WebCenter用のOracle DICOMコンポーネントは、ユーザーがコンテンツ・サーバーにDICOMコンテンツをチェックインして処理できるようにするサービスのコレクションです。
この章では、DICOMコンポーネントをインストールして構成する方法について説明します。内容は次のとおりです。
DICOMコンポーネントには、コンテンツ・サーバー・リポジトリにDICOM画像をチェックインできるフィルタが含まれます。また、DICOM以外の画像ソースおよび対応するDICOM XMLメタデータからDICOM画像を作成することもできます。
次の図は、ユーザーがコンテンツ・サーバーにDICOMソース画像をチェックインする場合の例を示しています。
チェックイン構成オプションに応じて、フィルタは次の1つ以上の処理手順を実行します。
コンテンツ・サーバーのカスタム・メタデータ・フィールドへの移入
元のDICOMソース画像の保持
画像プレビュー(.jpegファイルなど)の生成
DICOM XMLメタデータの生成
フィルタは、その処理を完了すると、結果データを標準のコンテンツ・サーバー・チェックイン・サービスに渡します。
次の図は、同様のチェックイン・シナリオを示していますが、この例では、フィルタはDICOM以外のソース画像とXML形式のDICOMメタデータを結合して最初にソースDICOM画像を作成しています。
この項では、コンテンツ・サーバーにコンポーネントをインストールして有効化する方法と、有効化後にコンポーネントを使用するための前提条件について説明します。次の内容について説明します。
WebCenter用のOracle DICOMコンポーネントは、OracleDicom.zip
という1つのzipアーカイブ・ファイルとして配布されます。
コンテンツ・サーバー・インスタンスにコンポーネントをインストールして有効化するには、次の手順を実行します。
メイン・メニューで、「管理」→「管理サーバー」の順にクリックします。
画面の一番上にあるテキストの「拡張コンポーネント・マネージャ」リンクをクリックします。
「新規コンポーネントのインストール」プロンプトの横にある「参照」をクリックします。ファイルが格納されている場所に移動してOracleDicom.zipファイルを選択します。
「インストール」をクリックします。インストールされる要素が画面に表示されます。「続行」をクリックします。
ファイルをインストールすると、情報ページが表示されます。リンクをクリックしてコンポーネントを有効化し、コンテンツ・サーバーを再起動します。
コンポーネントを有効化したら、WebCenter用のOracle DICOMコンポーネントを使用するために次の操作を実行します。
コンポーネントを初期化した後、オプションでそれを使用できるように構成できます(oracle_dicom_config.hdaファイルの編集を参照)。
oracle_dicom_config.hdaおよびoracle_dicom_meta_init.hdaファイルは、OracleDicomコンポーネントのインストール・ディレクトリの/dataディレクトリに存在します。これらのファイルを編集して、コンポーネントをカスタマイズできます。
oracle_dicom_config.hdaファイルは、OracleDicomコンポーネントの構成ファイルです。詳細は、oracle_dicom_config.hdaファイルの編集を参照してください。
oracle_dicom_meta_init.hdaファイルは、コンポーネントをインストールして有効化すると作成されるWebCenter Contentのカスタム・メタデータ・フィールド、ドキュメント・タイプ、セキュリティ・グループ、表およびフォルダをリストした初期化ファイルです。これらのカスタム・メタデータ・フィールドは、DICOMメタデータ・タグをカスタム・コンテンツ・サーバー・フィールドにマップするためにコンポーネントによって使用されます。ドキュメント・タイプとセキュリティ・グループは、DICOM画像をチェックインするために使用されます。詳細は、oracle_dicom_meta_init.hdaファイルを参照してください。
ユーザーは、これらのファイルを必要に応じて変更し、コンポーネントを有効化する前にdomain/ucm/cs/data/OracleDicom/ディレクトリにリンクまたはコピーできます。
構成ファイルは、WebCenter用のOracle DICOMコンポーネントの外観と動作を構成するために使用します。ファイルは、Oracle WebCenter Contentアプリケーション・データ・ファイルとしてフォーマットされ、domain/ucm/cs/data/OracleDicomのインスタンスに格納されます。ファイルの名前は、oracle_dicom_config.hdaです。
次の項目を前もってWebCenter Contentに作成し、必要に応じて構成ファイルで参照および使用できます。
DICOM画像またはメタデータのセキュリティ・グループ
次の要素のドキュメント・タイプ
DICOM画像
DICOM XMLメタデータ
新規作成されたDICOM画像
DICOMメタデータ・タグにマップされているカスタム・メタデータ・フィールド
DICOM画像またはメタデータが格納されているフォルダ
生成されたWADOリンクにマップされているカスタム・メタデータ・フィールド
この項では、構成可能なoracle_dicom_config.hdaファイルのResultSetエントリについて説明します。
このResultSetでは、コンテンツ・サーバーのカスタム・メタデータ・フィールドをDICOMメタデータ属性にマップする方法を指定します。これには、3つの列(コンテンツ・サーバーのカスタム・メタデータ・フィールドの名前、DICOMメタデータ・タグ、およびチェックイン時にDICOM画像からこのタグ値を抽出するかどうかを示すフラグ)が含まれます。
たとえば、コンテンツ・サーバーのカスタム・メタデータ・フィールドのDICOM_STUDY_INSTANCE_UID
をDICOM属性の(0020, 000D)
にマップし、コンテンツ・サーバーのメタデータ・フィールドのDICOM_PATIENT_NAME
をDICOM属性の(0010, 0010)
にマップするには、構成ファイルに次の行を含めます。
@ResultSet UCM_DICOM_MAP 3 ucm_metadata_name dicom_metadata_tag extracted DICOM_STUDY_INSTANCE_UID 0020000D 1 DICOM_PATIENT_NAME 00100010 1 @end
このResultSetでは、チェックインしたDICOM画像をDICOMコンポーネントで処理する場合のセキュリティ・グループのセットを指定します。次の例は、このResultSetを指定する方法を示しています。
@ResultSet ORACLE_DICOM_FILTER_ALLOWED_GROUPS 1 security_group_name DICOMGroup @end
このResultSetでは、DICOM画像のチェックイン時にDICOMコンポーネントによって処理するドキュメント・タイプのセットを指定します。次の例は、このResultSetを指定する方法を示しています。
@ResultSet ORACLE_DICOM_FILTER_ALLOWED_TYPES 1 doc_type_name DICOM @end
このResultSetでは、DICOM画像の作成で、チェックインしたDICOM以外のソース画像をDICOMコンポーネントによって処理する場合のドキュメント・タイプのセットを指定します。
これらのタイプは、対応するDICOM XMLメタデータを使用してJPEGなどのDICOM以外の画像ソースからDICOM画像を作成する場合に、チェックイン時に指定されます。次に、このResultSetの例を示します。
@ResultSet ORACLE_DICOM_FILTER_ALLOWED_CREATEDDICOM_TYPES 1 doc_type_name CREATEDDICOM @end
このResultSetでは、DICOM XMLメタデータの生成で、チェックインしたDICOM画像をDICOMコンポーネントで処理する場合のドキュメント・タイプのセットを指定します。
これらのタイプは、ユーザーがチェックインしたソースDICOM画像に基づいてDICOM XMLメタデータ・ドキュメントを作成する場合に、チェックイン時に指定されます。次に、このResultSetの例を示します。
@ResultSet ORACLE_DICOM_FILTER_ALLOWED_XML_TYPES 1 doc_type_name DICOMXML @end
このResultSetでは、DICOM画像のチェックイン時におけるDICOMコンポーネントの動作を構成する一連の属性/値ペアを指定します。ユーザーは、次の属性の値を設定できます。
DICOM_PREFIX: チェックイン時にDICOM画像に割り当てられるドキュメント・タイトルの接頭辞を表す文字列。
DICOM_SUFFIX: チェックイン時にDICOM画像に割り当てられるドキュメント・タイトルの接尾辞を表す文字列。
IF_DICOM_CHECKIN_PACS: DICOMアダプタから画像をチェックインする場合に元のDICOM画像を保持するかどうかを表すブール値。
IF_DICOM_CHECKIN_FILE: コンテンツ・サーバーのWebインタフェースから画像をチェックインする場合に元のDICOM画像を保持するかどうかを表すブール値。
IF_THUMBNAIL_CHECKIN: チェックインした元のDICOM画像のDICOM以外のプレビュー画像を生成するかどうかを表すブール値。
IF_THUMBNAIL_PRIMARY: チェックインした元のDICOM画像を保持しない場合に、プレビュー画像をドキュメントのプライマリ・ファイルにするかどうかを表すブール値。
IF_FILL_CUSTOM_METADATA: DICOMタグに対応するコンテンツ・サーバーのカスタム・メタデータ・フィールドに移入する目的で、チェックインしたDICOM画像からメタデータを抽出するかどうかを表すブール値。
THUMBNAIL_SUFFIX: DICOM画像のチェックイン時に生成されるプレビュー画像に割り当てられるドキュメント・タイトルの接尾辞を表す文字列。
THUMBNAIL_VERB: チェックインしたDICOM画像から画像プレビューを生成する方法を表す文字列。たとえば、JPEG画像プレビューを生成するには、この属性にfileFormat=jpeg
という値を指定します。
次に、これらのオプションに値を指定する例を示します。
@ResultSet ORACLE_DICOM_IMAGE_CONFIG 2 attribute_name attribute_value DICOM_PREFIX dicom DICOM_SUFFIX .dcm IF_DICOM_CHECKIN_PACS true IF_DICOM_CHECKIN_FILE true IF_THUMBNAIL_CHECKIN true IF_THUMBNAIL_PRIMARY false IF_FILL_CUSTOM_METADATA true THUMBNAIL_SUFFIX .jpg THUMBNAIL_VERB fileFormat=jpeg @end
このResultSetでは、DICOM XMLメタデータの生成で、DICOM画像のチェックイン時におけるDICOMコンポーネントの動作を構成する一連の属性/値ペアを指定します。ユーザーは、次の属性の値を設定できます。
SUFFIX: チェックイン時に生成されるDICOM XMLメタデータ・ファイルに割り当てられるドキュメント・タイトルの接尾辞を表す文字列。
IF_DICOM_CHECKIN: DICOM XMLメタデータ・ファイルを生成する場合に元のDICOM画像を保持するかどうかを表すブール値。
IF_XML_PRIMARY: チェックインした元のDICOM画像を保持しない場合に、DICOM XMLメタデータ・ファイルをドキュメントのプライマリ・ファイルにするかどうかを表すブール値。
IF_FILL_CUSTOM_METADATA: DICOMタグに対応するコンテンツ・サーバーのカスタム・メタデータ・フィールドに移入する目的で、チェックインしたDICOM画像からメタデータを抽出するかどうかを表すブール値。
次にこの結果セットの例を示します。
@ResultSet ORACLE_DICOM_XML_CONFIG 2 attribute_name attribute_value SUFFIX .xml IF_DICOM_CHECKIN false IF_XML_PRIMARY true IF_FILL_CUSTOM_METADATA false @end
このResultSetでは、他のResultSet構成セクションで定義されていないDICOMコンポーネントによって使用される属性/値ペアのセットを指定します。現在のところ、有効な属性はOracleDicomWADOLink
のみです。この属性の値は、生成されたWADOリンクがDICOM画像のチェックイン時に格納されるコンテンツ・サーバーのカスタム・メタデータ・フィールドの名前を指定する文字列です。
次に、このResultSetの例を示します。
@ResultSet ORACLE_DICOM_EXTRA_CONFIG 2 attribute_name attribute_value OracleDicomWADOLink ORACLE_DICOM_WADO_LINK @end
oracle_dicom_meta_init.hdaファイルには、OracleDicomコンポーネントをインストールして有効化したときに作成されるカスタム・メタデータ・フィールドを指定するResultSetのUCM_DICOM_META_LISTが含まれます。
ResultSetのUCM_DICOM_META_LISTには、次の3つの列が含まれます。
ucm_dicom_metadata_name
ucm_dicom_metadata_caption
ucom_dicom_metadata_type
これらによって、作成されるカスタム・メタデータのキャプションとタイプをリストします。
たとえば、名前がDICOM_STUDY_DATE、キャプションがDICOM Study Date、タイプがDateであるカスタム・メタデータを作成するには、ResultSetに次の行を含めます。
@ResultSet UCM_DICOM_META_LIST 3 ucm_dicom_metadata_name ucm_dicom_metadata_caption ucm_dicom_metadata_type DICOM_STUDY_DATE DICOM Study Date Date @end