ポジティブ入力について

このトピックでは、次について説明します。

  • ポジティブ入力の特徴。

  • ポジティブ入力のソース。

  • インスタンスとバンドル。

  • 資格ルール。

  • アクション タイプと処理ルール。

  • 分割に関する注意事項。

  • バッチ処理とポジティブ入力。

ポジティブ入力とは、1 つの支給期間に対して入力する支給および控除データです。これは、勤務時間や一時賞与などの受給者特定のデータで、期間ごとに変更することができます。手動でポジティブ入力をしたり、PeopleSoft 勤務管理などのアプリケーションからデータを受け取ることもできます。

支給エレメントまたは控除エレメントのポジティブ入力を行う際は、固定額、またはエレメントの計算ルール コンポーネントの値のどちらでも入力できます。たとえば、受給者の標準支払エレメントの計算ルールが標準支払 = レート × ユニットである場合、計算ルールを上書きする額を入力するか、レートまたはユニット、あるいはその両方の値を指定できます。値を入力する場合は、"40 時間" などの数値を入力したり、PeopleSoft HR のコンポーネントの値を取得するレート コード エレメントを選択することもできます。

グローバル ペイロールは、ポジティブ入力を行う際に使用するオプション機能を備えています。入力に適用する通貨を選択し、受給者の部門、職務コード、または所在地を上書きし、組織に特定の情報を入力して、これらを一般会計のシステムに送信することもできます。

注: 入力したデータは 1 つの支給期間にのみ適用されます。エレメントの長期にわたる上書きを設定する場合は、受給者別エレメント割当ページまたはエレメント別受給者割当ページを使用します。

ポジティブ入力は、さまざまなソースから作成されます。次のことが可能です。

  • ポジティブ入力ページでデータを手動入力できます。

  • 勤務管理、HR の変動報酬管理ビジネス プロセス、またはサード パーティ アプリケーションからデータを取得できます。

  • 休暇取得プロセス (GP_PAYE) を実行し、有給および無給休暇をポジティブ入力に変換できます。

  • プロセス リストにポジティブ入力作成セクションを含めて、別の支給カレンダーにポジティブ入力を自動的に作成できます。

1 つの例外を除いて、手動で入力されたデータは、他のソースで作成されたポジティブ入力を常に上書きします。手動入力のデータのうちアクション タイプが [追加] のものは、自動作成された入力を上書きしません。勤務管理および休暇取得プロセスなどの複数のソースから受給者データが自動入力され、手動入力のデータがない場合、全ての自動入力が給与計算実行時に処理されます。

手動入力された場合のみ、ポジティブ入力を編集できます。自動作成された入力を追加、削除、または修正する必要がある場合は、ポジティブ入力を作成して、自動作成入力を上書きします。また、データが他のアプリケーションで作成されている場合は、ソース レコードを修正して、そのデータを再送信します。

このトピックでは、ポジティブ入力のインスタンスとバンドルの概要について説明します。

インスタンス

ポジティブ入力はインスタンスとも呼ばれます。システムにポジティブ入力を手動で入力する場合は、各入力にインスタンス番号を割り当てます。つまり、受給者が 3 つの異なるレートで超過勤務を行い、"超過勤務" と名付けられたエレメントに、3 つの異なるポジティブ入力を行う場合、それぞれの入力には個別のインスタンス番号が割り当てられます。以下の例では、計算ルールが (超過勤務) = (レート) × (ユニット) であるとしています

エレメント

インスタンス

レート × ユニット

超過勤務

1

25 × 10

超過勤務

2

35 × 5

超過勤務

3

30 × 5

ポジティブ入力が外部ソースから作成される場合、インスタンス番号はシステムにより自動的に割り当てられます。個別のインスタンス番号が各ポジティブ入力に対して割り当てられるか、ひとまとまりの入力に対して割り当てられるかは、バンドルが発生したかどうかによります。

バンドル

休暇取得プロセス、勤務管理、またはサードパーティ アプリケーションによって作成されたポジティブ入力は、さらに効率よく処理するために、支給期間ごとにアレイにバンドルされることがよくあります。週単位の支給周期で 1 日に 8 時間勤務する場合、8 時間ごとに 5 回入力するところを 40 時間にして 1 回の入力にバンドルできます。バンドルは、複数行ではなく単一行の出力 (GP_RSLT_ERN_DED) を作成する以外に処理または結果に影響を与えません。

バンドルごとにインスタンス番号が割り振られます。インスタンス番号は 1 から始まり、カレンダー実行時に含まれるバンドルされた各エレメントに対し割り当てられます。

データをバンドルするルールは、ポジティブ入力のソースによって異なります。

画像: ポジティブ入力とバンドルのソース

次の図は、ポジティブ入力とバンドルのソースを示しています。

ポジティブ入力とバンドルのソース

勤務管理のバンドル ルール

勤務管理から取得されたポジティブ入力は (勤務管理内では給与支給対象時間と呼ばれる)、共通のデータを含む場合、スライスまたはセグメントでバンドルされます。つまり、以下のデータ タイプの値が同じ場合にバンドルされます。

  • レート。

  • 通貨。

  • 指定日のレート。

  • タスク エンティティ*。

* バンドルするためには、ビジネス ユニット、製品、および部門など、勤務管理で定義し選択されたタスク エンティティは、マッピング ページを使ってグローバル ペイロールのシステム エレメントまたは変数エレメントにマッピングされている必要があります。

例 1

受給者には、1 週間の勤務日それぞれに対しポジティブ入力が 1 つずつあり、合計 5 つの入力が存在します。それぞれの入力には、表のようなレート値が指定されています。木曜日を除き、支給レートは毎日同じです。その結果、4 日間の勤務日を自動的に 10 のレートでバンドルして 1 つのインスタンスが作られ、木曜日の勤務日に対しては 12 のレートで別のインスタンスが作成されます。

曜日

勤務時間

レート

月曜日

8

10

火曜日

4

10

水曜日

8

10

木曜日

8

12

金曜日

8

10

例 2

受給者が 2 つの部門で勤務しています。ポジティブ入力には、部門 (A または B) を定義するシステム エレメントと、勤務時間を指定する変数エレメントが含まれます。バンドルするには、システム エレメントが一致することが条件なので、部門 A の全ての入力がバンドルされ、部門 B の入力には別のバンドルが作成されます。

曜日

変数

システム エレメント

月曜日

8

部門 A

火曜日

8

部門 A

水曜日

8

部門 B

木曜日

8

部門 B

金曜日

8

部門 A

休暇取得のバンドル ルール

休暇取得プロセスで作成され、同じスライスやセグメント内にあるポジティブ入力は、休暇取得エレメントの定義によってはバンドルできる場合があります。

  • 休暇取得エレメントで複数インスタンスを許可するオプションを選択していない場合、支給期間中にある同じ理由の休暇取得のポジティブ入力はバンドルされます。

  • 休暇取得エレメントに対するポジティブ入力を、複数の支給エレメントまたは控除エレメントに関連付ける場合 (休暇取得 - 日数計算フォーミュラ ページ)、それぞれの支給エレメントと控除エレメントのポジティブ入力が個別にバンドルされます。

サードパーティ アプリケーションのバンドル ルール

サードパーティ アプリケーションから取得されたポジティブ入力は、グローバル ペイロールに送信される前に各インスタンスに割り当てられたバンドル グループ タグによって、バンドルができる場合とできない場合があります。サードパーティ アプリケーションはソース (PI_SOURCE) フィールドに対して固有の値を使い、分割条件がある場合にそれらに対応する必要があります。サードパーティのインターフェイスでは、グローバル ペイロールで要求される方法でポジティブ入力をバンドルする必要があります。

ポジティブ入力を変換するには、以下の条件の全てを満たす必要があります。

  • 処理対象の受給者が選択され、処理対象に指定されていること。

    支給期間のカレンダーを作成する際に、受給者の選択条件を入力します。給与計算処理のラン コントロールを設定する際、計算対象の受給者を選択します。

  • エレメントがカレンダーから除外されないこと。

  • エレメントが、処理中に実行されるプロセス リストのセクションに含まれていること。

  • エレメントが受給者の有資格グループに属しているか、ポジティブ入力が支給元 - 処理詳細ページで上書きとして選択されていること。

ポジティブ入力が変換されない原因

処理中に変換されなかったポジティブ入力のインスタンスがある場合、その原因として可能性が高いのは、上記に資格ルールとして述べたもの以外に、以下が考えられます。

  • エレメント計算ルールのコンポーネントの値が受給者レベルの入力として定義されているが、ポジティブ入力、受給者上書きのどちらでも、コンポーネントの値を指定しなかった場合。

    コンポーネントの値を入力せずにポジティブ入力を行うと、エレメントの定義、受給者の上書きがある場合には、それらを使ってエレメントが変換されます。

  • 給与計算処理の計算フェーズの最終反復を実行後、または受給者の計算を凍結後にポジティブ入力を行った場合。

ポジティブ入力のインスタンスを手動で入力する際、インスタンスの処理方法を指示するアクション タイプを選択します。以下のアクション タイプから選択できます。

  • 上書き

  • 追加

  • 処理しない

  • ゼロにする

各アクション タイプの簡単な説明を以下に示します。

上書き

アクション タイプが [上書き] のポジティブ入力を作成すると、エレメントのインスタンスの計算ルールを上書きする金額を入力したり、エレメントの計算ルール コンポーネント (レート、ユニット、パーセント、またはベース) の値を入力することができます。計算ルールが金額として定義されている場合は、金額だけを入力できます。

支給コードを固定額の 100 EUR と定義するとします。受給者には、100 EUR ではなく 90 EUR を支給したいとします。ポジティブ入力ページで、アクション タイプを [上書き] にして金額 90 EUR を入力します。変換時に定義金額 100 EUR は上書きされ、受給者は 90 EUR を受け取ります。

追加

アクション タイプが [追加] のポジティブ入力を作成した場合、受給者別エレメント割当ページまたはエレメント別受給者割当ページにエレメント定義または指示が入力されていると、それに基づいてエレメントの通常変換が行われます。さらに、ポジティブ入力に入力した値に基づいてエレメントが再度処理されるので、処理が複数回行われます。

支給コードを固定額の 100 EUR と定義するとします。受給者には、さらに 50 EUR を支給したいとします。管理者はポジティブ入力ページでアクション タイプを [追加] にして追加の 50 EUR を入力します。定義金額 100 EUR が処理され、さらに追加金額 50 EUR が変換されます。その結果、受給者は 150 EUR を受け取ります。

処理しない

アクション タイプが [処理しない] のポジティブ入力を作成すると、カレンダー計算時に受給者に対してそのエレメントは処理されません。結果テーブルに結果は書き込まれません。

[処理しない] の指示は、カレンダー ID 上書き詳細ページで終了日を入力しない限り、手動、自動作成にかかわらず、カレンダーの全てのセグメントやスライス内のエレメントに対するポジティブ入力の全インスタンスに適用されます。終了日を入力すると、同じスライスやセグメント内のインスタンスへの指示を限定できます。

たとえば、インスタンス 1 のアクション タイプが [処理しない] で、同じエレメントのインスタンス 2 のアクション タイプが [上書き] であるとします。インスタンス 1 に終了日を入力しない場合、[処理しない] の指示は両方のインスタンスに適用され、どちらも処理されません。

ゼロにする

アクション タイプが [ゼロにする] のポジティブ入力を作成すると、値が 0 の支給または控除のインスタンスが変換されます。

[処理しない] とは異なり、[ゼロにする] の場合は結果テーブルに 0 の金額を書き込み、給与明細の金額としてゼロが使用できるようになります。また、[ゼロにする] を選択しても他のインスタンスには影響しません。

アクション タイプが混在する場合のルール

1 つのセグメント内に複数のアクション タイプを持つポジティブ入力が存在する場合は、以下のルールが適用されます。

  • ポジティブ入力が [追加][上書き] アクション タイプの組み合わせである場合は、上書き入力が存在するのでエレメント定義は変換されません。

    その代わりに、[上書き][追加] という順序 (階層: まずアクション タイプが [上書き] の入力、次にアクション タイプが [追加] の入力) でこれらのアクション タイプの全てのポジティブ入力が処理されます。

    E3 が固定額 100 USD であると仮定します。アクション タイプが [追加] で 30 USD のインスタンス 1 と、アクション タイプが [上書き] で 200 USD のインスタンス 2 という、2 つのポジティブ入力を作成します。

    アクション タイプが競合しているように見えますが、アクション タイプが入力された順序は関係なく両方の入力が処理されます。アクション タイプが [上書き] の入力がまず処理され、支給/控除結果テーブルに 200 USD の行が作成されます。次に、アクション タイプが [追加] の入力が処理され、支給/控除結果テーブルに 30 USD の行が作成されます。

    結果として、支給/控除結果テーブルには 2 行が追加され、受給者は E3 について 230 USD を受け取ります。エレメント自体の定義は、ルール定義に基づいて変換されません。

  • アクション タイプの組み合わせとは無関係に、アクション タイプが [処理しない] の入力があると、そのセグメントのその他のポジティブ入力は常に [処理しない] で上書きされます。

    言い換えると、このエレメントについては何も処理されません。[処理しない] の値は、全てのアクション タイプより優先されます。

  • アクション タイプ [ゼロにする] は、現在のポジティブ入力インスタンスにのみ影響します。

    アクション タイプ [上書き]、[追加]、および [ゼロにする] を組み合わせた場合、全てのエントリが処理されます。

    E4 が固定額 500 USD であると仮定します。次の属性を持つ 3 つのポジティブ入力を作成します。

    • アクション タイプが [上書き] で 700 USD。

    • アクション タイプが [ゼロにする]

    • アクション タイプが [追加] で 300 USD。

      最終の結果として、3 つ全てのポジティブ入力が処理され、支給/控除結果テーブルに 3 行 (インスタンス) が書き込まれ、受給者は E4 について 1000 USD を受け取ります。エレメント自体の定義は変換されません。また、結果額が 0 の行が作成されます。

カレンダー支給期間に期間分割やエレメント分割がある場合、ポジティブ入力は比例配分されません。ポジティブ入力は、インスタンスの終了日に基づいて、1 つのセグメントまたはスライスに割り当てられます。

  • 終了日がカレンダー期間開始日の前になる場合、インスタンスは支給期間の最初のセグメントかスライスに割り当てられます (次の図のインスタンス 1 を参照)。

  • 終了日がカレンダー期間内にある場合、インスタンスはその期間内のセグメントかスライスに割り当てられます (次の図のインスタンス 2 を参照)。

  • 終了日が指定されていないとき、インスタンスは支給期間の最後のセグメントかスライスに割り当てられます。

    この場合、カレンダーとインスタンスの終了日が同じと見なされます (次の図のインスタンス 3 を参照)。例外として、"処理しない" の指示を入力すると、エレメントが変換されるのを防ぐことができます。終了日についての指示を入力しないでこの設定を行った場合、エレメントはどのスライスまたはセグメントにおいても変換されません。

  • 終了日が支給期間終了日の後になる場合、インスタンスは処理されません (次の図のインスタンス 4 を参照)。

画像: 終了日を基準にセグメントとスライスに割り当てられるインスタンス

次の図は、終了日を基準にセグメントとスライスに割り当てられるインスタンスを示しています

終了日を基準にセグメントとスライスに割り当てられるインスタンス

例 1: ポジティブ入力に与える期間分割の影響

1 月の給与計算を処理しているとします。1 月 16 日に、受給者が昇進した結果、期間分割が発生しました (2 つの総額/純額に分割)。これとは無関係のトランザクションで、この受給者に対し開始日 1 月 20 日、終了日 1 月 21 日の支給エレメントのポジティブ入力を行いました。ポジティブ入力の終了日がセグメント 2 の中にあるので、セグメント 2 の中でのみ処理されます。セグメント 1 では、支給エレメントが通常どおり処理され、ポジティブ入力による影響を受けません。

セグメント 1

1 月 1 日から 15 日

セグメント 2

1 月 16 日から 31 日

エレメントは通常どおり処理されます。

ポジティブ入力が処理されます。

例 2: ポジティブ入力に与えるエレメント分割の影響

1 月の給与計算を処理しているとします。1 月 16 日に受給者の給与レートが変更になったために、エレメント分割 (スライス) が発生しました。この受給者に対し開始日 1 月 20 日、終了日 1 月 21 日のポジティブ入力を行いました。ポジティブ入力の終了日がスライス 2 の中にあるので、ポジティブ入力がそのスライスに割り当てられます。エレメントはスライス 1 では処理されません。つまり、ポジティブ入力はエレメントの分割を上書きします。(スライス日は、まだ累計と関連しています。)

スライス 1

1 月 1 日から 15 日

スライス 2

1 月 16 日から 31 日

エレメントについて入力されたポジティブ入力は処理されません

ポジティブ入力が処理されます。

注: この例は重要なことを示しています。つまり、エレメントがスライスされていて、あるスライスを対象とした上書きのポジティブ入力が、同じ分割内の別のスライスを対象にしていない場合、エレメントは上書きの対象となるスライスでのみ、上書き値を使用して変換されるということです。それ以外のスライスでエレメントの変換が行われることはありません。これは、ポジティブ入力は単一のスライスではなく、セグメント全体でエレメントの通常変換を上書きするからです。

例 3: 給与計算に与えるエレメント分割の影響

スライスおよびセグメントにポジティブ入力を割り当てるルールは、給与計算にも影響を与える可能性があります。

(総額) = (支給 1) + (支給 2) であるとします。ポジティブ入力または分割がない場合、エレメントの値は以下のようになります。

エレメント

分割を伴わないエレメント値

支給 1

3000

支給 2

900

総額

3900

10% × 総額

税 = 390 (10% × 3900)

6 月 10 日、税率が 20% に引き上げられたので、エレメント分割が発生しました。分割イベント定義には支給 1、支給 2、および税が含まれます。

エレメント分割 (ポジティブ入力なし) により、各エレメントの値は次のとおりになっています (支給 1 と支給 2 が比例配分されたと仮定)。

エレメント名

スライス 1

6 月 1 日から 10 日

スライス 2

6 月 11 日から 30 日

支給 1

1000

2000

支給 2

300

600

総額

1300

2600

10% × 総額

20% × 総額

税 = 650 ((10% × 1300) +(20% × 2600))

ポジティブ入力のインスタンスを入力すると、次の結果になります。

エレメント

金額

開始日

終了日

支給 1

3300

6 月 2 日

6 月 8 日

ポジティブ入力が終了日に基づき該当のスライスに割り当てられます。インスタンスの終了日がスライス 1 の中にあるので、支給 1 のポジティブ入力はスライス 1 で変換され、そのエレメントの標準計算が上書きされます。さらに、エレメントのポジティブ入力は同じ分割内の全てのスライスの通常変換を上書きするため、支給 1 はスライス 2 で変換されません。

ポジティブ入力およびエレメントの分割がある場合、エレメントの値は次のようになります。

エレメント名

スライス 1

6 月 1 日から 10 日

スライス 2

6 月 11 日から 20 日

支給 1

3300

0

支給 2

300

600

総額

3600

600

10% × 総額

20% × 総額

税 = 480 ((10% × 3600) + (20% × 600))

ポジティブ入力のインスタンスが、今度は以下に示すような開始日と終了日を持っていたとすると、入力はスライス 2 に割り当てられ、20% の税が課され 3300 となります。

エレメント

金額

開始日

終了日

支給 1

3300

6 月 8 日

6 月 12 日

次に、エレメントの値は次のようになります。

エレメント名

スライス 1

6 月 1 日から 10 日

スライス 2

6 月 11 日から 20 日

支給 1

0

3300

支給 2

300

600

総額

300

3900

10% × 総額

20% × 総額

税 = 810 ((10% × 300) + (20% × 3900))

税額は、スライス 1 に割り当てられたインスタンスの場合は 660 ですが、ここでは 1080 になります。ポジティブ入力がどのスライスやセグメントに割り当てられるかによって給与計算に大きな影響を与えることになります。

注: この例は重要なことを示しています。つまり、エレメントがスライスされていて、あるスライスを対象とした上書きのポジティブ入力が、同じ分割内の別のスライスを対象にしていない場合、エレメントは上書きの対象となるスライスでのみ、上書き値を使用して変換されるということです。それ以外のスライスでエレメントの変換が行われることはありません。これは、ポジティブ入力は単一のスライスではなく、セグメント全体でエレメントの通常変換を上書きするからです。

このトピックでは、バッチ処理でポジティブ入力がどのように扱われるかを説明します。

未処理のポジティブ入力

全てのポジティブ入力の処理が終わらなくてもカレンダーを最終決定できます。たとえば、受給者に 10 ユニットのポジティブ入力があり、計算フェーズを実行後、そのユニットを 12 に変更すると、(ユニット フィールドが反復トリガを作成するように設定されている場合) 反復トリガが作成されます。計算フェーズを再実行しない場合は、10 ユニットだけが処理されます。ただし、遡及処理を実行すれば、12 ユニットが全て処理されます (ユニット フィールドが遡及トリガも作成するように設定されている場合)。

延滞回収

アクション タイプが [上書き] のポジティブ入力インスタンスが存在する場合、延滞回収金額が決定され、最初のポジティブ入力インスタンスに追加されます。エレメントが現在の期間中に 1 セグメントあたり複数回変換される場合は、延滞回収金額を適用する際に次の階層が参照されます。

  1. エレメントの通常変換。

  2. エレメントの上書き変換。

  3. エレメントのその他の変換。

ポジティブ入力のタイプが [追加] のインスタンスのみ存在する ([上書き] などのその他のアクション タイプはなし) 場合、エレメントの通常変換に基づいた最初の計算に延滞回収が適用されます。エレメントの後続のその他の変換には追加されません。アクション タイプ [上書き][追加] が混在している場合、延滞回収金額はエレメントの上書き変換に適用されます。最後に、エレメントの通常変換が存在せず、エレメントの上書き変換も存在しない場合は、延滞回収はエレメントのその他の変換に適用されます。延滞回収金額は 1 度だけ適用されるようにしてください。

周期換算、端数処理、および比例配分

ポジティブ入力で入力した数値のコンポーネントや金額には周期換算、端数処理、および比例配分は適用されません。ポジティブ入力で入力されなかったコンポーネントの場合は、エレメント定義に基づき通常のルール処理が行われます。

バッチ処理によるポジティブ入力の保存方法

手動で行ったポジティブ入力は、自動で作成されたポジティブ入力とは別のレコードで管理されます。ただし、処理中に対象と見なされた全てのポジティブ入力は、そのソースにかかわらず、同じ出力のレコード (GP_RSLT_PI_DATA) に保存されます。2 次のレコード (GP_RSLT_PI_SOVR) には、手動で入力した、または勤務管理から取得した部門、職務コードなどサポート エレメントのデータが保存されます。

各インスタンスに対して、1 行のデータが出力テーブルに書き込まれます。入力がバンドルされた場合は、そのバンドル全体に対して 1 行のデータが出力テーブルに書き込まれます。それぞれの入力に個別のインスタンス番号が割り当てられた場合、それぞれの入力に対して 1 行のデータが出力テーブルに書き込まれます。

出力テーブルに保存されたインスタンス番号によって、それぞれの入力に処理結果をリンクできます。自動生成されるソース コード (PI_Source) は、休暇欠勤、ポジティブ入力作成セクション、手動、または勤務管理など、入力ソースを表します。