1 概要

Oracle の StorageTek Virtual Storage Manager System 7 (VSM 7) Virtual Tape Storage Subsystem (VTSS) は、IBM MVS ホストへのエミュレートされたテープ接続や、実テープドライブ (RTD)、Virtual Library Extension (VLE)、およびその他の VTSS への接続をサポートし、IBM MVS 環境に仮想テープデバイスエミュレーション、仮想テープカートリッジイメージ、および追加のバッファー容量を提供します。

あるいは、VSM 7 オープンシステム接続 (OSA) 機能を使用して、テープドライブ、テープカートリッジ、およびテープライブラリのエミュレーションを提供するように VSM 7 を構成すると、オープンシステムのバックアップアプリケーションでそれらをデータのバックアップ、復元、およびアーカイブに使用できるようになります。

図1-1 VSM 7 VTSS

図1-1 については、周囲のテキストで説明しています。

VSM 7 プラットフォーム

VSM 7 VTSS は既存の Oracle サーバー、ストレージ、およびサービスプラットフォーム上に構築される標準のラックマウントシステムとしてパッケージングされています。サーバー、ストレージディスクエンクロージャー、および標準ラックマウントエンクロージャーは、パッケージングされたシステムとして提供されます。

Solaris 11 オペレーティングシステムは VSM 7 VTSS ソフトウェア環境の基礎であり、Solaris インフラストラクチャーコンポーネントと VTSS 機能固有のソフトウェアも含まれています。VSM 7 ソフトウェア環境には、製品を顧客の管理対象テープ環境に統合するために限定的なサイトレベル構成が必要な場合のための VTSS 機能用のインストール済みかつ構成済みのソフトウェアが含まれます。

また、VSM 7 には既存の VSM Tapeplex 内で動作するために必要なインタフェースとサポート (VTCS サポート、レガシー VTSS サポート、および ELS、HSC/SMC、NCS、VLE、SE ツール、VAT、LCM および CDRT のサポート) も含まれています。

VSM 7 VTSS の機能

VSM 7 VTSS は、既存の VSM 6 VTSS システムの後継製品であり、VSM 6 ハードウェアスタックを新しい Oracle サーバー、ストレージディスクエンクロージャー、および I/O カードと交換します。この新しいハードウェアスタックにより、VTSS へのパフォーマンスの向上と容量の増加が実現します。

たとえば、ストレージ容量は VSM 6 から 2 倍になっており、すべて 10G ビット IP ネットワークに移行することで、レプリケーションのパフォーマンスが向上しています。また、プロセッサクロック速度、内部メモリー、および I/O バス速度の高速化により、システムのパフォーマンスが大幅に改善されています。

VSM 6 VTSS の代替製品である VSM 7 VTSS は概して、パフォーマンス、接続、および保守性が向上している点を除き、同等の顧客ビューと機能を備えています。

VSM 7 VTSS プラットフォームが VSM 6 VTSS よりも優れている点は、次のとおりです。

  • サーバーとストレージディスクエンクロージャーをアップグレードしたことによる、パフォーマンスとストレージ容量の向上

  • 8 個のポートを使用した 16G ビット/秒の FC/FICON 接続

  • VTSS 全体と顧客のネットワーク環境での 10G ビット/秒の IP 接続

  • ネットワーク接続をサーバーから顧客のネットワーク環境にアグリゲーションまたはファンアウトする 2 つのネットワークスイッチ

VSM ソリューション

Oracle の StorageTek Virtual Storage Manager (VSM) システムはハードウェア製品とソフトウェア製品の集合であり、これらによって構成されるディスクベースの仮想テープシステムは、エンタープライズクラスのストレージ管理機能を IBM メインフレーム環境に提供します。VSM はワークロードのストリーミングと、バックアップおよび回復機能を最適化し、管理のオーバーヘッドを削減して、テープ容量の利用率を最大化することで、さまざまなストレージ環境のデータ保護コストを削減します。

VSM では VTSS 上のディスクバッファーに仮想テープボリューム (VTV) が格納され、オプションでこれらを Virtual Library Extension (VLE) または実テープドライブ (RTD)、あるいはその両方に移行できます。VTV は最大 32G バイトにできます。移行された VTV がホストで必要になったとき、それらが VTSS にない場合は自動的に VTSS にリコールされます。

VSM システムには次のサブシステムが含まれています。

  • VTSS ハードウェアおよびソフトウェア。

    VSM 7 VTSS は、FC または FICON インタフェース経由での IBM MVS ホストへのエミュレートされたテープ接続、実テープドライブ (RTD) への FC または FICON 接続、その他 (VSM 7、VSM 6、または VSM5) の VTSS および VLE への IP 接続、および ECAM over IP および VTSS 間のレプリケーションを使用したリモートホスト接続をサポートします。

  • 仮想テープ制御ソフトウェア (VTCS)。

    VTCS は、VTSS での仮想テープイメージの作成、削除、レプリケーション、移行、およびリコールを制御し、VTSS からレポート情報を取得します。

  • エンタープライズライブラリソフトウェア (ELS)。

    ELS は StorageTek メインフレームソフトウェアの統合スイートであり、IBM MVS 環境で StorageTek の自動カートリッジシステム (ACS) ハードウェアと仮想ストレージマネージャー (VSM) ハードウェアの有効化と管理を行います。ELS には、ホストソフトウェアコンポーネント (HSC)、ストレージ管理コンポーネント (SMC)、および HTTP サーバーが含まれます。

  • 自動カートリッジシステムライブラリソフトウェア (ACSLS)。

    あるいは、VSM 7 オープンシステム接続 (OSA) 機能を使用して、オープンシステムのバックアップアプリケーションでバックアップ、復元、およびアーカイブ操作に使用されるエミュレーションを提供するように VSM 7 を構成できます。

    IBM MVS 環境では ELS および FICON が使用されるところに、オープンシステム環境では、VSM 7 OSA は代わりに ACSLS およびファイバチャネルプロトコル (FCP) を使用します。VSM 7 OSA は、ACSLS と VTCS を VSM コンソール経由で使用できます。

    VSM 7 OSA の詳細は、第8章 オープンシステム接続機能を参照してください。

  • Virtual Library Extension (VLE) ハードウェアおよびソフトウェア。

    VLE は、VSM 7 VTSS に IP 接続され、VTSS 仮想テープボリューム (VTV) の移行およびリコールのターゲットとして機能します。

    注記:

    VLE は、Oracle Cloud Storage 間の移行およびリコールをサポートします。正しく構成された VLE に接続されている VSM 7 は、VLE を使用して、ローカルディスクではなく Oracle Cloud Storage の間で VTV を移行およびリコールできます。この機能の詳細は、VLE のドキュメントを参照してください。
  • 実テープドライブ (RTD) は物理テープライブラリに接続されます。

    RTD は VTSS 仮想テープボリューム (VTV) の移行およびリコールターゲットとして機能します。RTD は VSM 7 VTSS に FC 接続 (OSA の場合) または FICON 接続されます。

図1-2に VSM サブシステムを示します。

図1-2 VSM 7 のコンテキスト図

図1-2 については、周囲のテキストで説明しています。