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Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionメタデータ・リポジトリ作成者ガイド
12c (12.2.1.1.0)
E77227-02
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完全なマージのマージ・ルールと動作

完全なマージに適用されるルールについて説明します。

完全なマージの場合、次のルールが適用されます。

リポジトリ・マージ・ウィザードではユーザー入力が必要なデシジョンのすべてが「マージ戦略の定義」画面に表示されます。

論理表ソースおよびその他のオブジェクトの特殊なマージ・アルゴリズム

オブジェクトのタイプおよび状況によって適用される特殊なルールがあり、それらはオブジェクトのマージ方法およびプロンプトが必要な状況を制御する一般的なルールに追加されるものです。

この項では、次の項目について説明します。

ベクター・マージ・アルゴリズムを使用するオブジェクトのマージ

レベル、アプリケーション・ロール、オブジェクト・パーミッションなどのオブジェクトでは、オブジェクト間の親/子関係を決定するベクター・マージ・アルゴリズムが使用されます。

ベクター・マージ・アルゴリズムを使用するオブジェクトには次のものがあります。

  • ディメンションのレベル、論理列に関連付けられたレベル、および子レベル

  • 論理表示フォルダのディメンションと表

  • 論理表ソースの集計内容

  • アプリケーション・ロールのメンバーシップ、パーミッションなどのセキュリティ・オブジェクト

  • 初期化ブロックのLDAPサーバー設定および実行優先度

マージ・プロセスでは、Oracle BIサーバーによって各リポジトリのオブジェクト関係の初期状態が判別されます。たとえば、次のリストはオブジェクト・パーミッションで想定される状況、およびユーザーとアプリケーション・ロールにどのように関連するかを示しています。

  • M - 欠落。アプリケーション・ロール、ユーザーまたはオブジェクトがリポジトリに存在していません。

  • D - デフォルト。パーミッションは親アプリケーション・ロールから継承されています。

  • Y - あり。パーミッションがユーザーまたはアプリケーション・ロールに明示的に付与されています。

  • N - なし。ユーザーまたはアプリケーション・ロールに対して、パーミッションが明示的に否認されています。

リポジトリ・マージ・ウィザードでは、各リポジトリのオブジェクト・パーミッション関係の状況に応じて、マージ対象のリポジトリに適切な関係が決定されます。次に例を示します。

  • 元のリポジトリで結果がY、変更済のリポジトリの結果がN、現行リポジトリの結果がMの場合、リポジトリ・マージ・ウィザードによって、マージするリポジトリにはNの結果が決定されます。

  • 元のリポジトリで結果がN、変更済のリポジトリの結果がY、現行リポジトリの結果がMの場合、リポジトリ・マージ・ウィザードによって、マージするリポジトリにはYの結果が決定されます。

例C-1は、アプリケーション・ロール・オブジェクトのオブジェクト関係がどのようにマージされるかの詳細を説明しています。

例C-1 ベクター・マージの例: アプリケーション・ロールのマージ

次のリストは、ユーザーおよびアプリケーション・ロール関係で発生しうる様々な状況を示しています。

  • M - 欠落。アプリケーション・ロールまたはユーザーがリポジトリに存在していません。

  • Y - あり。アプリケーション・ロールまたはユーザーがアプリケーション・ロールに属しています。

  • N - なし。アプリケーション・ロールまたはユーザーはアプリケーション・ロールのメンバーではありません。

この表は、マージするリポジトリ内のオブジェクトの各種の関係のマージ結果を示しています。

元のリポジトリ 変更済のリポジトリ 現行リポジトリ 結果

M

M

M

N

この状況は、元のリポジトリにアプリケーション・ロールもユーザーも存在せず、変更済リポジトリにユーザーが存在し、現行リポジトリにアプリケーション・ロールが存在する場合に発生する可能性があります。この場合、メンバーシップはないとみなされます。

M

M

Y

Y

M

M

N

N

M

Y

M

Y

M

この場合のオリジナルにMが含まれていると、ユーザーまたはアプリケーション・ロールのいずれかが存在しないことを意味します。欠落したオブジェクトが双方で追加されても、同じオブジェクトであると見なすことはできません

Y

Y

Y

M

Y

N

Y

M

N

M

N

M

N

Y

Y

M

N

N

N

Y

M

M

Y

Y

M

Y

Y

Y

M

N

N

Y

Y

M

Y

Y

Y

Y

Y

Y

Y

N

N

Y

N

M

N

Y

N

Y

N

Y

N

N

N

N

M

M

N

N

M

Y

Y

N

M

N

N

N

Y

M

Y

N

Y

Y

Y

N

Y

N

Y

N

N

M

N

N

N

Y

Y

N

N

N

N

論理表ソースのマージ

論理表ソース・オブジェクトにおける列のマッピングのマージ方法は、特殊なルールによって制御されます。各列のマッピングが個別にマージされます。

変更済または現行のリポジトリでマッピングが変更されている場合、各列で変更が保持されます。両方のリポジトリでマッピングが変更されている場合、Oracle BIサーバーはマッピングの自動マージを試行します。

列の削除はマッピングの変更とはみなされないため注意が必要です。特定の列が変更後のリポジトリに存在しない場合、現行リポジトリのマッピングが使用されます。

集計内容に相違がある場合、レベル別で指定された集計内容が優先されます。つまり、集計内容がレベル別のリポジトリと、列別のリポジトリがある場合、レベル別の集計内容が保持されます。

セキュリティ・フィルタのマージ

1つのリポジトリでのみアプリケーション・ロールのフィルタが変更されている場合はその変更が保持されます。両方のリポジトリでフィルタが変更されている場合、Oracle BIサーバーではフィルタの自動マージが試行されます。

特定のフィルタ(プレゼンテーション列など)のマージに必要なオブジェクトがあり、そのオブジェクトが存在していない場合、当該のフィルタは無効と見なされマージ後のリポジトリには表示されません。このルールは変数には適用されません。特定のフィルタのマージに必要な変数がある場合、Oracle BIサーバーではマージ後のリポジトリでその変数が保持されることが保証されます。

プレゼンテーション列に対して「論理列の使用」プロパティを推論する

プレゼンテーション列には、「名前」プロパティと「論理列名の使用」プロパティの両方があります。

状況によってはこれらのプロパティが競合することがあります。たとえば、この表はこの状況が発生する可能性があるシナリオを示しています。

リポジトリ プレゼンテーション列名 論理列名 論理列名の使用

Sales

GroupSales

いいえ

現行

Sales

Sales

はい

変更済

GroupSales

GroupSales

はい

この表の通常のオブジェクト・マージ・ルールが適用された場合、マージ後のリポジトリには、GroupSalesというプレゼンテーション列とSalesという論理列が存在し、「論理列名の使用」プロパティが「はい」に設定されます。しかし、プレゼンテーション列の名前が論理列の名前と異なるため、この結果は不適切になります。

このような状況を回避するため、Oracle BIサーバーは、「論理列名の使用」プロパティの値を推論します。この論理を使用することで、この表に例示したマージ後のリポジトリでは、プレゼンテーション列はGroupSales、論理列がSalesとなり、「論理列名の使用」プロパティは「いいえ」に設定されます。

別名のマージ

完全マージ・プロセスでは、ユーザーに別名に関するデシジョンのプロンプトは表示されません。

現行リポジトリおよび変更済リポジトリの別名は自動的にマージされます。

ただし、マルチユーザー開発マージでは、現行リポジトリの別名を保持するか、変更済リポジトリの別名を保持するか、両方のリポジトリの別名を保持するため、候補をマージするかの選択が求められます。

また、次の点にも注意してください。

  • マージ・プロセスの結果オブジェクト名が変更された場合、以前の名前は別名として追加されます。

  • プレゼンテーション・オブジェクトに関連付けられていない別名は削除されます。