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Oracle® Fusion Middleware相互運用性および互換性の理解
12c (12.2.1.1)
E77256-01
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1 相互運用性および互換性の理解

この章では、相互運用性と互換性の概要を紹介し、Oracle Fusion Middlewareコンポーネントのアップグレード時、パッチ・セット適用時、またはOracle Fusion Middlewareの新規コンポーネントのインストール時に、互換性や相互運用性について考慮が必要となる領域を特定する方法について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

1.1 互換性の概要

このガイドでは、互換性とは、バージョン(またはリリース)が異なる2つのOracle Fusion Middlewareコンポーネントの連携(相互運用性)として定義されています。Oracle Fusion Middlewareのアップグレード時またはOracle Fusion Middlewareパッチの適用時に、互換性について考慮が必要となる場合があります。

たとえば、アップグレード時には、更新が必要となるコンポーネントを把握し、既存の統合ポイントが引き続き機能するようにする必要があります。パッチの適用時には、新しい製品が同一リリースの他の製品と機能するかどうか、あるいは以前のバージョンで引き続き機能するかどうかを把握する必要があります。

互換性は次のように細かく分類できます。

1.1.1 Oracle Fusion Middlewareソフトウェア・スイート間の互換性

Oracle Fusion Middleware 11g環境をOracle Fusion Middleware 12cにアップグレードする場合には、環境内の領域を一度に1つずつ更新する可能性が高いと考えられます。

たとえば、新機能をサポートするために、1つの部門の中間層を12cにアップグレードすることがあります。同時に、会社全体のOracle Identity Managementコンポーネントについては、Oracle Fusion Middleware 11gのままにしておく場合もあります。

1.1.2 Oracle Fusion Middlewareソフトウェア・スイート内の互換性

12cにアップグレードする場合には、特定のソフトウェア・スイート内で発生する可能性のある互換性の問題についても検討する必要があります。

ほとんどの場合、これらの問題は一時的なものであり、アップグレード・プロセス中にのみ発生します。通常は、ソフトウェア・スイートをアップグレードする手順を完了すると、問題は解決されます。ただし、アップグレード計画に影響する可能性があるため、依然としてこれらの問題には注意する必要があります。

1.2 相互運用性の概要

このガイドでは、相互運用性とは、サポートされるOracle Fusion Middleware構成で、同一バージョン(またはリリース)の2つのOracle Fusion Middleware製品またはコンポーネントが連携できる(相互運用できる)可能性として定義されています。具体的に言うと、相互運用性は、リリース番号またはバージョン番号の最初の4桁が同じ場合に該当します。たとえば、Oracle Fusion Middleware 12c (12.2.1.1)コンポーネントは、通常、他の12c (12.2.1.1)コンポーネントと相互運用性があります。

場合によっては、Oracle Fusion Middlewareソフトウェア・スイート間で相互運用性の問題が生じることがあります。たとえば、Oracle Fusion Middleware 11g製品間(SOAとWebCenterなど)でドメインが共存する場合に問題が生じます。

1.3 サポートされるデータベースとの相互運用性および互換性について

Oracle Fusion Middlewareの各リリースは、特定のデータベース・バージョンに対して動作が保証されています。具体的には、Oracle Fusion Middlewareコンポーネントのスキーマをホストする際に、これらの動作が保証されているデータベースを使用できます。

場合によっては、特定のリリースにアップグレードするには、まずデータベースをサポートされるバージョンにアップグレードする必要があります。Oracle Fusion Middlewareコンポーネントのアップグレードの詳細は、『Oracle Fusion Middlewareのアップグレードのプランニング』を参照してください。

Oracle Fusion Middlewareの各リリースでサポートされるデータベースの最新情報は、Oracle Technology NetworkでOracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成を参照してください。

サポートされる構成のページで、ご使用のOracle Fusion Middlewareの特定のリリース、およびアップグレード対象のOracle Fusion Middlewareのリリースを確認できます。Oracle Fusion Middlewareの各リリースには、対応するスプレッドシートが用意されており、動作が保証されている構成(サポートされているデータベースなど)がリストされています。

1.4 互換性および相互運用性について考えられる問題の特定

次の項では、このガイド、Oracle Technology Network (OTN)およびその他のOracleドキュメントに記載されている情報を使用して、互換性および相互運用性に関する一般的な問題を特定し、解決する方法を説明します。

1.4.1 開始する前に

新しい製品をインストールする、または既存製品を(新しいメジャー・バージョンまたはパッチ・セットへのいずれかに)アップグレードする際に、相互運用性および互換性に関する問題が生じる場合があります。

新しい製品コンポーネントをインストールする段階では、相互運用性に関する考慮事項は、その新しい製品を同一リリースの他のOracle Fusion Middlewareコンポーネントと統合する機能に関連しています。

互換性に関する考慮事項は、インストール済であると想定される以前のバージョンのOracle Fusion Middleware製品と、新しい製品を統合する機能に関連しています。製品を更新する際の課題は、たいていは互換性に関するものですが、既存の統合ポイントが引き続き機能するように、他のコンポーネントの更新を考慮する必要が生じる場合があります。

表1-1に示すタスクのリストは、Oracle Fusion Middlewareのアップグレードおよびインストール戦略の計画に必要な情報を収集する際に役立ちます。

表1-1 相互運用性に関する考慮事項を特定および解決できるようにするためのタスク

タスク 説明 ドキュメント

タスク1 - インストール済コンポーネントおよびサポート・インフラストラクチャに関するリリース情報とバージョン情報を収集します。

Oracle Fusion Middlewareコンポーネントの相互運用性および互換性について考えられる問題を特定するには、インストール済またはインストールやアップグレードを計画している各コンポーネントあるいは一連のコンポーネントについて、リリース情報とバージョン情報を収集する必要があります。

また、オペレーティング・システム、データベース、JDK、およびサード・パーティ製品のバージョン情報とリリース情報も確認する必要があります。

コンポーネントおよびインフラストラクチャに関する情報の収集を参照

タスク2 - アップグレードを計画する際には、アップグレード戦略を作成して、Oracle Fusion Middleware 12cへのアップグレード時にサポートされる開始点を理解する必要があります。

アップグレード開始点とは、アップグレードするために実行している必要があるOracle Fusion Middlewareの特定のバージョンです。サポートされるアップグレード開始点のバージョンを実行していない場合は、以前のリリースのドキュメントを使用して、まずサポートされる開始点にアップグレードする必要があります。

『Oracle Fusion Middlewareのアップグレードのプランニング』には、Oracle Fusion Middlewareアップグレード計画の作成方法と実装方法の詳細情報が記載されています。

また、各Oracle Fusion Middleware製品には、詳細なアップグレード・プロセスが記述されたアップグレード・ガイドが用意されており、アップグレード後に完了する必要のある構成タスクが明確にされています。

アップグレードに適切なドキュメントを確認する場合の詳細は、Oracle Fusion Middlewareドキュメント・ライブラリの使用方法を参照してください。

タスク3 - パッチを適用する際には、使用しているコンポーネントおよびサポート・インフラストラクチャのパッチ要件を理解しておく必要があります。

パッチの適用では、小さなファイルの集まりを既存のシステムにコピーする処理を行います。通常、パッチはOracle製品の特定のバージョンに関連付けられており、製品の1つのマイナー・バージョンから同じ製品のより新しいバージョンへの(たとえば、12c (12.1.2)から12c (12.1.3)などへの)更新が実行されます。

『Opatchによるパッチ適用』では、既存のOracle Fusion Middleware環境にパッチを適用する場合に使用可能なツールについて説明しています。

最新のパッチおよびパッチ・セットについては、Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様のドキュメントに記載されています。

タスク4 - Oracle Fusion Middlewareの新規コンポーネントをインストールする際には、インストール要件およびサポートされる開始点について理解しておく必要があります。

各Fusion Middleware製品には、前提条件、サポートされる開始点、およびインストール後の構成手順が記述されたインストレーション・ガイドが用意されています。相互運用性および互換性に関する問題を回避するには、インストール手順に目を通して、それに従うことが重要です。

無料のインストール・ドキュメント、リリース・ノート、ホワイト・ペーパーまたはその他の資料を閲覧およびダウンロードするには、次のURLにアクセスしてください。

http://docs.oracle.com/

1.4.2 Oracle動作保証マトリックスの使用方法

Oracle Fusion Middleware動作保証マトリックスには、サポートされるシステム構成、データベース・バージョン、およびサードパーティ製品など、互換性および相互運用性に関する重要な情報が記述されています。これらのドキュメントを参照して、現在の環境がアップグレードまたはパッチ・セットをサポートしているかどうかを確認してください。

注意:

このガイドの情報は、Oracle Fusion Middleware動作保証マトリックスに記述されている情報を補完するためのものです。このガイドの情報と動作保証マトリックスの情報に相違がある場合は、動作保証マトリックスの情報を適切なバージョンとしてください。動作保証マトリックスの方が頻繁に更新されています。

表1-2 Oracle Fusion Middleware動作保証マトリックス

ドキュメント名 説明

Oracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成

Oracle Fusion Middlewareの各製品領域は、サポートされるインストール・タイプ、プラットフォーム、オペレーティング・システム、データベース、JDKおよびサード・パーティ製品について記載された動作保証のドキュメントをメンテナンスしています。

「Oracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成」ページで、確認する製品領域を見つけて、適切な動作保証ドキュメントを選択してください。

Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様のドキュメント

Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様のドキュメントには、ハードウェアとソフトウェアの要件、ディスク領域とメモリーの最小要件、必要なシステム・ライブラリ、パッケージまたはパッチなどの情報が記載されています。

Oracle JDeveloperおよびOracle Application Development Frameworkの動作保証

Oracle JDeveloperおよびOracle Application Development Framework (Oracle ADF)の動作保証を検索して、Oracle JDeveloperおよびOracle ADFで動作するようにサポートされている様々なサード・パーティ製品およびOracle製品を確認します。

Oracle ADFは、Oracle Fusion Middlewareに必要な製品よりも上位の製品でサポートまたは動作保証される場合があります。このドキュメントは、そのような場合の参照先として役立ちます。

1.4.3 このガイドの互換性マトリックスの理解

相互運用性マトリックスおよび互換性マトリックスは、潜在的な問題を特定して追加情報に関連付けるために、このガイド全体を通じて使用します。このガイドの相互運用性マトリックスおよび互換性マトリックスを使用する場合、次のいずれかの方法でサポート・レベルを定義できます。

表1-3 このガイドのマトリックスの使用方法

ステータス 説明

互換性または相互運用性がある

緑のチェックマークのアイコン。

関連するコンポーネント間の統合が、適切な構成で機能することが期待できます。ただし、互換性は動作を保証するものではありませんのでご注意ください。動作保証については、表1-2に記載されている動作保証マトリックスで確認できます。

互換性または相互運用性がない

赤い「X」アイコン。

関連するコンポーネント間の統合が機能することは期待できません。

特定のガイドまたは項への参照

Oracle Fusion Middleware 12cのアップグレード時、パッチ適用時またはインストール時に確認する必要のある互換性要件や考慮事項について、個々のガイドが詳細情報を提供する場合に提供されます。

N/A

該当なし。

1.4.4 コンポーネントおよびインフラストラクチャに関する情報の収集

Oracle Fusion Middlewareのリリース情報とバージョン情報は、システムにインストールされている各コンポーネントで使用できます。この情報は、相互運用性および互換性に関する問題を効率的に特定し、解決するために必要となります。Oracle動作保証マトリックスの使用方法に記載されている動作保証マトリックスには、Oracle Fusion Middlewareコンポーネントの動作保証要件およびシステム要件に関する情報が記述されています。

この項では、次の情報について説明します。

1.4.4.1 Oracle Fusion Middlewareの製品リリース情報の確認

Oracle Fusion Middlewareコンポーネントの個別のリリース情報やバージョン情報を確認するには、Oracle Universal Installer (OUI)を使用して、インストールされている製品の情報を表示します。詳細は、Oracle Fusion Middlewareの管理のリリース番号の表示を参照してください。

注意:

バージョン情報およびリリース情報は、OracleホームのoraInventory/logsディレクトリにある、インストール・ログ・ファイルで確認することもできます。

1.4.4.2 Oracle Databaseのリリース情報の確認

Oracle Databaseのリリース情報を確認する手順は次のとおりです。

Oracleホーム・ディレクトリから、次のようにSQL*Plusを起動します。

sqlplus /nolog
SQL> CONNECT / AS SYSDBA
SQL> select * from v$version;

このコマンドにより、リリース情報が次のように表示されます。

Oracle Database 11g Enterprise Edition Release 11.2.0.4.0 - 64bit Production
PL/SQL Release 11.2.0.4.0 - Production
CORE    11.2.0.4.0      Production
TNS for Linux: Version 11.2.0.4.0 - Production
NLSRTL Version 11.2.0.4.0 - Production

1.4.4.3 Microsoft SQL Serverのバージョン情報の確認

Microsoft SQLデータベースのリリース情報を確認する手順は次のとおりです。

コマンド行から、次のように入力します。

exec xp_msver ProductVersion

このコマンドにより、製品バージョン情報が次のように表示されます。

ProductVersion 589824 9.00.1399.06

1.4.4.4 DB2のバージョン情報の確認

DB2のリリース情報を確認する手順は次のとおりです。

  • Windowsオペレーティング・システムのコマンド行で、次の場所に移動します。

    \Program Files\IBM\SQLLIB\BIN>db2level
    

    このコマンドにより、データベース・バージョンおよび適用可能な修正パック情報が次のように表示されます。

    DB21085I Instance "DB2? uses "32? bits and DB2 code release "SQL09011? with level identifier "01020107?.
    Informational tokens are "DB2 v9.1.100.129?, "s061104?, "WR21374?, and Fix Pack "1?.
    Product is installed at "D:\PROGRA~1\IBM\SQLLIB" with DB2 Copy Name "DB2COPY1?.
    
  • UNIXオペレーティング・システムのコマンド行で、次のように入力します。

    db2ls
    

    このコマンドにより、インストールされているDB2製品のインストール・パス、バージョン・レベル、修正パック情報およびインストール日付が表示されます。このコマンドの出力は、デフォルトでコンソールに出力されます。

    Install Path        Level   Fix Pack    Install Number     Install Date
    --------------------------------------------------------------------------
    /opt/ibm/db2/V9.1   9.1.0.0        0          1    Fri Sep 3 10:26:33 2010 EDT  

1.4.4.5 JDKのバージョン情報の確認

多くのFusion Middlewareコンポーネントは、サポートされるJDKがインストールされ、構成されているかどうかに依存します。現在サポートされているJDKのバージョン情報は、Oracle動作保証マトリックスの使用方法で説明されているように、Oracle Fusion Middlewareでサポートされる構成のマトリックスに記載されています。

現在のJDKバージョンを確認するには、java -versionコマンドを実行して現在使用しているJavaのバージョンを表示します。次に例を示します。

> java -version
java version "1.8.0_91"
Java(TM) SE Runtime Environment (build 1.8.0_91-b14)
Java HotSpot(TM) 64-Bit Server VM (build 25.91-b14, mixed mode)

複数のJavaがシステムにインストールされている場合、このJavaコマンドは、JAVA_HOMEシステム変数に指定されたインストールを使用することに注意してください。

UNIXシステムでは、多くの場合はwhichコマンドを使用してJavaソフトウェアのデフォルトの場所を確認できます。次に例を示します。

> which java
/usr/bin/java

1.4.5 リリース・ノートの使用方法

相互運用性および互換性に関する特定の問題を解決する際に必要なパッチ・セットの具体的な情報については、Oracle Fusion Middlewareのリリース・ノートを参照してください。これらの特定の問題は、アップグレード・プロセスまたはパッチ適用プロセス中に生じる可能性があります。各リリースのリリース・ノートは、Oracle Technology Network (OTN)で入手できます。特定のリリースのリリースノートについては、Oracle Fusion Middlewareのドキュメント・ページを参照し、該当するドキュメント・ライブラリを選択してください。

http://www.oracle.com/technetwork/middleware/fusion-middleware/documentation/index.htm

1.4.6 Oracle Fusion Middlewareドキュメント・ライブラリの使用方法

Oracle Fusion Middlewareドキュメント・ライブラリを使用すると、Oracle環境のアップグレード時やパッチ適用時に役立つ情報にアクセスできます。Oracle Fusion Middleware 12cドキュメントのコンポーネント固有の管理、インストレーションおよびアップグレードの各ガイドは、次の場所で参照できます。

http://www.oracle.com/technology/documentation/middleware.html

次の各ガイドには、Oracle Fusion Middleware環境でのインストール、パッチの適用およびアップグレードに関する情報が記載されています。

  • OPatchを使用したパッチ適用

  • Oracle Fusion Middlewareのアップグレードのプランニング

  • Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング