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Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメント・ガイド
リリース12.2.1
E70048-02
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5 エンタープライズ・デプロイメント用のリソースの取得

Oracle Business Intelligence参照用トポロジの構成を開始する前に、次のトピックを使用して必要なハードウェア、ソフトウェアおよびネットワーク設定を取得します。

この章では、必須IPアドレスの予約およびエンタープライズ・デプロイメント用のソフトウェア・ダウンロードの特定と取得について説明します。

5.1 エンタープライズ・デプロイメント・トポロジ用のハードウェアおよびソフトウェアの要件

この項では、エンタープライズ・デプロイメント・トポロジのハードウェア・ロード・バランサの要件、ホスト・コンピュータのハードウェア要件およびオペレーティング・システム要件について説明します。

この項の内容は次のとおりです。

5.1.1 ハードウェア・ロード・バランサの要件

この項では、外部ロード・バランサの適切な機能を示します。

このエンタープライズ・トポロジは外部のロード・バランサを使用します。この外部ロード・バランサには、次の機能が必要です。

  • 仮想ホスト名を使用してトラフィックを実際のサーバーのプールにロード・バランシングする機能: クライアントは仮想ホスト名を使用してサービスにアクセスします(実際のホスト名は使用しない)。ロード・バランサは、リクエストをプールのサーバーにロード・バランスできるようになります。

  • ポート変換構成が可能である必要があります。これによって、仮想ホスト名とポートにおける入力リクエストが、バックエンド・サーバーにある別のポートにリダイレクトされます。

  • プールにあるサーバーのポートを監視してサービスの可用性を判定する機能。

  • 仮想サーバーとポートの構成: 仮想サーバー名とポートを外部ロード・バランサ上で構成できる機能。仮想サーバー名とポートは次の要件を満たす必要があります。

    • ロード・バランサは複数の仮想サーバーの構成が可能である必要がある。各仮想サーバーに対して、ロード・バランサは複数のポート上でトラフィック管理の構成を行える必要があります。たとえば、Web層のOracle HTTP Serverの場合、ロード・バランサでは、HTTPとHTTPSのトラフィックに対して仮想サーバーとポートで構成されている必要があります。

    • 仮想サーバー名は、IPアドレスに関連付けられていて、DNSの一部である必要がある。クライアントは仮想サーバー名を使用して外部ロード・バランサにアクセスできる必要があります。

  • ノード障害を検出し、障害が発生したノードへのトラフィックのルーティングをすぐに停止する機能。

  • フォルト・トレラント・モード: ロード・バランサをフォルト・トラレント・モードに構成することを強くお薦めします。

  • トラフィックの転送先となるバックエンド・サービスが使用不可の場合に、即座にコール元クライアントに戻るようにロード・バランサの仮想サーバーを構成しておくことを強くお薦めします。これは、クライアントのマシンのTCP/IP設定に基づくタイムアウトの後、自ら接続解除するクライアントに対して好ましい構成です。

  • スティッキーなルーティング機能: コンポーネントに対してスティッキーな接続を維持できる機能です。この例には、Cookieベースの永続性やIPベースの永続性などが含まれています。

  • ロード・バランサはSSLリクエストをロード・バランサで終了して、同等の非SSLプロトコル(たとえば、HTTPSからHTTP)を使用してトラフィックを実際のバックエンド・サーバーに転送できる必要があります。

  • SSLアクセラレーション(これは推奨する機能ですが、エンタープライズ・トポロジに必須ではありません)。

  • TCP/IPリクエストをルーティングする機能: これは、TCP経由のMinimum Lower Layer Protocol (MLLP)を使用するOracle SOA Suite for healthcare integrationの要件です。

5.1.2 ホスト・コンピュータのハードウェア要件

この項では、エンタープライズ・デプロイメント・トポロジをサポートするように構成されるホスト・コンピュータの取得に役立つ情報を提供します。

内容は次のとおりです。

5.1.2.1 エンタープライズ・デプロイメントのホスト・コンピュータに関する一般的な考慮事項

この項では、エンタープライズ・デプロイメントのホスト・コンピュータに必要とされる一般的な考慮事項について説明します。

Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントを構成するプロセスを開始する前に、適切なキャパシティ・プランニングを実施して、ノードの数、特定のシステムへの負荷に応じてノードごとにおけるCPUとメモリーに関する要件、スループットとレスポンスに関する要件を決める必要があります。これらの要件は、使用するアプリケーションやカスタムOracle Business Intelligenceシステムごとに異なります。

この章で提供する情報は、ホスト・コンピュータ要件を判断するために役立つ一般的なガイドラインおよび情報です。これにより、個別の本番環境に対するキャパシティ・プランニングを実行する必要がなくなるわけではありません。

注意:

この項でホスト・コンピュータを取得し確保したら、ホスト名とシステム特性をエンタープライズ・デプロイメント・ワークブックに記録してください。これらのアドレスは、後で各ホスト・コンピュータでIPアドレスを有効化するときに使用します。

詳細は、「エンタープライズ・デプロイメント・ワークブックの使用」を参照してください

5.1.2.2 Oracle Fusion Middlewareシステム要件の確認

この項では、環境が必要な最小要件を満たしていることを確認するために役立つシステム要件の情報に対する参照を提供します。

Oracle Fusion Middlewareのシステム要件および仕様を参照し、環境がインストールする製品の最小インストール要件を満たしていることを確認します。

要件および仕様のドキュメントには、Oracle Fusion Middlewareの一般的なハードウェアとソフトウェアの要件、ディスク領域とメモリーの最小要件、データベース・スキーマの要件、および必要なシステム・ライブラリおよびパッケージに関する情報が記載されています。

また、Oracle Fusion Middlewareデプロイメントのメモリー要件を見積るための一般的なガイドラインも記載されています。

5.1.2.3 エンタープライズ・デプロイメントに必要な標準的なメモリー、ファイル・ディスクリプタおよびプロセス数

この項では、エンタープライズ・デプロイメントに必要とされる標準的なメモリー、ファイル・ディスクリプタの数、およびオペレーティング・システムのプロセスとタスクの数の詳細について説明します。

次の表は、標準的なOracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメントにおける管理サーバーおよび各管理対象サーバー・コンピュータに必要なメモリー、ファイル・ディスクリプタおよびプロセス数をまとめたものです。これらの値はあくまで例にすぎませんが、初期エンタープライズ・デプロイメントに最小限必要なメモリー量の見積りに使用できます。

このトピックの例には、参照用トポロジに示されている、BIHOST1で必要な管理対象サーバーおよびその他のサービスを構成するための最小要件が反映されています。

マシンの調達時には、各ホスト・コンピュータに搭載する必要がある物理メモリー量を判断するときの目安として、「概算最大メモリー」列の情報を使用してください。

ホスト・コンピュータ・ハードウェアを調達し、オペレーティング・システム要件を確認したら、ソフトウェア構成を調査して、オペレーティング・システムの設定が「ファイル・ディスクリプタ」列に記載されているオープン・ファイル数と「オペレーティング・システムのプロセスおよびタスク数」列に記載されているプロセス数に対応できるように構成されていることを確認します。

詳細は、「UNIXシステムでのオープン・ファイル制限とプロセス数の設定」を参照してください。

管理対象サーバー、ユーティリティまたはサービス 概算最大メモリー ファイル・ディスクリプタ数 オペレーティング・システムのプロセスおよびタスク数

管理サーバー

3.5 GB

3500

165

WLS_BI

4.0 GB

31000

130

WLST (ノード・マネージャへの接続)

1.5 GB

910

20

構成ウィザード

1.5 GB

700

20

ノード・マネージャ

1.0 GB

720

15

システム・コンポーネント

TBD

TBD

TBD

合計

11.0 GB*

17000

1200

*オペレーティング・システムとその他の追加メモリー要件を考慮した概算合計です。

5.1.2.4 エンタープライズ・デプロイメントの標準的なディスク領域要件

この項では、このエンタープライズ・デプロイメントに必要とされる標準的なディスク領域について説明します。

Oracle Business Intelligence製品を含むOracle Fusion Middleware 12c (12.2.1)製品の最新のディスク領域要件は、Oracle Fusion Middlewareシステム要件と仕様を確認してください。

また、次の表は、Oracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメントに通常必要なディスク領域についてまとめたものです。

この情報と「エンタープライズ・デプロイメント用のファイル・システムの準備」の情報に基づいて、デプロイメントに必要なディスク領域を判断してください。

サーバー ディスク

データベース

nXm

n: ディスクの台数(台数は4台以上で、1台のディスクはストライプ)

m: ディスクの容量(30GB以上)

WEBHOSTn

10 GB

BIHOSTn

10 GB*

*共有記憶域Oracleホーム構成の場合、2つのインストールには合計20 GBあれば十分です。

5.1.3 エンタープライズ・デプロイメント・トポロジのオペレーティング・システム要件

この項では、オペレーティング・システム要件の詳細について説明します。

このガイドで説明するOracle Fusion Middlewareソフトウェア製品およびコンポーネントは、Oracle Fusion Middlewareシステム要件と仕様に記載されている様々なオペレーティング・システムおよびプラットフォームで動作保証されています。

注意:

このガイドでは、Oracle Linuxシステムにおけるエンタープライズ・デプロイメント参照用トポロジの実装を中心に取り上げています。

このトポロジは、動作保証済でサポートされている任意のオペレーティング・システムで実装可能ですが、このガイドの例には、多くの場合、Oracle Linux上でbashシェルを使用して実行する必要があるコマンドと構成手順が示されています。

5.2 エンタープライズ・デプロイメント用の必須IPアドレスの予約

この項では、インストールと構成の前に取得および予約する必要がある一連のIPアドレスを示します。

エンタープライズ・トポロジのインストールおよび構成を開始する前に、次の一連のIPアドレスを取得および予約する必要があります。

  • トポロジのために取得した各ホスト・コンピュータの物理IP (IP)アドレス

  • 管理サーバーの仮想IP (VIP)アドレス

  • サーバー全体の移行に対して構成された各管理対象サーバーの追加VIPアドレス

    自動サービス移行をサポートするFusion Middleware 12c製品の場合、管理対象サーバーのVIPは通常は必要ありません。

  • 各VIPにマップされる一意の仮想ホスト名。

ネットワーク管理者と協力して、これらの必須VIPが、ご使用のDNSサーバーに定義されていることを確認できます。(非本番環境では、かわりに/etc/hostsファイルを使用してこれらの仮想ホストを定義できます)。

詳細な情報は、次のトピックを参照してください

5.2.1 仮想IP (VIP)アドレスとは

この項では、仮想IPアドレスを定義し、その用途について説明します。

仮想IPアドレスは、ホストの主要IPアドレスと同じサブネットに属する、未使用のIPアドレスです。これは、ホストに手動で割り当てられます。コンピュータで障害が発生した場合は、仮想アドレスをトポロジ内の新しいホストに割り当てることができます。このガイドの用途では、仮想IPアドレスはホスト間で再割当て可能なアドレスとして、物理IPアドレスはハードウェア・ホスト・コンピュータに永続的に割り当てられるアドレスとして扱います。

5.2.2 仮想ホスト名と仮想IPアドレスを使用する理由

特にエンタープライズ・デプロイメントの場合、一連のVIPおよびそれらがマップされている仮想ホスト名を、社内ネットワーク上で予約して有効化することが重要です。

ホスト名は、様々なノードを通して伝播される適切な/etc/hostsファイルをかわりに使用して解決できます。

IPアドレスが割り当てられたホスト・コンピュータに障害が発生した場合は、割り当てられた管理対象サーバーの実行を新しいホストが引き継ぐことができるように、このIPアドレスは同じサブネット内の別のホスト・コンピュータに割り当てることができます。

管理サーバーの仮想IPアドレスの再割当ては手動で実行する必要がありますが、管理対象サーバーの仮想IPアドレスの再割当ては、Oracle WebLogic Serverのサーバー全体の移行機能を使用して自動的に実行できます。

サーバー全体の移行を使用する必要があるかどうかは、デプロイする製品およびその製品で自動サービス移行がサポートされているかどうかによって異なります。

5.2.3 エンタープライズ・トポロジで必要とされる物理IPアドレスと仮想IPアドレス

この項では、標準的なOracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメント・トポロジの管理サーバーおよび各管理対象サーバーで必要とされる物理IP (IP)アドレスと仮想IP (VIP)アドレスについて説明します。

エンタープライズ・デプロイメントのインストールおよび構成を開始する前に、表5-1 のVIPに対応する一連のホスト名およびIPアドレスを予約します。

VIPには任意の一意のホスト名を割り当てることができますが、このガイドでは、この表の推奨ホスト名を使用して各VIPを参照します。

注意:

この項でIPアドレスおよび対応する仮想ホスト名を取得および予約したら、それらのIPアドレスとホスト名の値をエンタープライズ・デプロイメント・ワークブックに記録してください。これらのアドレスは、後で各ホスト・コンピュータでIPアドレスを有効化するときに使用します。

詳細は、「エンタープライズ・デプロイメント・ワークブックの使用」を参照してください

表5-1 エンタープライズ・デプロイメントに必要な仮想IPアドレスのサマリー

仮想IP VIPのマップ先 説明

VIP1

ADMINVHN

ADMINVHNは、管理サーバーのリスニング・アドレスとして使用される仮想ホスト名であり、管理サーバーの手動フェイルオーバーによりフェイルオーバーします。管理サーバー・プロセスが実行されているノードで有効化されます。

VIP2

BIHOST1VHN

BIHOST1VHNは、WLS_BI1管理対象サーバーのリスニング・アドレスにマップする仮想ホスト名であり、このサーバーのサーバー全体の移行によりフェイルオーバーします。

これは、WLS_BI1プロセスが実行されているノード(BIHOST1)で有効化されます。

VIP3

BIHOST2VHN

BIHOST2VHNは、WLS_BI2管理対象サーバーのリスニング・アドレスにマップする仮想ホスト名であり、このサーバーのサーバー全体の移行によりフェイルオーバーします。

これは、WLS_BI2プロセスが実行されているノード(BIHOST2)で有効化されます。

5.3 エンタープライズ・デプロイメント用のソフトウェア・ダウンロードの特定と取得

エンタープライズ・トポロジのインストールおよび構成を開始する前に、トポロジの実装に必要なソフトウェア・ディストリビューションを見つけてダウンロードする必要があります。

次の表は、取得する必要のあるダウンロードを示しています。

Oracle Fusion Middlewareソフトウェアの入手方法の一般情報は、『Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』の製品のディストリビューションの理解と入手に関する項を参照してください。

特定のOracle Fusion Middleware製品の場所とダウンロードに固有の詳細は、OTNのOracle Fusion Middlewareダウンロード、インストール、構成のReadmeファイルを参照してください。

ディストリビューション 説明

Oracle Fusion Middleware 12c (12.2.1.0.0) Infrastructure

このディストリビューションをダウンロードしてOracle Fusion Middleware Infrastructureをインストールします。これには、Oracle WebLogic ServerおよびOracle Fusion Middleware製品に必要なJava Required Filesソフトウェアが含まれています。

このディストリビューションによってリポジトリ作成ユーティリティ(RCU)もインストールされます。これは、以前のOracle Fusion Middlewareリリースでは独自のディストリビューションにパッケージされていました。

Oracle HTTP Server 12c (12.2.1.0.0)

このディストリビューションをダウンロードして、Web層にOracle HTTP Serverソフトウェアをインストールします。

Oracle Fusion Middleware 12c (12.2.1.0.0) Business Intelligence

このディストリビューションをダウンロードして、Oracle Business Intelligenceソフトウェアをインストールします。