オーダー・ピック・キットの計画
キットに属する2つ以上の品目が出荷時にまとめてパッケージ化されている、オーダー・ピック(PTO)キットが企業内に存在する場合があります。 以前は、制約のない供給プランでのみPTOキットを計画できました。 この更新では、制約ベースのプランにもPTOキットのサポートが拡大されました。 これにより、PTOキットの需要のユニット数を示すと、それが展開されてキットの品目の需要が導出されるので、正確に計画できます。
キットとは1つのPTO品目のことで、その品目の顧客販売オーダーを処理する際に、ピッキング、梱包および出荷をする必要がある必須コンポーネントの標準リストで構成されています。 PTOキットの一例として、レンチ、ジャッキ、スパナなどの必要不可欠なツールで構成される自動車整備キットがあります。
PTOキットの販売オーダーがOracle Order Managementで発行されると、そのキットのコンポーネントの販売オーダー明細もオーダー管理で作成されます。 PTOキットとそのコンポーネントの販売オーダーは、供給プランニングでさらに計画されます。
例を見てみましょう:
ユース・ケース1:
次のPTOキットを考えてみます:
PTOキット
RA_PTO_KITはPTOキットで、RA_PTO_COMP1およびRA_PTO_COMP2はそのコンポーネントで、使用が1に設定されています。 RA_PTO_KITには数量100の販売オーダーがあります。 PTOキットのコンポーネントの販売オーダー明細もオーダー管理で作成されます。 この場合、販売オーダー明細は次のようになります:
RA_PTO_KITの販売オーダー(数量100)
RA_PTO_COMP1の販売オーダー(数量100)
RA_PTO_COMP2の販売オーダー(数量100)
RA_PTO_KITの販売オーダーを充足するために、供給プランニングによって計画オーダーが作成されます。 制約付き供給プランでは、PTOキットの販売オーダーからの計画オーダーが、そのコンポーネントに展開されません。 このケースでは、RA_PTO_COMP1およびRA_PTO_COMP2の計画オーダー需要は作成されません。 販売オーダー明細ごとに、個別の計画オーダーが作成されます。
したがって、この例では、次の供給が作成されます:
RA_PTO_KIT (販売オーダー)
| ______ RA_PTO_KIT (計画オーダー: 数量100)
RA_PTO_COMP1 (販売オーダー)
| ______ RA_PTO_COMP1 (計画オーダー: 数量100)
RA_PTO_COMP2 (販売オーダー)
| ______ RA_PTO_COMP2 (計画オーダー: 数量100)
ユース・ケース2:
PTOキットに予測がある場合は、それを満たすために作成された計画オーダーが、さらにそのコンポーネントに展開されます。
ユース・ケース1と同じ設定を考えてみます。5日目に数量100の販売オーダーがあり、RA_PTO_KITには5日目と10日目に、それぞれ数量140と50の予測があります。 バックワード消費日数およびフォワード消費日数は1に設定されます。
PTOキットの販売オーダーが予測を消費し、残りの予測が供給プランニングによって展開されます。 需要管理では標準必須コンポーネントに対する予測が提供されないため、プラン・オプション「モデル予測の展開」が選択されていない場合でもこのケースのようになります。
このケースでは、販売オーダーがPTOキットの5日目の予測を消費して、残りの予測が展開されます。 10日目の予測もそのコンポーネントに展開されます。
供給プランを実行した後、需要と供給の状況は次のようになります:
RA_PTO_KIT (販売オーダー、数量100、期日= 5日目)
| ______ RA_PTO_KIT (計画オーダー: 数量100、期日= 5日目)
RA_PTO_COMP1 (販売オーダー、数量100、期日= 5日目)
| ______ RA_PTO_COMP1 (計画オーダー: 数量100、期日= 5日目)
RA_PTO_COMP2 (販売オーダー、数量100、期日= 5日目)
| ______ RA_PTO_COMP2 (計画オーダー: 数量100、期日= 5日目)
5日目には、数量140の予測がPTOキットの販売オーダーによって消費され、残りの予測が供給プランによって次のように計画されます:
RA_PTO_KIT (予測、数量40、期日= 5日目)
| ______ RA_PTO_KIT (計画オーダー: 数量40、期日= 5日目)
| ______ RA_PTO_COMP1 (計画オーダー: 数量40、期日= 5日目)
| ______ RA_PTO_COMP2 (計画オーダー: 数量40、期日= 5日目)
10日目には、予測が消費されないため、全数量が供給プランニングによって計画されます。 PTOキットの計画オーダーが、キット・コンポーネントにさらに展開されます。
RA_PTO_KIT (予測、数量50、期日= 10日目)
| ______ RA_PTO_KIT (計画オーダー: 数量50、期日= 10日目)
| ______ RA_PTO_COMP1 (計画オーダー: 数量50、期日= 10日目)
| ______ RA_PTO_COMP2 (計画オーダー: 数量50、期日= 10日目)
有効化のステップ
この機能を有効にするには、オプトインUIを使用します。 手順は、この文書の「新機能のオプションの取込み」の項を参照してください。
オファリング: サプライ・チェーン・プランニング
ヒントと考慮事項
「オーダー・ピック・キットの計画」機能を使用する場合は、その親機能である「制約ベース・プランニング」にオプト・インする必要があります。 この親機能をすでにオプト・インしている場合、再度オプト・インする必要はありません。
- PTOキットは在庫保有不可でトランザクション不可であるため、PTOキットで作成された既存の供給は供給プランニングで無視されます。 PTOキットのコンポーネントの供給は、標準品目であるため、供給プランで考慮されます。
- オーダー・モディファイアはPTOキットに対しては尊重されません。
- PTOキットに作業定義を作成することはお薦めしません。 原価計算にこれが必要な場合は、「予定済」フラグが「いいえ」に設定されている工程リソースを割り当ててください。
- PTOキットの親のPTOキット、PTOまたはATOモデルは、現在サポートされていません。
- この機能は、制約付き供給プランニングの新機能です。 制約なし供給プランニングでは、PTOキットのプランニングがすでにサポートされていました。
アクセス要件
次の権限を含む構成済ジョブ・ロールが割り当てられているユーザーは、この機能にアクセスできます。
- プランの編集(MSC_EDIT_PLANS_PRIV)
- スナップショットでのプランの実行(MSC_RUN_PLAN_WITH_SNAPSHOT_PRIV)
- 「供給プランニング」作業領域のモニター(MSC_MONITOR_SUPPLY_PLANNING_WORK_AREA_PRIV)
これらの権限は、この更新の前から使用可能でした。