この章では、DIVAnet での DIVArchive API のサポートを取り上げ、DIVArchive API を使用して DIVAnet 固有の情報を指定する方法について説明します。この章は、DIVArchive C++ API、DIVArchive Java API、または DIVArchive Web サービス API のドキュメントとともに使用するよう意図されています。
DIVAnet は、完全な DIVArchive API コマンドセットの一部をサポートしています。DIVAnet MultiDiva モードでは、一部の DIVArchive API コマンド (EjectTape
など) が拒否されます。DIVAnet 2.1 では、リリース 7.3 以前の DIVArchive API クライアントからのクライアント接続をサポートしています。7.3 よりあとの API に追加された新しい機能は DIVAnet 2.1 ではサポートされません。
DIVAnet サーバーに対する DIVA API の呼び出しは、DIVArchive に対する呼び出しとほぼ同じです。ただし、相違点がいくつかあります。DIVAnet による一般的な DIVA API パラメータの受け入れ方がわずかに異なる場合があります。また、DIVAnet から返されるフィールドの内容が DIVArchive とは少し異なっていたり、異なる形式が使われていたりする場合もあります。このセクションでは、こうした違いについて説明します。
DIVAnet 2.1 では、接続された DIVArchive サイトに DIVArchive 7.3.1 以降がインストールされている必要があります。DIVArchive サイトはその後、DIVAnet のアップグレードを必要とせずに単独でアップグレードできます。
このセクションでは、アーカイブされたコンテンツの転送 (または削除) を伴う要求 (アーカイブ、復元、削除、コピーなど) について説明します。これらのコマンドは、DIVArchive API によって呼び出すことができます。DIVAnetUI から呼び出せるものもあります。DIVArchive API 内の各コマンドの機能の詳細は、Oracle DIVArchive C++ API のリファレンスマニュアルを参照してください。
注記:
DIVAnet MultiDiva モードでは、DIVArchive に直接発行された要求には必要のない一部の情報が DIVAnet 要求に必要となる場合がよくあります。DIVAnet 要求には、サポートされている機能のせいで追加の情報が必要となる場合がよくあります。たとえば、DIVAnet でコピーコマンドを使用して、ある DIVA システムから別の DIVA システムにコンテンツをコピーできます。DIVAnet では、少なくともターゲットサイトが何であるかを認識している必要があります。しかし、DIVA API の CopyToGroup
コマンドにはターゲットサイトのパラメータが含まれていません。以降のセクションでは、この追加情報の指定方法について詳しく説明します。DIVAnet MultiDiva モードの構成の詳細は、「クライアント API ポートの構成」を参照してください。
表7-1 に、DIVAnet でサポートされている DIVArchive API コンテンツ要求を示します。これらの要求を発行するクライアントには引き換えに要求 ID が返され、それによって要求のステータスを定期的にクエリーできます。
表7-1 サポートされている DIVArchive コンテンツ要求
要求 |
DIVAnet での動作 |
---|---|
アーカイブ |
ローカルの DIVArchive サイト、またはオプションで別の選ばれたサイトにアーカイブします。 詳細は、「アーカイブ要求」を参照してください。 |
復元 インスタンスの復元 |
アーカイブされたオブジェクトを特定のソース/宛先に復元します。復元用のソースコンテンツとして特定のインスタンスまたは特定のサイト (あるいはその両方) を使用できます。 DIVAnet では、(1) ローカルの DIVArchive からオブジェクトを復元する (2) リモートの DIVArchive を使ってオブジェクトを直接復元する (3) リモートの DIVArchive からオブジェクトを取り出し、選ばれたソース/宛先に転送する、のどれにすべきかを決めます。 インスタンスの復元では、特定のサイトにある特定のインスタンスを復元できます。障害が発生した場合は、ほかのサイトで再試行するように DIVAnet を構成できます。 詳細は、「復元要求」を参照してください。 |
部分復元 インスタンスの部分復元 |
完全復元と同様の方法でオブジェクトを部分的に復元します。部分ファイル復元用のソースとして (特定のサイト上の) 特定のインスタンスを使用できます。 リモートシステムに対して部分ファイル復元を発行する場合は、ローカルサイトと同様の方法で部分復元用にその DIVA サイトを構成する必要があります。 詳細は、「Oracle 部分ファイル復元要求」を参照してください。 |
コピー (CopyToGroup) |
ある DIVA サイトから別の DIVA サイトにコンテンツをコピーします (サイト間コピー)。あるいは、DIVA サイトでオブジェクトの別のインスタンスを作成します (単一の DIVA システムに対して 特定のインスタンスをターゲットサイトにコピーできます。 詳細は、「コピー要求」を参照してください。 |
削除 インスタンスの削除 |
すべてのサイトまたは特定のサイトからコンテンツを削除するか、特定のサイト上の特定のインスタンスを削除します。削除対象のオブジェクトがサイトでロックされる場合は、一定期間にわたって再試行するように DIVAnet を構成できます。 詳細は、「削除要求」を参照してください。 |
アーカイブ要求では、呼び出し側は特定のソース/宛先 (DIVArchive で構成) に存在するコンテンツをアーカイブできます。DIVA API は、そのソース/宛先から DIVArchive に転送が行われるように調整します。これは、コンテンツが HTTPS 経由でリクエスタから直接転送される Web ベースのクラウド API とは異なります。デフォルトでは、DIVAnet はローカルサイトにアーカイブします。
DIVAnet に発行されるアーカイブ要求は DIVArchive に直接発行されるものに似ていますが、ターゲットサイト名 (コンテンツのアーカイブ先の DIVArchive サイト) に少し追加があります。通常、DIVAnet はローカルサイトにアーカイブします。ただし、次の 2 つの方法のどちらかで、別のサイトに直接アーカイブできます。
オプションフィールドに -site [sitename] オプションを指定します。たとえば、-site diva1 のようになります。
アーカイブ要求のメディアパラメータの前に宛先サイト名を付けます。たとえば、sitename1_TapeGroup1 は sitename1 と呼ばれる宛先サイトと TapeGroup1 というメディアを示しています。
DIVAnet では、アーカイブコマンドの連続再試行をサポートしていませんが、BackupArchiveSite
オプションをサポートしています。このオプションは、万一プライマリサイトが停止した場合に代替アーカイブサイトを提供します。
復元要求では、クライアントはアーカイブシステムに存在するコンテンツを復元できます。このコンテンツは、要求で選択された特定のソース/宛先に送られます。DIVA API は、DIVArchive サイトからソース/宛先 (FTP または CIFS ディスクなど) に直接転送されるように調整します。これは、コンテンツが HTTPS 経由でリクエスタに直接転送される Web ベースのクラウド API とは異なります。
DIVAnet を使用してコンテンツを復元するときは、そのコンテンツが格納されている特定の DIVA システムを呼び出し側が認識している必要はありません。また、ある DIVA サイトからコンテンツを取得中に障害が発生した場合は、そのコンテンツを取得するために別の DIVA サイトが自動的に参照されます。
DIVAnet では、DIVAnet サイト上のソース/宛先への復元をサポートしています。DIVAnet は要求を満たすために必要に応じてコンテンツをほかのサイトから取得し、最終的にはそのコンテンツをターゲットのソース/宛先に転送します。
DIVAnet に発行される復元要求は DIVArchive に直接発行されるものに似ていますが、少し追加があります。通常は、DIVAnet によって復元元に最適なサイトが選ばれます。ただし、DIVAnet では、クライアントが復元に使用する特定のサイトを指定できます。これはいくつかの方法で実行できます。
-site: 通常は、DIVAnet によって復元元のサイトが選ばれます。ただし、要求のオプションフィールドに -site [sitename] オプションを指定することで、特定のサイトから復元を試みることができます。その選ばれたサイトでコンテンツが見つからない場合、この操作は失敗します。
Instance Id: ソースの徹底した管理が必要な場合は、復元要求にインスタンス番号を指定できます。これにより、ソースサイトと、復元元の DIVA インスタンスを選択できます (次のセクションを参照)。このインスタンス ID を取得するには、getObjectInfo()
API 呼び出しを実行するか、DIVAnet UI でオブジェクトを表示します。
どちらの場合も、再試行はできません。
復元要求を満たすために、DIVAnet は表7-2 に示されている復元方法を使用します。DIVAnet では、ターゲットのソース/宛先やソースオブジェクトなどのパラメータに基づいて、使用する復元ワークフローを動的に選択します。復元に使用するサイトを決めるために、DIVAnet は次に示すような一連の質問をします。
そのオブジェクトはローカルの DIVArchive システムで使用できますか。
そのオブジェクトにはディスクインスタンスが含まれていますか。
そのソース/宛先にはリモートの DIVArchive システムからアクセスできますか。
そのソース/宛先にはローカルサイトからアクセスできますか。
DIVArchive がソースまたはターゲットサイトで動作していますか。
構成ファイル内で、あるサイトが別のサイトよりも優先されていますか。
方法 |
説明 |
---|---|
ローカル |
オブジェクトがローカルサイトに存在するときに使用されます。ローカルサイトとは、メッセージの送信先となっている DIVArchive システムのサイト名です。ローカルの DIVArchive システムもローカルサイトの一部と見なされます。 |
直接リモート |
DIVAnet はリモートの DIVA システムで復元操作が行われるように調整できます。これが行われるのは、ターゲットのソース/宛先がリモートの DIVA システムでも構成されている場合に限られます。これらのソース/宛先名が一致している必要があり、どちらも同じサーバーまたはディスク (該当する場合はそのディスクへのパス) を参照する必要があります。 使用可能な場合、DIVAnet ではサイト間コピーを使用した復元を実行するよりもこの方法が優先されます。 |
サイト間コピーの使用 |
コンテンツがローカルでない場合、かつリモートの DIVA システムがターゲットのソース/宛先に直接復元できない場合、DIVAnet では 2 ホップでコンテンツが配布されるように調整できます。 まず、リモートの DIVA が、ソースサイトとターゲットサイト間で共有されるソース/宛先に復元します。次に、ローカルの DIVA がそのオブジェクトをアーカイブし、最後にターゲットのソース/宛先に復元します。こうすることで、そのコンテンツの今後の要求がずっと速く取得されるようになります。 ニアラインコピーを作成することで常にリモート復元を行う場合は、ワークフロープロファイルで |
サイト間転送の使用 |
特定のケースで、DIVAnet が直接リモート復元を実行できないときは、コンテンツを 2 ホップで配信しますが (サイト間コピーを使用した復元と同様)、実際にはコンテンツをローカルでアーカイブしません。Oracle 部分ファイル復元もこのようなケースの 1 つです。 まず、DIVAnet はソースとターゲットの両方の DIVA サイトからアクセス可能なソース/宛先にコンテンツを転送するようソース DIVA に指示します。次に、ローカルの DIVA サイトではそのコンテンツをアーカイブせずにターゲットのソース/宛先に転送します。 |
DIVAnet では、任意のサイトで利用可能なソース/宛先に復元できます。DIVAnet では、2 つのサイトに同じ名前を持つソース/宛先が存在することと、両方の構成が同じ物理 Server\Device\Path
を指していることを想定しています。ユーザーは、サイト全体にわたってソース/宛先に割り当てられている名前に注意する必要があります。
リモートの DIVA システムがターゲットのソース/宛先に直接復元できない場合、DIVAnet では 2 ホップでコンテンツが配布されるように調整できます (サイト間転送を使用した復元を参照)。DIVAnet がこの調整を行うのは、ソース/宛先 が特定のソース/宛先の優先サイトである場合のみです (推奨のソース/宛先マッピングを参照)。
最初の復元に失敗した場合に数回再試行するように復元コマンドを構成できます。復元対象のコンテンツが複数のサイトに存在する場合、DIVAnet はそれらのサイトで復元を自動的に再試行します。最大再試行回数を構成できます。また、ほかのサイトに移動する前に同じサイトで再試行が行われることになる場合もあります。その場合は、RestoreRetryIntervalMins
値を調べることで、同じサイトで再試行するまでの待機時間が決められます。
DIVAnet 2.1 は、DIVArchive API の一部をサポートしています。サポートされているメッセージの一覧については、この章を参照してください。
DIVAnet 2.1 では、複数復元を制限付きでサポートしています。DIVAnet では、リモートのソース/宛先の複数復元は許可されておらず、UI による複数のソース/宛先の表示またはモニタリングも許可されていません。オブジェクトがローカルに存在するが、それにアクセスできない場合 (ローカルに外部化されている場合など)、複数復元を使用できます。
DIVAnet 2.1 では、負荷分散などのピアツーピアのサイト関係はサポートしていません。
コンテンツの完全復元のほかに、DIVAnet では部分ファイル復元もサポートしています。DIVAnet では、コンテンツの置かれているサイトを調べ、その一部が復元されるように調整します。
オブジェクトがリモートの DIVA システムに存在し、復元のためにリモートの DIVA システムからターゲットのソース/宛先にアクセスできない場合、DIVAnet はそのコンテンツを 2 ステップで転送します。まず、リモートの DIVA を使ってローカルの DIVA にコンテンツを取り込みます (その際、オブジェクト全体を転送しない)。次に、ローカルの DIVA を使ってコンテンツをターゲットのソース/宛先に復元します。
復元と同様に、インスタンス番号や -site パラメータを指定して特定のサイトから復元を実行したり、最初のサイトが失敗したときの再試行を指定したりできます。さらに、これも復元と同様ですが、同じ復元要求内の複数の宛先への復元はサポートされていません。
コピー要求では、アーカイブされたコンテンツの新しいインスタンスを既存のインスタンスから作成します。DIVAnet では、ある DIVA サイトから別の DIVA サイトにコンテンツをコピーできます。DIVArchive API の CopyToGroup
コマンドは、(1) ある DIVA サイトから別の DIVA サイトにオブジェクトをコピーするか、(2) 単一のサイトで新しいインスタンスを作成するだけです。コピーの場合、DIVA API で使用できない一部のパラメータを DIVAnet で導出させる必要があります。表7-3 で、これらのパラメータについて説明します。
導出属性 |
説明 |
---|---|
Target Sitename |
オブジェクトのコピー先のサイトを示します。 ターゲットサイト名は、DIVA API の設計時に作られたフィールドとして存在しません。次の 2 つの方法のどちらかで、これを DIVAnet に伝えられます。
サイト名を指定しない場合は、ローカルサイトが想定されます。-site キーワードは、API 7.3 以降のリリースでのみ有効です。 |
Media |
Media は、コピーされたオブジェクトの格納に使用するメディアのタイプを示します。DIVAnet では、メディア名として DIVA のストレージ計画を指定することも可能です。Storage Plan は、コピーがサイト間コピーである場合にのみ有効です。 メディアの前にターゲットサイト名を付けて、ターゲットサイト名を指定することもできます。 指定するメディアが不明の場合は、any というメディアを指定して、ターゲットサイトでの格納先のメディアをシステムに選択させることができます。たとえば、diva1_any というメディアでは、diva1 というサイトにコピーしますが、メディアは DIVAnet によって選ばれます。DIVAnet が提供するデフォルトは、一部の使用例には適さない場合があります。 オブジェクトがターゲットサイトにすでにあるときに any を指定した場合、システムはただ成功を返すだけです。 |
Source Sitename |
通常は、DIVAnet によってコピー元のサイトが選ばれます。ただし、ソースの徹底した管理が必要な場合は、コピー要求にインスタンス番号を指定できます。これにより、ソースサイトと、コピー元の DIVA インスタンスの選択が暗黙的に可能となります (次のセクションを参照)。この ID を取得するには、コピー対象のオブジェクトに対して |
DIVAnet のコピー要求では、ソースサイトがターゲットサイトと同じ場合、DIVAnet はただ CopyToGroup
をターゲットの DIVA サイトに発行するだけです。サイト間コピーの場合、DIVAnet ではこうしたコピーの実行に使用される方法を構成できます。ソースサイト名とターゲットサイト名のペア (site1 から site2 など) ごとに、使用できる転送方法を表7-4 に示します。
コピー方法のほかに、ソースサイト名とターゲットサイト名の各ペアには共通のストレージ領域に使用される実際のソース/宛先も含まれています。デフォルトの宛先メディア (RestoreAndArchive の場合)、オプションパラメータ (DIVArchive に渡される)、およびほかのパラメータも構成可能です。
タイプ |
説明 |
---|---|
RestoreAndArchive |
このオプションを使用すると、DIVAnet はソースサイトのコンテンツを、ソースサイトとターゲットサイトに共通のソース/宛先に復元します。次に、DIVAnet は、現在、共通のストレージ領域にあるコンテンツをターゲットの DIVArchive システムにアーカイブするよう指示します。これは、ドロップフォルダの使用に代わる方法です。 |
RestoreAndMonitor |
この方法を使用すると、DIVAnet は最初にコンテンツを特定の宛先に復元することでコピーを実行します。次に、ターゲットの DIVArchive システムのモニタリングを始めて、コンテンツがターゲットサイトにいつ正常にアーカイブされるかを確認します。コンテンツがターゲットサイトに正常にアーカイブされたときにのみ、この要求は正常に完了します。 もちろん、これはコンテンツを取得してターゲットの DIVA システムにアーカイブする別のプロセスまたはプログラムに依存しています。このオプションを DIVArchive Drop Folder Monitor ソフトウェア (DFM) と組み合わせると有効です。各 DFM フォルダは、あらかじめ選択されたメディアを使ってアーカイブするように構成されています。つまり、DFM がコピーに使われるときは、メディアパラメータが事実上無視されます。 |
Restore |
この方法を使用すると、DIVAnet は特定の宛先に復元してから、成功を返すことでコピーを実行します。この方法では、コンテンツがターゲットサイトに正常にアーカイブされたことを確認しません。また、サイト間コピーを使用した復元ワークフローが試行された場合にエラーが発生する可能性が高くなります。 |
オブジェクトのインスタンスがターゲットサイトの要求されたメディア上にすでに存在する場合、DIVAnet のコピーコマンドは成功を返します。この場合、DIVArchive は要求を終了します。
オブジェクトがすでに存在するサイトにそのオブジェクトがコピーされるよう要求されるが、要求されたメディアがない場合、DIVAnet は要求に指定されているメディアを使用してそのサイト上にオブジェクトの別のインスタンスを作成します。メディアとして any を指定した場合は例外です。この場合、DIVAnet は別のインスタンスを作成しません。
DIVAnetUI には、コピー操作時に DIVAnet にターゲットメディアを割り当てさせるオプションがあります (Selected By DIVAnet
というメディアを使用)。同じことを DIVA API 要求で行うには、コピー要求で any というメディアを指定します。DIVAnet はその構成を使用して、コピーに使用するメディアを決めます (詳細は、「サイト間マッピング」を参照)。
any が渡され、オブジェクトがターゲットサイトにすでに存在するときは、オブジェクトの別のインスタンスは作成されません。それ以上のアクションは行われず、要求は成功します。
DIVAnet では、コピーの定期的な再試行もサポートしています。ワークフロープロファイルで有効になっている場合、DIVAnet は失敗したコピー操作を再試行します。ワークフロープロファイルでは、DIVAnet が要求を再試行する期間、および再試行から次の再試行までの待機時間を構成できます。詳細は、「ワークフロープロファイルの構成」を参照してください。
DIVArchive の削除要求では、呼び出し側はアーカイブされたオブジェクトを削除できます。DIVAnet の削除要求では、デフォルトで、すべての DIVArchive サイトからそのオブジェクトが削除されます。DIVAnet の DeleteInstance 要求では、単一の DIVA サイトから 1 つまたはすべてのインスタンスを削除できます。そのため実際には、DIVAnet では 3 種類の削除を実行できます。表7-5 で、削除タイプとそれぞれに必要なパラメータについて説明します。
タイプ |
導出属性 |
説明 |
---|---|---|
グローバル削除 |
該当なし |
すべてのサイト上のすべてのオブジェクトインスタンスを削除します。 この API では、要求内にメディアやインスタンス ID を指定しないことで、指定されたオブジェクトがすべてのサイトから削除されます。 |
インスタンス削除 |
Target Sitename |
特定のサイト上の単一のオブジェクトインスタンスを削除します。 この API では、インスタンス ID またはメディアを指定することで、特定のオブジェクトインスタンスが特定のサイトから削除されます。 インスタンス ID を指定する場合は、特定のサイト上の特定のオブジェクトをターゲットにします。メディアまたはオプションのパラメータを渡す必要はありません。 メディアを指定する場合は、DIVAnet が削除元のサイトを認識している必要があります。次の 3 つの方法のいずれかでサイトを指定できます。
|
サイト削除 |
Target Sitename |
特定のサイト上の 1 つのオブジェクトのインスタンスをすべて削除します。次の 3 つの方法のいずれかでこれを実行できます。
|
前の表で説明したように、サイト名を指定し、メディアを any とした場合、そのオブジェクトのすべてのインスタンスが選択したサイトから削除されます。これは、オプションフィールドで -site [sitename] を渡すことでも実行できます。
DIVAnet では、インスタンス削除で、アーカイブされたオブジェクトの最後のインスタンス (DIVAnet データベースに存在する最後のインスタンス) の削除を試みても成功しません。この場合は、グローバル削除またはサイト削除要求を発行する必要があります。ただし、サイト削除では最後のインスタンス (複数も可) が削除されることに注意してください。アクセス規則を使用すると、事実上、グローバル削除となるインスタンス削除またはサイト削除を防ぐことができます (詳細は「アクセス規則の構成」を参照)。
また、ユーザーが削除を DIVArchive に直接発行した場合は、最後のインスタンスが保持されることを DIVAnet で確認できない時間ウィンドウが生じる可能性があります。
削除が DIVAnet に受信されたときに、DIVAnet がオブジェクトのサイト間コピーを実行していた場合は、そのコピーを生成した DIVAnet 要求が取り消されます。そのコピーはコピーコマンドの結果である可能性も、復元を満たすためにコピーを実行する復元コマンドの結果である可能性もあります。他のタイプの DIVAnet 要求は取り消されません。
DIVAnet 要求の代わりに DIVArchive 要求が実行される場合、DIVArchive はそのオブジェクトをロックして削除されないようにします。そのため、DIVAnet が DIVArchive に削除メッセージを送信する前にオブジェクトがロックされると、削除要求は失敗します。
DIVAnet では、削除が失敗したときの削除の定期的な再試行をサポートしています。ワークフロープロファイルで有効になっている場合、DIVAnet では削除対象のインスタンスやオブジェクトがロックされているなどのサイトで削除を試し続けます。再試行の期間は DIVAnet 内で構成できます。
表7-6 に、コンテンツに関連していない DIVArchive API コマンドを示します。これらのコマンドはオブジェクトまたは要求に関する情報を取得するもので、要求 ID は割り当てられません。
表7-6 コンテンツに関連していない、サポートされているその他の DIVArchive コマンド
要求 |
説明 |
DIVAnet での動作 |
---|---|---|
|
DIVAnet 要求を取り消します。 |
このコマンドには -site オプションは適用されません。 |
|
DIVAnet データベースを使用してアーカイブされたオブジェクトに関する情報を取得します。 DIVAnet では、すべての DIVAnet サイト上のそのオブジェクトのすべてのインスタンスを返します。オブジェクト名とオブジェクトカテゴリを指定します (カテゴリは空白のままにできますが、複数のオブジェクトに同じオブジェクト名が付いている場合、この呼び出しは失敗します)。DIVAnet では DIVAnet データベースを使って、アーカイブされたオブジェクトに関する情報を返します。
|
このコマンドでは -site オプションはサポートされていません。 |
|
DIVAnet 要求に関する情報を DIVAnet データベースから取得します。 注記: 追加情報パラメータには制約があります。追加情報は DIVArchive から提供され、最後に処理された DIVA 要求からの情報を表します。この情報には DIVAnet ネットワーク内のほかのサイトが反映されていません。 |
DIVAnet が このコマンドには -site オプションは適用されません。 |
|
アーカイブされた特定のオブジェクト内のファイルやフォルダに関する情報を DIVArchive から直接取得します。 |
-site オプションを受け入れて特定のサイトをクエリーします。サイトの指定がない場合は、DIVAnet に選ばせます (推奨)。 |
|
オブジェクトやオブジェクトイベントに関する情報を DIVArchive から取得します。DIVAnet では、1 回につき 1 サイトずつ、ラウンドロビン方式で、1 サイトに 1 バッチずつ、オブジェクト情報を各 DIVArchive システムから直接取得します。 各バッチには 1 つの DIVA サイトからの情報が含まれています。同じオブジェクトが 2 つのサイトに存在する場合は、そのオブジェクトを 2 回 (サイトごとに 1 回ずつ)、各バッチで 1 回ずつ受け取ります。 注記: 返されるエントリの順序は保証されていません。ある DIVA サイトが停止した場合、 |
メディアフィールドの前にサイト名をアンダースコア (_) で区切って付けることで、1 つのサイトからの情報を取得できます。メディアへのクエリーは必要ないが、1 つのサイトからの情報を取得する場合は、メディアフィールドにサイト名のみを指定できます。このコマンドは -site オプションを受け入れません。 |
|
DIVAnet データベースをクエリーして、オブジェクト名とカテゴリのリスト ( |
DIVAnet 内ではこのコマンドは制限付きでサポートされています。テープ情報のクエリーはサポートされていません。また、同時クエリーの数にも制限があります。-site オプションはサポートされていません。 |
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すべてのサイトからアレイ名のリスト (各アレイを形成するディスクなど) を返し、現在のディスク容量を返します。 |
-site パラメータをオプションフィールドで渡すと、特定のサイトの情報が返されます。 |
|
すべてのサイトからテープグループ名のリストを返します。グループ名の前にサイト名が付けられます。 |
注記: このコマンドにはオプションフィールドがありません。そのため、-site オプションはサポートされていません。 |
|
すべてのサイトからソースおよび宛先情報のリストを返します。 |
返されるリストでは、ソース名または宛先名の前にソースまたは宛先のサイト名がアンダースコア (_) で区切って付けられます。 -site パラメータをオプションフィールドで渡すと、特定のサイトの情報が返されます。 |
|
単一の DIVArchive サイトのステータスを取得します (デフォルトではローカルサイトが返される)。すべてのサイトのグローバルビューは返されません。 |
-site パラメータをオプションフィールドで渡すと、情報の収集元のサイトを選択できます。たとえば、-site diva1 を渡すと、diva1 というサイト名で指定されたマネージャーに |
|
構成されているすべての DIVAnet サイトに定義されているストレージ計画のリストを取得します。 |
返されるリストでは、ストレージ計画名の前にストレージ計画のサイト名がアンダースコア (_) で区切って付けられます。 オプションフィールドの -site パラメータ、 |
アプリケーションの互換性の理由で、これらのコマンドは、DIVAnet がそれらを満たすアクションを行わなくても常に成功を返します。
優先度の変更
オブジェクトのロック
オブジェクトのロック解除
オブジェクトのリンク
インスタンスの要求
インスタンスの解放
DIVAnet では、DIVArchive で返されるものと同じようなステータスコードを返します。ただし、DIVAnet では DIVArchive ですぐに失敗させる要求を受け入れてしまうことがたまにあります。DIVAnet には、要求の処理中にあとでチェックを行うために必要な情報が含まれていないことがよくあるからです。
また、DIVAnet では多くのコマンドに対して ACCESS_DENIED ステータスを返します。DIVArchive ではこのステータスを返しません。DIVAnet では、アクセス規則のチェックを渡さない要求を拒否し、ワークフロープロファイルで構成されていないメッセージを拒否します。互換性のために、API 5.8 以前のリリースでは ACCESS_DENIED ではなく INVALID_PARAMETER ステータスを返します。