グローバル ペイロールのユーティリティについて

このトピックでは、次について説明します。

  • ユーティリティ使用ガイドライン。

  • パッケージの作成とアップグレード。

  • 基本言語と関連言語。

  • バージョン管理機能。

  • 削除機能。

  • UNIX ディレクトリと NT ディレクトリの関連付け。

フィールドまたはコントロール

定義

エレメント マップ

データベース内でのエレメント間の関係を表します。たとえば、レート × ユニットの計算ルールが設定された支給エレメント (ユニット数がフォーミュラで返される) について、この支給エレメントにコンポーネントおよびフォーミュラ エレメントがどのように関連付けられているのかをエレメント マップによって確認できます。

エレメント マップは、パッケージの作成や、エレメントやデータの他のデータベースへの移動に関して重要な役割を果たします。パッケージを作成するときにマップは最新で正確である必要があるため、規定パッケージ作成処理を開始する場合は、マップが自動的に再作成されます。マップの作成中には、定義されたフィールドがレコードにあるかどうかの確認が行われます。

注: マップの作成では、PIN レベルのレコードのみが含まれます。規定外パッケージャを使用するためには、PIN 番号が主キーではないレコードを含める必要があります。

目的エレメント

処理またはアクションを実行する対象です。

規定外

規定外データの例としては、処理結果、受給者データ、設定の定義など、PIN 番号 (PIN_NUM) が主キーとなっていないデータがあります。

パッケージ ステータス

このリンクをクリックすると、パッケージ ステータス ページにアクセスします。

PIN コード (支給アイテム名コード)

全てのデータベース上で一意である必要がある唯一のエレメント属性です。PIN 番号と同様に、PeopleSoft が提供している全てのエレメントおよびユーザーが作成した全てのエレメントに対して割り当てられます。エレメントが全ての国で使用するものであれば ALL、特定の国で使用するものであれば 3 文字の国コードがサフィックス (接尾辞) としてエレメント名に追加されます。たとえば、BASE ALL または BASE ITA となります。エレメントをデータベース間で移動すると、エクスポートするエレメントとターゲット データベース内のエレメントの比較が行われます。PIN コードは、エレメントの比較の際に確認される属性の 1 つです。

PIN 番号 (支給アイテム名番号)

支給アイテム名を示すポインタです。GP_PIN テーブルやその他のテーブルのデータに関連付けられています。PeopleSoft が提供している全てのエレメントおよびユーザーが作成した全てのエレメントに対して作成され、割り当てられます。グローバル ペイロールのプログラムでは、エレメント名ではなく PIN 番号 (PIN_NUM) を参照してエレメントにアクセスし、処理を行います。

PIN 番号は、データベースごとに連番で割り当てられます。つまり、データ ベースが異なると同じエレメントでも別の PIN 番号を持つ場合があります。そのためデータベース間でエレメントを移動する場合、ユーティリティでは、コピー対象のソース エレメントがターゲット データベースに存在するかどうかの確認に PIN 番号を使用しません。

ルール

グローバル ペイロールでは、ルールとはビジネス ルールを定義するために使用される 1 つのエレメントまたはエレメントの組み合わせです。たとえば、支給ルール、控除ルール、集計ルール、端数処理ルールなどがあります。ルール定義テーブルの主キーは、PIN_NUM です。

ターゲット PIN 番号 (ターゲット支給アイテム名番号)

ターゲット データベースのエレメントの PIN 番号です。

アップグレード

ソース データベースからターゲット データベースへアイテムをコピーし、コピーされたアイテムとターゲット データベースのアイテムとを比較します。その比較結果に従って、ターゲット データベース内のアイテムを上書きするか新規アイテムを追加し、選択したアイテムをターゲット データベースから削除します。

ソース データベース

パッケージ化され、ターゲット データベースへ移動される規定エレメントまたは規定外エレメントを含むデータベース。

ターゲット データベース

ソース データベースから、パッケージ化された規定エレメントまたは規定外エレメントを移動する先のデータベース。

グローバル ペイロールでは、給与計算ルールを定義するエレメントを作成して管理するための統合ツール セットを用意しています。エレメント間の関係を表示するためのユーティリティ、エレメントとデータをパッケージにまとめてデータベース間で移動するユーティリティ、そしてエレメントを削除するユーティリティがあります。このようなユーティリティを使用すると、給与計算システムを導入する際に自ら作成しテストを済ませたルールの全て、または一部を指定して実際に使用するデータベースに移動できます。現在稼動中のシステムでは、新しいルールの導入、システムの更新、処理結果と給与計算データの他のデータベースへの移動などの処理がユーティリティによって能率的に行えます。

ユーティリティの使用に関する重要なガイドラインは以下のとおりです。

  • ユーティリティの使用を伴う操作はシステムに大きな影響を及ぼすため、これらを使用するのはグローバル ペイロールを熟知しているユーザーに限定してください。

  • ソースとターゲットのデータベースが共に同じリリースの PeopleTools を使用する必要があります。

  • 規定外パッケージャに使用されるデータベースについては、ソースとターゲットで基本言語が共有される必要があります。

  • グローバル ペイロール言語テーブル (GP_PIN_LANG) の PIN_CODE は変更しないでください。

    それを行った場合、エレメントの移動に影響を及ぼします。

  • ユーティリティは業務時間終了後に使用するようにしてください。給与計算実行中、またはオンラインでの業務を実行している間は使用しないでください。

  • 一度に複数のパッケージをインポートしないでください。

    警告 一度に複数のパッケージをインポートすると、重要なデータが失われることがあります。

データベース間でルールやデータを移動するには、いくつかのユーティリティを特定の順序で使用します。

画像: データベース間のルールとデータの移動

次の図は、データベース間でルールやデータを移動する際の一般的な順序を示しています。

データベース間のルールとデータの移動

データベース間でルールやデータを移動するには、次の手順に従います。

  1. 規定パッケージを作成し、アップグレードします。

    規定パッケージには、PIN 番号 (PIN_NUM) が主キーのレコードで定義されたエレメントが含まれています。"規定パッケージの作成/エクスポート" コンポーネントと "規定パッケージの適用" コンポーネントを使用して、移動するエレメントのパッケージを作成し、アップグレードします。パッケージに含めるエレメントは、エレメント名または属性で個別に指定したり、バージョン番号で指定することができます。パッケージに目的エレメントのみを含めるか、またはその目的エレメントに使用されるエレメントも含めるのか、エレメント マップを基に指定します。

    また、ターゲット データベースのエレメントを削除またはアップグレードするように指定することもできます。バッチ処理ではオンラインで表示可能なエレメントのパッケージが作成されます。

    パッケージを作成したら、そのパッケージをソース データベースからエクスポートし、ターゲット データベースにインポートします。ターゲット データベース内で同じ PIN 番号を持つエレメントが上書きされないように、パッケージ内の各 PIN 番号の値に 50000000 が追加されます。

    続くバッチ比較処理では、パッケージに含まれたエレメントとターゲット データベースにあるエレメントの比較が行われます。比較の目的は、ターゲット データベースで新しく追加されるエレメント、既存のエレメントに一致するエレメント、およびユーザーの指示に従って削除する必要のあるエレメントを識別することにあります。ターゲット データベースに新しく追加されたエレメントには、PIN 番号が順次割り当てられます。

    比較の結果を検討し、不整合の問題を解決すれば、アップグレード処理が完了します。

  2. 規定外パッケージを作成し、アップグレードします。

    規定外パッケージには、PIN_NUM が主キーではないレコードのデータと、関連エレメントの情報が含まれます。

    規定外パッケージを作成するには、次の手順に従います。

    1. 移動するデータのパッケージを作成するための条件を定義します。

    2. ソース データベースから規定外データおよびエレメント情報をエクスポートします。

    3. ターゲット データベースに、エレメントそのものではなく、エレメントに関する情報をインポートします。

    4. 比較処理を実行します。この処理ではパッケージ化されたエレメントとターゲット データベース内のエレメントを比較し、規定外パッケージをターゲット データベースにインポートする前に解決すべき不整合を識別します。

    5. 規定外データをインポートし、アップグレード処理を開始します。この処理では、ターゲット データベースに移動された規定外データ レコードの PIN 番号を付け直します。

      たとえば、休暇欠勤結果レコード (GP RSLT ABS) では、ソース データベースに PIN 番号 1333 の休暇取得エレメントがあるとします。このエレメントがターゲット データベースに移され、そのエレメントの PIN コードがターゲット データベース内で PIN 番号 3453 のエレメントと一致した場合、休暇欠勤結果レコードの PIN 番号は規定外パッケージのユーティリティにより変更されます。

規定パッケージの場合、ソース データベースとターゲット データベースの基本言語が同一である必要はありません。規定パッケージャでは、データ ムーバー機能によって、ターゲット データベースの基本言語を識別し、基本言語テーブルまたは関連言語テーブルの正しい言語を使用することができます (その言語がソース パッケージに存在していた場合)。また、規定パッケージャによって、ソース データベースの基本言語に対する関連言語のエントリがターゲット データベースに作成されます。以下の例を考えてみます。

ドイツ語 (DEU) のターゲット データベースに以下のデータが含まれています。

基本言語データ

PIN_NUM

PIN_CODE

翻訳対象データ

翻訳対象外データ

701

GP_TEMP001_DEU

現在のドイツ語の

テキスト

コンテンツ

ターゲット データベースの現在値

PIN_CODE GP_TEMP001 を基本言語用にコピーして、英語 (ENG) のソース データベースからパッケージを作成するとします。以下の処理が行われます。

  • PIN_CODE GP_TEMP001 の情報を含むデータ ファイルが ENG データベースからエクスポートされます。

    そのデータ ファイルには新規の PIN_NUM (PIN 番号) 50 000 701 が含まれています。

  • ターゲット データベースにデータ ファイルがインポートされます。

    インポートが完了すると、データ ムーバーによって、言語コード ENG を持つ関連言語の行が自動的に 1 つ作成されます。

この時点で、ドイツ語のターゲット データベースは以下のような状態です。

PIN_NUM

PIN_CODE

翻訳対象データ

翻訳対象外データ

701

GP_TEMP001_DEU

CONTENT

ターゲット データベースの現在値

50 000 701

GP_TEMP001_DEU

SALARY

ソース データベースからの新しい値

関連言語データ

PIN_NUM

PIN_CODE

LANGUAGE_CD

翻訳対象データ

50 000 701

GP_TEMP001_DEU

ENG

SALARY

次に、システムにより以下の処理が行われます。

  • PIN_CODE によって、50 000 701 と 701 が関連付けられます。

  • ドイツ語の翻訳対象フィールドが 701 から 50 000 701 にコピーされます。

  • コピー元の PIN_NUM 701 が削除されます。

  • ターゲット データベースの PIN_NUM で新規行の番号が付け直されます。

基本言語テーブルの情報が更新され、新規の ENG エントリが関連言語テーブル上に作成されました。処理結果を以下の表に示します。

基本言語テーブル

PIN_NUM

PIN_CODE

翻訳対象データ

翻訳対象外データ

701

GP_TEMP001 DEU

CONTENT

ソース データベースからの新しい値

関連言語テーブル

PIN_NUM

PIN_CODE

LANGUAGE_CD

翻訳対象データ

701

GP_TEMP001 DEU

ENG

SALARY

パッケージが基本言語関連言語の両方で定義されていた場合は、パッケージのインポート時にデータ ムーバーによって言語の置き換えが既にある程度行われています (ただし、ターゲット データベースの言語の関連言語の行がパッケージにある場合)。そのため、基本言語行の翻訳対象フィールドはコピーされた言語行の内容と重複してしまいます。関連言語のみがパッケージとコピーされた場合も、上記と同様の処理が行われます。ただし、ターゲット データベースの基本言語行の翻訳対象フィールドは更新されて、移動された言語行の値が設定されます。

グローバル ペイロールのバージョン管理ユーティリティを使用して、エレメントにバージョン番号を割り当てて、そのバージョン番号のエレメントだけをパッケージ化することができます。バージョン別にパッケージを作成したら、そのパッケージを別のデータベースに移動できます。この場合、エレメント定義またはコンポーネント レコードの変更情報が自動的に移動されます。たとえば、支給計算のみを変更した場合、エレメント定義自体は移動されません。

バージョン管理されたパッケージでは、データベースの基本言語テーブルからデータを抽出するだけで、PIN - 関連言語テーブル (GP_PIN_LANG) のデータは抽出しません。GP_PIN_LANG から関連言語情報を移動するには、通常の規定パッケージを使用する必要があります。

ターゲットまたはソース データベースからルールを削除するには、パッケージの選択条件を定義するときにエレメント削除についても設定しておきます。データの整合性を保つため、エレメントの削除はそのエレメントが他のデータに関連付けられていない場合にのみ可能になっています。つまり、削除可能なエレメントは以下の条件を全て満たす必要があります。

  • 結果テーブルで使用されていない。

  • 受給者データに関連付けられていない。

  • 規定外テーブルにリンクされていない。

  • 別のエレメントで使用されていない。

  • PeopleSoft システムにより作成/提供されたものでない。

重要 削除するエレメントは、ソース データベースからターゲット データベースに移動するエレメントとは別個のパッケージに入れることをお勧めします。

UNIX 上でアプリケーションを実行している場合は、パッケージのインポート/エクスポートに関して、さらに考慮すべき点があります。UNIX マシン上でデータ ムーバーのスクリプトを作成することはできますが、パッケージのインポート/エクスポートに使用するデータ ムーバーは、NT プロセス スケジューラを介してのみ実行できます。

重要 UNIX 環境でデータ ムーバーを使用する業務やプロセスは、NT プロセス スケジューラで実行する必要があります

UNIX と NT ではディレクトリの参照方法が異なるので、双方のプラットフォームからアクセスできる共有ディレクトリを定義する必要があります。そのためには、同一のパスが両プラットフォームに指定される必要があります。パス名は、UNIX 側と NT 側で必ず同一に定義します。たとえば、以下のディレクトリを定義してデータ ムーバー ファイルを保存するとします。

  • NT システム: \\xx-xxx\hcm\datamover\

  • UNIX システム: /xx-xxx/hcm/datamover/

スクリプトの作成やパッケージのインポート/エクスポートを行う前にパスを指定する際には、先頭のダブル バックスラッシュも含めた NT のパス表記を常に使用してください。必要時には、PeopleCode によって各プラットフォーム用のパス表記に自動的に変換されます。

重要 スクリプトの場所を NT プロセス スケジューラの psprcs.cfg ファイルに追加する 必要があります[Data Mover] セクションの入力パスと出力パスが同じドライブを指していることを確認してください。