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Oracle® Fusion Middleware Opatchによるパッチ適用
12c (12.2.1.1)
E77308-01
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2 OPatchAutoを使用した環境へのパッチ適用

OPatchAutoは、インストールの一部としてOPatchユーティリティとともに自動的にインストールされます。これには、単一のホストまたは複数のホスト環境でパッチの適用およびロールバックを自動化するために使用できるコマンドが複数用意されています。

OPatchAutoを使用したパッチ適用の詳細は、次のトピックを参照してください。

2.1 OPatchAutoを使用したゼロ・ダウンタイム・パッチ適用について

複数ホスト・トポロジのパッチ適用の場合、パッチのダウンロード後に最初に行う手順の1つとして、そのパッチがゼロ・ダウンタイム(ZDT)パッチ適用に適しているかどうかを識別します。適している場合は、OPatchAutoを使用してパッチを適用する2つの方法のいずれかを使用できます。

2.1.1 ゼロ・ダウンタイム・パッチとは

ゼロ・ダウンタイム(ZDT)パッチ適用では、アプリケーションが要求に対するサービス提供を継続しながら、ドメイン全体にパッチをロールアウトできるようにするための、プロセスおよびメカニズムが提供されます。

ZDTパッチは、OPatchAutoを使用して適用できます。これは、1度に1つのノードに対して変更をロールアウトし、この変更が完了するまでは、ロード・バランサ(Oracle Traffic Director (OTD)など)によって、残りのノードに着信トラフィックがリダイレクトされるようにします。

パッチがZDTパッチ適用に適しているかどうかを識別するには、パッチのメタデータでパッチのuptimeオプション値を判別する方法をお薦めします。ZDTパッチを識別するには、「ゼロ・ダウンタイム・パッチの識別」を参照してください。

2.1.2 ゼロ・ダウンタイム・パッチの識別

ゼロ・ダウンタイム(ZDT)パッチは、パッチ・メタデータ内のパッチのuptimeオプションの値で識別できます。

パッチをダウンロードしたら、PATCH_HOME/etc/configディレクトリのpatchdeploy.xmlを開きます。ここでPATCH_HOMEは、パッチが含まれるパッチ・ディレクトリの場所です。

次の例に示すように、patch-uptime-optionの値がFMW_ROLLING_ORACLE_HOMEである場合、

<patch-uptime-option>FMW_ROLLING_ORACLE_HOME<patch-uptime-option>

または値がFMW_ROLLING_SESSIONである場合、

<patch-uptime-option>FMW_ROLLING_SESSION<patch-uptime-option>

パッチはZDTパッチ適用に適しています。

パッチのメタデータにFMW_ROLLING_ORACLE_HOMEまたはFMW_ROLLING_SESSIONがない場合、パッチがZDTパッチ適用に適していないこと、およびその結果ZDTパッチ・プランとの互換性がないことがわかります。パッチのuptimeオプションの値によって、パッチを適用するための適切なパッチ・プランを選択できます。パッチ・プランの選択の詳細は、「使用可能なパッチ・プランについて」を参照してください。

2.1.3 使用可能なパッチ・プランについて

パッチがZDTパッチ適用に適しているかどうかを識別したら、パッチを適用するために使用可能なパッチ・プランの特性と制限を確認し理解することが重要です。

パッチ・プランは、パッチをデプロイするために実行する手順の順序を説明します。プランを実行するには、コマンドラインで-planオプションを使用してプラン名を指定します。詳細は、『Oracle Opatchユーザーズ・ガイドfor Windows and UNIX』のパッチ・プランに関する項を参照してください。

Oracleホームで使用可能なプランを検出するには、opatchauto lsplansコマンドを使用します。次に、使用可能なプランをリストし説明する、このコマンドの出力例を示します。

cd ORACLE_HOME/OPatch
./opatchauto lsplans

Oracle OPatchAuto Version 13.9.0.0.0
Copyright (c) 2015, Oracle Corporation.  All rights reserved.

  OPatchAuto available patch plan information:

    Product Name: OPatchAuto Core
      Patch Plan Name: rolling (Default)
        Description: Process patch targets on a per-home basis and tries to minimize downtime.
      Patch Plan Name: parallel
        Description: Process patch targets in parallel and does not attempt to minimize downtime.

    Product Name: Oracle Fusion Middleware
      Patch Plan Name: wls-zdt-rollout
        Description: Performs full WLS ZDT rollout.
      Patch Plan Name: wls-push-image
        Description: Performs only image push portion of WLS ZDT rollout.

パッチがZDTパッチであるかどうかを識別(「ゼロ・ダウンタイム・パッチの識別」を参照)した後、プランを選択する場合は、次の情報を考慮します。

  • パッチがZDTパッチではない場合は、「applyコマンドを使用した複数のホストへの非ZDTパッチの適用」に示すように、parallelパッチ・プランを使用してパッチを適用します。

  • パッチがZDTパッチである場合は、rollingおよびwls-zdt-rolloutの2つのプランが使用可能です。

    • パッチがFMW_ROLLING_ORACLE_HOMEパッチである場合は、rollingオプションを使用します。このオプションは、すべてのパッチ適用操作をOPatchAutoが実行する、完全なOPatchAutoアプローチを使用します。Fusion Middlewareにはこの方法をお薦めします。

      このアプローチでは、イメージベースおよび非イメージベースの両方のパッチ適用を実行できます。また、このアプローチを使用して、いわゆる構成パッチ適用(またはドメイン上で実行されるパッチ適用操作)を実行することもできます。ただし、この方法には、サーバーが停止した場合にセッションを別のサーバーに移行するような、セッション管理機能がありません。

      rollingプランを使用したZDTパッチの適用の詳細は、「applyコマンドを使用した複数のホストへのZDTパッチの適用」を参照してください。

    • パッチがFMW_ROLLING_SESSIONパッチである場合は、wls-zdt-rolloutオプションを使用します。このオプションにもOPatchAutoを使用しますが、特定のライフサイクル操作はWLSTまたはWebLogic Server管理コンソールなどのWebLogic Serverコンポーネントに委任されます。これはWebLogic Serverにのみお薦めします。

      このアプローチでは、イメージ・ベースのパッチ適用のみがサポートされ、構成パッチ適用はサポートされません。ただし、インスタンス停止時のセッション移行はサポートされます。

      このドキュメントには、このオプションを使用したZDTパッチの適用手順は含まれていません。詳細は、『ゼロ・ダウンタイム・パッチ適用ワークフローの管理』のゼロ・ダウンタイム・パッチ適用の概要に関する項を参照してください。

2.2 OPatchAutoを使用するための準備

パッチを正常に適用するには、OPatchの最新バージョンの取得、My Oracle Supportからの必要なパッチの取得、および環境のバックアップなど、OPatchAutoの実行に備えて環境を準備するために完了する必要がある前提条件がいくつかあります。

環境の準備の詳細は、次の項を参照してください。

2.2.1 最新バージョンのOPatchとOPatchAutoの検索および取得

OPatchAutoを実行する前に、OracleホームでOPatchAutoを検索し、最新のバージョンであることを検証してください。最新バージョンのOPatchAutoが使用されている場合、最新バージョンのOPatchが使用されています。

詳細は、以下のトピックを参照してください。

2.2.1.1 Oracle Fusion MiddlewareのOracleホームでのOPatchAutoの検索および実行

OPatchAutoユーティリティは、Oracle Fusion Middleware製品をインストールした後、ORACLE_HOME/OPatchディレクトリで検索および実行できます。

OPatchAutoを実行するには、このディレクトリのopatchautoコマンドを実行するだけです。

たとえば、UNIXシステムでOPatchAutoの使用可能なコマンドのリストを表示するには、次のように入力します。

./opatchauto -help

2.2.1.2 Oracle Fusion Middleware 12cに含まれるOPatchAutoのバージョンの識別

Oracle Fusion Middleware 12c (12.2.1.1)には、OPatchAutoバージョン13.9.0.0.0が含まれます。このバージョンが使用されていることを検証するには、opatchauto versionコマンドを使用します。

一般に、Oracle Universal Installerソフトウェアのバージョンごとに利用可能なOPatchおよびOPatchAutoのバージョンがあります。

OPatchAutoのバージョンを識別するには、次の手順を実行します。

  1. ディレクトリを次のディレクトリに変更します。
    cd ORACLE_HOME/OPatch/
    
  2. 次のコマンドを実行します。
    ./opatchauto version
    

    次に例を示します。

    ./opatchauto version
    Oracle OPatchAuto Version 13.9.0.0.0
    Copyright (c) 2015, Oracle Corporation.  All rights reserved.
    
    1. OPatchAuto version 13.9.0.0.0

最新バージョンのOPatchAutoが使用されている場合、最新バージョンのOPatchが使用されています。最新のバージョンが使用されていない場合は、パッチ6880880を使用してOPatchをダウンロードできます。インストールに対して指定された最新のダウンロードを常に使用する必要があります。  Oracle Fusion Middleware 12c (12.2.1.1)の場合、バージョンおよびプラットフォームとしてOUI NextGen 13.9を選択し、「ダウンロード」をクリックしてOUI NextGen OPatch 13.9をダウンロードします。

2.2.2 インストールに必要なパッチの取得

インストールに対する最新のパッチをMy Oracle Supportで検索してダウンロードできます。

次の場所のMy Oracle Supportに登録してログインすることによって、使用しているOracle Fusion Middleware製品またはコンポーネントで利用可能な最新のパッチを確認できます。

http://support.oracle.com

My Oracle Supportにログインした後、Oracleソフトウェア・インストールに最も重要なパッチを迅速に検索できる様々なツールを提供する「パッチと更新版」タブをクリックします。

注意:

各パッチに含まれているREADMEファイルを確認することは重要です。READMEファイルには、パッチ適用の要件および手順に関する重要な情報が含まれています。

2.2.3 例で使用されるディレクトリ変数

このガイドの例では、OPatchAutoを実行するためのサンプル・コマンドを示します。これらのコマンド例では、主要なディレクトリの参照に変数を使用しています。

このガイドでは次のディレクトリ変数を使用しています。

  • ORACLE_HOME、Oracleホーム・ディレクトリの場所の参照に使用します。

  • PATCH_HOME、Oracleホームに適用するパッチが含まれるパッチ・ディレクトリの場所の参照に使用します。

  • DOMAIN_HOME、ドメイン・ホーム・ディレクトリの場所の参照に使用します

2.2.4 ウォレットの作成

OPatchAutoを正常に実行するには、各ホストのSSH資格証明などの、必要なパスワード資格証明が含まれるウォレットをコマンドラインで指定する必要があります。

ウォレットを作成するには、次のツールの1つを使用します。

2.2.4.1 patchingWalletツールを使用したウォレットの作成

ORACLE_HOME/OPatch/auto/core/binディレクトリのpatchingWallet.shツールを使用して、ウォレット・ファイルを作成できます。

ウォレットを作成する場合、次のことが必要です。

  • SSH資格証明をホストごとにuser:hostname:ssh”の形式を使用して定義する必要があります

  • WebLogic管理者資格証明をadminuser:adminhost:wls”の形式を使用して定義する必要があります。ゼロ・ダウンタイム(ZDT)パッチの適用にwls-zdt-rolloutオプションを使用している場合は、wls資格証明が必要です。

複数ホストのパッチ適用の場合は、FMWコンポーザを使用してトポロジ・ファイルを作成する必要があります。これには、次の資格証明が追加で必要になります。

  • ノード・マネージャ資格証明をadminuser:domain_name/NM”の形式を使用して定義する必要があります

  • ドメイン管理者資格証明をadminuser:domain_name/ADMIN”の形式を使用して定義する必要があります

domain_name/NMおよびdomain_name/ADMINはそれぞれ、FMWコンポーザでノード・マネージャおよび管理サーバーに使用されるデフォルトのウォレット別名です。別の値を使用することもできます。ただし、FMWコンポーザを使用してトポロジ・ファイルを作成する場合は、コンポーザのCredentialフィールドで指定した資格証明値がウォレットの別名と一致していることを確認する必要があります。

次に、ウォレットを作成して資格証明をウォレットに追加する方法の例を示します。

./patchingWallet.sh –create -walletDir wallet_location "user:adminhost:ssh" "user:host1:ssh" "user:host2:ssh" 
"adminuser:domain_name/ADMIN"  "adminuser:domain_name/NM"

次に例を示します。

./patchingWallet.sh –create -walletDir /tmp/samplewallet "oracle:adminhost:ssh" "oracle:host1:ssh" 
"oracle:host2:ssh" "weblogic:zdtDomain/ADMIN" "weblogic:zdtDomain/NM"

各資格証明のパスワードの入力と確認を求められます。

oracle:adminhost:ssh:
Confirm oracle:adminhost:ssh:
oracle:host1:ssh:
Confirm oracle:host1:ssh:
oracle:host2:ssh:
Confirm oracle:host2:ssh:
weblogic:zdtDomain/ADMIN:
Confirm weblogic:zdtDomain/ADMIN:
weblogic:zdtDomain/NM:
Confirm weblogic:zdtDomain/NM:

2.2.4.2 FMWコンポーザを使用したウォレットの作成

複数ホスト・トポロジのパッチ適用の場合は、ORACLE_HOME/oracle_common/binFMWコンポーザを使用して、トポロジ・ファイルの作成時にウォレットを作成することもできます。

このツールには、既存のウォレットの割当や編集を行ったり、ウォレットを最初から作成したりする、グラフィカル・ユーザー・インタフェースが用意されています。「ウォレット・ファイルの割当または作成」では、トポロジのウォレットの割当または作成方法の例を示します。

2.2.5 起動および停止操作をサポートするノード・マネージャの構成

パッチの適用中に、OPatchAutoが適切にシステムを停止および起動できるようにするには、ノード・マネージャが起動および停止操作をサポートするように構成する必要があります。

これを行うには、nodemanager.propertiesファイルのQuitEnabledおよびCrashRecoveryEnabledプロパティを次のように設定します。

QuitEnabled=true
CrashRecoveryEnabled=false

CrashRecoveryEnabledのデフォルトの値はfalseです。

デフォルトで、このファイルはノード・マネージャのホーム・ディレクトリに作成され、ノード・マネージャのホームは通常DOMAIN_HOME/nodemanagerです。

注意:

ゼロ・ダウンタイム(ZDT)パッチ適用の場合:
  • ZDTパッチの適用にrollingプランを使用している場合は、QuitEnabled=trueのみが必要です。これは、「ゼロ・ダウンタイム・パッチ適用ワークフローの管理」で説明しているように、wls-zdt-rolloutプランを使用している場合は必要ありません。

  • wls-zdt-rolloutプランを使用している場合は、CrashRecoveryEnabledtrueに設定する必要があります。

これらのプロパティを更新した後で、ノード・マネージャを再起動します。

nodemanager.propertiesファイルの詳細は、『Oracle WebLogic Serverノード・マネージャの管理』のnodemanager.propertiesの検討に関する項を参照してください

2.2.6 Windowsでのリモート・ホストのパッチ適用

Windowsマシンでのパッチ適用の場合、Cygwin SSHサーバーがインストールされて設定されていることを確認します。OPatchAutoは現時点ではその他のSSHサーバーをサポートしません。

詳細は、『Oracle Opatchユーザーズ・ガイドfor Windows and UNIX』のSSHを使用したリモート・ホストの実行に関する項を参照してください。

2.2.7 パッチ適用に関するバックアップとリカバリの考慮事項

パッチ操作を実行する前に、Oracleホームをバックアップすることを強くお薦めします。Oracleホームは、任意の方法でバックアップできます。

Oracleホームの圧縮には、zipcp -rtarcpioなどの任意の方法を使用できます。

opatch lsinventory -detailコマンドの実行時にOracleホームが表示されない場合は、セントラル・インベントリにOracleホームがないか、セントラル・インベントリ自体が失われたか破損している可能性があります。

opatch lsinventory -detailコマンドの実行時にOracleホームがリストされても、Oracleホーム内の製品およびコンポーネントがリストされない場合は、Oracleホーム内のインベントリ(ローカル・インベントリ)が失われたか破損している可能性があります。

ローカル・インベントリがなんらかの理由で破損または消失した場合は、Oracleホーム全体をリストアする必要があります(バックアップされている場合)。バックアップが存在しない場合は、ソフトウェアの再インストールが必要になることもあります。

2.3 OPatchAutoを使用したOracle Fusion Middlewareへのパッチ適用

OPatchAutoを使用して、単一ホスト環境または複数ホスト環境にパッチを適用するために必要な手順を自動化します。

次の各トピックでは、OPatchAutoを使用したOracle Fusion Middlewareへのパッチの適用方法について説明します。

2.3.1 Fusion Middleware環境におけるOPatchAuto使用の手順のサマリー

OPatchAutoを使用したパッチ適用には、パッチを正常に適用するために実行する必要がある一連の手順が含まれます。

次の表に、OPatchAutoを使用した既存のFusion Middleware環境へのパッチ適用に必要な通常手順を示します。

表2-1 OPatchAutoでのOPatchの使用

タスク 説明 ドキュメント

インストールに必要なパッチを取得します。

ログインし、特定のインストールに必要なパッチを検索してダウンロードします。

OPatchAutoが特定のパッチ・タイプをサポートしているかどうかについて気にする必要はありません。OPatchAutoが特定のパッチ・タイプをサポートしていない場合、ツールを実行するときに通知されます。

インストールに必要なパッチの取得

パッチのREADME.txtファイルを確認します。

各パッチ・アーカイブには、重要な情報およびパッチの適用前に従う必要がある手順が記載されているREADMEファイルが含まれています。READMEファイルには、パッチ固有の手順やその他の情報が記載されているため、このファイルを確認することは重要です。

パッチ・アーカイブにパッケージされているREADME.txtファイル

複数ホスト環境の場合、パッチがゼロ・ダウンタイム(ZDT)パッチであるかどうかを識別します。

パッチがZDTパッチであるかどうかを識別するためにpatchdeploy.xmlでパッチのuptimeオプションを確認し、その結果に基づいてパッチを適用するために使用するパッチ・プランを識別します。

ゼロ・ダウンタイム・パッチの識別

使用可能なパッチ・プランについて

複数ホスト環境の場合、FMWコンポーザを使用してトポロジ(構成)を定義します。

複数のホストにパッチを適用するには、FMWコンポーザを使用して、XMLまたはJSONファイルのトポロジ・ファイルを作成する必要があります。このファイルには、構成に関する情報が含まれます。

トポロジ・ファイルにより、OPatchAutoが環境から情報を取得し、パッチ適用を自動化できるようになります。

例: FMWコンポーザを使用したトポロジ・ファイルの作成

パッチ前提条件を確認します。

OPatchAutoapply -analyzeコマンドで、パッチの前提条件が満たされていることを確認します。

単一ホストの環境にパッチを適用している場合、「単一のホストでパッチを適用するための前提条件の検証」を参照してください。

複数ホストの環境にパッチを適用している場合、「複数のホストでパッチを適用するための前提条件の検証」を参照してください。

パッチを適用します。

パッチの適用が必要なOracleホームを確定して、READMEファイルを読んだ後に、opatchauto applyコマンドを使用してパッチを適用します。

単一ホストの環境にパッチを適用している場合、「applyコマンドを使用した単一のホストへのパッチ適用」を参照してください。

複数ホスト環境のパッチ適用の場合、パッチがZDTパッチ適用に適しているかどうかに応じて、次のいずれかを1つを参照してください。

パッチがOracleホームに正しく適用されたことを検証します。

OPatch lsinventoryコマンドは、Oracleホームに適用されたパッチを表示します。listDomainPatchInventory.shコマンドは、ドメインに適用されたパッチを表示します。これらのコマンドを一緒に使用して、パッチの適用を検証します。

Oracleホームに適用されたパッチを検証するためのOPatch lsinventoryコマンドの使用

listDomainPatchInventory.shコマンドを使用したドメインへの適用済パッチの検証

パッチの適用後、ソフトウェアが正しく実行されていることを検証します。

パッチの適用が完了し、サーバーの再起動が完了したら、製品ソフトウェアで問題が解決しているかどうかを検証する必要があります。

パッチ適用後のインストールの検証

パッチ適用のトラブルシューティングを行います。

パッチ適用に問題がある場合、最初のトラブルシューティング・タスクはOPatchAutoセッションのログ・ファイルを確認することです。

OPatchAutoログ・ファイルの表示によるパッチのトラブルシューティング

パッチ適用をロールバックします。

なんらかの原因で満足のいく結果が得られなかった場合は、opatchauto rollbackコマンドを使用してOracleホームからパッチを削除できます。

追加の支援が必要な場合は、My Oracle Support (以前のOracleMetaLink)を参照してください。

単一ホストの環境の場合、「単一のホストに適用したパッチのロールバック」を参照してください。

複数ホストの環境の場合、「複数のホストに適用したパッチのロールバック」を参照してください。

2.3.2 OPatchAutoを使用した単一のホストへのパッチ適用

インストールに必要なパッチを取得した後、opatchauto apply —analyzeコマンドを使用して前提条件を検証し、opatchauto applyを使用して単一のホストにパッチを適用します。必要な場合、opatchauto rollbackを使用してパッチをロールバックできます。

OPatchAutoを使用した単一ホスト環境へのパッチ適用には、次のタスクが含まれます。

2.3.2.1 単一のホストでパッチを適用するための前提条件の検証

パッチを単一のホストに適用できることを検証するには、OPatchAutoapplyコマンドに-analyze引数を使用します。単一ホストへのパッチ適用の場合、—instance引数を使用してドメインの場所も指定する必要があります。

次のコマンドは、単一のホストでパッチを適用するための前提条件を検証する方法を示しています。

opatchauto apply PATCH_HOME -analyze -instance DOMAIN_HOME -wallet wallet_location -walletPassword password_ifneeded 
-wls-admin-host weblogic_adminserver_host:port

次に例を示します。

opatchauto apply /home/oracle/patches/15941858 -analyze -instance /home/oracle/config/domains/exampledomain -wallet /tmp/samplewallet 
-wls-admin-host examplehost.exampledomain.com:7001

1つのセッションで複数のパッチを適用するには、–phBaseDirオプションを使用します。

このコマンドは、パッチによって実行される処理を分析および表示しますが、実際にパッチを適用することはありません。これにより、パッチの前提条件が満たされていることを検証できます。

前提条件の確認が失敗した場合は、出力およびログ・ファイルを参照して、作業を続行する前に問題を修正してください。たとえば、一般的な失敗としてはパッチの競合の検出があります。パッチの競合が発生した場合は、Oracleサポートからマージ・パッチを取得する方法についてログ・ファイル内の指示に従ってください。

2.3.2.2 applyコマンドを使用した単一のホストへのパッチ適用

パッチを単一のホストに適用するには、opatchauto applyコマンドを使用します。これは、opatchauto apply -analyzeと同じコマンドですが、パッチを適用する準備が整っているときに-analyze引数を削除する点が異なります。

次の例では、単一のホスト上のOracle Fusion Middleware環境にパッチを適用するためにopatchauto applyコマンドを使用する方法を示します。

この例では、次の内容が想定されています。

  • ダウンロードしたパッチは、My Oracle Supportでのパッチ番号の名前が付けられたディレクトリに保存されます。この場合、パッチ番号は15941858です。

  • ORACLE_HOME/OPatchディレクトリからOPatchAutoコマンドを実行し、コマンドへの引数としてパッチの場所(PATCH_HOME)を含めます。

注意:

opatchauto applyコマンドを実行する場合、コマンド出力内のセッションID (EKZRなど)をメモしてください。これにより、パッチを後でロールバックすることを決定した場合、ロールバック・プロセスが容易になります。

opatchauto apply PATCH_HOME -instance DOMAIN_HOME -wallet wallet_location -walletPassword password_ifneeded -wls-admin-host weblogic_adminserver_host:port

次に例を示します。

opatchauto apply /home/oracle/patches/15941858 -instance /home/oracle/config/domains/exampledomain -wallet /tmp/samplewallet 
-walletPassword password -wls-admin-host examplehost.exampledomain.com:7001

2.3.2.3 単一のホストに適用したパッチのロールバック

パッチを適用したときに結果が不十分である場合、opatchauto rollbackコマンドを使用してパッチ適用をロールバックします。これは、opatchauto rollback –analyzeと同じコマンドですが、パッチをロールバックする準備が整っているときに-analyze引数を削除する点が異なります。

次の例では、単一のホスト上のOracle Fusion Middleware環境に適用されたパッチをロールバックするためにopatchauto rollbackコマンドを使用する方法を示します。

ロールバックを実行するには、パッチを適用したときと同じプロセスに従います。つまり、最初にopatchauto rollbackコマンドのテスト実行を行います。

注意:

パッチを適用するときに使用したセッションID (EKZRなど)を指定すると、コマンドを簡素化できます。これにより、OPatchAutoで必要なコマンドライン・パラメータをすべて導出できるようになります。

opatchauto rollback –session session_id -analyze –wallet wallet_location -walletPassword password_ifneeded -wls-admin-host weblogic_adminserver_host:port 

次に例を示します。

opatchauto rollback –session EKZR -analyze –wallet /tmp/samplewallet -walletPassword password -wls-admin-host examplehost.exampledomain.com:7001

テストを正常に実行できたら、パッチのロールバックを実際に実行します。

opatchauto rollback –session session_id –wallet wallet_location -walletPassword password_ifneeded -wls-admin-host weblogic_adminserver_host:port

次に例を示します。

opatchauto rollback –session EKZR –wallet /tmp/samplewallet -walletPassword password -wls-admin-host examplehost.exampledomain.com:7001

また、次のようにして、OPatchAutoを未解凍のパッチのコピーにポイントすることで、パッチをロールバックすることもできます。

opatchauto rollback unzipped_patch_location -instance DOMAIN_HOME –wallet wallet_location -walletPassword password_ifneeded 
-wls-admin-host weblogic_adminserver_host:port

2.3.3 OPatchAutoを使用した複数のホストへのパッチ適用

必要なパッチを取得した後、opatchauto apply —analyzeコマンドを使用して前提条件を検証し、opatchauto applyを使用して複数のホストにパッチを適用します。必要な場合、opatchauto rollbackを使用してパッチをロールバックできます。

注意:

複数のホストにパッチを適用する前に、FMWコンポーザを使用してトポロジ・ファイルが作成されていることを確認してください。このファイル(XMLまたはJSONファイルのいずれか)は、OPatchAutoを実行するときにコマンドラインで-topologyオプションを使用して指定する必要があります。OPatchAutoは、このファイルを使用して、パッチを適用する環境に関する情報を取得します。トポロジ・ファイルの作成方法の詳細は、「例: FMWコンポーザを使用したトポロジ・ファイルの作成」を参照してください。

OPatchAutoを使用した複数ホスト環境へのパッチ適用には、次のタスクが含まれます。

2.3.3.1 複数のホストでパッチを適用するための前提条件の検証

パッチを正常に適用するには、パッチを適用する前に、opatchauto apply —analyzeコマンドを使用して前提条件を確認します。

複数のホスト上の特定のOracleホーム(ORACLE_HOME)およびドメインの場所(DOMAIN_HOME)にパッチを適用できることを検証するには、OPatchAuto applyコマンドに—analyze引数を使用します。

opatchauto apply PATCH_HOME -analyze -plan patch_plan -topology path_to_topology_file -wallet wallet_location -walletPassword password_ifneeded 

次に例を示します。

opatchauto apply /home/oracle/patches/15941858 -analyze -plan rolling -topology /home/oracle/topologies/topology.xml -wallet /tmp/samplewallet -walletPassword password 

1つのセッションで複数のパッチを適用するには、–phBaseDirオプションを使用します。

rollingは、コマンドラインでプランが指定されない場合のデフォルトのパッチ・プランです。使用可能なプランの識別の詳細は、「使用可能なパッチ・プランについて」を参照してください。

このコマンドは、パッチによって実行される処理を表示しますが、実際にパッチを適用することはありません。これにより、パッチの前提条件が満たされていることを検証できます。

前提条件の確認が失敗した場合は、コマンドの出力およびログ・ファイルを参照して、作業を続行する前に問題を修正してください。たとえば、一般的な失敗としてはパッチの競合の検出があります。パッチの競合が発生した場合は、Oracleサポートからマージ・パッチを取得する方法についてログ・ファイル内の指示に従ってください。

2.3.3.2 applyコマンドを使用した複数のホストへの非ZDTパッチの適用

非ZDTパッチを適用するには、opatchauto applyコマンドをparallelパッチ・プランとともに使用します。これは、opatchauto apply -analyzeと同じコマンドですが、パッチを適用する準備が整っているときに-analyze引数を削除する点が異なります。

次の例では、複数のホスト上のOracle Fusion Middleware環境に非ZDTパッチを適用するためにopatchauto applyコマンドを使用する方法を示します。

この例では、次の内容が想定されています。

  • ダウンロードしたパッチは、My Oracle Supportでのパッチ番号の名前が付けられたディレクトリに保存されます。この場合、パッチ番号は15941858です。

  • ORACLE_HOME/OPatchディレクトリからOPatchAutoコマンドを実行し、コマンドへの引数としてパッチの場所(PATCH_HOME)を含めます。

注意:

opatchauto applyコマンドを実行する場合、コマンド出力内のセッションID (EKZRなど)をメモしてください。これにより、パッチを後でロールバックすることを決定した場合、ロールバック・プロセスが容易になります。

opatchauto apply PATCH_HOME -plan parallel -topology path_to_topology_file -wallet wallet_location -walletPassword password_ifneeded 

次に例を示します。

opatchauto apply /home/oracle/patches/15941858 -plan parallel -topology /home/oracle/topologies/topology.xml -wallet /tmp/samplewallet -walletPassword password 

2.3.3.3 applyコマンドを使用した複数のホストへのZDTパッチの適用

ゼロ・ダウンタイム(ZDT)パッチを適用するには、opatchauto applyコマンドをrollingパッチ・プランとともに使用します。これは、opatchauto apply -analyzeと同じコマンドですが、パッチを適用する準備が整っているときに-analyze引数を削除する点が異なります。

次の例では、複数のホスト上のOracle Fusion Middleware環境にZDTパッチを適用するためにopatchauto applyコマンドを使用する方法を示します。

この例では、次の内容が想定されています。

  • ダウンロードしたパッチは、My Oracle Supportでのパッチ番号の名前が付けられたディレクトリに保存されます。この場合、パッチ番号は15941858です。

  • ORACLE_HOME/OPatchディレクトリからOPatchAutoコマンドを実行し、コマンドへの引数としてパッチの場所(PATCH_HOME)を含めます。

注意:

  • opatchauto applyコマンドを実行する場合、コマンド出力内のセッションID (EKZRなど)をメモしてください。これにより、パッチを後でロールバックすることを決定した場合、ロールバック・プロセスが容易になります。

  • rollingは、コマンドラインでプランが指定されない場合のデフォルトのパッチ・プランです。

opatchauto apply PATCH_HOME -plan rolling -topology path_to_topology_file -wallet wallet_location -walletPassword password_ifneeded 

次に例を示します。

opatchauto apply /home/oracle/patches/15941858 -plan rolling -topology /home/oracle/topologies/topology.xml -wallet /tmp/samplewallet -walletPassword password 

2.3.3.4 複数のホストに適用したパッチのロールバック

パッチを適用したときに結果が不十分である場合、opatchauto rollbackコマンドを使用してパッチ適用をロールバックします。これは、opatchauto rollback –analyzeと同じコマンドですが、パッチをロールバックする準備が整っているときに-analyze引数を削除する点が異なります。

次の例では、複数のホスト上のOracle Fusion Middleware環境に適用されたパッチをロールバックするためにopatchauto rollbackコマンドを使用する方法を示します。

ロールバックを実行するには、パッチを適用したときと同じプロセスに従います。つまり、最初にopatchauto rollbackコマンドのテスト実行を行います。

注意:

パッチを適用するときに使用したセッションID (EKZRなど)を指定すると、コマンドを簡素化できます。これにより、OPatchAutoで必要なコマンドライン・パラメータをすべて導出できるようになります。

opatchauto rollback –session session_id -analyze -walletPassword password_ifneeded 

次に例を示します。

opatchauto rollback –session EKZR -analyze -walletPassword password

テストを正常に実行できたら、パッチのロールバックを実際に実行します。

opatchauto rollback –session session_id -walletPassword password_ifneeded 

次に例を示します。

opatchauto rollback –session EKZR -walletPassword password

また、次のようにして、OPatchAutoを未解凍のパッチのコピーにポイントすることで、パッチをロールバックすることもできます。

opatchauto rollback unzipped_patch_location -topology path_to_topology_file –wallet wallet_location -walletPassword password_ifneeded

または、次の例に示すように、パッチ・ディレクトリの場所を指定せずに、-idオプションを使用してパッチIDを指定することができます。

opatchauto rollback -id 12345 -wallet /tmp/samplewallet -topology /home/oracle/topologies/topology.json

2.3.4 OPatchAutoログ・ファイルの表示によるパッチのトラブルシューティング

パッチの適用方法およびパッチ適用に関する問題のトラブルシューティング方法を理解するには、OPatchAutoセッションのログ・ファイルを確認する必要があります。

ログ・ファイルの場所は、通常、次のディレクトリまたはこの場所のサブディレクトリに保存されます。

ORACLE_HOME/cfgtoollogs/opatchauto/

この場所のサブディレクトリは、パッチ番号または実行したコマンドによって特定されます。

各ログ・ファイルのファイル名は、実行された日時を示します。次に例を示します。

opatchauto2015-09-28_11-47-13AM.log

ログ・ファイルは、opatchautoコマンドの出力を表示することによっても検索できます。ログ・ファイルの名前および場所は、コマンドの出力に含まれます。次に例を示します。

Session log file is /home/Oracle/products/fmw12c/cfgtoollogs/opatchauto/opatchauto2015-09-28_11-47-13AM.log

2.3.5 Oracleホームに適用されたパッチを検証するためのOPatch lsinventoryコマンドの使用

Oracleホームに適用されたパッチを検証するには、またはOracleホームに関する追加情報を確認するには、opatch lsinventoryコマンドを使用します。

次の例に、特定の個別パッチが適用されていることを示す、lsinventoryコマンドのサンプル出力を示します。

例2-1 Oracleホーム情報を取得するためのopatch lsinventoryコマンドの実行

> opatch lsinventory
Oracle Interim Patch Installer version 13.9.0.0.0
Copyright (c) 2016, Oracle Corporation.  All rights reserved.

Oracle Home       : /opt/Oracle/products/fmw12c
Central Inventory : /opt/Oracle/oraInventory
   from           : /var/opt/Oracle/oraInst.loc
OPatch version    : 13.9.0.0.0
OUI version       : 13.9.0.0.0
Log file location : /opt/Oracle/products/fmw12c/cfgtoollogs/opatch/opatch2013-06-10_12-32-37PM_1.log

OPatch detects the Middleware Home as "/opt/Oracle/products/fmw12c"

Lsinventory Output file location :
/opt/Oracle/products/fmw12c/cfgtoollogs/opatch/lsinv/lsinventory2013-06-10_12-32-37PM.txt

--------------------------------------------------------------------------------
Local Machine Information::
Hostname:
ARU platform id: 226
ARU platform description:: Linux x86-64Interim patches (1) :

Patch  15941858     : applied on Mon Jun 10 12:39:07 PDT 2013
Unique Patch ID:  150220
Patch description:  "TEST PATCH FOR WLS 12.2.1.1.0 - JAVA CLASSES PATCH"
   Created on 17 May 2013, 11:54:20 hrs PST8PDT
   Bugs fixed:
     783169, 15941850

--------------------------------------------------------------------------------

OPatch succeeded.

2.3.6 listDomainPatchInventory.shコマンドを使用したドメインへの適用済パッチの検証

ドメインに適用されたパッチを検証するには、listDomainPatchInventory.shコマンドを使用します。このコマンドをOPatch lsinventoryコマンドとともに使用して、パッチが正常に適用されたことを検証します。

次に例を示します。

cd ORACLE_HOME/OPatch/bin
./listDomainPatchInventory.sh DOMAIN_HOME

このコマンドは、特定の個別パッチが適用されていることを示します。

ドメイン・インベントリ内と各Oracleホームのインベントリ内の両方で同じパッチのリストが表示されます。そうでない場合は、パッチを再適用してください。パッチを再適用すると、欠落している手順のみが実行されます。すでに実行されているタスクはスキップされます。

2.3.7 パッチ適用後のインストールの検証

1つ以上のパッチを正常に適用した後、WebLogic管理コンソール、Fusion Middleware Controlおよび自社の適用テストを使用して、システムが現在正常に動作していることを検証します。

Oracle Fusion Middleware 12c環境でのインストールを検証するには、次の手順を実行します。

  1. パッチを適用したOracleホームに関連付けられているすべてのドメインですべてのサーバーが稼働していることを確認します。

    注意:

    パッチを適用する前にサーバーが稼働していた場合は、サーバーを手動で起動する必要はありません。パッチ適用が完了した後、OPatchAutoによってサーバーが再起動されます。

  2. 各ドメインのWebLogic Server管理コンソールを開き、管理サーバーを検証して、ドメインのコンポーネントのステータスを確認します。
    • また、いすれかのOracle Fusion Middlewareドメイン(Oracle Fusion Middleware Infrastructureがインストールされている)で、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlコンソールを開き、ドメインのコンポーネントのステータスを確認します。

    いずれのコンソールからでも、サーバーおよびアプリケーションが起動し、正しく実行されていることを検証できます。詳細は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』の次のトピックを参照してください。

    • Oracle Fusion Middlewareの起動と停止

    • Oracle Fusion Middlewareの管理ツールの概要

ソフトウェアが想定どおりに機能しない場合は、ロールバックに関する指示に従ってパッチ適用をロールバックしてください。

2.4 例: FMWコンポーザを使用したトポロジ・ファイルの作成

複数ホストのパッチ適用の場合、トポロジの要素がトポロジ・ファイルに定義されていることが前提条件になります。FMWコンポーザを使用して、このファイルを作成しOPatchAutoに対して環境に関する情報を指定します。これにより、手動による介入なしに、OPatchAutoによってパッチ適用手順が自動的に実行されます。

この例では、複数ホスト・トポロジのトポロジ・ファイルを作成するための一般的な手順を示します。特に、この例では、次のダイアグラムに示すサンプル・トポロジのトポロジ・ファイルを作成する方法を段階的に説明します。このトポロジは、2台の管理対象サーバーを含む1つのクラスタと管理サーバーが1台の標準的なWebLogic Serverドメインを示しています。

次の手順では、この例のトポロジのトポロジ・ファイルを作成する方法を示します。

2.4.1 FMWコンポーザの開始

ORACLE_HOME/oracle_common/binディレクトリからFMWコンポーザを開始します。

  1. JAVA_HOME環境変数を動作保証されているJDKのパスに設定します。

    次に例を示します。

    export JAVA_HOME=/home/Oracle/products/1.8.0_77
  2. ディレクトリをORACLE_HOME/oracle_common/binディレクトリに変更します。
    cd ORACLE_HOME/oracle_common/bin
  3. FMWコンポーザを開始します(fmw-composer.sh)。
    ./fmw-composer.sh

2.4.2 新規トポロジ・ファイルの作成

FMWコンポーザを開始したら、新規トポロジ・ファイルを開きます。ここで、トポロジの各要素を追加および定義します。

  1. 「ファイル」「新規」を選択し、次に「トポロジ」を選択して、新規の空白のトポロジ・ファイルを開きます。
  2. 「モデル」タブ内の任意の場所をクリックすると、画面の右側にトポロジ・プロパティ・パネルが開きます。
  3. 「ID」フィールドに、トポロジ・ファイルの名前を入力します。たとえば、sample-topologyなどです。
  4. 「バージョン」フィールドに、1.0 (デフォルト値)を入力します。

    このプロパティにより、トポロジの様々なバージョンを作成し、それらを相互に区別することができます。

  5. 「ファイル」、および次に別名保存...を選択し、ファイルをXMLまたはJSONファイルのいずれかで保存します。

    ファイルはtopologiesという名前のディレクトリに保存する必要があります。

    ファイルの名前はIDプロパティと一致し、接尾辞.jsonまたは.xmlが含まれている必要があります。たとえば、sample-topology.xmlなどです。

2.4.3 ウォレット・ファイルの割当または作成

FMWコンポーザの「設定」ページを使用して、既存のウォレット・ファイルを割当および編集するか、トポロジ用に新規に作成します。

  1. 「ファイル」メニューから「設定...」を選択し、コンポーザ設定ページを開きます。
  2. 「設定」ページで、「ウォレット」の横にある「変更」をクリックします。
  3. 「ウォレットの変更」ダイアログ・ボックスで、次のいずれかのオプションを選択します。
    • 「既存のウォレットの選択」を選択して、既存のウォレットをトポロジに割り当てます。

    • 新規ウォレットの作成を選択して、パスワードを必要としないウォレットを作成します。

    • 新規暗号化ウォレットの作成を選択して、パスワードで保護されたウォレットを作成します。

    ウォレットの場所の識別を要求する追加のダイアログ・ボックスが表示されます。
  4. ウォレットの場所を指定し、「開く」をクリックします。
  5. ウォレットにパスワードが必要である場合、ウォレットのパスワードを入力するためのプロンプトが表示されます。
  6. ウォレットを作成または識別したら、「編集」をクリックして、ウォレットに必要な資格証明を追加します。

    ウォレットには次の資格証明が含まれている必要があります。

    • SSH資格証明をホストごとにhostname:sshの別名形式を使用して定義する必要があります

    • 管理サーバー資格証明をdomain_name/ADMINの別名形式を使用して定義する必要があります

    • ノード・マネージャ資格証明をdomain_name/NMの別名形式を使用して定義する必要があります

  7. ウォレットを作成して必要な資格証明を含めたら、「OK」をクリックして「設定」ページを終了します。

2.4.4 ホストの追加

次に、トポロジにホストを追加し、画面の右側の「ホスト」パネルでホストの情報を定義します。

  1. 「モデル」タブの左ペイン内で、右クリックして「新規ホストの追加」を選択します。
    新規ホスト要素(host1)が画面の左側に表示されます。
  2. ホスト要素を選択し、次の情報を画面の右側のフィールドに指定します。
    フィールド 説明
    ID

    ホストの一意の名前。デフォルト値のhost1のままにしておきます。

    アドレス

    ホストのプライマリIPアドレスを入力します。

    資格証明

    ホストへの接続に使用される、ウォレット・ファイルからの資格証明(ユーザー名とパスワード)。

    「選択」をクリックして、ホストに対してウォレット・ファイルからの資格証明を選択します。「選択」をクリックすると、コンポーザ設定ページ(「ファイル」メニューに配置)のウォレットへのパスが指定されている場合にのみ、ダイアログ・ボックスに選択対象の資格証明のリストが表示されます。

    • 資格証明がすでにウォレットに存在する場合、リストから適切な資格証明を選択して「OK」をクリックします

    • 資格証明がウォレットに存在しない場合、「新規」をクリックしてホストの資格証明をウォレットに追加します。

  3. このプロセスを繰り返し、2番目のホスト(host2)を追加し定義します。

2.4.5 Oracleホームの追加

ホストを追加したら、ホストにOracleホームを追加し、画面の右側でOracleホームに関する情報を指定します。

  1. 「ホスト: host1」要素を右クリックし、「新規Oracleホームをホスト「host1」に割当」を選択します。
    Oracleホーム要素(home1)がhost1内に表示されます。
  2. 「Oracleホーム: home1」要素を選択し、Oracleホームに関する次の情報を画面の右側のフィールドに指定します。
    フィールド 説明

    ID

    Oracleホームの一意の名。デフォルト値のhome1のままにしておきます。

    タイプ

    「共有」を選択して、Oracleホームが共有記憶域にあることを示します。Oracleホームがローカル記憶域上にある場合、「ローカル」を選択します。

    複数のホストにOracleホームのコピーがある場合は、各Oracleホームを個別に定義する必要があり、「タイプ」属性はそれぞれ「ローカル」である必要があります。 Oracleホームが複数のホストにマウントされる共有ディスク上にある場合は、「共有」を使用します。

    パス

    パッチが適用されているOracleホームのフルパスを入力します。

  3. 「ホスト: host2」要素を右クリックし、「既存のOracleホームをホスト「host2」に割当」を選択して、home1「ホスト: host2」に追加します。

2.4.6 ドメインの追加

トポロジにドメインを追加し、ドメイン・ホームのディレクトリ・パス、管理サーバーの資格証明、および管理サーバーURLなどの、ドメインに関する情報を指定します。

  1. 「ホスト: host1」内で「Oracleホーム: home1」要素を右クリックし、「新規ドメインをホスト「host1」に追加(home1)」を選択します。
    ドメイン要素(domain1)が「ホスト:host1」要素内に表示されます。
  2. 「ドメイン: domain1」要素を選択し、ドメインに関する次の情報を画面の右側のフィールドに指定します。
    フィールド 説明
    ID

    ドメインの一意の名前。デフォルト値のdomain1のままにしておきます。

    名前

    ドメインの名前を入力します。これは、ドメイン構成時に指定された名前と一致する必要があります。

    タイプ

    ドメインが共有記憶域にあることを示すには「共有」を選択します。ドメインがローカル記憶域にある場合、「ローカル」を選択します。

    パス

    ドメイン・ホームのフルパスを入力します。

    管理資格証明

    ドメインの管理サーバーへの接続に使用される、ウォレット・ファイルからの管理資格証明。

    「選択」をクリックして、管理サーバーに対してウォレット・ファイルからの資格証明を選択します。「選択」をクリックすると、コンポーザ設定ページ(「ファイル」メニューに配置)のウォレットへのパスが指定されている場合にのみ、ダイアログ・ボックスに選択対象の資格証明のリストが表示されます。

    • 資格証明がすでにウォレットに存在する場合、リストから適切な資格証明を選択して「OK」をクリックします。

    • 資格証明がウォレットに存在しない場合、「新規」をクリックして管理サーバーの資格証明をウォレットに追加します。

    管理サーバーURL

    WebLogic管理サーバーへの接続に使用するURLを入力します。たとえば、http://adminserver_host:adminserver_portなどです。

  3. 「ホスト: host2」内で「Oracleホーム: home1」要素を右クリックし、「既存のドメインをホスト「host2」に割当(home1)」を選択して、ドメイン(domain1)をhost2に追加します。

2.4.7 管理サーバーの追加

トポロジにドメイン要素を追加したら、ドメインの管理サーバーに関する情報を指定します。

  1. 「ホスト: host1」内で「ドメイン: domain1」要素を右クリックし、「ドメイン「domain1」の新規サーバーをホスト「host1」に追加(home1)」を選択して、サーバー(server1)をhost1に追加します。
    新規サーバー(server1)がhost1のドメイン内に表示されます。
  2. 「サーバー: server1」要素を選択し、管理サーバーに関する次の情報を画面の右側のフィールドに指定します。
    フィールド 説明

    ID

    ドメインのサーバーの一意の名前。デフォルト値のserver1のままにしておきます。

    管理サーバーです

    このサーバーを管理サーバーとして識別するには、「管理サーバーです」チェック・ボックスを選択します。

    名前

    管理サーバーの名前を入力します。たとえば、AdminServerなどです。

    リスニング・アドレス

    管理サーバーのリスニング・アドレスを入力します。

    リスニング・ポート

    管理サーバーのリスニング・ポートを入力します。たとえば、7001などです。

2.4.8 クラスタの追加

ドメインにクラスタを追加し、管理対象サーバーが実行されているクラスタに関する情報を指定します。

  1. 「ホスト: host1」内で「ドメイン: domain1」要素を右クリックし、「新規クラスタをドメイン「domain1」に追加」を選択してクラスタをドメインに追加します。
    新規クラスタ(cluster1)がドメインに表示されます。
  2. 「クラスタ: cluster1」要素を選択し、クラスタに関する次の情報を画面の右側のフィールドに指定します。
    フィールド 説明

    ID

    ドメインのクラスタの一意の名前。デフォルト値のcluster1のままにしておきます。

    名前

    クラスタの名前を入力します。

2.4.9 管理対象サーバーの追加

次に、ドメインのクラスタに管理対象サーバーを追加します。

  1. 「ホスト: host1」内で「クラスタ: cluster1」要素を右クリックし、「新規サーバーをクラスタ「cluster1」に追加」を選択して、新規サーバー(server2)をhost1のクラスタに追加します。
    新規サーバー(server2)がhost1のクラスタ内に表示されます。
  2. 「サーバー: server2」要素を選択し、管理対象サーバーに関する次の情報を画面の右側のフィールドに指定します。
    フィールド 説明

    ID

    このドメインのサーバーの一意の名前。デフォルト値のserver2のままにしておきます。

    名前

    管理対象サーバーの名前を入力します。たとえば、managed_server_1などです。

    リスニング・アドレス

    管理対象サーバーのリスニング・アドレスを入力します。

    リスニング・ポート

    管理対象サーバーのリスニング・ポートを入力します。

  3. このプロセスを繰り返し、2番目の管理対象サーバーserver3host2のクラスタに追加します。

2.4.10 ノード・マネージャの追加

最後に、環境内でノード・マネージャが使用されている場合、各ノード・マネージャをトポロジ・ファイル内で定義する必要があります。

  1. 「ホスト: host1」内で「ドメイン: domain1」要素を右クリックし、「新規ノード・マネージャをドメイン「domain1」に割当」を選択します。
    ノード・マネージャ(nm1)がhost1のドメイン内に表示されます。
  2. 「ノード・マネージャ: nm1」要素を選択し、ノード・マネージャに関する次の情報を画面の右側のフィールドに指定します。
    フィールド 説明
    ID

    ノード・マネージャの一意の名前。デフォルト値のnm1のままにしておきます。

    名前

    ノード・マネージャの名前を入力します。これは、ドメイン構成時に指定された名前と一致する必要があります。

    資格証明

    ノード・マネージャへの接続に使用される、ウォレット・ファイルからの資格証明。

    「選択」をクリックして、ノード・マネージャに対してウォレット・ファイルからの資格証明を選択します。「選択」をクリックすると、コンポーザ設定ページ(「ファイル」メニューに配置)のウォレットへのパスが指定されている場合にのみ、ダイアログ・ボックスに選択対象の資格証明のリストが表示されます。

    • 資格証明がすでにウォレットに存在する場合、リストから適切な資格証明を選択して「OK」をクリックします。

    • 資格証明がウォレットに存在しない場合、「新規」をクリックして資格証明をウォレットに追加します。

    NmAddress

    チューニング・パラメータの設定の下で「新規アイテムの追加」アイコンをクリックして、ノード・マネージャのリスニング・アドレス・パラメータ(NmAddress)の値を追加します。

    このアイコンをクリックすると、ダイアログ・ボックスが表示されます。「名前」に対し、ドロップダウン・メニューからNmAddressを選択してから「値」フィールドにノード・マネージャのリスニング・アドレスを入力します。

    NmPort

    チューニング・パラメータの設定の下で「新規アイテムの追加」アイコンをクリックして、ノード・マネージャのリスニング・ポート・パラメータ(NmPort)の値を追加します。

    このアイコンをクリックすると、ダイアログ・ボックスが表示されます。「名前」に対し、ドロップダウン・メニューからNmPortを選択してから「値」フィールドにノード・マネージャのリスニング・ポート(5556など)を入力します。

  3. このプロセスを繰り返し、2番目のノード・マネージャnm2host2に追加し定義します。

2.4.11 トポロジ・ファイルの保存

トポロジの要素を定義したら、「ファイル」および次に「保存」を選択し、XMLまたはJSONファイルのトポロジ・ファイルにトポロジを保存します。

次の画像に、完了時にコンポーザ内に表示されるトポロジの例を示します。

GUID-48ED4183-B423-47A5-B190-014939A8B686-default.pngの説明が続きます。
GUID-48ED4183-B423-47A5-B190-014939A8B686-default.pngの説明