ブラケット エレメントの定義
ブラケット エレメントを定義するには、ブラケット コンポーネント (GP_BRACKET) を使用します。
ページ名 |
定義名 |
用途 |
---|---|---|
GP_PIN |
エレメント名を付け、基本パラメータを定義します。 |
|
GP_BRACKET1 |
ブラケットの検索ルールを定義します。 |
|
GP_BRACKET2 |
ブラケットの検索キーおよび戻り列を指定します。 |
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GP_BRACKET3 |
検索値を入力します。ブラケットの検索キー/戻り列ページで選択した検索キーおよび戻り列の値が表示されます。 |
|
GP_BRACKET_DATA |
既存のブラケット エレメントの検索キー値および戻り列値を更新します。 |
ブラケットを使用すると、簡単な検索テーブルを作成することができます。ブラケットでは、定義されたテーブルに基づいてデータが検索され、検索データに対応する値が割り当てられます。ブラケットは、バンド テーブルまたは検索テーブルと呼ばれることもあります。
ブラケットでは複数の検索値 (検索列) を使用できます。ブラケットの処理では、検索値を使って 1 つあるいは複数の列を結果として返します。この結果は、フォーミュラなどの他のエレメントで使用できます。
ブラケットを定義する前に、ブラケットの定義で使用するのに必要なエレメントを作成します。たとえば、勤務年数に応じて賞与額を求めるブラケットを作成するには、勤務年数を返すデュレーション エレメントを前もって作成します。
ブラケットを定義するには、次の手順に従います。
ブラケットの名称情報を、ブラケット名ページで定義します。
ブラケットの検索ルールを、検索ルール ページで定義します。
検索テーブルに使用する検索キーの値および戻り列の値を、検索キー/戻り列ページで選択します。
検索値を、データ ページで入力します。
検索キーの値がデータ ページで定義されたブラケットの検索値に完全に一致しない場合に、ブラケットの返す値をどのように計算するかを補間法で定義します。
検索ルール ページで、以下の 4 つの補間法の中から 1 つを選択します。
線形:
数式を使って、指定された検索キーの次に高い値と次に低い値の間で比例配分した値を算出します。この方法は、1 つまたは 2 つの数値型の検索キーおよび数値型の戻り列を持つブラケットにのみ有効です。
最も近い値を使用:
最も近いキーの値を持つ行の戻り列の値を使用します。この方法は、数値型または日付型のキーを持つブラケットにのみ有効です。
次の高い値を使用:
次に高いキーの値を持つ行の戻り列の値を使用します。この方法は、全てのブラケットに有効です。
次の低い値を使用:
次に低いキーの値を持つ行の戻り列の値を使用します。この方法は、全てのブラケットに有効です。
たとえば、ブラケットを作成して勤続年数に応じた賞与を計算するとします。次の表は、検索キーと戻り列の一覧です。
検索キー (勤続年数) |
戻り列 (賞与金額) |
---|---|
5 |
30% |
10 |
60% |
勤続年数が 7 年の場合、指定された補間法によって返される値が変わります。次の表は、補間法ごとの戻り値のリストです。
補間法 |
戻り値 |
説明 |
---|---|---|
線形 |
42% |
計算式によって、値は 42 パーセントと計算されます。 |
最も近い値を使用 |
30% |
7 年の場合、10 年より 5 年の方が近いので、5 年の行の戻り列の値が使用されます。 |
次の高い値を使用 |
60% |
次に高いキーの値の 10 年が選択され、その行の戻り列の値が返されます。 |
次の低い値を使用 |
30% |
次に低いキーの値の 5 年が選択され、その行の戻り列の値が返されます。 |
最低/最高値オプションの使用
線形補間法では、次に値の低い行と次に値の高い行を検索して、戻り値の計算が行われます。次に値の低い行または高い行がない場合、検索ルール ページの [最低/最高値オプションの使用] チェック ボックスを使用して、最低値または最高値を使用するかどうかを指定できます。
たとえば、次のような検索キーと戻り列のブラケットを定義するとします。
検索キー (部門 ID、勤続年数) |
戻り列 (賞与パーセント) |
---|---|
ABC、1 |
10 |
ABC、3 |
12 |
ABC、5 |
15 |
DEF、1 |
11 |
DEF、3 |
13 |
DEF、5 |
15 |
部門 ID が ABC で従業員の勤続年数が 6 年の場合、部門 ID ABC の次に値の低い行は勤続年数 5 年です。しかし、次に値の高い行はありません。[最低/最高値オプションの使用] チェック ボックスがオンの場合、最も値の高い、部門 ABC の勤続年数 5 年の戻り列の値が使用されます。
端数処理ルール
線形補間法を使用する場合、端数処理ルールを使って戻り値の端数処理タイプを指定できます。
たとえば、四半期に働いた時間数 (四半期労働時間) に基づいて賞与金額と賞与レートが決定され、受給者の時間数がデータ ページで定義された値に一致しない場合は、線形補間法を使用して賞与額または賞与レートを決定する必要があるとします。その際、戻り列の値の小数点以下を丸めるとします。
ブラケットには、次の表のようなデータが登録されているとします。
検索キー - 四半期労働時間の累計 |
戻り列 - ブラケット - 賞与金額 |
---|---|
200 |
2000 |
300 |
2500 |
500 |
3000 |
ある受給者の四半期間の労働時間が 303.5 時間だとします。線形補間法を使用すると、通常は以下のとおり値が返されます。
(303.5 − 300) / (500 − 300) = 3.5/200 = 0.017500
計算式は以下のとおりです。
2500 + (0.017500 * (3000-2500) = 2500 + (0.017500 * 500) = 2500+ 8.75 = 2508.75
端数処理ルール エレメントが適用されると、小数点以下が丸められ、ブラケットからの戻り列の値は 2508.75 ではなく 2509 になります。
ブラケットの処理では、キー値に基づいて行が検索され、ブラケットの値が戻されます。
ブラケット エレメントは常に、最初に戻される列の値に変換されます。ブラケットは、処理中に検出された時点で変換されます。ブラケットの戻り列に指定されているエレメントが処理中に検出されても、そのエレメントがこのブラケットに関連付けられているかどうかわからないので、ブラケットは自動的には変換されません。
ブラケットおよび全ての戻り列は処理中に検出されると、使用されているスライス終了日またはセグメント終了日時点のデータが以下の条件に従ってロードされます。
ブラケットを使用しているエレメントがスライスされる場合、そのブラケットおよび全ての戻り列のエレメントもまたスライスされます。
ブラケットがプロセス リストで検出された場合、現在処理中のセグメントに対して変換されます。
分割の際にブラケットの戻り列を再変換する必要がある場合、そのブラケットは計算の中で使用されるか、イベント リストに含まれている必要があります。
ブラケットでの補間法の使い方
以下の点を考慮する必要があります。
[補間法]: [次の高い値を使用]、[次の低い値を使用]、または [線形] を選択した場合、対応する [最低/最高値オプションの使用] チェック ボックスの値を設定します。
[テーブルの範囲外]: 最初のキーが一致しない場合にのみ適用されます。
[エラー処理オプション]: 適切な補間法および検索を使用しても一致するデータがない場合に適用されます。
指定可能なオプションは 2 つあります。[エラー作成] を選択すると、ブラケットおよび戻り列の変換はまったく行われず、支給はエラーになります。[処理続行] を選択すると、ブラケットおよびその他の戻り列の値は 0 または空白 (フィールドのフォーマットによって異なります) に変換されます。
次の表は、バッチ処理における各補間法の使用方法を一覧にしたものです。
補間法 |
バッチ処理 |
---|---|
最も近い値を使用 |
一致しないキーが数値でない場合、エラー処理オプションに進みます。 一致しないキーが数値の場合、次に低い値および次に高い値があるかどうかが判断されます。
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次の低い値を使用 |
次に値の低い行があるかどうかが判断されます。
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次の高い値を使用 |
次に値の高い行があるかどうかが判断されます。
|
線形 |
一致しないキーが数値でない場合、エラー処理オプションに進みます。 一致しないキーが数値の場合、次に低い値および次に高い値があるかどうかが判断されます。
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ブラケット エレメントのバッチ処理についての補足
検索キーは、ブラケットの定義で入力された順に評価されます。キーの順序で、値は昇順にソートされます。
どの補間法でも、全てのキーが一致する行があれば、その行が使用されます。また、どの補間法でも、最初のキー、2 番目のキー、という順番にキーが照合されます。
キーが一致しないときの処理
最初のキーが一致しない場合、以下が実行されます。
一致しない場合の処理が [テーブルの範囲外] グループ ボックスで指定されているかどうかが確認されます。
最初のキーの値が、データ ページで最初の行に定義された検索キー 1 の値より低い場合は、以下が実行されます。
[下回る場合は最小値を使用] チェック ボックスがオンの場合、最初の行が使用されます。
[下回る場合は最小値を使用] チェック ボックスがオフの場合、エラー処理オプションに進みます。
最初のキーの値が、データ ページで最後の行に定義された検索キー 1 の値より高い場合は、以下が実行されます。
[上回る場合は最大値を使用] チェック ボックスがオンの場合、最終行が使用されます。
[上回る場合は最大値を使用] チェック ボックスがオフの場合、エラー処理オプションに進みます。
一致しない場合の処理が [テーブルの範囲外] グループ ボックスで指定されていない、かつ、補間法も選択されていない場合は、エラー処理オプションに進みます。
補間法が指定されていても、最初のキーのフィールド フォーマットが数値でない場合は、エラー処理オプションに進みます。
補間法が指定されていて、フィールド フォーマットが数値の場合は、指定された補間法に基づき適切なロジックが使用されます。それぞれの補間法の詳細については、上の表を参照してください。
次のキーで値が一致せず、補間法が指定されていない場合は、エラー処理オプションに進みます。
次のキーで値が一致せず、補間法が指定されている場合は、そこまでの全てのキーが一致した行だけが選択の対象となります。
補間方法に従って、適切なロジックが実行されます。それぞれの補間法の詳細については、上の表を参照してください。
ブラケット名ページ (GP_PIN) を使用して、エレメントに名前を付け、基本パラメータを定義します。
ナビゲーション
注: GP_PIN というオブジェクト名のエレメント名共通ページで、エレメント名やその基本パラメータを全て定義します。エレメント名共通ページのページ タイトルや内容は、定義するグローバル ペイロール エレメントのタイプによって変わります。このページのフィールドについては全て、この製品ドキュメントの他のトピックで説明されています。
検索ルール ページ (GP_BRACKET1) を使用して、ブラケットの検索ルールを定義します。
ナビゲーション
画像: 検索ルール ページ
次の例では、検索ルール ページのフィールドおよびコントロールを説明します。

フィールドまたはコントロール |
定義 |
---|---|
エラー処理オプション |
以下の値から選択します。 [エラー作成]: 処理を停止してエラーを作成します。 [処理続行]: 値を返さずに処理を続けます。 |
テーブルの範囲外 |
キーの値がテーブルに定義されている値より大きい、または小さい場合の対処法を定義します。 [下回る場合は最小値を使用]: オンにすると、キーの値がテーブルに定義されている値を下回る場合、テーブルのデータの最小値が使用されます。 [上回る場合は最大値を使用]: オンにすると、キー値がテーブルに定義されている値を上回る場合、テーブルのデータの最大値が使用されます。 |
補間法 |
たとえばキーの値が 2 つの行の間になるなど、キーが完全に一致しなかった場合にどのような戻り値を返すかを補間法で指定します。どの補間法も、最初に一致しなかった検索キーに対してのみ、使用されます。以下の値から選択します。 [線形]: 数式を使って、指定された検索キーの次に高い値と次に低い値の間で比例配分した値を算出します。この方法は、1 つまたは 2 つの数値型の検索キーおよび数値型の戻り列を持つブラケットにのみ有効です。 [最も近い値を使用]: 最も近いキーの値を持つ行の戻り列の値を使用します。この方法は、数値型または日付型のキーを持つブラケットにのみ有効です。 [次の高い値を使用]: 次に高いキーの値を持つ行の戻り列の値を使用します。この方法は、全てのブラケットに有効です。 [次の低い値を使用]: 次に低いキーの値を持つ行の戻り列の値を使用します。この方法は、全てのブラケットに有効です。 「補間法について」を参照してください。 |
最低/最高値オプションの使用 |
線形補間法を使用する場合、全ての検索キーが再度照合されます。続いて、検索キーの値の中から、次に値の低い行および次に値の高い行が検索されます。検索キーの値の中に次に低い行または高い行がない場合、[最低/最高値オプションの使用] チェック ボックスを使用して、最低値または最高値を使用するかどうかを指定できます。 「補間法について」を参照してください。 |
端数処理ルール エレメント |
線形補間法を使用する場合、端数処理ルールを使って戻り値の端数処理タイプを指定できます。線形補間法では、次に値の低いキーの戻り値と次に値の高いキーの戻り値の比率を計算し、その比率を基に算出した比例配分値を、次に値の低いキーの戻り値に追加して返すため、この端数処理は、フィールド フォーマットが数値 (数字または金額) の戻り列の全てに対して適用されます。返される結果には、小数が含まれる場合があります。 「補間法について」を参照してください。 |
検索キー/戻り列ページ (GP_BRACKET2) を使用して、ブラケットの検索キーおよび戻り列を指定します。
ナビゲーション
画像: 検索キー/戻り列ページ
次の例では、検索キー/戻り列ページのフィールドおよびコントロールを説明します。

検索列
[検索列] グループ ボックスには、ブラケット データの検索に使用するキーを指定します。キーごとに、入力する検索キーのタイプ (エレメント タイプ) を選択します。次に、対応する [エレメント名] を選択します。最大 5 つの検索キーを入力できます。
戻り列
[戻り列] グループ ボックスには、戻される検索結果を格納する列を指定します。列ごとに、入力する戻り値入力タイプ (エレメント タイプ) を選択します。次に、対応する [エレメント名] を選択します。ブラケット自体は最初の戻り列です。戻り列は 8 つまで入力できます。
ブラケット - データ ページ (GP_BRACKET3) を使用して、検索値を入力します。
ブラケットの検索キー/戻り列ページで選択した検索キーおよび戻り列の値が表示されます。
ナビゲーション
画像: ブラケット - データ ページ
次の例では、ブラケット - データ ページのフィールドおよびコントロールを説明します。

[ブラケットの検索キーと戻り列値] グリッドの [検索キー]
検索キーの値を入力します。
[ブラケットの検索キーと戻り列値] グリッドの [戻り列 1 から 4]、[戻り列 5 から 8]
検索キー/戻り列ページの入力に基づいて、検索キーの値ごとに返される値を入力します。複数の戻り列値を入力することができます。
ブラケット データ ページ (GP_BRACKET_DATA) を使用して、既存のブラケット エレメントの検索キー値および戻り列値を更新します。
ナビゲーション
画像: ブラケット データ ページ
次の例では、ブラケット データ ページのフィールドおよびコントロールを説明します。

このページでは、管理者が簡単に既存のブラケットの検索キー値および戻り値を更新できます。検索キー/戻り列ページおよびブラケット - データ ページを使用して、ブラケットの元の検索キー、戻り列、および検索値を定義します。