8 Oracle Engineered Systems
Oracleは高可用性環境でOracle Databaseを実行するための専用に設計されたシステムを提供しています。
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Oracle Exadata Database Machine - Oracle Databaseの実行に対し最も高いパフォーマンスと最も高い可用性
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Oracle SuperCluster - Oracle Databaseおよびアプリケーションに最適な多目的エンジニアリング・システム
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Oracle Database Appliance - 最も単純で高可用性なOracle Databaseアプライアンス
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Zero Data Loss Recovery Appliance - エンタープライズ内のすべてのOracle Databaseを保護するよう設計されたクラウド規模のエンジニアド・システムであり、最適化されたバックアップおよびリカバリ・アプライアンスです。
この章の内容は次のとおりです。
8.1 Oracle Exadata Database Machine
Oracle Exadata Database Machineは事前に最適化および構成が行われたソフトウェア、サーバーおよびストレージを備えた設計されたシステムで、現在のベスト・プラクティスに構成され、スキャン集中型のデータ・ウェアハウス・アプリケーションから同時実行性の高いOLTPアプリケーションまで、あらゆるデータベース・ワークロードに対して最適なソリューションを提供します。Oracle Exadata Storage Server Software、Oracle Databaseソフトウェアおよびハードウェア・コンポーネントを組み合わせることにより、可用性が高く、非常にセキュアな環境で卓越したパフォーマンスを実現します。Oracle特有のクラスタリングおよびワークロード管理機能により、Database Machineは複数のデータベースを単一グリッドへ統合するのにも適しています。
Oracle Exadata Database MachineはOLTP、データ・ウェアハウス・アプリケーション、データベースの統合、メモリー集中型のワークロードおよびクラウド・コンピューティングに高いパフォーマンス、スケーラビリティおよび可用性を提供するように設計されています。これはOracle Database機能に焦点を当てた唯一の設計されたシステムで、Exadata Smart Flashテクノロジ、Exadata I/Oリソース管理、Exadataスマート・オフロード機能を使用して、すべてのデータベース・ワークロードに対して完全に最適化されています。データベースのパフォーマンス、スケーラビリティおよび可用性の最適な組合せのために、Exadata MAAアーキテクチャを使用します。
Oracle Exadata Database Machineハードウェアは単一障害点のない状態では完全に冗長です。Oracle Exadata Database Machineで使用されるOracleソフトウェアは、MAAベスト・プラクティスとともに使用されて、次の利点を備えたフォルト・トレラント・システムを生成します。
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他のカスタマイズされた構成では30~60秒を超えるのに対して、高速のExadataデータベースまたはストレージ・ノード検出およびフェイルオーバーは2秒未満で実行できるなど、最小低下最適化
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Oracle RACを使用したノードおよびインスタンスの障害全体にわたるデータベースの連続可用性
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低パフォーマンスまたは障害のあるディスクの読取り/書込み操作、検出、分離、削除に対するI/Oレイテンシ・キャッピング、アプリケーションとデータベースのパフォーマンスおよび可用性を最高の状態で維持するためのストレージおよびネットワーク・リソース管理など、優れた高可用性およびパフォーマンスのサービス品質機能
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パッチ適用の自動化と最適化、スマート・ハードウェア・アラート、Exadata AWRレポートなどの機能による高可用性管理の簡素化
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Oracle ASMおよびOracle Exadata Storage Serverソフトウェアを使用したディスクおよびセルの障害全体にわたるデータ保護およびデータベースの連続アクセシビリティ
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Oracle ASM自動修復メカニズム、Exadataストレージ内の組込み破損チェックおよび推奨されるデータベースのデフォルト設定(
db_block_checksum
、db_lost_write_protect
)を使用した、データ破損の防止および自動修復 -
アイドル・リソースがある場合に、Exadataの自動ハード・ディスク修正および修復で、破損または消耗しているディスク・セクター(ストレージのクラスタ)があるハード・ディスクや、その他の物理的または論理的な不具合を定期的に検査および修復
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冗長およびフォルト・トレラント・ネットワーク、ケーブルおよびサーバー相互接続を提供
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Oracle Exadata Database Machineまたはマシンが存在するデータ・センターで障害が発生した場合に、Oracle Active Data GuardまたはOracle GoldenGateを使用して、データベース・サービスを迅速に再構築できる機能を提供
計画メンテナンスに対し、Oracle Exadata Database Machineは次の利点をもたらします。
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Oracle ASM、Oracle ClusterwareおよびOracle RACローリング・アップグレードまたはソフトウェア変更のサポート
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Oracle Exadata Storage Server Softwareのパッチ用ローリング・アップグレードのサポート
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Data GuardおよびOracle GoldenGateを使用したアプリケーションおよびシステム変更が可能
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Oracle Databaseで使用できるオンライン・メンテナンス機能のすべてをサポート
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グリッド・インフラストラクチャとOracle Databaseソフトウェア、データベース・サーバーのオペレーティング・システムとファームウェア(
dbnodeupdate.sh
のみ)、およびすべてのExadataサーバーとインフィニバンド・スイッチ(patchmgr
のみ)に、ローリング方式で自動的にパッチを適用するためのツールとOracle Enterprise Manager 13cのサポートを提供
Oracle Exadata Database Machineを使用すると、Oracle Database高可用性アーキテクチャの選択が簡略化され、ExadataがすべてのMAA参照アーキテクチャに適用されます。
Oracle Exadata Database Machineは、MAA層およびデータベース統合に推奨のプラットフォームです。
推奨するExadata MAAアーキテクチャは次の3つの要素から構成されます。1)本番Exadataシステム(プライマリ)、2)スタンバイExadataシステム、および3)Exadataテストまたは開発システム。
2番目の要素は、プライマリのレプリカであるActive Standby Exadataシステムの場合もあり、これにはExadata Database Machineのすべての利点(「Oracle Data Guard」を参照)が含まれます。
3番目の要素は、「テスト・プラクティスおよび環境の構築」の説明のとおり、プライマリおよびスタンバイExadataシステムとは独立した、開発/テストExadataシステムの場合があります。
OracleのExadataヘルス・チェック(exachk
)を毎月実行することをお薦めします。これはExadataソフトウェア、ネットワーク、およびハードウェア・コンポーネントの最も包括的な構成チェックを提供し、MAAベスト・プラクティスとの差異をレポートするからです。
MAA構成ベスト・プラクティスは、Exadata Database MachineおよびExadata Cellの最初のインストールおよびデプロイ中に引き続き統合され組み込まれます。
関連項目:
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MAA参照アーキテクチャの詳細は、「高可用性アーキテクチャ」を参照してください。
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ExadataをDBaaSプラットフォームとして使用する方法に関するMAAホワイト・ペーパー『データベース統合の高可用性ベスト・プラクティス: Database-as-a-Serviceの基盤』を参照してください。
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Exadata固有のその他のデプロイ後および操作のベスト・プラクティスに関しては、「可用性を最大化するための運用前提条件」およびMAAホワイト・ペーパー 『Exadata Database Machineへの移行のベスト・プラクティス』を参照してください。
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他のExadata MAAベスト・プラクティスについては、OTN Exadata MAAのWebサイトを参照してください。
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データ・シート、ビデオおよびその他のリソースについては、https://www.oracle.com/engineered-systems/exadata/index.htmlを参照してください。
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exachk
の詳細は、My Oracle Supportのノート1070954.1を参照してください。
8.2 Oracle SuperCluster
Oracle MiniCluster S7-2、Oracle SuperCluster M7およびOracle Supercluster M6-32は、様々なミッション・クリティカル・アプリケーション、データベースおよびクラウド・サービスを統合する多目的エンジニアド・システムです。
Oracle SuperClusterは理想的には、既存のSPARCおよびIBMデータベースの顧客、または様々なデータベース・リリース(Exadataの場合はOracle 10g以上をOracle 11g以上とのみ比較)とアプリケーション・サーバーの組合せをホストする多目的エンジニアド・システムを好む顧客をターゲットとしています。Oracle SuperClusterにはZFSストレージ・クラスタを使用した追加の共有ストレージがあり、これはデータベース以外のファイルに使用でき、Oracle VM Server for SPARCおよびOracle Solaris Zonesによる仮想化サポートもあります。Oracle Exadata Database Machineは引き続き推奨するデータベース・マシンですが、多目的ソリューションが必要な場合、Oracle SuperClusterであれば、アプリケーション層にその他の機能が提供されます。
多目的のデータベースおよびアプリケーションの処理システムが必要な場合、MAAサービス・レベル層アーキテクチャには、Oracle SuperClusterをお薦めします。Oracle SuperCluster M6-32は、どのOracleエンジニアド・システムにも、インメモリー・フットプリントを提供します。また、フルスタックのフェイルオーバーまたはスイッチオーバーの場合で、データベース以外のファイルを保護する必要がある場合、Data GuardとZFSストレージ・リモート・ミラーリングの組合せを使用できます。また、OracleのExadataヘルス・チェック(exachk
)を毎月実行することをお薦めします。これはExadataソフトウェア、ネットワーク、およびハードウェア・コンポーネントの最も包括的な構成チェックを提供し、MAAベスト・プラクティスとの差異をレポートするからです。
関連項目:
Oracle SuperClusterドキュメントについては、Oracle Engineered Systemsドキュメントを参照してください。
データ・シート、ビデオおよびその他のリソースについては、「Oracle SuperCluster」を参照してください。
exachk
の詳細は、My Oracle Supportのノート1070954.1を参照してください。
8.3 Oracle Database Appliance
Oracle Database Applianceは、デプロイメント、メンテナンス、および高可用性データベース・ソリューションのサポートを簡略化することにより、顧客の時間とお金を節約する、ハードウェアおよびソフトウェアから構成されるエンジニエアド・システムです。Oracle Real Applications Clusters (Oracle RAC)およびOracle Automatic Storage Managementのベスト・プラクティスで構築され、ソフトウェア、サーバー、ストレージおよびネットワークを1つのボックスに完全に統合したシステムを顧客に提供し、広範囲の自身で作成およびパッケージ化したOLTPおよびデータ・ウェアハウスのワークロードに対して高可用性データベース・サービスを提供します。Oracle Linuxで稼働する2サーバー・ノード、18TBのRAWストレージおよびSSD容量が800GBの4RU (ラック・ユニット)サーバー・アプライアンスとして出荷されますが、オプションの拡張シェルフを使用すればこれを2倍にすることが可能で、ストレージは36TBのRAW、SSDは1.6TBになります。
高可用性システムの構築は、困難で複雑である可能性があり、多くの組織が持っていないような高度な統合スキルを必要とする場合があり、ベンダーのアカウンタビリティなしでは危険でエラーが発生しやすくなります。Oracle Database Applianceは簡易で、信頼でき、値段が手ごろです。
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シンプル
Oracle Database Applianceをデプロイおよび使用するには、開封して、電源コードとネットワーク・ケーブルを差し込み、Oracle Appliance Managerインストールを実行して、クラスタ化された高可用性データベースを作成するだけです。Oracle Database Applianceおよびその特別に設計されたソフトウェアにより、ソフトウェア・スタックのすべての要素(ファームウェア、オペレーティング・システム、クラスタウェア、ストレージ・マネージャおよびデータベース・ソフトウェア)に対し「1ボタン」パッチ適用が可能になります。
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信頼性
Oracle Database ApplianceはOracleソフトウェア・スタックに構築されて、2サーバー・ノード間の600GB SASハード・ディスク・ドライブを含む記憶域とともに完全に統合され、二重または三重ミラー化されて高可用性共有記憶域を提供できます。このアプライアンスは、インスタンス障害の場合にOracleデータベースを保護するために三重ミラー化されたSAS Solid State DrivesをREDOログ用に含むことができます。アプライアンス・マネージャはOracle Automatic Storage Management (ASM)とともに、パフォーマンスおよび可用性のためにディスクを自動的に構成、管理および監視します。Oracle Appliance Managerは、ハード・ディスク障害の場合に置換ドライブを自動的に構成するだけでなく、パフォーマンスおよび可用性イベントの場合にアラートを提供します。
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手頃な値段
Oracle Database Applianceでは、データベースのデプロイ用に、必要に応じて容量を追加できるプラットフォームが提供されるだけでなく、最初に、ベア・メタル・オプションの最小4コアをライセンスし、追加のコアはいつでもアクティブ化できるため、ライセンス・コストを最小化できます。Oracle VMのハード・パーティショニングを使用してデータベースとその他のワークロードを分離できるため、仮想化によって、ライセンスの柔軟性がさらに高まります。
簡易さを高く評価し、高可用性データベース・ソリューションのデプロイにおいて複雑さ、コストおよびリスクを回避しようとする顧客にとって、Oracle Database Applianceは理想的なデータベース・アプライアンスです。Oracle Database Applicationは、Exadataソフトウェア機能と追加の可用性(ソフトウェア・スタックのすべての要素に対する「1ボタン・パッチ」と対照的なローリング・パッチ・アップグレード)によるExadata Database Machineの追加のパフォーマンスおよびスケーラビリティを必要としないデータベース顧客にも理想的です。顧客は特別なスキルやHAの専門知識がなくても高可用性(HA)データベース・ソリューションの利点を得ることができます。
小規模な環境に、統合密度の高い標準プラットフォームが必要な場合、Oracle Database Applianceは、MAAサービス・レベル層アーキテクチャ向けの選択肢の1つです。推奨するOracle Database Appliance MAAアーキテクチャは次の3つの要素から構成されます。1)本番Oracle Database Applianceシステム(プライマリ)、2)スタンバイOracle Database Applianceシステム、および3)Oracle Database Applianceテストまたは開発システム。オペレーティング・システム、グリッド・インフラストラクチャおよびデータベース設定で、包括的に構成をチェックするために、Oracleヘルス・チェック(orachk
)を実行することをお薦めします。
関連項目:
Oracle database Applianceドキュメントについては、Oracle Engineered Systemsドキュメントを参照してください。
ホワイト・ペーパー、ビデオおよびその他のリソースについては、「Oracle Database Appliance」を参照してください。
orachk
の詳細は、My Oracle Supportのノート1268927.2を参照してください。
8.4 Zero Data Loss Recovery Appliance
クラウド規模のZero Data Loss Recovery Appliance (通常、リカバリ・アプライアンスと呼ばれる)は、エンタープライズ内のすべてのOracleデータベースでデータ損失とバックアップ・オーバーヘッドを劇的に削減するエンジニアド・システムです。Recovery Manager (RMAN)と統合したリカバリ・アプライアンスによって、クラウド規模の耐障害性の高いハードウェアと記憶域を使用し、多数のデータベースに対応する、集中管理された永久的増分バックアップ計画が実現します。リカバリ・アプライアンスでは、継続してバックアップのリカバリ可能性が検証されます。リカバリ・アプライアンスはMAA参照アーキテクチャを拡張および改善でき、特に固有のデータベース・バックアップ検証と保護機能により、Oracle MAAの推奨バックアップおよびリカバリ・ソリューションの一部になっています。
データベースのバックアップとリカバリのほとんどの処理は、集中管理されるリカバリ・アプライアンスで実行され、記憶域使用率、パフォーマンスおよびバックアップの管理性が向上します。リカバリ・アプライアンスは、RMANの永久的増分計画を使用して、複数のデータベースのバックアップを1つの統合ディスク・プールで格納および管理します。リカバリ・アプライアンスは、データベース・ブロック・レベルで継続的にバックアップの圧縮、重複解除および検証を行い、一方ではオンデマンドで仮想完全バックアップを作成します。
仮想完全バックアップは、1つのポイント・イン・タイムでの完全なデータベース・イメージです。リカバリ・アプライアンスによる保護データベースの増分バックアップのインデックス化を通じて、仮想完全バックアップは効率よく管理されます。仮想完全バックアップは、受け取ったどの増分バックアップにも対応できます。
管理者は、Oracle Enterprise Manager Cloud Control (Cloud Control)を使用して環境を管理およびモニタリングします。Cloud Controlでは、バックアップが存在する場所(ディスク、テープまたは別のリカバリ・アプライアンス)にかかわらず、各データベースのバックアップ・ライフサイクル全体を一目で把握することができます。
リカバリ・アプライアンスには、次のメリットがあります。
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データ損失の解消
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最小限のバックアップ・オーバーヘッド
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データ保護の総合的な視点の強化
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クラウド規模の保護
関連項目:
『Zero Data Loss Recovery Appliance管理者ガイド』
『Zero Data Loss Recovery Appliance保護されたデータベースの構成ガイド』
MAAホワイト・ペーパーについては、MAAベスト・プラクティス - Zero Data Loss Recovery Applianceを参照してください。