第2章 既知の問題

目次

この章では、Oracle Linux 7の最初のリリースの既知の問題について説明します。

2.1 インストール時の暗号化および/bootの構成

インストール中に、インストール先画面でデータの暗号化を選択して、手動によるパーティション化を実行すると、暗号化チェック・ボックスは、手動パーティション化画面で選択したとおりに表示されません。このチェック・ボックスは、暗号化をサポートするファイル・システム・タイプまたはファイル・システムを含むLVM論理ボリュームに対して構成できる暗号化を示します。変更をクリックすると、ボリュームの構成画面には、基礎となるブロック・デバイスのレベルで暗号化が適用されることを意味する暗号化チェック・ボックスが、ボリュームについて選択したとおりに表示されます。

LVMの場合は、データの暗号化を選択すると、LVM物理ボリュームおよびそこに含まれるすべての論理ボリュームが暗号化されます。データの暗号化を選択しない場合、論理ボリュームを暗号化するには手動パーティション化画面で暗号化チェック・ボックスを選択し、物理ボリュームを暗号化するにはボリュームの構成画面で暗号化チェック・ボックスを選択します。

btrfsの場合は、暗号化は、サブボリュームも含め、ファイル・システムを含むブロック・デバイスにのみ適用できます。たとえば、btrfsルート・ファイル・システムの/homeサブボリュームの暗号化を有効にすると、ルート・ファイル・システム自体の暗号化が暗黙的に有効になります。ボリュームの構成画面では、暗号化チェック・ボックスのみを選択できます。btrfsではファイル・システム・レベルでの暗号化がサポートされていないため、手動パーティション化画面では、btrfsファイル・システムについて暗号化チェック・ボックスを選択できません。

暗号化チェック・ボックスやBTRFSLVMまたはLVMシン・プロビジョニングの各デバイス・タイプを/bootに対して選択しないでください。/bootファイル・システムは標準パーティションで構成し、ext4またはXFSタイプである必要があります。

ディスク暗号化パスフレーズ・ダイアログにパスワードを入力するときは、[Tab]を押して入力フィールド間を移動します。マウスを使用してフィールドを選択することはできません。

2.2 ネットワーク・インストール

ネットワーク・インストールを試行するとき、DHCPを使用してそのIP設定を取得するようにネットワーク・インタフェースを構成していないか、または静的IP設定を使用すると、インストール・ソースでエラーが発生しましたというエラーが発生します。

たとえば、boot ISOにアクセスするためにリモート・コンソールやLights-Out Managementなどの機能を使用する場合は、インストール場所を選択するときに、組込みサーバー・マネージャのネットワーク構成が使用できないことがあります。回避策は、インストール場所を構成する前に、グラフィカル・インストーラを使用してネットワーク設定を手動で構成することです。(バグID 19047736)

2.3 ext3の/および/bootでインストールに失敗する

/および/bootをext3ファイル・システムとしてフォーマットしている場合、インストールに続く再起動で失敗します。緊急シェルを開始する前に次のようなメッセージが表示されます。

systemd[1]: Timed out waiting for device ...
systemd[1]: Dependency failed for /boot. 
systemd[1]: Dependency failed for Local file ...

systemd[1]: Dependency failed for Mark the need to relabel after reboot. 
systemd[1]: Dependency failed for Relabel all filesystems, if necessary. 
systemd[1]: Dependency failed for File System Check on ...

[DEPEND] Dependency failed for Local File Systems. 
[DEPEND] Dependency failed for Mark the need to relabel after reboot 
[DEPEND] Dependency failed for Relabel all filesystems, if necessary. 

回避するには、インストール・ブート・コマンドラインでselinux=0を指定するか、Kickstartファイルでselinux --disabledを指定して、インストール時にSELinuxを無効にします。(バグID 19171480)

2.4 grubbyにより誤った保存済エントリが設定される

grubbyを使用してGRUB 2構成からカーネル・メニュー・エントリを削除すると、/etc/grub2/grub.cfgのデフォルト・エントリの値が正しくなくなります。回避策は、/etc/default/grubGRUB_DEFAULTの値を正しいエントリに設定し、grub2-mkconfigを使用して/etc/grub2/grub.cfgを再作成するか、yumまたはrpmを使用してカーネル・パッケージを削除することです。(バグID 19192278)

2.5 UEK R3でkvm_intelモジュールをロードするときにCPUごとの割当てが失敗する

UEK R3でkvm_intelモジュールをロードするときに、CPUごとの割当てが失敗します。次のようなメッセージがログに記録されます。

kvm_intel: Could not allocate 48 bytes percpu data 
PERCPU: limit reached, disable warning 

現時点でUEK R3用の回避策はありません。(バグID 18459498)

2.6 UEK R3でavahi-daemonの起動に失敗する

UEK R3ではavahi-daemonの起動に失敗し、次のようなメッセージがログに記録されます。

WARNING: No NSS support for mDNS detected, consider installing nss-mdns! 
Unit avahi-daemon.service entered failed state.

回避するには、次のように/etc/avahi/avahi-daemon.confdisallow-other-stacksエントリをコメント・アウトします。

#disallow-other-stacks=yes

(バグID 18459758)

2.7 クラッシュ・カーネルのauto設定

Kdump構成を簡単にするためにUEK R3のcrashkernel=autoカーネル・パラメータを有効にした場合は、dmesg出力および/proc/cmdlineの両方にcrashkernel=NNNM@0Mと表示されます。これは実装で想定される動作で、@0Mauto設定を表します。Xenでは、crashkernel=autoはドメイン0でのみサポートされます。

2.8 UEK R3でsystemdがautofs4およびipv6モジュールのロードに失敗する

ブート時に、systemdautofs4およびipv6モジュールのロードに失敗し、次のようなエラーがログに記録されます。

systemd[1]: Failed to insert module 'autofs4'
systemd[1]: Failed to insert module 'ipv6'

現時点でUEK R3用の回避策はありません。(バグID 18470449)

2.9 UEK R3では現在firewalldでIPv6 NATがサポートされない

次のエラー・メッセージは、UEK R3では現在、firewalldでIPv6 NATがサポートされていないことを示しています。

ERROR: ipv6 table 'nat' does not exist (or not enough permission to check)

(バグID 18504545)

2.10 EnforcingモードのSELinuxでOracle ASMが初期化に失敗する

SELinuxがEnforcingモードの場合、oracleasmスクリプトが失敗します。推奨される回避策は、oracleasmを実行する前に、Oracle ASMのSELInuxポリシー・モジュールを無効にすることです。

# semodule -d oracleasm
# semodule -l | grep oracleasm
oracleasm      1.0.0   Disabled

(バグID 18513404)

2.11 systemctlで一部のサービス・アクションがサポートされない

systemctlコマンドでは、o2cbおよびoracleasmなどのサービスに対するdisableenablerestartstartstatusおよびstopアクションがサポートされます。configureなどのアクションを実行するには、サービスに対して/etc/init.dスクリプトを直接起動します。(バグID 18527520および18528039)

2.12 btrfs-convertが失敗する

ext2、ext3またはext4ファイル・システムをbtrfsに変換するために起動されたbtrfs-convertコマンドが失敗します。このエラーは、システムがUEK R3で起動されている場合にもRHCKで起動されている場合にも発生します。現在のところ、使用可能な回避策および解決策はありません。(バグID 18534417)

2.13 Oracle Linux 6 Update 5からのアップグレード

アップグレード時に次の問題が発生する場合があります。

  • redhat-upgrade-tool-cliユーティリティでは、アップグレード対象のOracle Linux 6 Update 5システムにバージョン3.2.29-43.0.1以降のyumパッケージがインストールされている必要があります。それより前のバージョンのyumパッケージを使用すると、依存関係エラーによりアップグレード・ツールが失敗します。(バグID 18648783)

  • アップグレード時に古いRHCKが削除されません。(バグID 18767222)

  • アップグレード前のアシスタント・ユーティリティpreupgを実行していない場合、アップグレードされたシステムは、再起動時にplymouthブート画面の終了を待機して起動中というメッセージが出力されてハングします。(バグID 18815298)

  • UEK R3がインストールされていない場合、redhat-upgrade-tool-cliユーティリティが終了しません。(バグID 18900135)

  • Oracle Linux yumサーバーにアクセスするためにプロキシが必要な場合、アップグレード後スクリプトが失敗します。(バグID 19169163)

  • Oracle Linux 7のlibcgroupパッケージには、cgconfigおよびcgred制御グループ・サービスが含まれていません。アップグレードしたシステムでこれらのサービスをリストアするには、libcgroup-toolsパッケージをインストールします。(バグID 19177606)

2.14 Oracle VMおよびXenでのOracle Linux 7ゲスト

Oracle Linux 7ゲストでは、Oracle VM 3で、ハードウェア仮想化(HVM)および準仮想化ドライバによるハードウェア仮想化(PVHVM)の両方がサポートされています。Oracle VMまたはその他のXenベースのハイパーバイザ上の準仮想化ドメイン(PVM)内のOracle Linux 7ゲストはサポートされていません。

Oracle VM 2では、どのようなタイプのOracle Linux 7ゲストもサポートされていません。

2.15 ヘブライ文字のLaTeXフォント

tex-fonts-hebrewパッケージのインストールは、その前にすべてのtexlive*パッケージをインストールしていないと失敗します。(バグID 19059949)

2.16 sosreportで多数のSELinux警告が報告される

sosreport -o selinux -aコマンドで、RPMに属していないファイルに関するSELinux警告が多数報告されます。これは予想された動作です。これらの警告は無視してもかまいません。(バグID 18913115)

2.17 lxc-oracleコンテナでNFS v4を使用すると失敗する

NFS v4を使用してマウントされたリモート・ファイル・システムにlxc-oracleコンテナを作成しようとすると失敗します。また、NFS v4を使用してlxc-oracleコンテナ内からリモート・ファイル・システムをマウントしようとしても失敗します。回避するには、かわりにNFS v3を使用します。(バグID 16316266)

2.18 NFSの有効化および無効化

systemctlコマンドをnfs.serviceとともに使用して、NFSサービスを有効化または無効化することはできません。かわりに、次のようにnfs-server.serviceを指定します。

# systemctl enable nfs-server

(バグID 18437212)

2.19 ネットワーク・チーミング

ネットワーク・チーミングのUEK R3での使用は、現在サポートされていません。回避するには、かわりに結合を使用します。(バグID 19151770)

2.20 ネットワーク接続アイコンに誤ったインタフェースの状態が示される

ネットワーク接続アイコンに、アクティブなネットワーク・インタフェースが切断されていると示される場合があります。この動作は、rootユーザーで発生し、他のユーザーでは発生しません。ip linkifconfigなどのコマンドライン・ユーティリティには正しい状態が示されます。(バグID 19060089)

2.21 net_prio制御グループ

ネットワーク優先度cgroupサブシステム(net_prio)のUEK R3での使用は、現在はサポートされていません。UEK R3でモジュールを使用しようとすると、次のようなエラー・メッセージが表示されます。

modprobe: FATAL: Module netprio_cgroup not found
mount: special device cgroup does not exist.

(バグID 18966564)

2.22 XFSファイル属性が原因でパニックまたは再起動が発生する

UEK R3でXFSファイル・システムのファイルに多数の属性を追加しようとすると、カーネル・パニックやシステムの再起動を引き起こす可能性があります。(バグID 18504299)

2.23 自動バグ報告ツール

Red Hat自動バグ報告ツール(ABRT)で提供される自動報告のデーモンおよび機能は、Oracle Linuxではサポートされていません

ABRTパッケージおよび関連ファイル(libreportなど)は、パッケージの依存関係を満たすためにディストリビューションに含まれており、ローカル・バグ・レポートの生成に使用できますが、これらのレポートを自動的にアップロードする機能はサポートされていません。技術的なサポートが必要な場合は、My Oracle Supportポータルまたは電話でOracleサポートに連絡してください。

2.24 InfiniBandの問題

InfiniBandデバイスで次の問題が発生する場合があります。

  • ibportstate disableコマンドを使用してスイッチ・ポートを無効にすると、次の警告メッセージが表示される場合があります。

    ibwarn: [2696] _do_madrpc: recv failed: Connection timed out
    ibwarn: [2696] mad_rpc: _do_madrpc failed; dport (Lid 38)
    ibportstate: iberror: failed: smp set portinfo failed

    これらの警告は無視してもかまいません。(バグID 16248314)

  • Internet Protocol over InfiniBand (IPoIB)を構成するには:

    1. /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ibN構成ファイルを編集します(Nはインタフェースの番号です)。次の例は、インタフェースib0の構成を示しています。

      DEVICE=ib0
      TYPE=InfiniBand
      ONBOOT=yes 
      DHCP_HOSTNAME="myhost.mydom.com"
      BOOTPROTO=static
      IPADDR=192.168.100.1
      NETMASK=255.255.255.0
      IPV4_FAILURE_FATAL=yes
      IPV6INIT=no 
      CONNECTED_MODE=no
      NAME=ib0 
    2. NetworkManagerサービスを停止します。

      # systemctl stop NetworkManager
    3. RDMAサービスを開始します。

      # systemctl start rdma
    4. インタフェースを起動します。

      # ifup ibN

      (バグID 19150870)

  • IPoIBドライバは、インタフェースでの接続モードまたはデータグラム・モードの使用をサポートし、データグラム・モードがデフォルト・モードです。connectedまたはdatagram/sys/class/net/ibN/modeに反映させてInfiniBandインタフェースのモードを変更する方法はサポートされていません。また、InfiniBandインタフェースが有効化されている場合は、InfiniBandインタフェースのモードを変更できません。

    InfiniBandインタフェースのIPoIBモードを変更するには:

    1. /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ibN構成ファイルを編集します。Nはインタフェースの番号です。

      • 接続モードを有効にするには、このファイルにCONNECTED_MODE=yesを指定します。

      • データグラム・モードを指定するには、このファイルにCONNECTED_MODE=noを指定するか、この設定を指定しないようにします(データグラム・モードはデフォルトで有効になります)。

      ノート

      変更を保存する前に、このファイルにCONNECTED_MODEの設定が複数指定されていないことを確認してください。

    2. インタフェースで指定モードを有効にするには、次のコマンドを使用して、インタフェースを無効にして再度有効にします。

      # ifdown ibN
      # ifup ibN

    (バグID 17479833)

  • rds_rdmaモジュールのrds_ib_srqパラメータが有効で、このモジュールが使用されている(たとえば、rds-stressツールを実行している)場合、(rds_rdmaモジュールをリロードする) rdmaサービスを再起動すると、dmesgまたは/var/log/messagesに表示されるエラー・メッセージが生成されます。(バグID 19010606)

2.25 電源ボタンがデフォルトでACPI Suspendに設定される

グラフィカル(GUI)コンソール・モードのOracle Linux 7では、デフォルトでハードウェアの電源ボタンがACPI "Sleep"ボタンと同等に扱われ、電源ボタンによりシステムが省電力のスリープ・モードに入ります。この動作は、Gnomeデスクトップ環境に固有です。

以前のバージョンのOracle Linuxでは、ハードウェアの電源ボタンでシステムのシャットダウンが開始されました。Oracle Linux 7で同様に動作させるには、/etc/dconf/db/local.d/01-shutdown-buttonという名前のファイルを作成し、次の内容を設定します。

[org/gnome/settings-daemon/plugins/power]
button-power='shutdown'

次のコマンドを実行します。

# dconf update

新しい設定を有効にするには、デスクトップ環境からログアウトして、ログインしなおします。(バグID 25597898)