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2 モデルの設計

この章では、モデルのコンポーネントと、モデルのマッピングおよびアクティブ化の方法について説明します。

2.1 概要

モデルは、ビジネス・パフォーマンスを追跡する際のキーとなるアプリケーションの態様を記述し、それらのコンセプトを実在するソフトウェア・アプリケーション実装にマップするための文法を提供します。

一般に、ハイレベルなアプリケーションのモデルは、ビジネス・ユーザーアーキテクトによる反復的なコラボレーションにより定義します。 ビジネス・ユーザーはアプリケーションに関連するハイレベルなコンセプトを記述し、アーキテクトはこれらのコンセプトを調整してアプリケーション実装にマップします。 これらのペルソナは、Insightに付属のロールを使用してカプセル化されます。 ユーザーが製品をどのように使用するかに基づいて、管理者が適切なロールをユーザーに割り当てます。

各モデルには次のものが含まれます。

2.2 ビジネス・アプリケーションのモデル化

この項では、モデルの作成方法、マイルストンの定義方法、およびインジケータの作成方法について説明します。

2.2.1 モデルの作成

モデルに関する作業は、モデル・デザイナを使用して行います。 モデル・デザイナを開いて「モデルの作成」ボタンをクリックすると、「ドラフト」状態の新規のモデルが作成されます。

図2-1 「デザイナ」ページ

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図2-1 デザイナページの説明

編集できるのは、モデルのドラフトのみです。 新規のモデルを作成すると、そのモデルは定義上ドラフトになりますが、すでにアクティブ化されたモデルのドラフトを作成することもできます(アクティブ化の意味の詳細は、モデルのアクティブ化を参照)。 これにより、実際のアクティブ・モデルに影響を与えることなく、アクティブなモデルのドラフトを変更できます。

図2-2 「モデル・アクション」メニュー

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図2-2 モデル・アクションメニューの説明

ドラフトに対するすべての変更がファイナライズされたら、ドラフトをアクティブ化します。 これにより、新規のモデル(または既存のモデルに対する変更)がシステムにプッシュされ、モデルに準拠したメトリックの収集がトリガーされます。

図2-3 モデルのドラフト

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図2-3 モデルのドラフトの説明

各モデルに、次のような基本的な記述メタデータが含まれています。

  • 名前

  • アイコン

  • 説明

  • 単一インスタンスの説明

  • 複数インスタンスの説明

これらのフィールドのうち、モデル名のみが必須です。 すべての基本的なプロジェクト・メタデータの詳細は、『Oracle Real-Time Integration Business Insightの使用』モデルの作成に関する項を参照してください

図2-4 モデル・メタデータ

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図2-4 モデル・メタデータの説明

2.2.2 マイルストン

モデルを作成したら、次の手順はモデルのマイルストンを作成することです。 新規のマイルストンを作成するには、デザイナで「マイルストンの作成」ボタンをクリックします。

マイルストンは、アプリケーション・モデルにおけるキー抽象概念です。 これらはビジネスの進捗を表すアプリケーション内のポイントであり、アプリケーション実装内の1つ以上のポイントにマップされます。 一般に、ビジネス・ユーザーは、マイルストンを繰り返し定義し、適切なメタデータを使用してマイルストンを作成します。 その後、アーキテクトがマイルストンを調整し、それらをアプリケーション実装内の適切なポイントにマップします(マッピングの詳細は、「Mapping Your Model to Your Application」を参照)。

図2-5 マイルストン

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図2-5 マイルストンの説明

マイルストーンには、「イニシャル、スタンダード、エラー、ターミナル、」Terminal/Errorなど、いくつかのタイプがあります。 いずれのモデルにも、1つ以上の初期マイルストンと、1つ以上の終了マイルストンが必要です。

初期マイルストンを通過すると、それに関連付けられたプロセス・インスタンスは有効であるとみなされるため、初期マイルストンは特別です。 このコンセプトは、Insightがランタイム・エンジンのモニタリングを開始したときにすでに処理中の可能性のあるインスタンスをフィルタ・アウトするためのキーとなります。 初期マイルストンを少なくとも1回通過したインスタンスは、アクティブであるとみなされます。

終了マイルストンも、ビジネス・モデルに関連付けられたインスタンスの予測終了を表すため、重要です。 終了マイルストンを通過すると、インスタンスはアクティブでなくなります。 たとえば、注文の完了を表すマイルストンである「注文完了」を終了マイルストンとしてモデル化します。

様々なタイプのマイルストンおよびそのセマンティクスの詳細は、『Oracle Real-Time Integration Business Insightの理解』マイルストンのタイプに関する項を参照してください。

マイルストン名の隣に、オレンジ色のバブルで示されたタスク・ヒントがあります。 モデルの作業中、デザイナによって、モデルの定義を正常に完了するために必要な残りのタスクに関するガイダンスが提供されます。 タスク・ヒントの上にカーソルを置くと、タスクを完了するために必要な操作の説明が表示されます。

この例では、新しく作成したマイルストンがまだ実装アーティファクト(SOAコンポジット・サービスやService Busパイプラインなど)にマッピングされていません。 マッピングを作成すると、タスク・ヒントは表示されなくなります。

図2-6 実装マッピングの欠落

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図2-6 実装マッピングの欠落の説明

2.2.3 インジケータ

マイルストンの他に、インジケータもモデルに対して定義できます。 インジケータの値は、マイルストンを通過したときにアプリケーション・メッセージから抽出されます たとえば、サービス起動にマッピングされたマイルストンにインジケータを関連付けた場合、その関連付けられたサービスが起動されると、インジケータが抽出されます。

インジケータを使用すると、ビジネス・ユーザーはアプリケーションが適切に動作しているか調べることができ、またアプリケーション・インスタンス間の比較も可能になります。

インジケータには、2つのタイプ(「メジャー」および「ディメンション」)があります。

メジャーは値を識別し、それによりアプリケーションの状態の測定が可能になります。 1つのメジャーはインスタンスのライフサイクル中に変化することがあります。 たとえば、一般的な受注アプリケーションでは、合計受注金額または明細件数のメジャーを定義します。

これに対し、ディメンションはインスタンスのグルーピングおよび分類のタイプを提供するもので、これにより集約メジャーのスライシングとダイシングが可能になります。 たとえば、一般的な受注アプリケーションでは、地理的リージョン、販売チャネルまたは製品カテゴリのメジャーを定義します。

マイルストンのインジケータは、モデル・エディタの「マイルストン」タブで作成します。

図2-7 マイルストン領域

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図2-7 マイルストン領域の説明

マイルストンにインジケータを追加したら、名前を選択し、インジケータがフィルタ可能(コンソールでインスタンスを検索するためのフィルタ基準として使用できる)かどうかを指定することにより、インジケータを定義する必要があります。

アーキテクトは、インジケータ名の横にあるタスク・ヒントに示されているように、インジケータの抽出基準を定義します(インジケータの抽出を参照)。

図2-8 インジケータ

図2-8の説明が続きます
図2-8 インジケータの説明

2.2.4 一意のインスタンス識別子

いずれのInsightモデルにも、一意のインスタンス識別子を1つのみ定義する必要があります。 識別子によって、プロセスのすべてのインスタンス間での一意性が保証されます。 また、インスタンスに対してある識別子の値が抽出されると、別の値を抽出できなくなるため、インスタンスの識別子の値を変更することはできません。

たとえば、ヘルプ・デスク・アプリケーションの一意のインスタンス識別子としてIncidentIDを選択したとします。 同じユーザーが複数のインシデントを送信することがあるため、ユーザーのバッジ番号のようなものを使用するのは望ましくありません。

2.3 アプリケーションへのモデルのマッピング

ビジネス・ユーザーがマイルストンおよびインジケータを使用してビジネス・アプリケーションの抽象モデルを定義したら、今度はアーキテクトがこれらの抽象概念を具体的な実装アーティファクトにマッピングします。

マイルストンのマッピングでは、マイルストンを通過した時間を最も正確に表す実行ポイントを特定します。 マイルストンは、多くの種類のテクノロジ(SOAサービス、参照、コンポーネントなど)、Service Busパイプラインおよびビジネス・サービスにマッピングできます。

たとえば、アーキテクトは、placeOrderというサービスの起動がOrderReceivedというマイルストンの通過を最も正確に表すものとして決定します。

また、マッピング・プロセスの一部としてインジケータの抽出基準を定義する必要もあります。 抽出基準は、システムがランタイム・メッセージから情報を抽出するために使用するルールを定義するもので、XPath式を使用して表されます。

2.3.1 マイルストンのマッピング

アーキテクトはデザイナを使用して、ビジネス・ユーザーが定義したドラフト・モデルを変更します。 Insightには追加のUIコントロールが用意されており、これによってアーキテクト・ロールは各マイルストンのマッピングを作成できます。

図2-9 マイルストン領域

図2-9の説明が続きます
図2-9 マイルストン領域の説明

新しいマッピングの作成では、まずアーキテクトがデータ接続を選択します。 データ接続によって、動作中のランタイム・エンジン(Oracle SOA SuiteまたはOracle Service Bus)にデプロイされたプロジェクトの概要を把握できます。 Insight管理者がデータ接続を作成して保守します。

データ接続のタイプが異なると、表示されるアーティファクトのタイプも異なります。 たとえば、マイルストンをSOAコンポジット・サービスにマッピングする場合、使用可能なSOAデータ接続を選択してから、デプロイ済コンポジットのリストを参照して、マイルストンに最も一致するサービスを見つけます。

Service Busデータ接続では、Oracle Service Busプロジェクトのリストが表示されます。

Oracle SOA SuiteとOracle Service Busのどちらの場合も、アーキテクトには、Insightでマッピング先としてサポートされているアーティファクトのみがリストされます。 マイルストンのマッピングでサポートされているテクノロジおよびアーティファクトの種類の詳細は、『Oracle Real-Time Integration Business Insightの使用』実装へのマイルストンのマッピングに関する項を参照してください。

図2-10 マッピングの作成

図2-10の説明が続きます
図2-10 マッピングの作成の説明

アーキテクトはSOA接続およびSOAコンポジットを特定してから、グラフィカルなコンポジット・ブラウザを使用して特定のサービスまたは参照にドリルダウンします。

図2-11 ツリー構造

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図2-11 ツリー構造の説明

その後、コンポジット・ブラウザを使用して、マイルストンをマップする特定のコンポジットまたはコンポーネント・サービス/参照を選択できます。 特定の操作および相互作用タイプも指定する必要があります。

図2-12 実装マッピング

図2-12の説明が続きます
図2-12 実装マッピングの説明

2.3.2 インジケータの抽出

マイルストンのマッピングの場合と同様に、アーキテクトはインジケータの抽出基準も指定する必要があります。 抽出基準は、マイルストンを通過したポイントでランタイム・メッセージからビジネス・データを抽出するためのルールを(XPath式の形式で)定義したものです。

図2-13 インジケータ領域

図2-13の説明が続きます
図2-13 インジケータ領域の説明

抽出基準のツールによって、インジケータのマイルストンのマップ先のサービスのスキーマが自動的に使用されます。 様々なXPath関数を使用できる他、メッセージの形状にドリルダウンできます。

図2-14 式ビルダー

図2-14の説明が続きます
図2-14 式ビルダーの説明

2.4 モデルのアクティブ化

モデルがビジネス・ユーザーにより定義され、アーキテクトによりマッピングされた後、モデルをアクティブ化します。

2.4.1 モデルのアクティブ化時の処理内容

モデルをアクティブ化すると、(マッピング・メタデータを含む)モデル定義が、マッピング・プロセスで使用されるランタイム・エンジンにプッシュされます。 ランタイム・エンジンは、マッピング・メタデータを使用して、マイルストンを通過したことを示す実行パターンをモニターします。

モデルを検証し、それをランタイム・エンジンに配布して、メトリックを抽出するためにアクティブなモニタリング・プロセスを開始するプロセスは、完了までに時間がかかります。

アクティブ化が行われている間、モデルのアクティブ化を追跡する進捗ダイアログが表示されます。

図2-15 アクティブ化の進行中

図2-15の説明が続きます
図2-15 アクティブ化の進行中の説明

モデルのアクティブ化の詳細は、『Oracle Real-Time Integration Business Insightの使用』モデルのアクティブ化に関する項を参照してください。