次
 

13.6 SNMPを使用した監視

Simple Network Management Protocol (SNMP)は、ネットワーク内のデバイスの管理を、リモート・システムで実行されているネットワーク管理アプリケーションからできるようにするための標準プロトコルです。たとえば、ネットワーク管理アプリケーションには、任意の時点でネットワーク内のどのサーバーが稼働中または停止中であるか、また受信したエラー・メッセージの数およびタイプなどが示されます。

SNMPを使用して、Oracle Traffic Directorインスタンスを監視できます。これを可能にするには、次の操作を行う必要があります。

この項には次のトピックが含まれます:

13.6.1 Oracle Traffic DirectorのSNMPサポートの構成

構成の作成時、SNMPを介したインスタンスの監視サポートはデフォルトで有効化されます。管理コンソールまたはCLIのいずれかを使用して、SNMPによる監視のサポートを無効化、有効化および構成できます。

管理コンソールを使用したSNMPサポートの構成

管理コンソールを使用してSNMPサポートを有効化するには、次の操作を行います。

  1. 2.3.2項「管理コンソールへのアクセス」の説明に従って、管理コンソールにログインします。

  2. ページの左上隅にある「構成」ボタンをクリックします。

    使用可能な構成のリストが表示されます。

  3. SNMPサポートを有効化する構成を選択します。

  4. ナビゲーション・ペインで、「詳細設定」を展開し、「監視」を選択します。

    「監視設定」ページが表示されます。

  5. ページの「SNMP」セクションで、「SNMP」チェック・ボックスを選択します。このセクションのその他のパラメータはオプションです。

    画面上のヘルプおよびプロンプトがすべてのパラメータに提供されています。

    フィールドの値を変更する、または変更したテキスト・フィールドからタブアウトすると、ページの右上隅にある「保存」ボタンが有効になります。

    「リセット」ボタンをクリックすることで、いつでも変更を破棄できます。

  6. 必要な変更を行った後、「保存」をクリックします。

    • 更新された構成が保存されたことを確認するメッセージが、「コンソール・メッセージ」ペインに表示されます。

    • さらに、「デプロイメント保留中」メッセージが、メイン・ペインの上部に表示されます。4.3項「構成のデプロイ」の説明に従い、「変更のデプロイ」をクリックして更新された構成を即座にデプロイすることも、さらに変更を行いその後でデプロイすることもできます。

CLIを使用したSNMPサポートの構成

  • 構成の現在のSNMP設定を表示するには、次の例に示すようにget-snmp-propコマンドを実行します。

    tadm> get-snmp-prop --config=soa
    enabled=false
    
  • SNMPサポートを有効化にするには、次の例に示すように、set-snmp-propコマンドを実行します。

    tadm> set-snmp-prop --config=soa enabled=true
    OTD-70201 Command 'set-snmp-prop' ran successfully.
    

    更新された構成を有効にするには、deploy-configコマンドを使用して、構成をOracle Traffic Directorインスタンスにデプロイする必要があります。

この項で説明されたCLIコマンドの詳細は、『Oracle Traffic Directorコマンドライン・リファレンス』を参照するか、--helpオプションを付けてコマンドを実行してください。

13.6.2 SNMPサブエージェントの構成

Oracle Traffic Directorノードを作成する際(3.1項を参照)、SNMPサブエージェントは自動的に作成されます。SNMPサブエージェントにより、ノードで実行中のインスタンスについての情報が収集されます。SNMPサブエージェントはadmin-serverユーザーとして動作します。Oracle Traffic Directorは、<user>を読み取るためにadmin-server/config/server.xmlを読み込みます。これはSNMPサブエージェントのユーザーとしての実行です。

SNMPサブエージェントの構成設定(サブエージェントにより統計が更新される頻度、キャッシュされた統計がタイムアウトになるまでの時間、サブエージェント・プロセスの通信ポートなど)は、次のファイルに格納されます。

INSTANCE_HOME/admin-server/config/snmpagt.conf

snmpagt.confファイルを編集して、SNMPサブエージェントの設定を構成できます。表13-2は、主要なSNMPサブエージェント・パラメータを示しています。

表13-2 SNMPサブエージェント構成パラメータ

smnpagt.confのパラメータ 説明 デフォルト値

agentAddress

SNMPサブエージェントがリクエストを受信するポート

11161

statInterval

統計の更新頻度(秒)

5

cacheTimeOut

キャッシュ・タイムアウト時間(秒)

5


snmpagt.conf内のエントリの構文は、http://www.net-snmp.org/docs/man/snmpd.conf.htmlにあるsnmpd.confのドキュメントにある説明に従う必要があります。

ノードでSNMPサブエージェントを構成した後、これを起動する必要があります。その後、サブエージェントにより、ノード上のOracle Traffic Directorインスタンスについての統計の収集が開始されます。SNMPサブエージェント・ライフ・サイクルをOracle Enterprise Linuxを通じてサービスとして管理できます。

13.6.3 SNMPサブエージェントの起動および停止

管理コンソールまたはCLIのいずれかを使用して、ノード上のSNMPサブエージェントを起動および停止できます。

管理コンソールを使用したSNMPサブエージェント起動および停止

管理コンソールを使用して、ノード上のSNMPサブエージェントを起動または停止するには、次の操作を行います。

  1. 2.3.2項「管理コンソールへのアクセス」の説明に従って、管理コンソールにログインします。

  2. ページの左上隅付近にある「ノード」ボタンをクリックします。

    使用可能なノードのリストが表示されます。

  3. ノード・リストから、SNMPサブエージェントを起動または停止するノードを選択します。

    一般設定ページが表示されます。

    • SNMPサブエージェントを起動するには、「SNMPサブエージェントの起動」をクリックします。ステータスが「実行中」に変わります。

    • サブエージェントを停止するには、「SNMPサブエージェントの停止」をクリックします。ステータスが「実行中」に変わります。

  4. 変更するパラメータを指定してから、「保存」をクリックします。

    「コンソール・メッセージ」ペインに、更新した設定が保存されたことを示すメッセージが表示されます。

  5. 「共通のタスク」ペインで、「再起動」をクリックして管理サーバーを再起動します。

CLIを使用したSNMPサブエージェントの起動および停止

  • SNMPサブエージェントを1つまたは複数のノードで起動するには、次の例に示すようにstart-snmp-subagentを実行します。

    tadm> start-snmp-subagent --user=admin --port=3002 node1.example.com node2.example.com
    OTD-70210 Successfully started the SNMP subagent.
    

    注意:

    または、start-snmp-subagentコマンドを実行する際に--agentxオプションを指定して、agentxモードでSNMPエージェントを起動することもできます。

    agentxモードでは、SNMPエージェントはオペレーティング・システムのマスター・エージェント(snmpd)と通信する必要があります。したがって、次の操作を実行して、agentxプロトコルをリスニングするようにsnmpdを構成する必要があります。

    1. (/etc/snmp/snmpd.conf)にあるオペレーティング・システム・マスター・エージェント(snmpd)に、次のトークンを追加してagentxを使用可能にします。このトークンは、指定するagentxパスにマスター・エージェントを接続できるようにします。

      master agentx

    2. 次の例に示すように、ORACLE_HOME/admin-server/config/snmpagt.confファイルにソケット・パスおよびソケット・パス権限を指定します。

      agentxの構成前

      agentuser admin123
      agentxsocket /tmp/snmpagt-e6d7cd20/snmpagt.socket
      

      agentxの構成後

      agentxsocket /tmp/snmpagt-e6d7cd20/snmpagt.socket 
      agentxperms 0755 0755 admin123 admin123 
      
    3. snmpdデーモンを手動で開始します。


  • SNMPサブエージェントを1つまたは複数のノードで停止するには、次の例に示すようにstop-snmp-subagentを実行します。

    tadm> stop-snmp-subagent --user=admin --port=3002 node1.example.com
    OTD-70210 Successfully stopped the SNMP subagent.
    

この項で説明されたCLIコマンドの詳細は、『Oracle Traffic Directorコマンドライン・リファレンス』を参照するか、--helpオプションを付けてコマンドを実行してください。

13.6.4 snmpwalkを使用した統計の表示


注意:

snmpwalkを使用するための前提条件は、次のとおりです。
  • Linuxの場合: コンテンツsnmpwalkパッケージnet-snmp-utils-5.3.2.2-9.0.1.el5_5.1 RPM以上および標準のMIBパッケージnet-snmp-5.3.2.2-9.0.1.el5_5.1 RPM以上がインストールされていることを確認してください。

  • Solarisの場合: system/management/snmp/net-snmpにあるパッケージがインストールされていることを確認してください。このパッケージにはコンテンツsnmpwalkと標準MIBが含まれています。



注意:

snmpwalkのほとんどのオプションは、snmpwalkの使用前に<user-home>/.snmp/snmp.confにあるsnmp.confファイルで設定できます。snmp.confでオプションを設定しておくと、snmpwalkコマンドを実行するときにsnmp.confで設定済のオプションを指定する必要がないため便利です。たとえば、snmp.confでは次のオプションを設定できます。
defaultport  11161
defversion  2c
defcommunity  public
mibdirs  +/usr/local/share/snmp/mibs #
mibdirs  + <otd_install_root>/lib/snmp #
mibs +ORACLE-TRAFFICDIRECTOR-MIB

これらのオプションを設定しておくと、snmpwalkを次のように実行できます。

snmpwalk  <hostname> ORACLE-TRAFFICDIRECTOR-MIB::instanceTable

snmp.confを使用して設定できるオプションは、snmp.confのmanページで確認できます。


SNMPバージョン2c

Net-SNMPアプリケーション・スイート(http://www.net-snmp.org)で使用可能なsnmpwalkコマンドライン・ユーティリティを使用して、SNMPサブエージェントが収集した統計を表示できます。

snmpwalkコマンドの構文の例を次に示します。

> snmpwalk -c public -v 2c host:port oid
  • hostは、監視するOracle Traffic Directorノードのホスト名です。

  • portは、ノード上のSNMPサブエージェントのリスニング・ポートです。snmpagt.confファイルに指定されているデフォルト・ポートは、11161です。

  • oidは、統計を表示する対象の一連の一意のオブジェクト識別子です。Oracle Traffic Director製品のOIDは、1.3.6.1.4.1.111.19.190です。


    注意:

    OIDは、Internet Assigned Numbers Authorityによって割り当てられ、維持されます。Oracle Traffic DirectorのOIDで、最初の6つの番号の1.3.6.1.4.1は民間企業を表し、111はOracleの一意の識別子であり、19.190はOracle Traffic Director製品を表します。OIDの構造の詳細は、RFC 2578 (http://tools.ietf.org/html/rfc2578)を参照してください。

SNMPバージョン3

SNMP v3を使用して統計を監視するには、次の操作を行います。

  1. rootユーザーとして次のコマンドを実行して、SNMP v3を作成します。

    $ sudo net-snmp-config --create-snmpv3-user -ro -a MD5 -A abcd1234 otdadmin
    

    このコマンドでは、次が実行されます。

    • /var/net-snmp/snmpd.confへの次のエントリの追加:

      createUser otdadmin MD5 "abcd1234" DES
      
    • /etc/net-snmp/snmp/snmpd.confへの次のエントリの追加:

      rouser otdadmin
      
  2. snmpdを起動および停止します。

    $ sudo /etc/init.d/snmpd start
    Starting snmpd:                                            [  OK  ]
    
    $ sudo /etc/init.d/snmpd stop
    Stopping snmpd:                                            [  OK  ]
    

    snmpdを起動および停止した結果として、/var/net-snmp/snmpd.confファイル内のcreateUserエントリが、次の例に示すように変更されます。

    usmUser 1 3 0x80001f8801819ee527 0x676164686100 0x676164686100 NULL
     .1.3.6.1.6.3.10.1.1.2 
    0x8b6a9b458c0cb628aa5ba10ebbec48e7 .1.3.6.1.6.3.10.1.2.2
     0x8b6a9b458c0cb628aa5ba10ebbec48e7 ""
    

    この例では、0x80001f8801819ee527は生成されたエンジンIDです。

  3. SNMPエージェントをagentxモードで実行します。

    次のコマンドを使用してsnmpwalkを実行します。snmpdのデフォルト・ポートは161です。

    snmpwalk -v3 -u otdadmin -l authNoPriv  -a MD5 -A abcd1234 localhost:161 1.3.6.1.4.1
    

数値OIDではなくMIBオブジェクト名を表示するsnmpwalkコマンドの有効化

snmpwalkコマンドを実行すると、次のように出力されます。

SNMPv2-SMI::enterprises.111.19.190.1.20.1.2.0.0 = INTEGER: 645
SNMPv2-SMI::enterprises.111.19.190.1.20.1.3.0.0 = Gauge32: 4
SNMPv2-SMI::enterprises.111.19.190.1.20.1.4.0.0 = Gauge32: 4
SNMPv2-SMI::enterprises.111.19.190.1.20.1.10.0.0 = Gauge32: 0
SNMPv2-SMI::enterprises.111.19.190.1.20.1.11.0.0 = Gauge32: 3072
SNMPv2-SMI::enterprises.111.19.190.1.20.1.12.0.0 = Counter64: 0
SNMPv2-SMI::enterprises.111.19.190.1.20.1.13.0.0 = Counter64: 0
SNMPv2-SMI::enterprises.111.19.190.1.20.1.14.0.0 = STRING: "0.0000"

出力内の各行はメトリックの値を示しますが、OIDは数値形式で表示されるため、特定のメトリックの名前を識別するのは困難です。snmpwalkユーティリティを使用すると、管理情報ベース(MIB)定義を使用して、数値のOIDをテキスト名に解決できます。Oracle Traffic Directorでは、MIB定義ファイルは、次のディレクトリにあります。

ORACLE_HOME/lib/snmp/ORACLE-TRAFFICDIRECTOR-MIB.txt

数値のOIDではなくMIBオブジェクト名を表示するsnmpwalkコマンドを有効化するには、次のいずれかを行います。

  • Oracle Traffic Director MIBをポイントするように、ホストでMIBS環境変数を設定します。

    > set env MIBS=+ORACLE-TRAFFICDIRECTOR-MIB
    

    次に、snmpwalkコマンドを実行して、必要なMIBオブジェクトの出力をgrepするか、必要なMIBオブジェクト名を明示的に指定します。

    たとえば、ノードapp1で実行中のOracle Traffic Directorインスタンスのプロキシ・キャッシュ・パラメータの統計を表示するには、次のコマンドを実行します。

    > snmpwalk snmpwalk -c public -v 2c app1:11161 ORACLE-TRAFFICDIRECTOR-MIB::proxyCacheTable
    
    ORACLE-TRAFFICDIRECTOR-MIB::proxyCacheEnabledFlag.0.0 = INTEGER: enabled(1)
    ORACLE-TRAFFICDIRECTOR-MIB::proxyCacheCountEntries.0.0 = Counter64: 0
    ORACLE-TRAFFICDIRECTOR-MIB::proxyCacheSizeHeap.0.0 = Counter64: 16498
    ORACLE-TRAFFICDIRECTOR-MIB::proxyCacheCountContentHits.0.0 = Counter64: 0
    ORACLE-TRAFFICDIRECTOR-MIB::proxyCacheCountContentMisses.0.0 = Counter64: 0
    ORACLE-TRAFFICDIRECTOR-MIB::proxyCacheCountHits.0.0 = Counter64: 0
    ...
    
  • snmpwalkコマンドで-mオプションを使用して、Oracle Traffic Director MIBを明示的に指定します。

    たとえば、ローカル・ホストで実行中のOracle Traffic Directorインスタンスのオリジン・サーバー名を表示するには、次のコマンドを実行します。

    > snmpwalk -c public -v 2c -m $ORACLE_HOME/lib/snmp/ORACLE-TRAFFICDIRECTOR-MIB.txt localhost:11161 ORACLE-TRAFFICDIRECTOR-MIB::originServerName
    

特定の統計の問合せに使用できるSNMP MIBオブジェクト名のリストは、付録A「Oracle Traffic Directorで追跡されるメトリック」を参照してください。

snmpwalkの詳細は、http://www.net-snmp.org/docs/man/snmpwalk.htmlにあるドキュメントを参照してください。