5 JavaでのバイナリXMLの使用

このトピックでは、JavaでのバイナリXMLの使用方法について説明します。

トピック:

5.1 バイナリXML for Javaの概要

バイナリXMLを使用すると、XMLテキストと圧縮バイナリXMLの間でのエンコードおよびデコードが可能になります。アプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)が、XMLアプリケーションによって直接使用されるためにバイナリXMLの上位に提供されます。XML文書のフラグメントの圧縮と解凍により、インクリメンタル処理が促進されます。

この章では、XML Parser for Javaを十分に理解していると想定します。

トピック:

関連項目

5.1.1 バイナリXML格納形式 – Java

バイナリXMLは、XMLデータの簡潔なXMLスキーマ対応エンコーディングですが、XMLスキーマに基づいていないXMLデータでも使用できます。データベース外にあるXMLデータについても(たとえばクライアント側アプリケーションで)バイナリXMLを使用することができます。バイナリXMLを使用すると、テキストからバイナリ、およびバイナリからテキストへのXML文書のエンコーディングおよびデコーディングが可能です。バイナリXMLはネイティブなデータベース・データ型を持つ解析後の永続的なXMLです。

バイナリXML記憶域オプションを使用して、XMLTypeの表および列を作成することができます。バイナリ形式のXMLデータは、XMLTypeを操作する既存のすべてのStructured Query Language (SQL)の演算子と関数、Procedural Language/Structured Query Language (PL/SQL) APIによってアクセスおよび操作できます。

バイナリXMLでは、非構造化記憶域より効率的なデータベースの格納、更新、索引付け、問合せ性能およびフラグメント抽出が可能です。データとメタデータは一緒に、または分けて格納することができます。

関連項目:

Oracle XML DBのすべての記憶域モデルの説明は、『Oracle XML DB開発者ガイド』を参照してください。

5.1.2 バイナリXMLプロセッサ

バイナリXMLプロセッサとは、バイナリXMLをテキストに、またXMLテキストをバイナリXMLに処理および変換するコンポーネントを表す抽象語です。スキーマを格納するためのキャッシュも提供されます。バイナリXMLプロセッサでは、ネットワーク・プロトコル・リクエストを発信または受信できます。

バイナリXMLプロセッサのベース・クラスはBinXMLProcessorです。

5.2 バイナリXMLの使用モデル

バイナリXMLにはいくつかの使用モデルがあります。次のサブセクションで、バイナリXMLの使用に関する用語とモデルについて説明します。

トピック:

5.2.1 バイナリXMLの使用に関する用語

バイナリXMLの使用に関連する用語について説明します。

  • 文書ID: エンコード済の各XML文書は、一意の文書IDにより識別されます。これは、16バイトのグローバル・ユーザー識別子(GUID)またはURLなどの不透明なバイト列です。

  • トークン表: テキストXML文書に、関連付けられたスキーマがない場合、繰返し項目の容量を最小化するためにトークン(または記号)表が使用されます。

  • ボキャブラリID: スキーマID、またはトークン表の名前空間Universal Resource Identifier (URI)です。

  • スキーマID: バイナリXMLプロセッサを有効範囲とするスキーマの一意の不透明なバイナリID。スキーマIDはバイナリXMLプロセッサに対して一意で、そのバイナリXMLプロセッサの有効範囲内でのみ識別可能です。スキーマIDは、スキーマが拡張された場合も不変です。スキーマIDは、インポートされたスキーマやインクルードされたスキーマなどを含むスキーマ文書セットの全体を表します。

  • スキーマ・バージョン: 注釈付きのスキーマにはすべて、それに関連付けられたバージョン番号があります。バージョン番号はシステム・レベルの注釈の一部として指定されます。スキーマが拡張されると(つまり、同一のスキーマの新しいバージョンがそのバイナリXMLプロセッサに登録されると)、バイナリXMLプロセッサによって増分されます。

  • 部分妥当性: バイナリXMLのスキーマを使用するストリーム・エンコーディングは、スキーマに関する少なくとも部分妥当性を前提としています。部分妥当性は、一意のキー、キー参照、識別子(ID)またはIDREFなどのDTD属性の検証がないことを示します。

5.2.2 スタンドアロン・モデル

これはバイナリXMLの最も単純な使用例です。単一のバイナリXMLプロセッサがあります。

使用可能なリポジトリは、永続的でなく、バイナリXMLプロセッサが存在する間のみ使用できる、ローカルなインメモリー・ボキャブラリ・キャッシュのみです。すべてのスキーマはあらかじめエンコーディング前にバイナリXMLプロセッサに登録される必要がありますが、XMLプロセッサがxsi:SchemaLocationタグを認識したときに自動登録させることもできます。デコーディングの場合、スキーマはボキャブラリ・キャッシュですでに使用可能です。

5.2.3 クライアント/サーバー・モデル

クライアント/サーバー・シナリオでは、バイナリXMLプロセッサはJava Database Connectivity (JDBC)を使用してデータベースに接続します。ここでは、XMLスキーマがエンコーディングの前にデータベースで登録されていると想定します。

その実行方法の例を次に示します。

BEGIN
   DBMS_XMLSCHEMA.registerSchema(
   SCHEMAURL => 
   'http://xmlns.oracle.com/xdb/documentation/purchaseOrder.xsd',
   SCHEMADOC => 
   bfilename('XMLDIR','purchaseOrder.xsd'),
   CSID => nls_charset_id('AL32UTF8'),
   GENTYPES => FALSE,
   OPTIONS => REGISTER_BINARYXML );
END;
/

データに対して別個の接続が指定(associateDataConnection()を使用)されているのでなければ、エンコーディングでもデコーディングでも同じ接続を使用してすべてのデータとメタデータが格納および取得されるとします。

5.2.4 リポジトリを使用したWebサービス・モデル

このシナリオでは複数のクライアントがあり、それぞれでバイナリXMLプロセッサが実行されています。1つがエンコードし、もう1つがデコードします。メタデータを格納するための、すべてのクライアントに接続された共有リポジトリ(データベースでなくてもかまいません)があります。これはファイル・システムでも何か他のリポジトリでもかまいません。

最初のバイナリXMLプロセッサは、エンコーディングを実行する前に、スキーマがリポジトリに登録されるか、エンコーディング時にxsi:schemaLocationタグを使用してスキーマが自動的に登録されることを保証します。2番目のバイナリXMLプロセッサはデコーディングに使用され、スキーマの場所を認識しません。スキーマはリポジトリからフェッチします。

最初のバイナリXMLプロセッサがスキーマを登録し、2番目のバイナリXMLプロセッサが同一のスキーマをリポジトリに登録すると、バイナリXMLプロセッサはスキーマをコンパイルしないで、ローカルなボキャブラリ・キャッシュにある、既存のコンパイル済スキーマのvocabulary-idを戻します。

BinXMLProcessorはスレッドセーフではないため、リポジトリにアクセスする複数のスレッドまたはクライアントは独自のスレッド・セーフティ・スキームを実装する必要があります。

5.2.5 リポジトリを使用しないWebサービス・モデル

このシナリオでは複数のクライアントがあり、それぞれでバイナリXMLプロセッサが実行されています。エンコーディングとデコーディングが異なったクライアント上で発生する可能性があります。共有メタデータ・リポジトリはありません。

エンコーダは、次のクライアントに渡されたバイナリ・データがスキーマに依存しない、つまりインライン・トークン定義を持っていることを保証する必要があります。そうするには、エンコード時にsetProperty()メソッドを使用してschemaAware = false、およびinlineTokenDefs = trueと設定します。デコーディング時にスキーマは必要ありません。

5.3 バイナリXML for Javaのコンポーネント

バイナリXML for Javaのコンポーネントについて説明します。

コンポーネントは次のとおりです。

  • バイナリXMLエンコーディング: バイナリXMLエンコーダはXML 1.0 infosetをバイナリXMLに変換します。

  • バイナリXMLデコーディング: バイナリXMLデコーダはバイナリXMLをXML infosetに変換します。

  • スキーマ管理、トークン管理などのバイナリXMLボキャブラリ管理。

トピック:

5.3.1 バイナリXMLエンコーディング

エンコーダはBinXMLStreamから作成されます。これは、XMLテキストを入力として取り、BinXMLStreamにエンコード済バイナリXMLを出力します。ストリーミングSAXを使用してXMLテキストを読み取ります。XMLテキストのエンコーディングは、XMLテキスト解析の結果に基づいています。

エンコーディングがスキーマ対応か、スキーマレスかどうかを指定するエンコーダ上でschemaAwareフラグを設定します。

スキーマ対応のエンコーディングでは、指定されたスキーマURLのスキーマがボキャブラリ・マネージャに登録されているかどうかをエンコーダが決定します。リポジトリベースまたはデータベースベースのプロセッサでは、エンコーダはリポジトリまたはデータベースに対して、スキーマURLに基づいてコンパイルされたスキーマを問い合せます。データベースでスキーマが使用可能である場合、バイナリXML形式でリポジトリまたはデータベースからフェッチされ、ローカルのボキャブラリ・マネージャに登録されます。ボキャブラリはスキーマです。

また、エンコーディングによってスキーマに依存しないバイナリXMLストリームが生成されることを示すフラグを設定します。この場合、結果として生じるバイナリXMLストリームは、すべてのトークン定義インラインを含んでいて、スキーマまたは外部トークン・セットに依存していません。

エンコーディングがスキーマ対応の場合、エンコーダは、SAXストリームをより効率的にエンコーディングするためにスキーマ・オブジェクトからのデータ型情報を使用します。スキーマ組込みの各データ型には、関連付けられたデフォルトのエンコーディング・データ型があります。スキーマを使用するバイナリXMLストリーム・エンコーディングは、スキーマに関する少なくとも部分妥当性を前提としています(部分妥当性の場合、一意のキー、キー参照、IDまたはIDREFなどのDTD属性に関する検証はありません)。スキーマでデータが完全に有効であることがわかっている場合、エンコード済バイナリXMLストリームにその情報が格納されます。

関連項目:

バイナリ・エンコーディング・データ型と、そのXMLスキーマ・データ型からのマッピングに関する表は『Oracle XML DB開発者ガイド』を参照してください

テキストXMLに関連付けられたスキーマがない場合、テキストXML内で繰り返される項目について整数のトークンIDが生成されます。トークンIDとトークン定義の表を作成することは、重要な圧縮テクニックです。トークン定義はボキャブラリ・キャッシュ内にトークン表として格納されます。インライン・トークン定義のプロパティが設定されている場合、そのトークン定義は現在のインラインです。

エンコーダ上の別のプロパティは、PSVI(Post-Schema-Validated Infoset)情報をバイナリ・ストリームの一部として指定しています。これがtrueに設定されると、DOM上のPSVI用のXDK拡張APIを使用してPSVI情報にアクセスできます。psvi = trueの場合、入力XMLはスキーマに関して完全に検証されます。psvifalseの場合、PSVI情報は出力バイナリ・ストリームに含まれません。デフォルトはfalseです。

関連項目

5.3.2 バイナリXMLデコーディング

バイナリXMLデコーダはバイナリXMLをXML infosetに変換します。デコーダはBinXMLStreamから作成されます。このストリームからバイナリXMLを読み取り、SAXイベントを出力するか、デコードされたXMLの読取りのためのPull型InfosetReader APIを提供します。

XMLスキーマがBinXMLStreamに関連付けられている場合、バイナリXMLデコーダは、デコーディングの前にボキャブラリIDを使用してボキャブラリ・キャッシュから関連付けられたスキーマ・オブジェクトを取得します。ボキャブラリ・キャッシュにスキーマがなく、サーバーへの接続情報はある場合、スキーマはサーバーからフェッチされます。

スキーマがBinXMLStreamに関連付けられていない場合、トークン定義はBinXMLStream内のインラインであっても、トークン・セットに格納されていてもかまいません。対応する名前空間のトークンが、ローカルなボキャブラリ・キャッシュの中に格納されていない場合、トークン・セットはリポジトリからフェッチされます。

5.4 バイナリXMLボキャブラリ管理

バイナリXMLプロセッサのタイプは、メタデータの場所(スキーマまたはトークン・セット)に応じて異なります(ローカル・バイナリXMLプロセッサまたはリポジトリ・バイナリXMLプロセッサ)。

トピック:

5.4.1 スキーマ管理

メタデータの永続性を考慮して、DBバイナリXMLプロセッサを使用することをお薦めします。この場合、スキーマとトークン・セットはデータベースに登録されます。ボキャブラリ・マネージャはスキーマまたはトークン・セットをデータベースからフェッチし、エンコーディングとデコーディングのためにローカルのボキャブラリ・キャッシュにキャッシュします。

データベースでないパーシステントなメタデータ・リポジトリを使用する必要がある場合、独自のメタデータ・リポジトリにプラグインすることができます。このリポジトリBinXMLMetadataProviderで通信するためには、インタフェースを実装する必要があります。

トピック:

関連項目

5.4.1.1 バイナリXMLボキャブラリ管理のためのスキーマ登録

XMLスキーマは、ローカル・バイナリXMLプロセッサにローカルに登録します。これには、存続期間にユーザーにより送信されたすべてのXMLスキーマを保持するボキャブラリ管理があります。ローカル・バイナリXMLプロセッサに関連付けられたボキャブラリ・マネージャは、XMLスキーマに永続性を提供しません。

同一のXMLスキーマ(スキーマの場所とターゲット名前空間が同一)を再度登録する場合、スキーマは解析されず、既存のボキャブラリ識別子が戻されます。

ターゲット名前空間は同じでスキーマの場所が異なる新しいXMLスキーマを登録すると、既存のXMLスキーマ定義が増大した新しいスキーマ定義ができます。競合の場合は、エラーが発生します。

5.4.1.2 スキーマ識別

各スキーマはボキャブラリIDによって識別されます。ボキャブラリIDはプロセッサの有効範囲内にあり、プロセッサの範囲内で一意です。スキーマを使用して検証する文書はすべて、スキーマの最新バージョンを使用して検証する際に必要になります。

5.4.1.3 スキーマ注釈

バイナリXMLスキーマ注釈は、XMLスキーマ内の要素<xsd:appInfo>内にのみ出現できます。ボキャブラリ・マネージャは、XMLスキーマの登録中にユーザー・レベル注釈とシステム・レベル注釈を解釈します。データベース関連の注釈などのその他すべてのスキーマ注釈は無視されます。

5.4.1.4 ユーザー・レベル注釈

ユーザー・レベル注釈は、登録の前にユーザーによって指定されます。

encodingType: この注釈はxsd:elementxsd:attributeまたはxsd:simpleType要素の中で使用できます。要素または属性のノード値をエンコードするために使用されるデータ型を示します。文字列に関しては、このリリースでは8ビット・エンコーディングのUnicode (UTF-8)エンコーディングのサポートのみがあります。

5.4.1.5 システム・レベル注釈

ボキャブラリ・マネージャは、登録時にシステム・レベル注釈を追加します。これらは上書きできません。

5.4.2 トークン管理

トークン・セットはデータベースまたはメタデータ・リポジトリからフェッチされ、ローカルのボキャブラリ・マネージャにキャッシュされて、デコーディングに使用できます。エンコーディング時には、永続性を考慮してトークン・セットをリポジトリにプッシュすることができます。

エンコーダ上にフラグを設定することで、トークン定義をバイナリXMLストリームの一部にも含めることができます。

5.5 JavaバイナリXMLパッケージの使用

バイナリXMLパッケージの使用について説明します。

BinXMLStreamクラスはバイナリXMLストリームを表します。バイナリXMLストリームに対して定義されている様々な格納場所を次に示します。

  • InputStream: 読取り用ストリーム

  • OutputStream: 書込み用ストリーム

  • URL: 読取り用ストリーム

  • File: 読み書き用ストリーム

  • BLOB: 読み書き用ストリーム

  • バイト配列: 読み書き用ストリーム

  • メモリー内: 読み書き用ストリーム

BinXMLStreamオブジェクトは、作成時に格納タイプを指定します。

BinXMLStreamオブジェクトはBinXMLProcessorファクトリから作成することができます。このファクトリは、JDBC接続(リモート・メタデータ・アクセスの場合)、接続プール、URLまたはPageManagerPool(遅延型インメモリー格納の場合)で初期化することができます。BinXMLEncoderおよびBinXMLDecoderは、エンコーディングまたはデコーディングのためにBinXMLStreamから作成できます。

リポジトリを持たないプロセッサを作成し、スキーマを登録し、XML SAXイベントをスキーマ対応のバイナリ形式にエンコードし、ファイルに格納する例を次に示します。

BinXMLProcessor  proc = BinXMLProcessorFactory.createProcessor();
proc.registerSchema(schemaURL);
BinXMLStream outbin = proc.createBinaryStream(outFile);
BinXMLEncoder enc = outbin.getEncoder();
enc.setSchemaAware(true);
ContentHandler hdlr = enc.getContentHandler();

ContentHandlerを取得できる他、次のように他のハンドラも取得できます。

LexicalHandler lexhdlr = enc.getLexicalHandler();
DTDHandler dtdhdlr = encenc.getDTDHandler();
DeclHandler declhdlr = enc.getDeclHandler();
ErrorHandler errhdlr = enc.getErrorHandler();

SAXイベントを生成するアプリケーションではhdlrを使用します。

2. データベース・リポジトリを持つプロセッサを作成し、スキーマ対応のバイナリ・ストリームをデコードし、Pull APIを使用してデコードされたXMLを読む例を次に示します。デコーディング用のスキーマはデータベース・リポジトリからフェッチされます。

DBBinXMLMetadataProvider dbrep = 
     BinXMLMetadataProviderFactory.createDBMetadataProvider();
BinXMLProcessor proc = BinXMLProcessorFactory.createProcessor(dbrep);
BinXMLStream inpbin = proc.createBinaryStream(blob);
BinXMLDecoder dec = inpbin.getDecoder();
InfosetReader xmlreader = dec.getReader();

デコーダからPull型でXMLを読み取るにはxmlreaderを使用します。

トピック:

5.5.1 バイナリXMLエンコーダ

エンコーダがXML入力を取得すると、それはSAXイベントを使用して解析および読取りを受け、バイナリXMLを出力します。

トピック:

5.5.1.1 スキーマなしオプション

エンコーディングの前に、スキーマ対応オプションとスキーマなしオプションのいずれかを指定することができます。デフォルトはスキーマなしエンコーディングです。

スキーマ対応オプションを設定すると、エンコーディングはインスタンス・ドキュメントで指定されたスキーマに基づいて行われます。エンコーディングに使用された注釈付きスキーマは、デコーディング時にも必要になります。スキーマなしオプションを指定すると、エンコーディングはスキーマに依存しませんが、トークンはデフォルトでインラインです。デフォルトをオーバーライドするには、Inline-token = falseを設定します。

5.5.1.2 インライン・トークン・オプション

エンコーディングの前に、インライン・トークン定義を持つバイナリXMLストリームを作成するオプションを設定することができます。インライン化をオフにした場合、エンコーダまたはデコーダのプロセッサが同一のメタデータ・リポジトリを使用することを確認する必要があります。デフォルトでは、トークン定義はインラインです。

スキーマ対応オプションがオンの場合、フラグInline-tokenは無視されます。

図5-1 バイナリXMLエンコーディング

図5-1の説明が続きます
「図5-1 バイナリXMLエンコーディング」の説明

5.5.2 バイナリXMLデコーダ

バイナリXMLデコーダはバイナリXMLストリームを入力として取り、出力としてSAXイベントを生成するか、デコードされたXMLを読み取るためのPull型インタフェースを提供します。XMLスキーマ対応バイナリXMLストリームの場合、バイナリXMLデコーダはスキーマ情報を抽出するためにボキャブラリ・マネージャと対話します。

ボキャブラリ・マネージャに必須スキーマが含まれず、プロセッサのタイプが有効JDBC接続を伴うバイナリXMLの場合、リモート・スキーマは、デコードされるバイナリXMLストリームのボキャブラリIDに基づいてデータベースまたはメタデータ・リポジトリからフェッチされます。同様に、トークン定義の集合をデータベースまたはメタデータ・リポジトリからフェッチすることができます。

図5-2 バイナリXMLデコーダ

図5-2の説明が続きます
「図5-2 バイナリXMLデコーダ」の説明

5.5.3 スキーマ登録の概要

XMLスキーマをバイナリXMLプロセッサに登録します。スキーマは、ユーザー・レベル注釈が含まれている可能性のあるテキスト・ファイルです。登録プロセスの一環として、プロセッサによりシステム・レベル注釈が追加されます。結果として生じる注釈付きスキーマは、Schema Builderによって処理されてXMLスキーマ・オブジェクトを構成します。

このXML Schemaオブジェクトはボキャブラリ・キャッシュに格納されます。ボキャブラリ・キャッシュは各XML Schemaオブジェクトに一意のボキャブラリIDを割り当て、それが出力として戻されます。XMLスキーマの注釈付きDOM表現が、バイナリXMLエンコーダに送信されます。

5.5.4 xsi:schemaLocationの解決

xsi:schemaLocationを解決する方法について説明します。

エンコーディング時に、schemaAwareがtrueでプロパティImplcitSchemaRegistrationtrueの場合、XMLインスタンス・ドキュメントのルート要素にある最初のxsi:schemaLocationタグは、そのスキーマをローカルのボキャブラリ・マネージャに自動的に登録します。他のschemaLocationタグは明示的に登録されません。プロセッサがデータベース指向の場合、メタデータ・リポジトリ・ベースのプロセッサと同様にスキーマもデータベース内に登録されています。

エンコーディングのschemaAwarefalseに設定されるか、ImplcitSchemaRegistrationfalseの場合、xsi:schemaLocationタグはエンコーダによってすべて無視されます。

5.5.5 バイナリXML

バイナリXMLプロセッサは、バイナリXMLスキーマ、トークン・セットおよびバイナリXMLストリームの格納と取得など、様々なタイプのバイナリXML操作のためにデータベースと通信することができます。

DBBinXMLMetadataProviderオブジェクトは、スキーマやトークン・セットなどのボキャブラリ情報にアクセスするために、専用のJDBC接続または接続プールを使用してインスタンス化されます。また、XMLデータにアクセスするために、プロセッサは1つ以上のデータ接続を使用して関連付けられています。

データベース通信は、次のような場面で使用されます。

  1. ボキャブラリIDまたはスキーマURLを使用したコンパイル済バイナリXMLスキーマの抽出

    エンコーディングのためにコンパイル済バイナリXMLスキーマを取得する場合、スキーマURLに基づいてデータベースへの問合せが行われます。バイナリXMLスキーマのデコーディングでは、ボキャブラリIDに基づいてデータベースからスキーマをフェッチします。

  2. スキーマURLの使用とボキャブラリIDの取得によるコンパイル済でないバイナリXMLスキーマの格納。

    エンコーディング時にxsi:schemaLocationタグが見つかると、データベースへの永続的な格納のためにスキーマがデータベースに登録されます。スキーマに関連付けられたボキャブラリIDは、コンパイル済スキーマのバイナリ・バージョンと同様、データベースから取得されます。コンパイル済スキーマ・オブジェクトが構成され、データベースから戻されたボキャブラリIDを使用してローカル・キャッシュに格納されます。

  3. 名前空間URLを使用したバイナリ・トークン・セットの取得。

    デコードされるバイナリ・ストリームがデコーディングのためにトークン表で関連付けられている場合、それらはメタデータ接続を使用してデータベースからフェッチされます。

  4. 名前空間URLを使用したバイナリ・トークン・セットの格納

    XMLテキストをスキーマなしでエンコードすると、トークン定義のトークン・セットが生成されます。これらのトークン表はデータベース内に永続的に格納されることができます。メタデータ接続は、トークン・セットをデータベースに転送するために使用されます。

  5. リモート記憶域オプションを持つバイナリXMLストリーム

    エンコーディングの結果を格納し、デコード用にバイナリXMLを取得するために、バイナリXMLを持つXMLType列が含まれた表は、ユーザーが作成します。データベースとの通信は、Oracle Net ServicesおよびJDBCで行うことができます。JDBC問合せの出力結果セットからXMLTypeオブジェクトをフェッチします。バイナリ・データを読み取るため、またはバイナリ・データを書き出すためのBinXMLStreamは、XMLTypeオブジェクトから作成することができます。バイナリXMLデータの読み書きをサポートするには、XMLTypeクラスを拡張する必要があります。

5.5.6 メタデータの永続的格納

メタデータの永続的なバックエンド記憶域を提供できます。

ローカルのボキャブラリ・マネージャおよびキャッシュは、BinXMLProcessorが存続する間、メモリーにメタデータ情報を格納します。インタフェースBinXMLMetadataProviderを実装してBinXMLProcessorにプラグインすることにより、メタデータの独自のバックエンド記憶域をプラグインできます。現在のところ、メタデータ・プロバイダは各プロセッサにつき1つのみサポートされています。

インタフェースBinXMLMetadataProviderを実装するFileBinXMLMetadataProviderをコーディングする必要があります。エンコーダとデコーダはこれらのAPIを使用して、永続的なバックエンド記憶域からメタデータにアクセスします。永続的な記憶域の構成情報を設定します。たとえば、ファイル・システムの場合のルート・ディレクトリをFileBinXMLMetadataProviderクラスに設定します。FileBinXMLMetadataProviderをインスタンス化してBinXMLProcessorにプラグインします。