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Oracle® Fusion Middleware構成ウィザードによるドメインの作成
11gリリース1 (10.3.6)
B61005-05
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1 概要

この章では、WebLogicドメイン、構成ウィザードの概要、テンプレートについて説明します。また、ドメインを作成するためのその他の方法についても説明します。

次の項目について説明します。

WebLogicドメインの紹介

WebLogicドメインは、WebLogic Serverの基本的な管理ユニットです。1つ以上のWebLogicサーバー・インスタンス、および1つの単位としてまとめて管理されている論理的に関連したリソースとサービスで構成されます。

図1-1 WebLogicドメインの構造

図1-1の説明が続きます。
「図1-1 WebLogicドメインの構造」の説明

図1-1で示されているように、基本的なドメインのインフラストラクチャは、1台の管理サーバーと、オプションの管理対象サーバーおよびクラスタで構成されています。

WebLogicドメインのコンポーネントは、表1-1で説明されています。

表1-1 WebLogicドメイン・インフラストラクチャ・コンポーネント

コンポーネント 説明

管理サーバー

ドメインには、管理サーバーとして構成される1台のWebLogic Serverインスタンスが含まれています。アプリケーションの構成およびデプロイメントへのすべての変更は、管理サーバーを介して行われます。

管理サーバーは、ドメインの管理およびWebLogic Server管理ツールへのアクセスの提供のための中央の場所を提供します。このツールの例を次に示します。

  • WebLogic Server管理コンソール: 管理サーバーへのグラフィカル・ユーザー・インタフェース。

  • WebLogic Serverノード・マネージャ: サーバー・インスタンス(管理サーバーおよび管理対象サーバーの両方)をリモートで起動および停止し、それらを監視して、予期しない障害の後に自動的に再起動するJavaプログラム。

    ノード・マネージャは、任意のサーバー・インスタンス(管理サーバーおよび管理対象サーバーの両方)をホストするすべてのマシン上にインストールされることに注意してください。

Oracle WebLogic Serverの管理ツールの詳細は、Oracle WebLogic Serverの紹介のシステムの管理ツールとAPIの概要に関する項を参照してください。

管理対象サーバー

ドメイン内の他のすべてのWebLogic Serverインスタンスは、管理対象サーバーと呼ばれます。管理対象サーバーは、アプリケーション・コンポーネントおよびリソースをホストします。また、ドメインの一部としてデプロイおよび管理されます。1つのWebLogic Serverインスタンスのみを持つドメインでは、1台のサーバーが管理サーバーと管理対象サーバーの両方として機能します。

クラスタ

ドメインには、WebLogic Serverクラスタも含まれる可能性があります。クラスタは、管理対象サーバー・インスタンスのグループであり、互いに連携してアプリケーションのスケーラビリティと高可用性を実現します。クラスタは、パフォーマンスを改善し、サーバー・インスタンスが使用できなくなったときにフェイルオーバーを提供します。クラスタ内のサーバーは、同じマシン上で実行することや、異なるサーバーに常駐することができます。クライアントからは、クラスタは1つのWebLogic Serverインスタンスに見えます。



注意:

ドメイン内のすべての管理対象サーバーは、同じバージョンのWebLogic Serverを実行する必要があります。管理サーバーは、ドメイン内の管理対象サーバーと同じバージョンか、それ以降のサービス・パックを実行できます。

インフラストラクチャ・コンポーネントのほかに、ドメインは、含まれているサーバー・インスタンスの基本的なネットワーク構成を定義します。特に、ドメインは、アプリケーション・デプロイメント、サポートされているアプリケーション・サービス(データベースやメッセージング・サービスなど)、セキュリティ・オプションおよび物理ホスト・マシンを定義します。

ドメイン構成情報は、ドメイン・ディレクトリの下の構成ディレクトリに格納されます。

一般的なWebLogicドメイン構成

システム管理者の責任、アプリケーションの論理種別、サーバーの地理的位置またはサイズなど、特定の条件に基づいて、複数のWebLogicドメインを構成するのに役立ちます。次の表に、最も一般的なドメイン構成を示します。

表1-2 一般的なWebLogicドメイン構成

構成 説明

管理対象サーバーがあるドメイン

一般的な本番環境では、複数の管理対象サーバーがアプリケーションをホストでき、管理サーバーは管理操作を実行します。

管理対象サーバーとクラスタがあるドメイン

アプリケーションのパフォーマンス、スループットまたは可用性を向上させる必要がある本番環境では、複数の管理対象サーバーをクラスタ内でグループ化できます。

その場合には、WebLogicドメインは、ホストするアプリケーションがある1つ以上のクラスタ、追加の管理対象サーバー(必要な場合)、および管理操作を実行する管理サーバーで構成されます。

スタンドアロン・サーバー・ドメイン

開発環境またはテスト環境では、1台のアプリケーション・サーバーを管理対象サーバーなしで個別にデプロイできます。その場合には、テストまたは開発したいアプリケーションをホストする1台のアプリケーション・サーバーで構成されているWebLogicドメインを持つことができます。



注意:

本番環境では、管理対象サーバー上にのみアプリケーションをデプロイすること、および管理作業のために管理サーバーを予約することをお薦めします。

WebLogicドメインの詳細は、『Oracle WebLogic Serverドメイン構成の理解』のOracle WebLogic Serverドメインの理解に関する項を参照してください。

構成ウィザードの概要

WebLogicドメインでアプリケーションを開発および実行する前に、まずWebLogicドメインを作成する必要があります。図1-2で示す構成ウィザードは、ドメインを作成および拡張するプロセスを簡略化します。

構成ウィザードを使用することでWebLogicドメインを作成または拡張するには、ドメインに含める製品コンポーネント(製品テンプレート)を選択して(または要件に最も適したテンプレートを選択して)、基本的な構成情報を提供します。次に、構成ウィザードは、選択した製品テンプレートで定義したリソースを追加することで、ドメインを作成または拡張します。

テンプレートの詳細は、「ドメイン・テンプレートと拡張テンプレートについて」を参照してください。

図1-2 構成ウィザード

図1-2の説明が続きます。
「図1-2 構成ウィザード」の説明

構成ウィザードを使用してWebLogicドメインを作成したら、ドメイン内のWebLogic Serverインスタンスを起動して、アプリケーションを開発、テストおよびデプロイできます。


注意:

ドメイン・テンプレート・ビルダー・ツールは、カスタム・ドメインおよび拡張テンプレートの作成のプロセスをガイドすることで、テンプレートを作成するプロセスを簡略化します。これらのテンプレートを選択し、構成ウィザードまたはWebLogic Scripting Tool (WLST)を使用することでドメインを作成および拡張できます。ドメイン・テンプレート・ビルダーの詳細は、『ドメイン・テンプレート・ビルダーによるドメイン・テンプレートの作成』を参照してください。WLSTを使用したドメインの作成の詳細は、Oracle WebLogic Scripting ToolのWLSTをオフラインで使用することによるドメインの作成に関する項を参照してください。

操作のモード

サーバーが稼働していない場合のみ、構成ウィザードを使用できます。これは次に示す操作モードをサポートします。

  • グラフィカル・モード: 対話型でGUIベースのモード

  • コンソール・モード: 対話型でテキスト・ベースのモード


    注意:

    スクリプト化された、サイレント・モードの方法の場合は、WLSTを使用できます。詳細は、『Oracle WebLogic Scripting Tool』を参照してください。

構成ウィザードの出力

構成ウィザードを使用して作成されたWebLogicドメインには、次のディレクトリがあります。

  • autodeploy: このディレクトリは、開発サーバー上の、迅速にアプリケーションをデプロイできる場所を提供します。WebLogic Serverインスタンスが開発モードで実行されている場合は、このディレクトリに配置されているどのアプリケーションまたはモジュールでも自動的にデプロイされます。

  • bin: このディレクトリには、管理サーバーおよび管理対象サーバー(オプション)を始動および停止するスクリプトが含まれています。

  • config: このディレクトリには次のものが含まれます。

    • ドメイン固有構成ファイルであるconfig.xml。これは、WebLogicドメインの名前、およびドメイン内の各サーバー・インスタンス、クラスタ、リソース、およびサービスの構成パラメータ設定を指定します。

    • 様々なシステム・モジュールの構成を含むサブディレクトリ: deploymentsdiagnosticsjdbcjmslibnodemanagerおよびsecurity。これらのサブディレクトリには、参照することによってconfig.xmlファイルに組み込まれる構成ファイルが含まれています。


      注意:

      構成に応じて、いくつかのサブディレクトリが存在しない場合があります。

  • console-ext: このディレクトリには、管理サーバーによって使用されるコンソール拡張が含まれています。

  • init-info: このディレクトリには、WebLogicドメインの作成および拡張をサポートするために構成ウィザードによって使用されるファイルが含まれています。

  • lib: このディレクトリには、ドメイン・ライブラリが含まれています。サーバーの始動時に、このディレクトリに配置した任意のjarファイルが、サーバー・クラスパスの最後に動的に追加されます。

  • security: このディレクトリには、ドメイン内のすべてのサーバーのための共通セキュリティ・ファイルが含まれています。

  • servers: このディレクトリには、ドメイン内の各サーバーのサブディレクトリが含まれています。これらのサーバー・サブディレクトリには、順々に、bincachedatalogssecurityおよびtmpなどの、WebLogicドメイン内の各サーバーに固有のディレクトリおよびファイルを保持するサブディレクトリが含まれています。

  • user_staged_config: ドメインが、ユーザーがステージングするように構成されている場合、つまり、管理者に、構成情報を管理対象サーバーにステージング(コピー)する責任がある場合、このディレクトリはconfigディレクトリに代替を提供します。

WebLogicドメインを作成するために使用されるテンプレートにアプリケーションが含まれている場合、アプリケーション・ファイルは、デフォルトでuser_projects/applications/domain_nameにあります。

詳細は、Oracle WebLogic Serverのドメイン構成の理解のドメイン構成ファイルに関する項を参照してください。

ドメイン・テンプレートと拡張テンプレートについて

構成ウィザードのコンテキストでは、テンプレートという用語は、WebLogicドメインを作成または拡張するために必要なファイルおよびスクリプトを含むJava Archive (JAR)ファイルのことを指します。WebLogicドメインを作成または拡張するために構成ウィザードが使用するテンプレートのタイプには、次のものがあります。

  • ドメイン・テンプレート: このタイプのテンプレートは、インフラストラクチャ・コンポーネント、アプリケーション、サービス、セキュリティ・オプション、一般環境およびオペレーティング・システムのオプションを含む、WebLogicドメイン内のリソースの完全なセットを定義します。ドメイン・テンプレート・ビルダー・ツールまたはpackコマンドを使用することで、既存のWebLogicドメインからこのタイプのテンプレートを作成できます。その後に、構成ウィザードを使用することで、テンプレートに基づいてWebLogicドメインを作成できます。

    製品配布には、基本のWebLogicドメイン・テンプレートが含まれています。ドメイン・テンプレートは、次を含む、ドメイン内のリソースの中核的なセットを定義します。

    • 管理サーバーおよび基本的な構成情報

    • インフラストラクチャ・コンポーネント

    • 一般環境およびオペレーティング・システムの要件

    ドメイン・テンプレートにはサンプル・アプリケーションは含まれません。ドメイン・テンプレートを使用して基本のWebLogicドメインを作成できます。これは、その後、アプリケーションおよびサービス、または追加の製品コンポーネントで拡張できます。

  • 拡張テンプレート: ドメイン・テンプレートが、自足できるWebLogicドメインを作成できるのに対して、拡張テンプレートは、機能を既存のドメインに追加します。構成ウィザードでは、使用する拡張テンプレートを選択する前に、拡張したいWebLogicドメインを選択する必要があります。

  • 管理対象サーバー・テンプレート: このタイプのテンプレートは、管理対象サーバー・ドメインまたはリモート・マシンの作成に必要な、WebLogicドメイン内のリソースのサブセットを定義します。packコマンドを使用することで、このタイプのテンプレートを作成できます。

WebLogic Server製品のインストールには、一連の事前定義されたドメインおよび拡張テンプレートが含まれています。このセットには、基本ドメインにコンポーネント機能およびサンプルを追加できるようにする、基本のWebLogicドメイン・テンプレートおよび様々な拡張テンプレートが含まれています。これらのテンプレートと、それらがどのように互いに関連するかの詳細は、Oracle WebLogic Serverドメイン・テンプレート・リファレンスを参照してください。

WebLogicドメインを作成、拡張および管理するためのその他のツール

構成ウィザードのほかに、表1-3に示すツールを使用して、ドメインを作成、拡張および管理できます。製品コンポーネントのコンソール(たとえば、WebLogic Server管理コンソール)を使用することで、ランタイム構成を実行することもできます.。

表1-3 WebLogicドメインを作成、拡張および管理するためのその他のツール

これを行うには、次の手順を実行します。 次のツールを使用します

WebLogicドメインを作成するか、既存のドメインを拡張します

  • WebLogic Scripting Tool (WLST)

    WLSTは、コマンドライン・スクリプト・インタフェースであり、WebLogic Serverのインスタンスおよびドメインとの対話およびそれらの構成のために使用できます。WLSTがオフラインの場合は、構成ウィザードと同じ機能をサポートし、WebLogicドメインを作成することや、稼動しているWebLogic Serverへ接続せずに既存のドメインを更新することができます。

    詳細は、『Oracle WebLogic Scripting Tool』を参照してください。

  • unpackコマンド

    現在のインストールと互換性のあるテンプレートを使用することで、このコマンドを使用して、コマンド・ラインからWebLogicドメインを作成できます。unpackを使用して既存のドメインを拡張することはできません。

    詳細は、PackおよびUnpackコマンドを使用したテンプレートおよびドメインの作成を参照してください。

アプリケーションおよびサービスの追加、または既存の設定の変更

  • WebLogic Server管理コンソール

    詳細は、『Oracle WebLogic Server Administration Consoleオンライン・ヘルプ』を参照してください。

  • WLST、JMXおよびAntなどのその他のシステム管理ツール。

    詳細は、Oracle WebLogic Serverの紹介のシステム管理ツールおよびAPIのまとめに関する項を参照してください。

ドメインのヘルスおよびステータスの管理および監視

  • WebLogic診断フレームワーク(WLDF)

    詳細は、『Oracle WebLogic Server診断フレームワークの構成と使用』を参照してください。

  • WebLogic Server管理コンソール

    詳細は、『Oracle WebLogic Server Administration Consoleオンライン・ヘルプ』を参照してください。

  • WebLogic Serverノード・マネージャ

    詳細は、『Oracle WebLogic Serverサーバーの起動と停止の管理』および『Oracle WebLogic Serverノード・マネージャ管理者ガイド』を参照してください。