勤務管理で記録した給与支給対象時間に対するグローバル ペイロールでの給与計算の方法について
このトピックでは、次について説明します。
勤務管理との統合によりグローバル ペイロールで実行されるタスク。
勤務管理での給与支給対象時間の作成方法。
給与計算実行を起動したときの処理のしくみ。
計画の注意点。
勤務管理では、受給者が勤務した時間が管理され、グローバル ペイロールなどの給与計算システムで処理される給与支給対象時間が算出されます。グローバル ペイロールを勤務管理と統合すると、給与計算実行時に給与支給対象時間を処理したり、給与計算実行後に費用データを勤務管理に送り返したり、従業員スケジュールを共有したりすることができます。
勤務管理との統合のためのシステム設定を一度行えば、グローバル ペイロールでは以下の処理が可能になります。
承認済み休暇欠勤データが勤務管理に渡されます。これにより、勤務管理で費用評価用の給与支給対象時間を作成するために使われるルール プロセスで休暇欠勤データを評価できるようになります。
給与計算実行の計算フェーズを起動するたびに、給与支給対象時間がグローバル ペイロールにロードされます。
給与支給対象時間が作成済みポジティブ入力として処理されます。これにより作成済みポジティブ入力に適用されるルールが全て給与支給対象時間にも適用されることになります。
現在の期間または相殺する期間の給与支給対象時間が処理されます。
給与計算処理が完了すると、費用データが勤務管理に返されます。これにより、費用データを給与支給対象時間の入力全体に配分したり、PeopleSoft プロジェクト管理などのアプリケーションに送信したりすることができるようになります。
注: グローバル ペイロールと勤務管理を統合して使用する場合、休暇欠勤イベント ページ、休暇欠勤イベント トピックの勤務管理セルフ サービス タイムシート、または休暇欠勤セルフ サービスのページを使用して、休暇欠勤イベントをグローバル ペイロールに入力できます。休暇欠勤イベントを入力すると、勤務管理の休暇取得プロセスと勤務時間管理プロセスで使われる休暇欠勤イベント テーブル (GP_ABS_EVENT) に情報がロードされます。
勤務管理でレポートされる時間の各インシデントは、勤務時間レポート コード (TRC) と関連付けられます。このコードは、時間のタイプ (正規、ミーティングなど)、ユニット、通貨などの属性を指定するために使います。時間の各入力にはタスク コードも指定できます。タスク コードを使うと、製品や場所などのカテゴリ別に、時間をより詳細なレベルで管理できます。また、勤務管理とグローバル ペイロール間で送受信する会計情報を管理することもできます。勤務管理をグローバル ペイロールと統合するには、支給、控除、および休暇取得のエレメントを勤務時間レポート コードにマッピングする必要があります。サポート エレメント、タスク コード変数、チャートフィールドのマッピングが必要になる場合もあります。
勤務管理でレポートされた時間は、給与計算システムに送信して処理する前に、給与支給対象時間に変換する必要があります。給与支給対象時間には、給与支給処理のための準備ができていることを示す給与支給ステータスが設定されている必要があります。勤務管理の勤務時間管理プロセスでは、ユーザー定義のルール セットを勤務時間レポート コードに対応した時間入力に適用することによって、給与計算処理に使用できる給与支給対象時間が生成されます。これらのルールは、時間外労働、休暇手当、保証時間、連続日数などの状況に対して適用できます。
グローバル ペイロールでは、給与計算実行の計算フェーズ中に、処理の準備ができている給与支給対象時間が勤務管理から抽出されます。グローバル ペイロールで計算フェーズが最初に実行されるときには、現在のカレンダーに指定された全受給者の処理が行われます。2 回目以降の実行時には、変更された給与支給対象時間の各インスタンスに対して反復トリガと遡及トリガが作成され、エラーまたは反復トリガのある受給者だけが再処理されます。給与支給対象時間は、給与計算を実行するたびに抽出されます。
給与計算実行が最終決定されたら、勤務管理の給与支給対象時間入力を更新する更新プロセスを起動します。労働コスト配分プロセスと労働単価平準化プロセスを使うように選択してある場合は、更新プロセスによってこの 2 つのプロセスも起動されます。労働コスト配分を使わない場合、給与支給対象時間入力のステータスは、グローバル ペイロールによって CL (終了) に設定されます。
画像: グローバル ペイロールと勤務管理の統合
次のフローチャートは、グローバル ペイロールと勤務管理間でのデータのやりとりを示したものです。

注: 勤務管理に送信される休暇欠勤データは、受給者の給与支給には使用されません。受給者の給与支給はグローバル ペイロールで計算されます。労働コスト配分機能を使用する場合は、給与計算が最終決定した後で、算出された金額が勤務管理に送り返されます。
グローバル ペイロールと勤務管理は両方ともルール ベースのシステムであり、同じタイプのルールを実行できます。2 つの製品を統合する前に、それぞれのシステムでどのルールを適用するか十分に検討する必要があります。一般的には、以下のルールを定義します。
超過勤務やシフト特別レートなど特殊な状況を含む給与支給対象時間を計算するルールを勤務管理で定義します。
支給を計算するルールをグローバル ペイロールで定義します。
勤務時間レポート コード (TRC) は、総支給額と純支給額の累計に加算または減算されるグローバル ペイロールの支給と控除にマッピングされます。勤務時間レポート コードに支給エレメントをどのようにマッピングするのかを決める必要があります。たとえば、総支給額に累計されない支給エレメントに勤務時間レポート コードをマッピングするとします。この方法では、勤務時間レポート コードに関連付けられている費用であっても、支給総額に含めない費用 (たとえば事業主が支払う社会保険料など) を計算するために、別のルールを使用することができます。給与所得者に対してこれと同じ方法を適用すれば、勤務管理で集計された時間を給与計算そのものには使用せず、費用の算出にのみ使用するといったことが可能になります。
以下に要点をまとめます。
総額に累計する支給エレメントを 1 つ定義します。
これは、給与計算処理で受給者の給与明細を計算するために使用される支給エレメントです。このエレメントは勤務時間レポート コードにマッピングしないでください。
総支給額に含めない 2 番目の支給エレメントを定義します。
この支給エレメントは、費用算出の目的のみに使用されます。また、受給者の給与に加えて、間接費など追加する必要がある費用を全て含めることができます。このエレメントを勤務時間レポート コードにマッピングし、正確な費用データを勤務管理に返して、原価計算、計画、または予算編成のアプリケーションで使用できるようにします。
注: 時間給労働者などの場合のように、総支給額に 2 番目の支給エレメントを追加する必要がある場合は、総支給額に累計する 2 番目の支給エレメントに勤務時間レポート コードをマッピングすることができます。
注: 勤務時間レポート コードをマッピングする全ての支給エレメントがポジティブ入力を受信するように設定されていることを確認してください。グローバル ペイロールでは勤務管理の情報が作成済みポジティブ入力として取得されるためです。
注: 勤務時間レポート コードにマッピングされたエレメントのステータスを非アクティブに変更する場合は、勤務管理で勤務時間レポート コードのマッピングを更新します。