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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalの管理
12c (12.2.1.1)
E77296-01
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33 WebCenter Portalのライフサイクルの理解

この章では、WebCenter Portalをそのライフ・サイクル全体を通して管理するためのタスク、ツールおよび手法について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

権限

この章のタスクを実行するには、次のロールが付与されている必要があります。

  • WebLogic Server: Oracle WebLogic Server管理コンソールを使用してAdminロールが付与されます。

  • WebCenter Portal: WebCenter Portal管理を使用してAdministratorロールが付与されます。

「管理操作、ロールおよびツールの理解」も参照してください。

33.1 WebCenter Portalのライフ・サイクルについて。

ポータルのライフ・サイクルとは、WebCenter Portalを使用したデプロイメントによるポータルの作成から本番インスタンスまでの過程を表します。このライフ・サイクルには、ソフトウェア開発者、コンテンツ・モデラー、コンテンツ・コントリビュータ、IT管理者、ポータル・サイト管理者などの多くの人々が関与します。ライフ・サイクルのフェーズには、通常、開発、テスト、ステージングおよび本番が含まれます。各フェーズでは特定のタスクを実行する必要があります。コンテンツ・リポジトリの設定など、一部のタスクは一度だけ実行します。その他の、バックアップの作成や夜間ビルドの実行などのタスクは、より頻繁に実行されます。ポータルのライフ・サイクルのフェーズについては、表33-1で説明しています。

表33-1 WebCenter Portalのライフ・サイクルのフェーズ

ライフ・サイクルのフェーズ 主要なアクター/ロール 説明

開発

  • ポータル開発者

  • Web開発者

  • コンテンツ・モデラー

  • コンテンツ・コントリビュータ

  • アプリケーション・スペシャリスト

開発者は、WebCenter Portalのブラウザベースのツールを使用して、新しいポータルを開発できます。

高度な要件に対応するために、開発者はJDeveloperを使用して、ポータル・アセットと共有ライブラリ(カスタム・ポータル・コンポーネントを含む)のさらなる開発およびデプロイを行うことができます。

開発ポータルは、通常、テストのデータとコンテンツを使用します。ライフ・サイクルのこのフェーズで開発される機能の一部は、次のとおりです。

  • ポータル

  • スキン、ページ・テンプレート、コンテンツ・プレゼンタ表示テンプレートなどのポータル・アセット

  • 視覚化テンプレートとカスタム視覚化テンプレート

  • 共有ライブラリ

  • データ転送とポートレット間通信

  • 初期セキュリティ

  • ポートレット

テスト

  • 開発者

  • QAエンジニア

  • システム管理者

開発ポータルは、独立したテスト環境にデプロイされます。テスト環境には、通常、独自のMetadata Service (MDS)とデータベース・ベースのポリシー・ストア、および専用のOracle WebCenter Contentインスタンスが含まれています。

テスト環境には、本番ポータルには組み込まれないテスト・データやテスト・コンテンツが含まれることもあります。

アプリケーション・データ・ソースやポートレット・プロデューサなどのコンポーネントが、テスト環境と開発環境で共有される場合があります。

ステージング

  • アプリケーション・スペシャリスト

  • システム管理者

  • コンテンツ・コントリビュータ

ステージング環境では、ポータルが本番に移行する前に最終的な構成およびテストが行われる安定した環境が提供されます。コンテンツ・コントリビュータはコンテンツを追加して、ポータルの構造を調整します。

一般に、ステージング環境には、専用のOracle WebCenter Content Serverだけでなく、専用のポートレット・プロデューサ・サーバー(WC_Portlet)、およびディスカッションとお知らせのためのコラボレーション・サーバー(WC_Collaboration)が含まれます。ステージング環境では、外部のLDAPベースのアイデンティティ・ストア(Oracle Internet Directoryなど)も設定する必要があります。ステージング・サーバーは、通常、本番サイトのミラーとして保持されます。

ポートレット、タスク・フローおよびポータル・アセットに対して開発から時折更新が発生した場合、これをステージ環境にデプロイする必要があります。WebCenter Portal管理を使用して、ポータル・アセットの更新を開発環境からステージング環境にインポートできます。ステージング環境でポートレットとタスク・フローを更新する場合は、通常の方法で再デプロイします。

本番

  • アプリケーション・スペシャリスト

  • システム管理者

  • コンテンツ・コントリビュータ

  • ナレッジ・ワーカー

本番ポータルはライブで、エンド・ユーザーも使用できます。

適切な権限を持った個々のユーザーは、ビューをカスタマイズすることも可能です。

WebCenter Portal管理を使用して、ポータルとコンテンツを本番環境に移動できます。一部のバックエンド・データは手動で移動する必要があります。ポータルとコンテンツの移動にWLSTコマンドを使用することもできます。

管理者は、2つの環境が「同期」状態の場合、つまり、常に最初にステージの変更を行い、その後デプロイメントまたは伝播を使用してメタデータの変更を本番にプッシュすることにより、ステージングのポータルの変更を本番に伝播できます。本番のポータルは、オンライン状態のときに、WebCenter Portalで変更できます。ただし、本番サーバーに対する直接の変更は、最小限にする必要があります。

33.2 主要なWebCenter Portalのライフ・サイクル・タスクとは。

ライフ・サイクルの各フェーズでは、特定のタスクを実行するアクター(開発者、管理者、コンテンツ・コントリビュータなど)が必要です。この項では、ポータルのライフ・サイクルで実行されるタスクの種類の概要を示します。

33.2.1 1回かぎりの設定タスク

WebCenter Portalに対して開発、テスト、ステージおよび本番の各環境を設定するには、特定の準備手順を実行する必要があります。表33-2に、これらの予備設定タスクおよびそれを適用する環境の一般的なリストを示します。

表33-2 一般的な1回かぎりの設定タスク

設定タスク JDeveloperの開発(アセットと共有ライブラリのみ) WebCenter Portalの開発/テスト ステージ 本番

Oracle JDeveloperおよびJDeveloperのWebCenter Portal拡張機能のインストール

はい

いいえ

いいえ

いいえ

Oracle WebCenter Portalのインストール

いいえ

はい

はい

はい

Oracle WebLogic Serverのインストール(ドメインおよび管理対象サーバーの作成)

いいえ

はい

はい

はい

RCUによる必要なデータベース・スキーマの作成

いいえ

はい

はい

はい

Oracle WebCenter Contentのインストールおよび構成

はい

はい

はい

はい

Oracle Access Managerなどのアイデンティティ管理コンポーネントのインストール

いいえ

はい

はい

はい

ポリシー・ストアでの必須のOracle Platform Security Servicesポリシーの作成

いいえ

はい

はい

はい

資格証明ストアでの必要なユーザー資格証明の作成

いいえ

はい

はい

はい

バックエンド・サーバーへの接続の作成

はい

はい

はい

はい

ソース・コントロールおよび夜間ビルド・スクリプトの設定

はい

いいえ

いいえ

いいえ

デプロイおよび構成スクリプトの作成

いいえ

はい

はい

はい

バックアップ・スクリプトの作成

いいえ

いいえ

はい

はい

33.2.2 WebCenter Portalのステージング環境および本番環境の理解

この項では、ポータルのライフ・サイクルのステージング・フェーズおよび本番フェーズについて説明します。図33-1に、ステージング環境から本番環境への一般的な流れを示します。ステージング環境は、プロビジョニングおよびテストが完了すると、本番環境に移行してユーザーがアクセスできるようになります。初めてステージング環境を本番環境にコピーする場合は、ステージのWebCenter Portalインスタンス全体を本番環境に移行します。これには、ポリシー・ストアの移行、MDSデータ(アプリケーション統合、RESTエンドポイント、SQLデータ・ソース)およびContent Serverリポジトリに格納されているすべてのWebCenter Portalデータも含まれます。

その後、本番環境がライブになると、本番でのポータルの変更は必要に応じて伝播できます。ステージで開発された新しいポータルを本番に対して個別にデプロイできます。また、必要な場合は、既存のポータルを再デプロイできます。

すべてのポータルの接続を1つのWebCenter Portalインスタンスから別のインスタンスに手動で個別に移動できます。

ステージ環境および本番環境で実行する様々なライフ・サイクルのタスクの詳細は、「ライフ・サイクルのタスク」を参照してください。

注意:

図33-1は、考えられるすべてのポータル機能を表してはいません。

図33-1 WebCenter Portalステージング環境から本番環境への流れ

図33-1の説明が続きます
「図33-1 WebCenter Portalステージング環境から本番環境への流れ」の説明

33.2.3 ライフ・サイクルのタスク

表33-3に、WebCenter Portalライフ・サイクルで実行する必要がある可能性のあるタスクを示します。

表33-3 ライフ・サイクルのタスク

ライフ・サイクルのタスク 説明 使用するツール 方法
ポータル・インスタンス全体を移行 ステージング環境と本番環境の両方を設定および構成した後、初めて、ステージのWebCenter Portalインスタンスをターゲットにコピーします。
  • Enterprise Manager Fusion Middleware Controlコンソール

  • WLST

ポータルをデプロイ ポータルをターゲットに直接デプロイするか、ポータル・アーカイブを作成してターゲットにインポートします。

個々の本番ポータルをアーカイブにエクスポートし、ステージング・サイトに再度インポートすることもできます。

  • WebCenter Portal

  • WLST

個々のアセットをデプロイ アセットを共有したり、アセットを他のWebCenter Portalインスタンスに移行することができます。また、アセットをダウンロードし、Oracle JDeveloperなどのツールで編集および拡張した後、WebCenter Portalに再度デプロイすることもできます。必要な権限のある開発者は、JDeveloperからWebCenter Portalにアセットや拡張機能を直接デプロイすることができます。
  • WebCenter Portal

  • WLST

ポータルの変更を伝播

ステージング環境と本番環境が接続されて「同期」状態の場合、ステージングのポータルの変更を本番に伝播できます。

ポータル伝播では、ポータルに加えられた増分変更のみがターゲット・サーバーにプッシュされます。

  • WebCenter Portal

  • WLST

ポータルを再デプロイ ポータルの初期デプロイメントの後、ポータルをターゲットに再デプロイすることを選択できます。ポータルを再デプロイすると、そのポータルは削除され、新しいポータルとして再作成されます。
  • WebCenter Portal

  • WLST

接続を移行 ポータルをデプロイすると、その接続もデプロイされます。すべてのポータルの接続を1つのWebCenter Portalインスタンスから別のインスタンスに個別に移動できます。
  • WLST

バックアップ データベース・ハードウェアを消失した場合や、ファイルまたはデータベースから誤ってデータを削除した場合などの障害からデータをリカバリするには、個々のポータルとWebCenter Portalインスタンス全体を頻繁にバックアップすることが重要です。
  • WebCenter Portal

  • WLST

リカバリ 1つ以上のポータルまたはWebCenter Portalインストール全体をバックアップ・アーカイブから完全にリストできます。
  • WebCenter Portal

  • WLST

33.3 WebCenter Portalのライフ・サイクル操作の実行に必要な権限

表33-4は、ライフ・サイクル操作の実行に必要なWebLogic ServerのロールおよびWebCenter Portalの権限を示しています。

表33-4 ライフ・サイクル操作のためのWebCenter PortalおよびWebLogic Serverの権限の要件

WebCenter Portalオブジェクト ツール WebLogic Serverのロール WebCenter Portalの権限

WebCenter Portal (アプリケーション・レベル)

アーカイブをインポートまたはエクスポート

Fusion Middleware Control

Monitor (またはそれ以上)

Application: Manage

アーカイブをインポートまたはエクスポート

WLST

Monitor (またはそれ以上)

Application: Manage

ポータル — 直接デプロイ/アーカイブ・インポート      
ポータルの直接デプロイまたはポータル・アーカイブのインポート WebCenter Portal   Portal Server – Deploy (ソース)

Portals: Manage Configuration (ソース)

Portals - Create Portals (ターゲット)

ポータルの直接デプロイまたはポータル・アーカイブのインポート

WLST

Monitor (またはそれ以上)

Portal Server – Deploy (ソース)

Portals: Manage Configuration (ソース)

Portals - Create Portals (ターゲット)

ポータルの再デプロイまたはポータル・アーカイブの再インポート WebCenter Portal   Portal Server – Deploy (ソース)

Portals: Manage Configuration (ソース)

Portals: Manage Security and Configuration (ターゲット)

Portals - Create Portals (ターゲット)

ポータルの再デプロイまたはポータル・アーカイブの再インポート

WLST

Monitor (またはそれ以上)

Portal Server – Deploy (ソース)

Portals: Manage Configuration (ソース)

Portals: Manage Security and Configuration (ターゲット)

Portals - Create Portals (ターゲット)

ポータル — アーカイブのエクスポート      

ポータル・アーカイブのエクスポート

WebCenter Portal

-

Portals: Manage Security and Configuration

ポータル・アーカイブのエクスポート

WLST

Monitor (またはそれ以上)

Portals: Manage Security and Configuration

ポータル・テンプレート

ポータル・テンプレート・アーカイブをエクスポートまたはインポート

WebCenter Portal

-

Portal Templates: Manage All

ポータル・テンプレート・アーカイブをエクスポートまたはインポート

WLST

Monitor (またはそれ以上)

Portal Templates: Manage All

ポータル・アセット

アセット・アーカイブをエクスポートまたはインポート

WebCenter Portal/REST API

-

Portal: Manage Configuration

および次のいずれか:

  • Create、Edit、Delete Assets

  • Create、Edit、Delete <Portal_Asset_Type>

アセット・アーカイブをエクスポートまたはインポート

WLST

Monitor (またはそれ以上)

次のいずれか:

  • Create、Edit、Delete Assets

  • Create、Edit、Delete <Portal_Asset_Type>

共有ライブラリ

ポータル拡張機能をJDeveloperから直接デプロイ

JDeveloper

Monitor (またはそれ以上)

Portals: Manage All

WebCenter Portal接続

すべてのWebCenter Portal接続をエクスポートまたはインポート

WLST

Operator (またはそれ以上)

-

共有アセット

アセット・アーカイブをインポートまたはエクスポート

WebCenter Portal

-

Application: Manage Configuration

Create、Edit、Delete <Shared_Asset_Type>

アセット・アーカイブをインポートまたはエクスポート

WLST

Monitor (またはそれ以上)

Create、Edit、Delete <Shared_Asset_Type>

33.4 WebCenter Portalのライフ・サイクルを通したセキュリティの管理

この項では、ポータルのセキュリティ・ポリシーと資格証明をあるWebCenter Portal環境から別の環境へ移行する手法について説明します。

単一のポータルのセキュリティ・ポリシー

ポータルごとに、独自のセキュリティ・ポリシーがあります。初めてWebCenter Portalインスタンスにポータルをデプロイする場合、ポータルのセキュリティ・ポリシーを組み込む必要があります。再デプロイ時には、セキュリティ・ポリシーはオプションになります。たとえば、ポータルをステージングから本番に再デプロイするときには、多くの場合、本番システム上で行われたポリシーの変更をオーバーライドしないことが重要です。「ポータルのデプロイ」も参照してください。

WebCenter Portalアプリケーション全体のセキュリティ・ポリシー(ホーム・ポータルを含む、すべてのポータル)

WebCenter Portalアプリケーション全体をバックアップ(またはエクスポート)するときには、ホーム・ポータルまたは個々のポータルのセキュリティ・ポリシーがアーカイブに含まれるので、セキュリティ情報をあるインスタンスから別のインスタンスに移動/リストアすることができます。詳細は、「別のターゲットへのWebCenter Portal全体の移行」を参照してください。

WebCenter Portalに対するバックエンドのアイデンティティ・ストアおよび資格証明ストア

別のインスタンスに移行する場合、アイデンティティ・ストア、資格証明ストア、ポリシー・ストアなどの、セキュリティに関するバックエンド・コンポーネントを移行する必要があります。詳細は、「ポリシー・ストアのバックアップおよびリストア(LDAPとデータベース)」および「資格証明ストアのバックアップおよびリストア(LDAPとデータベース)」を参照してください。