この章では、Oracle Coherence for Java(略してCoherence)のインストールおよび実行手順について説明します。Coherence*Extendクライアント・ディストリビューションをインストールする手順は、第3章を参照してください。Coherence*Webをアプリケーション・サーバーにインストールする手順は、第4章を参照してください。
この章の内容は次のとおりです。
Coherenceの要件は、インストールおよびランタイムで異なります。
ランタイム要件
開発環境でCoherenceを実行するために推奨される最小限のシステム要件を次に示します。
100 MBのディスク領域(APIのドキュメントおよびサンプルを含む完全なインストールの場合)
1GBのRAM (Javaの最大ヒープ・サイズを512MBとした場合) - この容量のRAMでは、すべてのデータのバックアップを格納するように構成された単一ノード上での理想的な150MBの最大キャッシュ・サイズ(150MB x 2)がサポートされ、1/3以上のヒープをスクラッチおよびJVMタスクに使用できます。キャッシュ・サイズの計算の詳細は、『Oracle Coherenceの管理』を参照してください。
JVM (JREまたはJDK) 1.8以上。多くの場合、開発にはJDKが使用されます。JDKはJavaアプリケーションのモニタリングおよびトラブルシューティングのためのツールを提供しますが、Coherenceの実行には必須ではありません。
注意: 古いバージョンのJVMを実行するアプリケーションと統合して使用する顧客は、古いCoherenceクライアントを使用できます。ただし、クライアントは、そのCoherenceのバージョンでサポートされているプラットフォームおよびクライアントの機能に限定されます。 |
必要なJavaのバージョンをサポートするWindowsベースまたはUNIXベースのシステム
ネットワーク・アダプタ
インストール要件
Coherenceインストーラを使用するための最小要件は次のとおりです。
注意: インストーラを実行する要件は、Coherenceを実行する要件とは異なります。 |
300MHz CPU
512 MBスワップ領域
256カラー・モニター(GUIベースのインストールにのみ必要)
JDK 1.6.0_4以上
Coherenceは、Oracle Universal Installerを使用してインストールします。このインストーラは、Oracle製品のインストールとパッチ・サービスの両方を提供します。Coherenceに使用可能なインストーラは次のとおりで、この項で詳細を説明します。
fmw_
version
_coherence.jar
- 完全なCoherenceのインストールで、グラフィカル・モードとサイレント・モードのどちらでも実行できます。「グラフィカル・モードでのCoherenceのインストールの実行」および「サイレント・モードでのCoherenceのインストールの実行」を参照してください。
fmw_
version
_coherence_quick.jar
- 最小限のCoherenceのインストールで、常にサイレント・モードで実行されます。クイック・インストーラではフットプリントが少なくなりますが、APIのドキュメントおよびサンプルは含まれません。「Coherenceクイック・インストーラの実行」を参照してください。
fmw_
version
_coherence_quick_supplemental.jar
- サプリメンタル・インストールで、常にサイレント・モードで実行されます。サプリメンタル・インストーラには、APIのドキュメントおよびサンプルのみが含まれます。「Coherenceサプリメンタル・インストーラの実行」を参照してください。
fmw_
version
_wls.jar
- 完全なWebLogic Serverのインストールで、Coherenceも含まれます。「WebLogic ServerとCoherenceのインストール」を参照してください。
Coherenceは、常にORACLE_HOME
/coherence
ディレクトリにインストールされます。Coherenceのドキュメントでは、coherence
ディレクトリへの完全なパスをCOHERENCE_HOME
と呼びます。
Coherenceインストーラは、fmw_
version
_coherence.jar
という実行可能なJava ARchive (JAR)ファイルとして配布されます。ターゲット・コンピュータでインストーラを実行するには、java
コマンドを使用します。インストーラのオプションに関する詳細なヘルプについては、インストーラの実行中に-help
引数を使用してください。
インストーラで作成されるディレクトリの詳細は、付録A「Oracle Coherenceディレクトリ構造の理解」を参照してください。
この項には次のトピックが含まれます:
グラフィカル・モードでのCoherenceのインストールの実行手順は、次のとおりです。
fmw_
version
_coherence.jar
ファイルをターゲット・コンピュータにコピーします。
コマンド・プロンプトから、ディレクトリをcoherence_
version
.jar
ファイルの場所に変更し、次のコマンドを実行します(JAVA_HOME
/bin
がコンピュータのPATH
にあると想定します)。
java -jar fmw_version_coherence.jar
インストール・プログラムが表示されると、インストールを開始する準備ができています。
各インストール・プログラム画面の説明については、第2.2.1.2「インストール画面への移動」を参照してください。
表2-1では、インストール・プログラムが表示される順序に画面が列挙されています。
インストール画面に関して詳細な情報が必要な場合は、画面名をクリックしてください。
表2-1 Oracle Coherenceのインストール画面
画面 | 説明 |
---|---|
インベントリ設定 |
この画面は、UNIXオペレーティング・システムで、このホストに初めてOracle製品をインストールする場合に表示されます。中央インベントリを作成する場所を指定します。この画面で選択したオペレーティング・システム・グループ名には、中央インベントリの場所への書込み権限があることを確認してください。 中央インベントリの詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストールの「Oracle中央インベントリの理解」を参照してください。 この画面はWindowsオペレーティング・システムでは表示されません。 |
ようこそ |
製品のインストーラの紹介画面です。 |
インストールの場所 |
ドロップダウン・リストを使用して、Coherenceのインストール先の既存の |
インストール・タイプ |
インストールするCoherenceのオプションを選択します。 |
前提条件チェック |
この画面には、Coherenceがシステムで認証されていることを確認するために実行するシステム・チェックのリストが表示されます。 |
インストール・サマリー |
インストールを検証します。今回のインストールを別のコンピュータに複製する予定がある場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックします。まったく同じインストール設定でサイレント・インストールを実行する際に使用可能なレスポンス・ファイルが作成されます。サイレント・インストールの実行の詳細は、第2.2.2項「サイレント・モードでのCoherenceのインストールの実行」を参照してください。 |
インストールの進行状況 |
この画面では、インストールの進行状況を参照できます。 |
インストール完了 |
インストールが完了すると、この画面が表示されます。この画面の情報を確認してから、「終了」をクリックしてインストーラを終了します。 |
サイレント・モードでは、グラフィカル・インタフェースを使用せずにCoherenceをインストールでき、リモート・インストールの場合またはスクリプトの一部としてインストールを組み込む場合に便利です。サイレント・モードでは、一般的に、name=value
のペアとしてインストール・パラメータを含むレスポンス・ファイル(.rsp
)を使用します。グラフィカル・モードでインストーラを実行し、「インストール・サマリー」画面でインストール・パラメータをレスポンス・ファイルに保存することでレスポンス・ファイルを作成します。保存したファイルを使用して他のコンピュータでインストールをレプリケートするか、必要に応じてファイルを編集してインストールを変更します。
サイレント・モードでのCoherenceのインストールの実行手順は、次のとおりです。
fmw_
version
_coherence.jar
ファイルおよびレスポンス・ファイルをターゲット・コンピュータにコピーします。
コマンド・プロンプトから、ディレクトリをcoherence_
version
.jar
ファイルの場所に変更し、次のコマンドを実行します(JAVA_HOME
/bin
がコンピュータのPATH
にあると想定します)。
java -jar fmw_version_coherence.jar -silent -responseFile full_path_to_response_file -waitForCompletion
UNIXベースのプラットフォームの場合は、oraInst.loc
インベントリ・ディレクトリ・ポインタ・ファイルがデフォルトの場所(/etc
)に見つからないと、そのファイルの場所を要求されます。このコンピュータにOracle製品をインストールしたのが初めてである場合は、createCentralInventory.sh
スクリプトを使用して、/etc
ディレクトリのインベントリ・ディレクトリ・ポインタ・ファイルを設定できます。このスクリプトには、ルート権限が必要です。
oraInst.loc
ファイルにカスタムの場所を使用する場合は、-invPtrLoc
インストーラ・オプションを使用して場所を指定します。次に例を示します。
java -jar fmw_version_coherence.jar -silent -responseFile full_path_to_response_file -waitForCompletion -invPtrLoc /MyDirectory/oraInst.loc
oraInst.loc
ファイルの内容には、インベントリ・ディレクトリの場所および所有者グループが含まれます。次に例を示します。
inventory_loc=/MyDirectory/oraInventory
inst_group=group
クイック・インストールは、fmw_
version
_coherence_quick.jar
という実行可能なJARファイルとして配布されます。ターゲット・コンピュータでインストーラを実行するには、java
コマンドを使用します。インストーラのオプションに関する詳細なヘルプについては、インストーラの実行中に-help
引数を使用してください。
クイック・インストールは、オプションのないサイレント・インストールを実行します。この配布に含まれるライフサイクル・ツールは多くありませんが、Oracleインベントリの一部として、将来ライフサイクル操作を使用できるCoherenceコンポーネントを登録します。また、このインストールには、APIのドキュメントおよびコード・サンプルは含まれません。結果として、通常のCoherenceインストーラよりもインストール・プロセスが高速になり、インストール・フットプリントが小さくなります。ユーザーの操作を必要とせずにスクリプトの一部としてCoherenceをインストールする理想的な方法です。
Coherenceのクイック・インストールの実行手順は、次のとおりです。
fmw_
version
_coherence_quick.jar
ファイルをターゲット・コンピュータのディレクトリにコピーします。
コマンド・プロンプトから、ディレクトリをfmw_
version
_coherence_quick.jar
ファイルの場所に変更し、次のコマンドを実行します(JAVA_HOME
/bin
がコンピュータのPATH
にあると想定します)。
java -jar fmw_version_coherence_quick.jar ORACLE_HOME=/oracle
ORACLE_HOME
変数の値は、CoherenceがインストールされるORACLE_HOME
ディレクトリを指定します。この値は絶対パスである必要があります。ディレクトリがすでに存在する場合は、空であるか、または既存の有効なORACLE_HOME
である必要があります。ディレクトリは、既存のCoherenceのインストールを含むことはできません。ディレクトリが存在しない場合は、インストーラによって作成されます。また、空である現在の作業ディレクトリからインストールを開始し、ORACLE_HOME
変数を省略することも可能で、この場合は現在の作業ディレクトリがORACLE_HOME
ディレクトリになります。次に例を示します。
cd /oracle
java -jar /tmp/fmw_version_coherence_quick.jar
UNIXベースのプラットフォームの場合、クイック・インストーラは/etc
ディレクトリ内のoraInst.loc
インベントリ・ディレクトリ・ポインタ・ファイルを見つけようとします。ファイルが見つからない場合は、/tmp
ディレクトリがインベントリ・ディレクトリとして使用されます。このコンピュータにOracle製品をインストールしたのが初めてである場合は、createCentralInventory.sh
スクリプトを使用して、/etc
ディレクトリのインベントリ・ディレクトリ・ポインタ・ファイルを設定できます。このスクリプトには、ルート権限が必要です。
oraInst.loc
ファイルにカスタムの場所を使用する場合は、-invPtrLoc
インストーラ・オプションを使用して場所を指定します。次に例を示します。
java -jar fmw_version_coherence_quick.jar -invPtrLoc /MyDirectory/oraInst.loc
oraInst.loc
ファイルの内容には、インベントリ・ディレクトリの場所および所有者グループが含まれます。次に例を示します。
inventory_loc=/MyDirectory/oraInventory
inst_group=group
サプリメンタル・インストールは、fmw_
version
_coherence_quick_supplemental.jar
という実行可能なJARファイルとして配布されます。この配布は、既存のCoherenceインストールにAPIのドキュメントおよびコード・サンプルをインストールするために使用します。サプリメンタル・インストーラは、オプションなしのサイレント・インストールを実行します。通常は、ユーザーの操作なしでスクリプトの一部としてインストールを実行するクイック・インストーラとあわせて使用します。APIのドキュメントおよびコード・サンプルが不要な場合は、サプリメンタル・インストールをスキップできます。
fmw_
version
_coherence_quick_supplemental.jar
ファイルをCoherenceのインストール先のORACLE_HOME
ディレクトリにコピーします。
コマンド・プロンプトから、ディレクトリをfmw_
version
_coherence_quick_supplemental.jar
ファイルの場所に変更し、次のコマンドを実行します(JAVA_HOME
/bin
がコンピュータのPATH
にあると想定します)。
java -jar fmw_version_coherence_quick_supplemental.jar
インストールが開始され、ステータス・メッセージが出力されます。
WebLogic ServerインストーラにはCoherenceの配布が含まれており、WebLogic Serverと同じORACLE_HOME
ディレクトリにCoherenceがインストールされます。WebLogic Serverには、WebLogic Serverドメイン内でのCoherenceの管理方法およびデプロイ方法を標準化するCoherence統合が用意されています。この統合により、CoherenceをWebLogic Serverのサブシステムにして、Coherence環境の管理にWebLogic Serverのツールおよびインフラストラクチャ(Java EEスタイルのパッケージ化およびデプロイ、リモート・サーバー管理、サーバー・クラスタ、WebLogic Scripting Tool (WLST)の自動化、管理コンソールによる構成など)を使用できます。WebLogic ServerとCoherenceのインストールの詳細は、『Oracle WebLogic ServerおよびCoherenceのインストールと構成』を参照してください。
次のシステム環境変数を設定することもできますが、Coherenceを実行するために必ず設定しなければならないわけではありません。
JAVA_HOME
- この変数はCOHERENCE_HOME
/bin
ディレクトリに含まれるスクリプトを実行するときに使用されます。この変数の値はJavaインストール・ディレクトリへのフル・パスです。JAVA_HOME
が設定されていない場合は、コンピュータのデフォルトのJavaインストール・ディレクトリが使用されます。この変数を設定すると、スクリプトで特定のJavaバージョンが使用されるようにすることができます。
COHERENCE_HOME
- この変数は、通常は便宜上設定されるものです。この変数の値はORACLE_HOME
/coherence
ディレクトリへのフル・パスです。
COHERENCE_HOME
/bin
ディレクトリには、開発およびテストの際に使用される、設計用に提供されたスクリプトが含まれています。cache-server
スクリプトはデフォルト構成を使用してキャッシュ・サーバーを起動します。coherence
スクリプトは、デフォルト構成を使用してキャッシュ・ファクトリ・インスタンスを起動します。キャッシュ・ファクトリ・インスタンスには、特にキャッシュの作成と操作に使用されるコマンド行ツールが含まれています。
この例では、基本的なクラスタを作成した後、クラスタにホストされるキャッシュをコマンド行ツールを使用して作成および操作します。
この手順では、キャッシュ・サーバーと2つのキャッシュ・ファクトリ・インスタンスという3つの独立したJavaプロセスで構成される基本的なクラスタを作成します。簡素化を図るため、この2つのプロセスは単一のマシン上に置かれます。この3つのプロセスは1つのコンピュータ上に共存します。キャッシュ・サーバーは、デフォルトで、バックアップ・データを格納するように構成されます。2つのキャッシュ・ファクトリ・インスタンスは、デフォルトで、バックアップ・データを格納しないように構成されます。各プロセスが起動されるたびに、それら3つのプロセスが自動的に結合され、クラスタ・メンバー(クラスタ・ノードとも呼ばれる)となります。
この例では、これらのクラスタ・メンバーがネットワーク上で実行されている可能性のある既存のCoherenceクラスタに参加しないようにするために、Coherenceの初期状態のデフォルト構成を多少修正してプライベートなクラスタを作成します。
注意: Coherenceは、デフォルトではマルチキャストを使用してクラスタ・メンバーを検出します。ネットワークでマルチキャストを使用できない場合は、ユニキャストを使用するようにCoherenceを構成できます。詳細は、『Oracle Coherenceでのアプリケーションの開発』を参照してください。 |
基本的なクラスタを作成するには:
テキスト・エディタを使用してCOHERENCE_HOME
/bin/cache-server
スクリプトを開きます。
java_opts
変数を修正します。次のように、システム・プロパティcoherence.cluster
を含めてください。
set java_opts="-Xms%memory% -Xmx%memory% -Dcoherence.cluster=cluster_name"
cluster_name
を、クラスタ内で一意の値に置き換えます。たとえば、クラスタ名に氏名を使用します。
cache-server
スクリプトを保存して閉じます。
手順1から手順3をCOHERENCE_HOME
/bin/coherence
スクリプトで繰り返し、同じ値をcluster_name
に指定します。
cache-server
スクリプトを実行します。キャッシュ・サーバーが起動し、このクラスタ・メンバーに関する情報が出力されます。
coherence
スクリプトの2つのインスタンスを実行します。インスタンスが起動するたびに、それぞれのクラスタ・メンバーに関する情報が出力されます。インスタンスはそれぞれ、コマンド行ツールのコマンド・プロンプトを返します。
この手順では、キャッシュが作成され、基本クラスタ上でホストされます。最初のキャッシュ・ファクトリ・インスタンスのコマンド行ツールを使用して、単純な文字列がキャッシュに入力されます。次に、2番目のキャッシュ・ファクトリ・インスタンスのコマンド行ツールを使用して、キャッシュから文字列が読み出されます。サンプルは非常に単純であり、あまり実用的ではありませんが、Coherenceキャッシュの出荷時の特性を端的に示しています。さらに、これらの手順は、通常はCoherence APIを使用して直接実行されます。
キャッシュを作成するには:
いずれかのキャッシュ・ファクトリ・インスタンスのコマンド・プロンプトで、cache
コマンドを使用してTest
という名前のキャッシュを作成します。
cache Test
コマンド・プロンプトでput
コマンドを使用してキーと値の組合せを入力することにより(空白で区切る)、単純な文字列を新しいキャッシュに配置します。
put key1 Hello
コマンドによってnull
が返され、表示されます。put
コマンドは、所定のキーに対して常に前の値を返します。null
値が返されたのは、これがそのキーに最初に入力された値だったためです。
もう1つのキャッシュ・ファクトリ・インスタンスに切り替えて、コマンド・プロンプトでcache
コマンドを使用してTest
という名前のキャッシュを作成します。
cache Test
このコマンド・プロンプトで、get
コマンドを使用してキャッシュ内の文字列を読み出して、次のキー名を入力します。
get key1
コマンドによってhello
が返され、表示されます。キャッシュ・ファクトリ・プロセスが両方とも同一クラスタに属しており、Test
キャッシュがすべてのクラスタ・メンバーに認識されているため、どちらのプロセスを使用してもキャッシュ・エントリの追加または削除が可能です。また、キャッシュ・サーバーにキャッシュ・データのバックアップが格納されているため、いずれの(または両方の)キャッシュ・ファクトリ・プロセスがシャットダウンされてもキャッシュ・データは保持されます。
Mavenは、プロジェクトの依存性、サード・パーティの依存性およびビルドのライフサイクル定義の構成を可能にするビルドおよび依存性システムです。ソフトウェアのプロジェクトでは、ビルド・プロセスを容易化および標準化するためにMavenがよく使用されます。Mavenの詳細は、http://maven.apache.org/
を参照してください。
Oracle Middlewareには、Oracleホーム・ディレクトリをMavenリポジトリと同期化し、Mavenの使用と命名規則を標準化するプラグインが用意されています。このプラグインを使用すると、CoherenceアーティファクトをMavenリポジトリにアップロードできるようになり、それによってアーティファクトが開発プロジェクトでどのように消費されているかが容易化されます。Mavenの設定および同期化プラグインの使用の詳細は、『Continuous Integrationを使用したアプリケーションの開発』を参照してください。
また、Mavenの統合には、Coherenceグリッド・アーカイブ(GAR)用のアーキタイプおよびパッケージ化プラグインが含まれます。Coherence GARは、CoherenceアプリケーションをWLSドメイン内にデプロイする際に通常使用されるモジュール・タイプです。Mavenアーキタイプ・プラグインはGAR構造を生成し、サンプルの構成ファイルを提供します。パッケージ化プラグインは、プロジェクトの内容および依存性に基づいてGARを生成し、依存性、ソースおよび構成ファイルが正しくGARにコピーされるようにします。
Coherence用のMavenプラグインおよび構成ファイルは、COHERENCE_HOME
/plugins
ディレクトリにあります。Maven GARプラグインおよびアーキタイプは、同期化プラグインの一部としてエンタープライズ・リポジトリにインストールされます。プラグインを使用してCoherenceをビルド・プロセスに組み込む手順については、『Continuous Integrationを使用したアプリケーションの開発』を参照してください。
Coherenceのパッチは、My Oracle Supportで定期的に更新されます。
パッチは、Oracleの標準パッチ適用メカニズムを使用してインストールされます。パッチのインストールの詳細は、『Oracle® Fusion Middleware Opatchによるパッチ適用』を参照してください。
Coherenceをアンインストールするには、Oracle Fusion Middleware Deinstallerを使用します。アンインストーラでは、アンインストールするCoherenceのORACLE_HOME
ディレクトリのコンポーネントを選択することができ、CoherenceのORACLE_HOME
ディレクトリを完全に削除する場合にも使用できます。
アンインストール・ウィザードを使用してCoherenceをアンインストールするには、アンインストーラを起動します。UNIXベース・プラットフォームでは、Coherence ORACLE_HOME
/oui/bin/deinstall.sh
スクリプトを使用し、Windowsでは、Coherence ORACLE_HOME
\oui\bin\deinstall.cmd
スクリプトを使用します。Windowsの場合は、スクリプトへのショートカットが使用可能で、これはスタート・メニューのOracleプログラム・グループの中にあります。
表2-2では、アンインストール・プログラムが表示される順序に画面が列挙されています。
表2-2 Oracle Coherenceのアンインストール画面
画面 | 説明 |
---|---|
ようこそ |
製品のアンインストーラの紹介画面です。 |
アンインストール・サマリー |
画面が表示され、アンインストールされる機能の一覧が表示されます。 |
アンインストールの進行状況 |
画面が表示され、成功および失敗したタスクがすべて表示されます。 |
アンインストール完了 |
画面が表示され、アンインストールのサマリーが表示されます。「終了」をクリックし、アンインストール・プログラムを閉じます。 |
注意: ORACLE_HOME ディレクトリ内の追加ファイルは手動で削除する必要があります。Windowsの場合は、スタート・メニューにあるOracleプログラム・グループも手動で削除する必要があります。 |