7 Oracle Linux 7.8 (aarch64)リリース固有の情報
警告:
Oracle Linux 7は現在延長サポート中です。詳細は、Oracle Linux拡張サポートおよびOracleオープン・ソース・サポート・ポリシーを参照してください。
できるだけ早くアプリケーションとデータをOracle Linux 8またはOracle Linux 9に移行してください。
Oracle Linux 7.8 (aarch64)リリースに関連する情報を次に示します。
この章の一部の情報は、x86_64プラットフォームにも一般的に該当することがあります。x86_64プラットフォームとArmプラットフォームの両方に該当する可能性がある一般的な情報、およびx86_64プラットフォームに固有の情報は、このドキュメントの前述の各章を参照してください。
システム要件と制限事項(aarch64)
64ビットArmアーキテクチャのシステム要件と制限事項が検討されています。ご使用のハードウェアがOracle Linux 7.8 (aarch64)でサポートされているかどうかを確認するには、ハードウェア動作保証リスト(https://linux.oracle.com/hardware-certifications)を確認してください。ハードウェアが使用可能になるとリストされ、検証されます。
ファイル・システム、ストレージおよびアドレス空間の制限事項
次の表は、BTRFS、ext4およびXFSファイル・システムの最大ファイル・サイズおよび最大ファイル・システム・サイズについて説明しています。ファイル・システムの制限は、カーネルのバージョンと機能、およびOracle Linuxがインストールされているシステムのアーキテクチャの影響を受けます。ここに表示されている値は既知の変数に基づいた見積りで、実現可能な最大理論値に影響する可能性があります。理論値は、ここに表示された値よりも大きい可能性があり、実現可能な実際値は、ハードウェアや使用するカーネル・バージョンに応じて、表示された値よりも小さい場合があります。
ファイル・システム・タイプ | 最大ファイル・サイズ | 最大ファイル・システム・サイズ |
---|---|---|
|
8 EiB |
8 EiB |
|
16 TiB |
1 EiB |
|
8 EiB |
8 EiB |
ここで説明しているext4
ファイル・システムの制限は推奨値よりも大きく、不安定になる可能性があります。より大きいファイル・システム・サイズまたはファイル・サイズの使用を考えているシステムを使用する予定がある場合は、BTRFSまたはXFSファイル・システムのいずれかを使用することをお薦めします。
ブート可能な論理ユニット番号(LUN)でサポートされている最大サイズは50TBです。2TBを超えるLUNにはGPTおよびUEFIサポートが必要です。
各プロセスで使用可能なアドレス空間の最大サイズは128TBです。
同梱されているカーネル(aarch64)
Oracle Linux 7.8 (aarch64)には、次のカーネル・パッケージが同梱されています。
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kernel-uek-4.14.35-1902.300.11.el7uek
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Unbreakable Enterprise Kernelリリース5更新3 (UEK R5U3) (これがデフォルト・カーネルです)。
Unbreakable Enterprise Kernelリリース5 (UEK R5)カーネルに加えて、64ビットArmプラットフォームではUnbreakable Enterprise Kernelリリース6 (UEK R6)カーネルもサポートされています。UEK R6パッケージは、ULNまたはOracle Linux yumサーバーからダウンロードできます。UEK R6の機能および既知の問題に関する情報は、Unbreakable Enterprise Kernelリリース6: リリース・ノート(5.4.17-2011)を参照してください。
このOracle Linuxリリースは、インストール・メディア・イメージに同梱されたバンドルとしてテストされています。インストール・メディア・イメージからインストールした場合、サポートされている最小カーネル・バージョンは、イメージに含まれているカーネルです。Oracleサポートから薦められないかぎり、カーネル・パッケージのダウングレードはサポートされていません。
同梱されたカーネルのカーネル・ソース・コードは、公開されているgitソース・コード・リポジトリ(https://github.com/oracle/linux-uek)から、最初のリリース後に入手できます。
新機能(aarch64)
次の各機能は、64ビットArm (aarch64)プラットフォームのみに固有です。Oracle Linux 7.8の新機能に関する情報は、「新機能および変更点」を参照してください。これらの多くは、64ビットArm (aarch64)アーキテクチャでもサポートされています。
Oracle Arm Toolset 1
このリリースには、次の開発者ツールを備えたOracle Arm Toolset 1が含まれています。
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gcc
v7.3ISO C規格の2011リビジョンをサポート
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g++
v7.3.02014 ISO C++規格をサポート
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gfortran
v7.3.0Fortran 2008をサポート
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go
v1.10.1Goプログラミング言語
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gdb
v8.0.1GNUデバッガ
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binutils
v2.30バイナリ・ユーティリティ
記載されているツールのバージョンは、ベース・システム・バージョンよりも新しいものです。特定のコンパイラ・バージョンに密接に関連している可能性があるデバイス・ドライバや他のコンポーネントの互換性を確保するために、ベース・バージョンは意図的に数年間、安定した状態に維持されます。ただし、より新しい言語機能を独自のアプリケーションに使用することを選択できます。
Oracle Arm Toolset 1に含まれているソフトウェア・パッケージの完全なリストは、Oracle Linux 7 Software Collections yumリポジトリを参照してください。
Oracle Arm Toolset 1を使用するには、次の手順を実行します。
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aarch64バージョンのOracle Linux
.repo
ファイルをダウンロードします。sudo cd /etc/yum.repos.d sudo wget https://yum.oracle.com/aarch64/public-yum-ol7.repo
-
.repo
ファイルを編集し、ol7_software_collections
リポジトリについてenable=1
を設定して、ソフトウェア・コレクションを有効にします。.repo
ファイルには他にも多くのリポジトリがあり、ol7_software_collections
リポジトリに加えてそれらのリポジトリも有効にすることができます。 -
oracle-armtoolset-1
パッケージをインストールします。sudo yum install 'oracle-armtoolset-1*'
-
ソフトウェア・コレクションの新しいシェル(次の例では
bash
シェル)を起動します。sudo scl enable oracle-armtoolset-1 bash
オプションで、別のシェルをコマンドで指定できます。
-
次の各コマンドを実行して、gccコマンドによって正しいコピーが起動されることと、パスが正しいことを確認します。
which gcc echo $PATH echo $MANPATH echo $INFOPATH echo $LD_LIBRARY_PATH
whichコマンドの出力は、次のように返される必要があります。
/opt/oracle/oracle-armtoolset-1/root/usr/bin/gcc
4つのechoコマンドの出力は、次で始まる必要があります。
/opt/oracle/oracle-armtoolset-1/
詳細およびトラブルシューティング情報は、https://blogs.oracle.com/linux/getting-started-with-oracle-arm-toolset-1のブログ投稿を参照してください。
既知の問題(aarch64)
Oracle Linux 7.8 (aarch64)の既知の問題を次に示します。一部の問題は、x86_64プラットフォームにも該当することがあります。x86_64プラットフォームとArmプラットフォームの両方に該当する問題に関する情報は、「既知の問題」を参照してください。
使用中のカーネルに固有の問題が他にも存在する可能性があります。カーネルに固有の問題は、Unbreakable Enterprise Kernelドキュメント・ライブラリにある、実行しているUEK R5リリースのリリース・ノートを参照してください。
テキストモード環境およびサーバー・ソフトウェアに限定されたサポート
Oracle Linux 7.8 (aarch64)は、サーバー関連の使用のみを対象として設計され、テストされています。デスクトップ機能および生産性機能のパッケージは構築および提供されていますが、これらのパッケージのテストは限定的であり、この更新ではグラフィカル・モード・パッケージのサポートは提供されていません。これらのパッケージはプラットフォームにインストールできますが、これらのアプリケーションの一部が機能しなかったり、ここに記載されていない問題が発生する可能性があります。
Oracleはこれらのパッケージのサポートを提供しておらず、サポートはコミュニティベースになります。デスクトップ環境または任意のデスクトップ・アプリケーションを実行することを選択した場合は、Oracle Linux for Armコミュニティ・フォーラム(https://community.oracle.com/tech/apps-infra/categories/oracle-linux-for-arm)に質問をお送りください。
インストールの問題
Oracle Linux 7.8 (aarch64)のインストール中に、次の問題が発生する可能性があります。
テキストベースのインストール中の代替インストール・オプション
テキストベースのインストール中に、インストーラによってビデオ・コントローラが検出された場合、デフォルトでシステム・ビデオ・コンソールでのグラフィカル・インストール・オプションが提供されます。また、テキストベースまたはVNCベースのインストールを実行するオプションがブート・メニューで提供されないこともあります。
テキストベースのインストールを実行するには、ブート・コマンドラインでinst.text
オプションを指定する必要があります。VNCを介してリモート・グラフィカル・インストールを実行する場合は、inst.vnc
オプションを使用し、ネットワークを構成するブート・オプションも指定する必要があります。通常、この目的にはip=dhcp
が使用されます。
ブート・オプションの詳細は、Oracle Linux 7: インストレーション・ガイドを参照してください。
(バグID 27581120)
oracle-armtoolset-8パッケージのインストールが失敗することがある
yum install oracle-armtoolset-8コマンドを実行すると、パッケージのインストールに失敗することがあります。この失敗は、インストールの次のステージで発生します。
Installing : oracle-armtoolset-8-runtime-8.0-1.el7_6.aarch64 16/69 Error unpacking rpm package oracle-armtoolset-8-runtime-8.0-1.el7_6.aarch64 error: unpacking of archive failed on file /opt/oracle/oracle-armtoolset-8/root/lib64: cpio: rename Installing : oracle-armtoolset-8-libgo-8.2.0-6.el7_6.aarch64 17/69 error: oracle-armtoolset-8-runtime-8.0-1.el7_6.aarch64: install failed Installing : oracle-armtoolset-8-libasan-8.2.0-6.el7_6.aarch64 18/69
その後、個々のパッケージをインストールしようとしても失敗します。
Failed: oracle-armtoolset-8-runtime.aarch64 0:8.0-1.el7_6
この問題が発生した場合は、次のコマンドを実行してoracle-armtoolset-8
パッケージを削除してから再インストールします。
sudo yum remove 'oracle-armtoolset-8*' sudo yum remove policycoreutils-python sudo rm -Rf /opt/oracle/oracle-armtoolset-8/ sudo yum install policycoreutils-python sudo yum install 'oracle-armtoolset-8*'
(バグID 29672241)
インストール中におけるThunderX2でのQLogic cnicモジュールのカーネル・パニック
QLogicのcnic
ドライバ・モジュールは、64ビットArmプラットフォームではサポートされていません。Cavium ThunderX2サーバーには、cnic
ドライバ・モジュールをロードしてカーネル・パニックをトリガーする可能性のあるハードウェアが含まれています。
この問題を回避するには、インストーラのカーネル・コマンドラインでmodule_blacklist=cnic
ブート・オプションを使用して、ブート時にcnic
モジュールをブロックリストに登録します。モジュールが将来インストールまたはロードされないようにするには、ファイル/etc/modprobe.d/cnic.conf
を作成し、次の行を追加します。
blacklist cnic install cnic /bin/true
(バグID 27011806、28109733)
btrfs-convert操作により、マウントできないファイル・システムが生成される
btrfs-convertツールを使用して、ext4
ファイル・システムをbtrfs
に変換できます。ただし、ツールが、システムのデフォルト・ページ・サイズ(aarch64プラットフォームの場合は64 KBに設定されている)に一致するセクター・ブロック・サイズで作成されていないファイル・システムを変換しようとすると、結果のファイル・システムをマウントできません。この問題は、元のext4
ファイル・システムが-b 65536
オプションを使用して作成されず、64 KBのブロック・サイズを指定した場合に発生する可能性があります。
(バグID 28200561)
shim第1段階ブート・ローダーの手動実行がUEFIシェルで失敗することがある
場合によっては、UEFIシェルからshimバイナリを手動でロードすると失敗することがあります。次のケースは失敗することがわかっています。
-
FS0:\EFI\redhat\shimaa64.efi
-
FS0:\EFI\redhat\> shimaa64.efi
FS0:\> \EFI\redhat\shimaa64.efi
は正しく動作することがわかっています。
標準インストールはこのバグの影響を受けません。この問題は、UEFIシェルでshimを手動で実行する場合に限定されます。
(バグID 27962691)
複数のCPUを搭載したシステムでKdumpツールがvmcore-dmesg.txtの作成に失敗する
複数のCPUを搭載したシステムでは、Kdumpに含まれているクラッシュ・ダンプ・ツールが、vmcore
ファイルで作成されるvmcore-dmesg.txt
ファイルの作成に失敗します。この問題により、次のセグメント障害が発生する可能性があります。
... kdump: saving to /sysroot//var/crash/127.0.0.1-2018-05-22-12:34:45/ kdump: saving vmcore-dmesg.txt /lib/kdump-lib-initramfs.sh: line 118: 459 Segmentation fault $_dmesg_collector /proc/vmcore > ${_path}/vmcore-dmesg-incomplete.txt kdump: saving vmcore-dmesg.txt failed kdump: saving vmcore Copying data : [100.0 %] \ eta: 0s kdump: saving vmcore complete
この問題は、ログ・バッファがカーネルによって動的に割り当てられるために発生します。vmcore-dmesg
では、このように割り当てられたメモリーにアクセスする方法を認識できません。この問題は通常、64個以上のCPUを搭載したシステムで発生しますが、32コアのAmpere X-Gene 3システムでも確認されています。
dmesg出力を手動で取得するには、vmcoreに対してcrashコマンドを実行し、クラッシュ・シェルでdmesgコマンドを使用します。
(バグID 28064675、28670960)
bluedevil-wizard実行時のセグメンテーション・フォルト
bluedevil
パッケージにあるbluedevil-wizardは、Bluetoothデバイスを接続または検出できず、実行中にセグメンテーション障害で失敗します。
(バグID 27101618)
dsktuneコマンドが失敗し、サポートされていないというエラー・メッセージが表示される
389 Directory Server基本パッケージ(389-ds-base
)に含まれているdsktuneコマンドが失敗し、次のエラー・メッセージが表示されます。
ERROR: This system does not support CMPXCHG16B instruction (cpuflag cx16). nsslapd-enable-nunc-stans must be set to "off" on this system. In a future release of Directory Server this platform will NOT be supported. ERROR : The above errors MUST be corrected before proceeding.
このメッセージは、x86_64プラットフォームで一般的に使用可能な機能であるcx16
がシステムでサポートされていないことを通知しています。
dsktuneコマンドは、システムが要件を満たしていることを確認し、構成に関する有用な情報を提供できますが、389 Directory Serverを実行するために必須ではありません。
(バグID 26861135)
インストールと可用性(aarch64)
次に示すインストールと可用性に関する情報は、特にOracle Linux 7.8 (aarch64)リリースの64ビットArmプラットフォームに該当します。インストールと可用性に関する一般的な情報、および特にx86_64プラットフォームに該当する情報は、「インストールと可用性」を参照してください。
Oracle Linux 7.8 (aarch64)の最新パッケージをUnbreakable Linux Network (ULN)およびOracle Linux yumサーバーから入手することもできます。Oracle Linux 7.8 (aarch64)のその他のソフトウェアをインストールするには、ULNの個々のチャネルにサブスクライブするか、yum構成内の必要なリポジトリを有効にします。ULNで使用可能なチャネルを探すには、https://uln.oracle.com/にログインして、チャネル・オプションを確認してください。Oracle Linux 7.8 (aarch64)用の使用可能なOracle Linux yumリポジトリを確認するには、https://yum.oracle.com/oracle-linux-7.htmlにアクセスしてください。
ノート:
Oracle Linux yumサーバーでは、ULNで使用可能な一部のチャネルに対応するリポジトリは提供されません。これらのチャネルでは、非オープン・ソース・パッケージを提供しています。
UEK R5は、Oracle Linux 7.8 (aarch64)のフレッシュ・インストール時のデフォルトのブート・カーネルです。詳細は、Unbreakable Enterprise Kernelドキュメント・ライブラリにある、実行しているUEK R5リリースのリリース・ノートを参照してください。
Unbreakable Enterprise Kernelリリース5 (UEK R5)カーネルに加えて、64ビットArmプラットフォームではUnbreakable Enterprise Kernelリリース6 (UEK R6)カーネルもサポートされています。UEK R6パッケージは、ULNまたはOracle Linux yumサーバーからダウンロードできます。UEK R6の機能および既知の問題に関する情報は、Unbreakable Enterprise Kernelリリース6: リリース・ノート(5.4.17-2011)を参照してください。
ISOのインストール
Oracle Linux 7.8 (aarch64)のインストール・プロセスは、x86_64プラットフォームでのインストール・プロセスと実質的に変わりません。Oracle Linux 7: インストレーション・ガイドに記載されているものと同じ手順および情報がArmプラットフォームにも適用されます。
推奨されるインストール・プロセスは次のとおりです。
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Oracle Technology Network (https://www.oracle.com/linux/)からISOイメージを入手します。
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インストールを実行するネットワーク・インストール・サーバーを構成します。
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kickstartファイルを作成して、インストールを自動化します。
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ターゲットArmハードウェアをネットワークに接続し、ネットワークからブートするか、PXEブートを実行してブートするようにファームウェアを構成します。
手順は、ハードウェアのドキュメントを参照してください。
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ターゲット・ハードウェアを起動し、インストールが完了するまで待ちます。
ネットワーク・インストール・サーバーを構成する方法およびkickstartファイルを使用してインストーラをブートする方法の詳細は、Oracle Linux 7: インストレーション・ガイドを参照してください。
インストールを完了するには、次の例外および追加情報が必要になる場合があります。