分割の設定について
分割 (Segmentation) とは、プロセス リストに含まれる全て (または一部) のエレメントについて個別のスライスまたはセグメントごとに計算するプロセスです。支給期間中の給与変更や従業員のステータス変更などのイベントに基づき、給与コンポーネントを分割することができます。たとえば、支給期間中に従業員の職務に変更が発生し、組織では職務別に支給を分割するという方法を使用している場合は、PeopleSoft HR で職務変更の [異動区分/理由] フィールドが変更されたときに、給与明細の支給結果を分割する処理が行われるように設定できます。
このトピックでは、次について説明します。
分割のタイプ。
期間、セグメント、スライスにおける開始日と終了日の関係。
エレメント変換の基本ルール。
有効日によるエレメント定義。
累計と累計メンバーのスライスに関するルール。
親エレメントと子エレメントの変換のルール。
分割と受給者上書き。
比例配分と分割。
遡及処理と分割。
分割を伴うポジティブ入力。
分割システム エレメント。
このトピックでは、次について説明します。
分割のタイプ。
分割エレメントの選択。
分割のタイプ
グローバル ペイロールでは、以下の 2 つの分割タイプが用意されています。
期間分割
給与レートなどのデータが期間の中間で変更されたため、プロセス リストに登録されている全てのエレメントをその変更日の前後で複数回計算する必要がある場合に、この分割タイプが実行されます。支給期間を 2 つ以上の独立したセグメントに分割し、各セグメントを完全に別の給与計算として処理します。プロセス リスト内のそれぞれのエレメントがセグメントごとに計算されるので、複数の総額/純額処理、給与明細、受給者処理ステータス レコードが存在することになります。別の期間スライスで有効だったコンポーネントを使って、各エレメントが計算されます。
エレメント分割
データが期間の中間で変更されたため、影響を受けたエレメント (および他のエレメントのサブセット) をその変更日の前後で複数回計算する必要があるときに、この分割タイプが実行されます。(それぞれのサブ期間をスライスといいます。)選択したエレメントのみが分割され、指定したエレメントに対してのみ結果の行がそれぞれ作成されます。エレメント分割では、総額/純額結果は 1 セットだけです。
分割エレメントの選択
期間分割では、プロセス リストの全てのエレメントが自動的に分割されます。エレメント分割の場合は、スライス対象のエレメントをプロセス リストから選択する必要があります。この指定を行うには、分割イベント定義ページを使って、分割対象のエレメントをエレメント リストに登録します。
支給期間ごとに、開始日と終了日が次のように設定されます。
期間
支給期間 (毎月、隔週、または毎週) を使用して、受給者の支給がグループ化および計算されます。それぞれの期間には開始日と終了日があり、スライスや分割が可能です。
セグメント
通常の支給期間を構成するサブ期間で、期間分割の結果として作成されます。セグメントはその期間のエレメント全ての総額/純額計算を個別に表し、それぞれ開始日と終了日があります。各エレメントは、サブ期間内でスライスできます。
スライス
エレメント分割の結果として分割された期間を表します。セグメントや期間とは異なり、スライスは個別の総額/純額プロセスを表しません。これは、スライスが期間またはセグメント内の限られたエレメントにしか影響を及ぼさないためです。セグメントと同様、開始日と終了日があります。
期間がスライスまたは分割されるかに関係なく、給与計算が処理されるたびに 3 セット (期間、セグメント、およびスライス) の日付が全て作成されます。期間、セグメント、およびスライスの開始日と終了日は、その期間の出力結果テーブルに保存され、他の計算でもシステム計算エレメントとして使用可能です。
例 1: 分割されていない期間
期間が分割されていないので、期間の数は、セグメントおよびスライスの数と一致します。期間、セグメントおよびスライスの開始日と終了日は全て同じです。
画像: 分割されていない期間
次の図は、期間が分割されない場合について、期間、セグメント、およびスライスの開始日と終了日の関係を示しています。

例 2: 分割された期間
画像: 分割された期間
次の図では、期間が 2 つのセグメントに分割され、セグメント 1 にスライスされたエレメントがあります。

このトピックでは、期間分割とエレメント分割について、エレメント変換の基本ルールを説明します。
期間分割を使用した場合
期間分割を使用すると、全てのエレメントがセグメントごとに 1 回変換されます。
エレメント分割を使用した場合
エレメント分割を使用すると、以下のように処理されます。
主要エレメントは、エレメントのスライスが設定されている場合に限り、スライスごとに 1 回変換されます。
サポート エレメントは、エレメントのスライスが設定されている場合に限り、スライスごとに 1 回変換されます。
サポート エレメントは、スライスされるように定義されているエレメントの構成要素である場合にも、各スライスで変換されます。たとえば、支給エレメント E1 をスライスするとします。このエレメントが、勤続年数を算出するデュレーション エレメント (サポート エレメント) を使用している場合、支給 E1 の値は、デュレーション エレメントから返される年数に基づいて計算されます。デュレーション エレメントは E1 の構成要素であるため、E1 を変換するたびに変換されます。
注: スライス対象のエレメントを定義するには、分割イベント定義ページを使用します。
期間分割の例
期間分割では、セグメントごとに全てのエレメントが 1 回計算され、複数の総額/純額結果セットが実行されます。
次の表は、エレメント、その計算ルールおよび対応する期間分割ルールを示したものです。
エレメント |
計算ルール |
ベース |
% |
比例配分 |
---|---|---|---|---|
E1 (基本給与) |
金額 |
該当なし |
該当なし |
はい |
E2 |
ベース × パーセント |
E1 |
10% |
いいえ |
D1 (控除) |
ベース × パーセント |
A1 |
10% |
いいえ |
A1 (累計) |
E1 + E2 |
該当なし |
該当なし |
該当なし |
E1 は基本給与を表し、E1 の値が 9 月 16 日に 10,000 から 20,000 に増えたことで支給期間 9 月の分割処理が起動され、2 等分されたとします。このシナリオについて説明すると、次の表のようになります。
エレメント |
セグメント 1: 9 月 1 日から 9 月 15 日 |
セグメント 2: 9 月 16 日から 9 月 30 日 |
---|---|---|
E1 (基本給与) |
10,000 × ½ = 5,000 |
20,000× ½ = 10,000 |
E2 |
セグメント 1 の E1 × 10% = (5,000 × 10%) = 500 |
セグメント 2 の E1 × 10% = (10,000 × 10%) = 1,000 |
A1 |
セグメント 1 の E1 と E2 の合計 = (5,000 +500) = 5,500 |
セグメント 2 の E1 と E2 の合計 = (10,000 1,000) = 11,000 |
D1 (控除) |
セグメント 1 の A1 × 10% = 550 |
セグメント 2 の A1 × 10% = 1,100 |
純支給額 |
セグメント 1 の純支給額 = 4,950 |
セグメント 2 の純支給額 = 9,900 |
この例では、プロセス リストのエレメントが全て分割され、2 つの総額/純額計算がそれぞれ実行されます。
エレメント分割の例
エレメント分割を実行すると、エレメント リストに含まれているエレメントのみがスライスされます。1 つの総額/純額結果セットのみ作成され、セグメントまたは期間内のスライスされたエレメントが含まれます。
次の表は、エレメント、その計算ルールおよび対応するエレメント分割ルールを示したものです。
エレメント |
計算ルール |
ベース |
% |
分割対象のエレメント リストへの登録 |
比例配分 |
---|---|---|---|---|---|
E1 (基本給与) |
金額 |
該当なし |
該当なし |
はい |
はい |
E2 |
ベース × パーセント |
E1 |
10% |
いいえ |
いいえ |
D1 (控除) |
ベース × パーセント |
A1 |
10% |
いいえ |
いいえ |
A1 (累計) |
E1 + E2 |
該当なし |
該当なし |
いいえ |
該当なし |
E1 は基本給与を表し、E1 の値が 9 月 16 日に 10,000 から 20,000 に増えたことでエレメント E1 のスライス処理が起動され、2 つに等分されたとします。スライスが定義されているエレメントは E1 のみです。このシナリオについて説明すると、次の表のようになります。
エレメント |
スライス 1: 9 月 1 日から 9 月 15 日 |
スライス 2: 9 月 16 日から 9 月 30 日 |
---|---|---|
E1 (基本給与) |
10,000 × ½ = 5,000 |
20,000 × ½ = 10,000 |
E2 |
E1 の合計 × 10% = (5,000 + 10,000) × 10% = 1,500 |
|
A1 (累計) |
E1 と E2 の合計 = (15,000 + 1,500) = 16,500 |
|
D1 (控除) |
A1 × 10% = (16,500 × 10%) = 1, 650 |
|
純支給額 |
14,850 |
E1 は 9 月 16 日に一度スライスされ、その結果 E1 に対して 2 つの計算が発生し、各スライスにつき 1 回計算が実行されます。総額/純額処理は 1 回のみで、純支給額エレメントは、各スライスの E1 と E2 の合計から D1 (控除) を差し引いた額を表しています。
有効日で管理された全てのエレメントには、[定義の指定日] フィールドがあります。このフィールドで、エレメント定義を検索するときに使用する有効日が付いた行を指定します。オプションには、カレンダー期間開始日、カレンダー期間終了日、支給日などがあります。
期間内の全てのセグメントとスライスに対する定義の指定日には、同じ値が使用されます。
このトピックでは、累計と累計メンバーのスライスに関するルールについて説明します。
期間分割を使用した場合
期間分割の場合、エレメントとサポート エレメントは全て例外なく分割されます。エレメントは分割されても、そのエレメントが属している累計は分割されないということはありません。
エレメント分割を使用した場合
累計メンバーをスライスしても、累計はスライスされませんが、累計をスライスすると、メンバーのエレメントは全てスライスされます。
ドライバとして使用する累計のスライス ルールについては、支給と控除の複数変換について説明しているトピックを参照してください。
エレメントが他のエレメントで構成されている (または他のエレメントに基づいている) 場合、構成要素であるエレメントは "子エレメント"、子エレメントに基づくエレメントは "親エレメント" として定義されます。エレメントおよびサポート エレメントは、親と子のどちらにもなり得ます。
たとえば、税 A は、支給 E1 と支給 E2 に税率を掛けて求めた値であるとします (税 A = 10% × (E1 + E2))。この場合は、税 A が "親"、E1 と E2 が "子" になります。子エレメントおよび親エレメントの概念は、他のエレメントに基づくエレメントの変換方法を理解するうえで重要です。
スライスとセグメントの一致と不一致
期間分割では、全てのエレメントが均等に分割されるため、親エレメントと子エレメントが常に一致します。
エレメント分割の場合は、親エレメントと子エレメントを均等にスライスできますが、どちらかのエレメントを多くスライスすることも可能です。たとえば、親エレメントが分割対象のエレメント リストに含まれていても、子エレメントは含まれていない場合があります。親エレメントと子エレメントのスライスが同じ場合は、親子が "一致している" とされ、親子のスライスが異なる場合は、親子が "不一致である" とされます。
グローバル ペイロールでは、一定のルールに従って一致エレメントと不一致エレメントが処理されます。このルールについては、次の例で説明します。
例 1 - 7: 親エレメントが主要エレメントまたはサポート エレメントの場合
ここで説明するケースでは、以下のエレメントが使用されています。
支給 E1 = F1 (サポート エレメント) のパーセント。
支給 E3 = E2 (主要エレメント) のパーセント。
F1 = 100 (サポート エレメント)。
E2 = 100 (主要エレメント)。
次の表は、このトピックで挙げる例をまとめたものです。表の"一致する/しない" 列からもわかるように、これらの例では親子のスライスは必ずしも一致していません。
ケース番号 |
親の処理 |
子の処理 |
子のタイプ |
一致する/しない |
処理ルール |
---|---|---|---|---|---|
1 |
スライスされる |
スライスされない |
主要エレメント (E2) |
一致しない |
親の各スライスに対し子の値を使用。 |
2 |
スライスされる |
スライスされる |
主要エレメント (E2) |
一致する |
親の各スライスに対し子のスライス値を使用。 |
3 |
スライスされる |
スライスされる |
主要エレメント (E2) |
部分一致 子のスライスの方が多い |
親のスライスに一致する子の各スライスの値を合計。 |
4 |
スライスされる |
スライスされる |
主要エレメント (E2) |
部分一致 子のスライスの方が少ない |
日付が一致する子のスライス値を使用。日付が一致しない場合は、子の全スライスの値を合計。間違った値が返される場合があります。 |
5 |
スライスされる |
スライスされる |
主要エレメント (E2) |
一致しない |
子の全スライスの値を合計。間違った値が返される場合があります。 |
6 |
スライスされない |
スライスされる |
主要エレメント (E2) |
一致しない |
子の値を合計。 |
7 |
スライスされる |
スライスされない |
サポート エレメント (F1) |
該当なし。 子がサポート エレメントの場合は、一致でも不一致でも影響ありません。 |
親の各スライスに対し子の値を変換。 (ケースの詳細説明の後の注記を参照。) |
注: 次の例では、比例配分を行った場合と、行わなかった場合の結果が示されています。かっこ内の値が比例配分された金額です。
ケース 1
前提:
E2 (主要エレメント) = 100
E3 (主要エレメント) = E2 の 10%
E3 の比例配分
シナリオ: 親はスライスされますが、子はスライスされません。子は主要エレメントです。
E3 (親) には、次の 2 つのスライスがあります。
スライス 1: 100 (50) の 10%
スライス 2: 100 (50) の 10%
E2 (子) には、値が 100 のスライスが 1 つあります。
E3 の各スライスには子 (E2) の値がそのまま使用されます。そのため、受給者メッセージ コンポーネントに警告メッセージが表示されます。
ケース 2
前提:
E2 (主要エレメント) = 100
E3 (主要エレメント) = E2 の 10%
E2 の比例配分
シナリオ: 親も子もスライスされます。子は主要エレメントです。
E3 (親) には、次の 2 つのスライスがあります。
スライス 1: 100 (50) の 10%
スライス 2: 100 (50) の 10%
E2 (子) には、次の 2 つのスライスがあります。
スライス 1: 100 (50)
スライス 2: 100 (50)
親のスライス日が子のスライス日と同じ場合、親には子の値が使用されます。スライス日が一致しても、子に対して比例配分されないと、結果が間違っている場合があります。
ケース 3
前提:
E2 (主要エレメント) = 100
E3 (主要エレメント) = E2 の 10%
E2 の比例配分
シナリオ: 親も子もスライスされますが、子の方が多くスライスされます。スライスは部分的に一致します。子は主要エレメントです。
E3 (親) には、次の 2 つのスライスがあります。
スライス 1: 100 (33.33) の 10%
スライス 2: 200 (33.33 + 33.34) の 10%
E2 (子) には、次の 3 つのスライスがあります。
スライス 1: 100 (33.33)
スライス 2: 100 (33.33)
スライス 3: 100 (33.34)
親と子のスライス 1 が一致するため、子のスライス (この例ではスライス 1) が合計されます。E3 (親) の 2 番目のスライスでは、E2 (子) のスライス 2 とスライス 3 が合計されます。スライス 2 の開始日とスライス 3 の終了日が E3 (親) のスライス 2 と一致するためです。このシナリオでは、受給者メッセージ コンポーネントに警告メッセージが表示されます。
ケース 4
前提:
E2 (主要エレメント) = 100
E3 (主要エレメント) = E2 の 10%
E2 の比例配分
シナリオ: 親も子もスライスされますが、子の方が少なくスライスされます。スライスは部分的に一致します。子は主要エレメントです。
E3 (親) には、次の 3 つのスライスがあります。
スライス 1: 100 (33.33) の 10%
スライス 2: 200 (66.67) の 10%
スライス 3: 200 (66.67) の 10%
E2 (子) には、次の 2 つのスライスがあります。
スライス 1: 100 (33.33)
スライス 2: 100 (66.67)
通常、子が主要エレメントである場合は、親と同じスライス対象エレメント リストに登録されている必要があります。このようにすることで、子と親のスライスが一致します。親子が同一のリストに登録されていないと、上記のシナリオが発生する可能性があり、このようなシナリオは回避する必要があります。
変換は 2 回実行されます。親と子のスライス 1 のように完全に一致すると、子の値が使用されます。親または子に比例配分が設定されている場合は、正しい結果が得られます。親の 2 回目の変換では、子の変換値が全て合計されるので (この例では 200)、超過した額が算出されます。これは、親と子のスライス日が一致しないために起こります。比例配分が設定されていても、子の額は超過します (かっこ内の額を参照)。
ケース 5
前提:
E2 (主要エレメント) = 100
E3 (主要エレメント) = E2 の 10%
E2 の比例配分
親はスライスされます。子はスライスされます。スライス日は一致しません。子は主要エレメントです。
E3 (親) には、次の 2 つのスライスがあります。
スライス 1: 300 (100) の 10%
スライス 2: 300 (100) の 10%
E2 (子) には、次の 3 つのスライスがあります。
スライス 1: 300 (100)
スライス 2: 300 (100)
スライス 3: (100)
通常、子が主要エレメントである場合は、親と同じスライス対象エレメント リストに登録されている必要があります。このようにすることで、子と親のスライスが一致します。親子が同一のリストに登録されていないと、上記のシナリオが発生する可能性があり、このようなシナリオは回避する必要があります。
ケース 5 の 2 番目の変換のように、親のスライス日が子のスライス日のどれとも一致しない場合は、親の各変換に対して子のスライス値全てが合計されます。そのため、受給者メッセージ コンポーネントに警告メッセージが表示されます。
ケース 6
前提:
E2 (主要エレメント) = 100
E3 (主要エレメント) = E2 の 10%
E2 の比例配分
親はスライスされません。子はスライスされます。スライス日は一致しません。(スライス日は親に適用されません。)子は主要エレメントです。
E3 (親) には、値が 200 (100) の 10% のスライスが 1 つあります
E2 (子) には、次の 2 つのスライスがあります。
スライス 1: 200 (100)
スライス 2: 200 (100)
親はスライスされずに子がスライスされる場合、子が主要エレメントであれば、親エレメントの変換では子の変換値が全て合計されます。そのため、受給者メッセージ コンポーネントに警告メッセージが表示されます。
ケース 7
前提:
E1 (主要エレメント) = F1 の 10%
F1 (サポート エレメント) = 100
E1 の比例配分
親はスライスされます。子はスライスされません。子はサポート エレメントです。
E1 (親) には、次の 2 つのスライスがあります。
スライス 1: 100 (50) の 10%
スライス 2: 100 (50) の 10%
F1 (子) には、次の 2 つのスライスがあります。
スライス 1: 100
スライス 2: 100
E1 のスライス 1 によって、スライス 1 の期間について子が変換されます。F1 がスライスされるのは、F1 はサポート エレメントであり子であることから、親の各スライスに対して変換されるためです。
注: サポート エレメントをアレイ、ブラケットまたはフォーミュラにロードする場合は、アレイ エレメント、ブラケット エレメントまたはフォーミュラ エレメントを親と同じスライス対象エレメント リストに登録する必要があります。(スライス対象エレメント リストを定義するは、このトピックで説明されている分割イベント定義ページの [エレメント リスト] グリッドを使用します。)
システム作成の警告メッセージ
支給計算では、子エレメントが主要エレメントで、そのスライス日が親のスライス日と一致していないと、以下のような場合には警告メッセージが表示されます。
親はスライスされます。子はスライスされません (ケース 1 参照)。
親はスライスされます。子はスライスされます。親のスライス日が子のスライス日と一致しません (ケース 3、4、5 参照)。
親はスライスされません。子はスライスされます (ケース 6 参照)。
子エレメントが累計である場合、累計のスライス日が親のスライス日と一致しないときは必ず警告メッセージが表示されます。
メッセージは、受給者メッセージ コンポーネントに表示されます。
以下の 2 種類の上書きを受給者レベルで定義することができます。
主要エレメントの上書き。
サポート エレメントの上書き。
どちらの上書きも受給者レベルの上書きと呼ばれ、同一の基本ルールに従って、分割された期間および非分割の期間に適用されます。一般的に、支給期間が期間分割またはエレメント分割されている場合は、セグメント終了日と上書きの終了日に基づいて、受給者上書きがセグメントに適用されます。その場合のルールを以下に説明します。受給者レベルにおける主要エレメントの上書きとサポート エレメントの上書きでは、同じルールが適用されるため、ここでは主要エレメントの上書きについてのみ説明します。この 2 種類の上書きに若干の相違点がある場合は、以下の例で明確にしていきます。
受給者レベルで上書きを適用する場合のルールは、以下のとおりです。
主要エレメントの上書きは、支給、控除、および休暇付与、休暇取得の各エレメントに適用されます。上書きには開始日が必要です。終了日は必要ありません。
サポート エレメントの上書きは、変数、フォーミュラ、アレイ、ブラケットなどのエレメントに適用されます。
上書きをセグメントに適用する場合は、上書きの終了日がセグメントまたはスライスの終了日と同じか、それ以降の日付 (または空白) である必要があります (下図の上書き 3 および 4 を参照)
上書きの終了日が、あるセグメントまたはスライスの終了日よりも後の日付で、次のセグメントまたはスライスの終了日と同じか後の日付である場合は、1 つの上書きを複数のセグメントに適用できます (下図の上書き 3 を参照)。
上書きの終了日が、セグメントまたはスライスの終了日よりも前の日付である場合、上書きはそのセグメントには適用されません (下図の上書き 1 および 2 を参照)。
主要エレメントの上書きは、そのエレメントが比例配分するように定義されている場合、比例配分されます。
サポート エレメントの上書きの場合は、そのサポート エレメントが比例配分するように定義されたエレメントのコンポーネントで、そのエレメントが分割される場合、比例配分されます。
セグメント上書きはセグメントまたはスライスの終了日時点でアクティブにする必要があります。
画像: 主要エレメントの上書き
次の図は、主要エレメントの上書きの例を示したものです。

上書き 1 と上書き 2 は、それぞれの終了日がセグメント 1 および 2 の終了日よりも前の日付なので、どちらのセグメントにも適用されません。
上書き 3 は、その終了日が最初のセグメントの終了日よりも後の日付であり、2 番目のセグメントの終了日以降であるため、セグメント 1 および 2 のどちらにも適用されます。
上書き 4 は、その終了日がセグメント 1 の終了日以降の日付で、セグメント 2 の終了日より前の日付であるため、セグメント 1 にのみ適用されます。
上書き 5 は、その終了日がセグメント 2 の終了日と同じ日付であり、開始日がセグメント 1 の終了日よりも後の日付であるため、セグメント 2 に適用されます。
以下の例では、分割された期間および分割されていない期間において受給者上書きがどのように適用されるかをさらに詳しく説明します。
シナリオ: 2 人の受給者には、支給エレメント (E1) を受け取る資格があり、その値は 100 です。1 月の支給期間において、受給者 1 に対しては分割がなく、受給者 2 に対しては期間分割が実行されるとします。受給者 2 のセグメントは、2005 年 1 月 1 日から 2005 年 1 月 15 日と 2005 年 1 月 16 日から 2005 年 1 月 31 日です。また、両方の受給者は同じサポート エレメント上書きを持ち、処理された支給期間は 2005 年 1 月 1 日から 2005 年 1 月 31 日です。次の表で、主要エレメントの上書きがシステムによってどのように適用されるか、ケース別に説明します。
注: この例では、上書きは上書きと表記してあります。
ケース |
上書き開始日 |
上書き終了日 |
上書き値 |
受給者 1 の結果 |
受給者 2 の結果 |
理由 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 |
2000 年 1 月 1 日 |
2004 年 12 月 31 日 |
200 |
100 |
100 |
終了日が期間/セグメントの終了日より前の日付です。 |
2 |
2000 年 1 月 1 日 |
2005 年 1 月 5 日 |
200 |
100 |
100 |
終了日が期間/セグメントの終了日より前の日付です。 |
3 |
2005 年 1 月 1 日 |
2005 年 1 月 5 日 |
200 |
100 |
100 |
終了日が期間/セグメントの終了日より前の日付です。 |
5 |
2005 年 1 月 5 日 |
2005 年 1 月 20 日 |
200 |
100 |
S1=200 S2=100 |
受給者 2 の場合は、終了日がセグメント 1 の終了日よりも後の日付であるため、セグメント 1 に上書きが適用されます。 |
6 |
2005 年 1 月 20 日 |
2005 年 1 月 25 日 |
200 |
100 |
100 |
受給者 2 の場合は、上書きの開始日がセグメント 1 の終了日より後の日付で、終了日がセグメント 2 の終了日より前の日付であるため、どちらのセグメントにも適用されません。受給者 1 の場合は、上書きの終了日が期間の終了日より前の日付であるため、上書きは適用されません。 |
7 |
2005 年 1 月 5 日 |
2005 年 1 月 31 日 |
200 |
200 |
S1=200 S2=200 |
上書きの開始日がセグメント 1 の終了日よりも前の日付であり、上書きの終了日が両方のセグメントの終了日以降の日付であるため、どちらのセグメントにも適用されます。 |
8 |
2005 年 1 月 20 日 |
2005 年 2 月 1 日 |
200 |
200 |
S1=100 S2=200 |
受給者 2 の場合は、上書きの開始日がセグメント 1 の終了日よりも後の日付であるため、セグメント 1 には適用されません。 |
注: 上記の表では、期間分割を例として上書きの適用ルールが説明されていますが、同じ基本ルールがエレメント分割の場合にも適用されます。スライスされたエレメントが受給者レベルで上書きされる場合は、期間分割のセグメントへの適用と同様に、上書きがスライスに適用されます。
給与計算実行時に支給エレメント、控除エレメント、または休暇付与エレメントを分割するようにグローバル ペイロール システムを設定している場合、支給期間における勤務時間数や勤務日数の総数に対する各スライス/分割における勤務時間数や勤務日数などの係数に基づいて、これらのエレメントの比例配分を適用した計算結果を作成することもできます。そのためには、エレメント定義のページで、比例配分を適用する各支給エレメント、控除エレメント、または休暇付与エレメントと比例配分ルールを関連付ける必要があります。このようにすることで、分割やスライスが発生した場合に、エレメントが自動的に適切な比例配分係数を呼び出します。
このトピックでは、次について説明します。
比例配分を伴う分割。
比例配分を伴わない分割。
支給/控除割当の分割と比例配分。
比例配分を伴う分割
分割された支給エレメント、控除エレメントまたは周期ベースの休暇付与エレメントを比例配分するには、エレメント定義の一環として比例配分を指定します。
ただし、ルール自体はハード コードされていないため、分割処理で使用される比例配分ルールを定義する必要があります。一般的に、定義される比例配分ルールは、スライスまたはセグメントを表す分子と、支給期間全体を表す分母から成ります。
比例配分係数を構成する分母と分子をどのように定義するかはユーザーが決定できます。分子または分母には、次のエレメントをどれでも指定できます。
累計
カウント
期間
フォーミュラ
変数
注: 比例配分エレメントを定義すると、比例配分名ページの [常時再計算] チェック ボックスが自動的にオンになります。これにより、エレメント分割が行われる際には、比例配分係数が適切に計算されるようになります。
注: また、システム エレメント PRORATE を使用すると、分割が行われない場合にも支給エレメントまたは控除エレメントを比例配分できます。
「比例配分ルールの定義」、「支給 - 端数処理/比例配分ページ」を参照してください。
比例配分を伴わない分割
比例配分を伴わない分割を適用するには、[支給]、[控除] または [休暇付与] の各コンポーネントの端数処理/比例配分ページで [比例配分しない] オプションを選択します。
次の表に、比例配分を伴わない分割の例を示します。
エレメント |
計算ルール |
ベース |
% |
分割対象のエレメント リストへの登録 |
比例配分 |
---|---|---|---|---|---|
E1 (基本給与) |
金額 = 20,000 |
該当なし |
該当なし |
はい |
いいえ |
E2 |
ベース × パーセント |
E1 |
10% |
いいえ |
いいえ |
A1 (累計) |
E1 + E2 |
該当なし |
該当なし |
いいえ |
該当なし |
E3 |
ベース × パーセント |
A1 |
10% |
いいえ |
いいえ |
注: 比例配分を適用しないで期間を分割またはスライスすることはできますが、分割がなければエレメントを比例配分することはできません。
E1 は基本給与を表し、さらに E1 が支給期間の中間である 9 月 16 日にスライスされるとします。この例では、相互に関連しているエレメントのうち、比例配分されるように定義されているものはありません。このシナリオについて説明すると、次の表のようになります。
エレメント |
スライス 1: 9 月 1 日から 9 月 15 日 |
スライス 2: 9 月 16 日から 9 月 30 日 |
---|---|---|
E1 (基本給与) |
20,000 |
20,000 |
E2 |
(スライス 1 の E1 + スライス 2 の E1) × 10% = (20,000 + 20,000) × 10% = 4,000 |
|
A1 (累計) |
E1 (スライス 1 + スライス 2) と E2 の合計 = (40,000 + 4,000) = 44, 000 |
|
E3 |
A1 × 10% = (44,000 × 10%) = 4,400 |
E1 は比例配分されるよう定義されていないため、各スライス (スライス 1 とスライス 2) の E1 の値は 20,000 と誤って算出されます (各スライスの正しい値は 20,000 × ½)。このため、E2 の計算時に、各スライスの E1 が合計され 40,000 × 10% という値が算出される、というエラーがさらに発生します (正しい額は 20,000 × 10%)。同様に、A1 も 22,000 と変換される必要のあるところが 44,000 となります。また、A1 × 10% と定義されている E3 は、44,000 × 10% と変換され、4,400 が算出されます (正しくは 2,200)。
分割が自動的に比例配分を実行しない理由を理解することが重要です。たとえば、E2 が E1 のパーセントで、両方がスライスされる場合、E2 ではなく E1 が比例配分されます。
支給/控除割当の分割と比例配分
グローバル ペイロールでは、分割トリガは有効日が指定されているレコードでのみ定義できますが、例外が 1 つあります。つまり、開始日と終了日が指定されている支給/控除割り当てレコード GP_PYE_OVRD でも、分割トリガを定義することができます。このような例外がある目的は、受給者別エレメント割当コンポーネント (GP_ED_PYE) またはエレメント別受給者割当コンポーネント (GP_ED_ELEM) で支給または控除を受給者に割り当てて、割り当ての開始日が支給期間開始日よりも後の場合、または割り当ての終了日が支給期間終了日よりも前の場合 (あるいはその両方の場合) に、エレメントの分割と比例配分を実行できるようにすることです。計算結果に対して比例配分を適用する場合は、エレメント定義の一環として比例配分を指定します。
注: 受給者別エレメント割当コンポーネント (GP_ED_PYE) およびエレメント別受給者割当コンポーネント (GP_ED_ELEM) で、受給者に割り当てられる上書きの開始日と終了日に基づいて支給期間をスライスするように設定する手順は、標準的な分割設定とほぼ同じです。これについてはトリガの設定に関するトピックで詳しく説明しています。
「トリガについて」を参照してください。
イベントに応じて遡及トリガが作成されるとき、変更の有効日がグローバル ペイロールのトリガ発生テーブルに書き込まれます。この日付を使用して、以下のロジックに従い、クローズした期間を再計算するためにさかのぼる期間が決定されます。
遡及期間制限がない場合、遡及処理を起動する変更の有効日が取得され、その有効日が含まれている最初のカレンダー期間までさかのぼって、その期間全体とそれ以降全てについて計算されます。
遡及する変更の有効日が期間の中間にある場合、元の支給アイテムの再計算時に、自動的に期間が分割されたり、比例配分が実行されることはありません。これは、期間全体を再計算しようとするためです。
分割トリガは、将来の遡及処理で必要になる可能性があるため、アクティブのままになります。
受給者レベルの上書きと同様、ポジティブ入力によって、支給期間内のエレメントの値を上書きできます。また、受給者上書きのように、ポジティブ入力でも開始日と終了日が使用されます (ただし、ポジティブ入力の場合、開始日と終了日は省略可能)。たとえば、カレンダー支給期間に期間分割またはエレメント分割があるときは、インスタンスの終了日に基づいて、ポジティブ入力がセグメントまたはスライスに割り当てられます。受給者の上書きとは異なり、ポジティブ入力は 1 つのエレメントまたはスライスにのみ適用され、比例配分はされません。ポジティブ入力の割り当てに関連するその他のルールは以下のとおりです。
インスタンスの開始日と終了日が、カレンダー開始日よりも前の日付である場合、ポジティブ入力は最初のセグメントまたはスライスに割り当てられます。
インスタンスに開始日または終了日が指定されていない場合、そのインスタンスは支給期間の最後のセグメントまたはスライスに割り当てられます。
インスタンスの終了日とカレンダー終了日は同じであると想定されるためです。
次の表は、分割に使用できるシステム エレメントをまとめたものです。
システム エレメント |
説明 |
---|---|
FIRST ACT SEGMENT |
FIRST ACT SEGMENT (最初のアクティブ セグメント (値は Y と N)) は、処理対象のセグメントがカレンダー期間内で最初のアクティブ セグメントかどうかを表します。 |
FIRST SEGMENT |
FIRST SEGMENT (最初のセグメント (値は Y と N)) は、処理対象のセグメントがカレンダー期間内で最初のセグメントかどうかを表します。 |
LAST ACT SEGMENT |
LAST ACT SEGMENT (最後のアクティブ セグメント (値は Y と N)) は、処理対象のセグメントがカレンダー期間内で最後のアクティブ セグメントかどうかを表します。 |
LAST SEGMENT |
LAST SEGMENT (最後のセグメント (値は Y と N)) は、処理対象のセグメントがカレンダー期間内で最後のセグメントかどうかを表します。 |
SEGMENTATION-PRD |
SEGMENTATION-PRD は、処理対象のセグメントがカレンダー期間と同じであるかどうかを表します (期間分割が発生したかどうかを表します)。処理対象のセグメントがカレンダー期間と一致しない場合は 1 (true) を返し、カレンダー期間と一致する場合は 0 (false) を返します。 |
SEGMENTATION-ELEM |
SEGMENTATION-ELEM は、処理対象のスライスがカレンダー期間と同じであるかどうかを表します (エレメント分割が発生したかどうかを表します)。処理対象のスライスがカレンダー期間と一致しない場合は 1 (true) を返し、カレンダー期間と一致する場合は 0 (false) を返します。 |