グローバル ペイロールにおける周期について
PeopleSoft グローバル ペイロールでは、エレメント、ジェネレーション コントロール パラメータ、カレンダー期間、レート コード エレメント、およびシステム エレメントを定義する際に、周期が使用されます。周期テーブル ページで定義された周期に加えて、PeopleSoft グローバル ペイロールでは、ジェネレーション コントロール周期コンポーネントに定義された周期も使用されます。
次の各トピックでは、以下の項目について説明します。
エレメント定義での周期の使い方
ジェネレーション コントロールと周期の使い方
カレンダー期間と周期の使い方
レート コードとシステム エレメントでの周期の使い方
エレメントは、PeopleSoft グローバル ペイロールの最小コンポーネントで、給与計算を処理するための計算ルールの定義に使用されます。エレメントには、支給額 (支給エレメント)、支給から控除される額 (控除エレメント)、または業務から離れている時間 (休暇欠勤エレメント) などが保持されます。
支給、控除、休暇欠勤などのエレメントは、独立して扱うことができます。一方、サポート エレメント (レート コードや端数処理ルールなど) は、他のエレメントと共に使用され、計算ルールを定義します。各エレメントは、一度定義すれば繰り返し使用できます。
支給、控除、休暇欠勤のいずれのエレメントに対しても、一定の金額や休暇日数に対する周期を指定する必要があります。周期に関連付ける各アイテムに対し、全体の処理プランにおいて周期がどのように機能するのかを考慮する必要があります。支給、控除、および休暇欠勤のエレメントに正しい周期を選択することは、処理を正確に行うために必要不可欠です。以下に例を示します。
フィールドまたはコントロール |
定義 |
---|---|
支給エレメント |
一定金額の支給周期を指定します。週次、月次、年次などです。 |
控除エレメント |
一定金額が源泉徴収される周期を指定します。たとえば、支給期間ごと、月次、またはその年全体などです。 |
休暇欠勤エレメント |
従業員に休暇が付与される周期を指定します。たとえば、月間 3 日、年間 3 日などです。 |
PeopleSoft グローバル ペイロールでは、支給、控除、休暇欠勤などのエレメント定義の際に、周期が使用されます。
支給エレメントの定義を例に説明します。この処理は、支給、控除、休暇欠勤の各エレメントに共通です。
"支給 - 計算" ページ (GP_ERN_DED_CALC) で、支給エレメントの計算ルール、周期、およびジェネレーション コントロールを定義します。
『PeopleSoft Global Payroll』「Earnings - Calculation Page」[英語版] を参照してください。
計算ルールを選択したら、次にそのルールの各コンポーネントの詳細を定義する必要があります。たとえば、計算ルールに [金額] を選択した場合、支給エレメントの金額を指定します。
次の表に、周期変換が実行される計算ルールとコンポーネントを示します。
計算ルール |
コンポーネント |
---|---|
金額 |
金額 (必要に応じて) |
レート × ユニット |
ユニット |
レート × ユニット × パーセント |
ユニット |
ベース × パーセント |
ベース |
この支給エレメントが支給される周期を定義します。[カレンダー期間の周期を使用] を選択すると、カレンダー定義 - 期間ページ (GP_CALENDAR_PERIOD) でカレンダー期間に対して定義されている周期が使用されます。[指定の周期を使用] を選択すると、"支給 - 計算" ページで、周期のリストから直接周期を選択して定義できます。
『PeopleSoft Global Payroll』「Creating Periods」[英語版] を参照してください。
[周期] フィールドの使用により、エレメントの値に対応する周期を指定できます。たとえば、週次の給与計算を行っており、[指定の周期を使用] を選択して、金額が 100 で周期が [月次] の支給エレメントを作成したとします。ジェネレーション コントロールの条件を定義していない場合、金額は年次化および非年次化されて、処理周期の金額になります。組織の月次周期は 12 で、週次周期は 52 に定義したとします。システムでは、月間の金額である 100 が年次化され 1200 になります。次に、この年次化された金額が非年次化され、給与計算の処理周期 (この例では週次) に変換されます。各支給期間の支給額は、次のとおりです。
1200 / 52 = 23.08
周期を定義する利点は、組織が複数の支給周期 (週次、半月、月次など) を使用する場合に、各周期に対して別々の支給エレメントを作成しなくて済むことです。支給金額は、各支給周期に対応する支給期間の金額に自動換算されます。たとえば、年間賞与 1000 を全ての受給者に支給することが決まり、1 年間かけてこの賞与を分割支給するとします。時間給の受給者は週単位で、その他の給与受給者は月単位で支給を受けます。支給賞与を BON = 1000 と定義し周期を年次に設定すると、年次化と非年次化を通じて、この支給定義を週単位で支給される受給者と月単位で支給される受給者の両方に適用できます。"支給 - 計算" ページで割り当てられた周期に基づいて、支給周期に関係なく賞与額が正確に算出されます。
注: PeopleSoft グローバル ペイロールでは、雇用形態 (従業員、非従業員、または関係者) による区別はありません。給与計算処理は、全ての雇用形態に対して行われるので、PeopleSoft グローバル ペイロールのドキュメンテーションでは、全て "受給者" と呼ばれています。
支給期間の周期は、システムにハード コードされていません。その代わりに、PeopleSoft グローバル ペイロールでは、ヒューマン リソース管理の周期テーブル コンポーネントを使って、周期の計算方法が決定されます。たとえば、月次の周期に 12、週次の周期に 52 の係数が定義されているとします。周期テーブル ページで定義された周期は、システム内で周期を使用するどの場所でも簡単に使用できます。
PeopleSoft グローバル ペイロールでは、"ジェネレーション コントロール周期" という追加のジェネレーション コントロール概念が用意されており、特定の支給または控除が変換される支給期間の制御 (たとえば月の最初の支給期間のみ、など) に使用できます。ジェネレーション コントロール周期によって、意味のある名前を定義して、正しい周期 ID と支給期間を関連付けることができます。
ヒューマン リソース管理の周期テーブルに存在しない周期の例として、[月 - 第 1 週] があります。給与周期が週次であっても、月の最初の支給期間にのみ支給される支給エレメントが必要だとします。この場合、PeopleSoft ヒューマン リソース管理では、周期は月次になります。しかし、これでは目的に合った給与計算処理は行われません。そこで、PeopleSoft グローバル ペイロールでは、この支給エレメントは "月 - 第 1 週" として定義 (タグ付け) され、月の最初の支給期間にのみ支給が行われます。
ジェネレーション コントロール周期コンポーネントは、ジェネレーション コントロールの周期処理の一部です。
ジェネレーション コントロールを使えば、エレメントを処理する際に、システムに多様なコントロール方法を認識させることができます。たとえば、支給エレメントが月の最初の支給期間のみ (週単位の給与計算) に支給される場合、給与計算処理を制御して、この支給が週 1 にだけ支給され、その月の残りの週の給与計算では支給されないようにすることができます。
まず、ジェネレーション コントロール - 条件ページ (GP_GCTL_CONDITION) で、ジェネレーション コントロール ID の各パラメータを定義します。
『PeopleSoft Global Payroll』「Generation Control Name Page」[英語版] を参照してください。
次に、支給エレメントを定義する際に、"支給 - 計算" ページで、ジェネレーション コントロール名を選択してこのテーブルを検索します。
この方法では、各支給エレメントのパラメータを個別に再定義する必要はありません。
"支給 - 計算" ページで、[ジェネレーション コントロール] フィールドを空白にすると、受給者の通常の資格ルールに基づいて毎回、支給が実施されます。
注: [カレンダー期間の周期を使用] 以外の周期を選択すると、支給期間の周期を基に、支給額の非年次化が行われます。ジェネレーション コントロール周期が存在する場合は、ジェネレーション コントロールの周期に基づいて支給額の非年次化が行われます。周期換算時には、支給期間の周期はジェネレーション コントロールの周期によって上書きされます。たとえば、ある支給エレメントの金額が 1200、周期が年次、支給期間が月次であるとします。組織の月次周期の年次化係数が 12 と定義されており、この支給に対してジェネレーション コントロール周期が指定されていない場合、支給金額は月あたり 100 に非年次化されます (1200 / 12 = 100)。この支給エレメントに対するジェネレーション コントロール周期が指定されている場合は、金額は異なります。たとえば、ジェネレーション コントロール周期が [四半期] と定義されているとします。この場合、支給は 300 に非年次化されます (1200 / 4 = 300)。
PeopleSoft グローバル ペイロールでは、[月 - 第 1 週]、[年次]、[1 月]、および [四半期] という 4 つの定義済みジェネレーション コントロール周期が用意されています。これらのジェネレーション コントロール周期は全て、対応するジェネレーション コントロール エレメントで使用できます。
処理対象の周期を定義する際は、周期と共にカレンダー期間を使用します。
PeopleSoft グローバル ペイロールでは、給与計算や休暇欠勤の処理を実行する場合、計算対象期間を指定する必要があります。これは通常、支給期間と呼ばれます。期間ページで期間 ID を設定することによって、期間の選択条件を定義します。
『PeopleSoft Global Payroll』「Creating Periods」[英語版] を参照してください。
各期間 ID に対しては、支給期間の開始日、終了日、および周期を定義します。この定義は支給カレンダーから切り離されているため、繰り返し使用でき、非常に柔軟に処理を行うことができます。
期間 ID で定義できる時間と周期データの例を以下に示します。
開始日 |
終了日 |
周期 |
---|---|---|
6 月 1 日 |
6 月 7 日 |
週次 |
6 月 1 日 |
6 月 30 日 |
月次 |
6 月 1 日 |
6 月 15 日 |
半月毎 |
6 月 1 日 |
8 月 31 日 |
四半期毎 |
期間ページでは、支給、控除、または休暇欠勤のエレメントにジェネレーション コントロールの周期が指定されていない場合に非年次化に使用される周期を定義します。ただし、ジェネレーション コントロールの周期が支給、控除、または休暇欠勤のエレメント定義に含まれ、エレメントのジェネレーション コントロールとカレンダー ID のジェネレーション コントロールが一致する場合には、このジェネレーション コントロールの周期に基づいて非年次化係数が特定されます。
周期の例
次の表に、周期の例をいくつか示します。
周期 |
エレメント 1 |
エレメント 2a |
エレメント 2b |
エレメント 3 |
---|---|---|---|---|
金額 |
1,200 |
1,200 |
1,200 |
1,200 |
周期 (エレメント定義) |
月次 (12) |
月次 (12) |
月次 (12) |
月次 (12) |
ジェネレーション コントロール周期 |
なし |
月次 (12) |
月次 (12) |
半月 (24) |
支給期間の周期 |
半月 (24) |
半月 (24) |
半月 (24) |
半月 (24) * |
カレンダーのジェネレーション コントロール周期 |
なし |
月次 (12) |
なし |
半月 (24) * |
計算金額 |
600 |
1200 |
処理なし |
600 |
周期が支給期間の周期と一致する場合には、関連する周期を指定する必要はありません。
「職務データ給与レート周期」を参照してください。
レート コード、または周期によって管理されるシステム エレメントを使用する支給または控除エレメントを定義する際は、その支給または控除エレメントには常に [カレンダー期間の周期を使用] の周期を指定する必要があります。システム エレメントは、PeopleSoft によって提供および管理されます。
周期によって管理されるシステム エレメントは、エレメント設定の際に指定された周期に従って、給与計算処理のカレンダー周期の部分で処理されます。次に、カレンダー周期によって非年次化が行われます。