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CICS Runtimeの初期構成

CICS Runtimeの初期構成
CICS Runtimeの構成
CICS Runtime環境を作成するためには、CICSアプリケーションをインストールする前に、いくつかのテクニカル変数とパスを定義しておく必要があります。
CICS Runtimeと連携する場合、個々のCICSアプリケーションを構成する前に、これらの操作を完了する必要があります。
CICS Runtimeは、次のファイルを使用します。
UNIX ~/.profileファイル
UNIXユーザーの場合、必要な変数の大部分は、コマンドとアプリケーションのためにユーザーが使用する一般的な変数とパスのすべてを集中管理する.profileファイルで、定義されています。
CICS Runtime、またはそれにより起動される他のテクニカル・ソフトウェアまたはミドルウェア(Oracle、Tuxedo、MQ Seriesなど)で後から必要になる様々な構成ファイルで使用される一般的な変数とパスは、すべてこのファイルで設定します。
続いて、このファイルをエクスポートします。
次の変数を~/.profileファイルの初期設定で設定します。
 
リスト3-1 .profileファイル初期設定例
export TUXDIR=/product/TUXEDO11GR1 # Directory containing the Installed Tuxedo product
export TUXCONFIG=${HOME}/SIMAPP/config/tux/tuxconfig # Full path name of the Tuxedo tuxconfig file
export KIXDIR=${HOME}/KIXEDO # Absolute path of the CICS Runtime product directory
export APPDIR=${KIXDIR}/bin # Directory containing the CICS Runtime Servers Binaries
export KIXCONFIG=${HOME}/SIMAPP/config/resources # Directory for resources files (*.desc)
export KIX_TS_DIR=${HOME}/SIMAPP/KIXTSDIR # Directory for TS no recovery
 
Tuxedoシステム・ファイル
Tuxedo Envfileファイル
このenvfileには、TuxedoとCICS Runtimeによって使用される変数とパスが含まれます。Tuxedo管理者が設定するパラメータの他、これらのパラメータも設定する必要があります。
次の変数は、envfileファイルの初期設定で設定します。
 
リスト3-2 envfile初期設定例
# <TUXDIR>
# Refers to the location where you installed TUXEDO. The default
# location is "/usr/tuxedo".
#
# <APPDIR>
# Refers to the fully qualified directory name where your application
# runs (i.e., the location of the libraries, mapdefs, and MIB files).
#
# <TUXCONFIG>
# Refers to the fully qualified binary version of the TUXEDO
# configuration file. (This is usually the "tuxconfig" in the $APPDIR
# directory.)
#
# Copyright �1998, BEA Systems, Inc., all rights reserved.
#--------------------------------------------------------------------------
# TUXEDO environment
APPDIR=${KIXDIR}/bin
CONFDIR=${APPHOME}/config/tux
TUXCONFIG=${CONFDIR}/tuxconfig
FLDTBLDIR32=${KIXDIR}/src
FIELDTBLS32=msgflds32
OBJECT_MODE=64
 
#resource files directory
KIXCONFIG=${APPHOME}/config/resources
 
# Command executable paths
HAB_TRAN=none
 
# Other environment
LC_MESSAGES=C
 
# End
 
Tuxedo ubbconfigファイル
次に示すCICS Runtimeの初期構成は、3270sクライアント指向のトランザクションを使用した、典型的なユーザーのシナリオ用に構成されています。一部のCICS Runtime Tuxedoサーバーはどうしても必要ですが、他のサーバーは、オプションで起動することも可能ですがここで絶対的に必要ではありません。
必須サーバー
これらのサーバーは、起動してCICS Runtimeを実行し、CICS Runtimeの「Good Morning」画面を表示させることで、初期設定が正しいことを検証する必要があります(ホスト接続の「ようこそ」画面)。
ターミナル制御プログラム・リスナー(ARTTCPLサーバー)は、3270ターミナルまたはエミュレータで表示されるマップを介して、エンド・ユーザーとCICSランタイム・アプリケーションの間の通信を確立するため、必要です。
接続サーバー(ARTCNXサーバー)も、ユーザー接続フェーズと切断フェーズでテクニカル接続サービスを提供するため、必要とされます。システム・トランザクションCSGMを介して、CICSシステム・トランザクションのCICS Runtime「Good Morning」画面を表示するためにも使用されます。
オプションのサーバー
未インストールのCICSアプリケーションで使用されるだけなので、これらのサーバーを起動する必要はありません。
これらのサーバーを起動しないためには、再コンパイルする前に、ubbconfigファイルの対応する行をコメントアウトします。
注意:
次のものをサポートするには、TMQUEUEがARTCNXより前に起動される必要があります。
リスト3-3 ubbconfig初期サーバー構成例
*SERVERS
ARTTCPL SRVGRP=TCP00
SRVID=101
CLOPT="-o /home2/work9/demo/Logs/TUX/sysout/stdout_tcp -e /home2/work9/demo/Logs/TUX/sysout/stderr_tcp -- -M 4 -m 1 -L //deimos:2994 -n //deimos:2992"
 
ARTADM SRVGRP=ADM00
SRVID=3000
SEQUENCE=1
MIN=1 MAX=1
CLOPT="-o /home2/work9/trf/Logs/TUX/sysout/stdout_adm -e /home2/work9/trf/Logs/TUX/sysout/stderr_adm -r --"
 
ARTCNX SRVGRP=GRP01
SRVID=15
CONV=Y
MIN=1 MAX=1 RQADDR=QCNX015 REPLYQ=Y
CLOPT="-o /home2/work9/demo/Logs/TUX/sysout/stdout_cnx -e /home2/work9/demo/Logs/TUX/sysout/stderr_cnx -r --"
 
 
説明:
*SERVERS
サーバー定義を示すTuxedo ubbconfigキーワードです。
ARTTCPLサーバーの場合:
SRVGRP
ARTTCPLが属するTuxedoグループ名です。
SRVID
ARTTCPL Tuxedoサーバーの識別子です。
CLOPT
パラメータを含むサーバーに渡される引用符付きテキスト文字列です。
-o
ファイルがサーバーの標準出力メッセージのために使用されることを示します。
-e
ファイルがサーバーのエラー出力メッセージのために使用されることを示します。
-M 4
TCPLハンドラ・プロセス数の最大値が4であることを示します。
-m 1
TCPLハンドラ・プロセス数の最小値が1であることを示します。
-L //deimos:2994
TCPLとTCPHによって独自の通信に使用される内部URLアドレスを示します。
-n //deimos:2992
TN3270ターミナルがTCPLに接続するURLアドレスを示します。
ARTADMサーバーの場合:
SRVGRP
ARTADMが属するOracle Tuxedoグループ名です。
SRVID
ARTADMのTuxedoサーバーの識別子です。
SEQUENCE=1
この行は必須です。このサーバーを最初に起動させる必要があることを示します。
MIN=1およびMAX=1
このサーバーのインスタンスは1つのみ実行可能であることを示します。
CLOPT
パラメータを含むサーバーに渡される引用符付きテキスト文字列です。
-o
ファイルがサーバーの標準出力メッセージのために使用されることを示します。
-e
ファイルがサーバーのエラー出力メッセージのために使用されることを示します。
-r
統計レポートを作成するために使用されるTuxedoパラメータです。
ARTCNXサーバーの場合:
SRVGRP
ARTCNXが属するTuxedoグループ名です。
SRVID
ARTCNXのTuxedoサーバーの識別子です。
CONV=Y
このサーバーが対話モードで動作していることを示します。
MIN=1およびMAX=1
このサーバーのインスタンスは1つのみ実行可能であることを示します。
REPLYQ=Y
このサーバーが応答することを示します。
RQADDR=QCNX015
レスポンスに使用されるTuxedoキューの名前。
CLOPT
パラメータを含むサーバーに渡される引用符付きテキスト文字列です。
-o
ファイルがサーバーの標準出力メッセージのために使用されることを示します。
-e
ファイルがサーバーのエラー出力メッセージのために使用されることを示します。
-r
統計レポートを作成するために使用されるTuxedoパラメータです。
必須サーバーのグループ
Tuxedoサーバーを起動するには、ubbconfigファイルで事前に定義されたTuxedoサーバー・グループで定義されている必要があります。ARTTCPLおよびARTCNXサーバーが必須であるため、ubbconfigファイルでグループが定義され、存在し、コメントアウトされていないことを確認します。
この例では、ARTTCPLはTuxedoサーバー・グループTCP00 (SRVGRP=TCP00)に属しており、ARTCNXはサーバー・グループ(SRVGRP=GRP01)に属しています。このため、ubbconfigファイルには、次の例におけるこれら2つのサーバー・グループの定義が含まれます。
リスト3-4 サーバー・グループの定義
*GROUPS
DEFAULT: LMID=KIXR
# Applicative groups
TCP00 LMID=KIXR
GRPNO=1
TMSCOUNT=2
 
ADM00 GRPNO=5
GRP01
GRPNO=11
ENVFILE="/home2/work9/demo/config/tux/envfile"
 
説明::
*GROUPS
サーバー・グループの定義を示すTuxedo ubbconfigキーワード。
LMID=
CICSの名前。
GRPNO=
Tuxedoグループ。
TMSCOUNT=
Tuxedoトランザクション・マネージャ・サービスの数
ENVFILE
Tuxedo envfileのパス。
オプションのサーバー・グループ
これらのグループは、オプションのサーバーを含めるために使用されます。最初のグループは、Tuxedoサーバーのサーバー・グループによって使用されます(CICSアプリケーションによって使用されるARTSTRNARTSTR1ARTATRNARTATR1ARTTSQ)。第2のものは、TSキュー管理のためだけに使用されます。
CICSランタイム・リソース構成ファイル
CICS Runtimeが動作するためには、たとえ空であっても、次のファイルがすべて${KIXCONFIG}パスに存在する必要があります。
必須の移入済ファイル
1.
typeterms.desc構成ファイル
TCPサーバーで使用されるこのファイルは、3270ターミナルまたはエミュレータで使用される、様々な種類のターミナルを記述しています。
リスト3-5 typeterm記述例
[typeterm]
name=IBM-3279-5E
color=YES
defscreencolumn=80
defscreenrow=24
description="IBM 327x family terminal"
hilight=YES
logonmsg=YES
outline=NO
swastatus=ENABLED
uctran=NO
userarealen=0
 
ここでは、次のとおりです
[typeterm]
ターミナル・タイプを定義するキーワード。
name=
ターミナルのタイプ。
color=YES
ターミナルが拡張カラー属性を使用するかどうかを示します。
defscreencolumn= 80
ターミナルの列数。
defscreenrow=24
ターミナルの行数
description="…"
ターミナルについてのコメント。
hilight=YES
このターミナルがハイライト機能をサポートすることを示します。
logonmsg=YES
ログオン時に、ターミナル上で「Good Morning」(CSGM)トランザクションが自動的に起動されることを示します。
outline=NO
このターミナルがフィールドの外枠表示をサポートしないことを示します。
swastatus=ENABLED
システムがこのターミナル・タイプを使用できることを示します。
uctran=NO
小文字のアルファベットが大文字に変換されないことを示します
userarealen=0
ターミナル制御表ユーザー領域(TCTUA)の、ターミナル用の領域サイズ。
2.
mapsets.desc構成ファイル
CSGMトランザクションを開始して、「Good Morning」画面を表示するためには、少なくとも次の定義がこのファイルに含まれている必要があります。
リスト3-6 mapsets.descの例
[mapset]
name=ABANNER
filename=<KIXDIR>/sysmap/abanner.mpdef
 
説明:
name=
プログラム内部で、EXEC CICS SEND/RECEIVE MAP(マップ名)MAPSET(マップセット名)…END-EXEC文で使用されている論理マップセット名です。
filename=
CICS z/OS BMS形式でコーディングされたマップセット・ファイル・ソースのコンパイルにより作成されたバイナリ・ファイルがある物理パスです。
注意:
ABANNERシステム・マップセットの特定の事例では、ファイル名は${KIXDIR}ディレクトリ配下にあります。カッコ内のテキスト<KIXDIR>を、UNIXの~/.profileシステム・ファイルの${KIXDIR}変数の値で置換する必要があります。
この例では、結果は次のようになります。
リスト3-7 ${TUXDIR}を代入したmapsets.descの例
[mapset]
name=ABANNER
filename=/product/art11gR1/Cics_RT/sysmap/abanner.mpdef
 
オプションの初期移入済ファイル
次のファイルはすべて、最初は空のままにしておくことができます。
これらのファイルの内容と使用方法は、後で説明します。
注意:
これらのファイルを空のままにしておくと、TuxedoがCICSランタイム・サーバーを起動したときに、ARTSTRN、ARTSTR1、ARTATRNおよびARTATR1サーバーのブート・メッセージの後、なんらかのエラー・メッセージ「CMDTUX_CAT:1685: エラー: アプリケーションの初期化が失敗しました」が表示されることがありますが、これは、CICS Runtimeがそれを異常とみなしていることを示しています。
これらのメッセージを表示するサーバーの実数とタイプは、最初にubbconfigファイルによって起動されたサーバーによって異なります。
この場合、関係するサーバーは、マウントされません。
これらのエラー・メッセージはさしあたり無視され、初期設定には影響がありません。
注意:
初期設定構成の検証
Tuxedo tmadmin psrコマンドの使用
すべてのファイルが変更され(て、ubbconfig用にコンパイルされ)た場合、変更を有効にするには、Tuxedoを停止して、再起動します。
最初に、Tuxedo CICS Runtime Tuxedoサーバーの起動メッセージを目視し、TuxedoとOracleによって個別に正しく受け入れられたことを確認します。
この最初のチェックが済んだら、Tuxedo tmadmin psrコマンドを入力して、すべてのCICSランタイム・サーバーが実行され、そのメッセージがTuxedoのドキュメントとこのドキュメントに適合していることを確認します。
ARTADMARTTCPLおよびARTCNXの必須のサーバーのみを起動した場合、次のメッセージが表示されます。
リスト3-8 tmadmin psrコマンドの例
# tmadmin
...
 
> psr
Prog Name Queue Name Grp Name ID RqDone Load Done Current Service
--------- ---------- -------- -- ------ --------- ---------------
BBL 200933 KIXR 0 1 50 ( IDLE )
ARTTCPL 00001.00101 TCP00 101 0 0 ( IDLE )
ARTCNX QCNX015 GRP01 15 3 150 ( IDLE )
 
> quit
#
 
注意:
Tuxedo tmadmin pscコマンドの使用
必要なTuxedoサービスが実行されていることを、tmadmin pscコマンドを使用して確認することもできます。
これらのサービスは、CICS Runtimeにより管理されているシステム・トランザクションを含みます。
リスト3-9 tmadmin pscコマンドの例
# tmadmin
...
 
> psc
Service Name Routine Name Prog Name Grp Name ID Machine # Done Status
------------ ------------ --------- -------- -- ------- ------ ------
authfail cnxsvc ARTCNX GRP01 15 KIXR 0 AVAIL
CESF cnxsvc ARTCNX GRP01 15 KIXR 0 AVAIL
CESN cnxsvc ARTCNX GRP01 15 KIXR 0 AVAIL
CSGM cnxsvc ARTCNX GRP01 15 KIXR 2 AVAIL
disconnect cnxsvc ARTCNX GRP01 15 KIXR 0 AVAIL
connect cnxsvc ARTCNX GRP01 15 KIXR 1 AVAIL
delsess cnxsvc ARTCNX GRP01 15 KIXR 0 AVAIL
gensess cnxsvc ARTCNX GRP01 15 KIXR 1 AVAIL
update cnxsvc ARTCNX GRP01 15 KIXR 0 AVAIL
inquire cnxsvc ARTCNX GRP01 15 KIXR 0 AVAIL
 
> quit
#
 
注意:
CSGM CICS「Good Morning」トランザクションの使用
この最初の監査が行われると、3270ターミナルまたはエミュレータで、URLアドレス${HOSTNAME}:${TCPNETADDR}を使用して、CICS Runtimeにアクセスできます。
説明::
${HOSTNAME}
CICS Runtimeを実行しているUNIXマシンの名前を含んでいる、システムUNIX変数です。
${TCPNETADDR}
Oracle TuxedoのUBBCONFIGファイルでARTTCPサーバーの-nパラメータによって指定されるポート番号です。
次の画面は、コマンド# x3270 deimos:2992を実行した後に、UNIX X11 Windowに表示されます。
図3-1 コマンド#3270 deimos:2992を実行した後の画面
この画面が正常に表示された場合、CICS Runtimeを使用してCICSアプリケーションの実装を継続できます。

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