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Oracle Enterprise Pack for Eclipse Oracle Mobile Application Framework (OEPE Edition)でのモバイル・アプリケーションの開発
リリース2.1.3
E67371-01
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30 MAFアプリケーションの保護

この章では、Oracle Mobile Application Framework内のセキュリティ・フレームワークの概要およびセキュリティが適用されるようにモバイル・アプリケーションを構成する方法について説明します。

この章には次の項が含まれます:

30.1 MAFセキュリティの概要

MAFは、保護されているアプリケーション機能がアクティブ化されたときに、ユーザーにログイン・ページを表示します。たとえば、アプリケーション機能がWebビュー内に表示されようとしているときやオペレーティング・システムがアプリケーションをフォアグラウンドに戻したときに、ユーザーにログイン・ページを表示します。MAFは、アプリケーション機能が認証サーバーによって保護されているときや、アプリケーション機能にユーザー・ロールまたはユーザー権限に基づいた制約が含まれているときに、アプリケーション機能へのアクセスにユーザー認証を必要とするかどうかを決定します。MAFは、ユーザーが有効な資格証明を入力した場合のみ、目的のWebビュー、UIコンポーネントまたはアプリケーション・ページをレンダリングします。

いずれかのアプリケーション機能にこれらの条件を設定すると、ユーザーがログインに成功しないとモバイル・アプリケーションにアクセスできないようにできる一方、保護されておらず、またアクセスに関連する制約も含んでいないデフォルトのアプリケーション機能を含めることで、保護されているアプリケーション機能と保護されていないアプリケーション機能の両方を含むモバイル・アプリケーションに、ユーザーがアクセスできるようにすることもできます。この状況では、ユーザーは認証せずにMAFアプリケーションにアクセスできます。デフォルトのアプリケーション機能は、保護されていないデータを表示することも、保護されているアプリケーション機能にアクセスする際にリモート・サーバーに対して認証することもできるこのような匿名ユーザーに対して、モバイル・アプリケーションの入口として機能します。次の方法により、保護されていないデフォルトのアプリケーション機能を指定できます。

  • デフォルトのアプリケーション機能を通じて公共の情報にアクセスすることを匿名ユーザーに許可する一方、認可されたユーザーのみが保護された情報にアクセスできるようにする。

  • ユーザーが、保護されているアプリケーション機能にアクセスする必要がある場合にのみ、ユーザーに認証を許可する。これ以外の場合、ユーザーは匿名ユーザーとしてモバイル・アプリケーションにアクセスするか、ログインして保護されている機能に移動できます。

  • アクセスを保護する必要がない場合に、保護されているアプリケーション機能からログアウトすることをユーザーに許可し、それにより権限のないユーザーが保護されているアプリケーション機能にアクセスすることを明示的に禁止する。


注意:

アプリケーション・ログイン・プロセスはアプリケーションの初期化フローから切り離されるため、MAFは匿名ユーザーを有効化し、ユーザーは、認証資格証明を入力しなくても、匿名ユーザーとしてモバイル・アプリケーションを起動し、保護されていないアプリケーション機能にアクセスできます。このような場合、MAFは、権限が必要なUIコンポーネントを無効化して、ユーザーの操作を制限します。

詳細は、第30.6.1項「認証を要求するようにアプリケーション機能を設定する方法」および第23.2.4項「ユーザー制約とアクセス制御について」を参照してください。

MAFアプリケーションでは、デフォルト・ページまたはHTMLで記述されたカスタマイズ済のログイン・ページが使用されます。ログイン・ページ以外での認証が必要な場合、ナレッジベース認証(KBA)がOAMサーバー上に構成されていると、ナレッジベース認証ページを有効にできます。KBA画面では、母の旧姓などの追加情報を要求することで、追加のチャレンジがユーザーに表示されます。ログイン・ページと同様、KBA画面はカスタマイズできます。

特定のロールおよび権限を付与されたユーザーのみが、user.rolesまたはuser.privileges制約で定義されるアプリケーション機能にアクセスできます。ユーザーがこのようなアプリケーション機能にログインすると、アクセス制御サービス(ACS)として知られるWebサービスは、アプリケーション機能へのアクセス権を付与するユーザー・オブジェクトをユーザーに返します。ACSの詳細は、第30.5.19項「アクセス制御サービスに関する必知事項」を参照してください。

開発者は、デプロイメント時にMAFアプリケーションをコンテナ化するように選択できます。コンテナ化により、Oracle Mobile Security Suite (OMSS)で構成されたエンタープライズ・ネットワーキング・プラットフォームのセキュア・ネットワーキングおよびネットワーク・トンネリング機能をアプリケーションで利用できます。コンテナ化されたアプリケーションの配布は、Oracle Mobile Security Access Server (MSAS)コンポーネントのアプリケーション・カタログおよびSecure Workspaceコンテナ機能を使用して、OMSS管理者によって管理されます。ユーザーの認証は、対象の認証タイプに構成されたMSASによって実行されます。MAFアプリケーションおよびOMSSコンテナ化の開発の詳細は、第2.4項「エンタープライズ配布のためのMAFアプリケーションのコンテナ化」を参照してください。

第30.2項 ユーザー・ログイン・プロセスについて

エンド・ユーザーの視点からは、ログイン・プロセスは次のようなものになります。


注意:

MAFアプリケーションのコンテナ化によりログイン・プロセスがどのように変更されるかの詳細は、第30.4項「コンテナ化されたMAFアプリケーションの認証プロセスの概要」を参照してください。

  1. 保護されたアプリケーション機能にユーザーがアクセスしようとすると、常に、図30-1に示すログイン・ページのWebビューがMAFによって表示されます。保護されているアプリケーション機能がデフォルトである場合、ユーザーがモバイル・アプリケーションを起動すると、MAFによってユーザーにログイン・ページが表示されます。

    図30-1 デフォルトのログイン・ページ

    この図は周囲のテキストで説明しています

    注意:

    第30.6.3.2項「カスタム・ログイン・ページ」で説明されているとおり、MAFでは、ログイン・ページが表示されるだけでなく、カスタム・ログイン・ページの使用もサポートし、またオプションでカスタム・ナレッジベース認証画面も表示されます。

  2. ユーザーがユーザー名とパスワードを入力し、「サインイン」をクリックします。


    注意:

    MAFでは、同じアプリケーションに対して複数のユーザーを許可します。ユーザーは、前のユーザーがログアウトした後、アプリケーションに自由にログインできます。

  3. ユーザー名とパスワードが検証されると、MAFによって、目的のWebビュー、ページまたはユーザー・インタフェース・コンポーネントが表示されます。

  4. MAFは、ユーザーが正常にログインするまで、ユーザー名とパスワードの入力を求めます。ユーザーがログインできない場合、別のアプリケーション機能に移動することのみが可能です。

  5. ユーザー名およびパスワードを認証すると、ユーザーに資格証明と追加の質問にチャレンジするナレッジベース認証画面が表示される場合があります。ナレッジベース認証が構成されている場合、ユーザーは質問に正しく回答して、ログイン・プロセスを完了する必要があります。ナレッジベース認証はオプションの構成で、OAMMサーバーで適切に構成する必要があります。


注意:

アプリケーション機能が最後にアクティブ化されて以降、事前定義された時間が経過すると、認証はタイムアウトになります。MAFでは、認証サーバーへの接続を使用するアプリケーション機能のいずれかがアクティブ化されたときのみ、アイドル・タイムアウトのタイマーの期限が更新されます。

第30.3項 モバイル・アプリケーションの認証プロセスの概要

モバイル・アプリケーションでは、リモート・ログイン・サーバー(Oracle ADF Fusion Webアプリケーションが使用するOracle Access Managerアイデンティティ・サーバーなど)またはユーザーのデバイス上にあるローカル資格証明ストアに対してユーザー資格証明の検証を必要とする場合があります。ローカルおよびリモートの接続モードをサポートするために、MAFは次の認証プロトコルをサポートしています。

  • HTTP基本

  • Mobile-Social

  • OAuth

  • Web SSO


注意:

MAFアプリケーションのコンテナ化により認証プロセスがどのように変更されるかの詳細は、第30.4項「コンテナ化されたMAFアプリケーションの認証プロセスの概要」を参照してください。

デフォルトでは、モバイル・アプリケーション・ユーザーの認証は、設計時に選択されている認証プロトコルに関係なく、リモート・ログイン・サーバーに対して行われます。Oracle Access Management Mobile and Social (OAMMS)およびローカル認証を可能にする基本認証の場合、開発者はアプリケーションを構成できます。ただし、最初はローカル資格証明ストアに資格証明が伝播されていないため、保護されているアプリケーション機能にアクセスするためのログインでは、リモート・ログイン・サーバーに対する認証が必要です。リモート認証に成功すると、その後、認証サーバーのユーザーのログイン資格証明をデバイス上に格納するローカル資格証明ストアを使用できるようになります。そのため、ユーザーが同じアプリケーション・セッション内(つまり、アプリケーション実行のライフサイクル内)でサーバーに対して認証されると、MAFは認証コンテキストをローカルに格納し、以降の認証の試行でそれを使用できるようになります。この場合、ローカルの認証コンテキストで問題なくユーザーを認証できる場合、MAFでは、ログイン・サーバーに接続されません。最初の認証では認証サーバーへの接続が必要ですが、ローカル認証を使用したアプリケーションのためにこのサーバーに頻繁にアクセスする必要はありません。


ヒント:

ローカル資格証明ストアに対する認証は、リモート・ログイン・サーバーに対する認証よりも高速に実行できますが、リモート接続のみをサポートしているOAuthまたはWeb SSO認証プロトコルを使用した認証をお薦めします。

表30-1に、MAFアプリケーションのログイン構成オプションをまとめます。接続モードは、選択した認証プロトコルによって異なります。

表30-1 MAFの接続モードおよびサポートされている認証プロトコル

接続モード サポートされているプロトコル モードの説明

「ローカル」

  • HTTP基本

  • Mobile-Social

ローカルに格納されている資格証明がデバイスで利用できない場合にのみ、アプリケーションでは、リモート・ログイン・サーバーに対する認証が必要です。初回ログインは、常にリモート・ログイン・サーバーに対して行われます。初回ログインに成功すると、MAFは、資格証明をデバイスの資格証明ストア内にローカルに保持します。アプリケーション機能への以降のアクセスでは、それらの資格証明が使用されます。第30.5.17項「Webサービス・セキュリティに関する必知事項」も参照してください。

「リモート」

  • HTTP基本

  • Mobile-Social

  • OAuth

  • Web SSO

アプリケーションでは、Oracle Access Manager (OAM) Identity Serverなどのリモート・ログイン・サーバーまたは保護されているWebアプリケーションでの認証が必要です。ユーザーがログインするたびに、リモート・サーバーに対する認証が求められます。デバイスがサーバーに接続できない場合、ユーザーは、前回は正常に認証されていても、アプリケーションにログインすることはできません。

「ハイブリッド」

  • HTTP基本

  • Mobile-Social

デバイスでローカル資格証明が利用可能でも、ネットワーク接続が利用できる場合は、アプリケーションでは、リモート・ログイン・サーバーに対する認証が必要です。ネットワーク接続がないためにログイン・サーバーにアクセスできない場合にのみ、デバイスのローカル資格証明が使用されます。


例として、次のプロセスは、Mobile-Social認証プロトコルがリモート認証サーバーに対してユーザー資格証明を確認するようにMAFアプリケーションが構成されている場合に、セキュリティのフローを表しています。

  1. MAFは、(図30-1のような)ログイン・ページ、またはナレッジベース認証画面をユーザーに表示します。

  2. Oracle Access Management Mobile and Social (OAMMS)クライアントSDKのAPIが、保存されたユーザー・オブジェクトを格納できるデバイスの認証サーバーおよび資格証明ストアの両方に対する資格証明認証を処理します。認証が成功すると、APIはMAFに有効なユーザー・オブジェクトを返します。失敗した場合は、エラーを返します。

  3. ログインに成功すると、MAFは、Cookieで使用されるOAMトークンを受け取ります。各ログイン接続にCookieが設定されます。

  4. OAMMSクライアントSDK APIは、デバイスのローカル資格証明キーストアに資格証明をキャッシュします。アプリケーション・セッション・タイムアウトまたはアイドル・タイムアウトのしきい値を超えると、MAFはローカル資格証明キーストアを消去します。

  5. ログインに失敗した場合、ログイン・ページまたはナレッジ・ベース認証画面が表示されたままになり、ユーザーは先に進むことができません。

30.4 コンテナ化されたMAFアプリケーションの認証プロセスの概要

MAFアプリケーションを開発する場合は、ログイン接続を定義してセキュア機能を開発およびテストする必要があります。テスト中、保護されたリソースにアクセスする前に、MAFログイン・ページが認証に使用されます。デプロイメント時には、MAFアプリケーションをコンテナ化して、Oracle Mobile Security Suite (OMSS)で構成されたエンタープライズ・ネットワーキング・プラットフォームのセキュア・ネットワーキングおよびネットワーク・トンネリング機能を利用できるため、モバイルVPNは不要になります。

コンテナ化されたMAFアプリケーションのデプロイメント後に、企業ファイアウォールの背後にあるバックエンド・リソースへのアクセスでは、OMSSのコンポーネントであるMobile Security Access Server (MSAS)を利用して、モバイル・デバイスから企業リソースへのトラフィックを保護する集中アクセス・ポイントを提供します。この場合、ユーザーの最初の認証で使用するために認証エンドポイントを実行するようにMSASインスタンスが構成されます。

ユーザー認証は、MSASによって登録済MAFアプリケーションに提供されるコンテナのシングル・サインオン(SSO)統合によって処理されます。MAFアプリケーションがMSASと通信できるようにするには、ユーザーは、MSASインスタンスに構成されている認証のタイプのSecure Workspaceアプリケーションをインストールおよび登録する必要があります。次に、保護されたリソースへのアクセスをユーザーが試みると、MAFログイン・ページが非表示になり、ユーザーのモバイル・デバイスのSecure Workspaceアプリケーションから独自のログインがMSASに表示されます。


注意:

MSASによる認証を有効にし、AppTunnelを利用するには、MAFアプリケーションで定義されるログインURLまたは認証エンドポイントをプロキシするようにMSASインスタンスを構成する必要があります。MAFログイン接続のためのMSASの構成の詳細は、第30.5.12項「ログイン接続およびコンテナ化されたMAFアプリケーションへのアクセスに関する必知事項」を参照してください。

MSAS AppTunnelを使用してバックエンド・リソース・リクエストがプロキシされるかどうかは、MAFアプリケーションおよびSecure Workspaceアプリケーションで使用される、MSASで生成されるのプロキシ自動構成ファイルによって決定されます。AppTunnelは、コンテナ化されたMAFアプリケーションへのセキュアなアクセスを提供する各Secure Workspaceアプリケーションから相互認証されたSSLトンネルです。AppTunnelでは、遷移中のすべてのデータを暗号化し、デバイス・レベルのモバイルVPNに接続中のユーザーのモバイル・デバイス上の悪意のあるアプリケーションから保護します。

コンテナ化されたMAFアプリケーションのOMSSサポートの概要は、第2.4項「エンタープライズ配布のためのMAFアプリケーションのコンテナ化」を参照してください。

30.5 MAF接続の構成

セキュリティが適用されるアプリケーション機能のアプリケーション・ログイン・サーバーに1つ以上の接続を定義する必要があります。アプリケーション・ログイン・サーバーへの定義済の接続が存在しないと、無効な構成になります。その結果、アプリケーションは正しく機能しません。

第30.5.1項 MAFログイン接続の作成方法

図30-2に示すとおり、モバイル・ログイン・サーバー接続ウィザードを使用して接続タイプを選択できますが、接続タイプによっては、ローカルおよびリモート認証(ハイブリッド)の両方を有効化できます。アプリケーション要件によっては、次の認証プロトコルをサポートするサーバーへの接続を構成できます。

  • HTTP基本

  • Mobile-Social

  • OAuth

  • Web SSO


注意:

OAuthまたはWeb SSO接続タイプを使用したログイン・サーバーへの接続を構成することをお薦めします。OAuthおよびWeb SSOは、リモート・ログイン・サーバーに対する認証を要求し、ユーザーがローカル資格証明ストアからデバイスで認証することを許可しません。

図30-2 認証の構成

この図は周囲のテキストで説明しています

ログイン・サーバー接続を作成するには:

  1. プロジェクト・エクスプローラで、アセンブリ・プロジェクトを展開してMAFを展開し、MAFアプリケーション・エディタをダブルクリックします。


    注意:

    MAFアプリケーション・エディタを使用すると、アプリケーション・ログイン・サーバー接続を定義し、それをデフォルトのアプリケーション機能に割り当てることができます(デフォルトのアプリケーション機能が保護されている場合)。この場合、アプリケーション・ログイン・サーバーに指定されている資格証明は、アクセス制御サービス(ACS)を介してユーザー、ロールおよびサービスを検索するためにも使用されます。第30.5.19項「アクセス制御サービスに関する必知事項」も参照してください。

  2. エディタで、アウトラインの「セキュリティ」を選択し、次のいずれかの隣にある「作成」をクリックします。

    • デフォルト・ログイン・サーバー

    • 「ログイン・ページ」

    • 「ナレッジベース認証ページ」

  3. 図30-2に示すとおり、モバイル・ログイン・サーバー接続ウィザードで、「新規接続の作成」を選択し、認証サーバー・タイプを選択します。接続タイプについては、次の項で説明します。

30.5.2 マルチテナント対応MAFログイン接続の作成方法

図30-3に示すように、モバイル・ログイン・サーバー接続ウィザードのオプション・ページを使用して、1つのアプリケーションに異なる組織(テナント)で共有可能な1つのホスト・アプリケーション機能が含まれ、それが特定のテナントによって所有されているように見える、マルチテナントの概念がサポートされるMAFアプリケーション接続を作成できます。次の認証プロトコルをサポートするサーバーへのマルチテナント対応接続を構成できます。

  • HTTP基本

  • Mobile-Social

図30-3 マルチテナント対応接続の構成

この図は周囲のテキストで説明しています

図30-4に示すように、マルチテナント対応接続が定義されたMAFアプリケーションによって表示されるデフォルトのログイン・ページでは、ユーザーがHTTPリクエストのテナント値を伝播するために、ドメインIDを入力するように求められます。

図30-4 マルチテナント対応接続のデフォルトのログイン・ページ

この図は周囲のテキストで説明しています

マルチテナント対応ログイン・サーバーを作成する手順:

  1. モバイル・ログイン・サーバー接続ウィザードで、マルチテナント・ログインをサポートする認証サーバー・タイプを選択します。

  2. オプションのページで、「マルチテナント対応」を選択して、認証サーバーで予想されるテナント・ヘッダー名を入力します。たとえば、ログイン中にエンド・ユーザーにテナントIDを求めるには、マルチテナント・ヘッダー名(X-ID-TENANT-NAME)を入力します。図30-4に示すように、デフォルトのログイン・ページによって、ドメイン名の入力がユーザーに求められます。

  3. オプションで、認証の実行に必要な追加のカスタム・ヘッダーの名前を入力します。これらは、マルチテナント・ヘッダーに加えて構成される場合があります。第30.5.14章「カスタム・ヘッダーに関する必知事項」も参照してください。

  4. カスタム・ヘッダーのヘッダー値がわかっている場合は、値を入力します。指定されたカスタム・ヘッダーの値がログイン中にオーバーライドされる場合は、対応する「値」フィールドを空のままにします。実行時にヘッダー値を指定する場合は、OverrideConnectionHandler APIを使用して値をプログラムで設定する必要があります。APIを使用してヘッダーを構成する方法の詳細は、第30.5.21項「認証前にログイン資格証明をプログラムで構成する方法」を参照してください。

第30.5.3項 基本認証の構成方法

図30-5に示すとおり、「モバイル・ログイン・サーバー」ウィザードで、「HTTP基本」認証サーバー・タイプを選択すると、基本認証の接続を構成できます。

図30-5 基本認証の構成

この図は周囲のテキストで説明しています

基本認証を構成するには:

  1. 「モバイル・ログイン・サーバー接続」ウィザードで、認証サーバー・タイプとして「HTTP基本」を選択します。「次へ」をクリックします。

    「モバイル・ログイン・サーバー接続」ウィザードを開く方法の詳細は、第30.5.1項「MAFログイン接続の作成方法」を参照してください。

  2. 「一般オプション」ページで、次の項目を定義します。

    • 「名前」: 接続の名前を入力します。

    • 認証モード: 表30-1の説明に従って、認証のタイプを選択します。

    • 「アイドル・タイムアウト」: MAFがアプリケーション機能のアクティブ化を検出しなくなって以降、アプリケーション機能をアイドル状態にしておく時間を入力します。この時間が経過すると、このログイン接続によって保護されているすべてのアプリケーション機能がタイムアウトになります。この状況では、ユーザーが再度その機能にアクセスすると、MAFによってログイン・ページが表示されます。デフォルトでは、アプリケーションが300秒(5分)アイドルのままである場合、ログイン・ページが表示されます。


      注意:

      MAFは、アイドル・タイムアウト後、ローカル資格証明ストアに対して認証を行いますが、セッション・タイムアウト後にこの認証を行うことはありません。

    • セッション・タイムアウト: ユーザーがアプリケーション機能にログインした状態のままでいられる時間を秒単位で指定します。セッションが期限切れになった後、アイドル・タイムアウト期間が経過していない場合、MAFは、ユーザーにログイン・ページを表示します。デフォルトでは、ユーザー・セッションは28,800秒(8時間)継続します。

    • 「HTTPリクエストに基本認証ヘッダーを含めます」: このオプションを選択すると、MAFでは、Webビューから作成したHTTPリクエストに基本認証ヘッダーを追加できます。基本認証は、MAFが使用するデフォルトのリクエスト・メソッドです。基本認証ヘッダーは、ログイン接続タイプがHTTP基本である場合にのみ挿入されます。第30.5.16項「基本認証ヘッダーの挿入に関する必知事項」も参照してください。

    • レルム: ユーザー名とパスワードの認証レルムを定義すると、OEPEによって、再利用可能な定義済の<realm>要素がconnections.xmlファイルに移入されます。詳細は、第30.5.16項「基本認証ヘッダーの挿入に関する必知事項」を参照してください。同じレルムの複数のページで資格証明を共有します。資格証明がMy Realmというレルムのページで動作する場合、同じユーザー名とパスワードの組合せは、同じレルムの別のページでも動作します。

    「次へ」をクリックします。

  3. 図30-6に示すとおり、「HTTP基本オプション」ページで、次の項目を構成します。

    • ログインURL: 認証サーバーのログインURLを入力します。

    • ログアウトURL: 認証サーバーのログアウトURLを入力します。

    • 「マルチテナント対応」: MAFでは、モバイル・アプリケーションは、様々な組織(テナント)が共有するホスト・アプリケーション機能を含みますが、その機能は特定のテナントによって所有されているかのように見えるマルチテナントの概念をサポートしています。このオプションを選択すると、モバイル・アプリケーション接続にマルチテナント対応を定義できます。第30.5.10項「マルチテナント対応接続を作成する場合の処理」も参照してください。

    • マルチテナント・ヘッダー名: 「マルチテナント対応」が選択されている場合、ヘッダー名を指定します。

    • カスタム認可ヘッダー: 認証の実行に必要なカスタム・ヘッダーの名前を入力します。第30.5.14章「カスタム・ヘッダーに関する必知事項」も参照してください。

      カスタム・ヘッダーのヘッダー値がわかっている場合は、値を入力します。指定されたカスタム・ヘッダーの値がログイン中にオーバーライドされる場合は、対応する「値」フィールドを空のままにします。実行時にヘッダー値を指定する場合は、OverrideConnectionHandler APIを使用して値をプログラムで設定する必要があります。APIを使用してヘッダーを構成する方法の詳細は、第29.5.23項「認証前にログイン資格証明をプログラムで構成する方法」を参照してください。

    図30-6 基本認証の構成

    このイメージについては周囲のテキストで説明しています。
  4. 「テスト」をクリックして、認証サーバーへの接続をテストします。結果はウィザードに表示されます。

  5. 第30.5.8項「ログイン資格証明の格納方法」に示すとおり、「次へ」をクリックして、「ログイン・オプション」ページを開いて、パラメータを構成します。

  6. 第30.5.18項「アクセス制御の構成方法」に示すとおり、「次へ」をクリックして、「認可オプション」ページを開いて、パラメータを構成します。

  7. 「終了」をクリックして、接続を作成します。

30.5.4 Oracle MobileおよびSocial Identity Managementを使用した認証の構成方法

図30-7に示すとおり「モバイル・ログイン・サーバー接続」でOracle Access Management Mobile and Social (OAMMS)認証サーバー・タイプを選択すると、Oracle Access Manager (OAM)サーバーを使用して認証できるようにモバイル・アプリケーションの接続を構成できます。この接続タイプのOAMバックエンドは、Oracle Mobile and Socialサーバーおよび10g WebGate (リソースに対するHTTPリクエストを捕捉して、それらを認証と認可のためにOAMサーバーに転送するWebサーバー・プラグイン)を実行している必要があります。

図30-7 Mobile-Socialを使用した認証の構成

このイメージについては周囲のテキストで説明しています。

始める前に:

OAMバックエンドがOracle Mobile and Socialサーバーおよび10g Webgateを実行していることを確認します。

OM_PROP_OAMMS_URLプロパティ・キーを使用するようにサーバーを構成します。Mobile and Socialサーバーにアクセスするには、このURL(プロトコル、ホスト名およびポート番号を含む)が必要です。HTTPおよびHTTPSプロトコルのみがサポートされています。また、OAM_ID CookieをWebサーバー・リクエスト・ヘッダーに挿入するようにサーバーを構成する必要もあります。


注意:

この接続タイプには、ナレッジベース認証(KBA)が必要です。詳細は、第30.6.2項「ログイン・ページの指定方法」を参照してください。

Oracle Mobile and Socialサーバーを使用してOracle Access Managementで認証を構成するには:

  1. 「モバイル・ログイン・サーバー接続」ウィザードで、認証サーバー・タイプとして「Oracle Access Management Mobile and Social (OAMMS)」を選択し、「次へ」をクリックします。

    「モバイル・ログイン・サーバー接続」ウィザードを開く方法の詳細は、第30.5.1項「MAFログイン接続の作成方法」を参照してください。

  2. 「一般オプション」ページで、次の項目を定義します。

    • 「接続名」: 接続の名前を入力します。

    • 認証モード: 表30-1の説明に従って、認証のタイプを選択します。

    • 「アイドル・タイムアウト」: MAFがアプリケーション機能のアクティブ化を検出しなくなって以降、アプリケーション機能をアイドル状態にしておく時間を入力します。この時間が経過すると、このログイン接続によって保護されているすべてのアプリケーション機能がタイムアウトになります。この状況では、ユーザーが再度その機能にアクセスすると、MAFによってログイン・ページが表示されます。デフォルトでは、アプリケーションが300秒(5分)アイドルのままである場合、ログイン・ページが表示されます。


      注意:

      MAFは、アイドル・タイムアウト後、ローカル資格証明ストアに対して認証を行いますが、セッション・タイムアウト後にこの認証を行うことはありません。

    • セッション・タイムアウト: ユーザーがアプリケーション機能にログインした状態のままでいられる時間を秒単位で指定します。セッションが期限切れになった後、アイドル・タイムアウト期間が経過していない場合、MAFは、ユーザーにログイン・ページを表示します。デフォルトでは、ユーザー・セッションは28,800秒(8時間)継続します。

    • 「RESTコールにログイン・サーバーを含める」: リモート認証を使用したアプリケーション機能では、このオプションを選択すると、ログイン・サーバー生成ユーザー・セッション・コードを通じてログイン・サーバーに格納される、認可されたユーザー・データを取得するためにREST Webサービスを有効化できます。


      注意:

      CookieをREST Webサービス・コールに挿入できるようにするには、アプリケーション機能にリモート認証が使用されている必要があり(MAFは、ユーザー資格証明をローカルに保存するアプリケーション機能に対するCookieの挿入をサポートしていません)、また「ログインURL」に入力されたドメインが、REST Webサービス・エンド・ポイントと一致する必要があります。

    • 「HTTPリクエストに基本認証ヘッダーを含めます」: このオプションを選択すると、MAFでは、Webビューから作成したHTTPリクエストに基本認証ヘッダーを追加できます。基本認証は、MAFが使用するデフォルトのリクエスト・メソッドです。基本認証ヘッダーは、ログイン接続タイプがHTTP基本である場合にのみ挿入されます。第30.5.16項「基本認証ヘッダーの挿入に関する必知事項」も参照してください。

  3. 「OAMMS」ページで、Oracle Access Management Mobile and SocialサーバーのURLを入力し、モバイル・アプリケーション・サービス・ドメインを入力します。

    また、図30-8に示すとおり、サーバーがデバイス上で場所を更新できるように接続を構成することもできます。

    図30-8 OAM認証の構成

    このイメージについては周囲のテキストで説明しています。
  4. 第30.5.8項「ログイン資格証明の格納方法」に示すとおり、「次へ」をクリックして、パラメータを構成できる「ログイン・オプション」ページを開きます。

  5. 第30.5.18項「アクセス制御の構成方法」に示すとおり、「次へ」をクリックして、パラメータを構成できる「認可オプション」ページを開きます。

第30.5.5項 OAuth認証の構成方法

図30-9に示すとおり、「モバイル・ログイン・サーバー接続」ウィザードを使用して、サード・パーティ・アプリケーション(クライアント)が、保護されているデータまたはリモート・サーバー上に格納されているサービスへの制限付きアクセスを取得する方法を構成できます。Oracle Mobile and Socialサーバーが提供するリライイング・パーティ認証を使用すると、アプリケーションで、サードパーティOAuthプロバイダに対する認証を行うことができます。Oracle Web Services Manager (OWSM) Lite MobileのADFアプリケーション・エージェントは、Webサービス・コールのセキュリティ・ヘッダーにCookieを挿入します。

図30-9 OAuthの構成

この図は周囲のテキストで説明しています

始める前に:

OM_PROP_OAUTH_OAUTH20_SERVERプロパティ・キーを使用するようにサーバーを構成します。

OAuthサーバーで認証を構成するには:

  1. 「モバイル・ログイン・サーバー接続」ウィザードで、「認証サーバー・タイプ」として「OAuth2」を選択し、「次へ」をクリックします。

    「モバイル・ログイン・サーバー接続」ウィザードを開く方法の詳細は、第30.5.1項「MAFログイン接続の作成方法」を参照してください。

  2. 「一般」ページで、次の項目を構成し、「次へ」をクリックします。

    • 「接続名」: 接続の名前を入力します。

    • 「RESTコールにログイン・サーバーを含める」: リモート認証を使用したアプリケーション機能では、このオプションを選択すると、ログイン・サーバー生成ユーザー・セッション・コードを通じてログイン・サーバーに格納される、認可されたユーザー・データを取得するためにREST Webサービスを有効化できます。


      注意:

      CookieをREST Webサービス・コールに挿入できるようにするには、アプリケーション機能にリモート認証が使用されている必要があり(MAFは、ユーザー資格証明をローカルに保存するアプリケーション機能に対するCookieの挿入をサポートしていません)、また「ログインURL」に入力されたドメインが、REST Webサービス・エンド・ポイントと一致する必要があります。

  3. 「OAuth2」ページで、図30-10に示すとおり、次の項目を構成し、「次へ」をクリックします。

    • 「権限タイプ」を選択し、アプリケーションがログイン・ページを取得する場所を決めます。サーバー・ログイン・ページを表示する場合は、「認可コード」を選択します。MAFアプリケーションでデフォルト・ログイン・ページまたはカスタム・ログイン・ページ(構成されている場合)を表示する場合は、「リソース所有者の資格証明」を選択します。

    • 「クライアントID」を入力し、オプションで、「クライアント・シークレット」フィールドに接続パスワードの値を入力します。

    • 「認可エンドポイント」自体のエンドポイントのURI、「トークン・エンドポイント」および認証サーバーの「リダイレクト・エンドポイント」を入力します。

    • 「ログアウトURL」を入力します。

    • 「マルチテナント対応」: MAFでは、モバイル・アプリケーションは、様々な組織(テナント)が共有するホスト・アプリケーション機能を含みますが、その機能は特定のテナントによって所有されているかのように見えるマルチテナントの概念をサポートしています。このオプションを選択すると、モバイル・アプリケーション接続にマルチテナント対応を定義できます。第30.5.10項「マルチテナント対応接続を作成する場合の処理」も参照してください。

    • マルチテナント・ヘッダー名: 「マルチテナント対応」が選択されている場合、ヘッダー名を指定します。

    • 基本認証ヘッダーを含める: このオプションを選択すると、MAFでは、Webビューから作成したHTTPリクエストに基本認証ヘッダーを追加できます。第30.5.16項「基本認証ヘッダーの挿入に関する必知事項」も参照してください。

    • Cookieの挿入はデフォルトで選択されます。

    • ログイン・ページをアプリケーション内の埋込みブラウザ内に表示する場合は、「埋込みブラウザの使用」を選択します。外部ブラウザでログイン・ページを表示するには選択解除します。シングル・サインオン(SSO)を使用する場合、このオプションを選択解除して、アプリケーションに外部ブラウザを使用させる必要があることに注意してください。

    • 「スコープ」に1つ以上入力します。

    図30-10 クライアントIDおよびエンドポイントの構成

    このイメージについては周囲のテキストで説明しています。
  4. 第30.5.18項「アクセス制御の構成方法」の説明に従って、「認可」ページでパラメータを構成します。

第30.5.6項 Web SSO認証の構成方法

図30-11に示すとおり、「モバイル・ログイン・サーバー接続」ウィザードを使用して、クロスドメイン・シングル・サインオンを構成できます。

図30-11 フェデレーテッドSSO認証の構成

このイメージについては周囲のテキストで説明しています。

Web SSOサーバーで認証を構成するには:

  1. 「モバイル・ログイン・サーバー接続」ウィザードで、認証サーバー・タイプとして「Webシングル・サインオン」を選択し、「次へ」をクリックします。

    「モバイル・ログイン・サーバー接続」ウィザードを開く方法の詳細は、第30.5.1項「MAFログイン接続の作成方法」を参照してください。

  2. 「一般オプション」ページで、図30-12に示すとおり、次の項目を構成します。

    図30-12 接続の構成

    このイメージについては周囲のテキストで説明しています。
    • 「接続名」: 接続の名前を入力します。

    • セッション・タイムアウト: ユーザーがアプリケーション機能にログインした状態のままでいられる時間を秒単位で指定します。セッションが期限切れになった後、アイドル・タイムアウト期間が経過していない場合、MAFは、ユーザーにログイン・ページを表示します。デフォルトでは、ユーザー・セッションは28,800秒(8時間)継続します。

    • 「RESTコールにログイン・サーバーを含める」: リモート認証を使用したアプリケーション機能では、このオプションを選択すると、ログイン・サーバー生成ユーザー・セッション・コードを通じてログイン・サーバーに格納される、認可されたユーザー・データを取得するためにREST Webサービスを有効化できます。

    「次へ」をクリックします。

  3. 「Webシングル・サインオン・オプション」ページで、成功したログインと失敗したログインを有効化するURLを構成します。この図は周囲のテキストで説明していますをクリックしてURLをテストできます。

    図30-13 認証URLの構成

    この図は周囲のテキストで説明しています
  4. 第30.5.18項「アクセス制御の構成方法」に示すとおり、「次へ」をクリックして、「認可オプション」ページで、パラメータを構成します。

第30.5.7項 実行時の名前付き接続の接続属性の更新方法

アプリケーション開発者は、AdfmfJavaUtilities.updateSecurityConfigWithURLParameters APIを使用して、完全に移入された接続定義にすでに存在する接続の接続属性の定義または再定義を行うことができます。


注意:

一般的なタイミングは、アプリケーション・ライフサイクル・リスナー内でstart()メソッド実装にAdfmfJavaUtilities.updateSecurityConfigWithURLParametersAPIをコールします。機能ライフサイクル・リスナー内からこのメソッドをコールしないでください。

configUrlParamパラメータに関連付けられた接続属性を更新するには、updatedSecurityConfigWithURLParametersメソッドを次のようにコールします。

import oracle.adfmf.framework.api.AdfmfJavaUtilities;
...
   AdfmfJavaUtilities.updateSecurityConfigWithURLParameters(configUrlParam,
              key, message, showConfirmation);

keyパラメータは、connections.xmlファイル内のadfCredentialStoreKeyパラメータに対して定義されている値からStringオブジェクトとして設定されます。MAFが接続の既存の属性に対する接続構成の変更を検出すると、trueに設定されたshowConfirmationパラメータでメソッドを呼び出して、MAFで確認プロンプトをエンド・ユーザーに表示できます。

oracle.adfmf.framework.api.AdfmfJavaUtilitiesクラスおよびconfigUrlParamパラメータの使用方法の詳細は、Oracle Mobile Application Framework Java APIリファレンスを参照してください。

第30.5.8項 ログイン資格証明の格納方法

セキュリティが重要でない場合、MAFはユーザー資格証明の格納をサポートしますが、これは、ログイン・サーバーにリプレイできるか、またはユーザーをローカルで認証するために使用できます(ログイン接続に定義されているモードによって異なります)。資格証明を格納すると、ユーザーはログインせずにモバイル・アプリケーションにアクセスできるため、ユーザーの操作性が向上します。IDM Mobile SDKを使用すると、MAFは次のモードをサポートできます。

  • 自動ログイン - MAFはユーザー資格証明をキャッシュし、以降の認証時にそれらを認証サーバーにリプレイします。このモードでは、ユーザーは、MAFによってユーザーに資格証明を入力または確認するよう求められずにアプリケーションを起動できます。ただし、MAFは、新しいアプリケーション・セッションが開始されたことをユーザーに通知できます。

  • 資格証明を記憶 - MAFは、ユーザー資格証明をキャッシュし、ログイン・ページのユーザー名およびパスワード・フィールドを移入します。ユーザーがログイン・ボタンをタップして、これらの資格証明を確認すると、MAFはそれらを認証サーバーにリプレイします。

  • ユーザー名を記憶 - MAFは、ユーザー名をキャッシュし、ログイン・ページの「ユーザー名」フィールドを移入します。ユーザーがパスワードを入力し、ログイン・ボタンをタップして確認すると、MAFはそれらの資格証明を認証サーバーにリプレイします。


注意:

ユーザーは、MAFが資格証明を格納するかどうかを決定できます。

図30-14に示すとおり、「モバイル・ログイン・サーバー接続」ウィザードの「ログイン・オプション」ページを使用して、資格証明の格納オプションを選択できます。資格証明オプションを使用すると、オプションを使用したログイン・ページが移入され、ユーザー名とパスワードが記憶されるため、オプションデバイスが複数のエンド・ユーザーによって共有されている場合は選択しないでください。

図30-14 ユーザー資格証明のキャッシュ

この図は周囲のテキストで説明しています

30.5.9 MAFアプリケーションの接続の作成時に行われる処理

MAFでは、connections.xmlファイル内のすべての接続情報が集約されます(このファイルはadfおよびADF META-INFノードの下のアセンブリ・プロジェクトにあります)。次の例に示すこのファイルは、アプリケーションにバンドルするか、構成サービスにホストできます。後者の場合、MAFは、アプリケーションが起動されるたびに、更新済の構成情報があるかどうかをチェックします。


注意:

MAFアプリケーション認証の要件として、OEPEはadfCredentialStoreKey属性をログイン接続参照と同じ名前(例: Connection_1)に設定します。connections.xmlファイルのadfCredentialStoreKey属性またはログイン接続名を編集する場合は、値を互いに同じに設定してください。同じ値を維持しないと、MAF実行時例外が発生します。

<?xml version = '1.0' encoding = 'UTF-8'?>
<References xmlns="http://xmlns.oracle.com/adf/jndi">
  <Reference name="Connection_1"
             className="oracle.adf.model.connection.adfmf.LoginConnection"
             adfCredentialStoreKey="Connection_1"
             partial="false"
             manageInOracleEnterpriseManager="true"
             deployable="true"
             xmlns="">
      <Factory className="oracle.adf.model.connection.adfmf.LoginConnectionFactory"/>
      <RefAddresses>
         <XmlRefAddr addrType="adfmfLogin">
            <Contents>
               <login url="http://10.0.0.0/SecuredWebServicelogin/login"/>
               <logout url="http://10.0.0.0/SecuredWebServicelogout/logout"/>
               <accessControl url="http://10.0.0.0/Identity/Authorize"/>
               <isAcsCalledAutomatically value="false"/>
               <idleTimeout value="300"/>
               <sessionTimeout value="28800"/>
               <isMultiTenantAware value="true"/>
               <multiTenantHeaderName value="Oracle_Multi_Tenant"/>
               <injectCookiesToRESTHttpHeader value="true"/>
               <userObjectFilter>
                  <role name="manager"/>
                  <privilege name="account manager"/>
                  <privilege name="supervisor"/>
                  <privilege name=""/>
               </userObjectFilter>
               <rememberCredentials>
                    <enableRememberUserName value="true"/>
                    <rememberUserNameDefault value="true"/>
                    <enableRememberPassword value="true"/>
                    <rememberPasswordDefault value="true"/>
                    <enableStayLoggedIn value="true"/>
                    <stayLoggedInDefault value="true"/>
               </rememberCredentials>
            </Contents>
         </XmlRefAddr>
      </RefAddresses>
   </Reference>
</References>

30.5.10 マルチテナント対応接続を作成する場合の処理

「マルチテナント対応」オプションを有効にしてモバイル・ログイン・サーバー接続ウィザードを完了すると、MAFは、connections.xmlファイルに、trueに設定された<isMultiTenantAware>要素を移入します。マルチテナント接続では、ユーザー名はテナント名とユーザー名の組合せです。

接続がマルチテナント対応である場合、ログイン・ページは、JavaScriptユーティリティを使用して認識します。ログイン・ページでそのような接続が検出されると、図30-3に示すように、「MAFログイン接続の作成」で構成したテナント名をユーザーが入力する必要がある追加フィールドが表示されます。ログイン(正しいテナントIDの入力を含む)が成功すると、MAFは、ローカル資格証明ストアにテナントIDを格納します。

30.5.11 ログイン接続構成に関する必知事項

保護されたMAF機能へのアクセス権を付与するためのログインURLをconnections.xmlファイルまたはプログラムを使用して定義する場合、ログインURLはmydocument.txtのようなファイル・リソースを指すことはできません。このログインURLは、リクエスト時にファイル転送が発生しないWebリソースを指している必要があります。ファイル・リソースが使用されていると、MAFアプリケーションがハングするかログインに失敗して、ユーザーが保護されたMAF機能にアクセスできない場合があります。

30.5.12 ログイン接続およびコンテナ化されたMAFアプリケーションへのアクセスに関する必知事項

Oracle Mobile Security Suite (OMSS) AppTunnel機能を使用して企業のリソースにアクセスするには、MAFアプリケーションによって使用されるURIまたはエンドポイントをプロキシしてリソースにアクセスするように、Mobile Security Access Server (MSAS)インスタンスを構成する必要があります。詳細は、『Oracle Mobile Security Access Serverの管理』の「Mobile Security Access Serverアプリケーションの管理」および「Mobile Security Access Serverインスタンスの構成」を参照してください。

HTTP基本認証はOMSSによってサポートされますが、MAFログイン・ページは、OMSS認証プロセスによって再度表示されるため、ユーザーは2回認証する必要があります。

コンテナ化されたMAFアプリケーションの認証の詳細は、第29.4項「コンテナ化されたMAFアプリケーションの認証プロセスの概要」を参照してください。

第30.5.13項 ローカル接続およびハイブリッド・ログイン接続のための複数IDに関する必知事項

ローカルおよびハイブリッド・ログイン接続モードでは、リモート接続と同様、ユーザーはアプリケーション・ライフサイクル内で任意の数のIDを使用して、ログインおよびログアウトできます。ログイン接続を定義してこれらの接続モードを使用するとき、現在のセッション・タイムアウト期間内に、保護されているアプリケーション機能にすでにログイン済である場合は、ユーザーは、ローカル資格証明ストアを使用して保護されているアプリケーション機能に再びログインできます。この場合、明示的にログアウトしたユーザーまたはアイドル・タイムアウトが期限切れになっているためにログアウトされたユーザーは、保護されているアプリケーション機能(またはアプリケーション機能を保護するログイン・サーバーによって保護されているその他のアプリケーション機能)に再びログインできます。


注意:

基本認証およびOracle Access Management Mobile and Social (OAMMS)への認証では、ローカルおよびハイブリッド接続のみを利用できます。OAuthおよびFederate SSOはリモート認証を使用するため、認証が成功しない場合、アプリケーション・ユーザーはアプリケーションに再びログインできません。

30.5.14 カスタム・ヘッダーに関する必知事項

カスタム・ヘッダーを定義して「MAFログイン接続の作成」ダイアログへの入力を完了すると、MAFは、connections.xmlファイルに、customAuthHeaders要素および各headerサブ要素を移入します。

カスタム・ヘッダーの値を実行時に指定すると、MAFアプリケーションはoracle.adfmf.framework.api.AdfmfJavaUtilitiesクラスのOverrideConnectionHandler APIを使用してヘッダー値を構成できます。oracle.adfmf.framework.api.AdfmfAuthConnectionクラスは、connection.xml XML要素がオーバーライドされている場合に、それらの要素にアクセスして最新の値を取得するための便利な方法です。第30.5.21項「認証前にログイン資格証明をプログラムで構成する方法」を参照してください。

ログイン(正しいヘッダー値の入力を含む)に成功すると、MAFはヘッダーの詳細をローカルの資格証明ストアに格納するため、HTTPリクエスト時に、セキュアなコール(RESTサービスに対するコールなど)にカスタム・ヘッダーを含めることができます。

第30.5.15項 実行時に行われる処理: MAFがREST Webサービスをコールした場合

ユーザーがローカルで認証されると、MAFは、モバイル・アプリケーションがREST Webサービスをコールするときに、ログイン・サーバーに対してユーザーをサイレントに認証します。ユーザーの資格証明が認証されると、MAFは、REST Webサービスに対してアプリケーションのリクエストを実行します。REST Webサービスが401ステータス・コードを返した場合(未許可)、MAFは、ユーザーにもう一度認証するよう求めます。REST Webサービスが302コードを返した場合(見つかったか一時的に移動されている)、MAFは、ログイン・サーバーをチェックして、ユーザーが認証されているか確認します。その場合は、コードが302リダイレクトとして処理されます。

ユーザーがログイン・サーバーに対して認証されていない場合、MAFは、ユーザーにもう一度認証するよう求めます。302ステータス・コードを返した場合、ログイン・サーバーは、ユーザーに独自のWebページを使用して認証するよう求めることもあります。このような場合、MAFはリダイレクションをサポートしていないため、かわりにユーザーにもう一度MAFログイン・ページを使用してログインするよう求めます。

30.5.16 基本認証ヘッダーの挿入に関する必知事項

MAFでは、Webビューから発行されたHTTPリクエストに基本認証ヘッダーを挿入することで、アプリケーション機能からセキュア・リソースにアクセスできます。これは、リモートのWebリソースが基本認証によって保護されており、認証に対してCookieが十分でないか、サーバーがCookieをまったく受け付けない状況に便利です。デプロイメント時に判明している場合は、「MAFログイン接続の作成」ダイアログの「認可」タブの「レルム」入力フィールドにリクエスト・レルムを指定します。デプロイメント時に判明していない場合、実行時にAdfmfJavaUtilities.overrideConnectionPropertyを使用してリクエスト・レルムを変更できます。

次の例は、「レルム」入力フィールド(realm要素)に値を指定する場合のconnections.xmlファイルに表示されるエントリを示しています。

<?xml version = '1.0' encoding = 'UTF-8'?>
<References xmlns="http://xmlns.oracle.com/adf/jndi">
   <Reference name="connection1" 
              className="oracle.adf.model.connection.adfmf.LoginConnection" 
              adfCredentialStoreKey="connection1" 
              partial="false" manageInOracleEnterpriseManager="true"
              deployable="true" xmlns="">
      <Factory className=
                     "oracle.adf.model.connection.adfmf.LoginConnectionFactory"/>
      <RefAddresses>
         <XmlRefAddr addrType="adfmfLogin">
            <Contents>
               <login url="http://www.us.example.com/userInfo"/>
               <logout url="http://www.us.example.com/userInfo"/>
               <accessControl url="http://10.0.0.0/identity/authorize"/>
               <idleTimeout value="300"/>
               <sessionTimeout value="28800"/>
               <cookieNames/>
               <realm value="Secure Area"/>
               <userObjectFilter/>
            </Contents>
         </XmlRefAddr>
      </RefAddresses>
   </Reference>
</References>

30.5.17 Webサービス・セキュリティに関する必知事項

Webサービスでは、ログイン・ページはなく、かわりに、MAFによってユーザー・アクセスが有効化され、Webサービス・コールのヘッダーに資格証明が挿入されます。Webサービスは、ローカルに格納されている資格証明(ユーザーによる認証サーバーへの最初のログインの成功後、MAFによって保持されている資格証明)を使用してアプリケーション・データにアクセスします。

ローカル資格証明ストアの名前は、ログイン・サーバー接続のadfCredentialStoreKey属性によって反映されます(第30.5.9項「モバイル・アプリケーション作成時の処理」の例のadfCredentialStoreKey="Connection_1"など)。Webサービスがこの資格証明ストアを使用できるようにするには、SOAPまたはREST Webサービス接続のadfCredentialStoreKey属性に対して定義されている名前が、ログイン・サーバーのadfCredentialStoreKey属性に対して定義されている名前と一致する必要があります。connections.xmlファイルのadfCredentialStoreKey属性またはログイン接続名を編集する場合は、値を互いに同じに設定してください。同じ値を維持しないと、MAF実行時例外が発生します。


注意:

connections.xmlファイルの概要エディタはないため、「プロパティ」ウィンドウを使用して、<Reference>要素のadfcredentialStoreKey属性をログイン・サーバー接続のadfCredentialStoreKey属性用に構成されている名前で更新できます。または、「ソース」エディタを使用して属性を追加または更新できます。

詳細は、第15.6.4項「資格証明の挿入に関する必知事項」を参照してください。

第30.5.18項 アクセス制御の構成方法

アクセス制御サービス(ACS)は、JSONを使用したRESTful Webサービスであり、オプションでMAFアプリケーションとは別の外部サーバー上にデプロイすることができます。通常は、アプリケーション機能に保護されたコンポーネントが含まれている場合に、ユーザーが単一のHTTP POSTメッセージを介して自身のユーザー・ロールと権限をダウンロードできるよう、MAFアプリケーションにACSサービスを提供します。このサービスをアプリケーションに提供する場合は、ACSサービスを実装してホストする必要があります(MAでは、このサービスは提供されません)。図30-15は、モバイル・ログイン・サーバー接続ウィザードの「認可」ページを示したもので、このページを使用してMAFアプリケーションのアクセス制御を構成します。

図30-15 アクセス制御の構成

この図は周囲のテキストで説明しています

アプリケーション・ログイン・サーバーによって付与されるアクセス制御は、第23.2.4項「ユーザー制約とアクセス制御について」で説明されているとおり、そのアプリケーション機能のために構成されているuser.rolesおよびuser.privileges制約の評価に基づきます。たとえば、manager_roleロールを持つユーザーにのみアプリケーション機能へのアクセスを許可するには、maf-feature.xmlファイル内の<adfmf:constraints>要素を次のように定義する必要があります。

<adfmf:constraint property="user.roles"
                  operator="contains"
                  value="manager_role"/>
</adfmf:constraints>

アプリケーションの起動時、アプリケーション・ログイン・サーバー接続のために、アクセス制御サービス(ACS)として知られているRESTful Webサービスが呼び出され、そのユーザーに割り当てられているロールと権限がフェッチされます。その後、MAFは、アプリケーション・ログイン・サーバー接続に対してログインするようにユーザーに要求します。

MAFは、取得されたユーザー・ロールと権限に照らして各アプリケーション用に構成されている制約を評価し、関連付けられているすべての制約を満たすユーザーのみがアプリケーション機能を使用できるようにします。

アクセス制御を構成するには:

  1. 「モバイル・ログイン・サーバー接続」ウィザードで、「認可」ページに移動します。

    「モバイル・ログイン・サーバー接続」ウィザードを開く方法の詳細は、第30.5.1項「MAFログイン接続の作成方法」を参照してください。

  2. 図30-15に示すとおり、「認可」ページで、認可要件を完了します。

    • アクセス制御サービスURL: アクセス制御サービス(ACS)のエンドポイントであるURLを入力します。

    • 「ロール」: アプリケーション機能によってチェックされるユーザー・ロールを入力します。セキュリティ・システムには、数千もの定義済のユーザー・ロールおよび権限が存在する可能性があるため、アプリケーション機能に固有のロールが記載されているマニフェスト(これは、アプリケーション機能の開発者によって提供されます)を使用して、このリストを作成します。

    • 「権限」: アプリケーション機能によってチェックされる権限を入力します。

30.5.19 アクセス制御サービスに関する必知事項

アクセス制御サービス(ACS)は、ユーザーが単一のHTTP POSTメッセージを介して自身のユーザー・ロールと権限をダウンロードできるようにする、JSONを使用したRESTful Webサービスです。これは、特定のユーザーのロールまたは権限(あるいはその両方)を戻すリクエスト・メッセージです。必要なロールと権限のリストを提供することで、特定のロールと権限を戻すこともできます。リクエスト・メッセージは、次のもので構成されています。

  • リクエスト・ヘッダー・フィールド: If-MatchAccept-LanguageUser-AgentAuthorizationContent-TypeContent Length

  • リクエスト・メッセージ本文(ユーザー情報のリクエスト)。

  • 次のものが含まれている、リクエストされたJSONオブジェクト:

    • userId: ユーザーID。

    • filterMask: ユーザー・ロールと権限のいずれのフィルタを使用する必要があるのかを判断するために使用される"role"要素と"privilege"要素の組合せ。

    • roleFilter: ユーザー情報をフィルタ処理するために使用されるロールのリスト。

    • privilegeFilter: ユーザー情報をフィルタ処理するために使用される権限のリスト。


注意:

すべてのロールを戻す必要がある場合は、filterMask配列に"role"要素を含めないでください。

すべての権限を戻す必要がある場合は、filterMask配列に"privilege"要素を含めないでください。


次の例は、HTTP POSTメッセージを示しています。この例では、JSONオブジェクトをペイロードとして識別し、John Smithというユーザーに割り当てられているすべてのフィルタとロールをリクエストします。

Protocol: POST
Authoization: Basic xxxxxxxxxxxx
Content-Type: application/json
 
{
        "userId": "johnsmith",
        "filterMask": ["role", "privilege"],
        "roleFilter": [ "role1", "role2" ],
        "privilegeFilter": ["priv1", "priv2", "priv3"] 
}

レスポンスは、次のもので構成されています。

  • 次のフィールドを持つレスポンス・ヘッダー: Last-ModifiedContent-TypeおよびContent-Length

  • ユーザー情報の詳細を含むレスポンス・メッセージ本文。

  • 戻されるJSONオブジェクト。これには次のものが含まれます。

    • userId: ユーザーのID。

    • roles: ユーザー・ロールのリスト。これは、リクエスト内のroleFilter配列を定義することでフィルタ処理できます。フィルタ処理しない場合は、そのユーザーに割り当てられているロールのリスト全体が戻されます。

    • privileges: ユーザーの権限のリスト。これは、リクエスト内のprivilegeFilter配列を定義することでフィルタ処理できます。フィルタ処理しない場合は、そのユーザーに割り当てられている権限のリスト全体が戻されます。

次の例は、戻されたJSONオブジェクトを示しています。これには、ユーザー名およびJohn Smithというユーザーに割り当てられているロールと権限が含まれています。

Content-Type: application/json
 
{
        "userId": "johnsmith",
        "roles": [ "role1" ],
        "privileges": ["priv1", "priv3"] 
}

注意:

Webサービスでは、ログイン・ページはなく、かわりに、MAFによってユーザー・アクセスが有効化され、Webサービスのヘッダーに自動的に資格証明が追加されます。詳細は、第15.6.4項「資格証明の挿入に関する必知事項」を参照してください。


注意:

ACSサービスを実装してホストする必要があり、MAFでは、このサービスは提供されません。

第30.5.20項 アプリケーションのロード順の変更方法

MAFは、図30-15に示すように、http://10.0.0.0/Identity/AuthorizeなどのACSエンド・ポイントを定義するログイン接続に対する認証にユーザーが成功した後にアクセス制御サービス(ACS)を起動します。ログインが成功した後すぐにACSがコールされないようにこの動作を変更すると、ログインとACSの起動間にカスタム・プロセスを挿入できます。この追加ロジックは、アプリケーションの仕様に基づいてログインが成功した後にMAFがコールしたセキュリティ・コンテキストである場合か、またはユーザーの職責、組織またはセキュリティ・グループに関連している場合があります。

connections.xmlファイルを<isAcsCalledAutomatically value = "false"/>に更新し、AdfmfJavaUtilitiesクラス(必要に応じてMAFアプリケーション機能でACSをコール可能)に次のメソッドを使用して順序を変更できます。

invokeACS(String key, String OptionalExtraPayLoad, boolean appLogin)

invokeACSメソッドを使用すると、ACSリクエストに追加のペイロードを挿入できます。keyパラメータは、connections.xmlファイルのadfCredentialStoreKeyパラメータに対して定義されている値からStringオブジェクトとして戻されます(第30.5.16項「基本認証ヘッダーの挿入に関する必知事項」の例を参照)。appLoginパラメータをtrueに設定すると、ACSでフィーチャ・アクセスが再評価できます。OptionalExtraPayLoadパラメータは、今後の使用のために予約済であるため使用されません。

invokeACSメソッドまたはisAcsCalledAutomaticallyパラメータのいずれかを使用してACSを起動すると、アプリケーションにロール・ベースの制約が取得されます。


注意:

connections.xmlファイルに<isAcsCalledAutomatically value = "false"/>が含まれていない場合、MAFは、ログインに成功した後、自動的にACSを起動します。

保護されているアプリケーション機能がinvokeACSメソッドをコールすると、MAFは、保護されているアプリケーション機能に構成されている制約を含む、アプリケーション・ログイン接続に関連付けられたすべてのアプリケーション機能のユーザー制約をフェッチします。保護されていないアプリケーション機能がこのメソッドをコールすると、MAFは、ログイン接続に関連付けられた制約を取得するのみです。


注意:

invokeACSメソッドに加え、AdfmfJavaUtilitiesクラスには、次のライフサイクル・メソッドが含まれています。
  • applicationLogout: アプリケーション・ログイン接続をログアウトします。

  • featureLogout(<feature_ID>): アプリケーション機能に関連付けられたログイン接続をログアウトします。

詳細は、Oracle Mobile Application Framework Java APIリファレンスを参照してください。


30.5.21 認証前にログイン資格証明をプログラムで構成する方法

MAFアプリケーションがログイン接続を起動してユーザーを認証する前に、接続値をプログラムで設定できます。この技術は、たとえば、カスタム・ヘッダー名がモバイル・ログイン・サーバー接続ウィザードで定義されているが、値を実行時に指定する必要がある場合に必要になることがあります。接続の詳細をプログラムで構成するために、MAFアプリケーションでは、oracle.adfmf.framework.api.AdfmfJavaUtilitiesクラスのOverrideConnectionHandler APIを起動できます。このAPIは、現在の接続プロパティを新しい値でオーバーライドし、オーバーライドされた値でアプリケーションがログインを開始できます。

接続値をプログラムでオーバーライドするには、次の一般的なプロセスが必要です。

  1. オーバーライドするプロパティを定義するXML要素の名前をconnections.xmlファイルから取得する。

  2. 認証の前にオーバーライド値を取得する。たとえば、MAFアプリケーションでは、AMXページを定義して、この用途で値をエンド・ユーザーに求める場合があります。

  3. オーバーライド・メソッドを実装するマネージドBeanを起動し(接続プロパティのオーバーライドごとに1つ)、ゲッター・メソッドとセッター・メソッドを定義する。たとえば、AMXページの場合、エンド・ユーザーがクリックするコマンド・ボタンで、マネージドBeanで入力した値を送信できます。

接続プロパティのオーバーライドを指定するには、connections.xmlファイルを調べて、次のXML要素の定義を取得します。

  • 接続参照名。たとえば、ConnWithCustomHeaderです。

  • オーバーライドする属性を定義するプロパティのXML要素名。たとえば、テナント・ドメイン名の伝播に使用されるスキームのmultiTenantSchemeです。

  • オーバーライドするプロパティの属性を定義するXMLサブ要素名。一意の接続プロパティの場合は、常にvalue要素になります。


注意:

カスタム・ヘッダー定義では、同じ要素名を使用して値を指定するため、カスタム・ヘッダーの場合は、XML要素headerおよびvalueを使用しないでください。かわりに、カスタム・ヘッダーにはContents、プロパティおよび属性にはcustomAuthHeadersを使用して、オーバーライド・メソッドにそれぞれ渡してください。

たとえば、カスタム・ヘッダーの値をオーバーライドするには、次のconnections.xmlファイルで、接続名ConnWithCustomHeaderContents要素、およびcustomAuthHeadersサブ要素を渡します(これらはヘッダー名/値のペアを定義します)。

package mobile;

<References xmlns="http://xmlns.oracle.com/adf/jndi">
  <Reference name="ConnWithCustomHeader"
             className="oracle.adf.model.connection.adfmf.LoginConnection"
             adfCredentialStoreKey="ConnWithCustomHeader" partial="false"
             manageInOracleEnterpriseManager="true"
             deployable="true" xmlns="">
    <Factory className="oracle.adf.model.connection.adfmf.LoginConnectionFactory"/>
    <RefAddresses>
      <XmlRefAddr addrType="adfmfLogin">
        <Contents>
          ...
          <isMultiTenantAware value="true"/>
          <multiTenantScheme value="custom_header"/>
          <multiTenantHeaderName value="X-ID-TENANT-NAME"/>
          <customAuthHeaders>
            <header name="State" value="Georgia"/>
            <header name="City" value="Atlanta"/>
          </customAuthHeaders>
          ...
        </Contents>
      </XmlRefAddr>
    </RefAddresses>
  </Reference>

実行時に接続値のオーバーライドを実行するために、MAFアプリケーションは、値および値を送信するコマンドボタンのプロンプトでAMXページを起動する、デフォルトの保護されていない機能で値を求める場合があります。次のサンプルは、マネージドBeanのオーバーライド・メソッドをトリガーするアクション・リスナーを定義するコマンドボタンを示しています。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" ?>
<amx:view xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" 
          xmlns:amx="http://xmlns.oracle.com/adf/mf/amx"
          xmlns:dvtm="http://xmlns.oracle.com/adf/mf/amx/dvt">
  <amx:panelPage id="pp1">
    <amx:facet name="header">
      <amx:outputText value="Home" id="ot1"/>
    </amx:facet>
    <amx:facet name="primary">
      <amx:commandButton id="cb1"/>
    </amx:facet>
    <amx:facet name="secondary">
      <amx:commandButton id="cb2"/>
    </amx:facet>
    <amx:inputText label="Name1" id="it1" value="#{applicationScope.OverrideBean.headerName1}"/>
    <amx:inputText label="Value1" id="it2" value="#{applicationScope.OverrideBean.headerValue1}"/>
    <amx:inputText label="Name2" id="it3" value="#{applicationScope.OverrideBean.headerName2}"/>
    <amx:inputText label="Value1" id="it4" value="#{applicationScope.OverrideBean.headerValue2}"/>
    <amx:inputText label="TenantHeader" id="it5"
                                           value="#{applicationScope.TestBean.tenantHeaderName}"/>
    <amx:inputText label="Scheme" id="it6" value="#{applicationScope.OverrideBean.scheme}"/>
    <amx:commandButton text="Override headers" id="cb3"
                               actionListener="#{OverrideBean.overrideAndGotoOverrideFeature}"/>
  </amx:panelPage>
</amx:view>

接続プロパティの値をプログラムでオーバーライドするために、マネージドBeanでは、接続プロパティのオーバーライドごとにオーバーライド・メソッドを実装します。次のサンプルでは、Ova headers HashMapが作成され、カスタム・ヘッダー値を渡します。他のプロパティの値(MultiTenantHeaderNameなど)は、connections.xml定義のXML要素によって一意に定義されるため、マップが必要になるのは、オーバーライドするカスタム・ヘッダーの場合のみです。

package mobile;
 
import oracle.adfmf.amx.event.ActionEvent;
import oracle.adfmf.framework.api.AdfmfJavaUtilities;
import oracle.adfmf.java.beans.PropertyChangeListener;
import oracle.adfmf.java.beans.PropertyChangeSupport;
 
import java.util.HashMap;

public class OverrideBean {
    
    private String headerName1 = "", headerName2 = "", headerValue1 = "", headerValue2 = "";
    private String tenantHeaderName = "";
    private String scheme = "";
 
    // Bean setter and getter methods omitted for brevity
    ...
    
    // Command button action listener invokes override method implementation
    public void overrideAndGotoOverrideFeature(ActionEvent e) {
        overrideAndGotoOverrideFeature();
    }
 
    // Override method implementation configures custom headers and other connection properties
    public void overrideAndGotoOverrideFeature()
    {
      AdfmfJavaUtilities.clearSecurityConfigOverrides("ConnWithCustomHeader");
      HashMap<String, String> headers = new HashMap<String, String>();
      headers.put(headerName1, headerValue1);
      headers.put(headerName2, headerValue2);
      AdfmfJavaUtilities.overrideConnectionProperty("ConnWithCustomHeader", "Contents",
                                                      "customAuthHeaders", headers);
      AdfmfJavaUtilities.overrideConnectionProperty("ConnWithCustomHeader",
                                                      "multiTenantHeaderName", "value", 
                                                      tenantHeaderName);
      AdfmfJavaUtilities.overrideConnectionProperty("ConnWithCustomHeader", "multiTenantScheme",
                                                      "value", scheme);
      AdfmfJavaUtilities.updateApplicationInformation(false);
      
    }
 
    public void addPropertyChangeListener(PropertyChangeListener l) {
        propertyChangeSupport.addPropertyChangeListener(l);
    }
 
    public void removePropertyChangeListener(PropertyChangeListener l) {
        propertyChangeSupport.removePropertyChangeListener(l);
    }
}

第30.6項 モバイル・アプリケーションのセキュリティの構成

MAF機能エディタ、MAFアプリケーション・エディタおよび「モバイル・ログイン・サーバー接続」ウィザードを使用してセキュリティを構成します。エディタを使用すると、認証を必要とするアプリケーション機能をユーザーが選択したときにMAFによって表示されるログイン・ページのタイプ(デフォルトまたはカスタム)を指定したり、ユーザー・ロールまたはユーザー権限ベースの制約を含めることができます。また、これらによって、セキュリティが必要な埋込みアプリケーション機能を選択することもできます。

30.6.1 認証を要求するようにアプリケーション機能を設定する方法

セキュリティが適用されるように各アプリケーション機能を定義できます。残りのセキュリティ構成は、MAFアプリケーション・エディタの「セキュリティ」のセクションを使用して行います。アプリケーション機能のコンテンツがリモートURLから提供される場合に、このエディタを使用すると、リモートURLのコンテンツをMAFのWebビューに表示できるように、ドメインをホワイトリストできます。詳細は、第21章「リモートURLを使用したアプリケーション機能コンテンツの実装」を参照してください。

図30-16に示すとおり、セキュリティが適用されるアプリケーション機能およびMAF機能エディタの「機能」セクションで必要な認証タイプを指定できます。

図30-16 アプリケーション機能に対するユーザー資格証明オプションの指定

この図は周囲のテキストで説明しています

始める前に:

機能のセキュリティを有効化すると、アプリケーションは、ネットワークにアクセスしてユーザーを認証する必要があります。詳細は、第10.2項「MAFアプリケーションでのコア・プラグインの有効化」を参照してください。

アプリケーション機能に対するユーザー・アクセスを指定するには:

  1. プロジェクト・エクスプローラのユーザー・インタフェース・プロジェクトで、MAFを展開し、「MAF機能エディタ」をダブルクリックします。

  2. MAF機能エディタで、「機能」の下にリストされているアプリケーション機能を選択するか、または「機能」を右クリックし、「新」を選択してアプリケーション機能を追加します。

  3. ログインが必要なアプリケーション機能に「セキュリティの有効化」を選択します。


    ヒント:

    このオプションをデフォルトのアプリケーションに適用しない場合、ユーザーは匿名で(つまり、ログイン資格証明を入力せずに)ログインできます。ユーザーは、保護されていないデータおよび機能にアクセスでき、要求があった場合にはログインします(認証されたユーザーは、保護されているデータと保護されていないデータの両方にアクセスできます)。モバイル・アプリケーション内の保護されていないアプリケーション機能を指定すると、ユーザーは、保護されているアプリケーション機能からログアウトできますが、モバイル・アプリケーション自体ではログイン状態が維持され、保護されていないアプリケーション機能とデータの両方へのアクセスを継続します。

30.6.2 ログイン・ページの指定方法

アプリケーション機能のセキュリティを指定したら、図30-17に示されているMAFアプリケーション・エディタの「セキュリティ」ページを使用して、セキュリティが適用される各アプリケーション機能に対して、ログイン・ページの構成およびログイン・サーバーへの接続の作成とその割当てを行います。このページにリストされているすべてのアプリケーション機能は、MAF機能エディタで、セキュリティが必要なものとして指定されています。

通常、アプリケーション機能のグループは、同じログイン・サーバー接続で保護され、ユーザーは、MAFから再度ログインを求められることなく、これらのアプリケーションをどれでも開くことが可能です。ただし、場合によっては、あるアプリケーション機能のセットを保護しているログイン・サーバーと、別のアプリケーション機能のセットを保護しているログイン・サーバーが異なるため、アプリケーション機能で要求される資格証明がそれぞれ異なる可能性があります。このような状況に対応するために、モバイル・アプリケーション用のログイン・サーバーへの接続をいくつも定義できます。maf-application.xmlファイルでは、機能参照に関連付けられている認証サーバー接続は、次のようにloginConnRefId属性を使用して指定されます。

<adfmf:featureReference id="feature1" loginConnRefId="Connection_1"/>
<adfmf:featureReference id="feature2" loginConnRefId="Connection2"/>

モバイル・アプリケーションは、HTTPまたはHTTPS経由の基本認証をサポートしている標準のログイン・サーバーなら、どのログイン・サーバーに対しても認証を受けることが可能です。MAFはまた、Oracle Identity Managementに対する認証もサポートしています。特定のアプリケーション機能用のカスタム・ログイン・ページを選択することもできます。詳細は、第30.6.3項「ログイン・ページに関する必知事項」を参照してください。


注意:

ログイン・サーバー(接続)は、「セキュリティ」タブで定義します。登録された機能タブでは、特定の機能にそれらを割り当てたり、<default>を使用できます。セキュリティが機能に対して無効になっている場合(機能から実行)、ログイン・サーバーを割り当てることはできません。機能でセキュリティが必要であり、ログイン・サーバーがアプリケーションに対して定義されていない場合、検証問題が発生します。

図30-17 MAFアプリケーション・エディタに登録された機能

この図は周囲のテキストで説明しています

始める前に:

第23.2.4項「ユーザー制約とアクセス制御について」の説明に従って、ユーザー権限とロール用の制約を追加します。

アクセス制御サービス(ACS)・サーバーをプロビジョニングします。詳細は、第30.5.19項「アクセス制御サービスに関する必知事項」を参照してください。

カスタム・ログイン・ページは、アプリケーション・コントローラ・プロジェクトで定義されます(図30-18を参照)。

図30-18 カスタム・ログイン・ページの追加

この図は周囲のテキストで説明しています

ログイン・ページおよびナレッジベース認証を指定するには:

  1. プロジェクト・エクスプローラで、アセンブリ・プロジェクトおよびMAFの順に展開し、「MAFアプリケーション・エディタ」をダブルクリックします。

  2. アウトラインで、「セキュリティ」をクリックします。

  3. 「セキュリティ」ページで、ログイン・ページのタイプを指定します。

    • ユーザー名およびパスワードを受け入れるビューとして、「ログイン・ページ」を選択します。

    • ユーザーにユーザーの資格証明のチャレンジを表示し、またそれらの答えを受け入れるナレッジベース・ビューとして、「ナレッジベース認証ページ」を選択します。ナレッジベース認証はOAAMサーバー上に構成でき、別のページで、母の旧姓などの追加の質問に対する入力をユーザーに求めることができます。この機能は、Mobile-Social認証タイプのみで利用できます。

  4. 選択したログイン・ページおよびナレッジベース認証ページ(オプション)のコンテンツ(またはユーザー・インタフェース)を選択します。

    • 「デフォルト」: すべての選択した埋込みアプリケーション機能に使用されるデフォルト・ログイン・ページまたはナレッジベース認証画面。詳細は、第30.6.3.1項「デフォルト・ログイン・ページ」を参照してください。デフォルトのログイン・ページおよびデフォルト・ナレッジベース認証は、MAFによって提供されているものです。

    • 「カスタム」: 「参照」をクリックして、アプリケーション・コントローラ・プロジェクト内のファイルのパスの場所を検索します。または、「新」をクリックして、ログイン・ページまたはナレッジベース認証ページのいずれかのアプリケーション・コントローラ・プロジェクト内にカスタムHTMLページを作成します。詳細は、第30.6.3.2項「カスタム・ログイン・ページ」を参照してください。


      ヒント:

      「参照」機能を使用してログイン・ページの場所を検索するのではなく、「プロジェクト・エクスプローラ」からログイン・ページをフィールドにドラッグできます。

30.6.3 ログイン・ページに関する必知事項

アプリケーション機能への認証プロセスのエントリ・ポイントは、activateライフサイクル・イベントです(第11.1.2項「モバイル・アプリケーション・イベントのタイミング」を参照)。アプリケーション機能がアクティブ化される(つまり、アプリケーション機能のactivateイベント・ハンドラがコールされる)たびに、アプリケーション機能のログイン・プロセスが実行されます。このプロセスは、ログイン・ページ(デフォルトまたはカスタムのログイン・ページのいずれか)に移動し、そこでユーザー認証が必要かどうかを判断します。ただし、プロセスがログイン・ページに移動する前に、本来意図されていたアプリケーション機能をMAFに登録する必要があります。認証が成功すると、ログイン・ページは、MAFから本来意図されていた宛先を取得し、そこに移動します。

30.6.3.1 デフォルト・ログイン・ページ

MAFによって提供されるデフォルトのログイン・ページは、ログイン・ボタンと、ユーザー名とパスワード用の入力テキスト・フィールド、マルチテナント名(オプション)、およびエラー・メッセージ・セクションから構成されます。これは、HTMLで記述されたクロス・プラットフォーム・ページです。図30-1は、設計時にマルチテナント対応オプションを有効にしたデフォルトのログイン・ページを示しており、このページでは、ユーザー名とパスワードに加えて、テナントのドメイン名が求められます。

図30-19 マルチテナント対応接続のデフォルトのログイン・ページ

この図は周囲のテキストで説明しています

30.6.3.2 カスタム・ログイン・ページ

MAF機能エディタを使用して、選択したアプリケーション機能用のカスタム・ログイン・ページを追加すると、OEPEは、次の例に示すとおり、<adfmf:login>要素を追加し、その子要素<adfmf:LocalHTML>を移入します。すべての<adfmf:LocalHTML>要素と同様に、そのurl属性は、public_htmlディレクトリ内の場所を参照します。ユーザー認証メカニズムとナビゲーション・コントロールは、デフォルトのログイン・ページと同じものになります。

<adfmf:login defaultConnRefId="Connection_1">
    <adfmf:localHTML url="newlogin.html"/>
</adfmf:login>

カスタム・ログイン・ページはHTMLで記述されています。デフォルトのログイン・ページおよびナレッジベース認証ページの両方のフィールドには、特別に定義された<input>および<label>要素が含まれている必要があります。


ヒント:

MAFアプリケーションをカスタム・ログイン・ページを作成するためのガイドとしてデプロイしたときに生成されるデフォルトのログイン・ページを使用します。wwwディレクトリ内のログイン・ページにアクセスするには、モバイル・アプリケーションをデプロイし、次にdeployディレクトリに移動します。iOSデプロイメントの場合、このページは、アプリケーション・ワークスペース・ディレクトリ/deploy/デプロイメント・プロファイル名/temporary_xcode_project/www/adf.login.htmlおよびアプリケーション・ワークスペース・ディレクトリ/deploy/デプロイメント・プロファイル名/temporary_xcode_project/www/adf.kba.htmlにあります。

Androidデプロイメントの場合、このページは、アプリケーション・ワークスペース・ディレクトリ/アプリケーション名/deploy/デプロイメント・プロファイル名/デプロイメント・プロファイル名.apk/assets/www/adf.login.htmlおよびアプリケーション・ワークスペース・ディレクトリ/アプリケーション名/deploy/デプロイメント・プロファイル名/デプロイメント・プロファイル名.apk/assets/www/adf.kba.htmlのAndroidアプリケーション・パッケージ(.apk)ファイル内にあります。


次の例は、デフォルト・ログイン・ページに必要な<input>および<label>要素を示しています。

<input type="text"
       autocorrect="off"
       autocapitalize="none"
       name="oracle_access_user_id"
       id="oracle_access_user_id" value="">
   </input>
 
<input type="text"
       autocorrect="off"'
       autocapitalize="none"
       name="oracle_access_iddomain_id"
       id="oracle_access_iddomain_id" value="">
   </input>
 
<input type="password"
       name="oracle_access_pwd_id"
       id="oracle_access_pwd_id" value="">
   </input>
 
<input type="checkbox"
       class="message-text"
       name="oracle_access_auto_login_id"
       id="oracle_access_auto_login_id">
   </input>Keep me logged in
 
<input type="checkbox"
       class="message-text" 
       name="oracle_access_remember_username_id"
       id="oracle_access_remember_username_id">
   </input>Remember my username
 
<input type="checkbox"
       class="message-text"
       name="oracle_access_remember_credentials_id"
       id="oracle_access_remember_credentials_id">
   </input>Remember my password
 
<label id="oracle_access_error_id"
       class="error-text">
   </label>
 
<input class="commandButton"
       type="button"
       onclick="oracle_access_sendParams(this.id)"
       value="Login" id="oracle_access_submit_id"/>

次の例は、ナレッジベース認証のログイン・ページに必要な要素を示しています。

<input type="text"

<label id="oracle_access_kba_ques_id" >Question</label><br>
 
<input class="field-value"
       name="oracle_access_kba_ans_id"
       id="oracle_access_kba_ans_id">
   </input>
 
<label id="oracle_access_error_id"
       class="error-text">
   </label>
 
<label id="message_id"
      class="message-text">
   </label>
 
<input type="button"
       onclick="oracle_access_sendParams(this.id)"
       value="Login"
       id="oracle_access_submit_id"/>

第30.6.4項 ログイン・ページ要素に関する必知事項

各HTMLログイン・ページに、表30-2にリストされたユーザー・インタフェース要素が含まれている必要があります。

表30-2 ログイン・ページのフィールドおよび関連するID

ページの要素 ID

「ユーザー名」フィールド

oracle_access_user_id

「パスワード」フィールド

oracle_access_pwd_id

「ログイン」ボタン

oracle_access_submit_id

「取消」ボタン

oracle_access_cancel_id

「Identityドメイン」/「テナント名」フィールド

oracle_access_iddomain_id

「ナレッジベース認証」の質問フィールド(読取り専用/ラベル)

oracle_access_kba_ques_id

「ナレッジベース認証」の回答フィールド

oracle_access_ans_id

「エラー」フィールド

oracle_access_error_id

自動ログイン・チェック・ボックス

oracle_access_auto_login_id

「資格証明を記憶」チェック・ボックス

oracle_access_remember_credentials_id

「ユーザー名を記憶」チェック・ボックス

oracle_access_remember_username_id


表30-3は、OnClickイベントで使用される推奨のJavaScriptコードをリストしています。

表30-3 OnClickイベントで使用されるJavaScript

ボタン JavaScript

「ログイン」ボタン

oracle_access_sendParams(this.id)

「取消」ボタン

oracle_access_sendParams(this.id)

ナレッジベース認証の「submit」ボタン

oracle_access_sendParams(this.id)

ナレッジベース認証の「取消」ボタン

oracle_access_sendParams(this.id)


30.6.5 アプリケーション機能用にセキュリティを構成する場合のOEPEでの処理

セキュリティが適用されるようにアプリケーション機能が指定されると、OEPEは、図30-17に示すとおり、対応する機能参照で登録された機能を更新します。参照される各アプリケーション機能が、connections.xmlファイル内に定義されている同じログイン・サーバー接続に対して認証を行うと、OEPEは、defaultConnRefId属性を使用して定義されている単一の<adfmf:login>要素(<adfmf:login defaultConnRefId="Connection_1">など)でmaf-application.xmlファイルを更新します。

connections.xmlファイル内に定義されている別のログイン・サーバー接続を使用するように構成されているアプリケーション機能の場合は、OEPEは、参照される各アプリケーション機能をloginConnReference属性(<adfmf:featureReference id="feature2" loginConnRefId="Connection2"/)で更新します。詳細は、第30.6.1項「認証を要求するようにアプリケーション機能を設定する方法」を参照してください。Oracle Mobile Application Frameworkタグ・リファレンスも参照してください。

第30.7項 デバイス機能へのアクセスの許可

デバイス機能へのアクセスは、MAFアプリケーションに組み込まれているCordovaプラグインによって定義されます。コア・プラグインのセットはMAFによって提供されます。これらのプラグインの1つを有効にすると、そのプラグインに必要なすべてのデバイス・アクセス権限が有効になります。MAFアプリケーションに組み込まれている他のCordovaプラグインも、必要なデバイス・アクセス権限を有効にします。

MAFアプリケーションの大多数ではネットワーク・アクセスが必要なため、ネットワークにアクセスする権限はデフォルトで有効になっています(デフォルトで有効になっている唯一のデバイス機能)。

  • ネットワーク情報: アプリケーションによるネットワーク・ソケットのオープンを許可します。少なくとも1つのデバイス機能のセキュリティが有効な場合、ネットワーク・アクセス機能は有効にしておく必要があります。

デバイス機能の有効化または制限が可能なため、デプロイメント・フレームワークによって更新されるプラットフォーム固有の様々な構成ファイルやマニフェスト・ファイルでは、使用中のデバイス機能(または、MAFアプリケーションに使用が登録されているプラグイン)のみがリストされます。これらのファイルにより、MAFはこれらの機能の使用に関する情報を他のアプリケーションと共有できます。たとえば、AppStoreやGoogle Playに対して、MAFアプリケーションで場所ベースの機能が(搭載されていても)使用されていないことを通知できます。

MAFアプリケーションのCordovaプラグインの詳細は、第10章「MAFアプリケーションでのプラグインの使用方法」を参照してください。

第30.8項 ユーザーによるアプリケーション機能からのログアウトの有効化

ユーザーが、保護されているコンテンツを含むアプリケーション機能からログアウトするとき、または制約によって制限されているときは、MAFはアプリケーション機能を終了せず、またユーザーはアプリケーション内でログイン状態を維持し、セキュアでないコンテンツおよび機能に匿名ユーザーとしてアクセスできます。MAFでは、制約を再初期化できるため、ユーザーは、同じアイデンティティを使用して、アプリケーションに繰り返しログインできます。また、MAFは、ユーザーに別のアイデンティティを使用したログインを許可することで、複数のアイデンティティでアクセスを共有できます。

Oracle Mobile Application Framework Java APIリファレンスで説明しているAdfmfJavaUtilitiesクラスのlogoutFeatureメソッドおよびlogoutメソッドにより、ユーザーはアプリケーションの起動後、認証サーバーに対する明示的なログインおよびログアウトを実行できます。さらに、ユーザーは、保護されているアプリケーション機能を呼び出した後、認証サーバーにログインできます。ユーザーは個々のアプリケーション機能からログアウトできますが、同じ接続で保護されているアプリケーション機能から同時にログアウトできます。

これらのメソッドでは、次のような操作を実行できます。

  • アプリケーション機能からログアウトするが、保護されていない内容には引き続きアクセスします(つまり、MAFはアプリケーションを終了しません)。

  • アプリケーション内で、保護されている内容やUIコンポーネントを使用するためにログイン・サーバーで認証します。

  • MAFアプリケーションまたはアプリケーション機能からログアウトし、別のアイデンティティを使用して再びログインします。

  • MAFアプリケーションまたはアプリケーション機能からログアウトし、ロールと権限が更新された同じアイデンティティを使用して再びログインします。

現在の認証サーバーからログアウトできるようにするには、次のように、AdfmfJavaUtilitiesクラスのlogoutメソッドをコールします。次に例を示します。

import oracle.adfmf.framework.api.AdfmfJavaUtilities;
...
   AdfmfJavaUtilities.logout();

keyパラメータに関連付けられた認証サーバーからログインできるようにするには、次のように、logoutFeatureメソッドをコールします。

import oracle.adfmf.framework.api.AdfmfJavaUtilities;
...
   AdfmfJavaUtilities.logoutFeature(adfCrendentialStorykey);

adfCredentialStorykeyパラメータは、connections.xmlファイル内のadfCredentialStoreKeyパラメータに対して定義されている値からStringオブジェクトとして戻されます。AdfmfJavaUtiltiesクラスおよびkeyパラメータの使用方法の詳細は、Oracle Mobile Application Framework Java APIリファレンスを参照してください。

30.9 SSLのサポート

MAFは、cacerts証明書ファイル(HTTPSハンドシェークのためのクライアント・アプリケーションおよびサーバー間のJavaメカニズム)を提供します。OEPEは、「アプリケーション・リソース」の「セキュリティ」フォルダ(users\workspaces\application name\resources\Security\cacertsにあります)にこのファイルを作成します。MAFのcacertsファイルにより、信頼できる既知のソースからの一連の証明書がJVMに対して識別され、デプロイメントが可能になります。カスタム証明書を必要とするアプリケーションでは(RSA暗号化が使用されていない場合など)、アプリケーションをデプロイする前にプライベート証明書を追加する必要があります。

始める前に:

cacertsファイルの内容を理解しておくと役立ちます。詳細は、『Oracle Mobile Application Frameworkのインストール』のMAFの新しいSSL用cacertsファイルへの移行に関する項を参照してください。

OEPEによるcacertsファイルの作成方法についても理解しておくと役立ちます。詳細は、第C.2項「アセンブリ・レベルのリソースについて」を参照してください。

cacertsファイルおよびkeytoolユーティリティの使用方法については、Java SEテクニカル・ドキュメント(http://download.oracle.com/javase/index.html)を参照してください。

プライベート証明書を追加するには:

  1. プライベート証明書を作成します。たとえば、new_certという証明書ファイルを作成します。

  2. 次のようにして、プライベート証明書をアプリケーションに追加します。

    1. シードされたcacertsファイル(cp cacerts cacerts.org)のコピーを作成します。

    2. Java SE keytoolユーティリティを使用して、cacertsファイルに証明書を追加します。次の例は、new_certというcacertsファイルへの証明書の追加を示しています。

      keytool -importcert              
              -keystore cacerts 
              -file new_cert
              -storepass changeit
              -noprompt
      

      この例は、単一の証明書の追加方法を示しています。各証明書に対して同じ手順を繰り返します。表30-4は、keytoolのオプションを示しています。

      表30-4 証明書の追加に関するオプション

      オプション 説明

      -importcert

      証明書をインポートします。

      -keystore cacerts file

      インポートされた証明書のファイルの場所を特定します。

      -file certificate file

      新しい証明書を含むファイルを特定します。

      -storepass changeit

      cacertsファイルのパスワードを提供します。デフォルトでは、パスワードはchangeitです。

      -noprompt

      証明書を信頼するかどうかを(stdinを介して)ユーザーに確認しないように、keytoolに指示します。


    3. 新しいcacertsファイルの内容を目で見て調べて、すべてのフィールドが正しいことを確認します。次のコマンドを使用します。

      keytool -list -v -keystore cacerts | more
      
    4. 証明書が指定のホスト名に対するものであることを確認します。


      注意:

      証明書の共通名(CN)は、ホスト名と正確に一致している必要があります。

    5. JVM 1.4が読み取れるようにするために、カスタマイズされた証明書ファイルはSecurityディレクトリ(users\workspaces\assembly project\lib\Security)に確実に配置してください。

  3. アプリケーションをデプロイします。


    注意:

    デプロイメント時、証明書ファイルがSecurityディレクトリに存在している場合、MAFは、それをAndroidまたはXcodeテンプレート・プロジェクトにコピーし、cacertsファイルのデフォルト・コピーを置き換えます。

  4. 保護されているリソースにSSL経由でアクセスできることを確認します。