上書きについて

このトピックでは、このトピックで使用する共通フィールドと以下の項目について説明します。

  • 上書きレベル。

  • 主要エレメントの上書き。

  • サポート エレメントの上書き。

  • 上書きに対する開始日および終了日のロジック。

  • エレメントの上書きと分割。

上書きを使用して、指定期間に対するエレメントの変換に使う値を制御します。給与計算または休暇欠勤処理を実行する際に、エレメントのルール定義が検索され、入力した上書きの指示が全て適用されます。

フィールドまたはコントロール

定義

エレメント定義上書き

主要エレメント (支給、控除、休暇取得、または休暇付与) の定義で使用されたブラケット、日付、デュレーション、フォーミュラ、または変数エレメントの値を上書きします。

支給カレンダー上書き

カレンダーから特定の支給、控除、および休暇欠勤エレメントを除外し、関連付けられたブラケット、日付、デュレーション、フォーミュラ、および変数エレメントの値を上書きできます。

支給元上書き支給グループ上書き

指定の支給元または支給グループにリンクされた受給者のエレメントを変換する際、ブラケット、日付、デュレーション、フォーミュラ、または変数エレメントの値を上書きします。

受給者上書き

受給者固有の上書きでは以下の 4 つのタイプの上書きが可能です。

  • 支給、控除、または休暇欠勤エレメントの割り当てまたは無効化。

  • 支給、控除、または休暇欠勤 (および控除に対する延滞回収金額) エレメントの定義の上書き。

  • 特定の支給または控除で使用される変数値の上書き。

  • 変換が発生するたびに行われる、ブラケット、日付、デュレーション、フォーミュラ、または変数エレメントの上書き。

ポジティブ入力上書き

ポジティブ入力インスタンスに対する支給、控除、または休暇欠勤エレメントの定義を上書きします。ポジティブ入力のインスタンスと関連付けられた、システムおよび変数エレメントを上書きできます。

エレメント使用上書き

エレメントの値が、アレイ、ブラケット、日付、またはフォーミュラ エレメントによって更新可能かどうかを制御します。

エレメントの上書き指示を入力する前に、エレメント名共通ページの [上書きレベル] グループ ボックスで適切なチェック ボックスをオンにして、上書きを許可するタイプを指定する必要があります。

サポート エレメントの上書きを可能にする場合は、エレメント名共通ページで [常時再計算] チェック ボックスをオフにします。この操作を行わない場合は、エレメントの変換には上書きの値ではなくエレメントの定義の値が使用されます。

注: 追加レベルの受給者カレンダー上書きがサポート エレメントに存在します (オフサイクル リクエスト コンポーネントを使用)。このレベルは、オフサイクル リクエストでのみ使用でき、定期カレンダーには展開されません。受給者カレンダー上書きページでサポート エレメント上書きを入力する前に、サポート エレメントのエレメント名共通ページにある [上書きレベル] グループ ボックスの [受給者] チェック ボックスと [カレンダー] チェック ボックスをオンにする必要があります。

追加支給の作成」を参照してください。

上書きレベルでは、支給、控除、休暇取得、および休暇付与の各エレメントの値を、システムの定める以下の適用順序に従って制御することができます。

  1. 受給者上書き。

    受給者レベルで、支給、控除、休暇欠勤のエレメントの割り当てまたは無効化を行ったり、各エレメントの定義を上書きします。

  2. 支給カレンダー上書き。

  3. エレメント使用上書き。

  4. ポジティブ入力上書き。

8 つの上書きレベルによって、ブラケット、日付、デュレーション、フォーミュラ、および変数の値を制御できます。

  • 支給元上書き。

  • 支給グループ上書き。

  • 受給者上書き: 受給者に対して変換が発生するたびに、ブラケット、日付、デュレーション、フォーミュラ、または変数エレメントの値を上書きします。

  • 受給者/エレメント上書き。受給者に割り当てられた特定の支給または控除に使用された変数の値を上書きします。

  • 支給カレンダー上書き。

  • エレメント使用上書き。

  • エレメント定義上書き。

  • ポジティブ入力上書き。

画像: エレメント上書きの階層

次の図は、サポート エレメントに対して複数の上書きが発生した場合に上書きが適用される順序を示しています。支給元上書きから開始されます。

エレメント上書きの階層

注: 受給者/エレメント上書きでは、受給者の特定の支給または控除に関連付けられた変数エレメントの上書きが参照されます。これらの上書きは、エレメント別受給者割当ページおよび受給者別エレメント割当ページにリンクされているエレメント詳細ページで入力します。受給者上書きとは、受給者に関連付けられたブラケット、日付、デュレーション、フォーミュラ、または変数の上書きです。このような上書きは、受給者のサポート エレメント上書きページで入力します。

VARIABLE1 は、以下の値を持っています。

  • 30 (ルール定義)。

  • 20 (支給元上書き)。

  • 10 (支給グループ上書き)。

この場合、支給元上書きより支給グループ上書きが優先されるので、VARIABLE1 は 10 に変換されます。

上書き指示を入力する際に、開始日を指定します。

開始日は、上書き指示の適用をいつ開始するかを表します。デフォルトは現在の日付です。

ほとんどの場合、終了日は省略可能です。終了日は、上書き指示がいつ非アクティブになるかを指定します。同じエレメントに対して複数行の指示を入力する場合にのみ、入力必須です。

処理される上書きタイプによって、開始日と終了日の処理ルールは異なります。

このトピックでは、次について説明します。

  • 受給者上書きと分割。

  • 受給者上書きを要因とする分割

  • 受給者上書きの場合の比例配分と分割。

受給者上書きと分割

ヒューマン リソース管理または以下のデータの変更に基づいて、支給期間をスライスまたは分割するように、グローバル ペイロール システムを設定できます。

  • 期間中に発生する職務ステータスまたは職務名の変更。

  • 期間中に発生する部門間異動。

  • 期間中に発生する給与レートの変更。

スライスまたは分割された期間内に受給者上書きがある場合、上書きの終了日と同様にセグメント/スライスの終了日に基づいて、異なるスライス/セグメントに上書きが適用されます。

上書きが適用されるスライスまたはセグメントは、以下のルールに従って決定されます。

  • 上書きをセグメントに適用する場合は、上書きの終了日がセグメント終了日と同じか、それ以降の日付 (または空白) である必要があります。

  • 上書きの終了日が、あるセグメントの終了日よりも後の日付で、次のセグメントの終了日と同じかそれよりも後の日付の場合は、1 つの上書きを複数のセグメントに適用できます。

  • 上書きの終了日がセグメント終了日よりも前の日付の場合、上書きはそのセグメントには適用されません。

  • セグメント上書きはセグメント終了日時点でアクティブにする必要があります。

支給元、支給グループ、およびエレメント定義の上書きが、分割に影響されることはありません。エレメントの定義と上書きは、期間またはエレメントの分割にかかわらず、全ての期間で 1 度だけ検索されます。

注: 期間内のスライス/セグメントに上書きを適用するルールについては、分割のトピックで詳しく説明します。

分割の設定」を参照してください。

受給者上書きを要因とするエレメント分割

既に述べたとおり、HR またはその他のデータの変更に基づいて、支給期間をスライスまたは分割するようにグローバル ペイロール システムを設定できます。一方、他のデータ変更がない場合でも、上書きに直接対応して、分割および比例配分をトリガするようにシステムを設定することができます。つまり、上書き自体が分割をトリガするデータ変更と見なされるように、システムを設定することができます。こうすると、エレメントの値を割り当てたり上書きしたりしたときに、上書きの開始日および終了日に基づいて、割り当てられたエレメント、および分割エレメント リストに含まれるその他のエレメントがスライスされます。

たとえば、支給エレメント E1 を割り当てたり上書きするとエレメント分割がトリガされるようにシステムを設定し、受給者別エレメント割当コンポーネント (GP_ED_PYE) で、開始日と終了日にそれぞれ 6 月 10 日と 20 日を指定して (支給期間は月次とします) E1 を受給者に割り当てるとします。割り当て/上書きの開始日と終了日に基づいて、エレメントは 3 つのセグメントにスライスされ、2 番目のスライスのエレメントが処理 (および比例配分) されます。

エレメント

スライス 1

6 月 1 日から 10 日

スライス 2

6 月 11 日から 20 日

スライス 3

6 月 21 日から 30 日

支給 = E1

計算ルール = 金額

金額 = 300

スライス 1 のエレメントは変換されない。

変換後の金額 = 100 (比例配分係数 = .333333333)

スライス 3 のエレメントは変換されない。

注: エレメント割り当てまたは上書きによってトリガできる分割は、エレメント分割のみです。

エレメント割り当てに対応して分割がトリガされるようにシステムを設定するには、以下の手順に従います。

  1. 国別設定コンポーネント (GP_COUNTRY) で、[セグメント期間内でアクティブな場合] オプションを選択します。

    これにより、終了日が支給期間の終了日よりも前のものを含め、期間内の全てのエレメント割り当て/上書きが処理されます。

    インストール設定の定義」を参照してください。

  2. 割り当てるエレメントを比例配分する場合、支給または控除の定義ページで、エレメントに比例配分ルールを関連付けます。

    支給 - 端数処理/比例配分ページ」を参照してください。

  3. 開始日と終了日が指定された支給および控除の割り当てレコード (GP_PYE_OVRD) に対する分割トリガを設定し、割り当ての開始日が支給期間開始日よりも後の場合、および割り当ての終了日が支給期間終了日よりも前の場合、またはそのいずれかの場合に、エレメント分割をトリガする支給および控除をリストします。

    トリガ定義の設定」を参照してください。

受給者レベル上書きの場合の比例配分と分割

受給者レベル、主要エレメントの上書きの比例配分は、以下の条件に該当する場合に発生します。

注: 主要エレメントの上書きには、支給と控除が含まれます。サポート エレメントの上書きには、変数、フォーミュラ、アレイ、ブラケットなどのエレメントが含まれます。

  • 期間分割またはエレメント分割が、エレメント上書きまたは割り当てと直接関係のないデータ変更によってトリガされるとき。

    • 支給または控除の割り当てが適用される期間に期間分割がある場合 (つまり、全てのエレメントが分割されます)、エレメントが比例配分されるように定義されると、割り当てられたエレメントはセグメントの開始日および終了日に基づいて比例配分されます。このようにしないと、そのエレメントの値全体が、ターゲットのセグメントそれぞれに適用されます。

    • 支給または控除の割り当てが適用される期間にエレメント分割があり、割り当てられたエレメントがスライス対象エレメントのリストに含まれている場合、そのエレメントが比例配分されるように定義されると、スライス日に基づいてエレメントが比例配分されます。このようにしないと、そのエレメントの値全体が、ターゲットのスライスそれぞれに適用されます。

  • 主要エレメントの上書きまたは割り当てがエレメント分割を直接トリガするように、システムを設定するとき。

    この場合、そのエレメントが比例配分されるように定義されると、割り当ての開始日と終了日に基づいて、割り当てられたエレメント (およびエレメント リストでそのエレメントと関連付けられている全てのエレメント) がスライスされます。他の理由によるスライスまたは分割は行われません。エレメントが比例配分されるように定義されないと、割り当ての開始日と終了日によって定義されるスライス内で、エレメントの値がそのまま処理されます。

    注: 受給者別エレメント割当コンポーネント (GP_ED_PYE) およびエレメント別受給者割当コンポーネント (GP_ED_ELEM) で、受給者に割り当てられた上書きの開始日と終了日に基づいて支給期間内のエレメントをスライスするように、システムを設定することができます。この作業については、トリガ定義のトピックで説明します。

    トリガ定義の設定」を参照してください。

注: 主要エレメント上書きが比例配分されるのは、エレメントが比例配分されるように定義されていて、かつ期間分割がある場合 (全てのエレメントが分割されます)、またはエレメント分割がある場合でそのエレメントがスライス対象エレメントのリストに含まれているときです。

サポート エレメント上書きについて、サポート エレメントが比例配分されるのは、それが比例配分されるように定義されたエレメントのコンポーネントで、そのエレメントが分割またはスライスの対象になっているときです。