この章では、次のトピックについて説明します。
使い慣れたインタフェースである標準の UNIX ファイルシステムを使用してユーザーと対話できることは、Oracle Hierarchical Storage Manager and StorageTek QFS Software の重要な利点です。ほとんどのユーザーは、相違を知る必要もありません。ただし、Oracle HSM ファイルシステムは、必要に応じて、非常に多くの機能を上級ユーザーに提供できます。Oracle HSM のファイル属性を使用すると、ユーザーは個々のファイルおよびディレクトリを操作するためのファイルシステムの動作を最適化できます。そのワークロードとデータの特性を理解するユーザーは、ファイルごとにパフォーマンスを大幅に向上させることができます。たとえば、ユーザーは、指定されたファイルまたはディレクトリ内のデータの特性に基づいて、直接入出力またはバッファー入出力を指定できます。大容量ファイルをより連続的に書き込めるようにファイルシステム領域を事前に割り当てることができ、特定のファイルまたはディレクトリの書き込み時に使用されるストライプ幅を指定できます。
setfa
コマンドは、新規ファイルとディレクトリおよび既存のファイルとディレクトリの両方についてこれらのファイル属性を設定します。このコマンドは、存在しない指定のファイルまたはディレクトリを作成します。ディレクトリに適用すると、指定された属性をディレクトリ内のすべてのファイルとサブディレクトリに対して設定します。あとで作成されるファイルとディレクトリはこれらの属性を継承します。
次に、基本的なタスクの概要について説明します (追加情報については、setfa
のマニュアルページを参照してください)。
ファイルシステムのホストにログインします。
user@solaris:~#
ファイルのデフォルトの属性値をリセットするには、コマンド setfa
-d
file
を使用します。ここで file
は、ファイルのパスと名前です。
次の例では、ファイル /samfs1/data/2014/03/series3.15
のデフォルトをリセットします。
user@solaris:~# setfa -d /samfs1/data/2014/03/series3.15
ディレクトリとそのすべての内容のデフォルトの属性値を再帰的にリセットするには、コマンド setfa
-r
directory
を使用します。ここで directory
は、ディレクトリのパスと名前です。
次の例では、サブディレクトリ /samfs1/data/2014/02
のデフォルトをリセットします。
user@solaris:~# setfa -r /samfs1/data/2014/02/
ここで停止します。
ファイルの容量を事前に割り当てると、ファイルの書き込み時にファイル全体を連続して書き込むための十分な領域が確保されます。大容量ファイルの書き込みおよび読み取りを連続するブロックで行うと、より小さくて散在したデータのブロックのシークとバッファリングに関連するオーバーヘッドが減ることで、効率と全体的なパフォーマンスが向上します。そのため、事前割り当ては、予測可能な数の大きいデータのブロックを書き込む場合に最適です。事前に割り当てられた未使用の容量は、ファイルを閉じたときにファイルの一部であり続け、ファイル全体を削除するまでほかの使用には解放できません。
ファイルシステムのホストにログインします。
user@solaris:~#
すでにデータを含んでいる既存のファイルへの書き込みのために領域を事前に割り当てる必要がある場合、コマンド setfa
-L
number-bytes
file
を使用します。ここで number-bytes
は、整数、または整数に k
(K バイト)、m
(M バイト)、または g
(G バイト) を付けたもので、file
はファイルの名前です。
コマンド setfa
-L
では、標準の割り当てが使用され、ストライプ化がサポートされています。事前に割り当てられたファイルは、事前に割り当てられたサイズよりも大きくなる可能性があります。次の例では、既存のファイル tests/series119b
のために 121M バイトを事前に割り当てます。
user@solaris:~# setfa -L 121m tests/series119b
ストレージブロックの割り当てのない新しいファイルを書き込むための領域を事前に割り当てる必要がある場合は、コマンド setfa
-l
number-bytes
file
を使用します。ここでは:
l
は小文字の「L」です。
number-bytes
は整数、または整数にキロバイトを表す k
、メガバイトを表す m
、またはギガバイトを表す g
を付けたものです。
file
はファイルの名前です。
コマンド setfa
-l
は、指定されたバイト数を事前に割り当てます。結果のファイルは、事前に割り当てられたサイズに固定されており、事前に割り当てられたサイズより大きくなることも小さくなることもできません。次の例では、ファイル data/2014/a3168445
を作成し、その内容のために 2G バイトの容量を事前に割り当てます。
user@solaris:~# setfa -l 2g data/2014/a3168445
ここで停止します。
デフォルトでは、Oracle HSM ファイルシステムは、マウント時にファイルシステムに指定された割り当て方式を使用します。ただし、ユーザーは、指定したディレクトリまたはファイルに指定したストライプ幅を使用して、優先される割り当て方式としてラウンドロビン式またはストライプ化を指定できます。
ファイルシステムのホストにログインします。
user@solaris:~#
ラウンドロビン式割り当てを指定するには、ストライプ幅 0
(ゼロ) を指定します。コマンド setfa
-s
0
directory-or-file
を使用します。ここで directory-or-file
は、指定した割り当て方式を使用して書き込むディレクトリまたはファイルの名前です。
ストライプ幅 0
(ゼロ) は、ストライプ化されていないラウンドロビン式割り当てを指定します。ファイルシステムは、次に使用可能なデバイスでファイルの書き込みを開始します。ファイルが完成するかデバイスの容量がなくなるまで、連続したディスク割り当て単位 (DAU) を同じデバイス上のファイルに書き込みます。デバイスで容量がなくなった場合、ファイルシステムは次に使用可能なデバイスに移動し、ディスク割り当て単位の書き込みを続行します。ファイルが完成するまでプロセスは繰り返されます。次の例では、data/field-reports
ディレクトリに書き込まれるすべてのファイルにラウンドロビン式割り当てを指定します。
user@solaris:~# setfa -s 0 data/field-reports
ストライプ化割り当てを指定するには、ストライプ幅を指定します。コマンド setfa
-s
stripe-width
directory-or-file
を使用します。ここで stripe-width
は、範囲 [1–255
] 内の整数で、directory-or-file
は、指定した割り当て方式を使用して書き込むディレクトリまたはファイルの名前です。
範囲 [1–255
] 内のストライプ幅は、ストライプ化割り当てを指定します。ファイルが完成するまで、ファイルシステムは、ストライプ幅で指定された数のディスク割り当て単位 (DAU) を複数のデバイスに並行して書き込みます。次の例では、ディレクトリに書き込まれるすべてのファイルにストライプ幅 1
を使用してストライプ化割り当てを指定するため、すべてのファイルのファイル割り当てがdata/field-reports
ディレクトリの data/2014/
に書き込まれ、ファイルシステムは、そのファイルが完成するまで、使用可能なそれぞれのデバイスに 1 つのディスク割り当て単位を書き込みます。
user@solaris:~# setfa -s 1 data/2014/
ここで停止します。
ユーザーは、ラウンドロビン式またはストライプ化割り当てを開始すべきストライプグループデバイスを指定できます。Oracle HSM ストライプグループは、複数の物理ボリュームにわたりデータをストライプ化する論理ボリュームです。ラウンドロビン式ファイル割り当てが有効になっているときは、ファイル全体が指定されたストライプグループに書き込まれます。ストライプ化割り当てが有効になっているときは、指定されたストライプグループで最初の割り当てが行われます。
ファイルシステムのホストにログインします。
user@solaris:~#
ファイル全体を特定のストライプグループに書き込むには、ラウンドロビン式割り当てを使用します。コマンド setfa
-s
0
-g
stripe-group-number
を使用します。ここで stripe-group-number
は、指定したストライプグループを識別する範囲 [0-127
] 内の整数です。
この例では、ファイル reports/site51
を書き込むときに、ストライプグループ 0
で始まるラウンドロビン式割り当てを指定します。
user@solaris:~# setfa -s 0 -g0 reports/site51
指定したストライプグループから始まる多数のストライプグループにわたりファイルをストライプ化するには、ストライプ化割り当てを使用します。コマンド setfa
-s
stripe-width
-g
stripe-group-number
を使用します。ここで stripe-width
は、ディスク割り当て単位の数を指定する範囲 [1–255
] 内の整数で、stripe-group-number
は、指定したストライプグループを識別する範囲 [0-127
] 内の整数です。
この例では、ファイル assessments/site52
のストライプ化割り当てを指定します。グループごとに、ストライプグループ 21
で始まる 3 つのディスク割り当て単位を指定します。
user@solaris:~# setfa -s 3 -g21 assessments/site52
ここで停止します。
その他の Solaris および Linux ファイルシステムと同様に、Oracle HSM ファイルシステムでは拡張ファイル属性がサポートされます。拡張属性は、ファイルシステム自体によってではなくユーザーまたはアプリケーションによってファイルに関連付けられる、任意のメタデータを保持します。拡張属性は、ファイルのダイジェスト、作成者とソースアプリケーションの名前、およびテキストファイルで使用される文字エンコーディングを保持するために使用されてきました。
リリース 6.1 以降の Oracle HSM では、464 文字以下を含む小さい拡張属性ファイルが、データパーティション内のブロックを使用する代わりにメタデータパーティション内の拡張 i ノードに格納されます。拡張属性が使用され、ファイルシステムのメタデータがより高速なデバイス (フラッシュストレージなど) に格納される場合に、この新しいアプローチによってファイルシステムのパフォーマンスが大幅に向上します。
拡張ファイル属性は、新しいファイルシステムを作成するか、または古いファイルシステムを回復ポイント (samfsdump
) ファイルから復元するたびに、自動的に有効になります。拡張属性の使用に関する詳細は、Solaris fsattr(5)
および Linux xattr(7)
のマニュアルページを参照してください。
Oracle HSM ファイルシステムは、非常に大きいファイルの操作に特に適しています。このセクションでは、次のトピックを扱います。
非常に大きなファイルを操作するときは、使用可能なディスクキャッシュのサイズに特に注意してください。ディスクキャッシュより大きいファイルを書き込む場合、非アーカイブファイルシステムは ENOSPC
エラーを返すのに対し、アーカイブファイルシステムは、使用可能になることはない領域を待機するだけであるため、アプリケーションがブロックします。
Oracle HSM では、ディスクキャッシュのサイズを増やすための 2 つの代替方法が用意されています。
ユーザーが、任意の時点に大きいファイルの一部のみをディスクにステージングできるように、ファイルをセグメント化します
ユーザーがデータをディスクにステージングしないように、大規模なデータセットにリムーバブルメディアファイルを使用します。
ファイルに対して Oracle HSM セグメント化属性を設定すると、ファイルシステムは、指定されたサイズのセグメントにファイルを分割し、いつでも現在必要なセグメントのみがディスクに存在するようにアクセス要求を管理します。ファイルの残りはリムーバブルメディアにあります。
大容量ファイルのセグメント化には多数の利点があります。
ユーザーは、使用可能なディスクキャッシュより大きいファイルを作成してアクセスできます。
いつでもセグメントのみがキャッシュ内に存在するため、ディスクキャッシュに納まるセグメントサイズを選択するだけで済みます。完成したファイルは、メディアに格納できる任意のサイズまで大きくなることができます。
ユーザーは、ディスクキャッシュから解放された大容量ファイルにより迅速にアクセスできます。大容量ファイルの一部をディスクにステージングする作業は、ファイル全体がステージングされるのを待機するよりはるかに高速です。
ファイルがセグメント化されていると、各ファイルの変更された部分のみが再アーカイブされるため、アーカイブ処理の速度と効率が向上する可能性があります。
複数のドライブにマウントされたリムーバブルメディアボリュームにわたりファイルをストライプ化できます。その後、アーカイブ操作とステージング操作を並行して実行できるため、パフォーマンスが向上します。
次の 2 つの制限があります。
共有ファイルシステムではファイルをセグメント化できません。
Solaris のメモリーマッピング関数である mmap()
は、セグメント化ファイル内のバイトをプロセスのアドレススペースにマップできないため、バイナリ実行可能ファイルはセグメントできません。
セグメント化ファイルを作成するには、次のように進めます。
ファイルシステムのホストにログインします。
user@solaris:~#
セグメント化する必要があるファイルを選択するか、必要に応じて作成します。
単一のファイルをセグメント化するには、コマンド segment
[
-s
stage_ahead
]
-l
segment_size
file-path-name
を使用します。ここでは:
stage_ahead
(オプション) は、特定のセグメントへのアクセス時に読み取る連続した追加のセグメントの数を指定する整数です。適切な値を選択すると、システムページキャッシュの使用率が向上する可能性があるため、入出力のパフォーマンスが改善します。デフォルトは 0
(無効) です。
segment_size
は、各セグメントのサイズをまとめて指定する整数と単位です。サポートされる単位は k
(K バイト)、m
(M バイト)、および g
(G バイト) です。最小サイズは 1M バイト (1m
または 1024k
) です。
file-path-name
は、ファイルのパスとファイル名です。
詳細は、segment
のマニュアルページを参照してください。次の例では、1.5M バイト (1536k
) のセグメントサイズを使用してファイル 201401.dat
をセグメント化します。
user@solaris:~# segment -l 1536k 201401.dat
ディレクトリとそのすべてのサブディレクトリ内のファイルを再帰的にセグメント化するには、コマンド segment
[
-s
stage_ahead
]
-l
segment_size
-r
directory-path-name
を使用します。ここで directory-path-name
は、開始ディレクトリのパスと名前です。
次の例では、1M バイト (1m
) のセグメントサイズを使用して /hsm/hsmfs1/data
ディレクトリとそのサブディレクトリ内のファイルをすべてセグメント化します。
user@solaris:~# segment -l 1m -r /hsm/hsmfs1/data
ここで停止します。
複数のドライブを指定するアーカイブセットにセグメント化ファイルを割り当てることで、セグメント化ファイルをストライプ化入出力用に構成します。次のように進めます。
ホストに root
としてログインします。
root@solaris:~#
ファイル /etc/opt/SUNWsamfs/archiver.cmd
をテキストエディタで開きます。
次の例では、vi
エディタを使用してファイルを開きます。
root@solaris:~# vi /etc/opt/SUNWsamfs/archiver.cmd # Configuration file for Oracle HSM archiving file systems ...
複数のドライブにわたりセグメント化ファイルをストライプ化するには、セグメント化ファイルが含まれている各アーカイブセットのコピーごとに少なくとも 2 つのドライブを使用することを指定します。archiver.cmd
ファイルで、params
セクションを見つけます。各コピーのパラメータに -drives
number
パラメータが含まれていることを確認します。ここで number
は 2
以上です。必要な変更を行なって、ファイルを保存してエディタを閉じます。
次の例では、archiver.cmd
ファイルは、構成されているすべてのアーカイブセットの 3 つすべてのコピーに 2 つのドライブを指定します。
root@solaris:~# vi /etc/opt/SUNWsamfs/archiver.cmd # Configuration file for Oracle HSM archiving file systems ... ... #----------------------------------------------------------------------- # Copy Parameters params allsets -sort path -offline_copy stageahead -reserve set allsets.1 -startage 10m -drives 2 allsets.2 -startage 24h -drives 2 allsets.3 -startage 48h -drives 2 endparams ... :wq root@solaris:~#
archiver.cmd
ファイルでエラーを調べます。コマンド archiver
-lv
を使用します。
archiver
-lv
コマンドは、archiver.cmd
ファイルを画面に出力し、エラーが見つからない場合は構成レポートを生成します。それ以外の場合、エラーを記録して停止します。
root@solaris:~# archiver -lv Reading '/etc/opt/SUNWsamfs/archiver.cmd'. ... Total space available: 300T root@solaris:~#
archiver.cmd
ファイルを再度読み取り、それに従って Oracle HSM ソフトウェア自体を再構成するようにこのソフトウェアに指示します。/opt/SUNWsamfs/sbin/samd
config
コマンドを使用します。
root@solaris:~# samd config
ここで停止します。
Oracle HSM のリムーバブルメディアファイル全体がリムーバブルメディア上にあるため、ファイルシステムディスクキャッシュのスペースを占有することはありません。ファイルシステムは、リムーバブルメディアファイルをメモリーに直接読み取ります。そのため、ストレージメディアでは、ファイルのサイズの制限はまったくありません。単一のメディアカートリッジの容量を超えるリムーバブルファイルは、複数カートリッジのボリュームオーバーフローファイルになる可能性があります。ファイルシステムは、連続してデータを読み取ってメディアに書き込みます。
あらゆる点で、リムーバブルメディアファイルは一般的な UNIX ファイルに似ています。権限、ユーザー名、グループ名、およびファイルサイズがあります。ユーザーまたはアプリケーションがリムーバブルメディアファイルを要求すると、システムは対応するボリュームを自動的にマウントして、データがディスク上にある場合と同じようにユーザーはメモリーからデータにアクセスします。ただし、リムーバブルメディアファイルは、2 つの主な点でほかの Oracle HSM ファイルとは異なります。リムーバブルメディアファイルは、Oracle Hierarchical Storage Manager software によってアーカイブされることはなく、NFS ではサポートされません。
Oracle Hierarchical Storage Manager software は、リムーバブルメディアファイルを管理しません。ファイルはアーカイブされることも解放されることもなく、ファイルが含まれているメディアはリサイクルされません。このため、アーカイブ処理以外の目的でリムーバブルメディアを使用する必要があるときに、リムーバブルメディアファイルが役に立ちます。これらのファイルは、Oracle HSM 構成ファイルとメタデータダンプファイルをバックアップするリムーバブル障害回復ボリュームを作成するために理想的です。また、ボリュームを読み取り専用でロードして、ファイルをリムーバブルメディアファイルとしてメモリーに読み込むことによって、外部ボリューム (ほかのアプリケーションによって作成されたボリューム) からデータを読み取ることもできます。
リムーバブルメディアファイルは解放できず、関連付けられたボリュームはリサイクルできないため、通常リムーバブルメディアファイルはアーカイブコピーと混在させるのではなく、専用のボリュームに隔離するべきです。
ファイルシステムのホストにログインします。
user@solaris:~#
リムーバブルメディアファイルの Oracle HSM ファイルシステム、パス、およびファイル名を選択します。
リムーバブルメディアファイルを作成したら、ファイルシステムが、リムーバブルメディアのデータを使用してこのパスとファイル名の要求に対応します。
リムーバブルメディアファイルを作成します。コマンド request
-m
media-type
-v
volume-specifier
data-file
を使用します。ここで mediatype
は、付録A に一覧表示されている 2 文字のメディアタイプコードの 1 つ、data-file
は、リムーバブルメディアファイル用に選択したパスと名前、volume-specifier
は、次のいずれかです。
ボリュームシリアル番号またはボリュームシリアル番号のスラッシュ区切りのリスト
最初の例では、LTO (li
) ボリューム VOL080
で file1
を作成します。
user@solaris:~# request -m li -v VOL080 /hsm/hsmfs1/data/file1
2 番目の例では、LTO (li
) ボリューム VOL080
、VOL082
、および VOL098
で file2
を作成します。
user@solaris:~# request -m li -v VOL081/VOL082/VOL098 /hsm/hsmfs1/data/file2
-l
volume-list-file
。ここで volume-list-file
は、各行に単一のボリュームシリアル番号と、オプションで、スペースと、指定したボリュームでの開始位置を指定する 10 進数または 16 進数 (16 進数の前に 0x
を付けます) が一覧表示されているファイルのパスと名前です。
次の例では、vi
エディタを使用して、ファイル vsnsfile3
に一覧表示されている LTO (li
) ボリュームで file3
を作成します。
user@solaris:~# vi vsnsfile3 VOL180 VOL181 VOL182 :wq user@solaris:~# request -m li -v -l vsnsfile3 /hsm/hsmfs1/data/file3
ここで停止します。
ファイルシステムのホストにログインします。
user@solaris:~#
外部テープがバーコード付きであること、書き込み保護されていること、読み取り専用で開いていること、および 0
に位置付けられていることを確認します。
リムーバブルメディアファイルの Oracle HSM ファイルシステム、パス、およびファイル名を選択します。
リムーバブルメディアファイルを作成したら、ファイルシステムが外部テープのデータを使用して、このパスとファイル名の要求に対応します。
-N
(外部メディア) オプションを使用してリムーバブルメディアファイルを作成します。コマンド request
-m
media-type
-N
-v
volume-serial-number
data-file
を使用します。ここでは:
mediatype
は、付録A に一覧表示されている 2 文字のメディアタイプコードの 1 つです。
volume-serial-number
は、外部テープのボリュームシリアル番号です。
data-file
は、リムーバブルメディアファイルのパスと名前です。
次の例では、外部 LTO (li
) ボリューム FOR991
のリムーバブルメディアファイルを作成します。
user@solaris:~# request -m li -N -v FOR991 /hsm/hsmfs1/foreignfile
ここで停止します。
Linear Tape File System は、順次アクセステープメディア上のデータをファイルシステムに編成する自己記述型のテープ形式であり、ランダムアクセスディスク上に存在する場合と同じように、ファイルにアクセスできます。Oracle HSM は LTFS の拡張サポートを提供します。このソフトウェアでは、Oracle HSM ファイルシステムで LTFS ファイルを使用でき、LTFS メディアの作成、アクセス、および管理を行うためのツールが提供されます。
このセクションでは、次のトピックについて説明します。
Oracle HSM ソフトウェアは、LTFS メディアを自動的に認識します。そのため、ほかのメディアの場合と同様に、samimport
コマンドを使用して LTFS ボリュームをインポートできます。追加情報については、リムーバブルメディアのインポートおよびエクスポートおよび samimport
のマニュアルページを参照してください。
Oracle HSM software は、Linear Tape File System (LTFS) ディレクトリおよびファイルを Oracle HSM ファイルシステムに接続して、Oracle HSM ファイルの場合と同じようにアクセスおよび管理できます。ソフトウェアは、LTFS メタデータを LTFS ボリュームから Oracle HSM ファイルシステム内の空のディレクトリにコピーします。このメタデータを使用して、Oracle HSM は、アーカイブされた Oracle HSM ファイルと同じように LTFS メディアとファイルを管理します。ユーザーが一度にすべての LTFS ファイルにアクセスしたときか、LTFS メタデータが適用されるとすぐに、LTFS ファイルは使用のために LTFS メディアから Oracle HSM ディスクキャッシュにステージングされます。Oracle HSM ファイルシステムのアーカイブ処理および領域管理ポリシーは、Oracle HSM ファイルの場合と同じように適用されます。
このセクションでは、次のタスクについて説明します。
LTFS ファイルを Oracle HSM ファイルシステムに接続すると、Oracle HSM software は、LTFS ボリュームから Oracle HSM ファイルシステム内の指定されたディレクトリにファイルシステムメタデータをコピーします。その後、ファイルは、ユーザーによってアクセスされるとディスクキャッシュにステージングされます。LTFS ファイルを接続するには、次のように進めます。
ファイルシステムのホストにログインします。
user@solaris:~#
LTFS ファイルをホストする Oracle HSM ファイルシステムで、LTFS メタデータを格納するディレクトリを作成します。
次の例では、ファイルシステムマウントポイント /hsm/hsmfs1
の下にディレクトリ ltfs1/
を作成します。
user@solaris:~# mkdir /hsm/hsmfs1/ltfs1 user@solaris:~#
LTFS ファイルを Oracle HSM ファイルシステムに接続します。コマンド samltfs
attach
LTFS-media-type
.
LTFS-volume-serial-number
SAMQFS-directory
を使用します。ここでは:
LTFS-media-type
は、LTFS データを保持するメディアタイプの 2 文字のメディアタイプコードです (付録Aを参照)。
LTFS-volume-serial-number
は、LTFS ボリュームの 6 文字の英数字のボリュームシリアル番号です。
指定するメディアタイプとボリュームシリアル番号は、カタログが LTFS ボリュームとして一覧表示するボリュームを識別します。
Oracle HSM カタログでは、LTFS メディアはラベル付きではなく、non-SAM
および tfs
とマークされています。
SAMQFS-directory
は、LTFS メタデータを保持するディレクトリのパスと名前です。
次の例では、LTO (li
) ボリューム TFS233
を接続します。
user@solaris:~# samltfs attach li.TFS233 /hsm/hsmfs1/ltfs1 user@solaris:~#
ここで停止します。
LTFS ファイルを Oracle HSM ファイルシステムに取り込むと、Oracle HSM software は、LTFS ボリュームから Oracle HSM ファイルシステム内の指定されたディレクトリにファイルシステムメタデータをコピーし、すべてのファイルをすぐにディスクキャッシュにステージングします。LTFS ファイルを取り込むには、次のように進めます。
ファイルシステムのホストにログインします。
user@solaris:~#
LTFS ファイルをホストする Oracle HSM ファイルシステムで、LTFS メタデータを格納するディレクトリを作成します。
次の例では、ファイルシステムマウントポイント /hsm/hsmfs1
の下にディレクトリ ltfs2/
を作成します。
user@solaris:~# mkdir /hsm/hsmfs1/ltfs2 user@solaris:~#
LTFS ファイルを Oracle HSM ファイルシステムに取り込みます。コマンド samltfs
ingest
LTFS-media-type
.
LTFS-volume-serial-number
SAMQFS-directory
を使用します。ここでは:
LTFS-media-type
は、LTFS データを保持するメディアタイプの 2 文字のメディアタイプコードです (付録Aを参照)。
LTFS-volume-serial-number
は、LTFS ボリュームの 6 文字の英数字のボリュームシリアル番号です。
指定するメディアタイプとボリュームシリアル番号は、カタログが LTFS ボリュームとして一覧表示するボリュームを識別します。
Oracle HSM カタログでは、LTFS メディアはラベル付きではなく、non-SAM
および tfs
とマークされています。
SAMQFS-directory
は、LTFS メタデータを保持するディレクトリのパスと名前です。
次の例では、LTO (li
) ボリューム TFS234
を取り込みます。
user@solaris:~# samltfs ingest li.TFS234 /hsm/hsmfs1/ltfs2 user@solaris:~#
ここで停止します。
Oracle HSM ソフトウェアは、LTFS メディアのロードとアンロード、および Oracle HSM defaults.conf
ファイルで指定された LTFS マウントポイントを使用したホストでの LTFS ファイルシステムのマウントまたはマウント解除を行うこともできます。
ファイルシステムのホストにログインします。
user@solaris:~#
LTFS ボリュームをテープドライブにロードして、defaults.conf
ファイルで指定されたマウントポイントにファイルシステムをマウントします。コマンド samltfs
load
LTFS-media-type
.
LTFS-volume-serial-number
を使用します。ここでは:
LTFS-media-type
は、LTFS データを保持するメディアタイプの 2 文字のメディアタイプコードです (付録Aを参照)。
LTFS-volume-serial-number
は、LTFS ボリュームの 6 文字の英数字のボリュームシリアル番号です。
指定するメディアタイプとボリュームシリアル番号は、カタログが LTFS ボリュームとして一覧表示するボリュームを識別します。
Oracle HSM カタログでは、LTFS メディアはラベル付きではなく、non-SAM
および tfs
とマークされています。
次の例では、LTO (li
) ボリューム TFS434
をロードして、defaults.conf
ファイル /mnt/ltfs
で指定されたディレクトリにマウントします。
user@solaris:~# samltfs load li.TFS234
ここで停止します。
ファイルシステムのホストにログインします。
user@solaris:~#
LTFS ファイルシステムをアンマウントして、対応するボリュームをテープドライブからアンロードします。コマンド samltfs
unload
LTFS-media-type
.
LTFS-volume-serial-number
を使用します。ここでは:
LTFS-media-type
は、LTFS データを保持するメディアタイプの 2 文字のメディアタイプコードです (付録Aを参照)。
LTFS-volume-serial-number
は、LTFS ボリュームの 6 文字の英数字のボリュームシリアル番号です。
指定するメディアタイプとボリュームシリアル番号は、カタログが LTFS ボリュームとして一覧表示する LTFS ボリュームを識別します。
Oracle HSM カタログでは、LTFS メディアはラベル付きではなく、non-SAM
および tfs
とマークされています。
次の例では、LTFS ファイルシステムをアンマウントして、LTO (li
) ボリューム TFS435
をアンロードします。
user@solaris:~# samltfs unload li.TFS435
ここで停止します。
Oracle HSM ソフトウェアは、LTFS メディアの作成、消去、および検証を行うために必要な基本的なツールを提供します。
ファイルシステムのホストにログインします。
user@solaris:~#
LTFS ファイルシステムのリムーバブルメディアボリュームをパーティションに分割してフォーマットします。コマンド samltfs
mkltfs
media-type
.
volume-serial-number
を使用します。ここでは:
media-type
は、LTFS 互換タイプのメディアの 2 文字のメディアタイプコードです (付録Aを参照)。
volume-serial-number
は、ボリュームの 6 文字の英数字のボリュームシリアル番号です。
次の例では、LTO (li
) ボリューム VOL234
をパーティションに分割して、LTFS ボリュームとしてフォーマットします。
user@solaris:~# samltfs mkltfs li.VOL234
ここで停止します。
ファイルシステムのホストにログインします。
user@solaris:~#
LTFS ボリュームを消去して、一般的な使用のために復元します。コマンド samltfs
unltfs
media-type
.
volume-serial-number
を使用します。ここでは:
media-type
は、LTFS 互換タイプのメディアの 2 文字のメディアタイプコードです (付録Aを参照)。
volume-serial-number
は、ボリュームの 6 文字の英数字のボリュームシリアル番号です。
次の例では、LTFS ファイルシステムデータとメタデータを消去して、LTO (li
) ボリューム VOL234
でパーティションを削除します。
user@solaris:~# samltfs unltfs li.VOL234
ここで停止します。
ファイルシステムのホストにログインします。
user@solaris:~#
LTFS ファイルシステムの整合性を検査します。コマンド samltfs
ltfsck
LTFS-media-type
.
LTFS-volume-serial-number
を使用します。ここでは:
LTFS-media-type
は、LTFS データを保持するメディアタイプの 2 文字のメディアタイプコードです (付録Aを参照)。
LTFS-volume-serial-number
は、LTFS ボリュームの 6 文字の英数字のボリュームシリアル番号です。
指定するメディアタイプとボリュームシリアル番号は、カタログが LTFS ボリュームとして一覧表示する LTFS ボリュームを識別します。
Oracle HSM カタログでは、LTFS メディアはラベル付きではなく、non-SAM
および tfs
とマークされています。
次の例では、LTO (li
) ボリューム VOL234
上で LTFS ファイルシステムを検査します。
user@solaris:~# samltfs ltfsck li.VOL234
ここで停止します。
LTFS の構成およびステータスを表示するには、コマンド samltfs
status
を使用します。
user@solaris:~# samltfs status
このセクションでは、次のトピックについて説明します。
システム属性は、Microsoft Windows ファイルシステムが解釈できる UNIX 以外のメタデータに Oracle HSM ファイルを関連付けることによって、SMB/CIFS ファイル共有をサポートします。このセクションでは、まず Oracle HSM によってサポートされるシステム属性の概要について説明します。その後、次のタスクの基本的な手順について説明します。
システム属性は、属性 name
(値は true
) または名前の否定 no
name
(値は false
) によって表されるブール (true または false) 値です。Oracle HSM は、SMB/CIFS ファイル共有のサポートのために次のシステム属性を提供します。
appendonly
は、ユーザーがファイルへのデータの追加のみを行えることを意味します。noappendonly
は、この制限は無効であることを意味します。
archive
は、ファイルが最後にコピーまたはバックアップされてから変更されたことを意味します。noarchive
は、ファイルが最後にコピーまたはバックアップされてから変更されていないことを意味します。Oracle HSM では現在この属性は使用されません。
hidden
は、ファイルがデフォルトでファイルリストに表示されないことを意味します。nohidden
は、ファイルがデフォルトで表示されることを意味します。
immutable
は、ディレクトリまたはファイルとその内容を変更または削除できないことを意味します。noimmutable
は、ディレクトリまたはファイルを変更または削除できることを意味します。
nodump
は、ファイルをバックアップできないことを意味します。nonodump
は、ファイルをバックアップできることを意味します。Oracle Solaris ではこの属性は使用されません。
nounlink
は、ファイルまたはディレクトリとその内容を削除または名前変更できないことを意味します。nonounlink
は、ファイルまたはディレクトリとその内容を削除または名前変更できることを意味します。
offline
は、ファイルが Oracle HSM ファイルシステムから解放されていることを意味します。Microsoft Windows システムではファイルはプレビューされません。nooffline
は、ファイルがオンラインで、Oracle HSM ファイルシステムから解放されていないことを意味します。
readonly
は、ファイルを削除または変更できないことを意味します。noreadonly
は、ファイルを削除または変更できることを意味します。属性は、ディレクトリへの適用時には無視されます。
sparse
は、保管されているファイルにゼロ以外のデータのみが含まれていて、ファイルへのアクセス時、またはスパースファイルをサポートしないファイルシステムへのファイルのコピー時にファイルシステムによって復元された範囲にゼロが減らされていることを意味します。nosparse
は、ファイルがスパースではないことを意味します。
system
は、ファイルは Microsoft Windows オペレーティングシステムに不可欠であり、決して変更および削除することはできず、デフォルトでリストに表示するべきではないことを意味します。nosystem
は、ファイルがシステムファイルではないことを意味します。
Oracle HSM ファイルのシステム属性を表示するには、Solaris コマンド ls
-/v
file
を使用します。ここで file
は、ファイルのパスと名前です。
次の例では、ファイル /hsm/hsmfs1/documents/master-plan.odt
のシステム属性を一覧表示します。
user@solaris:~# ls -/v /hsm/hsmfs1/documents/master-plan.odt -rw-r--r-- 1 root root 40560 Mar 4 15:52 /hsm/hsmfs1/documents/master-plan.odt {archive,nohidden,noreadonly,nosystem,noappendonly,nonodump,noimmutable,nonounlink, nooffline,nosparse} user@solaris:~#
ファイルのシステム属性値を指定の値に変更するには、Solaris コマンド chmod
S+v{
attributes
}
を使用します。ここで attributes
は、Oracle HSM でサポートされるシステム属性のコンマ区切りリストです。
構文と使用可能なオプションの包括的な説明については、chmod
のマニュアルページを参照してください。次の例では、アーカイブ属性を noarchive
(false) から archive
(true) に変更します。
root@solaris:~# ls -/v /hsm/hsmfs1/documents/master-plan.odt -r-xr-xr-x 1 root root 40561 Mar 4 15:52 /hsm/hsmfs1/documents/master-plan.odt {noarchive,nohidden,readonly,nosystem,noappendonly,nonodump,noimmutable, nonounlink,offline,nosparse} root@solaris:~# chmod S+v{archive} /hsm/hsmfs1/documents/master-plan.odt root@solaris:~# ls -/v /hsm/hsmfs1/documents/master-plan.odt -r-xr-xr-x 1 root root 40561 Mar 4 15:52 /hsm/hsmfs1/documents/master-plan.odt {archive,nohidden,readonly,nosystem,noappendonly,nonodump,noimmutable, nonounlink,offline,nosparse}
アクセス制御リスト (ACL) は、ファイルまたはディレクトリのアクセス権を定義する表です。表内の各レコードまたはアクセス制御エントリ (ACE) は、特定のユーザー、グループ、またはユーザーまたはグループのクラスのアクセス権を定義します。デフォルトでは、Oracle HSM リリース 6.1 で作成する新しいファイルシステムは、ネットワークファイルシステム (NFS) バージョン 4 および Solaris 11 で導入されたアクセス制御リスト (ACL) 実装を使用します。
Solaris ACL の管理、構文、および使用の包括的な説明は、このドキュメントの範囲外です。詳細は、docs.oracle.com
にある Oracle Solaris 11.1 Information Library で入手可能なボリューム『Oracle Solaris 11.1 の管理: ZFS ファイルシステム』の章「ACL および属性を使用した Oracle Solaris ZFS ファイルの保護」を参照してください。また、Solaris の ls
と chmod
のマニュアルページも参照してください。