次のトピックでは、Oracle HTTP Serverの新機能と変更された機能について、およびこのマニュアルに記載されるその他の重要な変更について紹介し、詳細情報へのリンクを提供します。
この項には次の情報が含まれます:
この項では、Oracle HTTP Serverの現在のリリースに追加された機能について説明します。
このリリースでは、Oracle HTTP Serverコア・ランタイムはApache httpd 2.4のリリースに基づいています。多くの新しい機能がそのリリースに追加されていますが、このドキュメントの範囲外です。Apache 2.4およびその機能の詳細は、次のURLを参照してください。
Apache 2.4での以前のリリースからの重大な変更の詳細は、次を参照してください
以前の12cリリースでは、Weblogic ServerドメインのOracle HTTP Serverのインストールには、データベースへの接続が必要です(11gでは必要ありません)。これは「フル・ドメイン」モードと呼ばれます。現在のリリースでは、「Restricted-JRF」と呼ばれる、Oracle HTTP Server用の新しいインストールおよび操作モードが導入されました。このモードでは、データベースが存在している必要がありません。フル・ドメイン・モードのOracle HTTP Serverで使用可能なすべての機能は、コンポーネント間ワイヤリングを除き、Restricted-JRFモードでも使用可能です。
Restrictedモードでは、顧客はOHSサーバーのライフサイクルを管理でき、WebLogic Managementフレームワーク(WLSTおよびFusion Middleware Control)を使用することで、追加のデータベースの依存関係なしで構成管理を処理できます。この機能により、カスタマには、WebLogic Management Frameworkを介してOHSファーム全体を管理する機能が提供されます。この機能の詳細は、Restricted-JRFモードを参照してください。
次にOracle HTTP Serverの現在のリリースに追加された新しいモジュールを示します。
mod_proxy_fcgi—このモジュールはmod_proxyモジュールに対するFastCGIサポートを提供します。mod_proxy_fcgiモジュールはmod_proxyモジュールのサービスを必要とし、FastCGIプロトコルのサポートを提供します。mod_proxy_fcgiの構成についておよびmod_proxy_fcgiおよびmod_authnz_fcgiモジュールへの移行を参照してください。
mod_mpm_event (event MPM)—このモジュールはworker MPMのバリアントで、アクティブな処理との接続にのみスレッドを消費します。EventはLinuxシステム用12c (12.2.1)で使用されるデフォルトのMPMです。MPMタイプと環境に応じたMPMタイプの変更方法の詳細は、パフォーマンス・ディレクティブの理解を参照してください。
Apache 2.4でのその他の新しいモジュール。Oracle HTTP Serverモジュールの理解を参照してください。
現在のリリースでは、iPlanet Web Server (iWS)からOracle HTTP Serverへの移行パスが定義されています。この移行パスについては、次のURLで参照可能なiPlanet Web ServerからOracle HTTP Server 11gへの移行のマスター・ノート(Doc ID 1536893.1)で説明しています。
このドキュメントはリリース11g以降のバージョンのOracle HTTP Serverに適用されます。
現在のリリースではOracle HTTP Serverの信頼フラグのサポートが追加されました。信頼フラグを使用すると、SSL証明書に割り当てられた適切なロールによる、証明書チェーンの検証やパスの構築などの操作が簡単に実行できます。詳細は、信頼フラグの使用を参照してください。
現在のリリースではOracle HTTP Serverのパフォーマンスのモニタリングのサポートが追加されました。パフォーマンス・メトリックはOracle WebLogic Serverプロキシ・プラグインに特有で、そこではリクエストがバックエンドのWebLogicサーバーにプロキシされます。
メトリックはOracle Dynamic Monitoring Service (DMS)を介して提供され、それによりOracle Fusion Middlewareのコンポーネントは、Fusion Middleware Controlなどの管理ツールに、コンポーネントのパフォーマンス、状態および進行中の動作に関するデータを提供できます。
『Oracle WebLogic Serverプロキシ・プラグイン12.2.1の使用』のOracle WebLogic Serverプロキシ・プラグインのパフォーマンス・メトリックの理解に関する項を参照してください。
この項では、Oracle HTTP Serverの以前のバージョンから大幅に更新された機能について説明します。次に、これらの機能を示します。
TLSセキュリティ・プロトコルで使用できる新しい暗号が現在のリリースに追加されました。また、FIPS 140で使用できる暗号のリストも拡張されました。詳細は、SSLCipherSuiteディレクティブおよびSSLFIPSディレクティブを参照してください。
次のモジュールが削除されて、mod_proxy_fcgiおよびmod_authnz_fcgiモジュールに置き換わりました。
mod_perl
—このモジュールを使用すると管理者はOracle HTTP ServerでPerlスクリプトを実行できます。mod_perlの置換えを参照してください
mod_fastcgi/mod_cgi
—このモジュールを使用すると管理者はOracle HTTP Server上で従来のCGIスクリプトを効率的に実行できます。mod_fastcgi/mod_cgiの置換えを参照してください
mod_plsql
—このモジュールを使用すると、管理者は、PL/SQLパッケージとストアド・プロシージャから動的なWebページを作成可能となり、インターネットやイントラネットで動作可能な高速で自由度の高いアプリケーションの開発に理想的です。mod_plsqlの置換えを参照してください
mod_proxy_fcgiおよびmod_authnz_fcgiモジュールの詳細は、mod_proxy_fcgiおよびmod_authnz_fcgiモジュールへの移行を参照してください。
mod_perlモジュールはOracle HTTP Server 12c (12.2.1)リリースから削除されました。Oracle HTTP Server 12.1.3以前のリリースでmod_perlを使用していた場合、次の選択肢があります。
PerlスクリプトをOracle HTTP Server 12c (12.2.1)内でCGIまたはFastCGIスクリプトのいずれかとして引き続き実行させることができます。
PerlスクリプトをCGIスクリプトとして実行する場合、CGIまたはFastCGIスクリプトとして実行するようにPerlスクリプトを変更する必要があります。
CGIスクリプトを実行している場合、mod_cgidモジュール・ディレクティブの使用に切り替えます。ディレクティブは、次のURLの『Apacheモジュールmod_cgid』で説明されています。
Oracle HTTP Server 12c (12.2.1)にPerlインタプリタが含まれていますが、それは製品内です。このインタプリタをFastCGI環境でPerlのホスティングに使用することはできません。固有のPerl環境を提供する必要があります。
mod_fastcgiおよびmod_cgiモジュールはOracle HTTP Server 12c (12.2.1)リリースから削除されました。mod_fastcgiの代替の実装が提供されています。既存のFastCGIスクリプトまたは構成がある場合、mod_proxy_fcgiおよびmod_authnz_fcgiモジュールへの移行に記載されている移行手順に従ってください。
CGIスクリプトを実行している場合、かわりにmod_cgidモジュール・ディレクティブを使用します。ディレクティブは、次のURLの『Apacheモジュールmod_cgid』で説明されています。
mod_plsqlモジュールはOracle HTTP Server 12c (12.2.1)リリースから削除されました。多くのOracleカスタマがOracle HTTP Serverとmod_plsqlを使用してOracle Application Express (Oracle APEX)を実行しており、それよりは少ないですがスタンドアロンPL/SQL Webページを実行しているカスタマもいます。
詳細は、次のURLのOracle Web Tier - 指示書 (ドキュメントID 1576588.1)を参照してください。
代替として、Oracle REST Data Services (以前のOracle APEXリスナー)を実装することをお薦めします。Oracle REST Data ServicesはJ2EEベースのサーブレッドで、Webベースの構成、拡張されたセキュリティおよびファイル・キャッシングを含む機能が強化されています。
Oracle REST Data ServicesはOracle Technology Networkのライセンス条件で提供される無料の製品です。サポートされている構成で実行するには、Oracle WebLogic Server、Oracle GlassfishまたはApache TomcatにORDSをインストールする必要があります。スタンドアロンJavaサーブレット(warファイル)の実行は、配布で提供され、本番環境ではサポートされません。開発およびテスト環境での使用のみを想定しています。
Oracle REST Data Servicesの詳細は、次のURLを参照してください。
http://www.oracle.com/technetwork/developer-tools/rest-data-services/overview/index.html
使いやすさと識別のしやすさの向上のため、Oracle HTTP ServerのカスタムWLSTコマンドの名前が現在のリリースで変更されました。コマンド名に"OHS
"が組み込まれるのではなく、コマンドに"ohs_
"の接頭辞が付くようになりました。たとえば、createOHSInstance
コマンドはohs_createInstance
になりました。
古いコマンド名は非推奨であることを考慮する必要があります。これらは現在のリリースでWLSTにより許容されますが、使用を避ける必要があります。変更された古いカスタムWLSTコマンドの表および詳細は、変更されたカスタムWLSTコマンドの名前を参照してください。
現在のリリースではOracle HTTP Server用にこれらのカスタムWLSTコマンドが追加されました。これらのコマンドの詳細は、Oracle HTTP ServerのカスタムWLSTコマンドを参照してください。
コマンド | 説明 |
---|---|
ohs_exportKeyStore |
キーストアを指定したOracle HTTP Serverインスタンスにエクスポートします。 |
ohs_postUpgrade |
ドメイン内のすべてのOracle HTTP Serverインスタンスのウォレットの内容(以前のバージョンからアップグレードされたOracle HTTP Serverインスタンスに対して有効なもの)をKSSデータベースにインポートします。 |
ohs_updateInstances |
Oracle HTTP Serverインスタンスが構成ウィザードを使用して作成された場合、KSSデータベースにキーストアを作成します。 |
createOHSTestDomain
(ohs_createTestDomain
)カスタムWLSTコマンドが現在のリリースから削除されました。このコマンドは、Oracle HTTP Server 12.2.1でデータベースの依存関係を持たない構成ウィザードを使用する、ドメインの作成に対するRestricted-JRF (R-JRF)サポートが導入されたため、必要なくなりました。
Oracle HTTP Serverの現在のリリースはApache Server 2.4に基づきます。以前のリリースのOracle HTTP Serverを使用している場合、次の点に注意してください。
FilterProvider
mod_filter
の下のFilterProvider
ディレクティブの構文はApache 2.4で変更されました。このディレクティブは手動でアップグレードする必要があります。詳細は、http://httpd.apache.org/docs/2.4/mod/mod_filter.html
およびhttp://httpd.apache.org/docs/2.4/upgrading.html
を参照してください
認証およびアクセス制御
Apache 2.4では、認証およびアクセス制御の構成に重要な変更がありました。Oracle HTTP Server Upgrade Assistantは、認証およびアクセス制御ディレクティブを新しい構成スタイルにアップグレードしません。そのかわりに、Oracle HTTP Serverには古い構成との互換性を提供するmod_access_compat
モジュールが含まれています。
認証およびアクセス制御の構成を手動でApache 2.4スタイルにアップグレードすることをお薦めします。詳細は次のURLを参照してください。http://httpd.apache.org/docs/2.4/upgrading.html#run-time
umask設定
Oracle HTTP Server 12c (12.2.1)以前では、オペレーティング・システム・レベルのumask
設定はOracle HTTP Serverにも適用できました。Oracle HTTP Server 12c (12.2.1)では、新しいプロパティがohs.nodemanager.properties
ファイルに導入されてumask
設定を指定します。デフォルトでは、0027の値が使用されます。詳細は、ログ・ファイルの作成モードの構成(umask) (UNIX/Linuxのみ)を参照してください。