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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalでのポータルのプランニング
11g リリース1 (11.1.1.9.0)
E49684-03
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1 はじめに

このガイドでは、ポータル開発プロジェクトの出発点を提供します。この章では、コンポーネントおよび機能について定義し、適切なポータル開発手法の選択方法についてまとめ、準備が必要な開発タスクの種類について説明します。可能なかぎり、このガイドでは、Oracle WebCenter Portalドキュメント・セットに含まれる背景情報や実装の詳細へのリンクを提供します。

この章の内容は次のとおりです。

1.1 ポータルとは

ポータルでは、操作しやすく使いやすいWebブラウザに表示されるデータ、コンテンツ、ビジネス・アプリケーションおよびサービスへのセキュアなオンライン・アクセスが提供されます。通常、ポータルで提供されるのは、パーソナライズされた情報とコンテンツ、および複数のバックエンド・ソースから集約されたアプリケーションと情報の統合ビューです。ポータルは、従業員、チーム・メンバー、顧客、ビジネス・パートナといったユーザーのコラボレーション環境としても機能します。

企業では、ポータルを様々に工夫して使用できます。

  • 従業員は、企業のイントラネット・ポータルへのログインと出張の予約、従業員名簿と納税申告用紙の更新、休暇届の提出、ハードウェア・サービスの依頼、および多くの通常タスクを行うことができます。

  • 人事管理マネージャは、従業員のトレーニング・セッション、重要なお知らせ、新入社員を対象とした情報、保険制度の更新などのコンテンツをポータルに追加できます。

  • ビジネス・パートナとサプライヤは、エクストラネット・ポータルにログインして、在庫を評価し、注文を管理できます。

ポータルが持っている価値の大部分は、データ、コンテンツ、ビジネス・アプリケーションおよびサービスを、統合されたユーザー・エクスペリエンスに集約(ブラウザ、スマートフォン、タブレットなどに表示)する方法にあります。図1-1に、ポータル内の単一のページ上のユーザーに公開される複数の情報ソースを示します。

図1-1 複数の情報ソースの統合

図1-1の説明が続きます
「図1-1 複数の情報ソースの統合」の説明

ポータル・ユーザーは、ポータルに表示されるデータ、コンテンツおよびアプリケーションが、多くの場合、まったく異なるバックエンド・ソースから取得されていることに気付かない場合があります。さらに、集約されたこれらのコンポーネントは、ポータル主導のイベントを通じて、ブラウザ内で相互に対話できます。ユーザーには、すべての内容がシームレスな統合インタフェース内で提供されます。

ポータルは、次の2つの基本的なカテゴリに分類されます。

  • イントラネット・ポータル: コラボレーション、従業員によるセルフサービスおよび社内のコミュニケーションに使用します。

  • エクストラネット・ポータル: 顧客とパートナがセルフサービスとサポートに使用します。

構築するのポータルの種類は何ですか。このようなポータルの基本的な要件について、その一部を詳しく見ていきましょう。

1.1.1 社内ポータル(イントラネット)

イントラネット・ポータルを使用すると、組織内のユーザーによるコラボレーション、重要な情報へのアクセスおよびセルフサービスのセキュアな取得が可能になります。イントラネット・ポータルには、次のような数多くの用途があります。

  • 従業員によるタイム・カードの更新、休暇の申請、パフォーマンスの評価および有益な情報の表示が可能なセルフサービス・ポータル

  • ポータルのすべてのユーザーに提供される企業規模の情報やお知らせ

  • 第1.1.1.1項「チーム・コラボレーション・ポータル」で説明されている共同作業を行うチームのワークスペース

1.1.1.1 チーム・コラボレーション・ポータル

通常、チーム・コラボレーション・ポータルは、ドキュメントやその他の情報の共有、およびそれらに対するコラボレーションを必要とする、企業内のグループによって使用されます。

  • チーム・ポータルを使用すると、特定のプロジェクトに関するコラボレーションや、すべての従業員を対象とするトレーニング・コンテンツを提供できます。

  • チーム・ポータルは、企業内のユーザーに公開したり、認可されたユーザー(通常は、チーム・メンバーやその他の招待ユーザー)のみに使用を制限できます。

  • チーム・ポータルを使用すると、ユーザーにドキュメントの投稿、表示および編集を許可できます。

  • コラボレーション・ポータルには、アクティビティ追跡も含まれる場合があるため、ユーザーは、他のアクティビティでドキュメントが追加または変更されたときに、そのことを確認できます。

チーム・コラボレーション・ポータルの主な機能は、次のとおりです。

  • チーム・ポータルを作成、プロビジョニングおよび保守するために、IT部門が作業を行う必要はありません。これらは主に、ナレッジ・ワーカーとアプリケーション・スペシャリストによって保守されます。これらの役割と、その他のポータル・チームの役割については、第1.4項「Oracle WebCenterポータル・チームの構築: 人物紹介」を参照してください。

  • ポータル・ユーザーは、ドキュメントを共有したり、アクティビティ・ストリーム、Wiki、ブログなどのソーシャル・コンポーネントを使用できます。第2.3項「ツールとサービスのプランニング」を参照してください。

  • システム管理者が管理権限を委任した場合、チーム・リーダーとその他の個人は自らチーム・ポータルを管理できます。これにより、IT部門のコストが削減され、最小限のサポート・オーバーヘッドで多くのユーザーをサポートできるようになります。第2.5項「ポータルのセキュリティのプランニング」を参照してください。

1.1.2 外部ポータル(エクストラネット)

エクストラネット・ポータルでは、対象が組織の外部まで拡大され、顧客やベンダー向けのサービスが提供されます。エクストラネットには、次のようなユースケースがあります。

  • 認可されたユーザーに、ポータルの機能へのログインとアクセスを許可します。たとえば、ベンダーはサイトにアクセスして、入札の機会や状況を確認する場合があります。顧客は製品の購入、支払履歴の表示、サポートの依頼などを行うことができます。

  • カスタム・アプリケーション機能を、ポートレット、ビジネス・マッシュアップまたはタスク・フローとしてポータルに提供します。

  • 一貫性のあるルック・アンド・フィールをユーザーに提供し、企業ブランドを強調します。顧客固有のブランドが必要になる場合があります。

イントラネットおよびエクストラネット・ポータルの一般的な要件は、次のとおりです。

1.2 Oracle WebCenter Portalとは

企業では、Oracle WebCenter Portalを使用して、企業規模のイントラネットおよびエクストラネット・ポータルを構築します。通常、Oracle WebCenter Portalを使用して構築されたポータルでは、何千ものユーザーによる、複数のバックエンド・ソースからのコンテンツおよびデータの作成、更新およびアクセスがサポートされます。ユーザーの観点から見た場合、統合はシームレスです。

図1-2に、「Personal」という名前の最初のランディング・ページが表示された、Oracle WebCenter Portalの基本構造を示します。ヘッダー領域内の企業ロゴによるブランド、「サインイン」リンク、ナビゲーション領域、コンテンツ領域などがあります。

図1-2 Oracle WebCenter Portalを使用して構築されたサンプル・ポータル

図1-2の説明が続きます
「図1-2 Oracle WebCenter Portalを使用して構築されたサンプル・ポータル」の説明

1.3 Oracle WebCenter Portalの主な機能の理解

Oracle WebCenter Portalでは、ポータルの迅速な作成とデプロイを可能にする、オープンかつセキュアで、標準ベースの拡張可能なフレームワークが提供されます。この項では、Oracle WebCenter Portalの主な機能について、その一部を簡単に説明します。

1.3.1 ポータルのセキュリティ

新しいポータルを作成する際、そのポータルにアクセスできるユーザーを定義する、特定のセキュリティ・ポリシーを設定できます。通常、ポータルでは、ユーザーがログインを通じて認証を受けるよう求められます。ポータル・ページおよびコンポーネントへのアクセスは、委任管理を通じて指定できます。委任管理とは、ポータルの一部(特定のページ階層など)に対する管理権限を他の個人に割り当て、管理タスクを適切なマネージャに配布できるようにすることです。

詳細は、次の資料を参照してください。

  • 第2.5項「ポータルのセキュリティのプランニング」

  • 『Oracle WebCenter Portalの管理』のセキュリティの理解に関する項

  • 『Oracle WebCenter Portalでのポータルの構築』のポータルのセキュリティの管理に関する項

  • 『Oracle WebCenter Portalでのポータルの構築』のユーザーに対するポータルへのアクセス権の付与に関する項

1.3.2 その他のOracle製品およびアプリケーションとの統合

Oracle WebCenter Portalは、合理化されたユーザー・エクスペリエンスを提供するために、多くのOracleテクノロジおよびアプリケーションと統合および動作保証されています。

ポータルで使用したり、ポータルに統合できるその他のテクノロジには、Oracle Fusion Applications、Oracle Identity Management Suite、Oracle SOA Suite、Oracle Enterprise ManagerおよびOracle eBusiness Suite、さらにPeopleSoft、SiebelおよびJD Edwardsエンタープライズ・アプリケーションがあります。

詳細は、『Oracle WebCenter PortalおよびOracle JDeveloperでのポータルの開発』のその他のOracleアプリケーションとの統合に関する項を参照してください。

1.3.3 Oracle WebCenter Contentとの統合

Oracle WebCenter PortalはOracle WebCenter Contentと統合されているため、柔軟かつセキュアで集中化されたWebベースのリポジトリによって、コンテンツ・ライフ・サイクルのすべてのフェーズ(作成と承認から公開、検索、失効およびアーカイブや削除に至るまで)を管理できます。

たとえば、認可されたユーザーがコンテンツをポータルにアップロードした場合、そのコンテンツをOracle WebCenter Contentに格納して管理できます。Oracle WebCenter Contentでは、複数のバージョンの格納、アーカイブへの使用、承認プロセスとワークフローの管理、および様々なレンダリングの作成が可能です。

Oracle WebCenter Portalのコンテンツ・プレゼンタ機能を使用すると、ポータル内のコンテンツの選択およびプレゼンテーションを正確にカスタマイズできます。コンテンツ・プレゼンタは、接続先のOracle WebCenter Contentと密接に統合されています。

詳細は、次の資料を参照してください。

1.3.4 ツールとサービス

Oracle WebCenter Portalには、ポータルで活用できる様々なツールとサービスが含まれています。これらのツールとサービスには、メール、ドキュメントとコンテンツの管理、ディスカッション・フォーラム、カレンダ、Wiki、ブログ、タグ付け、アクティビティ追跡、パーソナライズ、投票、インスタント・メッセージなどがあります。

多くの場合、なんらかのバックエンド構成が必要になります。たとえば、ポータル内でディスカッションを使用するには、ディスカッション・サーバーが稼働しており、サーバーへのバックエンド接続が構成されている必要があります。これらの実装タスクの詳細は、Oracle WebCenter Portalのドキュメントを参照してください。

詳細は、次の資料を参照してください。

1.3.5 アセットおよびアセットのラウンドトリップ開発

アセットとは、ポータルの構造、ルック・アンド・フィールおよびコンテンツを定義するオブジェクトのことです。WebCenter Portalでは、すぐに使用できるか、またはカスタマイズ可能な次のアセットが提供されます: 「ページ・テンプレート」、「リソース・カタログ」、「スキン」、「ページ・スタイル」、「コンテンツ・プレゼンタ」表示テンプレート、「タスク・フロー・スタイル」、「ページレット」、「タスク・フロー」および「データ・コントロール」。

アセットのラウンドトリップ開発とは、メンテナンスや拡張のため、以前にデプロイされたポータルからポータル・アセットを取得し、JDeveloperに戻すことができる機能および技法です。JDeveloperでアセットを編集した後、デプロイされたポータルにアセットをアップロードしなおすことができます。ラウンドトリップ開発機能では、アプリケーション全体を再デプロイしなくてもポータル・アセットを変更できる簡単で便利な方法が用意されています。

WebCenter Portalがラウンドトリップ開発をサポートする方法の詳細は、次を参照してください。

1.3.6 検索

Oracle Secure Enterprise Search (Oracle SES)は、Oracle WebCenter Portalのデフォルトの検索プラットフォームです。Oracle SESでは、優れたスケーラビリティとパフォーマンスが提供されます。また、統合ランキング結果と外部リポジトリの検索も提供されます。

詳細は、次の資料を参照してください。

  • 『Oracle WebCenter Portalでのポータルの構築』のポータルへの検索の追加に関する項

  • 『Oracle WebCenter PortalおよびOracle JDeveloperでのポータルの開発』の検索の統合に関する項

  • 『Oracle WebCenter Portalの管理』のWebCenter PortalでのOracle Secure Enterprise Searchの管理に関する項

1.3.7 デバイスのサポート

Oracle WebCenter Portalは、デフォルトで、よく使用される様々なブラウザ、スマートフォンおよびタブレットでサポートされます。また、Oracle WebCenter Portalでは、モバイル・デバイス・テンプレートを使用して、このようなデバイスのサポートを追加できます。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalの管理』のデバイス設定の管理に関する項を参照してください。

1.3.8 ポートレット

標準ベースのポートレットは、複数のソースからのデータを意味のある関連した方法で提示する手段を提供します。ポートレットでは、他のWebサイトからの抜粋の表示、主要情報のサマリーの生成、検索の実行および多様なデータ・ソースの情報を収集したコレクションへのアクセスなどを実行できます。様々なポートレットを単一のページに配置できるため、ユーザーはコンテンツが実際には複数のソースからのものであっても単一のソースとして利用できます。

詳細は、次の資料を参照してください。

  • 『Oracle WebCenter PortalおよびOracle JDeveloperでのポータルの開発』のポートレットの概要に関する項

  • 『Oracle WebCenter Portalの管理』のポートレット・プロデューサの管理に関する項

1.3.9 ページレット

ページレットは、再使用可能なユーザー・インタフェース・コンポーネントです。任意のHTMLフラグメントをページレットにできますが、ページレット開発者は、パラメータ化された構成可能なページレットを記述し、その他のページレットと動的にやりとりし、ユーザー入力に応答するようにすることもできます。ページレットは、ポータルやその他のWebアプリケーション内など、任意のWebページで実行できます。ページレットを使用すれば、他のWeb環境でプラットフォーム固有のポートレットを公開できます。Oracle WebCenter Portalのページレット・プロデューサは、動的ページレットの開発を容易にする有用なツールと機能のコレクションを提供します。

詳細は、次の資料を参照してください。

  • 『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter PortalおよびOracle JDeveloperでのポータルの開発』のページレット・プロデューサによるページレットの作成に関する項

  • 『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalの管理』のページレット・プロデューサの管理に関する項

1.3.10 ローカライズされたコンテンツと言語のサポート

ポータルを複数の国のユーザーに表示する場合、ユーザーが選択した言語とロケールに基づいて、ローカライズされたコンテンツを表示できます。

また、選択するロケールによっては、そのロケールに適用される特殊な書式設定を考慮する必要があります。たとえば、情報の通常の表示方向(左から右または右から左)や、数字の表記(通貨情報など)を考慮する必要があります。

詳細は、『Oracle WebCenter Portalの管理』のデフォルト表示言語の選択に関する項を参照してください。

1.3.11 ポータルのライフ・サイクル

ポータルのライフ・サイクルとは、ポータルの開発から本稼働までの過程を表します。ライフ・サイクルのフェーズには、通常、開発、テスト、ステージングおよび本稼働が含まれます。各フェーズでは特定のタスクを実行する必要があります。コンテンツ・リポジトリの設定など、一部のタスクは、特定の環境で一度のみ実行します。コンテンツの更新など、他のタスクは、より頻繁に実行します。

通常は、ポータルに必要なバックエンド・サービスや、各環境のポータルによって使用されるアプリケーションをインストールして構成します。たとえば、ステージング環境には、Oracle WebCenter Contentなどの専用のコンテンツ・サーバーの他に、専用のポートレット・プロデューサ・サーバー(WC_Portlet)、分析、アクティビティ・グラフおよびデータ統合用のユーティリティ・サーバー(WC_Utilities)、およびディスカッションとお知らせ用のコラボレーション・サーバー(WC_Collaboration)を配置することが考えられます。ステージング・サーバーは、通常、本番サイトのミラーとして保持されます。詳細な説明と図については、『Oracle WebCenter Portalの管理』のOracle WebCenter Portalのトポロジに関する項を参照してください。

ポータル・プランニング・プロセスでは、ポータルだけでなく、そのアセット、データおよびコンテンツを、ある環境から別の環境に移行する方法も理解する必要があります。詳細は、次の資料を参照してください。

1.4 Oracle WebCenterポータル・チームの構築: 人物紹介

Oracle WebCenter Portal製品およびドキュメントは、ユーザーの人物像に注意して設計されています。つまり、特定のユーザーが、自分の役割に応じて特定の種類のタスクを実行するという考え方です。このような人物と、それらが通常実行するタスクの種類を理解することは、企業全体のポータルを作成および管理する上で役立つ場合があります。

人物の概要と、それらが通常実行するタスクおよび使用するツールを次に示します。

  • ナレッジ・ワーカー。ナレッジ・ワーカーは、主にコンテンツの表示とポータルへの追加、および他のユーザーのコンテンツのレビューを行います。ナレッジ・ワーカーは、チーム・コラボレーションやその他の社内作業用に、既存のテンプレートに基づく新しいポータルを作成する場合があります。

  • アプリケーション・スペシャリスト。アプリケーション・スペシャリストは、ポータルの作成と管理、ポータル・テンプレートとページ・テンプレートの構築、およびそれらへのコンテンツ、サービスおよびコンポーネントの追加を行います。たとえば、アプリケーション・スペシャリストは、ユーザー・プロファイル、Wiki、ドキュメント・セクションおよびその他の役立つ機能を含むチーム・コラボレーション・ポータル・テンプレートを作成する場合があります。このテンプレートはその後、独自のチーム・ポータルを作成および管理する個々のチームのナレッジ・ワーカーが使用できるようになります。

    アプリケーション・スペシャリストは一般的なポータル作成者であるため、デフォルトでは、作成対象のポータルの管理者です。この役割(ポータル・モデレータと呼ばれます)において、ポータルの作成権限や管理権限を他のアプリケーション・スペシャリストに委任するなど、ポータルのセキュリティを確立できます。その後、これらのユーザーは、特定の権限を他のユーザー(毎日コンテンツを更新するナレッジ・ワーカーなど)に委任できます。さらに共同チームを結成し、チーム・ポータルを使用して、コンテンツの提供やそれに対する共同作業を行うチーム・メンバーに、権限を付与することもできます。ポータルの管理権限を様々なユーザーに委任できることにより、IT部門の全体的なコストを大幅に削減し、最小限のサポート・オーバーヘッドで多くのユーザーをサポートできるようになります。

  • Web開発者。Web開発者は、一貫性のあるブランドのルック・アンド・フィールをすべてのポータルに提供します。Web開発者は、グラフィック設計ツールを使用して原案を定義した後、承認された設計をアプリケーション・スペシャリストに渡してテンプレートとして実装するか、直接ページ・テンプレートを編集します。上級Web開発者は、JavaScript、HTML、Ajax、JSPなどのテクノロジを使用し、多機能な対話型のユーザー・インタフェースを作成します。

  • 開発者。ポータル開発者は、主にJDeveloperで作業を行い、ポートレット、タスク・フロー、マネージドBeanなどのカスタム・ポータル・コンポーネントを作成します。開発者が作成するコンポーネントは、Java、SQL、式言語、Oracle Application Development Framework (ADF)、およびその他のプログラミング・スキルを必要とします。

  • システム管理者。システム管理者は、個々のポータルを管理せず、すべてのポータルを対象とするグローバル・オプションを管理および設定します。システム管理者は、必要に応じて、コンテンツ・リポジトリ、データベース、サービス、アプリケーションなどのバックエンド・システムを構成します。ドキュメント・コンポーネント、ディスカッションやアクティビティ追跡といったコンポーネントなど、多くのポータル・コンポーネントは、これらの接続に依存しています。また、ポータルのバックアップおよびリカバリも管理対象になります。通常、システム管理者は、ポータル管理ツール、Oracle Enterprise Manager、およびWebLogicスクリプティング・ツール(WLST)を操作します。システム管理の概要は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalの管理』のOracle WebCenter Portalの管理の概要に関する項を参照してください。

各人物に最も適したガイドなどの詳細は、Oracle WebCenter Portalの各ガイドの先頭に記載された、「人物紹介」を参照してください。

1.5 Oracle WebCenter Portalドキュメント・セットの紹介

この項では、第1.4項「Oracle WebCenterポータル・チームの構築: 人物紹介」で概説したOracle WebCenter Portalの主要ガイドとそれらの対象読者を示します。

  • Oracle WebCenter Portalの管理

    このガイドはシステム管理者を対象としています。ここでは、Oracle WebCenter Portalのグローバルな側面を管理する方法について説明します。システム管理者は、Oracle WebCenter Portalのブラウザベースのポータル開発環境、およびJDeveloperを使用して構築された任意のポータル・アプリケーションを設定、実行および管理する方法について学習します。このガイドでは、ポータルのデプロイ方法、バックエンド・サービスの構成方法、パフォーマンスのモニター方法、ポータルのバックアップとリカバリの実装方法についても学べます。

  • Oracle WebCenter Portalによるポータルの作成

    このガイドは、ポータルを作成、編集および管理するアプリケーション・スペシャリストと上級ナレッジ・ワーカーを対象としています。ここで説明するタスクには、ポータルとサブポータルの作成、カスタマイズおよび管理、ポータル・テンプレートの管理と開発、ポータル・ページとそこで公開するコンテンツの作成と編集、ポータルで提供するアセットとツールの定義、メンバーシップ、ロールおよび権限を使用したポータルとページのセキュリティ設定などがあります。

  • Oracle WebCenter PortalおよびOracle JDeveloperによるポータルの開発

    このガイドは、Oracle JDeveloperを使用してPortal Frameworkアプリケーション、ポートレットおよびカスタム・ポータル・コンポーネントを作成する開発者を対象としています。このガイドで説明するほとんどのタスクでは、Java、CSS、Application Development Framework (ADF)、式言語(EL)およびそれらに関する経験を必要とする作業を行います。

  • Oracle WebCenter Portalの使用

    このガイドは、WebCenter Portalを通じてユーザーと情報をやり取りするナレッジ・ワーカーとその他のエンド・ユーザーを対象としています。ここで説明するタスクには、ホーム・ポータルにおける個人用環境での作業、ポータルにおけるポータル・メンバーとしての作業、コンテンツの検索と更新、新しいコンテンツの作成、他のビジネス・ユーザーとの共同作業によるドキュメントの作成、編集および共有、同僚間でのインスタント・メッセージの送受信などがあります。

Oracle WebCenter Portalのインストールおよび構成については、他のドキュメントで説明されています。通常は、システム管理者がこれらの作業を行います。詳細は、次を参照してください。

  • Oracle WebCenter Portalインストレーションおよび構成ロードマップ

  • Oracle WebCenter Portalクイック・インストレーション・ガイド

  • Oracle WebCenter Portalインストレーション・ガイド

  • パッチ適用ガイド