SNMP は、データセンター内のさまざまな種類の情報テクノロジに関するハードウェアおよびソフトウェアノードから動作ステータスを収集するための業界で受け入れられているモデルです。各ノードには、クライアントと通信するエージェントサーバーソフトウェアが装備されています。
クライアントは通常の場合、受信トラップを待機し、サービスコンソール上に包括的なステータス表示を提供する管理アプリケーションです。この SNMP クライアントは、データセンター全体にわたって存在する多数のサーバーエージェントからステータス情報を取得します。各エージェントの役割は、エージェントが管理するオブジェクトのセットに関するステータス情報をクライアントに公開することです。すべての管理対象オブジェクトは、管理情報ベース (MIB) 内に示されます。一般的なクライアント管理アプリケーションは、エージェントのそれぞれの MIB を報告する複数のエージェントと接触します。
管理アプリケーションは、データセンター全体の各オブジェクトのステータスを報告できます。管理者に電子メールメッセージを送信したり、適切なサポート技術者を呼び出したりすることによって、問題またはステータス変更に反応すできます。
エージェントはモニター対象データを各ホスト上のマスターエージェントに伝達します。Solaris および Linux システムでは、マスターエージェントは標準のアドオンとして使用できるオープンソースの net-snmp ソフトウェアの一部です。net-snmp バンドルには、xagent
マスターエージェント、トラップリスナー、および標準の snmp コマンド行ユーティリティー (snmpget
、snmpwalk
、snmptranslate
など) を含む SNMP ユーティリティーの完全なセットが含まれます。ACSLS MIB には読み取り専用オブジェクトが含まれているため、snmpset
ユーティリティーはこのアプリケーションに適用されません。
Oracle システムの場合、net-snmp ソフトウェアには Solaris 上では pkg install
、Linux 上では yum install
を使用した単純なインストール手順が提供されています。ACSLS エージェントには、SNMP-V1 プロトコルを使用する SNMP クライアントソフトウェアとともに使用するための読み取り専用アクセスが提供されています。ACSLS MIB を介して公開されている ACSLS に対して設定可能なオブジェクトはありません。トラップ宛先、ACSLS ステータスのポーリング頻度、およびいくつかの管理アプリケーションで必要となる可能性がある URL を構成するためのすべての調整可能パラメータは ACSLS サーバー上に用意されています。
ACSLS SNMP エージェントは、ACS-TAPE-MONITOR-MIB 内で定義されているオブジェクトのモニタリングを担当します。エージェントは、ACSLS の制御下にあるストレージライブラリに関するステータス情報を維持し、ACS-TAPE-MONITOR-MIB データベースを管理アプリケーションに公開し、さまざまなオブジェクトのステータスの変更を管理コンソールに伝達します。ACSLS エージェントは、Solaris または Linux システム上で実行されているさまざまなサブシステムに達する SNMP ドメインを持つ net-snmp マスターエージェントの背後で動作します。ACSLS SNMP Agent 2.4 は ACSLS 8.4 ソフトウェアが実行されているホスト上の Solaris 11 または Linux 6 環境で動作するように設計されています。
エージェントは、モニター対象の ACS およびそれらの内部コンポーネント (LSM、CAP、ドライブなど) に関する ACSLS 照会された情報を提供します。エージェントは定期的に ACSLS サーバーにステータスリクエストを送信し、ACSLS ライブラリまたはそのいずれかのコンポーネント内でステータス変更が検出された場合は常に、登録済みのクライアントリスナーに対して非同期メッセージ (SNMP トラップ) を送信します。標準の SNMP エージェントは UDP ポート 161 でリクエストを待機し、UDP ポート 162 を使用してトラップを送信します。ポートの割り当ては、独自のセキュアなネットワーク構成が必要な管理者のために調整できます。
このマニュアルでは、ACSLS SNMP エージェントのインストール、構成、および操作手順について説明します。エージェントをインストールおよび構成するにはシステム管理者 (root
) 権限が必要です。このドキュメントでは、SNMP 管理アプリケーションからエージェントを使用する方法についてのヒントを提供します。一般的な問題が発生した状況でエージェントの操作を復元するためのガイダンスを提供する、トラブルシューティングの章が設けられています。