ナビゲーションに戻る

ビジネス ユニットの使い方

次の各トピックでは、ビジネス ユニットの概要とビジネス ユニット構造の決定方法について説明します。

ビジネス ユニットとは、特定のビジネス情報を追跡および報告するために作成する論理的な単位のことです。ビジネス ユニットには、制限や要件などが事前に設定されていません。ビジネス ユニットは柔軟な構造設計であるため、ユーザーの組織の業務構造に合わせて PeopleSoft HCM を導入することができます。

ビジネス ユニットでは処理ルールが共有されます。そのため、組織の構造に合わせて、また社内の人事部門の要望を反映させて、組織内のさまざまなレベルでビジネス ユニットを作成することができます。組織全体で同じ処理ルールを使用している場合は、ビジネス ユニットを 1 つ設定するだけで済みます。一方、会社、国、または業務内容ごとに異なる処理ルールを使用している場合は、複数のビジネス ユニットを設定することもできます。

PeopleSoft HCM ではビジネス ユニットの定義が事前設定されていないため (部門と会社についてはあらかじめ設定された定義があります)、ビジネス ユニットを組織の構造に合わせて定義し、PeopleSoft HCM アプリケーションに導入することができます。ビジネス ユニットは、PeopleSoft HCM、Financials、Manufacturing、および Distribution の各アプリケーション間で共有できます。または、1 つの PeopleSoft アプリケーションに限定して定義することも可能です。

注: PeopleSoft HCM では、ビジネス ユニットは、少なくとも 1 つ設定する必要があります。

PeopleSoft HCM におけるビジネス ユニットの定義方法は、ユーザー次第です。またデータ処理を容易にするためのビジネス ユニットの使い方もユーザーの自由です。たとえば、組織内の各法人ごとにビジネス ユニットを設定し、中央の人事管理部門がそのビジネス ユニットの処理を全て行うよう設定できます。この人事管理部門が各ユニットの情報、労働者、プロセスの間のインターフェイスとなり、管理を実行します。一方、組織内の会社、所在地、または支店ごとにビジネス ユニットを設定し、データを中央の親ビジネス ユニットと共有しながら、人事管理情報を各ユニット別に管理することもできます。

画像: 集中管理データによるビジネス ユニット間の分析およびレポート作成

各ビジネス ユニットでは別々に人事管理情報が管理されますが、1 つの集中管理データベースを設定することで、ユニット間で重複するデータを管理する手間が省けます。さらに重要なポイントは、次の図に示すように、複数のビジネス ユニットにまたがるレポートを作成できることです。これによって、全体像を把握しながら、詳細を比較することができます。

集中管理データによるビジネス ユニット間の分析およびレポート作成

ビジネス ユニットによって柔軟な構造設計が実現されるため、組織の業務構造に合わせて PeopleSoft HCM を導入することができます。組織によっては、従来の構造とビジネス モデルの共通点が明白な場合もあります。そうでない場合は、組織構造を反映して PeopleSoft HCM の優れた機能を最大限に活用するために、ビジネス ユニットの設定に綿密な検討および分析が必要です。PeopleSoft HCM の導入にあたってビジネス ユニットの設定方法を決定するときは、次の点に留意してください。

  • ビジネス ユニット機能は、個人を組織構造の中に位置付けるための 1 つの方法と考えます。

  • ビジネス ユニットは、職務、ポジションおよび個人の職務レコードに常に関連付けられています。

  • ビジネス ユニットは事前設定された定義がありません (部門と会社についてはあらかじめ設定された定義があります)。ビジネス ユニットという新しい組織レベルは、会社の役に立つ形で導入することができます。

  • ビジネス ユニットは法律上の企業体ではなく、レポート作成やロールアップ データの収集に関する特定のビジネス情報を追跡する方法です。

設計の初期段階から PeopleSoft の導入パートナと密接に作業を進め、PeopleSoft HCM システムにビジネス ユニットを定義する最適な方法を決定するようにします。企業によって要件はそれぞれ異なり、また発生する可能性のある要素をあらかじめ全て網羅することは不可能です。しかし、企業のビジネス ユニット構造を具体化し、設定するビジネス ユニットの数を仮決定したら、以下の点を再確認してください。

  • ビジネス ユニット構造とビジネス ユニットの数は正しいか。

  • これらの構造でうまくいかない要因があるか。

  • これらの構造により使いたい機能が使用できなくなる可能性があるか。

  • これらの構造によりレポート作成のオプションに対する制限が発生する可能性があるか。

  • これらの構造により夜間処理に予定以上の時間がかかる可能性があるか。

ビジネス ユニット構造の例

ビジネス ユニットの定義方法は、産業分野、法定要件、法定提出書類要件、または業務責任の割り振り方によって異なります。

画像: ビジネス ユニットは、業務内容や支店、地域、子会社、または組織のニーズに最適なものを表すために設定できます。

次のシナリオと補足図を考えてみます。

  • 789 社は、販売と顧客サービスの状況など、情報を業務別または目的別に管理しています。この会社では、人事管理、福利厚生および給与計算の各部門の業務ニーズに合わせて、ビジネス ユニットを作成しています。

  • LGC 銀行は、各支店をそれぞれ 1 つのビジネス ユニットとして扱っており、そのため従業員のレポート作成を各支店ごとに行うことができます。

  • 123 グローバル ビジネスは多国籍企業で、海外で業務を行う必要性から、事業運営を地域ごとに分割しています。このような企業にとっては、各オフィスの情報よりも地域ごとの情報の方が重要です。ヨーロッパやアジアの市場に対して、アメリカの工場の状況はどうなっているかなどの情報を検討する必要があります。そうすることで、ビジネスの要件やニーズを追跡することができます。

  • XYZ エンターテイメントには、子会社があります。このような多角経営企業では、それぞれの子会社やコスト センターをビジネス ユニットとして定義することができます。たとえば、ホテル事業と小売販売業を営む会社の場合は、2 つの事業に関する情報を個別に維持しながら、1 つのデータベースにまとめて一元管理することも可能です。

ビジネス ユニットは、業務内容や支店、地域、子会社、または組織のニーズに最適なものを表すために設定できます。

これらの方法を全て組み合わせて設定することも、またそれぞれの組織ニーズに合わせたその他の単位を設定することも可能です。ビジネス ユニットは必要な数だけ設定できますが、ビジネス ユニットの数が多いほど管理する情報も増大します。ただし、システムにはビジネス ユニットが少なくとも 1 つは必要です。

ビジネス ユニットの導入

組織全体に対してビジネス ユニットを 1 つ導入することも可能ですが、複数のビジネス ユニットを設定すると、レポート作成とデータ コントロールで重要なオプションが使用できるようになります。複数のビジネス ユニットを設定すると、次のことが可能になります。

  • ツリー構造の管理による、会社独自のロールアップ レポートの作成。

  • 複数のビジネス ユニットに、部門コンポーネント (DEPARTMENT_TBL) や所在地コンポーネント (LOCATION_TABLE) などのコントロール テーブルの管理を分散。

    PeopleSoft HCM のビジネス ユニット機能は、大企業や多国籍企業が複数分野にわたるデータ フローを管理する場合に役立ちます。

注: PeopleSoft Benefits Administration を導入している場合は、ビジネス ユニットの関連付けに基づいて、労働者の福利厚生資格を決定する資格ルールを定義できます。