ポジティブ入力の遡及調整

このトピックでは、遡及調整の概要と、ポジティブ入力を訂正する方法について説明します。

このトピックでは、次について説明します。

  • ポジティブ入力と再計算オプション。

  • ポジティブ入力の削除。

  • デルタの適用。

  • 不一致のセグメントとスライスおよび再計算しないオプション。

  • バージョン番号。

ポジティブ入力と再計算オプション

ポジティブ入力は、遡及処理中にエレメントの再計算ルールを上書きします。エレメントの計算ページの [常時再計算] チェック ボックスの設定にかかわらず、ポジティブ入力に入力される値を基にインスタンスが変換されます。

ただし、ポジティブ入力を削除する際にはこのルールは適用されません。

ポジティブ入力の削除

再計算を行わないよう設定されていて、支給カレンダーが既に最終決定されているエレメントのポジティブ入力を削除する場合、元の入力をそのままにして、アクションを [処理しない] に変更するのが最善の方法です。こうしておけば、次に給与計算を再実行しても、エレメントは変換されません。入力を削除してしまうと、エレメントや期間の分割がある場合は、予測外の結果が生じるおそれがあります。

デルタの適用

セグメントが一致するときに遡及デルタを調整値として現在の期間に繰り越すために、エレメントのデルタが合計され、現在のカレンダーの最初のセグメントに繰り越されます。最初のセグメントがスライスされている場合は、この最初のセグメント内の最初のスライスに調整値が繰り越されます。エレメントが現在の期間中に 1 セグメントあたり複数回変換される場合は、合計されたデルタを適用する際に次の階層が参照されます。

  1. エレメントの通常変換。

  2. エレメントの上書き変換。

  3. エレメントのその他の変換。

現在の期間で、[追加] のアクション タイプだけを持つポジティブ入力の複数のインスタンスが存在する場合、調整値がエレメントのその他の変換ではなくエレメントの通常変換に適用されます。[上書き][追加] のアクション タイプが混在するために複数の行が存在する場合、遡及調整値がエレメントの上書き変換に適用されます。最後に、エレメントの通常変換が存在せず、エレメントの上書き変換も存在しない場合は、遡及調整値がエレメントのその他の変換に適用されます。調整額が適用されるのは 1 回だけです。

不一致のセグメントとスライス

エレメントが分割されている場合に遡及処理を行うと、元の計算の変換数と再計算のスライス数が比較され、不一致が存在するかどうかが判断されます。アクション タイプが [追加] のポジティブ入力インスタンスは、偽の不一致を発生させることがあるのでカウントから除外されます。

バージョン番号

手動以外のソースから作成されるポジティブ入力に遡及調整を行う際は、バージョン管理機能を使って元の入力と修正後の入力を区別します。元の入力にバージョン番号 1 が割り当てられます。この番号は PI_VER_NUM フィールドにロードされます。バージョン番号は調整が行われるたびに増加します。このバージョンは、遡及支給処理による結果を追跡するためのバージョン番号およびレビジョン番号とは異なります。

そのカレンダーに作成されたポジティブ入力の全てのインスタンス (変更しなかったインスタンスも含む) に割り当てられたバージョン番号が更新されるため、元の入力と遡及処理に使用される入力を区別できます。

たとえば、休暇取得プロセスで 1000 の値を持ったポジティブ入力のインスタンスを作成したとします。このインスタンスと、その他の手動以外の全てのポジティブ入力には、自動的にバージョン 1 が割り当てられます。2 か月後に、遡及調整により値が 1200 に変更されたとします。ターゲット カレンダーの給与計算を再実行すると、更新されたポジティブ入力と、その他の手動以外の全てのポジティブ入力は、自動的にバージョン 2 になります。

ポジティブ入力のインスタンスを修正するには、元の入力の支給期間で修正を行います。オンライン変更を検出するための遡及トリガを定義した場合、入力はトリガ発生テーブルに書き込まれます。受給者の次の給与計算サイクルを実行する際、テーブルからデータが読み込まれ、ポジティブ入力の遡及調整が行われます。