このガイドでは、既存のOracle Fusion Middlewareへのパッチの適用、または既存のOracle Application Server環境のアップグレードに使用可能なツールについて説明します。
この章の内容は、次のとおりです。
ノート: Oracle Access Manager、Oracle Adaptive Access Manager、Oracle Identity ManagerなどのOracle Identity and Access Managementコンポーネントを使用している場合は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity and Access Managementアップグレード・ガイド』を参照してください。 |
この項では、作業を進める前に十分に理解しておく必要がある様々な用語について説明します。
パッチの適用では、小さなファイルの集まりを既存のシステムにコピーする処理を行います。通常、パッチはOracle製品の特定のバージョンに関連付けられており、製品の1つのマイナー・バージョンから同じ製品のより新しいバージョンへの(たとえば、バージョン11.1.1.2.0からバージョン11.1.1.3.0などへの)アップグレードが実行されます。一部の例では、パッチを使用してスキーマをアップグレードする場合があります。
パッチ・セットは、まとめて適用するように設計されたパッチのコレクションで構成される単一のパッチです。
通常、移行はサード・パーティ(Oracle以外)の製品からOracle製品への移行を意味します。
また、特定のリリースから別のリリースへの既存のソフトウェア・パラメータのセット(たとえば既存の構成や既存のドメイン)の移行も意味します。たとえば、Oracle Fusion Middleware 11gリリース1 (11.1.1.1.0)から11gリリース1 (11.1.1.2.0)への構成の移行について、付録C「パッチ・アシスタントを使用した11gリリース1 (11.1.1.1.0)からリリース1 (11.1.1.2.0)への移行」で説明しています。
表1-1は、パッチ適用およびアップグレードのツールの簡単なサマリー、および詳細情報の参照先を示しています。
表1-1 パッチ適用、移行、およびアップグレードのツールのサマリー
ツール | 説明 | 詳細情報 |
---|---|---|
OPatch |
通常、OPatchはシステム上のソフトウェアへのパッチの適用に使用され、小型のファイル・コレクションが既存のインストールにコピーされます。 Oracle Fusion Middlewareでは、OPatchが既存のOracle Fusion Middleware 11gのインストールへのパッチの適用に使用されます。 |
第2章「Oracle OPatchを使用したOracle Fusion Middlewareへのパッチの適用」 |
WebLogic Serverアップグレード・インストーラ |
WebLogic Serverアップグレード・インストーラを使用して、既存のOracle WebLogic Serverインストールを、入手可能な最新バージョンにアップグレードします。 Oracle Fusion Middleware製品を使用するには、システム上にOracle WebLogic Serverとそのディレクトリ構造が存在している必要があります。Oracle Fusion Middlewareソフトウェアをアップグレードする際に、WebLogic Serverアップグレード・インストーラを使用してシステム上のOracle WebLogic Serverのバージョンもアップグレードする必要があります。 WebLogic Serverアップグレード・インストーラは、My Oracle Supportからのみ入手できます。 |
Oracle WebLogic Serverのアップグレード |
製品インストーラおよびパッチ・セット・インストーラ |
パッチ・セット・インストーラは、既存のFusion Middleware製品の最新バージョンへのアップグレードに使用されます。公開時点での最新バージョンは11gリリース1 (11.1.1.9.0)であり、今回のリリースでパッチ・セット・インストーラによるアップグレードが必要なのは、Oracle Portal、Forms、ReportsおよびDiscovererのみです。今回のリリースの他のすべてのOracle Fusion Middleware製品は、通常の各製品インストーラでアップグレードできます。 ノート: 11gリリース1 (11.1.1.1.0)からアップグレードしている場合は、先に付録C「パッチ・アシスタントを使用した11gリリース1 (11.1.1.1.0)からリリース1 (11.1.1.2.0)への移行」のステップを実行する必要があります。 |
Oracle Portal、Forms、ReportsおよびDiscovererに対するパッチ・セット・インストーラの使用方法は、第3章「Oracle Fusion Middlewareの最新パッチ・セットの適用」を参照してください。 パッチ適用に使用できるインストーラのタイプの詳細は、第3.5.1項「パッチ適用に使用するインストーラについて」を参照してください。 |
パッチ・セット・アシスタント |
パッチ・セット・アシスタントを使用してデータベース・スキーマをアップグレードすることによって、最新バージョンのOracle Fusion Middlewareソフトウェアでこれらを使用できるようになります。 このツールは、パッチ・セットのアップグレードにのみ使用します。他のアップグレードには使用できません。 スキーマを追加または削除する場合は、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用します。 |
第4章「パッチ・セット・アシスタントによるスキーマのアップグレード」 |
アップグレード・アシスタント |
アップグレード・アシスタントを使用して、スキーマおよび構成情報をOracle Application Server 10gからOracle Fusion Middleware 11gにアップグレードします。 |
Oracle Fusion Middlewareアップグレード・プランニング・ガイド |
このガイドでは、既存のOracle Fusion MiddlewareインストールにOracle Fusion Middlewareのパッチを適用する手順について説明します。
ただし、既存のOracle Fusion MiddlewareのOracleホームにOracle Databaseパッチを適用するように指示されるケースもあります。これは、アプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)、ソフトウェア・ライブラリ、Oracle Database製品用に開発されたその他のソフトウェア・コードなど、特化されたコンポーネントが一部のOracle Fusion Middleware製品に含まれているためです。
このような具体的なケースにおいて、詳細は、Oracle Databaseのパッチ適用およびインストールに関するドキュメントを参照してください。
ほとんどの場合、Oracle Fusion Middlewareのパッチには、必要なソフトウェア・アップグレードがすべて含まれています。データベースのパッチを適用するのは、具体的に指示されている場合、または、データベースのパッチで解決できる具体的な問題に直面した場合に限定してください。