概要: OpenStack コンポーネントと Oracle Solaris® テクノロジ

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更新: 2016 年 5 月
 
 

Oracle Solaris への OpenStack 統合のしくみ

OpenStack は Oracle Solaris のコアテクノロジに完全に統合されています。この統合により、エンタープライズ対応の IaaS (Infrastructure as a Service) プライベートクラウドを作成できるため、ユーザーは一元化された Web ベースポータルを使用して仮想ネットワークリソースと仮想コンピュートリソースをすばやく作成できます。

次の図は、OpenStack のサービスを実装するために使用される Oracle Solaris の機能を示しています。OpenStack サービスと Oracle Solaris テクノロジの間の関係が、それに続いて説明されています。

図 1  Oracle Solaris と OpenStack の統合

image:Solaris 機能と OpenStack サービスの間の関係を示します。

Oracle Solaris では次の OpenStack サービスが提供されます。

  • Nova

    Nova コンピュート仮想化サービスは、さまざまな仮想化テクノロジをサポートするクラウドコンピュートファブリックコントローラを提供します。Oracle Solaris では、仮想マシン (VM) インスタンスはカーネルゾーンまたは非大域ゾーンです。ゾーンは、仮想化のオーバーヘッドが少ない、スケーラブルな高密度仮想環境です。カーネルゾーンには独立したカーネルバージョンも用意されており、マルチプロジェクトクラウドの場合に望ましい VM インスタンスの独立アップグレードが可能です。

    Oracle Solaris ゾーンの詳細は、オペレーティングシステムのドキュメントの該当するライブラリでゾーンに関する各種ドキュメントを参照してください。

  • Neutron

    Neutron ネットワーク仮想化サービスは、複数の OpenStack システム上にあるほかの OpenStack サービス、および VM インスタンスにネットワーク接続を提供します。Oracle Solaris では、Elastic Virtual Switch (EVS) 機能を介してネットワーク仮想化サービスが提供されます。EVS は、複数の物理サーバーにまたがる仮想スイッチを作成、構成、およびモニターするための単一制御点として機能します。アプリケーションは、クラウドのネットワークトラフィックに優先順位を付ける独自の動作を実行できます。Neutron には、仮想ネットワークを動的に要求および構成するための API が用意されています。これらのネットワークは、Nova VM インスタンスの VNIC などのインタフェースを接続します。

    Elastic Virtual Switch の詳細は、オペレーティングシステムのドキュメントの該当するライブラリのOracle Solaris での仮想ネットワークとネットワークリソースの管理を参照してください。

  • Cinder

    Cinder ブロックストレージサービスは、OpenStack のブロックストレージボリュームを管理するためのインフラストラクチャーを提供します。Cinder では、ブロック型デバイスを公開することや VM インスタンスにブロック型デバイスを接続することにより、ストレージの拡張、パフォーマンスの向上、およびエンタープライズストレージプラットフォームとの統合が可能です。Oracle Solaris では、Cinder はストレージに ZFS を使用し、リモートアクセスに iSCSI またはファイバチャネルを使用します。ZFS は、スナップショット、暗号化、複製解除などの統合データサービスを提供します。Cinder ドライバは、ZFS Storage Appliance でも使用できます。

    ZFS の詳細は、オペレーティングシステムのドキュメント使用している Oracle Solaris バージョンの次のライブラリにあります: 『Oracle Solaris での ZFS ファイルシステムの管理』を参照してください。ZFS Storage Appliance に関するドキュメントは、https://docs.oracle.com/en/storage/ から入手できます。

  • Swift

    Swift オブジェクトストレージサービスは、OpenStack プロジェクトおよびユーザーに冗長かつスケーラブルなオブジェクトストレージサービスを提供します。Swift は ZFS を使用して任意の非構造化データの保存と取得を行います。また、データには RESTful API を介してアクセスできます。

  • Glance

    Glance イメージストアサービスは、仮想マシンのディスクイメージを保存します。これらは VM インスタンスの配備に使用されます。Oracle Solaris では、Glance イメージは統合アーカイブです。単純なファイルシステムから OpenStack Swift のようなオブジェクトストレージシステムまで、さまざまな場所にイメージを保存できます。Glance には、イメージメタデータの照会とイメージの取得を可能にする RESTful API があります。

    統合アーカイブを使用すると、規格に準拠したセキュアかつスケーラブルな配備をすばやく行うことができます。同じ統合アーカイブを使用して、ベアメタルシステムと仮想システムのどちらでも配備できます。統合アーカイブを Automated Installer (AI) とともに使用すると、多数のシステムのプロビジョニングをすばやく行うことができます。

    詳細は、オペレーティングシステムのドキュメントの該当するライブラリのOracle Solaris でのシステム復旧とクローンを参照してください。AI インストールは、メディアまたはサーバー上で AI イメージを使用して自動インストールを実行する方法です。詳細は、同じライブラリのインストールドキュメントを参照してください。

  • Horizon

    Horizon は、複数の VM インスタンスをサポートするためにクラウドインフラストラクチャーおよびコンピューティングインフラストラクチャーを管理できる、OpenStack のダッシュボードです。ダッシュボードは OpenStack サービスに対する Web ベースのユーザーインタフェースを提供します。

  • Keystone

    Keystone アイデンティティーサービスは、ユーザー、管理者、および OpenStack サービスの間の認証と承認のサービスを提供します。

  • 開発者は、Heat オーケストレーションサービスエンジンを使用して OpenStack インフラストラクチャーの実装を自動化できます。このエンジンは、カスタマイズされた構成を配備するための構成情報とインストール後処理を含むテンプレートに従って動作します。

各 OpenStack サービスは、1 つ以上のサービス管理機能 (SMF) サービスで表されます。SMF は OpenStack サービスを制御します。たとえば、障害発生時に自動的にサービスを再起動したり、サービス依存関係の完全チェックを実行したりすることにより、サービス起動の精度と効率を向上させます。

実行するサービスは、ノードにインストールされている OpenStack コンポーネントに応じて異なります。次の例に示すように svcs コマンドを使用して、特定のノード上で実行されている SMF サービスを簡単に識別できます。

svcs -a | grep openstack

Image Packaging System (IPS) により、OpenStack システムを簡単に配備でき、失敗のないアップグレードをすばやく実行できます。ブート環境 (BE) を使用すると、OpenStack システムを更新するときにバックアップ環境を簡単に保持できます。最小化も含めてインストールの柔軟性を提供するために、OpenStack サービスはそれぞれ独自の IPS パッケージで配布されます。各 OpenStack サービスパッケージは、その OpenStack サービス用の一意のユーザーとグループ、およびその OpenStack サービスを管理するための RBAC プロファイルを提供します。

OpenStack を使用してクラウドを作成するには、このライブラリの使用している OpenStack のバージョンに対応したインストールおよび構成のドキュメントを参照してください。計画のドキュメントを参照し、クラウドのセットアップ準備に役立ててください。