構成の作成時、仮想サーバーは、構成の作成時に指定されたリスナーで自動的に作成されます。自動的に作成された仮想サーバーの他、後で構成に追加された仮想サーバーについても、デフォルトのルートが作成されます。デフォルト・ルートのルールでは、仮想サーバーへのすべてのリクエストを、仮想サーバーの作成時に指定したオリジン・サーバー・プールにルーティングするように指定されます。仮想サーバーのデフォルト・ルートは削除できませんが、そのプロパティを変更することはできます。
指定した条件を満たすリクエストを、特定のオリジン・サーバー・プールにルーティングするように、仮想サーバーに追加のルートを作成できます。たとえば、銀行業のソフトウェア・ソリューションで、ローンおよび預金の顧客取引が別々のアプリケーションによって処理される場合、これらの各アプリケーションを、Oracle Traffic Directorインスタンスの背後にある別々のオリジン・サーバー・プールでホストできます。顧客のリクエストがローンまたは預金のいずれのアプリケーションに関連するかに応じて、リクエストを適切なオリジン・サーバー・プールにルーティングするために、次のように2つのルートを設定できます。
ルート1: リクエストURIが/loan
で始まる場合、ローン・アプリケーションをホストするオリジン・サーバー・プールにリクエストを送信します。
ルート2: リクエストURIが/deposit
で始まる場合、預金アプリケーションをホストするオリジン・サーバー・プールにリクエストを送信します。
複数のルートで構成されている仮想サーバーがリクエストを受信すると、使用可能な各ルートに対してリクエストのURIをチェックします。ルートは、作成された順にチェックされます。
リクエストがルートの条件を満たす場合、Oracle Traffic Directorはそのルートに指定されたオリジン・サーバー・プールにリクエストを送信します。
リクエストが、定義されたいずれのルートの条件とも一致しない場合、Oracle Traffic Directorは、デフォルト・ルートで指定されているオリジン・サーバー・プールにリクエストを送信します。
WebSocketアップグレードはデフォルトで有効です。管理コンソールで「WebSocketアップグレード」チェック・ボックスを使用して、ルートのWebSocketプロトコルを有効化または無効化します。同様にWebSocketプロトコルはwebsocket-upgrade-enabled
プロパティでも有効化または無効化できます。これは、set-route-propというCLIコマンドで設定できます。詳細は、『Oracle Traffic Directorコマンドライン・リファレンス』を参照してください。
管理コンソールまたはCLIのいずれかを使用して、仮想サーバーのルートを構成できます。
注意:
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管理コンソールを使用したルートの構成
管理コンソールを使用してルートを構成するには、次の操作を行います。
2.3.2項「管理コンソールへのアクセス」の説明に従って、管理コンソールにログインします。
ページの左上隅にある「構成」ボタンをクリックします。
使用可能な構成のリストが表示されます。
ルートを構成する構成を選択します。
ナビゲーション・ペインで、「仮想サーバー」を展開し、ルートを構成する仮想サーバーの名前を展開して、「ルート」を選択します。
「ルート」ページが表示されます。仮想サーバーに現在定義されているルートがリストされます。
ルートの作成
「新規ルート」をクリックします。
「新規ルート」ダイアログ・ボックスが表示されます。
「名前」フィールドで、新規ルートの名前を入力します。
「オリジン・サーバー・プール」フィールドで、指定された条件を満たすリクエストがルーティングされるオリジン・サーバー・プールを選択します。
次へをクリックします。
「条件情報」ペインで「変数/関数」を選択し、各ドロップダウン・リストから演算子を選択し、「値」フィールドに値を入力します。
複数の式を構成する場合は、ドロップダウン・リストでand
/or
演算子を選択します。同様に、指定した式が偽に評価されるときにルートを適用する場合は、Not
演算子を使用します。
「OK」をクリックします。
条件を手動入力するには、「取消」をクリックし、「手動編集」をクリックします。「条件」フィールドで、ルーティング・ルールが適用される条件を指定します。条件式の作成の詳細は、「条件」フィールドの近くにあるヘルプ・ボタンをクリックするか、『Oracle Traffic Director構成ファイル・リファレンス』の変数、式および文字列の補間の使用に関する項を参照してください。
次へをクリックし、「ルートの作成」をクリックします。
作成したルートが「ルート」ページに表示されます。
さらに、「デプロイメント保留中」メッセージが、メイン・ペインの上部に表示されます。4.3項「構成のデプロイ」の説明に従い、「変更のデプロイ」をクリックして更新された構成を即座にデプロイすることも、さらに変更を行いその後でデプロイすることもできます。
ルートの編集
ルートの設定を変更するには、次の操作を行います。
ルートの「名前」をクリックします。
ルート設定ページが表示されます。
変更するパラメータを指定します。
画面上のヘルプおよびプロンプトがすべてのパラメータに提供されています。
フィールドの値を変更する、または変更したテキスト・フィールドからタブアウトすると、ページの右上隅にある「保存」ボタンが有効になります。
「リセット」ボタンをクリックすることで、いつでも変更を破棄できます。
必要な変更を行った後、「保存」をクリックします。
更新された構成が保存されたことを確認するメッセージが、「コンソール・メッセージ」ペインに表示されます。
さらに、「デプロイメント保留中」メッセージが、メイン・ペインの上部に表示されます。4.3項「構成のデプロイ」の説明に従い、「変更のデプロイ」をクリックして更新された構成を即座にデプロイすることも、さらに変更を行いその後でデプロイすることもできます。
ルーティング・ルールの削除
ルーティング・ルールを削除するには、「削除」ボタンをクリックします。確認プロンプトで、「OK」です。
CLIを使用したルートの構成
ルートを作成するには、create-route
コマンドを実行します。
例:
次のコマンドでは、構成soa
の仮想サーバーsoa.example.com
にloan-route
という名前のルートが作成され、このルートでは、パターン/loan
に一致するURIを持つリクエストがオリジン・サーバー・プールloan-app
に送信されます。
tadm> create-route --config=soa --vs=soa.example.com --condition="$uri='/loan'" --origin-server-pool=loan-app loan-route
OTD-70201 Command 'create-route' ran successfully.
次のコマンドでは、構成soa
の仮想サーバーsoa.example.com
にimages-route
という名前のルートが作成され、このルートでは、パターン/images
に一致するURIパスを持つリクエストがオリジン・サーバー・プールimages-repo
に送信されます。
tadm> create-route --config=soa --vs=soa.example.com --condition="$path='/images/*'" --origin-server-pool=images-repo images-route
OTD-70201 Command 'create-route' ran successfully.
次のコマンドでは、構成soa
の仮想サーバーsoa.example.com
にsubnet-route
という名前のルートが作成され、このルートでは、サブネット130.35.46.*
のクライアントからのリクエストがオリジン・サーバー・プールdedicated-osp
に送信されます。
tadm> create-route --config=soa --vs=soa.example.com --condition="$ip='130.35.45.*'" --origin-server-pool=dedicated-osp subnet-route
OTD-70201 Command 'create-route' ran successfully.
次のコマンドでは、構成soa
の仮想サーバーsoa.example.com
にbody-route
という名前のルートが作成され、このルートでは、本文にalphaという言葉が含まれているリクエストがオリジン・サーバー・プールdedicated-osp
にルーティングされます。
tadm> create-route --config=soa --vs=soa.example.com --condition="$body ='alpha'" --origin-server-pool=dedicated-osp body-route
OTD-70201 Command 'create-route' ran successfully.
--condition
オプションの値は、正規表現にする必要があることに注意してください。条件式の作成の詳細は、『Oracle Traffic Director構成ファイル・リファレンス』の変数、式および文字列の補間の使用に関する項を参照してください。
仮想サーバーに定義されたルートのリストを表示するには、次の例に示すようにlist-routes
コマンドを実行します。
tadm> list-routes --config=soa --vs=soa.example.com
route condition
-------------------------
loan-route "$uri = '/loan'"
default-route -
ルートのプロパティを表示するには、次の例に従い、get-route-prop
コマンドを実行します。
tadm> get-route-prop --config=soa --vs=soa.example.com --route=loan-route
keep-alive-timeout=15
sticky-cookie=JSESSIONID
condition="$uri = '/loan'"
validate-server-cert=true
always-use-keep-alive=true
origin-server-pool=origin-server-pool-1
sticky-param=jsessionid
route-header=Proxy-jroute
rewrite-headers=location,content-location
use-keep-alive=true
route=loan-route
log-headers=false
route-cookie=JROUTE
timeout=300
ルートのプロパティを変更するには、set-route-prop
コマンドを実行します。
例:
たとえば、次のコマンドでは、構成soa
の仮想サーバーsoa.example.com
内のloan-route
という名前のルートに対するキープ・アライブ・タイムアウト設定が30秒に変更されます。
tadm> set-route-prop --config=soa --vs=soa.example.com --route=loan-route keep-alive-timeout=30
次のコマンドでは、構成soa
の仮想サーバーsoa.example.com
内のdefault-route
という名前のルートと関連付けられているオリジン・サーバーとの間でOracle Traffic Directorが送受信するヘッダーのロギングが有効化されます。
tadm> set-route-prop --config=soa --vs=soa.example.com --route=default-route log-headers=true
ルートを削除するには、次の例に示すように、delete-route
コマンドを実行します。
tadm> delete-route --config=soa --vs=soa.example.com loan-route
OTD-70201 Command 'delete-route' ran successfully.
WebSocketサポートを無効にするには、次の例に示すように、set-route-prop
コマンドをwebsocket-upgrade-enabled
プロパティを指定して実行します。
tadm> set-route-prop --config=soa --vs=soa.example.com --route=default-route websocket-upgrade-enabled=false OTD-70201 Command 'set-route-prop' ran successfully.
更新された構成を有効にするには、deploy-config
コマンドを使用して、構成をOracle Traffic Directorインスタンスにデプロイする必要があります。
この項で説明されたCLIコマンドの詳細は、『Oracle Traffic Directorコマンドライン・リファレンス』を参照するか、--help
オプションを付けてコマンドを実行してください。