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Oracle® Enterprise Manager Cloud Control Oracle Fusion Middleware管理ガイド
13cリリース1
E72552-02
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16 詳細実行情報の取得

ここでは、Enterprise Manager JVMビューを使用して、失敗する操作または問題のある操作の実行情報の詳細を取得する方法を説明します。

パフォーマンス問題を理解するためには、RUEIまたはBTMにより提供されたビューが十分ではない場合があります。疑いのあるサービスがJava仮想マシンを実行している場合、そうした問題の根本原因を診断できるように、より深い、詳細な実行情報を入手することができます。

JVM診断は、実行中のJVMプロセスの詳細を表示できるようにするツールです。これらの詳細には、スレッドを実行するためのスタック・フレーム、スレッド状態に関する情報、メソッド実行の頻度やコストに関する集計情報、Javaおよびデータベース・ロックの保持に関する情報、Javaヒープのオブジェクトに関する詳細などがあります。このツールを使用して、モニター対象の各JVMの履歴データにアクセスすることもできます。

この章の内容は次のとおりです。

さらにパフォーマンス分析を行うためにRUEIまたはBTMからこれらのビューのいずれかを呼び出すと、選択したRUEIページ・オブジェクトまたはBTM操作インスタンスについてある期間に生成されたデータがEnterprise Managerにより選択され、表示されます。データについて表示される場合があるもう1つの情報は、その実行コンテキストID (ECID)です

ECIDは、Oracleテクノロジ・スタックでコンポーネントに対するリクエストを追跡するために使用される識別子です。ECIDの作成と伝播により、コンポーネント間でのコンテキストおよび診断データの共有ができるようになります。また、ECIDを使用して、Java仮想マシンで実行中のスレッドを特定することもできます。ECIDが使用可能な場合は、RUEIやBTMに表示されるデータを、「JVM診断」ビューまたは「インスタンス診断リクエスト」ビューに表示されるデータと関連付けることができます。詳細は、「ECIDを使用してリクエストを追跡する」を参照してください。

RUEIおよびBusiness Transaction ManagementからJVMビューにアクセスするには、いくつか事前の設定作業が必要です。詳細は、「エンドツーエンド・モニタリングの設定」を参照してください。

JVMDは、1つの章では説明できないほど豊富な機能を提供しています。使用法の詳細は、JVMDを説明している本書の各章を参照してください。

16.1 JVM診断の使用方法

Java仮想マシン診断(JVMD)の情報には、次のいずれかの方法でBusiness Transaction Managementコンソールからアクセスします。

  • サービス、エンドポイント、論理操作、物理操作、またはトランザクションの「メッセージ・ログ」タブで、行を右クリックし、コンテキスト・メニューから「JVMDにドリルダウン」を選択します。

  • 「トランザクション・インスタンス・インスペクタ」で、操作を(グラフまたはグリッド・ビューで)右クリックし、コンテキスト・メニューから「JVMDにドリルダウン」を選択します。

  • 「メッセージ・ログの検索」ツールで、メッセージ行を右クリックし、コンテキスト・メニューから「JVMDにドリルダウン」を選択します。

Enterprise Managerでは、「ビジネス・アプリケーション」のトランザクションを選択し、トランザクション・サマリー・ページを開くことにより、トランザクション操作のJVMD情報にアクセスできます。続いて、次のいずれかを実行します。

  • トポロジのダイアグラムでいずれかの操作ノードを右クリックし、コンテキスト・メニューからJVMD診断を選択します。

  • 操作表でいずれかの操作行を右クリックし、コンテキスト・メニューからJVMD診断を選択します。

いずれの場合も新しいウィンドウが開き、「JVMパフォーマンス診断」ビューが表示されます。VMが複数台ある場合は、VMグループ・ターゲットと、そのグループの集計情報がJVMDに表示されます。図16-1にJVMパフォーマンス診断ビューを示します。

図16-1 JVMパフォーマンス診断ビュー

この図はテキストで説明します。

このビューは、選択した操作が実行中のJVMのサマリー詳細を表示します。「サーバーの状態」チャート、「状態別のアクティブ・スレッド」、「上位メソッド」、「上位リクエスト」、「上位DBWaitイベント」、「上位SQL」および「上位データベース」が表示されます。様々な基準を指定して、表示されるデータをフィルタ処理できます。

「スレッド」タブをクリックすると、「スレッドの状態遷移」チャートが表示されます。このチャートには、選択した期間内でスレッドがある状態から別の状態にどのように遷移したかが表示されます。「スレッドの状態遷移」チャートの棒グラフをクリックすると「サンプル・アナライザ」が表示され、そのスレッドに対する詳細分析がスレッド上に表示されます。

「ライブ・スレッド分析」コントロールをクリックすると、JVMで実行中のすべてのスレッドが表示されます。スレッドを1つクリックすると、そのスレッドに関する追加情報が表示されます。

16.2 インスタンス診断リクエストの使用

「インスタンス診断リクエスト」(RID)ビューには、RUEIまたはBusiness Transaction Managementからアクセスできます。

  • RUEIスタンドアロン・アプリケーションからは、表示されるデータを関連付けるためにECIDが使用されます。RIDには、「RUEIセッション診断」ビューでレコードを右クリックしてアクセスできます。

  • 「RUEIセッション診断」(EMのオブジェクト・ビュー)から、Oracleロゴのアイコンを右クリックするとRIDにアクセスできます。(このアイコンはECIDがある場合にのみ表示されます)

  • 関連付けされたECIDがBusiness Transaction Managementの操作にある場合は、JVMDビューにアクセスする場合と同じ方法でRIDビューにアクセスできます(コンテキスト・メニューでJVMDではなく、RIDを選択)。


注意:

「インスタンス診断リクエスト」(RID)ビューにアクセスする前に、Java仮想マシン診断(JVMD)がインストールされていて、アクティブになっている必要があります。

Figure 16-2は、あるECIDの「インスタンス診断リクエスト」ビューの一部を示しています。

Figure 16-2 「インスタンス診断リクエスト」ビュー

テキストで説明されている図。

「JVM」パネルには、リクエストを実行したすべてのJVMがリストされます。JVMを1つ選択すると、次の情報が表示されます。

  • RID: 関係IDは、タスク・ツリー内の各タスクの場所の記述に順番に番号が付けられたものです。

  • リクエストの開始時間および期間。

  • ステップ名: リクエストの個々のステップ。たとえば、最初のステップがjspで、2番目のステップがEJBで、3番目のステップがDBの場合があります。

  • JVMごとのCPU使用率

  • GCメジャー/GCマイナーは、メジャーおよびマイナーのガベージ・コレクションに追加されたオブジェクトの数を示します。

リストからJVMを選択した場合は、「JVMインスタンス分析」パネルの「インスタンス・サンプル」タブに棒グラフが表示されます。このグラフは、リクエストの持続時間内に取得された各JVMのスナップショットでのスレッドの状態を示します。表示の右にある鍵の色で、実行可能、ロック、I/O待機、DB待機、ネットワーク待機、RMI待機などの様々なスレッドの状態を表します。そのスレッドの詳細を表示するには、グラフの上にマウスを置きます。

指定した期間に、選択したJVMに対して収集された集計メトリックを表示するには、「リクエスト集計」タブをクリックします。図16-3はタブの例を示しています。

あるメトリック・タイプの測定値を表示するには、図のように「メトリック」ドロップ・ダウン・メニューから表示するタイプを選択します。

図16-3 RID: 「リクエスト集計」タブ

テキストで説明されている図。