3 既知の問題
この章では、Oracle Linux 7 Update 2の既知の問題について説明します。
自動バグ報告ツール
Red Hat自動バグ報告ツール(ABRT)で提供される自動報告のデーモンおよび機能は、Oracle Linuxではサポートされていません
ABRTパッケージおよび関連ファイル(libreport
など)は、パッケージの依存関係を満たすためにディストリビューションに含まれており、ローカル・バグ・レポートの生成に使用できますが、これらのレポートを自動的にアップロードする機能はサポートされていません。技術的なサポートが必要な場合は、My Oracle Supportポータルまたは電話でOracleサポートに連絡してください。
bashシェルでのコマンドの自動入力
lsなどの一部のコマンドでは、[Tab]キーを押すとbashシェルでコマンドが自動的に入力されますが、exportなどのその他のコマンドでは自動入力されません。次の回避策を使用すると、すべてのコマンドで自動入力を有効にできます。
-
bash-completion
パッケージを削除します。sudo yum remove bash-completion
-
シェルでcomplete -rコマンドを実行します。このコマンドを永続化するには、これを
$HOME/.bashrc
に入れます。
(バグID 19248362)
Cephブロック・デバイス
Cephブロック・デバイスのマウントおよびフォーマットは、UEK R3でテクニカル・プレビューとして実行できます。Oracle Linux 7のドキュメントのOracle Linux: Cephリリース・ノートを参照してください。(バグID 20304006)
クラッシュ・カーネルのauto設定
Kdump構成を簡単にするためにUEK R3のcrashkernel=auto
カーネル・パラメータを有効にした場合は、dmesg出力および/proc/cmdline
の両方にcrashkernel=NNNM@0M
と表示されます。これは実装で想定される動作で、@0M
はauto
設定を表します。crashkernel=auto
パラメータはXenではサポートされません。
(バグID 17616874)
systemdにRemoveIPC=yesが構成されている場合にデータベースのインストールおよび操作が失敗する
systemd
にRemoveIPC=yes
が構成されている場合に、非システム・ユーザーがログ・アウトすると、そのユーザーのプロセスのプロセス間通信(IPC)が終了されます。ラップトップ用のこの設定は、サーバー・システムではソフトウェアの問題を引き起こす場合があります。たとえば、ユーザーが、Oracle Databaseのoracle
のようなデータベース・ソフトウェア所有者である場合、この構成によってデータベースのインストールが失敗したり、データベース・サービスがクラッシュすることがあります。
Oracle Linux 7 Update 2ではデフォルトで、systemdによってIPCが終了しないようにするために、/etc/systemd/logind.conf
でRemoveIPC=no
が構成されています。ただし、システムをOracle Linux 7 Update 2に更新する前にこのファイルを変更した場合、更新によって新しいバージョンのファイルが/etc/systemd/logind.conf.rpmnew
としてインストールされ、/etc/systemd/logind.conf
でRemoveIPC=no
は設定されません。データベースのクラッシュを防ぐには、/etc/systemd/logind.conf
でRemoveIPC=no
を設定し、systemctl rebootを実行してシステムを再起動します。(バグID 22224874)
SELinuxが有効な場合にDockerが起動に失敗する
SELinuxが有効な場合、Docker 1.8.3が起動に失敗することがあります。回避策は、SELinuxを無効にすることです。SELinuxを無効にせずにこの問題を解決するには、docker-engine-1.8.3-1.0.2
にアップグレードします。これにより、docker-engine-selinux-1.8.3-1.0.2
が自動的に依存関係として取得されます。(バグID 22258930)
UEK R3では現在firewalldでIPv6 NATがサポートされない
次のエラー・メッセージは、UEK R3では現在、firewalld
でIPv6 NATがサポートされていないことを示しています。
ERROR: ipv6 table 'nat' does not exist (or not enough permission to check)
(バグID 18504545)
grubbyにより誤った保存済エントリが設定される
grubbyを使用してGRUB 2構成からカーネル・メニュー・エントリを削除すると、/etc/grub2/grub.cfg
のデフォルト・エントリの値が正しくなくなります。回避策は、/etc/default/grub
でGRUB_DEFAULT
の値を正しいエントリに設定し、grub2-mkconfigを使用して/etc/grub2/grub.cfg
を再作成するか、yumまたはrpmを使用してカーネル・パッケージを削除することです。(バグID 19192278)
ヘブライ文字のLaTeXフォント
tex-fonts-hebrew
パッケージのインストールは、その前にすべてのtexlive*
パッケージをインストールしていないと失敗します。(バグID 19059949)
InfiniBandの問題
次の各項では、InfiniBandデバイスの使用時に発生する可能性のある問題について説明します。
Internet Protocol over InfiniBand (IPoIB)の構成
Internet Protocol over InfiniBand (IPoIB)を構成するには:
-
/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ibN
構成ファイルを編集します(Nはインタフェースの番号です)。次の例は、インタフェースib0
の構成を示しています。DEVICE=ib0 TYPE=InfiniBand ONBOOT=yes DHCP_HOSTNAME="myhost.mydom.com" BOOTPROTO=static IPADDR=192.168.100.1 NETMASK=255.255.255.0 IPV4_FAILURE_FATAL=yes IPV6INIT=no CONNECTED_MODE=no NAME=ib0
-
NetworkManagerサービスを停止します。
sudo systemctl stop NetworkManager
-
RDMAサービスを開始します。
sudo systemctl start rdma
-
インタフェースを起動します。
sudo ifup ibN
(バグID 19150870)
InfiniBandインタフェースのIPoIBモードの変更
IPoIBドライバは、インタフェースでの接続モードまたはデータグラム・モードの使用をサポートし、データグラム・モードがデフォルト・モードです。connected
またはdatagram
を/sys/class/net/ibN/mode
に反映させてInfiniBandインタフェースのモードを変更する方法はサポートされていません。また、InfiniBandインタフェースが有効化されている場合は、InfiniBandインタフェースのモードを変更できません。
-
/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ibN
構成ファイルを編集します(Nはインタフェースの番号です)。-
接続モードを有効にするには、このファイルに
CONNECTED_MODE=yes
を指定します。 -
データグラム・モードを指定するには、このファイルに
CONNECTED_MODE=no
を指定するか、この設定を指定しないようにします(データグラム・モードはデフォルトで有効になります)。
ノート:
変更を保存する前に、このファイルに
CONNECTED_MODE
の設定が複数指定されていないことを確認してください。 -
-
インタフェースで指定モードを有効にするには、次のコマンドを使用して、インタフェースを無効にして再度有効にします。
sudo ifdown ibN sudo ifup ibN
(バグID 17479833)
インストールの問題
次の各項では、インストール時に発生する可能性のある問題について説明します。
インストール時の暗号化および/bootの構成
インストール中に、インストール先画面でデータの暗号化を選択して、手動によるパーティション化を実行すると、暗号化チェック・ボックスは、手動パーティション化画面で選択したとおりに表示されません。このチェック・ボックスは、暗号化をサポートするファイル・システム・タイプまたはファイル・システムを含むLVM論理ボリュームに対して構成できる暗号化を示します。変更をクリックすると、ボリュームの構成画面には、基礎となるブロック・デバイスのレベルで暗号化が適用されることを意味する暗号化チェック・ボックスが、ボリュームについて選択したとおりに表示されます。
LVMの場合は、データの暗号化を選択すると、LVM物理ボリュームおよびそこに含まれるすべての論理ボリュームが暗号化されます。データの暗号化を選択しない場合、論理ボリュームを暗号化するには手動パーティション化画面で暗号化チェック・ボックスを選択し、物理ボリュームを暗号化するにはボリュームの構成画面で暗号化チェック・ボックスを選択します。
btrfsの場合は、暗号化は、サブボリュームも含め、ファイル・システムを含むブロック・デバイスにのみ適用できます。たとえば、btrfsルート・ファイル・システムの/home
サブボリュームの暗号化を有効にすると、ルート・ファイル・システム自体の暗号化が暗黙的に有効になります。ボリュームの構成画面では、暗号化チェック・ボックスのみを選択できます。btrfsではファイル・システム・レベルでの暗号化がサポートされていないため、手動パーティション化画面では、btrfsファイル・システムについて暗号化チェック・ボックスを選択できません。
暗号化チェック・ボックスやBTRFS、LVMまたはLVMシン・プロビジョニングの各デバイス・タイプを/boot
に対して選択しないでください。/boot
ファイル・システムは標準パーティションで構成し、ext4またはXFSタイプである必要があります。
ディスク暗号化パスフレーズ・ダイアログにパスワードを入力するときは、[Tab]を押して入力フィールド間を移動します。マウスを使用してフィールドを選択することはできません。
ネットワーク・インストール
ネットワーク・インストールを試行するとき、DHCPを使用してそのIP設定を取得するようにネットワーク・インタフェースを構成していないか、または静的IP設定を使用すると、インストール・ソースでエラーが発生しました
というエラーが発生します。
たとえば、boot ISOにアクセスするためにリモート・コンソールやLights-Out Managementなどの機能を使用する場合は、インストール場所を選択するときに、組込みサーバー・マネージャのネットワーク構成が使用できないことがあります。回避策は、インストール場所を構成する前に、グラフィカル・インストーラを使用してネットワーク設定を手動で構成することです。(バグID 19047736)
iSCSIディスクへのインストール
iSCSIディスクにインストールする場合は、ブート・コマンドラインにip=ibft
またはrd.iscsi.ibft=1
のいずれかを追加し、インストール・ターゲットとして少なくとも1つのMBRまたはGPT形式のディスクを指定してください。そうしない場合、エラー・メッセージ「有効なブート・ローダーのターゲット・デバイスが見つかりませんでした」
が表示され、インストールが失敗します。(バグID 22076589)
Intel QuickAssist Acceleration Technology
UEK R3では、暗号化機能をQuickAssistハードウェアにオフロードできるようにするQATドライバをサポートしていません。
UEK R3を使用するOracle Server X5-2システムでiSCSI Boot Firmware Tableが正しく初期化されない
UEK R3を使用してiSCSIストレージからブートされたOracle Server X5-2システムでは、iSCSI Boot Firmware Tableが、UEFI BIOSで構成されているiSCSIイニシエータIPアドレスを使用して初期化されません。(バグID 22265721)
MariaDBのインストール
MariaDBをインストールする場合は、MySQLリポジトリの選択を解除する必要があります。そうしない場合、MariaDBグループのみを選択しても、MySQLがインストールされます。(バグID 22238684)
zramに関するマルチパス・メッセージ
UEK R3でmultipath -llコマンドを実行すると、次のようなメッセージが表示されます。
zram0: No fc_host device for 'host' zram0: No fc_host device for 'host' zram0: No fc_remote_port device for 'rport--1:-1-0'
マルチパス機能に対する影響はないため、これらのメッセージは無視してかまいません。メッセージが表示されないようにするには、/etc/multipath.conf
でzram
デバイスをブロックリストに登録します。
(バグID 20300644)
net_prio制御グループ
ネットワーク優先度cgroupサブシステム(net_prio
)のUEK R3での使用は、現在はサポートされていません。UEK R3でモジュールを使用しようとすると、次のようなエラー・メッセージが表示されます。
modprobe: FATAL: Module netprio_cgroup not found mount: special device cgroup does not exist.
(バグID 18966564)
ネットワーク接続アイコンに誤ったインタフェースの状態が示される
ネットワーク接続アイコンに、アクティブなネットワーク・インタフェースが切断されていると示される場合があります。この動作は、root
ユーザーで発生し、他のユーザーでは発生しません。ip linkやifconfigなどのコマンドライン・ユーティリティには正しい状態が示されます。(バグID 19060089)
NFSの問題
次の各項では、NFSの使用時に発生する可能性のある問題について説明します。
EnforcingモードのSELinuxでOracle ASMが初期化に失敗する
SELinuxがEnforcing
モードの場合、oracleasmスクリプトが失敗します。推奨される回避策は、oracleasmを実行する前に、Oracle ASMのSELInuxポリシー・モジュールを無効にすることです。
sudo semodule -d oracleasm sudo semodule -l | grep oracleasm
oracleasm 1.0.0 Disabled
(バグID 18513404)
Oracle VMおよびXenでのOracle Linux 7ゲスト
Oracle Linux 7ゲストでは、Oracle VM 3で、ハードウェア仮想化(HVM)および準仮想化ドライバによるハードウェア仮想化(PVHVM)の両方がサポートされています。Oracle VMまたはその他のXenベースのハイパーバイザ上の準仮想化ドメイン(PVM)内のOracle Linux 7ゲストはサポートされていません。
Oracle VM 2では、どのようなタイプのOracle Linux 7ゲストもサポートされていません。
UEK R3でkvm_intelモジュールをロードするときにCPUごとの割当てが失敗する
UEK R3でkvm_intel
モジュールをロードするときに、CPUごとの割当てが失敗します。次のようなメッセージがログに記録されます。
kvm_intel: Could not allocate 48 bytes percpu data PERCPU: limit reached, disable warning
現時点でUEK R3用の回避策はありません。(バグID 18459498)
systemctlで一部のサービス・アクションがサポートされない
systemctlコマンドでは、o2cb
やoracleasm
などのサービスに対するdisable、enable、restart、start、statusおよびstopアクションがサポートされます。configureなどのアクションを実行するには、サービスに対して/etc/init.d
スクリプトを直接起動します。(バグID 18527520および18528039)
UEK R3でsystemdがautofs4およびipv6モジュールのロードに失敗する
ブート時に、systemd
がautofs4
およびipv6
モジュールのロードに失敗し、次のようなエラーがログに記録されます。
systemd[1]: Failed to insert module 'autofs4' systemd[1]: Failed to insert module 'ipv6'
現時点でUEK R3用の回避策はありません。(バグID 18470449)
i686 Kerberosパッケージが削除されていない場合に更新が失敗する
krb5-server
およびkrb5-server-ldap
パッケージのi686バージョンがインストールされている場合、Oracle Linux 7の更新が失敗します。システムを更新する前に、これらのパッケージを次のように削除します。
sudo yum remove krb5-server.i686 krb5-server-ldap.i686(バグID 20671170)
アップグレードの問題
次の各項では、Oracle Linux 6 (_latest
)をOracle Linux 7 Update 2にアップグレードする際に発生する可能性のある問題について説明します。
cgconfigおよびcgredパッケージは個別にリストアする必要がある
Oracle Linux 7のlibcgroup
パッケージには、cgconfig
およびcgred
制御グループ・サービスが含まれていません。アップグレードしたシステムでこれらのサービスをリストアするには、libcgroup-tools
パッケージをインストールします。(バグID 19177606)
Webプロキシが必要な場合にアップグレード後スクリプトが失敗する
Oracle Linux yumサーバーにアクセスするためにプロキシが必要な場合、アップグレード後スクリプトが失敗します。(バグID 19169163)
preupgが実行されていない場合に再起動に失敗する
アップグレード前のアシスタント・ユーティリティpreupgを実行していない場合、アップグレードされたシステムは、再起動時にplymouthブート画面の終了を待機して起動中
というメッセージが出力されてハングします。(バグID 18815298)
セクター・サイズが512バイトより大きい場合にxfs_copyが失敗する
UEK R3では、デバイス・セクターのサイズが512バイトを超えている場合、xfs_copyによるファイル・システムのコピーが失敗します。(バグID 19267663)
電源ボタンがデフォルトでACPI Suspendに設定される
グラフィカル(GUI)コンソール・モードのOracle Linux 7では、デフォルトでハードウェアの電源ボタンがACPI "Sleep"ボタンと同等に扱われ、電源ボタンによりシステムが省電力のスリープ・モードに入ります。この動作は、Gnomeデスクトップ環境に固有です。
以前のバージョンのOracle Linuxでは、ハードウェアの電源ボタンでシステムのシャットダウンが開始されました。Oracle Linux 7で同様に動作させるには、/etc/dconf/db/local.d/01-shutdown-button
という名前のファイルを作成し、次の内容を設定します。
[org/gnome/settings-daemon/plugins/power] button-power='shutdown'
次のコマンドを実行します。
sudo dconf update
新しい設定を有効にするには、デスクトップ環境からログアウトして、ログインしなおします。(バグID 25597898)