この項では、管理サーバーの高可用性について説明します。
この項には次のトピックが含まれます:
管理サーバーおよびノード・マネージャの詳細は、次の各項目を参照してください。
表8-1 管理サーバーおよびノード・マネージャに関する項目
情報 | 参照先 |
---|---|
管理サーバーの起動と停止 |
『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareの管理』の管理サーバーの起動と停止に関する項 |
仮想ホスティングの構成 |
『Oracle WebLogic Serverサーバー環境の管理』の仮想ホスティングの構成に関する項 |
ノード・マネージャの使用方法 |
『Oracle WebLogic Serverノード・マネージャの管理』の次の項:
|
管理サーバーは、ドメイン全体を構成するための集中管理エンティティで、すべてのドメイン・リソースを管理およびモニターします。ドメインの構成ドキュメントを保持し、これらのドキュメント内の変更を管理対象サーバーに配布します。各ドメインには、管理サーバーとして機能する1つのサーバーが必要です。
ドメインの管理サーバーで発生する障害は、ドメイン内の管理対象サーバーの動作には影響しません。管理サーバーのホスト・コンピュータ上のハードウェアまたはソフトウェアの障害が原因で管理サーバーに障害が発生した場合は、同じコンピュータ上のその他のサーバー・インスタンスが影響を受けることがあります。
管理サーバーの障害の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareの管理』の管理対象サーバーの障害の影響に関する項を参照してください。
管理サーバーを再起動する方法は、Oracle Fusion Middleware Oracle Serverクラスタの使用を参照してください。
共有記憶域を使用すると、バックアップ・ホストは、アクティブ・ホストがアクセスできる同じアーティファクト(Oracleバイナリ、構成ファイル、ドメイン・ディレクトリおよびデータ)にアクセスできます。高可用性管理サーバーの構成において、アーティファクトをすべてのホストがアクセス可能な記憶域に配置することにより、このアクセスを構成できます。共有記憶域は、ネットワーク接続ストレージ(NAS)またはストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)のいずれかのデバイスを使用します。第4章「共有記憶域の使用」を参照してください。
作成するWebLogic Serverドメインのそれぞれについて、ドメインごとのノード・マネージャ・インスタンスがデフォルトで作成されます。ノード・マネージャには、セキュリティ資格証明書、プロパティ・ファイル、ドメイン登録および起動スクリプトが付属しています
ノード・マネージャの範囲は構成可能です。
ドメインごとのノード・マネージャは、ドメインと関連付けられ、マシン上のドメインのすべてのサーバーを制御します。デフォルトの構成です。
ホストごとのノード・マネージャは、ドメインではなく、特定のマシンに関連付けられます。サーバー・インスタンスがノード・マネージャ・プロセスと同じマシン上に存在しているかぎり、ノード・マネージャ・プロセスを使用して任意のドメインのサーバー・インスタンスを制御できます。ホストごとのノード・マネージャは、ノード・マネージャで制御するWebLogic Serverインスタンスをホストするそれぞれのコンピュータ上で、WebLogic Serverインスタンスが管理サーバーか管理対象サーバーであるかにかかわらず、実行する必要があります。
注意: ホスト・マシンが再起動した場合に、ノード・マネージャが自動的に再起動するよう、ノード・マネージャはオペレーティング・システムのサービスとして実行することをお薦めします。 |
ノード・マネージャに障害が発生しても、マシン上で実行しているサーバーには影響しません。
詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareコンセプトの理解』のノード・マネージャの概要に関する項を参照してください。
管理サーバーは、1つのホスト上でいつでもアクティブ化できます。高可用性を設定するには、管理サーバーを仮想ホスト上に構成して、それを実行しているマシンに障害が発生した場合に、ドメイン内の別のホストにフェイルオーバーします。管理サーバーは、仮想IPを使用して、バックアップ・ホストとオーバーラップするように構成されます。この仮想IPをリスニングするように、管理サーバーを構成します。仮想ホストおよび仮想IPを使用する利点は第3のマシンを追加する必要がない点にあり、フェイルオーバーが発生した場合は仮想IPを移動することで、ドメイン内の障害の発生していないマシンに仮想ホストをマップできます。
2つのホストで、仮想ホスト名および仮想IPを共有します。ただし、この仮想IPを使用できるのは、常に1つのアクティブ・ホストに限定されます。アクティブ・ホストに障害が発生した場合はバックアップ・ホストがアクティブ化され、仮想IPを新しいアクティブ・ホストに(手動で)移動します。すべてのリクエストは、仮想IPを通じて、新しいアクティブ・ホストで処理されます。(この仮想IPをリスニングするように、高可用性デプロイメントを構成します。)
高可用性管理サーバーの障害を、次の図に示します。このトポロジでは、管理サーバーは仮想ホストAPPHOST0
上で実行されます。APPHOST0
は、仮想IPによってAPPHOST1
またはAPPHOST2
にオーバーラップされます。最初、APPHOST0
はAPPHOST1
にマップされますが、APPHOST1
が原因で管理サーバーに障害が発生した場合は、仮想IPを移動することによって、APPHOST0
をAPPHOST2
にフェイルオーバーします。
この項の内容は次のとおりです。
高可用性の管理サーバー環境では、両方のホストから共有記憶域にアクセスできる必要があります。ドメイン・ディレクトリは、共有記憶域に保持されます。通常の運用時は、アクティブ・ホスト上の管理サーバーによってドメイン・ディレクトリが所有されます。アクティブ・ホストに障害が発生した場合は、バックアップ・ホストによって引き継がれ、管理サーバーは共有ドメイン・ディレクトリから再起動されます。
高可用性の管理サーバーを構成するには、ご使用の環境が次の要件を満たす必要があります。
標準インストール・トポロジに準拠すること。第1.6項「Oracle Fusion Middlewareの標準的なHAトポロジの理解」および図1-1「Oracle Fusion Middlewareの高可用性デプロイメント・トポロジ(一般的な企業)」を参照してください。
2つのホスト、APPHOST1およびAPPHOST2を組み込んで、WebLogic Serverクラスタ(cluster_1
)を実装すること。第8.4.2項「高可用性の管理サーバーの構成」では、APPHOST1およびAPPHOST2のIPアドレスは、それぞれip1
およびip2
です。
APPHOST1およびAPPHOST2に、共有記憶域から共通のディレクトリがマウントされ、そのディレクトリの読取り/書込み権限が与えられること。このディレクトリは、製品のインストールおよびドメイン・ディレクトリの格納に使用されます。
予約済仮想IPアドレス(vip0
)によって管理サーバーを実行しているホストを指し示すこと。この仮想サーバーを示す浮動IPアドレスが、管理サーバーを実行しているホスト上で動的に構成されること。
管理サーバーは、ノード・マネージャ・インスタンスによって管理され、障害の発生したホストから指定されたスタンバイ・ホストに移行されること。
高可用性の管理サーバーを構成するには、まず1つのクラスタ(cluster_1
)を持つ標準高可用性トポロジを作成する必要があります。第1.6項「Oracle Fusion Middlewareの標準的なHAトポロジの理解」を参照してください。
高可用性の管理サーバーを設定するには、管理サーバーを別の仮想ホスト(APPHOST0
)上で実行します。APPHOST0
が、クラスタ内の既存のホストのうちの1つ(APPHOST1またはAPPHOST2)にマップされるように、APPHOST0
用の(仮想)サーバーIPをそのホストに設定します。フェイルオーバーが発生した場合は、障害が発生していないホストにこの仮想IPが移行されることで、APPHOST0
がフェイルオーバーされます。ドメイン設定は、障害の発生していないホストからアクセスできるように、共有記憶域に置かれます。
注意: 管理サーバーのサービスで構成タスクを完了するには、複数の方法があります。いずれの方法を使用するにしても、構成を変更する際はクラスタの管理サーバーが稼働している必要があります。 |
表8-2 ホストおよびノード・マネージャの用語
用語 | 説明 |
---|---|
|
管理サーバーが実行される仮想マシン |
|
アプリケーション層がホストされるマシン |
|
管理サーバーによってリスリングされる仮想サーバーのIPアドレス |
|
APPHOST0で実行される管理サーバーを管理する、ドメインごとのノード・マネージャ |
|
APPHOST1およびAPPHOST2でそれぞれ実行されるノード・マネージャのインスタンス |
|
それぞれ、APPHOST1およびAPPHOST2のIPアドレス |
高可用性の管理サーバーを設定するには、次の手順を実行します。
仮想ホストAPPHOST0
を表す仮想サーバーIPアドレス(vip0
)をAPPHOST1
に構成します。
詳細は、『Oracle WebLogic Serverサーバー環境の管理』の仮想ホスティングの構成に関する項を参照してください。
Oracle Fusion Middleware拡張インストール手順を使用して、Oracle Fusion Middlewareバイナリをインストールし、共有記憶域のディレクトリ内にドメインを構成します。vip0
を管理サーバーのリスニング・アドレスに使用します。
仮想マシンmachine_0
を作成し、そこに管理サーバーを追加します。このマシンmachine_0
は、IPアドレスvip0
の仮想サーバー・ホストAPPHOST0
を表します。
machine_1
and machine_2
にそれぞれ割り当てられた2つの管理対象サーバーserver_1
およびserver_2
,を持つクラスタ(cluster_1
)を作成します。
machine_1
はAPPHOST1
を表し、machine_2
はAPPHOST2
を表します。
server_1
およびserver_2
を、それぞれip1
およびip2
をリスニングするよう設定します。
仮想サーバーを、APPHOST1
およびAPPHOST2
にスケール・アウトします。第6.2項「トポロジのスケール・アウト手順.」を参照してください。スケール・アウトするには、共有記憶域でドメインをパックし、APPHOST1
およびAPPHOST2
のローカル・ディレクトリにアンパックします。
APPHOST1
でドメインごとのノード・マネージャ(NMa
)を起動し、構成済の仮想サーバーIPアドレスvip0
をAPPHOST1
でリスニングする管理サーバーを管理します。ノード・マネージャのこのインスタンスを、共有記憶域のドメイン・ディレクトリで起動します。
APPHOST1
で、ドメインごとのノード・マネージャ(NM1
)を起動し、ip1
をリスニングするserver_1
を管理します。このノード・マネージャ(NM1
)を、手順5でAPPHOST1
のローカル記憶域にアンパックしたドメイン・ディレクトリで起動します。
APPHOST2
で、ドメインごとのノード・マネージャ(NM2
)を起動し、ip2
をリスニングするserver_2
を管理します。このノード・マネージャ(NM2
)を、手順5でAPPHOST2
のローカル記憶域にアンパックしたドメイン・ディレクトリで起動します。
ノード・マネージャ(NMa
)を使用して、APPHOST1
で管理サーバーを起動します。
管理サーバーserver_1
およびserver_2
を、それぞれNM1
およびNM2
を使用して起動します。
管理サーバーおよび管理対象サーバーが適切に機能していることを確認します。仮想IPアドレスvip0
を使用して、管理サーバーに接続します。
ホストの障害の発生後、管理サーバーをフェイルオーバーまたはフェイルバックするには、次の各項目を参照してください。
APPHOST1に障害が発生した場合に、管理サーバーをAPPHOST2にフェイルオーバーには、次のようにします。
vip0
をAPPHOST2
に構成します。
APPHOST2
の共有記憶域のドメイン・ディレクトリで、ノード・マネージャNMaを起動します。
APPHOST2
でNMa
を使用して、管理サーバーを起動します。
管理コンソールを起動して、管理サーバーが実行されていることを確認します。
管理サーバーが再起動した後、元のホストにフェイルバックします。
APPHOST1
がオンラインに復帰してから、管理サーバーをAPPHOST1
にフェイルバックするには、次のようにします。
ノード・マネージャNMaを使用して、APPHOST2
の管理サーバーを停止します。
vip0
を、APPHOST2
から削除します。
APPHOST2
で、ノード・マネージャNMaを停止します。
vip0をAPPHOST1
に構成します。
共有記憶域のドメイン・ディレクトリを使用して、APPHOST1
でノード・マネージャNMaを起動します。
ノード・マネージャNMaを使用して、APPHOST1
で管理サーバーを起動します。
管理コンソールを起動して、管理サーバーが実行されていることを確認します。