この章では、Oracle Real-Time Integration Business Insightの背後で動作するビジネス・ドライバの概要を示します。
このコンポーネントをクラウド環境で使用する場合とオンプレミス環境で使用する場合で、このガイドに記載されている情報に影響を与える相違点が存在することがあります。
相違点の詳細は、クラウド環境とオンプレミス環境との相違点およびOracle SOA Cloud Serviceの既知の問題を参照してください。
ソフトウェアは、従来以上にビジネスのバックボーンとなってきています。 今日の競争市場において、利害関係者は変動する市場状況を理解してモニターし、それに反応できることが要求されています。 実際、あらゆる業界の進化と成長は、かつてないほどにビジネス分析によって動かされています。 ビジネスでは、フレキシブルでダイナミック、かつ詳細な洞察力が適時に必要とされます。
従来、ビジネス・メトリックの収集、格納、視覚化およびレポートをリアルタイムで行う場合、費用がかさむだけでなく、大量の資本資源と工学資源を投資する必要がありました。
多くの場合、各アプリケーションおよび各ビジネスに固有のプロプライエタリ・ソフトウェアを記述する必要があります。 今日の先進的なエンタープライズ・ソフトウェア環境においては、多くのビジネスが様々なベンダーから提供された複数の統合システムを使用しているため、ビジネス・メトリックを収集するタスクはさらに複雑になっています。
Oracle Real-Time Integration Business InsightをOracle SOA SuiteやOracle Service BusなどのOracle統合製品と組み合せて使用すると、有意なビジネス・メトリックをモデル化および抽出するプロセスを飛躍的に単純化できます。
Real-Time Integration Business Insight REST APIを使用すると、SOA SuiteまたはService Busの互換性のあるバージョンを使用して実装されていない統合のメトリックを収集できます。
Oracle Real-Time Integration Business Insight (Insight)では、次の手順を使用して、ビジネス・メトリックを収集するプロセスを単純化します。
まず、ビジネスのモデルを作成します。 モデルは、利害関係者が関心を持っている特性を定義したもので、マイルストンやインジケータなどの抽象概念を含みます。 マイルストンは、問題発生、チケット作成、問題解決など、ビジネス・アクティビティの進捗を示します。 インジケータは、ビジネスの追跡に役立つメトリック(合計解決費用、国、地域、顧客ステータスなど)を表します。
モデルの作成作業は、ビジネス・ユーザーのプロセスを簡単にする単純なWebベース・ツールを使用して行います。
図1-1 モデル・エディタ
注意:
マイルストンおよびインジケータの詳細は、『Oracle Real-Time Integration Business Insightの理解』のビジネス・アプリケーションのモデリングに関する項を参照してください。
ビジネスのモデルを定義した後は、そのモデルをOracle統合インフラストラクチャ内のサービスおよびコンポーネントにマップします。 たとえば、SOA Suiteコンポジット内のsubmitTicket
というサービスの起動がTicketCreated
マイルストンの通過を表すようにします。 アーキテクトは、単純なWebベース・ツールを使用して、これらのマッピング・タスクを実行します。
図1-2 実装マッピング
モデルの定義およびマッピングが終了したら、最後にモデルをアクティブ化します。 モデルがアクティブ化されると、Insightはビジネス・マイルストンを通過した時間を記録し、メッセージからインジケータを抽出することにより、Oracle統合インフラストラクチャのビジネス・データをモニターします。 これらのメトリックは、事前構成済のインタラクティブなダッシュボード、表、レポートおよびタイムラインで即時に使用可能になります。
図1-3 モデル・サマリー・カード