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はじめに

はじめに
概要
Oracle Tuxedo Application Rehosting Test Manager (ART Test Manager)はTuxedo製品ファミリの一部であり、メインフレームのリホスティング・プロジェクトのテストを自動化およびスピードアップすることを目的に設計されています。ART Test Managerは、移行プロセスの自動化およびスピードアップのためのツールを提供するTuxedo ART Workbenchを補足するものとして、リホスティング・プロジェクトのそれ以外の部分、つまり結果のテストに重点を置いています。その役割は、アプリケーションの機能テストまたはリグレッション・テストを顧客レベルでより効率的かつ迅速に、より少ないリソースで完了するためのツールを提供することです。このツールによって、ターゲット環境を本番に切り替えるときに、メインフレームのMIPSが不要になる、または削減されることで想定されるコストダウンのメリットが生まれ、結果的にプロジェクト全体のコストが削減され、価値創造をスピードアップできます。
テスト範囲を特定してテスト・プランを定義し、アプリケーションのテスト方法を決定してテスト・シナリオを実行すると、多数のリホスティング・プロジェクトで重大な問題が生じることが明らかになります。顧客がこれらの問題に対処できるようにするため、取得した情報を使用してテストを進めることができます。ソースを分析して生成される移行アーティファクトから取得される情報もあれば、メインフレーム実行のベースライン・テストのシーケンスと結果の取得によって得られる情報もあります。メインフレームでのアプリケーション実行は、テスト環境または本番環境のどちらであっても、リホスト対象のアプリケーションで予想される動作および結果に関する「真実のソース」になります。
テスト・シナリオをメインフレームから取得する主なメリットは、ターゲット環境での再現が可能になること、および取得した結果をターゲットで生成される結果と比較できることです。このような自動比較を活用すると、テスト結果の評価と潜在的な問題の特定をスピードアップできます。これによって、人間の関わる割合が大きい手動のテスト作業を自動化した工業化プロセスへと移行できます。テスト・プランおよび自動化されたテスト・ケースは、リグレッション・テストの実行中に機能の一部としても使用できます。これは、移行されたアプリケーションが実行中のメンテナンスおよび業務の進化に応じて変更されるためです。次のバージョンでは、ART TMでロード・テスト機能も提供され、合格した機能テスト・ケースに基づいてユーザー側で構成可能なストレス・テストを作成できるようになります。
ART Test Managerの概要
ART Test Managerは、テスト・プランの作成からテスト・ケースの実行、結果の取得および比較までのエンドツーエンドの機能を提供し、トラッキング・ダッシュボードを提供しています。ユーザー・インタラクションに関しては最新のWeb UIを提供しており、認証、アクセス制御、および監査機能が組み込まれています。Test Managerを使用すると、ユーザーは次のタスクを実行できます。
Tuxedo、関連するCICS、IMS、およびバッチ・ランタイム、移行されたアプリケーション・コンポーネント、および任意の依存関係(データ・ファイル、DBクライアント、MQクライアントなど)を使用してデプロイされた1つ以上のテスト環境へのアクセスの構成
CICSまたはIMSトランザクションのオンライン・テスト・ケース・ユニット、およびバッチ・ジョブのバッチ・テスト・ケースの検出、およびテスト・プラン作成のための関連サブセットの選択。実行順序の指定、およびベースライン・アーティファクト、構成依存関係、カスタムの前処理スクリプトと後処理スクリプトのアップロード。テスト・プランをフィルタリングして特定のテストのみに集中することも、拡張してユーザーによるカスタム・テスト・シナリオを追加することもできます。
構成した1つ以上のテスト環境でのテスト・プランの実行、およびメインフレーム・ベースラインとの自動比較のための結果の取得。組み込まれた結果比較メソッドには、オンラインのCICSトランザクションとIMSトランザクションのための3270画面およびデータ・ストリーム比較、およびバッチ・ジョブ向けのリターン・コード、ファイルおよびデータベース比較が含まれます。これらはカスタムの結果検証スクリプトで拡張することもできます。収集されたログおよびトレースを検証して異常を診断します。
追跡、監査、およびレポート。テスト・ケースおよびテスト・プランのステータス追跡、およびレポートとダッシュボードを生成します。監査レポートを検証し、プロジェクトごとにすべてのユーザー・アクティビティを確認します。
ART Test Managerを使用するオンライン・テスト
オンラインのCICSおよびIMSトランザクションは、CICS CSD構成ファイルまたはIMSシステム構成マクロで定義されます。これらのz/OSアーティファクトは、ART WorkbenchでART CICSまたはART IMSリソース構成ファイルに変換されます。ART TMは、これらのリソース・ファイルを使用して関連するトランザクションを特定し、適切なグループに分類します(CICS 3270、CICS DPL、IMS MPP、IMS BMP)。分類されたトランザクションは選択され、一定の順序で並べられ、テスト・プランに構成されます。オンラインのCICSおよびIMSトランザクションはインタラクティブに作業(ユーザーが操作するtn3270ターミナル・エミュレータ、またはマクロ/画面スクラッピングを使用)、または(JEEアプリケーション・サーバー、MQ、Webサービスなどからの)メッセージによって操作でき、ベースライン・テスト・シーケンスの取得およびART CICSまたはIMSに対する実行へと進められます。
インタラクティブなtn3270ベースのトランザクション向けに、ART TMはtn3270とターゲット・メインフレーム・システムの間のソケットにデプロイする3270ソケット・ゲートウェイを提供しています。ユーザーはメインフレームのテストCICSリージョンまたはIMSリージョンに対してテスト・シーケンスを実行でき、3270ゲートウェイはメインフレームとの間のデータ・ストリームを取得します。一連のトランザクションとユーザーの入力をベースライン・データ・ストリームとして取得すると、ART TMはTuxedo ARTのCICSまたはIMSリージョンに対する入力を再現でき、ARTのCICSまたはIMSサーバーからの出力を、メインフレームのCICSリージョンまたはIMSリージョンから取得した出力と比較できます。
3270データ・ストリームの応答に不整合がある場合はフラグが設定され、ユーザーがその不整合を(メインフレームのテストとTuxedo ARTのテストの時間差などを基準にして)分析し、テスト実行全体を成功とするかどうかを決定するにあたって、その不整合が受入れ可能かどうかを判断します。
インタラクティブでないCICSまたはIMSトランザクションに対しては、ART TMはCICS DPLプログラム用にDPLクライアント、IMSバッチ・プログラム用に組込みのIMS BMPドライバをサポートしています。
また、ユーザーは拡張可能な結果検証フレームワークを使用して、これらのテストの検証にカスタムの比較タスクを追加できます。
ART Test Managerを使用するバッチ・テスト
通常、顧客の環境では、バッチ・ジョブは主にスケジューラによって実行されます。スケジューラは前のジョブやその他のイベントの結果に基づき、各シナリオのジョブの順序を決定します。Tuxedoのバッチ・ランタイムでは、ARTバッチでのジョブの実行、制御、および問合せを行うコマンド行ツールを提供しています。このツールは通常、バッチ・スケジューラとの統合に使用され、ローカル・エージェントを介する場合もあります。同じツールのART TMでのバージョンは、スケジューラから送信されたジョブの順序を記録し、この順序に基づいてテスト計画を作成します。オンラインのテスト・プランと同様に、これらのテスト・プランにもデータおよび依存関係、カスタム検証、および実行前/実行後スクリプトに関する注釈を付けられ、アドホック・ジョブ向けの追加テスト・ケースで拡張できます。
テスト・プランが作成され、実行の準備が整うと、ART TMはARTバッチ・ランタイムでジョブを実行でき、その後メインフレームにジョブを送信できます(z/OSテスト環境へのFTP接続を使用)。ジョブが完了すると、結果比較にはリターン・コード、ファイルおよびDBの比較が含まれ、カスタム・ユーザー・スクリプトを含むように任意に拡張することもできます。
アーキテクチャ
ART Test Mangerの上位レベル・アーキテクチャを次のダイアグラムに示します。
ART Test ManagerはWebサーバーで実行されるため、エンド・ユーザーはWebブラウザを介してアクセスできます。ART Test Mangerは複数のテスト・マシン上でテストを実行できます。
用語
 
表1‑1 用語
UIフレームワーク
ART Test Mangerのユーザー・インタフェース(UI)は主要な3つのパネルで構成されています。
右上隅のドロップダウン・メニューを使用して、追加のユーザー管理(ユーザーIDの下のドロップダウン・メニュー)およびその他の一般的な機能(メニューの下のドロップダウン・メニュー: ソフトウェアのプロビジョニング、システム・モニタリング、ダッシュボード、および監査)にアクセスします。
 

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