サステナビリティ・アクティビティに関連付けられた排出の計算

排出計算を実行するには、様々なサステナビリティの枠組みと当局によってレポートされる必要がある温室効果ガスに対して排出ファクタが必要です。排出ファクタとは、アクティビティが温室効果ガス、大気汚染物質、またはその他の物質を大気中に放出するレートを表す値です。

Oracle Sustainabilityでは、特定のアクティビティに関連する温室効果ガスおよび大気汚染の排出が計算されます。排出を生成するアクティビティごとに、次の3つの計算モードのいずれかを使用するように指定できます。

一致ファクタの使用(デフォルト): アプリケーションにより、最高ランクの一致する排出ファクタ・マッピングを使用して排出が計算されます。
ファクタの手動入力: アプリケーションにより、アクティビティに指定した排出ファクタを使用して排出が計算されます。
排出の手動入力: 排出は外部で計算または決定され、アクティビティに指定されます。排出はそのまま受け入れられます。

一致ファクタを使用する場合、Oracle Sustainabilityでは、構成した排出ファクタ・マッピングを使用して排出が自動的に計算されます。排出ファクタ・マッピングにより、アクティビティ・タイプと一連の属性値が排出ファクタにマップされます。計算機能により、排出タイプごとにアクティビティに一致する排出ファクタ・マッピングが検索されます。各排出ファクタ・マッピングには、ランキングが含まれます。アクティビティが複数のマッピングに一致する場合は、ランキングによって優先度が決まります。計算機能により、最も優先度の高いマッピング(ランキング番号が最も低いマッピング)が選択され、その排出ファクタが使用されます。排出ファクタのランキングを使用すると、計算機能で、一般的な排出ファクタではなく、カーボン・フットプリントまたはサプライヤ排出強度を使用するようにマッピングを設定できます。これを次の例に示します。

設定に次のものが含まれるとします。

排出タイプがCO2、CH4およびN2Oの定常燃焼アクティビティ・タイプ。
アクティビティ・タイプ = 定常燃焼、国 = US、燃料タイプ = 天然ガスの排出ファクタ・マッピングは、次のようになります。
- ランキングが100で、CO2、CH4およびN2Oの排出ファクタへのマッピング。
- ランキングが50で、特定のサプライヤが提供するCO2、CH4およびN2Oの排出ファクタへのマッピング。

天然ガスが使用されている定常燃焼アクティビティのCO2排出を計算するために、計算機能では、下位ランキング番号のCO2マッピング(この例では、ランキングが50のマッピング)とアクティビティを照合し、消費される燃料の数量を排出ファクタで乗算します。計算機能では、CH4およびN2Oの排出を計算するために、同様の照合プロセスを実行します。

ノート: コンポーネント・ガスとCO2換算の両方に排出がある場合(直接入力するか、CO2換算排出ファクタを使用して計算)、アプリケーションでは、コンポーネント・ガスからCO2換算を追加するのではなく、合計にCO2換算排出を使用します。

次の図は、前述の例で説明するように、アクティビティ・レコードと、異なるランキングを持つ2つの一致する排出ファクタ・マッピングの概念図を示しています。「ランク」列の数値が小さいエントリ(この例では50)は、数値が大きいエントリ(この例では100)より優先されます。計算された排出は、緑色の背景の列に表示されます。

計算用のマッピングの概念図

Oracle Sustainabilityの計算機能を構成する機能により、アクティビティに最も適した排出ファクタを決定できます。また、特定かつ正確な排出ファクタを、特定ではない一般的な排出ファクタより高くランク付けできるため、計算機能では最も優先度の高い排出ファクタを使用します(使用可能な場合)。

これらの機能のデモを次に示します:

有効化のステップ

「更新24Dの新機能: Oracle Fusion Cloud Sustainabilityのデータの設定」を参照してください。

ヒントと考慮事項

必要に応じて、排出ファクタ・マッピングで法的エンティティ、サプライヤおよび国の詳細を入力し、異なる属性値を持つアクティビティを異なる排出ファクタにマップできます。
分母単位がアクティビティのメジャーの単位と同じ区分(エネルギ、容積、質量など)にある排出ファクタを構成してください。たとえば、ガロン(容積単位)で測定された燃料量を持つ定常燃焼アクティビティがある場合、分母にも容積単位を持つ排出ファクタが必要です。 Fusionインスタンスで必要な換算ファクタが設定されていると仮定すると、計算機能では区分内単位換算(つまり、単位区分内の換算)を実行します。その品目の数量に基づく排出ファクタ(製品カーボン・フットプリントなど)があり、品目に区分間単位換算が構成されている場合、計算機能では構成済の区分間単位換算を実行して、アクティビティのメジャーの単位が排出ファクタの分母単位に調整されます。
支出ベースの排出ファクタを使用する際にインフレを考慮する場合は、インフレ・ファクタを排出ファクタに手動で組み込む必要があります。
計算機能では、同じランキングを持つ1つのアクティビティおよび排出タイプに対して2つ以上の排出ファクタが検出された場合、そのすべてが使用され、複数の排出レコードが計算されます。このシナリオを回避するには、1つの排出ファクタ・マッピングの複数の改訂をアップロードする必要がある場合に(たとえば、過去に使用された排出ファクタのコピーを保持する場合)、必ず以前の改訂を終了してください。
排出計算で端数処理の問題を回避するには、排出ファクタに多数の有意な小数桁数が含まれる可能性があるため、高度な小数精度で在庫に単位換算ファクタを設定します。計算機能では、「在庫」プロファイルで設定された精度に丸められた式: CO2換算排出 = 排出 * GWP * 単位換算ファクタを使用します。

地球温暖化係数(GWP)は、1トンの二酸化炭素(CO2)の排出と比較して、1トンのガスの排出が特定の期間にどのくらいのエネルギを吸収するかのメジャーです。

生物由来CO2排出のレポートに関するEPAまたはUKのガイダンスを読むことをお薦めします。排出スコープから生物由来CO2を省略してガイダンスにあわせるには、バイオマス燃料を含むあらゆるアクティビティ・タイプの排出タイプとして生物由来CO2を追加します。次に、それらの燃料の排出ファクタ・マッピング・テンプレートの排出タイプをCO2から生物由来CO2に変更します。計算機能では、合計CO2から生物由来CO2を省略するというガイダンスに従います。この動作では、生物由来CO2のGWPを構成しないことが必要です。これは、GWPアクセラレータ・スプレッドシートには含まれていません。
一時的排出を追跡する場合は、アクティビティを作成し、「排出の手動入力」計算モードを使用できます。アクティビティを保存すると、計算機能ではGWPを適用してCO2換算を計算します。一時的排出が車両からの場合、移動燃焼と一時的排出を追跡するために別々のアクティビティを作成する必要があります。

主なリソース

更新24Dの新機能: Oracle Fusion Cloud Sustainabilityのデータの設定
更新24Dの新機能: サステナビリティ・アクティビティの管理

アクセス要件

次の権限が含まれる構成済ジョブ・ロールが割り当てられているユーザーは、計算の実行に必要な排出ファクタ・マッピングを入力できます。

排出ファクタ・マッピングの管理(SUS_MANAGE_EMISSION_FACTORS_PRIV)

次の権限が含まれる構成済ジョブ・ロールが割り当てられているユーザーは、アクティビティの保存時に排出の計算が発生するサステナビリティ・アクティビティを作成できます。

サステナビリティ・アクティビティの管理(SUS_MANAGE_ACTIVITIES_PRIV)