1 Oracle Database 12cリリース2 (12.2)の新機能

この章では、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)のすべての新機能を説明します。

アプリケーション開発

データベース開発生産性ツールの拡張

Application Express 5.0: パッケージ・アプリケーション

Oracle Application Expressリリース5.0には、パッケージ・アプリケーションと呼ばれるポイント・ソリューションの幅広いコレクションが含まれています。これらは、すぐに使用可能でOracle DatabaseによってサポートされているApplication Expressアプリケーションです。例として、プロジェクト・トラッキング、サーベイ・ビルダー、議事メモおよびグループ・カレンダがあります。生産性アプリケーションは全部で19個あります。さらに、Oracle Application Expressの機能をサンプル・チャートからサンプル・データ・ロードに表示するために使用されるサンプル・アプリケーションが16個あります。リリース5.0には、すべてのOracle Databaseに存在する強力な空間的機能を示すサンプル・アプリケーションも含まれています。

Oracle Application Expressリリース5.0のパッケージ・アプリケーションは、ポイント・ソリューションおよび学習例として非常に一般的です。  

Application Express 5.0: ページ・デザイナ

ページ・デザイナは、最新および直感的で非常に強力なブラウザ・ベースの統合開発環境(IDE)です。開発者の生産性が大幅に向上するように設計された完全に新しいIDEとして、ページ・デザイナにより、Application Expressアプリケーションを迅速に開発および維持できます。  ページ・デザイナは、視覚的表現やアプリケーション・ページが改善することを特徴とし、直感的なドラッグ・アンド・ドロップを使用してページを迅速に開発する完全に新しい方法を提供します。拡張されたコード・エディタにより、SQLおよびPL/SQLの検証に、インライン・エラー、オート・コンプリート、構文の強調表示、regexを使用する検索および置換のサポート、元に戻す/やり直し機能のサポートが提供されます。

Oracle Application Expressページ・デザイナを使用すると、開発者の生産性が大幅に向上し、密接したユーザー・エクスペリエンス、改善された視覚的表現、直感的なドラッグ・アンド・ドロップ、および強化されたコード・エディタが提供されます。

Application Express 5.0: ユニバーサル・テーマ

ユニバーサル・テーマは、Oracle Application Expressリリース5.0のアプリケーションのための新しいユーザー・インタフェースです。これは、単純ですが優れたテーマで、過剰なテンプレートをなくし、組込みのテーマ・ローラーおよびテンプレート・オプションを使用してカスタマイズを可能にします。ユニバーサル・テーマによって、開発者はHTML、カスケード・スタイルシート(CSS)またはJavaScriptの専門知識がなくても、最新で応答性が高く洗練されたアプリケーションを構築できます。

Oracle Application Expressユニバーサル・テーマでは、テーマ・ローラー、テンプレート・オプション、応答性があるデザイン、アクセシビリティなど、多くの新しい機能が提供されます。

Application Express 5.0: ユーザー・インタフェースの拡張機能

ユニバーサル・テーマの開発に伴い、テーマおよびテンプレートの処理に対する拡張機能もいくつか加えられています。Oracle Application Expressリリース5.0には、テーマ・サブスクリプション、テンプレート・オプション、テーマ・スタイルなどの機能が含まれています。  これらの機能により、Application Expressエンジンで生成されるテンプレートおよびHTMLをより詳細に制御します。アプリケーション・ユーザー・インタフェースの完全な制御は、これまでよりも容易になっています。

Oracle Application Expressリリース5.0では、開発者は、最新で応答性があり美しく、すぐに使用可能なアプリケーションを簡単に構築できます。

Application Express 5.0: アプリケーション・ビルダーの設計の改善

Oracle Application Expressリリース5.0では、単純化し、乱雑さをなくすことにより、ユーザー・エクスペリエンスの向上に重点を置いた新しいユーザー・インタフェースが導入されています。新しいデザインでは、新色のパレット、慎重に作成されたアイコン、および大幅に改善されたメニューとナビゲーションを使用しています。また、新しいデザインでは、改善されたアクセシビリティとキーボード・サポート、より直感的なページ・レイアウト、および他の多くの拡張機能が提供されます。

Oracle Application Expressリリース5.0アプリケーション・ビルダーは、開発者にとってより直感的で生産的になります。

Application Express 5.0: 対話モード・レポート

対話モード・レポートは、開発者とエンド・ユーザーの両方の機能を強化するように、Oracle Application Expressリリース5.0で完全に再構築されています。新機能には、単一ページに複数のレポートを定義する機能、列ピボット、固定ヘッダー、および最新化されたアクションがあります。Oracle Application Express内の他のリージョンの場合と同様の方法で、カスケード・スタイルシート(CSS)を使用して対話モード・レポート・リージョンのスタイルを新しくすることもできます。

Oracle Application Expressリリース5.0の対話モード・レポートは、開発者とエンド・ユーザーの両方の機能を拡張します。

Application Express 5.0: モバイルの拡張機能

リフロー表または列切替えを使用して、モバイル・デバイス上のすべてのデータを表示するレポートを作成できるようになりました。リフロー表では、非常に小さい画面に複数の行を表示するために、各列がラップされるか表示が変更されます。列切替えを使用すると、小さい画面で、必要に応じて、表示する最も重要な列および非表示にする列を指定できます。パネルは、モバイル・アプリケーションに組み込まれ、ナビゲーション・メニューを表示するために使用されます。

Oracle Application Expressリリース5.0モバイルの改善により、改善されたモバイル・ファースト・アプリケーションの開発が可能になります。

Application Express 5.0: モーダル・ダイアログのページ

標準ページ・プロセスを使用する機能を備えたモーダルおよび非モーダル・ページを簡単に定義できるようになりました。JavaScriptを使用してページを手動で編集する必要はなくなりました。かわりに、表示タイプと適切なテンプレートを設定し、Oracle Application Expressで他の処理を自動実行できます。

Oracle Application Expressリリース5.0のモーダル・ダイアログ・ページにより、開発者は、大量のカスタム・コードを作成する場合と異なり、簡単にページをモーダル表示できます。

Application Express 5.0: すべての新規カレンダ

新しいカレンダ・コンポーネントには、月、週、日および予定表のビューの組込みサポートが含まれており、はるかにカスタマイズしやすくなります。カレンダは一般的なFullCalendarライブラリに基づいており、ドラッグ・アンド・ドロップ、時間ベースのイベントをサポートし、高い応答性も備えています。期間ベースのイベントを簡単に定義し、カレンダのスタイルを新しくする機能により、開発者とエンド・ユーザーの両方で新しいカレンダが非常に一般的になります。

Oracle Application Expressリリース5.0のカレンダは、期間ベースのイベントをサポートし、大幅にスタイル設定しやすくなります。

一般

SQL*Plusコマンド履歴

SQL*Plusで、以前に実行されたコマンドを再発行する機能が提供されるようになりました。

この機能は、UNIXプラットフォームのコマンドライン・シェルで使用可能なシェルhistoryコマンドに似ています。

SQL*Plusチューニング・オプション

この機能では、新しいSQL*PlusコマンドSET PREFETCHSET LOBPREFETCHおよびSET STATEMENTCACHEが導入されています。SQL*Plusは、プリフェッチ、配列フェッチおよび文キャッシュなどのOracle Databaseの技術を使用できるようになりました。

これらの新しいSETコマンドは、問合せパフォーマンスをチューニングするために使用できます。

拡張可能索引付けの拡張機能

この機能は、システム管理のコンポジット(複数列)ドメイン索引をサポートするように、Oracle Databaseの拡張可能索引付けフレームワークを拡張します。並列性をサポートするために、オブジェクト識別子が拡張可能な索引コールアウト関数に返されます。

DBAはコンポジット・ドメイン索引を手動で管理する必要がなくなりました。これは特に、Oracle Textユーザーに対して有用です。パラレル・ロードおよびパラレル挿入は、ドメイン索引でサポートされるようになりました。これは特に、Oracle XML DBユーザーに対して有用です。

グローバリゼーション・サポートの拡張

列レベルの照合

照合(ソート順序付けとも呼ばれる)は、2つの文字列が比較およびソートされるときに、ある文字列が別の文字列と等しいか、別の文字列の前に来るか後に来るかを決定します。Oracle Databaseでサポートされている多数の照合では、ディクショナリ、名前リストおよび世界の多くの言語で記述された他のソート済テキストで使用されている表記規則に従って、文字列を順序付けできます。列レベルの照合により、ISO、IECおよびANSI SQL標準と互換性がある構文およびセマンティクスを使用して、列レベルでソート順序付けを宣言できます。宣言された照合は、列を参照している照合依存のすべてのSQL操作によって自動的に適用されます。

列レベルの照合機能により、アプリケーション開発が簡略化され、アプリケーションを作成する際の柔軟性が向上します。開発者は、一部のデータのみで言語またはリージョン固有のソート・ルールが必要なアプリケーションに最適に対応することができます。ISO、IECおよびANSI SQL標準構文のサポートにより、列レベルの照合宣言をサポートする非Oracle DatabaseシステムからOracle Databaseへのアプリケーション移行が簡略化されます。

大文字/小文字を区別しないデータベース

Oracle Databaseでは、BINARY_CIGENERIC_M_CIなどの大文字/小文字を区別しない照合をサポートします。このような照合をSQL操作に適用することによって、アプリケーションは、データの言語から独立して、大文字/小文字を区別しない方法で、文字列比較およびマッチングを実行できます。Oracle Database 12cリリース2 (12.2)の列の照合を宣言する新機能を使用して、大文字/小文字を区別しない方法で常に比較するように列を宣言できます。列照合は、明示的に指定されていない場合、表のデフォルト照合から継承され、表のデフォルト照合はスキーマのデフォルト照合から継承されます。この方法では、大文字/小文字を区別せずにデータベース内のアプリケーションのすべての文字の列を簡単に宣言できます。

この機能を使用すると、開発者は、大文字/小文字を区別せずにデータを宣言でき、明示的に大文字にする操作をSQL文に追加する必要がありません。この機能により、このような宣言を許可する非Oracle DatabaseシステムからOracle Databaseへのアプリケーション移行が簡略化されます。

デフォルトのデータベース・キャラクタ・セットとしてのAL32UTF8

AL32UTF8キャラクタ・セットは、Oracle DatabaseインストールおよびDatabase Configuration Assistant (DBCA)でデータベース・キャラクタ・セットのデフォルトになりました。以前は、データベース・キャラクタ・セットのデフォルトの選択は、オペレーティング・システムのロケール設定に基づいていました。これは2番目の選択肢として提供されます。

AL32UTF8キャラクタ・セットは、世界のすべての記述言語をサポートする業種標準UTF-8エンコーディングのオラクル社の実装です。AL32UTF8を新しいデータベース・デプロイメントのデフォルトにすると、データベースはグローバル化された多言語アプリケーションをサポートすることができ、後でUnicodeに移行する際の潜在的なコストを回避します。

Unicode 7.0のサポート

AL32UTF8およびAL16UTF16キャラクタ・セット用の各国語サポート(NLS)データ・ファイルは、Unicode規格キャラクタ・データベースのバージョン7.0に適合するように更新されました。Unicode照合アルゴリズム(UCA)に対するサポートも、UCA 7.0に準拠するように更新されました。

この機能強化の結果、Oracle Databaseは最新バージョンのUnicode標準に準拠しています。

JSONのサポート

JSONの改善

このリリースには、Oracle DatabaseのJavaScript Object Notation (JSON)ドキュメントを格納および問い合せるための重要なサポート拡張機能が組み込まれています。次に改善点を示します。

  • JSON検索の改善:
    • JSONを問合せるための簡素化された構文で使用されるJSONパス式が、配列の特定のメンバーへのナビゲートをサポートするようになりました。
    • JSON_EXISTS条件で使用されるJSON式で、術部がサポートされるようになりました。
  • JSON検索インデックスの改善:
    • 新しい簡素化された構文によって、JSON検索インデックスが簡単に作成できます。
    • JSON検索インデックスは、RANGEおよびLISTの分割された表をサポートします。
    • JSON検索インデックスは、数値の範囲ベースの検索をサポートします。
    • JSON検索索引は、大きいキーを処理できるようになりました。
  • SQL問合せおよびPL/SQLデータからJSONドキュメントを直接生成する新機能。
  • PL/SQLでサポートされるJSON演算子。
  • PL/SQLを使用してJSONドキュメントを操作するためのサポート。これには、JSONドキュメントの増分変更を行う機能が含まれます。
  • Oracle Database In-Memoryを使用してJSON問合せ操作のパフォーマンスを最適化するためのサポート。
  • GeoJSONを含むJSONドキュメントで空間ベースの問合せを実行するためのサポート。
  • JSONドキュメントの構造と内容を容易に理解するための新しいデータ・ガイド機能。
  • 共有データベース構成でJSONを使用するためのサポート。

この機能により、Oracle Databaseに格納されたJSONドキュメントと連携し、リレーショナル・データからJSONドキュメントを生成することが容易になります。

Oracle SQLおよびPL/SQLの改善

静的SQL文でのPL/Scopeレポートおよび動的SQLの呼出し位置

新しいビューDBA_STATEMENTSは、PL/SQLユニットに静的SQLが発生した場合にレポートします。たとえば、文テキスト、タイプ(SELECT、INSERT、UPDATE、またはDELETE)およびSQL_IDをリストします。動的SQLの呼出し位置(EXECUTE IMMEDIATE, OPEN cursor FOR dynamic text="")は、このビュー・ファミリにもリストされます。DBA_IDENTIFIERSビュー・ファミリは、静的SQLで使用される識別子をレポートし、そのタイプ(表、列、マテリアライズド・ビュー、順序など)を書き留めます。

PL/SQLの目的は、SQL文を発行することです。そのため、PL/ScopeがPL/SQLソース・コード内のSQLの使用について知っていると便利です。たとえば、パフォーマンス調査で低速な文のSQL_IDがレポートされる場合、PL /SQLプログラムのそのサイト呼出しをただちに見つけることができます。PL/SQLソースが、動的SQLが使用された、SQLインジェクション・リスクのための品質管理下にある場合、参照するサイトをただちに見つけることもできます。

エラー処理でのCAST関数の強化

既存のCAST機能は、エラーを発生させるのではなく、変換エラーの場合にユーザー指定の値を返すように、強化されました。

この新しい機能により、堅牢で簡略化されたコード開発を行います。

新しいSQLおよびPL/SQL関数VALIDATE_CONVERSION

新しい関数VALIDATE_CONVERSIONは、指定の入力値をリクエストされたデータ型に変換できるかどうかを決定します。

VALIDATE_CONVERSION関数により、堅牢で簡略化されたコード開発を行います。

DBMS_SQLを使用したSQL文へのPL/SQLのみのデータ型のバインド

Oracle Database 12cリリース1 (12.1)では、PL/SQLのみのデータ型(特にレコードのPLS_INTEGER表)の値をSQL文にバインドする機能が導入されました。ただし、今回のリリースではいくつかの制限が解消されています。PL/SQLのみのデータ型は、DBMS_SQL APIを使用し、C外部プロシージャを呼び出すことによって、バインドできるようになりました。

この改善により、ネイティブ動的SQLと同等のDBMS_SQL APIが提供されます。

PL/SQLデバッガの改善

以前のリリースでは、アプリケーションを変更して、デバッグを開始および終了するコールを含める必要がありました。この改善により、1つのデータベース・セッションでデバッグを開始し、別のセッションでデバッグを停止できるようになりました。

また、ブレークポイントで停止すると、デバッグ・ユーザーは、匿名ブロックのストアドPL/SQLサブプログラムを呼び出すPL/SQLコードを実行できることを示す非定型SQLコマンドを発行できます。

これらの改善により、時間のかかるテスト環境や本番環境で問題が発生した場合、別のセッションから問題を調査できます。有効範囲内変数の状態を調べるだけでなく、デバッグされるセッションでコミットされていないトランザクション中にデータベース状態を参照する際に、データベース状態を調べることができるようになりました。

アイテムを非推奨とマークする新しいPL/SQLプラグマ

ユニット全体、ユニット内のサブプログラム、またはユニットで定義されたアイテムに適用して、ユニットまたはアイテムが非推奨であることを示すことができます。非推奨の要素を参照するユニットがコンパイルされると、警告が表示されます。

既存のコードによる機能を、互換性のない方法で再実装することが役立つ場合もあります。たとえば、UTL_CALL_STACKパッケージ(Oracle Database 12cリリース1 (12.1)の新機能)では、以前にDBMS_UTILITYパッケージのFORMAT_CALL_STACK()、FORMAT_ERROR_STACK()およびFORMAT_ERROR_BACKTRACE()プロシージャで提供されていた機能を提供していました。顧客が開発したPL/SQLコードでも同じことが発生します。古いAPIは、その既存の使用量により、新しいAPIが使用可能になってもすぐに削除できません。しかし、その機能を必要とする新しいコードでは、新しいAPIを使用する必要があります。新しいプラグマは、通常の外部ドキュメントが伝達できない機能を持つこのメッセージを伝達する正式な方法を提供します。

マテリアライズド・ビュー: リアルタイムのマテリアライズド・ビュー

マテリアライズド・ビューは、実表と完全に同期しておらず、失効とみなされていても、問合せのリライトに使用できます。デルタ計算のマテリアライズド・ビュー・ログを失効したマテリアライズド・ビューとともに使用して、データベースは、問合せを計算し、正しい結果をリアルタイムに返すことができます。

常に問合せリライトに使用できるマテリアライズド・ビューでは、正確な結果がリアルタイムで計算され、結果は最適化されて、高速な問合せ処理により最高のパフォーマンスを実現します。これにより、最適なパフォーマンスのために常に新しいマテリアライズド・ビューを持つという厳しい要件が緩和されます。

マテリアライズド・ビュー: 文レベルのリフレッシュ

ON COMMITおよびON DEMANDリフレッシュに加えて、マテリアライズド結合ビューは、このようなトランザクションをコミットする必要なく、DML操作の実行時にリフレッシュできます。これは、大部分は、スター・スキーマ・デプロイメントに関連します。

新しいON STATEMENTリフレッシュ機能を使用すると、アプリケーション開発者は、特に複数のDML文が関与する複雑なトランザクションでマテリアライズド・ビューのリライトを柔軟に利用できます。顧客が記述したトリガー・ベースのソリューションを置き換えることができる組込みのリフレッシュ機能が提供され、アプリケーションを簡略化し、パフォーマンスが向上します。

LISTAGG機能の強化

LISTAGGは、列の値を単一の文字列に連結することによってこれらを集計します。連結された文字列の長さが長すぎる状況を管理するための新機能が追加されています。

開発者は、オーバーフローしているLISTAGG集約を管理するプロセスを制御できるようになりました。これによって、この集約関数の生産性と柔軟性が向上します。

DBMS_PLSQL_CODE_COVERAGEパッケージ

 この機能では、基本的なブロック・レベルでデータを収集できる、新しいDBMS_PLSQL_CODE_COVERAGEパッケージが導入されます。

基本ブロックには、単一のエントリ・ポイント(基本ブロック内にコードがない場合はジャンプ命令の宛先です)および単一の終了ポイント(最後の命令のみ、または例外で、実行のポイントを異なる基本ブロックに移動できます)があります。この概念は、プログラミング言語に依存せず、コード・カバレージ・テストの結果のプレゼンテーションで幅広く使用されます。PL/SQL開発者は、この標準品質のメトリックを使用できます。

近似問合せ処理

このリリースでは、近似パーセンタイル集計を追加して近似問合せ処理の領域を拡張しています。この機能を使用すると、大量のデータの処理が正確な集計よりはるかに速くなります。これは、正確な結果とわずかに誤差があり、多数の異なる値を持つデータ・セットの場合に特に該当します。

近似問合せ集計は、現在のデータ分析で一般的な要件です。これにより、処理時間とリソース消費が数倍最適化され、ほぼ正確な結果が提供されます。近似問合せ集計を使用すると、既存の処理が高速化されます。

ホワイト・リスト(ACCESSIBLE BY)の拡張機能

このリリースから、パッケージ内の個々のサブプログラムでホワイト・リストを定義できるようになりました。ACCESSIBLE BY句では、サブプログラムを安全に呼び出せるとみなされるPL/SQLユニットの一覧を指定し、他をすべてブロックします。

細分度を下げることで、パッケージでのACCESSIBLE BY句の使いやすさが向上します。

Oracle Databaseに移行するためのコストと複雑さの低減

長い識別子

識別子の最大長は前のリリースでは30バイトでしたが、ほとんどの識別子で128バイトに増加しました。

識別子が長くなったことで、表名を長くしたりわかりやすい名前を付けるなど、より柔軟にネーミング・スキームを定義できるようになりました。また、識別子が長くなったため、異なる文字セットを使用するデータベース間でオブジェクト名を移行(タイ語からUnicodeへなど)できるようになりました。

長い識別子に対するOracle Java仮想マシンのサポート

Oracle Java仮想マシン(Oracle JVM)のSQL識別子の最大長が128文字になりました。以前のリリースでは、SQL識別子またはデータベース・スキーマ・オブジェクト名の最大長は31文字で、すべての文字が有効で、ターゲット・データベースの文字セットに変換可能であることが必要でした。

通常、Javaクラスおよびメソッドのフル・ネームは31文字制限を超えています。この問題を回避するために、Oracle Databaseは内部で略称(短縮名)を使用しますが、短縮名と完全名(長い名前)間の対応を維持します。

Oracle JVMは再設計されて、SYNONYM、DDL、GRANT、REVOKE、[CREATE | ALTER | DROP] JAVA、DBMS_JAVA、DBMS_JAVA_DEFINERS、DBMS_JAVA_DUMP、DBMS_JAVA_MISC、DBMS_JAVA_TEST、OJVMユーティリティ(ojvmtc、loadjava、dropjava、ojvmjavaojds)を含む、長い名前をサポートするRDBMSコマンドまたはユーティリティを通じて長い識別子をサポートできるようになりました。

SQL識別子の最大長が長くなり、他のRDBMSコンポーネントと互換および統合できるようになりました。また、Oracle JVMでは短縮名と長い名前との間の変換がほとんどまたはまったく不要になったため、パフォーマンスが向上します。

以前にリテラルが必要だった場所で許可されるようになった静的PL/SQL式

以前のリリースでは、次の場所などでリテラルが必要でした。

  • VARCHAR2宣言の制約の長さ。
  • NUMBER宣言の精度と位取り。

式を使用できるようになりましたが、値はコンパイル時に計算を許可する必要があります。

コメントなしで意図が自明になるように、PL/SQLプログラムを記述できるようになりました。変更を加えるサイトはかなり少なくても、変更された要件を反映するようにPL/SQLプログラムを変更することもできます。標準の例は、単純なSQL識別子のテキストを保持するVARCHAR2です。これは、128バイトと追加の2バイトである必要があります。128バイトは名前、2バイトは二重引用符です。

.NETおよびMS開発コミュニティのサポート

長くなったOracle Data Provider for .NETのスキーマ識別子

Oracle Data Provider for .NETは、128文字までの長さのスキーマ・オブジェクト識別子名(表、列、ビュー、ストアド・プロシージャおよびファンクションなど)をサポートするようになりました。この機能は、管理対象ドライバと管理対象外ドライバの両方で使用できます。

長いスキーマ・オブジェクト識別子名を使用できるようになり、データベース・デプロイメントの柔軟性が向上し、Oracle Databaseへのデータベース移行が容易になります。

Real Application Clusters接続ノード・アフィニティ

Oracle Data Provider for .NET (ODP.NET)は、十分に利用されていないノードへの分散トランザクション、Oracle RACロード・バランシング・アドバイザリ、またはOracle RACロード・バランシング・グラビティションが生じた場合に必要に応じて特定のOracle RACノードに接続します。

この機能により、信頼性またはパフォーマンスの向上を保証するために、ODP.NET接続が施行されるOracle RACロード・バランシング・ノードの制御が改善されます。

Entity Framework Code Firstの拡張機能

Entity Framework Code Firstを使用して、開発者は、.NETクラスを使用したオブジェクト・リレーショナル・マップを定義します。これらのクラスは、既存のデータベースに、またはデータベース・スキーマを生成するように、マップできます。管理対象および管理対象外のODP.NETでは、Oracleデータベースでの新しいEntity Framework Code First機能をサポートしています。

最新のEntity Framework Code First機能を使用してEntity Frameworkアプリケーションを開発する開発者は、ODP.NETでこれを行えるようになりました。

.NETクラウドの開発およびデプロイメント

ODP.NETを使用すると、Webデプロイによって、共通ホストおよびサード・パーティのクラウド環境に管理対象ドライバおよび管理対象外ドライバを簡単にデプロイできます。ODP.NET固有のすべての設定では、オペレーティング・システム・レベルの構成は必要なくなりました。このような設定は、.NET構成ファイルで行うことができます。管理対象および管理対象外のODP.NETでは、統合構成ファイル形式を共有できるようになりました。

Oracle .NET開発者は、最小限の手間でアプリケーションをクラウド環境に簡単にデプロイまたは移行できます。

ODP.NET管理対象ドライバ

Microsoft .NET (ODP.NET)管理対象ドライバでは、ODP.NET管理対象外ドライバで使用可能な同じ機能に一致する新しい機能のサポートが追加されます。

これらの新機能が必要な.NET開発者は、アプリケーション向けのODP.NET管理対象ドライバを使用できるようになりました。

長くなったOracle Provider for OLE DBのスキーマ識別子

Oracle Provider for OLE DBは、128文字までの長さのスキーマ・オブジェクト名(表、列、ビュー、ストアド・プロシージャおよび関数など)をサポートするようになりました。

この機能では、長いスキーマ・オブジェクト識別子名を使用することでデータベース・デプロイメントの柔軟性が向上し、Oracle Databaseへのデータベース移行が容易になります。

Java開発コミュニティのサポート

DRCPサーバーのマルチプロパティ・ラベリング

Oracle Call Interface (OCI)クライアントによって使用されるデータベース常駐接続プール(DRCP)接続は、言語設定や日付書式などのセッション状態を保持できます。マルチプロパティ・ラベリングにより、タグ付けされる接続は、後で一致させるためにこれらの各プロパティを記録できます。

DRCP接続を取得する際、細かい粒度でその接続の必須プロパティを指定できるようになると、アプリケーションがセッション状態を不必要に再作成する必要がなくなります。これにより、スケーラビリティとパフォーマンスを向上させることができます。

セッション状態修正のためのPL/SQLコールバック機能

この機能では、アプリケーションがデータベース常駐接続プーリング(DRCP)プール・サーバーの状態を目的の状態に修正できる、PL/SQLコールバック機能を提供します。

アプリケーションでは、アプリケーションの状態の修正を処理したり、DRCPと非DRCPのデプロイメントに別々のコード・パスを指定する必要はありません。この機能では、セッション状態修正の一貫した透過的な実装を行います。

進行中のトランザクションを含むDRCPプール・サーバーの新しいMAX_TXN_THINK_TIME設定

MAX_TXN_THINK_TIMEは、進行中のトランザクションを含むプール・サーバーの思考タイムアウトを指定する、新しいデータベース常駐接続プーリング(DRCP)パラメータです。タイムアウトが発生すると、セッションはロールバックして終了します。この新しいパラメータは、進行中のトランザクションがない接続に適用される既存のMAX_THINK_TIMEとは別のものです。

顧客は、進行中のトランザクションとの接続がトランザクションを持たない接続より後でタイムアウトするように、これらの接続の思考時間を長く設定できるようになりました。これにより、効率的なプールの再利用が可能ですが、不完全なトランザクションの終了に長時間かかります。

DRCPでのプロキシ・セッション共有

この新しい機能により、同じスキーマを使用している異なるプロキシ・ユーザーとして接続するアプリケーション間のデータベース常駐接続プーリング(DRCP)で、プール・サーバーを共有できます。

プロキシ・セッション共有により、DRCPプール・サーバーの共有が増加し、アプリケーションのパフォーマンスが向上します。

パフォーマンス・モニタリングおよびチューニングのためのDRCP統計ビューおよびAWRレポート

この機能では、データベース常駐接続プーリング(DRCP)統計および追加の自動ワークロード・リポジトリ(AWR)スナップショットおよびDRCPをモニタリングするレポート用のビューを提供します。 

この拡張機能により、DRCPのパフォーマンスとスケーラビリティの管理性と診断能力が向上します。

PLSQL_BOOLEANのバインディングに対するJDBCのサポート

SQLブールは、PL/SQLブールがJavaの場合と同様に真のBOOLEANとなるNUMBER型です。この機能により、JDBCはPLSQL_BOOLEAN型をJavaから任意のPL/SQLブロックにバインドする機能をサポートします。

この機能は、PLSQL_BOOLEANからJavaBOOLEANへのシームレスなマッピングを提供します。JavaまたはJDBCプログラムでPLSQL_BOOLEANIN、OUT、IN OUTパラメータとしても使用できます。

Oracle JDBCでのJDK 8およびJDBC 4.2のサポート

Oracle Database 12cリリース1 (12.1)で、Oracle JDBCドライバは、Oracle Databaseの最終リリースで導入されたgetObject()メソッドを補完するsetObject()メソッドなど、JDK 8を介したJDBC 4.2標準を完全にサポートします。

この機能により、Java SE 8およびJDBC 4.2標準で有効化された移植性が提供されます。

XMLを使用したOracle Universal Connection Pool (UCP)構成

ユーザーは、minPoolSizemaxPoolSizeなどのプール・プロパティを指定するXMLを使用して、Oracle Universal Connection Pool (UCP)を構成できます。XMLファイルの場所は、oracle.ucp.jdbc.oracle.xmlConfigFileシステム・プロパティまたはsetXMLConfigFile() APIのいずれかで指定されます。対応するXMLスキーマ(ucp-configuration.xsd)は、ucp.jarファイルに含まれています。

Oracle Universal Connection Pool (UCP)の負担の小さい構成により、ソース・コードが使用できない、カスタムおよびパッケージ化されたJavaアプリケーションの管理性が簡略化されます。

Universal Connection Poolのヘルス・チェックの頻度

この機能では、次の方法を使用して、接続状態の検証チェックの頻度を減らすことによって、パフォーマンスが向上します。

  • public void setSecondsToTrustIdleConnection()

これをValidateConnectionOnBorrow()と組み合せて使用すると、接続は、アイドル接続を信頼するために指定された秒数の次の秒数の間、有効とみなされます。たとえば、値が30に設定された場合、接続プールでは、30秒間接続の妥当性を信頼します。

  • public int getSecondsToTrustIdleConnection()

このプロパティは、SecondsToTrustIdleConnection()propertyの値を秒単位で取得します。 

Universal Connection Poolの機能では、トラフィックが多いときの接続状態の検証のオーバーヘッドおよび頻度を減らすことによって、Javaアプリケーションのパフォーマンスが向上します。

JDBCでのデータベース・ノードの優先度付け解除のサポート

ノードが失敗すると、JDBCは、その優先度付けを解除し、次の10分間(デフォルトの失効時間)、そのホストからの接続の割当てを試行しません。たとえば、3つのノード(A、B、C)があり、ある時点でAが停止した場合、接続が割り当てられるのは、まずノードBおよびCからで、最後にノードAとなります。失効時間後、ノードAは優先度付け解除されなくなります。ユーザーは、SQLNET.DOWN_HOSTS_TIMEOUTシステム・プロパティを使用して、優先度付け解除のデフォルトの失効時間を指定できます。

この機能では、有効なホストへの接続に必要な時間を削減することによって、パフォーマンスおよび可用性が向上します。

Oracle Java仮想(OJVM) Webサービス・コールアウト

Webサービスのコールアウトは、データベース・セッション(SQL、PL/SQLまたはJava)内からの外部Webサービスの呼出しを可能にする新しいユーティリティです。 このツールで次を実行できます。

  • パラメータとして設定された公開済Webサービス・サーバーのWeb Services Description Language (WSDL)を取得します。
  • Oracle Java Virtual Machine (OJVM)のWebサービス・クライアント(Javaプロキシなど)を回復し、ロードします。
  • PL/SQLラッパーを生成し、適切な権限を付与します。

Webサービスのコールアウトは、基本および拡張のWebサービス認証(SSLなど)をサポートします。

この機能によりデータベースがサービス・ベースのアーキテクチャに統合されます。これにより、動的に生成された外部データでデータベース処理が増強されます。一般的なユースケースは、クレジット・カードまたは財務セキュリティの検証です。

OJVMでのJava SE 8のサポート

データベース常駐Oracle Java Virtual Machine (OJVM)は、Java SE 8をサポートするようになりました。JavaFX、コマンドライン・ツール、Javaツール、GUIインタフェース、HotSpot、Mission Controlなどの一部のJDK 8機能は、OJVMでサポートされていません。

Java SE 8のサポートでは、Javaアプリケーションおよびライブラリの移植性、および最新のJava標準に対する準拠性を提供します。データ・バインドされた処理のためにデータベースでJava SE 8アプリケーションを直接再利用することにより、外部インフラストラクチャへのデータ・シッピングを回避します。

Java 8 Nashornを使用したJavaScriptストアド・プロシージャ

この機能では、Nashorn (JVM上のJavaScriptエンジン)を利用して、Oracleデータベース・セッション内のOracle Java Virtual Machine (OJVM)上でJavaScriptモジュールの直接の実行をサポートします。このプロセスは、loadjavaユーティリティを使用してユーザー・スキーマのJavaリソースとしてJavaScriptコードをロードし、SQLラッパーを介して呼び出すことで構成されます。Nashornを使用して、JavaScriptからJava APIを呼び出すことができます。つまり、OJVMのサーバー側のJava Database Connectivity (JDBC)ドライバを使用したJavaScript内からのデータ・アクセスです。

Nashornを使用すると、ストアド・プロシージャを実装するためにPL/SQLおよびJavaのかわりとなるものが提供されます。データベースでJavaScriptを実行する機能には、次の利点があります。

  • データベースでデータ・バインドされたJavaScriptコードの再利用。
  • JavaScript開発者を使用したデータベース・モジュールの実装。
  • データ・シッピングの回避。たとえば、膨大なデータまたはJavaScript Object Notation (JSON)ドキュメントのインプレース処理。
  • サービス・ベースのアーキテクチャで、JavaScriptストアド・プロシージャは、クラウド・データ・サービスを実装するために、RESTfulフレームワーク(Oracle REST Data Services (ORDS)およびJAX-RS)を介して呼び出される可能性があります。

XML

Oracle XML Developers Kit for Java (XDK/J)の拡張

このリリースでは、W3C XSL 2.0標準を完全にサポートするように、Oracle XSLプロセッサのJavaバージョンが拡張されています。次のXQuery 3.0推奨、XSLT 2.0コンプリーションおよびXQuery 3.0サブセットの限定されたサポートを提供するように、Oracle XQuery Javaエンジンが拡張されています。

開発者は、XMLベースのアプリケーションの開発時に、XSL 2.0仕様の機能およびパワーを利用できます。XQuery 3.0の機能セットの利用を開始することもできます。

ORACLE_LOADERを使用したXMLドキュメントからのサブドキュメントのロード

多くのXMLドキュメントは、同じタイプの複数のドキュメントが連結したものです。たとえば、小規模のドキュメントは技術ジャーナルの記事を説明し、XMLドキュメントにはこれらのドキュメントの配列が含まれます。この機能により、ORACLE_LOADERアクセス・ドライバでアーティクルを記述する小さいドキュメントを抽出し、それぞれを表の個別の行としてロードできます。アクセス・パラメータの一部として小さいドキュメントを区切るタグを指定します。

この機能を使用すると、大きいXMLドキュメントに連結されたXMLドキュメントを簡単および高速にロードできます。

可用性

Data Guard

CLOB、BLOBおよびXMLTypeでの分散操作

このリリースでは、LOBベースのデータ型(CLOBBLOBおよびXMLTypeなど)用のデータベース・リンクでの操作のサポートが使用できます。

このサポートにより、Oracleマルチテナント環境のプラガブル・データベース(PDB)でのLOBベースのデータ型の操作が可能になります。

OCIでの分散LOBのサポート

データベース・リンクからリモート・データベースに選択されたLOBロケータを使用して、LOBデータを問合せおよび更新できるようになりました。

この機能により、データベース・リンクを使用してアクセスされたデータベースの有用性が拡張します。

複数の同期スタンバイ・データベース使用時のプライマリ・データベースへの影響の最小化

新しいパラメータDATA_GUARD_SYNC_LATENCYにより、プライマリ・データベースがREDO転送中に複数の同期スタンバイ・データベースからのレスポンスを待機する時間を決定できます。既存のNET_TIMEOUT REDO転送属性により、プライマリ・データベースが各同期スタンバイ・データベースからのレスポンスを待機する時間を指定できます。複数の同期スタンバイ・データベース宛先が構成された場合、プライマリ・データベースは、すべての同期スタンバイ・データベースがREDOの受信を確認するか個々のNET_TIMEOUT期間を超えるまで待機してから続行する必要があります。この新しいパラメータは、すべての同期スタンバイ宛先に対してグローバルで、1つ以上の同期スタンバイがREDOの受信を確認した後、後続の宛先を切断するまでにプライマリ・データベースが待機する必要がある最大時間(秒)を定義します。たとえば、3つの同期スタンバイ・データベース宛先が構成され、このパラメータが値2に設定されたとします。最初のスタンバイ・データベースがREDOの受信をただちに確認した場合、プライマリ・データベースは他の2つのスタンバイが応答するのを2秒間待ちます。一方または両方のスタンバイ・データベースが2秒以内に応答すると、それらのデータベースはアクティブな宛先として維持されます。一方または両方が必要な2秒以内に応答に失敗した場合、失敗とマークされます。どちらの場合も、プライマリ・データベースは続行し、1つの同期スタンバイ・データベースがREDOの受信を確認したためゼロ・データ損失保護モードのままです。失敗した同期スタンバイ・データベースは、REOPEN秒経過後に通常の接続として再接続されます。

複数の同期スタンバイ・データベース宛先を持つユーザーは、1つの同期スタンバイ・データベースがすべてのREDOを持っているかぎり、プライマリ・データベースの続行を許可することによって、一時的なネットワーク障害の影響を減らすことができます。

Oracle Data Guardのデータベース比較

この新しいツールでは、Oracle Data Guardプライマリ・データベースとそのフィジカル・スタンバイ・データベースに格納されたデータ・ブロックを比較します。DBVERIFYユーティリティなどの他のツールによって検出できないディスク・エラー(消失書込みなど)の検出にこのツールを使用します。

管理者は、スタンバイ・データベースには、スタンバイ・データベースでI/Oスタックによって独立して導入されたサイレント破損が含まれていないことを検証できます。Oracle Data Guardは、プライマリまたはスタンバイ・データベースでホット・データ(読取りまたは変更されるデータ)の検証がすでに実行されていますが、この新しいツールでは、Oracle Data Guardによって読取りまたは変更されていないコールド・データを含み、包括的な検証を行います。この機能は、スタンバイ・データベースに物理的破損がないという完全な信用を管理者に与えます。

サブセット・スタンバイ

サブセット・スタンバイにより、Oracle Multitenantのユーザーは、スタンバイ・データベースへのレプリケーション用のマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)で、プラガブル・データベース(PDB)のサブセットを指定できます。標準では、コンテナ内のすべてのPDBが高可用性(HA)に関して同じサービス・レベルの対象となります。この結果、あるPDBがスタンバイ・データベースを必要とする場合に、同じコンテナに存在するすべてのPDBもスタンバイ・データベースを必要とする標準の実行となります。ただし、PDBのサブセットのみが読取り専用操作(本番オフロード機能対HAサービス・レベル)をサポートする必要があるOracle Active Data Guard環境では常にそうなるとはかぎりません。サブセット・スタンバイは、Oracle Data Guardが同期化をスタンバイ・データベースで関心のあるPDBのサブセットに制限するための簡単な方法を提供します。プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースの両方にすべてのPDBが存在するわけではないので、Oracle Data Guardのスイッチオーバーおよびフェイルオーバー操作の通常のセマンティクスが変更されるため、この機能は慎重に実装する必要があります。

プライマリ・データベース内のPDBの一部のみをスタンバイ・データベースにレプリケートする必要がある場合、サブセット・スタンバイにより、記憶域および処理の要件が減少します。

Oracle Data Guard Brokerでの複数の自動フェイルオーバー・ターゲットのサポート

Oracle Data Guardでは、ファスト・スタート・フェイルオーバー構成で複数のフェイルオーバー・ターゲットをサポートするようになりました。以前の機能では、単一のファスト・スタート・フェイルオーバー・ターゲットのみを許可していました。最初の失敗時にフェイルオーバー・ターゲットがファスト・スタート・フェイルオーバーの要件を満たすことができなかった場合、自動的に失敗は発生しません。複数のフェイルオーバー・ターゲットを指定すると、必要なときに自動フェイルオーバーに適したスタンバイが常に存在する可能性が大幅に向上します。

プライマリの停止の場合に自動フェイルオーバーを発生しやすくすることによって、複数のフェイルオーバー・ターゲットで高可用性が向上します。

Oracle Data Guard Brokerでの複数のオブザーバのサポート

単一のOracle Data Guard Broker構成内で複数のオブザーバを構成できるようになりました。

複数のオブザーバでは、高可用性の即時の利点が提供されます。あるオブザーバが失敗しても、構成のステータスの監視を続行できる追加のオブザーバがあります。構成が監視されていない状態であるため、これらの追加のオブザーバによって、ファスト・スタート・フェイルオーバーが無効になる可能性がなくなります。

複数のファスト・スタート・フェイルオーバー構成のオブザーバ管理の簡略化

この機能により、単一のData Guard Broker DGMGRLセッションは、複数のファスト・スタート・フェイルオーバー構成からオブザーバを管理および監視できます。これにより、複数のデータベースに自動フェイルオーバーが必要な場合に、ファスト・スタート・フェイルオーバーの構成および管理が簡単になります。

これにより、多数のファスト・スタート・フェイルオーバー構成のオブザーバ管理を、ブローカの観点から1つにすることができ、操作の複雑さおよびコストが軽減されます。

Oracle Data Guard Brokerでのプライマリとは異なるエンディアンのトランスポート宛先のサポート

Oracle Data Guard Brokerでは、プライマリ・データベースとは異なるエンディアンのプラットフォーム上のリモートREDO宛先を管理できるようになりました。これにより、Oracle Data Guard Brokerは、プライマリ・データベースとは異なるエンディアンを持つリカバリ・アプライアンスへのOracle Data Guard転送サービスを管理および構成できます。

この機能により、プライマリとリカバリ・アプライアンスのエンディアンが異なる異種構成でOracle Data Guard転送サービスが使用される場合に、Oracle Data Guard Brokerの柔軟性が向上します。ユーザーは、このような構成を管理する際にブローカの自動化の恩恵を受けます。

Oracle Data Guard BrokerでのOracle Data Guard複数インスタンス適用のサポート

Oracle Data Guard BrokerのDGMGRLコマンドライン・インタフェースを使用して、Oracle Active Data Guardの新しいマルチインスタンスRedo Apply機能を使用するために適用プロセスを実行する必要があるOracle RACスタンバイ内のインスタンスを構成および管理できます。

Oracle Data Guard BrokerでのOracle Data Guardの新しいマルチインスタンス・リカバリ適用機能のサポートにより、ブローカを使用するユーザーは、DGMGRLインタフェースからスタンバイ・データベースを管理を続行でき、ブローカは、すべてのフィジカル・スタンバイ・データベースでRedo Applyを完全に自動化できます。

Oracle Data Guard Brokerでの代替宛先の強化のサポート

Oracle Data Guard Brokerユーザーは、DGMGRLコマンドライン・インタフェースを使用して、強化されたALTERNATE REDO宛先機能を構成および実装できるようになりました。

この拡張機能は、ブローカのOracle Data Guardの新しいALTERNATE構文をサポートします。

最大保護モードのファスト・スタート・フェイルオーバー

Oracle Data Guardが最大保護モードで実行している場合、ファスト・スタート・フェイルオーバーを構成できるようになりました。

ユーザーは、複数の同期宛先がある場合に複数のファスト・スタート・フェイルオーバー・ターゲットを利用する保証付きゼロ・データ損失モードで、自動フェイルオーバーを使用できるようになりました。

Oracle Data Guard Broker DGMGRLインタフェースでのブロック比較ツールのサポート

このリリースで導入された新しいデータベース比較ツールは、Oracle Data Guard Brokerでもサポートされます。プライマリ・データベースとスタンバイ・データベース間でブロックを比較するPL/SQLパッケージは、Oracle Data Guard Broker DGMGRLコマンドライン・インタフェースから実行することもできます。

このサポートにより、ブローカ構成でOracle Data Guard (DGMGRL)への標準インタフェースを使用するデータベース管理者は、プライマリ・データベースとフィジカル・スタンバイ・データベースとの間のブロック比較を実行できます。

Oracle Data Guard BrokerでのDGMGRLコマンド・スクリプトの実行のサポート

この機能により、Oracle Data Guard Broker DGMGRLコマンドライン・インタフェースを使用してコマンド・スクリプトを実行できます。SQL*Plusの場合と非常に似ています。DGMGRLコマンド、ブローカSQLコマンドを使用するSQLコマンド、および新しいHOST (または!)機能を使用するオペレーティング・システム・コマンドをファイルに追加し、DGMGRLコマンド・ラインで実行できます。

この機能により、ブローカ構成でOracle Data Guard (DGMGRL)への標準インタフェースを使用する顧客は、Oracle Data Guard操作のスクリプトを記述できます。

ブローカのConfigurationWideServiceName構成プロパティ

以前のリリースでは、Oracle Data Guard Brokerにはすべてのメンバーで共有されるConfigurationWideServiceName構成プロパティはありませんでした。特に、各データベースに実行中の独自のサービス(同じサービス名を持つまたは持たない場合がある)があるため、単一の接続識別子を使用して構成内のデータベースに接続できる保証はありません。Oracle Database 12cリリース2 (12.2)では、Oracle Data Guard Brokerは、統合サービス名を含む構成でメンバーごとにサービスを公開できます。また、この機能は、フェイルオーバー自動制御のためのOracle Data Guard Brokerオブザーバの新機能を有効にします。

ConfigurationWideServiceName構成プロパティにより、ユーザーは構成内のデータベースに簡単に接続し、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)のファスト・スタート・フェイルオーバー・オブザーバの新機能を有効化できます。

代替宛先のサポートの強化

REDO転送のための代替宛先の概念は、Oracle Databaseリリース9.2で最初に導入され、最初の宛先が使用できなくなったときに、単純なフェイルオーバーを使用した宛先の1つのペアとして機能するように設計されていました。これは、Oracle Database 12cリリース1 (12.1)では、最初のREDO宛先が再び使用可能になったときに自動再構成および単純なフェイルバックを使用して、1つの優先宛先、および代替宛先として2番目の宛先を使用するように拡張されました。Oracle Active Data Guardの新しい遠隔同期およびリアルタイム・カスケード機能では、Oracle Database 12cリリース1 (12.1)モデルではサポートできなかった代替宛先の多数の追加のユースケースが導入されています。この代替宛先のサポートの強化では、完全なユーザー構成制御および完全な自動管理を使用してサポートされるようになった様々なユースケースの数が、大幅に増えています。

この機能により、定義できる代替宛先の数が大幅に拡張されます。優先度を定義するルールを指定する柔軟性が向上し、失敗した状態のポリシーを定義する多数のオプションが提供されます。これらの拡張の集合的な能力によって、使用される構成に関係なく、データ保護および可用性の様々な目標を達成するように構成される能力において、この機能はより堅牢になります。

Oracle Data Guard構成のパスワード・ファイルの自動同期化

この機能では、Oracle Data Guard構成間でパスワード・ファイルを自動的に同期します。SYSSYSDGなどのパスワードが変更されると、プライマリ・データベースのパスワード・ファイルが更新され、変更は、構成内のすべてのスタンバイ・データベースに伝播されます。  

この機能により、Oracle Data Guard構成の管理をさらに簡略化する追加の自動化が行われます。

ロール変更中のActive Data Guardスタンバイへのアプリケーション接続の保持

現在は、ロール変更が発生し、Active Data Guardスタンバイがプライマリになると、読取り専用ユーザーのすべての接続は切断され、再接続する必要があり、状態情報はすべて失われます。 この機能により、読取り専用のユーザー接続を切断せずに、ロール変更が発生します。かわりに、読取り専用ユーザー接続は、スタンバイ・データベースの状態がプライマリに変更されている間、一時停止します。プライマリとフィジカル・スタンバイの両方のロールで実行するように設計されたサービスを使用する読取り専用ユーザー接続が保持されます。フィジカル・スタンバイのみのロールで接続されたユーザーは、引き続き切断されたままです。

この機能により、ユーザー・エクスペリエンスが向上し、ロール遷移中のActive Data Guardスタンバイのレポート作成および問合せ機能の向上が容易になります。

エンドツーエンド・アプリケーションの可用性

OCIアプリケーションのアプリケーション・コンティニュイティ

ユーザーから停止をマスクする場合、アプリケーション開発者は基礎となるソフトウェア、ハードウェアおよび通信レイヤーの停止を明示的に処理する必要がありました。Oracle Database 10gから、高速アプリケーション通知(FAN)によって、例外条件がアプリケーションに迅速に配信されました。ただし、FANおよび以前のOracle Databaseテクノロジでは、最後のトランザクションの結果がアプリケーションに報告されず、アプリケーションの観点から進行中の要求がリカバリされませんでした。結果として、停止がマスクされず、ユーザーに不便を強い、収益が失われました。ユーザーが意図せずに重複して品物を購入したり、1つの請求書に何回も支払う可能性もあります。複雑なケースでは、引き起こされた問題に対処するために、管理者が中間層をリブートする必要がありました。アプリケーション・コンティニュイティは、アプリケーションに依存しない機能であり、アプリケーションの観点から不完全な要求のリカバリを試行し、システム、通信、ハードウェアの多くの障害および記憶域の停止をユーザーからマスクします。

このプロトコルにより、ユーザー・トランザクションが1回しか実行されないことが保証されます。正常な場合にユーザーがサービスの中断を体験するのは、続行しても意味がないときだけです。リプレイした場合、アプリケーションとクライアントからは、リクエストが少し遅れているかのようにリプレイの実行が見えます。負荷の高いシステムでも似た影響があります。データベースによるリクエストの実行が少し遅くなり、クライアントへのレスポンスが遅れます。ほとんどの障害は隠されます。したがって、アプリケーションのエラー処理ロジックの呼出し回数が減少します。たとえば、頻繁ではありませんが、アプリケーションでエラーが発生したときに、ユーザーには何が起きたかわからないことや、ユーザーがデータを再入力しなければならないことがあります。あるいは、解決が困難な場合には、管理者が中間層を再起動して障害に対処する必要があります。他の利点は次のとおりです。

  • ユーザー・エクスペリエンスの向上。
  • アプリケーション可用性の向上。
  • アプリケーション開発者の生産性向上。
アプリケーション・コンティニュイティ

アプリケーション・コンティニュイティは、ODP.NET管理対象外ドライバの観点から不完全な要求をリカバリし、システム、通信、ハードウェアの多くの障害および記憶域の停止をユーザーからマスクします。

アプリケーション・コンティニュイティにより、トランザクションが1回しか実行されないことが保証されます。障害が発生すると、通常、ユーザーからマスクされます。この機能により、ユーザー・エクスペリエンス、アプリケーション可用性、およびODP.NET開発者の生産性が向上します。

Oracle XAトランザクションのためのトランザクション・ガード

この機能により、XAベースのトランザクションを追加したOracleトランザクション・タイプのトランザクション・ガード・サポートが完了します。この機能は、WebLogic ServerおよびOracle Tuxedoの明確なコミット結果、ODP.NETの昇格可能なXAトランザクション、およびWebLogic Serverの昇格可能なトランザクションをサポートします。XAを使用したトランザクション・ガードでは、XAトランザクションでのリカバリ可能な停止に続く安全なリプレイを妨げていた、欠落した要件を提供します。XAサポートを追加すると、WebLogic Serverおよびその他のアプリケーションは、トランザクション・ガードを使用して施行された冪等性を持つリプレイを簡単に行えるようになります。

トランザクション・ガード/XA機能により、処理中で、アプリケーションでリカバリ可能なエラーが発生するとコミットされる可能性がある1フェーズXAトランザクションの結果に関するエンド・ユーザーの不確実性がなくなります。トランザクション・ガードを使用すると、トランザクション・マネージャは、ユーザーにXAトランザクションの信頼性の高い結果を返すことができるようになりました。XAを使用したトランザクション・ガードでは、昇格可能なXAで使用される場合のアプリケーション・コンティニュイティ、およびWebLogic Serverリプレイでのリカバリ可能な停止に続く安全なリプレイを妨げていた、欠落した要件を提供します。

FAN API (UP、DOWNおよびLoadAdvisoryイベント)に対するJavaサポート

SimpleFANライブラリ(simplefan.jar)は、UPイベントを識別する新機能で強化されています。oracle.simplefan.FanUpEventListenerインタフェースは、2つの新しいメソッドNodeUpEvent()およびServiceUpEvent()で強化されています。NodeUpEvent()はサーバー側でサポートされませんが、前方互換性のあるクライアントAPIがsimplefan.jarに含まれていることに注意してください。ServiceDownLoadAdvisoryおよびNodeDownイベントは、以前のリリースですでにサポートされています。

FANイベントを処理するために参照しているJavaコンテナ、フレームワーク、およびアプリケーションは、これらのAPIを使用して、高可用性ソリューションを構築するためのOracle Database RAC FANイベントにサブスクライブできます。

JDBCドライバでの高速アプリケーション通知(FAN)のサポート

Oracle JDBCドライバは、計画済メンテナンスおよび計画外停止の時間のサポートを強化するためにOracle Database RAC FANイベントをサポートするようになりました。

  • oracle.jdbc.fanEnabled - ドライバでのFANサポートを有効または無効にする新しいシステム・プロパティ。Oracle Universal Connection Pool (UCP)がクライアント側プールとして使用される場合、UCPが優先されます。
  • oracle.jdbc.fanONSConfig - ドライバによってリモートOracle Notification Services (ONS)サブスクリプションとして使用される新しい接続プロパティ。このプロパティは、12cより前のデータベース・バージョンの場合のみ必須です。

Javaアプリケーション、コンテナ、およびフレームワークはFANイベントのメリットを得ることができます。たとえば、Oracle Universal Connection Pool (UCP)を使用せずにJDBCドライバを使用してUPDOWNを処理できます。メリットには、統合作業を軽減した計画済メンテナンスおよび計画外停止のサポートの強化があります。

計画停止のサポート

Oracle Call Interface (OCI)セッション・プールは、現在、計画済停止の前のインスタンスから作業を排出するスキームをサポートします。OCIセッション・プールを使用しないアプリケーションには、ターゲット・インスタンスから作業を容易に排出する機能がありません。この機能では、計画済停止の前に接続を終了するように適切なポイントでOCIに通信するために、カスタム・プールをデプロイする、またはまったくプールを使用しないアプリケーションによって使用できるAPIが導入されます。これらのAPIは、計画済停止と計画外停止の両方に応答できることが予想されます。新しいAPIに加えて、この機能でも、適切な時点でフェイルオーバーするための最適なサポートを提供します。クライアント側にすでに同期化されたセッション状態をフェイルオーバー後セッションに暗黙的にリストアすることによって、OCIはフェイルオーバー・コールバックを書き込む必要はありません。

計画済停止(パッチ適用や定期メンテナンスの実行など)は、計画外停止よりはるかに頻繁に発生します。高可用性(HA)構成では、異なるインスタンスまたはスタンバイ・レプリカでサービスを提供することによって、データベース層は計画済停止を許容できます。一方、アプリケーションは、データベースへのほぼ連続した接続性を想定するように書き込まれることがよくあります。Oracle Databaseドライバは、キー・クライアント・ドライバを拡張することによって、次を行うためのソリューションを提供します。

  • 計画済停止中に頻繁に発生する、顧客が表示可能なエラーの頻度を削減します。
  • エラーが回避できないものである場合、エラーの副次的影響を制限します。
Oracle Data GuardスイッチオーバーおよびOracle RAC One Nodeの計画済停止

ODP.NETではすでに計画済停止をサポートしており、これからオフラインになるデータベースは、その停止時間を知らせるアラートを自動的にODP.NETアプリケーションに送信できます。これにより、ODP.NETは新しい接続の割当てを中止し、その特定のインスタンスから接続プールに戻された接続をクローズします。Oracle Data GuardスイッチオーバーおよびOracle Real Application Clusters One Nodeの計画済停止機能を強化するために、新規インスタンスへの遷移が発生するまで、新規接続リクエストは一時停止します。休止により、新しい接続は、エンド・ユーザーのタイムアウトが発生することなく、新しいインスタンスが接続を受け付けるまで待機します。

この機能により、エンド・ユーザーのサービスの品質が向上します。追加のアプリケーション・ロジックの必要なく、計画済停止中のOracle Data GuardのスイッチオーバーおよびOracle RAC One Nodeの遷移がよりシームレスになります。

計画済データベース・メンテナンスのためのアプリケーション・コンティニュイティ

スケジュール済メンテナンスがアプリケーション・ユーザーにとって負荷がかかる理由はありません。次の非常に単純な構成および操作の実行により、すべてのアプリケーション・タイプからスケジュール済メンテナンスの悪影響を完全に隠すことができます。正しい設定を使用すると、新しい、これからの作業と、メンテナンスが進行中の既存の作業のどちらに対しても、エラーがレポートされません。

Oracle Database 12cリリース2 (12.2)のスケジュール済メンテナンスでは、計画済停止および計画外停止のすべてのOracle Javaソリューションをサポートするために、高速アプリケーション通知(FAN)がJava Database Connectivity (JDBC)シン・ドライバに埋め込まれます。また、さらに多くのOCIベースのアプリケーションが透過的にフェイルオーバーされるように透過的アプリケーション・フェイルオーバー(TAF)がトランザクション・ガードで拡張されます。Oracle Data Provider for Microsoft .NET (ODP.NET)では、アプリケーション・コンティニュイティのサポートも追加されています。この機能のセットでは、スケジュール済メンテナンス中に大部分のアプリケーションが操作を続行するための、使いやすく確実な方法を提供します。これらのすべての機能には、ほとんどすべての場合に必要なNILアプリケーションの変更が伴っています。また、データベース管理者が、データベースから単一のコマンドを使用してすべてのアプリケーションのスケジュール済メンテナンスを制御できるように、Server Control Utility (SRVCTL)、Global Data Services Control Utility (GDSCTL)およびOracle Data Guard Broker用に、1つのコマンド・インタフェースが導入されています。

データベース・サーバーでのスケジュール済メンテナンスの場合、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)では次が提供されます。

  • 新しい、これからの作業と、メンテナンスが進行中の既存の作業に対してアプリケーションにレポートされるnilエラー。
  • 別の機能サービスへのアクティブなデータベース・セッションの透過的なリダイレクト。
  • コマンド・オーケストレーションは、アプリケーションについて考慮せず、できるだけ迅速に、適用されるメンテナンスとは対照的に、最も最適なアプリケーション・エクスペリエンスに重点を置きます。
  • メンテナンス中およびメンテナンス完了後の、データベース・セッションの必要に応じたリバランス。

この機能では、アプリケーション開発者に負荷をかけることなく、基礎となるインフラストラクチャ(Oracle Database、Oracle Grid Infrastructure、オペレーティング・システムおよびハードウェア)に必要なスケジュール済メンテナンス操作を見えなくします。ソリューションでは、ほとんどのアプリケーションの動作を中断せずに、スケジュール済メンテナンスを実行できるようにすることによって、Oracle Databaseを区別します。

一般

マルチインスタンスRedo Apply

Oracle Database 12cリリース2 (12.2)より前のリリースでは、Redo Apply (フィジカル・スタンバイ・データベース)をOracle RACスタンバイ・データベース上の単一のインスタンスに限定していました。Redo Applyは、ユーザーによって構成されたすべてまたは一部のスタンバイ・インスタンス上で実行できるようになりました。追加のスタンバイ・インスタンスを追加することによって、必要に応じてRedo Applyのパフォーマンスをスケールできます。

この新機能を使用すると、プライマリ・ワークロードのリカバリ時間の目標を達成することができます。これは特に、Oracle Exadataの顧客、およびOracle RACの大規模なクラスタを持つ顧客にとって重要です。また、Oracle Active Data Guardユーザーは、現在の情報にリアルタイムにアクセスできます。この方法でのスケーリング適用パフォーマンスは、ボリュームが大きく、最大のOracle RACクラスタでも、スタンバイ・データベースは常に最新であることを意味します。

データ・ウェアハウス用のOracle Data Guard

プライマリ・データベースでのダイレクト・ロードにNOLOGGINGを使用すると、関連付けられたスタンバイ・データベースでの修正が常に困難でした。フィジカル・スタンバイ・データベースで、データ・ブロックは回復不能とマークされて、それらの読込みを試みたSQL操作はエラーを返します。または、ロジカル・スタンバイ・データベースでは、REDOの無効化が行われるとSQL適用が停止します。

フィジカル・スタンバイ・データベースでは、これらのブロックがスタンバイ・データベースの制御ファイルに記録されるようになり、新しいRMAN RECOVER DATABASE NONLOGGED BLOCKコマンドを使用して単純かつ迅速に修復できます。

Data Guard Broker PDBの移行またはフェイルオーバー

マルチテナントのブローカ構成では、本番PDBをコンテナ・データベースから同じシステムにある別のコンテナ・データベースに移動する必要がある場合があります。また、ユーザーは、プロダクションPDBで障害が発生しても、コンテナ・データベースおよび他のすべてのPDBが通常どおり機能している場合、Data Guardスタンバイ・データベースを新しいプロダクション・コンテナ・データベースにフェイルオーバーする必要がある場合があります。新しいData Guard Broker DGMGRLコマンドMIGRATE PLUGGABLE DATABASEを使用すると、プライマリ・データベースからPDBを切断し、プライマリ・システムの別のコンテナ・データベースに接続できるだけでなく、PDBをData Guardスタンバイ・コンテナ・データベースから切断し、スタンバイ・システムの既存の新しいプライマリ・コンテナ・データベースに接続して単一のPDBをフェイルオーバーできます。どちらの場合も、移動するPDBは現在のコンテナ・データベースおよびターゲット・コンテナ・データベースに表示されるストレージに存在する必要があります。PDBをこの方法で移行する場合、データ・ファイルをコンテナ・データベースからそのData Guardスタンバイにコピーし、新しいPDBに対して回復を有効にする必要があります。PDBをData Guardスタンバイから新しいプライマリ・コンテナ・データベースにフェイルオーバーする場合、データベースのバージョンはData Guardスタンバイとターゲット・コンテナ・データベースで同じであることが必要です。PDBをコンテナからプライマリ・システムの別のコンテナへ移動する場合、バージョンは現在のコンテナ以上にすることができますが、PDBを使用前にアップグレードする必要があります。

新しいData Guard BrokerコマンドMIGRATE PLUGGABLE DATABASEを使用すると、単一PDBを別のコンテナ・データベースに移動したり、単一PDBをData Guardスタンバイから新しい本番コンテナ・データベースにフェイオーバーする操作を簡単に実行できます。

ロジカル・レプリケーション

Oracle GoldenGate Integrated Replicatのエラー処理の改善

データベース・ビューでは、Oracle GoldenGateの競合解決方法(DBA_APPLY_REPERROR_HANDLERSDBA_APPLY_HANDLECOLLISIONSDBA_APPLY_DML_CONF_HANDLERSおよびDBA_APPLY_DML_CONF_COLUMNSなど)の詳細を管理および表示できます。

これらの改善により、データベース内の競合管理の構成を表示できます。

抽象データ型のサポート

XStreamデータ型のサポートは、抽象データ型(ユーザー定義タイプ)が指定された表を含むように拡張されました。XStreamアウトバウンド・サーバーとインバウンド・サーバーの両方でサポートされます。

XStreamアウトバウンドおよびインバウンド・サーバーは、SDO_GEOMETRYおよび他の単純なユーザー定義タイプが指定された表を含むように拡張されました。

Oracle GoldenGateのDDL用の注釈

新しい取得パラメータANNOTATE_DDL_SIZEは、Oracle GoldenGate統合取得でDDLを完全に記述するバッファのサイズを指定するために使用できます。

DDLの説明情報は、Oracle GoldenGateの統合Extractに提供され、Oracle GoldenGate内のDDLのフィルタ処理および変換を簡略化します。

XStreamインバウンド・サーバーのパフォーマンス最適化

適用パラメータBATCHSQL_MODEを使用して、バッチ・トランザクションのパラレル適用スケジューリングを制御します。また、依存計算には、オブジェクト・レベルの依存が含まれます。

依存計算およびスケジューリングの最適化により、適用の並列性が拡大し、適用スループットが高速になります。

オンライン操作

障害からの再定義の再起動

オンライン再定義は、ほとんどの障害のポイントから再起動することができ、操作全体をやり直す必要がなくなります。

再起動により、再定義全体の時間が減少します。

再定義のロールバック

FINISH_REDEF_TABLEプロシージャの新しいROLLBACKパラメータでは、SYNC_INTERIM_TABLEプロシージャを使用して変更を元の表と簡単に同期できるように新しく再定義された表でDMLを追跡します。

また、DBMS_REDEFINITIONパッケージには、再定義された表の元の表とのスワッピングを開始する新しいROLLBACKもあるため、再定義の変更を効率的にロールバックし、表を元の状態に戻します。

再定義の結果が許容されない(たとえば、新しく再定義された表にアクセスするとパフォーマンスが低下する)場合、再定義の変更は簡単にロールバックできるため、表の変更を元に戻すために別の再定義を実行するDBA時間を節約できます。

再定義の進行状況のモニタリング

新しいV$ONLINE_REDEFビューには、再定義セッション識別子に基づいて実行される現在の再定義プロシージャに関連するランタイム情報が表示されます。

この新しいビューにより、DBAは、再定義セッションの進行状況を監視し、必要に応じて修正アクションを実行できます。

再定義中のバッチ更新の最適化

再定義を行うには、ARCHIVELOGモードを有効にする必要があります。ただし、新しいDBMS_REDEFINITION.EXECUTE_UPDATEプロシージャは、UPDATE文を直接挿入モードで実行できるようにし、その期間中のREDOロギングおよび関連オーバーヘッドをなくします。その期間、やり直しは記録されないため、ユーザーは、再定義およびUPDATEの変更はメディア・リカバリを使用してリカバリできないことに注意する必要があります。データベースまたは表領域のバックアップは、リカバリ可能性を保持するために再定義を完了した後に行う必要があります。

やり直しのオーバーヘッドおよびトランザクション・スループットへの結果として生じる影響を回避するために直接挿入モードで予測可能なバッチ更新(たとえばデータ・ウェアハウス)を実行する顧客にとって、再定義セッション中と同様にバッチ更新を実行できるようになったため、再定義を完了するまでの全体の時間が減少します。

マテリアライズド・ビュー: 再定義中の高速依存マテリアライズド・ビューのリフレッシュ

DBMS_REDEFINITIONパッケージの新しいSYNC_INTERIM_TABLEプロシージャにより、中間表での依存マテリアライズド・ビューの増分リフレッシュが可能になります。SYNC_INTERIM_TABLEプロシージャは、実行の一環としてマテリアライズド・ビューをリフレッシュします。

ソース表のすべての依存マテリアライズド・ビューは、再定義の完了後に完全にリフレッシュする必要があり、表が完全に使用可能になる時期が増加します。再定義プロセス中にマテリアライズド・ビューをリフレッシュすると、最後に完全リフレッシュを実行する時間を省くことができます。

BFILE列を含む表をサポートする再定義

BFILEを含む表は、再定義によってサポートされます。

このサポートでは、データ型のサポートを拡張することによって、オンライン再定義の柔軟性が向上します。

自動ガベージ・コレクションを使用したエディションのリタイアの形式化

以前のリリースでは、エディションを再度使用しないという意図は、すべてのユーザーから使用権限を削除することによってのみ、表すことができました。しかし、これを行っても、SYSがエディションを使用しないようにすることはできません。また、SYSが通常のユーザーに使用権限を後で再付与しないようにすることもできません。これにより、ガベージ・コレクションのディスカッション(非リタイア・エディション(以下「対象オブジェクト」)で継承された表現のソースではなかったリタイア・エディションのエディション・オブジェクトの削除)が巧妙になりました。固有のサポートがなかったため、ユーザーは、比較的複雑なディクショナリ問合せを使用することによって、対象となるステータスを検出するための機械的なスキームを実装してから、それぞれを削除する必要がありました。また、Shine-Through効果により、存在するルート・エディションは、エディション・オブジェクトが含まれていない場合のみ、削除できました(非リタイア・エディションに残っている対象オブジェクトがないとみなされます)。

Oracle 12cリリース2では、オブジェクトの移入を考慮せずにルート・エディションを削除できるようにすることによって、これを変更します。これは、セマンティック・モデルのドメインでの推論後に行われ、ルート・エディションがリタイアされたことを主張するための明確で取消不能な方法です。DROP EDITIONコマンドは即座に完了し、その後、SYSでも使用できません。ユーザーは、実装のメンタル・モデルの観点でこれを理解します。DROP EDITIONですぐに有効になるのは、使用不可とマークされることだけです。ただし、バックグラウンド・プロセスでは、検出するすべての削除済エディションにアクセスし、対象オブジェクトを削除できます。エディション・ベースの連続した再定義の実行履歴、およびこれらの再定義によって実行された対象オブジェクトの削除によって、ルート・エディションがオブジェクトなしで終了する場合、ルート・エディションはバックグラウンド・プロセスによってデータベースから完全に削除されます。

ユーザーは、理解およびプログラミングの顕著な負荷から解放されます。エディション・ベースの再定義が行われた回数に関係なく、エディション・オブジェクトの合計数は、データベースが単一エディションのみにフラット化された場合と同一の状態に自動的に達します。

パーティション表への非パーティション表のオンライン変換

非パーティション表は、パーティション表にオンラインで変換できます。索引はこの操作の一部としてメンテナンスされ、パーティション化することもできます。変換は、進行中のDML操作に影響を与えません。

非パーティション表をパーティション表にオンラインで変換することによって、アプリケーションは、停止時間なしでパーティション化を選別できます。顧客は、システムのパーティション化を採用し、必要に応じて表を展開して、大きい表のパーティション化の恩恵を受けることができます。

パーティションおよびサブパーティションのオンライン分割

パーティション・メンテナンス操作SPLIT PARTITIONおよびSPLIT SUBPARTITIONは、ヒープ構成表用のオンライン操作として実行できるようなったため、進行中のパーティション・メンテナンス操作と同時にDML操作を実行できます。

パーティション・メンテナンス操作が実際にオンラインになるため、顧客は問合せ専用ウィンドウの期間に対して計画する必要なく、必要に応じてこれらのすべての操作をスケジュールおよび実行できます。この機能により、アプリケーションの可用性の向上とアプリケーション開発の簡素化の両方が実現します。

オンラインでの表の移動

同時のDML操作をブロックせずに、オンライン操作として非パーティション表を移動できます。表移動操作は、移動の一環として自動索引メンテナンスもサポートします。

非パーティション表のデータ・メンテナンスは、DMLや問合せ操作に影響を与えないため、メンテナンス・ウィンドウは必要ありません。

パーティション化: パーティション交換のための表作成

新しいDDLコマンドにより、パーティション表の形状と完全に一致する表を作成できるため、パーティション表のパーティションまたはサブパーティション交換に適しています。索引はこのコマンドの一部として作成されないことに注意してください。

パーティションまたはサブパーティション交換に適した表の作成は、様々な構造変更および再編成が行われた古い表に対する単調なタスクになりがちです。この新しいDDLを使用すると、タスクは非常に簡素化され、簡単に実装できます。また、CREATE TABLE AS SELECTコマンドと比較した場合、この操作には暗黙的なビジネス・コンテキストが追加されます。

パーティション化: フィルタ処理されたパーティション・メンテナンス操作

パーティション・メンテナンス操作は、データのフィルタ処理と組み合せることができるようになりました。たとえば、パーティションを圧縮し、異なる表領域に移動できますが、特定のフィルタ基準を満たすデータのみが実際に移動されます。

データのフィルタ処理を使用したパーティション・メンテナンス操作は、最も一般的な2つのデータ・メンテナンス操作を組み合せます。この組合せによって、パーティション・メンテナンス操作が柔軟で強力になるだけでなく、2つの別々のデータ管理操作と比べて、高性能でリソースが集中しなくなります。

リカバリ・サーバーおよびRMANの改善

RMAN: 構文の拡張機能

強化されたSET NEWNAMEコマンドは、ファイルごとではなく、表領域やデータベース全体に対して使用できます。新しいMOVEコマンドにより、バックアップや削除を使用せずに、ファイルを他の場所に簡単に移動できます。データ・ファイル、表領域およびデータベース用の新しいRESTORE+RECOVERコマンドは、オフライン、リストア、リカバリおよびオンライン操作を発行する必要がある場合と対比して、リストアおよびリカバリを1つのステップで実行します。

これらの拡張機能により、SET NEWNAMEMOVEおよびRESTORE+RECOVERコマンドを簡略化し、使いやすさが向上します。

SCANリスナーによるHTTPプロトコルのサポート

SCANリスナーは、リカバリ・サーバー・マシンの負荷に基づいて、HTTPを介したリカバリ・サーバーの接続を異なるマシンにリダイレクトできるようになりました。

この機能により、異なるリカバリ・サーバー・マシン間で接続をロード・バランスできます。

Oracle Recovery Manager - REMAP SCHEMAを使用したスキーマ間の表リカバリの強化

Oracle Recovery Manager (RMAN)の表リカバリ機能には、REMAP TABLEおよびREMAP TABLESPACEオプションがあります。REMAP TABLEオプションの後に、新しい名前で再マップされる論理オブジェクトのリストが続きます。表全体または表パーティションの名前を変更するために使用できます。同様に、REMAP TABLESPACEオプションでは、既存の表領域で指定されたすべてのオブジェクトを新しい表領域に再マップします。ただし、これらのオプションには、スキーマ間の表リカバリを行う柔軟性はありません。この機能では、RECOVER TABLEコマンドにREMAP SCHEMAオプションが追加されており、これはOracle Data Pumpインポート操作に渡されます。この機能により、表および表パーティションのリストを、表の元のスキーマ以外の代替スキーマにリカバリすることができます。

この機能により、異なるスキーマ間で表をインポートまたはリカバリする柔軟性が向上します。これによってユーザーの自由度が高まり、表関連の索引、トリガー、制約などのオブジェクト名がすでに同じスキーマに存在する場合、これらをより的確に理解できるようにもなります。

RECOVER TABLE操作中のディスク領域チェック

Oracle Recovery Manager (RMAN)の表リカバリ機能では、補助インスタンスを暗黙的に作成し、表リカバリ・オプションを実行する表領域またはデータ・ファイルをリストアおよびリカバリします。ただし、このインスタンスを作成するのに十分な領域がない場合、オペレーティング・システム・レベルのエラーが返されます。この拡張機能により、RMANが表リカバリを実行する前に、補助インスタンスで使用可能なディスク領域を前もってチェックします。

RECOVER TABLEは、ディスク領域の問題によるオペレーティング・システム・レベルのエラー・メッセージを回避するデータベース操作ですこの機能が実装されると、操作を実行するのに十分な領域がない場合、およびRECOVER TABLE操作が中断している場合、ユーザーに事前に通知されます。

増分トランスポータブル・スクリプトのアップグレード

Oracle Database 12cリリース1 (12.1)のOracle Recovery Managerでは、クロス・プラットフォーム・トランスポート機能が導入されています。この機能は、プロセス全体のタスクを実行するスクリプトを使用して、シームレスな移行プロセスに対応します。内容は次のとおりです。

  • ソース・データの準備
  • 宛先データの状態をソース・データに合わせるためのロール・フォワード・フェーズ
  • トランスポート・フェーズ

顧客には、My Oracle Support (MOS)ノート1389592.1を使用した、Oracle Exadataへの移行パスがあります。しかし、エラーが発生しやすい手動のステップが多数あります。この機能は、Oracle Database 12cからOracle Exadataへのシームレスな移行に役立ち、Oracle Exadataの選別が拡張されます。

マルチテナント・コンテナ・データベースへのプラガブル・データベースのクロス・プラットフォーム・インポート

プラガブル・データベース(PDB)の概念は、Oracle Database 12c (単一のデータベース・インスタンスを共有する複数のデータベース)で導入されました。この機能は、Oracle Databaseでのマルチテナンシのためのソリューションです。この機能は次のことに対応します。

  • このリリースで、クロス・プラットフォーム・トランスポータブル表領域を介してリモートPDBにプラグインします。
  • クラスプラットフォームのトランスポータブル表領域を通じてリモートの非マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)にプラグインします(非CDBを、Oracle Database 12cよりも前のバージョンをサポートする計画を持つPDBに変換します)。

この機能により、異なるアーキテクチャでデプロイされたデータベースをマルチテナント・データベース・アーキテクチャに統合する顧客の選択が増加します。

クロス・プラットフォーム移行での暗号化された表領域のサポート

プラガブル・データベース(PDB)の概念は、Oracle Database 12cリリース1で導入されました(単一のデータベース・インスタンスを共有する複数のデータベース)。この機能は、クロス・プラットフォーム・トランスポートを使用して移行も行われる、暗号化された表領域のサポートに対応します。

この機能により、マルチテナント・アーキテクチャで暗号化された表領域を持つデータベースを統合する顧客の選択が増加します。

ネットワーク上でのクロス・プラットフォームのサポート

この機能は、クロス・プラットフォーム移行においてOracle Recovery Manager (RMAN)の次の3つの機能に対応します。

  • スタンバイ・データベースでのデータ・リカバリ・アドバイザのRMANサポート。基本的には、プライマリ・データベースまたはスタンバイ・データベースでデータ・ファイルが失われると、RMANでは、プライマリ・データベースまたはスタンバイ・データベースからファイルをフェッチする修復スクリプトが生成されます。
  • クロス・プラットフォーム・トランスポートを使用したアクティブで重複したスクリプトのサポート。補助チャネルの数がターゲット・チャネルの数以上で、ターゲット・データベースのTNS別名がある場合のみ、アクティブな重複はデフォルトでバックアップ・セット・メソッドに設定されます。これは、既存のアクティブで重複したスクリプトが中断しないために必要です。
  • アクティブなリストアでは、エンディアン間のバックアップおよびリストアをサポートする機能を追加する必要があります。ただし、これは表領域に制限され、データベース全体ではありません。この場合、アクティブなリストア・セッションを開始するように、RESTORE FROM PLATFORM <platform>コマンドにFROM SERVICE構文の追加が必要になる可能性があります。

プラットフォーム間でデータを転送するとOracleデータベースの移行、使いやすさ、および選別に役立ちます。

Data GuardのDUPLICATEコマンドの拡張機能

FAR SYNCスタンバイのサポート

Oracle Database 12cリリース1 (12.1)より、FAR SYNC STANDBYと呼ばれるスタンバイ・データベースの新しいバリアントが導入されました。この拡張機能の目的は、ユーザーがDUPLICATEコマンドを使用してこのタイプのスタンバイ・データベースを作成できるようにすることです。

フィジカル・スタンバイ・データベースからの標準の重複データベース

現在、ターゲット・データベースがフィジカル・スタンバイ・データベースである場合、データベースのコピーは作成できません。ターゲット・データベースとしてフィジカル・スタンバイ・データベースに接続したとき、フィジカル・スタンバイ・データベースのみを作成できます。ここでの目標は、これと他の考えられる制限をなくし、ターゲット・データベースがプライマリまたはフィジカル・スタンバイ・データベースである場合に同じ操作のセットを許可することです。この拡張機能では、プライマリ・データベースの負荷を軽減することによって、既存のフィジカル・スタンバイ・データベースをさらに多くの用途に利用します。

Oracle Data Guardは、障害時リカバリ・デプロイメントに不可欠な高可用性(HA)または最大可用性アーキテクチャ(MAA)の機能です。FAR SYNCスタンバイ・サポートを作成するDUPLICATEコマンドを強化する簡単で効率的な方法を有効にし、通常のデータベースの作成を許可することで、この機能はスタンバイ・データベースにプロセスをオフロードしてOracle Data Guardをデプロイするメリットを高めます。

DUPLICATEコマンドでの非自動ログインのウォレット・ベースの暗号化バックアップのサポート

現在、バックアップ・キーがパスワード・ベースのOracleウォレットまたはキー・ストアに格納される暗号化バックアップを使用してDUPLICATEコマンドを実行できません。補助インスタンスを起動することでユーザーがウォレットをオープンした場合でも、DUPLICATEコマンドは、コマンドの実行中に何度も補助インスタンスを再起動します。したがって、バックアップを復号化できない(Oracleウォレットまたはキーストアがオープンしていないため)ため、インスタンスのバウンス後の暗号化バックアップからのリストアが失敗します。この制限は、この機能で削除されます。

この機能では、自動ログイン・ウォレット、非自動ログイン・ウォレット、またはユーザー指定のパスワードとなる暗号化鍵の記憶域を持つ暗号化バックアップを完全にサポートできます。

シャーディング

Oracle Databaseシャーディング

Oracle Database 12cリリース2 (12.2)でのシャーディングは、ハードウェアやソフトウェアを共有しない、複数の個別のOracleデータベース間でデータが水平方向にパーティション化される、シャードと呼ばれる適切なオンライン・トランザクション処理(OLTP)アプリケーション向けアーキテクチャです。シャードのコレクションは、単一の論理Oracleデータベースとしてアプリケーションに提供されます。

Oracleシャーディングでは、自動化されたデプロイメント、高パフォーマンスのルーティング、および完全なライフサイクル管理をサポートします。管理者の裁量で、Oracle Data GuardまたはOracle GoldenGateのいずれかのレプリケーションの自動デプロイメントによって、個々のシャードの高可用性が有効になります。各シャードは、ごくわずかな例外を除いて非シャード・デプロイメントのOracle Databaseと同じ機能を持つOracle Databaseです。

Oracleシャーディングは、シャード・データベース・アーキテクチャ用に明示的に設計されたカスタムOLTPアプリケーションを対象としています。Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)に基づいたアーキテクチャとは異なり、シャーディングを使用するアプリケーションは、主にシャーディング・キーを使用してデータにアクセスする、明確に定義されたデータ・モデルおよびデータ分散方式(一貫したハッシュ、レンジ、リストまたはコンポジット)を持つ必要があります。キーの例には、customer_idaccount_nocountry_idなどがあります。Oracleシャーディングでは、データ配置ポリシー(rackとgeoの認識)、およびすべてのデプロイメント・モデル(たとえば、オンプレミスおよびパブリックまたはハイブリッド・クラウド)もサポートします。

Oracle Database 12cリリース2 (12.2)でのシャーディングには、次のような多くの利点があります。

  1. 完全なフォルト分離を使用した線形スケーラビリティ。Oracleシャーディング用に設計されたOLTPアプリケーションでは、追加のスタンドアロン・サーバーで新規シャードをデプロイするだけで、プラットフォーム上の任意のレベルに(データ、トランザクションおよびユーザーを)弾性的にスケールできます。計画外停止または計画メンテナンスによりシャードを使用できないと、そのシャードのユーザーにのみ影響を与えます。他のシャードのユーザーのアプリケーションの可用性やパフォーマンスには影響しません。データベース・メンテナンスの実行中にアプリケーションの可用性の維持を簡単にする、最も古い実行バージョンとの下位互換性がアプリケーションにあるかぎり、各シャードで異なるリリースのOracle Databaseを実行できます。
  2. システム管理のパーティショニング、単一コマンド・デプロイメント、ファイングレイン・リバランスを含む多くのライフサイクル管理タスクの自動化を使用した簡素化。
  3. インテリジェントなデータ依存型ルーティングを使用した上位の実行時パフォーマンス。
  4. エンタープライズ品質。各シャードは、Oracle Databaseレンダリングの厳密な一貫性、SQLの完全な機能、JSONを使用した開発者アジリティ、およびセキュリティ、可用性、バックアップとリカバリ、ライフサイクル管理のための実証されたエンタープライズ品質です。
データ依存型ルーティング

Java Database Connectivity (JDBC)、Oracle Call Interface (OCI)およびOracle Data Provider for .NET (ODP.NET)クライアントは、接続文字列で指定されたシャード・キーを認識できます。接続レイヤーのシャード・トポロジ・キャッシュは、データが常駐するシャードにリクエストを直接ルーティングするために使用されます。

JDBCクライアントのOracle Universal Connection Pool (UCP)も、接続URLで指定されたシャード・キーを認識できます。シャード・トポロジ・キャッシュは、データが常駐するシャードに接続を直接ルーティングするために使用されます。また、Oracle UCPを使用すると、非Oracleアプリケーション・クライアント(Apache Tomcat、WebSphereなど)は、Oracleシャーディングと連携できます。

データ依存型ルーティングにより、シャード・データベース・アーキテクチャ用に設計されたアプリケーションのデータ・アクセスのパフォーマンスおよび可用性が向上します。

Oracle Data Guardの自動デプロイメント

Oracle Data Guardのファスト・スタート・フェイルオーバー(自動データベース・フェイルオーバー)が指定されたシャード間のOracle Data Guard物理レプリケーションの場合、デプロイメントは自動的です。これは、個別のシャードのOracle高可用性(HA)のデフォルト構成です。

ビジネスには次の利点があります。

  1. 自動化されたデプロイメントにより、管理オーバーヘッドが軽減します。
  2. 物理データベース・レプリケーションでは、リアルタイムのOracleデータ検証を使用した強力なデータ保護が提供されます。
  3. ほぼゼロまたはゼロのデータ損失保護のために非同期レプリケーションおよび同期レプリケーションをサポートします。
  4. 自動データベース・フェイルオーバーでは、サーバー、データベース、ネットワークおよびサイトの停止に対する高可用性を提供します。
  5. 読取り専用ワークロードは、Oracle Active Data Guardの使用時に追加のスケーラビリティのためにHAで使用されるシャードのすべてのコピー間でロード・バランスされます。
データベース構成アシスタントを使用したData Guardスタンバイの作成

Database Configuration Assistant (DBCA)は、DBCAコマンドライン・インタフェースを使用して、既存のプライマリ・データベースからのOracle Data Guardスタンバイ・データベースの作成をサポートするように拡張されました。これにより、Oracle Enterprise Managerの外部でスタンバイ・データベースを作成するためにユーザーが実行する必要がある手動のステップが大幅に減少します。また、DBCAにより、カスタム・スクリプトをスタンバイ・データベース作成の終了時に実行できます。

この機能により、ユーザーは、コマンドライン・インタフェースから非常に簡単な方法でスタンバイ・データベースの作成を記述できます。

文レベルのルーティングおよびクロスシャード問合せ

この機能により、複数のシャードに格納されたデータにアクセスする問合せとトランザクションをルーティングおよび処理できます。 また、この機能は、シャード・キーを指定しない問合せのルーティングを有効にします。

この機能により、データの単純な集計およびシャード間のレポート作成が可能になります。また、どのデータベース・アプリケーションでも、表がシャードまたはレプリケートされるシステムでSQL文(SELECTおよびDMLなど)を実行できる柔軟性を備えています。 この機能では、問合せを実行するシャードを指定する必要がありません。どちらのユースケースでも、シャーディング・キーを指定するOLTPトランザクションと比較して、パフォーマンスのレベルの低下を受け入れます。

管理ユーザーのSSLおよびKerberos認証の強化

この機能により、管理権限を持つユーザー(SYSDBASYSDGSYSKMSYSBACKUPなど)を、SSLおよびKerberos認証スキームを使用してOracle Databaseで認証できます。管理ユーザーは、インスタンスがまだ起動していない場合でも、SSLおよびKerberosスキームを使用してOracle Databaseに接続できます。

管理権限を持つユーザー(SYSDBASYSDGSYSKMSYSBACKUPなど)は、データベース・インスタンスが起動していない場合や、データベースがオープンしていない場合でも、Oracle Databaseに接続できます。これは、SSLおよびKerberos認証スキームを使用して行います。   

アップグレードの簡略化

Oracle Label SecurityでのOracle Data Guardデータベース・ローリング・アップグレードのサポート

Oracle Label Security (OLS)を使用するデータベースは、Oracle Data Guardデータベース・ローリング・アップグレードを使用して新しいOracle Databaseリリースおよびパッチ・セットにアップグレードできます(一時ロジカル・スタンバイ・データベースのみ)。このサポートは、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降のローリング・アップグレード用です。

Oracle Data Guardデータベース・ローリング・アップグレードにより、ローリング方式で新しいデータベース・リリースまたはパッチセットへのアップグレードを行うことができ、計画停止時間が短縮されます。ローリング・アップグレードでのデータベースの合計停止時間は、Oracle Data Guardスイッチオーバーを実行するために必要な短い時間に制限されます。

Oracle Database VaultでのOracle Data Guardデータベース・ローリング・アップグレードのサポート

Oracle Database Vaultを使用するデータベースは、Oracle Data Guardデータベース・ローリング・アップグレードを使用して新しいOracle Databaseリリースおよびパッチセットにアップグレードできます(一時ロジカル・スタンバイ・データベースのみ)。このサポートは、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降のローリング・アップグレード用です。

Oracle Data Guardデータベース・ローリング・アップグレードにより、ローリング方式で新しいデータベース・リリースまたはパッチセットへのアップグレードを行うことができ、計画停止時間が短縮されます。ローリング・アップグレードでのデータベースの合計停止時間は、Oracle Data Guardスイッチオーバーを実行するために必要な短い時間に制限されます。

Oracle Database VaultでのFlashback TechnologyおよびILMのサポート

PURGE TABLEPURGE TABLESPACEPURGE RECYCLEBINおよびPURGE DBA_RECYCLEBINなどのフラッシュバック操作をサポートするために、多数のOracle Database Vaultコマンド・ルールが追加されます。また、これにより、Oracle Database Vaultのデータベースごみ箱の機能のサポートが拡張されます。また、情報ライフサイクル管理(ILM)ユーザー用のOracle Database Vault認可が追加されます。

このサポートにより、Oracle Database Vaultの顧客は、Oracle Database Vaultで提供されるセキュリティ保護を損なうことなく、フラッシュバックおよびILM技術の機能を利用できます。

Oracle Data Guard BrokerでのOracle Active Data Guardローリング・アップグレードのサポート

Oracle Data Guard Brokerでは、Oracle Active Data Guardローリング・アップグレードをサポートするようになりました。Oracle Active Data Guardローリング・アップグレードは、Oracle Database 12.1で導入されました。これにより、多くの手動手順を単純なPL/SQLパッケージ(DBMS_ROLLING)で自動化することで、一時ロジカル・データベースのローリング・アップグレード処理の実行が容易になります。データベースのローリング・アップグレードが容易になるだけでなく、自動化処理により信頼性も大幅に向上します。Oracle Data Guard Brokerでは、現在、DGMGRLコマンドライン・インタフェースからOracle Active Data Guardのローリング・アップグレードを制御できます。また、ブローカのサポートによって、REDOトランスポート宛先の設定などの作業が透過的に処理され、ローリング・アップグレード処理が大幅に簡略化されます。

ブローカ管理のデータベース・ローリング・アップグレードは、アップグレード・プロセスを簡略化し、本番環境への変更の導入時に停止時間およびリスクを最小限にするための最終的な方法を提供します。

ビッグ・データおよびデータ・ウェアハウス

Big Data管理システム・インフラストラクチャ

外部表のパーティション化

パーティション化された外部表は、パーティション化されたハイブ表をOracle Databaseエコシステムにマップする機能、およびHadoop分散ファイル・システム(HDFS)ベースのデータ・ストアの上部で宣言的なパーティション化を行う機能を提供します。

外部HDFSベースのデータ・ストアのOracle Databaseパーティション化の機能を公開すると、問合せのパフォーマンスが桁違いに高速になり、データ・メンテナンスが強化されます。

宣言的制約のサポートの強化

内部表と外部表で宣言的および施行されていないと定義された制約は、問合せ処理の最適化のために、より包括的に使用されます。追加された改善事項として、内部表と外部表に対する宣言的NOT NULL制約、および外部表に対するすべての宣言的制約のサポート(一意性、主キー、および主キーと外部キーの関係)があります。

外部データで宣言的制約定義を有効にすると、データがデータベース内に存在するかどうかに関係なく、複雑なSQL操作のリソース消費を最適化する際の問合せパフォーマンスの向上に役立ちます。

Oracle RAC読取り専用ノードでのOracle Parallel Queryのサービス

Oracle RAC読取り専用ノードでのOracle Parallel Queryのサービスは、スケーラブルでパラレルなデータ処理アーキテクチャを表します。アーキテクチャは、問合せのパラレル実行専用の多数の処理エンジンの分散を許可します。

Oracleパラレル処理ファームを使用すると、ユーザーは、特にパラレル問合せ操作で、大規模なクラスタ化されたシステムにスケーラブルな処理アーキテクチャをデプロイできます。

HDFSやハイブなどのHadoopデータ・ソースに格納されたデータにアクセスできる外部表

外部表はHadoopに格納されたデータにアクセスできます。最も重要なデータ・ソースは、Hadoop分散ファイル・システム(HDFS)およびApache Hiveです。外部表はSQL*LoaderとOracle Data Pumpの両方で使用されるため、ORACLE_LOADERおよびORACLE_DATAPUMPアクセス・ドライバでも使用されます。

この機能により、Hadoopの多くのユーザーは、多くのアプリケーションが必要とする不可欠なデータベース品質とマップ減少処理を組み合せることができます。

多次元のインデータベース分析

分析ビュー

アナリティック・ビューは、スター・スキーマにビジネス・インテリジェンス・レイヤーを提供し、階層、レベル、集計データおよび計算済メジャーを持つデータ・セットを簡単に拡張できるようにします。アナリティック・ビュー機能には、新しいDDL文(CREATE ATTRIBUTE DIMENSIONCREATE HIERARCHYおよびCREATE ANALYTIC VIEW)と関連のALTERおよびDROP文、新しい計算済メジャー式の構文、および新しいデータ・ディクショナリ・ビューが含まれます。

アナリティック・ビューにより、データ・ウェアハウスおよびビジネス・インテリジェンスのアプリケーション開発者は、データをビジネス・ユーザーにとって役立つようにし、アプリケーション内の計算を定義する必要をなくして、時系列およびその他の計算を含むスター・スキーマを拡張できます。

アナリティック・ビューは、単純SQL問合せを使用して問い合せることができ、複雑なSQLジェネレータの必要をなくしてアプリケーション開発を簡略化します。計算は、アナリティック・ビューで定義することができ、SQL選択リストにメジャー名を含めて選択できます。

アナリティック・ビューにより、アプリケーション間の一貫性が促進します。 集計および計算ルールをデータベースで集中的に定義することによって、異なるレポート作成ツールで一貫性のない結果となるリスクを減らしたりなくすことができます。

問合せ処理および最適化の強化

オプティマイザ統計アドバイザ

データベースは、統計の収集方法を追跡および分析する組込みメカニズムを提供します。追跡される情報および現在のベスト・プラクティスに基づいて、データベースでは、現在の統計収集の問題をレポートし、統計収集への変更を提案します。

データベースが統計収集に関する履歴情報を収集し、変更を提案できるようにすると、顧客は、統計収集を微調整し、オプティマイザ統計収集のためのベスト・プラクティスを採用できます。

SQL計画管理の強化

SQL計画管理(SPM)は、大規模なプールの計画情報(自動ワークロード・リポジトリ(AWR)など)をSQL計画ベースラインのソースとして利用します。また、SPMは、顧客が選択的に計画を取得し、簡単に検証できるように、強化されます。

顧客は、特定のアプリケーション要件のためにSQL計画管理を利用できます。

スキャン率およびインメモリー列統計

DBMS_STATSは、外部表のスキャン率とインメモリー列ストア(IM列ストア)統計をサポートするようになりました。

データベースがインメモリー列ストアを使用する場合、im_imcu_countを表またはパーティションのインメモリー圧縮単位(IMCU)の数に設定し、im_block_countを表またはパーティションのブロックの数に設定できます。外部表の場合、スキャン率は、データがMB/秒でスキャンされる速度(MB/秒)を指定します。

バンド結合の拡張機能

バンド結合は、データ・セットのキー値が2番目のデータ・セットの指定された範囲(「バンド」)に収まる必要がある特殊なタイプの非等価結合です。データベースによりバンド結合が検出されると、データベースはより効率的にバンド結合のコストを評価し、定義されたバンドの範囲から外れる行の不要なスキャンを回避します。

ほとんどの場合、最適化されたパフォーマンスは、等価結合に相当します。

並列の再帰的WITHの拡張機能

Oracle Databaseは、独自のCONNECT BY句、およびANSI準拠のRECURSIVE WITH句を使用することによって、再帰的問合せをサポートします。並列の再帰的WITH句により、このタイプの問合せを並列モードで実行できます。

再帰的WITH型の問合せは、ソーシャル・グラフ(Twitterグラフやコール・レコードなど)などのグラフ・データで一般的です。また、再帰的WITH型の問合せは、輸送ネットワーク(たとえば、飛行経路、道路など)でよく使用されます。グラフ・データは、実際は本質的に周期的であるため、再帰的問合せがグラフ・データの分析処理の自然候補です。再帰的WITHは、グラフ内で単一のソース・ノードから単一または複数の宛先ノードへの最短パスの効率的な計算を保証します。双方向検索は、グラフ内で単一のソース・ノードから単一または複数の宛先ノードへの最短パスの効率的な計算を保証するために使用されます。双方向検索は、ソース・ノードと宛先ノードの両方から開始し、両方向の検索に進みます。グリーディ検索、見込みのない中間パスのプルーニング、双方向検索などの技術は、パフォーマンスを最適化するために実装されます。

メモリーにキャッシュされるCursor-Duration一時表

複雑な問合せでは、業務上の質問に答えるために、同じSQLフラグメント(問合せブロック)を複数回処理することがよくあります。これらの問合せの結果は、Cursor-Duration一時表として実装された、同じ問合せフラグメントの複数の処理を回避するために、内部的に格納できます。この新機能を使用すると、これらの一時表は、ディスクに書き込む必要なくキャッシュに完全に常駐できます。

インメモリーの中間の部分的な結果をキャッシュすると、複雑で重要な操作のパフォーマンスが向上し、I/Oリソース消費を最適化します。

一般

ローカルTEMP表領域

ハブ・リーフ・クラスタ環境の個々のリーフ・ノードは、ローカルTEMP表領域にオーバーフローすることがあります。

この機能により、ハブ・ノードおよび共通インフラストラクチャに転送する必要のあるデータの量が減少し、多数のノードでスケーラビリティが向上します。

読取り/書込みまたは読取り専用両方のインスタンスを含めることが可能なOracle Database

Oracle Database 12cリリース2 (12.2)は、同じデータベース内に2種類のインスタンス(読取り/書込みと読取り専用)を提供します。読取り/書込みインスタンスは通常のOracle Databaseインスタンスで、データの更新(DML文UPDATE、DELETE、INSERTMERGEなど)、パーティション・メンテナンス操作などを処理できます。読取り/書込みインスタンスには直接接続できます。

読取り専用データベース・インスタンスは問合せのみを処理でき、データを直接更新できません。読取り専用インスタンスには直接接続できません。データの更新と問合せの両方を含むパラレルSQL文(INSERT INTO <select query>など)がある点に注意してください。この場合、文の<select query>部分は読取り/書込みおよび読取り専用両方のインスタンスで処理されますが、INSERT部分は読取り/書込みインスタンスでのみ処理されます。

インスタンスを読取り専用として指定するには、INSTANCE_MODE初期化パラメータをREAD_ONLYに設定します(パラメータのデフォルト値はREAD_WRITEです)。

読取り専用インスタンスの導入により、データ・ウェアハウス・ワークロードに対するパラレル問合せのスケーラビリティが大幅に向上し、Oracle Databaseで数百単位の物理ノードを実行できるようになります。

高パフォーマンスのOracle Advanced Analytics、Data MiningおよびPredictive Analytics

Rモデル用のOracle Advanced Analyticsの拡張性

オープン・ソースのOracle R Enterprise統計プログラミング言語および環境は、Comprehensive R Archive Network (CRAN)リポジトリで使用可能な7,000を超えるオープン・ソースのRパッケージで広く人気があります。このリリースで、R開発者は、インデータベース・モデル構築、モデル適用、モデル・パラメータ設定、およびモデル表示のための、Oracle Advanced Analyticsアルゴリズム・アーキテクチャ内のRスクリプトおよびモデル・ベースのアルゴリズムを実行できます。ネストされた属性を持つデータ(テキストなど)、および集計されたトランザクション・データも処理できます。

主な利点は、強化された分析開発のしやすさが、RのドメインからOracle Databaseに拡張されたことです。顧客は、新しい分析をロールアウトできる環境を必要とし、変わり続ける犯罪の状況にビジネスが常に適応する必要がある不正の検出などの重要な領域で、迅速に既存のRパッケージを利用します。

Oracle Advanced Analyticsの相関ルールの拡張機能

ルールに関連付けられた値(売上高など)の計算など、Oracle Advanced Analyticsの相関ルール・アルゴリズムに、多くの拡張が行われました。

ビジネスに対する各ルールの価値を識別するのに役立つ相関ルールの補足情報を収集することは重要です。この機能を使用すると、Oracle Advanced Analyticsでは、モデルの構築中に、処理後のステップとしてこのような計算を実行するよりも簡単かつ効率的にこの計算を実行できます。

大幅なパフォーマンスの改善およびパーティション・モデルのサポート

Oracle Advanced Analyticsアルゴリズムは、モデル構築とモデル適用の両方を行うためにインデータベース・パラレル実行を最大限に利用し、向上した拡張性を提供し、新しいコンピューティング技術を利用するように、改善されました。

モデルはユーザーからパーティション化キーを取得することができ、これにより、各パーティションに合せて調整された別々のモデルを構築できます。管理およびデプロイメントを簡略化し、パフォーマンスを向上させるために、これらのモデルは引き続き単一モデルとしてバンドルされます。

この機能は、並列性と最適化を実施し、すべてのアルゴリズムがビッグ・データおよびクラウドのユース・ケースでのデータ・ボリュームにスケールを合わせられるようにして、パフォーマンスを大幅に改善します。

データ・サイエンティストには、異なるデータ(地域的な違いなど)を分散する重要な属性に関する知識があることが多いです。この機能により、Oracle Advanced Analyticsでは、その知識を入力として取得し、異なるセグメントに合せてモデルを調整できます。この機能がないと、データ・サイエンティストは、この機能を実現するために何百または何千ものモデルを構築および管理する必要があり、その結果、ユーザビリティとパフォーマンスの重大な問題が発生します。

明示的セマンティック分析アルゴリズムの拡張

明示的セマンティック分析(ESA)は、意味を持つ解釈可能な機能を抽出する際に役立つ技術です。ドキュメントの類似とトピックの識別にESAを使用できます。

潜在的な技術と比較して、ESAでは、ユーザーはすぐに機能を理解できます。Wikipediaを使用すると、適切な機能およびトピックを示す既存のドキュメントの大規模なコレクションが提供されます。

半構造化ビッグ・データ

テキスト・ベースのXML索引を使用した範囲ベースのXML問合せのサポート

この機能を使用すると、Oracle Databaseの全文索引テクノロジに基づいたXML索引は、数値または日付値の範囲ベースの検索をサポートできます。

この機能では、索引で範囲ベースの検索を最適化できるようにして、テキスト・ベースのXML索引の範囲を拡張します。これにより、テキスト・ベースの索引で最適化できる問合せの範囲が増加します。

バイナリXMLのトークン管理の改善

この機能では、トークン表をデータベースより低いレベルの粒度で管理できるようにすることによって、クライアント・ベースのXMLのエンコードおよびデコードの効率を向上させます。これにより、トランスポータブル表領域やパーティションの交換などの操作が効率的になります。

この機能では、エンコードおよびデコード操作中にリロードする必要があるトークンの変更を減らすことによって、バイナリXMLのクライアント側のエンコードおよびデコードの効率が向上させます。また、この機能により、移動されるXMLを記録する必要なく、トランスポータブル表領域を使用して、パーティションの交換操作を実行できます。

パーティション化: XMLIndexのサポートの改善

この機能では、パラレル問合せ(PQ)、パラレルDML操作(PDML)、およびExadata記憶域サービスとの密接な統合など、パラレル操作中に必要な作業を完了することにより、XMLTypeが関与するデータベース操作のスケーラビリティが向上します。また、この機能により、パーティション化を使用したXMLデータのパラレル・ロード、およびパーティション間とパーティション内の並列性のためのXMLIndexのサポートが可能になります。

この機能では、Oracle Exadataなどのパラレル・ハードウェア構成のパワーを十分に活用して、大きいボリュームのXMLを収集、問合せ、および取得できます。

SMALL_R_ROWのサポート

新しいOracle Text記憶域属性SMALL_R_ROWにより、$R索引表の行のサイズを削減できます。

この機能により、多くのプロセスが同時に行を更新する際の$R表での競合が減少します。

テキスト: 左切捨て問合せの逆トークン索引

新しいWORDLIST属性のREVERSE_INDEXは、$Iトークン表のTOKEN_TEXT列に新しい逆索引を作成します。

WORDLIST属性SUBSTRING_INDEXを使用する必要なく、左切捨て検索は、右切捨て検索と同じ速さになりました。

30文字の索引名のサポート

Oracle Textの索引名の最大制限が30文字に増加されました。

長い索引名を使用する機能により、アプリケーション開発者に対する制限ルールが少なくなります。

圧縮およびアーカイブ

DBFS、Oracle ExadataおよびSecureFilesの拡張機能

データベース内のNFSサーバー

Oracleデータベースは、ネットワーク・ファイル・システム(NFS)サーバーとして機能するようになりました。データベースは、NFSクライアントからのNFSリクエストに応答し、データベース内のファイルとそのメタデータの両方を格納します。

プライマリ・データベースに関連付けられたファイル(たとえばSQLスクリプトなど)は、スタンバイ・データベースに自動的にレプリケートできます。

ハイブリッド列圧縮の改善

配列の挿入のためのHCC圧縮

ハイブリッド列圧縮(HCC)は、配列の表への挿入中に使用できるようになりました。つまり、APPENDヒントなしのSQL INSERT SELECT文はHCCを使用でき、PL/SQLおよびOracle Call Interface (OCI)などのプログラム・インタフェースからの配列の挿入ではHCCを使用できます。

この機能では、ダイレクト・パス操作を使用せずにデータが挿入されたときにHCCを有効にすることによって、HCCの利点を簡単に得ることができます。また、ダイレクト・パス操作ではセグメント・ロックが必要ですが、配列の挿入ではセグメント・ロックを使用しないため、同時実行性の影響が最小限になります。

ADO行レベル・ポリシーを含むHCC圧縮データ

自動データ最適化(ADO)では、行レベル・ポリシーのHybrid Columnar圧縮(HCC)をサポートするようになりました。表またはパーティションの他の部分にDMLアクティビティがある場合でも、コールド・ブロックの行をHCC圧縮できます。

表の小さいサブセットまたはパーティションへの変更が常に行われている場合でも、HCCのADOポリシーは有効です。これは、HCC領域の節約およびパフォーマンスの利点を他のデータに透過的に拡張できることを意味します。

索引圧縮の拡張機能

拡張索引圧縮

このリリースの前は、拡張索引圧縮の形式は低圧縮のみでした。現在、高圧縮も指定できるようになりました。高圧縮は、低圧縮よりさらに領域が節約されます。

索引は、多くのデータベース内で大量の記憶域を消費します。高レベルの拡張索引圧縮により、大幅に領域が節約され、索引を使用して実行される問合せのパフォーマンスも向上します。高圧縮は、低圧縮と比較して次の利点があります。

  • ほとんどの場合、圧縮率が高くなります。
  • 拡張低圧縮より複雑な圧縮アルゴリズムを使用します。
  • 特別なディスク上の形式である圧縮単位でデータを格納します。

データベース・ライフサイクル管理

大規模なクラウド・デプロイメントの自動化のサポート

Zipイメージを使用したOracle Grid Infrastructureインストール

Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2)では、インストール・メディアがOracle Grid Infrastructureインストーラのzipファイルに置き換えられています。ユーザーは、zipファイルをターゲットGridホーム・パスに解凍した後で、インストーラ・ウィザードを起動できます。

この機能では、Oracleホーム・ソフトウェア・イメージをzip形式でユーザーに直接配信することによって、ユーザーのインストール・エクスペリエンスが簡略化されます。これまで、ソフトウェアをシステムにコピーするには、自動リリース更新(ARU)またはOracle Technology Network (OTN)からインストール・メディアをダウンロードし、ファイルを解凍し、setup.exeまたはrunInstallerのいずれかの形式でインストーラを実行する必要がありました。

データベース全般

コア・データベースの改善

テキスト: パーティション固有のニア・リアルタイム索引

ニア・リアルタイム索引を使用するためのオプション(STAGE_ITAB設定)をパーティション・レベルで指定できるようになりました。

頻繁に更新されるパーティションには、ニア・リアルタイム索引をオンに指定できますが、頻繁に更新されない表にはオフに指定できます。

テキスト: ニア・リアルタイム索引の管理の改善

ニア・リアルタイム$G索引表の最大サイズを指定できるようになりました。サイズがいっぱいになると、その後の更新は、かわりにメインの$I表に書き込まれます。

最大サイズを指定すると、ニア・リアルタイム$G索引表が大きくなりすぎてメモリーに適合しなくなることを防ぎます。

パーティション化: パーティション化の自動リスト

データベースにより、表のパーティション・キー値ごとに別の(新しい)パーティションが自動的に作成されます。

パーティション化の自動リストは、個々のパーティションを必要とする多数の個別キー値のパーティション表のリストを手動で維持するDBAの管理負荷をなくします。また、DEFAULTパーティションの必要なく、計画外のパーティション・キー値に自動的に対処します。

高度なカーソルの無効化

カーソルの無効化が高度になると、カーソルの無効化および再コンパイルの必要性が減少します。また、ハード解析でスパイクを回避できる場合、カーソルの再コンパイルを遅らせます。

高度なカーソルの無効化および低速な再コンパイルを行うと、アプリケーションをさらに使用できるようになり、カーソルの再コンパイルのCPU使用率が突然増加することがなくなります。

テキスト: 新しいドキュメント形式の追加

このリリースでは、Oracle Outside-In Technologyでサポートされる形式を、AUTO_FILTERを使用して索引付けできます。

新しい形式も索引付けできます。

テキスト: 構造化/ソート・データ(SDATA)セクションの改善

SDATAセクションには次の改善が行われます。

  • B-treeバックのSDATAセクションは、最適なパフォーマンスのために範囲検索を可能にします。
  • SDATAは、SEARCHまたはSORT操作向けに最適化できます。
  • 複数値のSDATAセクション - 結果セット・インタフェースのSDATAセクションによってグループ化します。

これらのSDATAの改善により、Oracleテキスト索引環境内での複合問合せのパフォーマンスと柔軟性が向上します。

テキスト: 索引内での更新されたドキュメントの保持

以前のリリースでは、ドキュメントが更新されると、索引が同期化されるまでドキュメントを検索できませんでした。Oracle Database 12cリリース2 (12.2)より、古い(期限切れの可能性がある)索引エントリを保持するオプションが使用できるようになり、ドキュメントを元のコンテンツから引き続き検出できます。

索引同期化をただちに実行する必要なく、マイナー・アップデート後もドキュメントは引き続き検索可能です。

テキスト: 読取り専用のMDATAセクション

通常のMDATAセクションは、ドキュメント全体を再索引付けせずに更新できますが、これを行うとパフォーマンスに負担がかかります。MDATAセクションを読取り専用に指定する(つまり、ドキュメントが更新され、索引が同期化されている場合にのみセクションを変更できる)オプションが使用できるようになりました。

読取り専用MDATAセクションを処理するために追加のカーソルが必要ないため、問合せのパフォーマンスが向上します。必要なカーソルの数を減らして、OPEN_CURSORSシステム・パラメータの制限を超えないようにすることもできます。

テキスト: センチメント分析およびコロケート

Oracle Textでは、センチメント分析およびコロケートをサポートします。センチメント分析では、検索語に関連付けられた正および負の傾向を識別します。

検索語に関連付けられた正または負の傾向の識別により、豊富な検索アプリケーションの構築を可能にします。

テキスト: JAPANESE_VGRAM_LEXERおよびWORLD LEXERの結合文字のサポート

JAPANESE_VGRAM_LEXERおよびWORLD_LEXERタイプでのprintjoins文字およびskipjoins文字のサポートが追加されました。

このメリットは、JAPANESE_VGRAM_LEXERタイプで処理されているドキュメントと、BASIC_LEXERタイプで処理されているドキュメントがある場合、ラテン語の文字列の処理がより整合性のあるものになることです。

テキスト: ドキュメント内の単語のシノニムの抽出

CTX_DOC PL/SQLパッケージの関数TOKENSおよびPOLICY_TOKENSで、シソーラス名を指定できるようになりました。これを行うと、返されるトークンには、ドキュメント内の実際の単語だけではなく、指定したシソーラスによって定義された、その単語のすべてのシノニムも含まれます。

この機能により、ドキュメントで見つかった語のすべてのバリアントを処理できるため、データ分析およびデータ・マイニング・ソフトウェアに利点が与えられます。

テキスト: NDATA、NEAR2およびNESTED NEAR問合せ演算子に対する変更

新しいOracle Text BESTMATCH問合せ演算子は、すべての語が存在しない可能性がある、またはバリアント形式で存在する場合でも、ドキュメント内の語の集まりを検出しようとします。

この機能により、正確な問合せ語がわからない場合は再呼出しが増加します。

マテリアライズド・ビュー: リフレッシュ統計履歴

様々な粒度でマテリアライズド・ビュー・リフレッシュ統計を収集して、分析やレポート作成のための履歴データを提供できます。

履歴マテリアライズド・ビュー・リフレッシュ統計を格納すると、マテリアライズド・ビュー・エコシステム(単一で固有のマテリアライズド・ビュー)がどのように展開しているか把握できます。このデータは、履歴分析と診断の両方の目的で、一意のインサイトを提供します。

プロセス管理

この機能では、プロセス・リソースを事前作成することによって、接続時間およびパラレル処理時間が改善します。新しい接続がミリ秒または秒単位で待機する必要がないように、管理者は、事前作成するプロセスの数を制御できます。かわりに、プロセスで事前作成されたプロセス・リソースを使用できるため、接続およびパラレル処理の時間が削減されます。

この機能により、ユーザー接続の接続およびフェイルオーバー時間、およびバックグラウンド・プロセスのプロセス生成時間が改善します。

パーティション化: 読取り専用パーティション

パーティションおよびサブパーティションは、個別に読取り専用状態に設定できます。 これにより、読取り専用のパーティションおよびサブパーティションでのDML操作は禁止されます。これは、既存の読取り専用表の機能の拡張機能です。

読取り専用パーティションおよびサブパーティションにより、DMLアクティビティの高度な制御が可能になります。これにより、パーティション表のデータ管理機能が強化されます。

パーティション化: 複数列リスト・パーティション化

リスト・パーティション化機能は、複数のパーティション・キー列を有効にするように拡張されました。

複数の列を使用してリスト・パーティション表のパーティション化基準を定義すると、アプリケーションの新しいクラスは、パーティション化のメリットを受けます。

一般

BigSCNのJDBCサポート

システム変更番号(SCN)は、すべてのトランザクションで生成される内部番号です。SCNの元のサイズは6バイトです。JDBCドライバは8バイトのBigSCNをサポートするようになりました。

非常に多数のトランザクションを実行し、12.1以前のドライバを使用しているユーザーは、6バイトのSCNにより制限を受ける場合があります。この機能を使用すると、JDBCドライバは8バイトのBigSCNをサポートします。これは非常に数の多いトランザクションをスムーズに実行する際に役立ちます。

Oracle Textでの読取り専用Oracleホームのパラメータのデフォルト値とファイルの場所の変更

この機能では、パラメータのデフォルト値および一部のファイルの場所を次のように変更します。

  • LOG_DIRECTORYのデフォルト値

    パラメータLOG_DIRECTORYのデフォルト値は$ORACLE_HOMEから$ORACLE_BASE_HOMEに変更されます。Oracle Textのデフォルトのログ・ディレクトリは$ORACLE_BASE_HOME/ctx/log/になりました。

  • CTX_OUTPUT

    CTX_OUTPUT.START_LOGおよびCTX_OUTPUT.START_QUERY_LOGのデフォルト・パスは$ORACLE_BASE_HOMEになりました。一部の構成で、$ORACLE_HOMEが読取り専用になったためです。

  • ctxload

    ctxloadのデフォルト・パスは現在のディレクトリに変更されます。このディレクトリは書込み権限のあるどのディレクトリも指定できます。$ORACLE_HOMEが読取り専用になったため、$ORACLE_HOMEは例外です。

    ログ・ファイル名: デフォルトのログ・ディレクトリは現在のディレクトリではなくなりました。デフォルトのログ・ディレクトリは$ORACLE_BASE_HOME/ctx/logになりました。

  • ctxkbtc

    ログ・ファイル名: デフォルトのログ・ディレクトリは現在のディレクトリではなくなりました。デフォルトのログ・ディレクトリは$ORACLE_BASE_HOME/ctx/logになりました。

選別が容易なプラガブル・データベース

PDBのI/Oレート制限

この機能では、プラガブル・データベース(PDB)によって発行された物理I/Oのレートを制限します。この制限は、1秒当たりのI/Oリクエストとして、またはMbps (1秒当たりのI/Oのメガバイト)として指定できます。この制限はPDBにのみ適用でき、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)または非CDBには適用できません。

REDOログ書込みや使用済バッファ・キャッシュ書込みなど、バックグラウンドI/Oは制限されません。この制限は、新しいPDBパラメータMAX_IOPSおよびMAX_MBPSを使用して指定されます。

CDB用のヒート・マップおよび自動データ最適化のサポート

ヒート・マップおよび自動データ最適化(ADO)は、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)をサポートするようになりました。

ヒート・マップおよびADOは、Oracle Multitenantを使用して統合されたデータベースで使用できるようになり、これにより、ブロックおよびセグメント・レベルでのアクセス・パターンの自動トラッキング、およびユーザー定義ポリシーに基づいたデータのストレージと圧縮の自動階層化を行うことができます。

PDBキャラクタ・セット

同じマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)内のプラガブル・データベース(PDB)ごとに、異なるキャラクタ・セットを指定できるようになりました。

Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.1)では、PDBのキャラクタ・セットはCDBのキャラクタ・セットとバイナリ互換する必要がありました。実際には、これは統合の障害です。多様なキャラクタ・セットを持つPDBを単一のCDBにプラグインできるようにすることによって、統合の利点を容易に認識できます。

PDBのリフレッシュ

顧客が、ソース・プラガブル・データベース(PDB)からクローン・コピーに変更を定期的に伝播したいとします。このような場合、クローニングされたPDBはソースPDBのリフレッシュ可能なコピーであることを示します。リフレッシュ可能なクローンPDBを読取り専用モードでのみ開くことができ、ソースPDBからの変更の伝播を手動(要求時に)または自動で実行できます。

この機能により、最初からクローン環境を再作成する必要がなくなり、クローンPDBをソースの変更と定期的に同期できることを保証します。この機能により、PDBのクローン・コピーをプロビジョニングする時間が大幅に減少します。

CONTAINERS問合せのヒント

12.1.0.2で導入されたCONTAINERSのヒントは、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)内の複数のプラガブル・データベース(PDB)のデータを集計するのに非常に有用な方法です。CONTAINERS ()問合せが発行されると、再帰的SQL文が生成され、各PDBで実行されます。CONTAINERS文レベルのヒントを使用して、これらの再帰的SQL文にヒントを渡すことができます。次に例を示します。

SELECT /*+ CONTAINERS (DEFAULT_PDB_HINT=<hint_string>) */ ... FROM CONTAINERS (<object>)

この例では、文字列<hint_string>CONTAINERS (<object>)を使用して実行される各再帰的SQL文のヒントとして使用されます。

この新機能を使用すると、CONTAINERS ()問合せから生成された再帰的SQL文のSQL実行計画を制御できます。

並列PDB作成の句

この新しい句は、シードPDBからの作成時にプラガブル・データベース(PDB)の作成を並列化します。数を指定しないと、並列度はOracle Databaseによって選択されます。ただし、PARALLEL句を使用して整数が指定されると、PDB作成時のファイル・コピーは、指定された整数に等しい並列度でパラレル化されます。Oracle Databaseでは、現在のデータベースの負荷に応じて、指定された並列度を受け入れないことを選択できます。

パラレルPDBを作成すると、PDBのプロビジョニングが速くなります。

PDBアーカイブ・ファイル(.pdbファイル)

プラガブル・データベース(PDB)が切断されると、PDBマニフェストとともにPDBに関連付けられたすべてのデータ・ファイルを、別のマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)にプラグインされるリモート・サーバーに個別にコピーまたは移動する必要があります。この新機能を使用すると、単一のPDBアーカイブ・ファイル(PDBの切断時にPDBマニフェストおよびすべてのデータ・ファイルを含む、拡張子が.pdbの圧縮ファイル)を作成することを選択できます。PDBをプラグインすると、.pdbファイルの存在が解釈され、PDBはCDBにプラグインされます。アーカイブからPDBマニフェスト・ファイルを抽出せずに、PDBアーカイブでPDBプラグイン互換性テストを直接実行することを選択できます。

この機能により、マルチテナント・コンテナ・データベース間で、PDBの切断とプラグインの管理が容易になります。

デフォルト表領域の句

Oracle Database 12cリリース1 (12.1)では、シードPDBを使用したプラガブル・データベース(PDB)の作成時に、デフォルト表領域が許可されました。Oracle Database 12cリリース2 (12.2)では、この句によってCREATE PLUGGABLE DATABASE文の他のタイプが有効化されます。指定する表領域は、PDBにすでに存在している必要があります。

この機能により、PDB作成操作中にデフォルト表領域を柔軟に選択できます。

PDBのクローニング

プラガブル・データベース(PDB)のクローニングは、完全またはスナップショットのPDBのクローンを作成する前に、ソース・システムを読取り専用モードに設定する問題を解決します。この機能を使用すると、アプリケーションを停止せずに、本番PDBをクローニングし、デプロイメントまたはテストのPoint-in-Timeコピーを作成できるようになりました。

この機能により、クローニングの目的でアプリケーション停止を作成する必要がなくなります。

ゼロに近い停止時間のPDB再配置

この新しい機能は、クローン機能を活用してあるマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)から別のCDBにプラガブル・データベース(PDB)を再配置することによって、停止時間を大幅に削減します。実際のクローニング操作が実行されている間、ソースPDBは開いたままで、完全に機能しています。ソースPDBが静止していて、宛先PDBが増分REDOの適用後にオンラインになっているときに、アプリケーションの停止は非常に小さいウィンドウに縮小されます。ソースPDBは、その後削除されます。 


この機能を使用すると、変更しているワークロードに合せ、ほぼリアルタイムにサービス・レベル合意(SLA)要件に従うことができるようになりました。

異なるキャラクタ・セットを持つPDBを含むCDBをサポートするロジカル・スタンバイ・データベース

Oracle Database 12cリリース2 (12.2)では、ルート・コンテナがすべてのプラガブル・データベース(PDB)のスーパー・セットであるキャラクタ・セットを持っているかぎり、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)により、PDBに異なるキャラクタ・セットを指定できます。ロジカル・スタンバイ・データベースは、このようなプライマリ・データベースをサポートします。

この機能は、異なるキャラクタ・セットを使用するPDBを持つCDBのローリング・アップグレードを有効にします。

異なるキャラクタ・セットを持つPDBを含むCDBをサポートするLogMiner

Oracle Database 12cリリース2 (12.2)では、ルート・コンテナがすべてのプラガブル・データベース(PDB)のスーパー・セットであるキャラクタ・セットを持っているかぎり、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)により、PDBに異なるキャラクタ・セットを指定できます。LogMinerは、このようなプライマリ・データベースをサポートします。

この機能は、異なるキャラクタ・セットを使用するPDBを持つCDBのローリング・アップグレードを有効にします。

CDBのキャラクタ・セット、タイム・ゾーン・ファイル・バージョンおよびデータベース・タイム・ゾーンが異なるPDBのサポート

この機能を使用すると、統合データベース(CDB)内のプラガブル・データベース(PDB)は異なるキャラクタ・セット、タイム・ゾーン・ファイル・バージョンおよびデータベース・タイム・ゾーンを使用できます。

CDBは、複数の部署別データベースを、各データベースをプラガブル・データベース(PDB)として、1つの統合データベースに統合できます。この機能を使用すると、異なるキャラクタ・セット、タイム・ゾーン・ファイル・バージョンおよびデータベース・タイム・ゾーンを使用するデータベースをCDBに統合できます。

プラガブル・データベース・マルチテナンシ

メモリー・リソース管理

Oracle Database Resource Manager (リソース・マネージャ)は、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)内のプラガブル・データベース(PDB)間のメモリーの使用を管理できるようになりました。

この機能により、あるPDBが、バッファ・キャッシュ、ライブラリ・キャッシュまたはプログラム・グローバル領域(PGA)を使用しすぎて、別のPDBのパフォーマンスが低下することを防止します。同時に、この機能は、データベース全体の良好なパフォーマンスを維持するのに役立ちます。

プロセスごとのPGA制限

プログラム・グローバル領域(PGA)は、ユーザーによる大量のPGAの使用を制限しているため、不正に記述されたSQL文によるランナウェイPGAを処理します。データ・ウェアハウスで、PGAは、アドホック・ユーザーの明確に定義されたレポートで使用できます。この機能は、一時領域の使用も制限します。

この制限は、DBMS_RESOURCE_MANAGERパッケージのCREATE_PLAN_DIRECTIVE()プロシージャを使用して、リソース・マネージャによって構成されます。

DBAは、CREATE_PLAN_DIRECTIVE()プロシージャのSWITCH_GROUPパラメータのCANCEL_SQLグループ名を使用するか、両方のDBMS_RESOURCE_MANAGERパッケージのDEQUEUE_PARALLEL_STATEMENTプロシージャを使用して、ランナウェイ問合せを手動で実行することもできます。

過剰な量のPGAまたは一時領域を使用したランナウェイ問合せにより、データベースに深刻な問題が発生することがあります。マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)または統合環境で、この問合せのタイプは、他のプラガブル・データベースや他のデータベースにも影響する可能性があります。

パフォーマンス・プロファイルおよび必須PDBプロファイル

数千のプラガブル・データベース(PDB)を含むマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)の場合、メモリーおよび他のリソース・マネージャ・ディレクティブを構成することは面倒になります。また、CDBでは、すべてのPDBで特定のPDBレベルのディレクティブ(プログラム・グローバル領域(PGA)メモリー制限など)の実施を求める方法が必要です。 

新しいデータベース・パラメータDB_PERFORMANCE_PROFILEは、データベースまたはプラガブル・データベースのクラス(たとえば、ゴールド、シルバーまたはブロンズ)を指定するために使用できます。  CDB管理者は、PL/SQLプロシージャDBMS_RESOURCE_MANAGER.CREATE_CDB_PROFILE_DIRECTIVE()を使用して、ゴールド、シルバーまたはブロンズのすべてのPDBのCDBプラン・ディレクティブを作成できます。

この機能は、パブリック・クラウド・コンテキストに多くのプラガブル・データベースがあるCDBを管理するために必要です。

CDBレベルのPDBロックダウン

プラガブル・データベース(PDB)ロックダウン・プロファイルを使用して、指定のマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)に対して単純なロックダウン・レベルを指定できます。PDBロックダウン・プロファイルは、指定されたPDBに接続中のローカル・ユーザーが使用可能な操作を制限するためのセキュリティ・メカニズムです。ロックダウン・レベルは、高、中、低のように単純になります。高レベルでは、オペレーティング・システム・ファイル、Oracle XML Databaseおよび外部表へのアクセスを制限します。低レベルではこれらの機能を有効化します。

PDBロックダウン・プロファイルにより、マルチテナント環境のセキュリティが強化されます。

アプリケーション・ルート

プラガブル・データベース(PDB)のフェデレーションにより、フェデレーションに参加している複数のテナント間で共有できる、共通のアプリケーション・データ・モデルを作成できます。個々のテナントが参照できる共通のデータ・ソースを作成および維持することもできます。

PDBのフェデレーションにより、1つのマスターから複数のアプリケーション・テナントを維持する操作の効率が向上します。

プロキシPDB

プロキシ・プラガブル・データベース(PDB)は、リモート・マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)内の別のPDBへの完全な機能アクセスを行います。この機能により、同じデータ・センターに存在するか、データ・センターに分散される複数のソースからデータを集計できる、場所透過的アプリケーションを構築できます。

プロキシPDBでは、複数のアプリケーション・バックエンドからデータを集計する機能を提供します。

サービスに基づいた新規アドレスへの接続の転送

Oracle Database 12c リリース2 (12.2) 以降、Oracle Netリスナーでは、新しいリスナー・パラメータALLOW_MULTIPLE_REDIRECTS_listener_nameが導入され、複数のリダイレクトがサポートされています。古いリスナーを引き続き使用でき、クライアント・アプリケーションを変更する必要がありません。古いリスナーは、移動したアドレスへのサービスに基づいて接続を転送します。

新しいリスナーは、ローカル・データベースからOracle Public Cloudへのプラガブル・データベース(PDB)のシームレスな移行をサポートします。

TCPプロトコルのサービス・レベルのACL

この機能を使用すると、すべてのデータベース・サービスは独自のアクセス制御リスト(ACL)を持つことができ、ACLはIPに基づいています。各プラガブル・データベースは異なるサービスであるため、この機能により、異なるプラガブル・データベースに異なるACLを定義できます。これらのACLはリスナーによって施行されます。プラガブル・データベース・サービスは、ACLを介して許可されているIPでのみ有効です。

この機能により、プラガブル・データベースのセキュリティが改善されます。

プラガブル・データベース全般

プラガブル・データベースのフラッシュバック

プラガブル・データベース(PDB)に固有のリストア・ポイントを設定して、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)内の他のPDBに影響を与えることなく、そのリストア・ポイントにフラッシュバックできるようになりました。通常のリストア・ポイント(別名へのシステム変更番号(SCN)の割当て)と保証付きリストア・ポイント(データベースがある時点にフラッシュバックされることを保証する)の両方を、PDBレベルで実行できます。

リストア・ポイントは、SCNに別名を割り当てる際に使いやすい方法です。別名を使用すると、フラッシュバック・プラガブル・データベースを使用してその時点にデータベースを巻き戻すことができます。このオプションを有効にすることによって、CDB全体ではなく、特定のPDBにPoint-in-Timeリカバリ(PITR)を実行できます。

1回の操作による1つ以上のPDBを含むCDBのアップグレード

1つ以上のプラガブル・データベース(PDB)が接続されたマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)を1回の操作でアップグレードできます。

データベース管理者(DBA)は、複数のPDBを持つ1つのCDBを単一の操作でアップグレードできるため、管理オーバーヘッドの削減が可能になります。

各マルチテナント・コンテナ・データベースでの多数のプラガブル・データベースのサポート

Oracle Database 12cリリース2 (12.2)では、単一のマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)に数千のプラガブル・データベース(PDB)を含めることができるようになりました。

Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.1)では、各CDBに最大252個のPDBを含めることができました。CDBごとに多数のPDBをサポートすることによって、管理するCDBが少なくなり、営業経費の減少の恩恵を受けます。

プラガブル・データベース・ロックダウン・プロファイルの拡張機能

マルチテナント環境のプラガブル・データベース(PDB)ロックダウン・プロファイルは、クラウドおよび非クラウド両方の環境で指定のPDBに接続して実行できる操作を制限するために使用されるメカニズムです。デフォルトでは、3つのプロファイルを使用できます。たとえば、SOFTWARE_AS_A_SERVICE、PRIVATE_DB_AS_A_SERVICEPUBLIC_DB_AS_A_SERVICEがあります。これらのプロファイルは制限の昇順で定義されます。これらのデフォルトのプロファイルを変更するか、セキュリティ要件に適した新しいプロファイルを作成できます。

PDBロックダウン・プロファイルでは、アプリケーションのセキュリティ要件に従って、カスタム・セキュリティ・ポリシーを定義する柔軟性が提供されます。また、この機能は、パブリックDatabase as a Service (DBaaS)に対するセキュリティの懸念事項を緩和し、クラウドの選別に役立ちます。

プラガブル・データベースのオペレーティング・システム資格証明

通常、Oracle Databaseオペレーティング・システム・ユーザーは高い権限を持つユーザーです。オペレーティング・システムの操作時にそのユーザーを使用すると、セキュリティの弱点が攻撃されやすくなる可能性があります。また、異なるプラガブル・データベース(PDB)からのオペレーティング・システムとの対話に同じオペレーティング・システム・ユーザーを使用すると、特定のPDBに属するデータが危険にさらされる可能性があります。名前がPDB_OS_CREDENTIALの値として指定されている資格証明(オペレーティング・システム・ユーザーの資格証明の作成方法はDBMS_CREDENTIALを参照)で表されるオペレーティング・システムを使用して、オペレーティング・システムとの対話が権限の低いユーザーとして実行されるようにします。これによって、あるPDBに属しているデータが別のPDBに接続しているユーザーからアクセスされるのを防ぐこともできます。

この機能により、PDBからオペレーティング・システムを操作する際のセキュリティが強化されます。

アップグレード

アップグレード前情報ツールからの使いやすさおよびレポート作成の強化

アップグレード前情報ツールは、様々な方法で強化されます。明確性および一貫性を向上させるために、メッセージは再フォーマットおよびリライトされます。修正ルーチンが拡張および強化され、自己検証を行って、修正が必要なくなる場合を検出できます。アップグレード前情報ツールは、システム間のツールの移植、コピーおよび移行を簡単にするために、単一の.jarファイルとして提供されます。

アップグレードの自動化に関するこれらの改善により、データベースのアップグレードに必要な手間が省けます。

アップグレード中のユーザー表領域の読取り専用への自動設定

パラレル・アップグレード・ユーティリティ(catctl.pl)の新しい-Tオプションは、アップグレード中にユーザー表領域を読取り専用に自動的に設定し、アップグレード後に読取り/書込みに戻すために使用できます。

アップグレード中に問題が発生した場合の高速なフォールバック戦略のために、この新機能を使用します。次の手順を実行します。

  1. 潜在的なフォールバックのために、必要に応じてシステム表領域をローカル・ディスクにコピーします。
  2. アップグレードで-Tオプションを使用して、アップグレードの間、ユーザー表領域を読取り専用に設定します。
  3. アップグレード中に問題が発生した場合、システム表領域のコピーをリストアし、元の(古い) Oracleホームでデータベースを開くことによって、データベースを迅速に再起動できます。

Database Upgrade Assistant (DBUA)は、この機能もサポートします。

ユーティリティ

スケジューラ: ジョブ非互換性

1つ以上のジョブを同時に実行できないタイミングを指定できるようになりました。

別のジョブがすでに実行中のとき、ジョブを実行できない場合があります。2つのジョブが同じリソースを使用している場合、その2つのジョブを同時に実行できないように指定できます。

スケジューラ: リソース・キュー

ジョブの実行に必要な定義済リソースの数を指定できるようになりました。リソースはユーザーによって指定することができ、2つの属性(nameおよびcount)のみがあります。実行時に、Oracle Schedulerは、実行中のジョブが使用可能なリソースを超えないことを保証します。リソース制限がある場合、リソースを定義し、そのプロパティを設定できます。ジョブ定義では、ジョブの実行に必要なリソースを指定できます。

必要なリソースが使用可能になるまで、ジョブを実行できません。

スケジューラ: インメモリー・ジョブ

このリリース以降、インメモリー・ジョブを作成できます。インメモリー・ジョブの場合、通常のジョブと比較して、最小限のデータがディスクに書き込まれます。インメモリー・ジョブには、繰返しのインメモリー・ジョブと、1回のインメモリー・ジョブの2つのタイプがあります。1回のインメモリー・ジョブの場合、ディスクには何も書き込まれません。繰返しのインメモリー・ジョブの場合、ジョブ・メタデータはディスクに書き込まれますが、実行情報はありません。

インメモリー・ジョブは、パフォーマンスとスケーラビリティが優れています。

Oracle Data Pumpのメタデータの並列インポート

Oracle Data PumpのPARALLELパラメータは、以前はデータのみに適用されていましたが、メタデータ・インポート操作を含むように拡張されています。メタデータをインポートするためにパラレルで動作する複数のプロセスを使用できるようにすることによって、Oracle Data Pumpインポート・ジョブのパフォーマンスは向上します。

メタデータのパラレル・インポートがこのリリースに追加されたため、Oracle Data Pumpジョブにかかる時間が短くなりました。

Oracle Data Pumpのメタデータの並列エクスポート

Oracle Data PumpのPARALLELパラメータは、以前はデータのみに適用されていましたが、メタデータ・エクスポート操作を含むように拡張されています。メタデータをエクスポートするためにパラレルで動作する複数のプロセスを使用できるようにすることによって、Oracle Data Pumpエクスポート・ジョブのパフォーマンスは向上します。

Oracle Data Pumpジョブは、移行中の停止時間を短くし、エクスポート操作の経過時間を短くする必要があります。

Oracle Data Pumpファイル名の置換変数の新しいオプション

置換(ワイルドカード)変数の選択肢は、Oracle Data Pumpダンプ・ファイル名に使用できるようになりました。新しい選択肢には、日付または時間の値、広い範囲の数値、およびシステム生成の一意のファイル名が含まれます。

代替変数により、Oracle Data Pumpダンプ・ファイルのファイル管理が向上し、個々のファイル名を手動で指定せずに、程度が高いパラレル処理を利用できます。

インポート中のデータ・ファイルの名前変更

トランスポータブル表領域ジョブのデータ・ファイルの、新規ファイル名またはファイル名変換をユーザーが指定するための、新しい構文が追加されます。

インポート中にデータ・ファイルの名前を変更すると、ALTER TABLESPACE文を実行してインポートの完了後にファイルを手動で名前変更または移動する必要なく、管理オーバーヘッドを減らします。

インポートでのDATA_OPTIONSパラメータのTRUST_EXISTING_TABLE_PARTITIONSフラグ

インポート用のDATA_OPTIONSパラメータに新しいTRUST_EXISTING_TABLE_PARTITIONSフラグが追加されました。このオプションは、パーティション・データを既存の表にパラレルにロードするように、Data Pumpに指示します。これは、メタデータが静的で、データを移行するためにデータベースをオフラインにする前に移動できる場合に、移行の一環として行われます。メタデータを別々に移動すると、停止時間が最小限になります。DBAがこのメカニズムを使用し、データベースの他の属性(たとえばキャラクタ・セット)が同じである場合、エクスポート・データベースからのデータは、インポート・データベースの同じパーティションに移動します。

この新しいTRUST_EXISTING_TABLE_PARTITIONSフラグにより、複数のパーティションのデータを既存の表にパラレルでロードして、インポート時間を短縮できます。

エクスポートでのDATA_OPTIONSパラメータのGROUP_PARTITION_TABLE_DATAフラグ

エクスポート用のDATA_OPTIONSパラメータに新しいGROUP_PARTITION_TABLE_DATAフラグが追加されました。このオプションは、各表パーティションを別々の操作としてアンロードするのではなく、1つの操作ですべての表データをアンロードするように、Data Pumpに指示します。そのため、インポート時の表の定義は重要ではありません。インポートでは、表全体にロードされたデータのパーティションを参照します。

新しいGROUP_PARTITION_TABLE_DATAフラグにより、すべてのパーティションのデータを一度にパラレルでロードできます。これにより、表データをインポートする時間が減少します。

インポートする際のデータ検証オプション、ORACLE_LOADERアクセス・ドライバおよびOCIDirPath

表の日付および日付フィールドのデータが有効であることを確認するための新しいオプションが追加されます。信頼性のないソースからダンプ・ファイルをインポートする際に、このオプションを使用して、ダンプ・ファイルでデータが破損したために発生する可能性のある問題を回避します。データの検証に関連するオーバーヘッドにより、デフォルトでは、インポート時にデータの検証が行われなくなりました。

この検証により、不正なデータのSQLインジェクション・バグからデータベースを保護します。信頼性のないソースからダンプ・ファイルをインポートする際に、このオプションを使用することをお薦めします。

新しいファイル形式をサポートするORACLE_DATAPUMPおよびORACLE_LOADERアクセス・ドライバ

Oracle Loader for Hadoop (OLH)は、ORACLE_DATAPUMPアクセス・ドライバによって書込みおよび読取りが行われるファイルを使用します。現在のファイル形式の問題は、ファイルの残りが書き込まれた後でファイルの最初の2ブロックを更新する必要があることです。OLHで使用されるHadoopファイル・システムは1回書込みであるため、ヘッダー・ブロックを更新できません。この機能により、Hadoopファイル・システムでORACLE_DATAPUMPアクセス・ドライバによって書込みおよび読取りを行うことができる新しいファイル形式が追加されます。ファイルの残りが書き込まれた後にファイルの先頭を更新する必要がなくなるように、このファイル形式では、ヘッダー情報を含むファイルに2つのトレーラ・ブロックを追加します。新しいHADOOP_TRAILERSアクセス・パラメータを使用して、ダンプ・ファイルで新しいHadoopトレーラ形式を有効にできます。

新しいファイル形式では、ファイルの最初の2ヘッダー・ブロックの更新を回避するためにファイル・データを複数回書き込む必要がなくなったため、OLHを高速に実行できます。

データ・ポンプ・ネットワーク・モード操作でのLONGデータ型を含む表のサポート

通常、データ・ポンプは、INSERT AS SELECT SQL文を使用して、ネットワーク・インポートで表のデータを移動します。ただし、INSERT AS SELECTを使用してLONG列を移動することはできないため、これらの表のデータは移動されません。可能な場合、Data Pumpは、OCIDirPathUnloadを使用してリモート・データベースからデータをアンロードしてから、OCIDirPathLoadを使用して表データをターゲット・データベースにロードします。OCIDirPathにより、Data Pumpは、LONGなどのほとんどのデータ型を持つ表を移動できます。OCIDirPathで移動できないデータ型を含む表の場合、Data PumpはINSERT AS SELECTの使用を続行します。LONG列と、OCIDirPathで移動できないデータ型の1つの両方が表に含まれる場合、ネットワーク・インポートでその表を移動できません。

また、このサポートにより、ネットワーク・インポートをより多くのユーザーが使用できるようになります。

新しいビューのOracle Data Pumpで使用可能なメタデータ変換

この機能では、異なるモードのOracle Data PumpおよびメタデータAPIでどのメタデータ変換が使用可能であるかについての情報を提供するビューをOracle Databaseに追加します。

現在、変換は、Oracle Data PumpおよびメタデータAPIでドキュメント化されていますが、DBAは、その情報を取得するためにデータベースに問い合せることができます。この機能では、機能のドキュメントが変換の作成の一環として維持されていることを確認し、この情報がSQL*Plusなどのインタフェースを介して使用可能であることを確認します。

インスタント・クライアントへのOracle Data PumpおよびSQL*Loaderユーティリティの追加

この機能により、SQL*Loader、expdp、impdp、expおよびimpがインスタント・クライアントのツールに追加されます。

Oracle Databaseが完全にインストールされていないマシン上でこれらのユーティリティを実行できるようになりました。

SQL*Loaderの新しいSDF_PREFIXパラメータ

この機能では、SQL*Loaderコマンド・ラインに新しいパラメータSDF_PREFIXが提供されます。このパラメータの値は、LOBFILESの名前およびロードで使用されるセカンダリ・データ・ファイルに追加されます。これにより、データ・ファイル内の完全なファイル仕様をハード・コードせずに、システムで使用できるデータ・ファイルを作成できます。かわりに、データ・ファイルにあるファイル名を、SDF_PREFIXで指定されたパスに対してすべて相対的にすることができます。このパラメータは、SQL*Loader制御ファイル内のOPTIONS句で指定することもできます。

この機能により、異なるマシン上の異なるディレクトリ・パスからロードできるデータ・ファイルの分散が簡略化されます。

エクスプレス・モードで使用されるSQL*Loaderパラメータのマルチバイト文字列の許可

現在、SQL*Loader用のENCLOSED_BYOPTIONALLY_ENCLOSED_BYおよびTERMINATED_BYコマンド・ライン・パラメータは、値として単一の文字のみを受け入れます。この機能により、これらのパラメータは、文字列を値として受け入れるように変更されます。

この機能により、SQL*Loader制御ファイルを作成せずにロードできるファイルのタイプについて柔軟性が高まります。

データベース移行: DB2エクスポート・ユーティリティで生成されたLLSファイルのサポート

DB2エクスポート・ユーティリティでは、LOBデータ(文字またはバイナリのいずれか)を個別のファイルにアンロードするオプションを使用してテキスト・ファイルに表データをアンロードします。LOBデータが別のファイルにアンロードされると、DB2はLOBロケータ指定子(LLS)をデータ・ファイルに書き込みます。LLSには、ファイル名、データ・ファイル内のLOBデータのオフセットおよび長さが含まれます。この機能では、データ・ファイルのフィールドがLLSフィールドであることを示すことができるように、SQL*Loader制御ファイルおよびORACLE_LOADERアクセス・パラメータの句を追加します。SQL*LoaderおよびORACLE_LOADERは、LOB列のデータを読み取るために、このフィールドの情報を使用します。

この機能は、DB2からOracle Databaseへのデータの移行に役立ちます。

診断能力

バグ解決プロセスの改善

トレース・ファイル・アナライザ: Webベースの視覚化

トレース・ファイル・アナライザ(TFA)ユーティリティは、Oracle Database単一インスタンスおよびOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)を含む、Oracle Databaseの診断情報を収集するための標準になりました。TFAのWebベースの視覚化機能は、ナビゲートしやすいWebベースの視覚化をTFAに追加します。TFAのWebベースの視覚化機能は、Oracle Grid Infrastructureの一部としてインストールされます。

TFA Webソーシングの使用によって、TFA収集の一環として収集された診断情報のレビューおよび分析が簡略化および効率化され、回復時間が短縮されます。

失敗の分析

トレース・ファイル・アナライザ: 診断収集の最適化

Oracleトレース・ファイル・アナライザ(TFA)コレクタは、Oracle Clusterware、Oracle Grid InfrastructureおよびOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)システムの診断データ収集を簡素化し、診断を収集するためのユーティリティです。

診断収集機能と同様に、Oracleトレース・ファイル・アナライザ(TFA)コレクタによって、診断情報の集中化および自動収集を行うことができます。TFAは、すべてのサーバー上のすべてのクラスタおよびOracle Databaseコンポーネントの診断データ収集を、1つのサーバーのみで実行された単一のコマンドにカプセル化します。結果は、中央サーバーに格納することができ、データ・アップロード・サイズを削減するために切り捨てられます。TFAは、特定の製品のみのデータを収集するように指示することもできます。

トレース・ファイル・アナライザ: 診断収集の自動化

Oracleトレース・ファイル・アナライザ(TFA)コレクタは、TFAがインシデントを検出すると、診断情報を自動的に収集するオプションを提供します。

インシデント・ベースの診断収集では、特定のメッセージが表示される場合のみアクションを実行するようにOracleトレース・ファイル・アナライザ(TFA)コレクタに指示することによって、診断収集の負荷を軽減します。デフォルトでは、TFAは、この機能のOracle Databaseアラート・ログ、Oracle ASMアラート・ログおよびOracle Clusterwareアラート・ログを考慮します。

トレース・ファイル・アナライザ: 診断収集の管理

Oracleトレース・ファイル・アナライザ(TFA)コレクタによって、診断データの自動収集と手動収集を選択できます。TFAは、デフォルトで、10GB、またはTFAリポジトリが常駐するファイル・システム・サイズの50%のうち大きい方を、最大リポジトリ・サイズとして使用します。

Oracleトレース・ファイル・アナライザ(TFA)コレクタの、収集されたデータを管理する機能は、システムの管理を簡単にするだけでなく、必要なときに関連データが確実に提供されるようにします。

トレース・ファイル・アナライザ: 補助システムへのフィードバック

Oracleトレース・ファイル・アナライザ(TFA)は、直接分析できる、または特定のコンテキストで視覚化または分析するために補助システムへのデータ・ストリームとして機能できる(Oracleサポートなど)、診断データを収集します。

補助システムへのデータをフィードバックする機能により、すべてのOracle Database関連の診断データの優先コレクション・ツールであるOracleトレース・ファイル・アナライザ(TFA)を作成します。

最初の失敗の取得

XStream: レプリケーション・イベント・ビュー

DBA_REPLICATION_PROCESS_EVENTSビュー・レコードは、データベース・ビューで、構成変更、起動および停止などのイベントを処理します。

DBA_REPLICATION_PROCESS_EVENTSビューでは、データベース管理者とレプリケーション管理者の両方にレプリケーション・アクティビティへの可視性を提供します。

XStreamおよびGoldenGateインバウンド・サーバー・メッセージ・トラッキング

ユーザーは、メッセージ・トラッキング機能を適用プロセス・パラメータとして有効にすることができます。MESSAGE_TRACKING_FREQUENCYパラメータは、適用プロセスによって受信されるメッセージが自動的に追跡される頻度を指定します。

有効にすると、この機能は、処理される論理変更レコードの詳細を、データベース管理者およびレプリケーション管理者に提供します。

トレース・ファイル・アナライザ: 時間切捨ての診断収集の有効化

Oracleトレース・ファイル・アナライザの自動診断収集機能によって収集されたファイルのトリミングは、トレース・ファイル・アナライザのtrimfilesパラメータによって制御できます。

有効(デフォルト)にすると、ファイルは、イベントの前後のデータのみを含むように切り捨てられます。

Exadata

一般

RMAN: バックアップ・セット形式での疎データベースのバックアップ

疎ファイルを使用したRMANバックアップをサポートするために、この機能では、新しいコマンドBACKUP AS SPARSE BACKUPSET <object>が導入されています。オブジェクトには、データ・ファイル、表領域またはデータベースを指定できます。このコマンドを実行すると、RMANは、疎データベースまたはデータ・ファイル(プラガブル・データベース(PDB)でも可)のバックアップを取ることができます。このコマンドがデータ・ファイル・レベルより高いレベルで使用されると、そのコマンドは、個別のデータ・ファイル・レベルのバックアップ・コマンド(BACKUP AS SPARSE DATAFILE)に最終的に変換されます。疎バックアップでは、データベース、データ・ファイルの完全バックアップ、およびレベル0とレベル1の増分バックアップをサポートします。

疎データベースのバックアップを行うことによって、基本データベース全体がバックアップされるわけではありません。デルタ記憶域ファイル(疎データベースを介して発生した変更)のみがバックアップされます。これにより、全体のバックアップ時間およびバックアップの格納に必要な領域が大幅に減少します。

RMAN: イメージ・コピー形式での疎データベースのRMANバックアップ

 RMANでは、イメージ・コピー・バックアップを実行する、基礎となる疎データベース・メカニズムを利用することによって、疎データベースからイメージ・コピーを作成できるようになりました。イメージ・コピー形式でのバックアップに必要な新しいコマンドはありません。

新しい機能では、別の目的で、疎データベースの重複またはバックアップが可能です。

RMAN: 疎バックアップからのリストア

RMAN RESTOREコマンドは、最も適切な(通常または疎)バックアップ・セットを決定し、バックアップ・セットからデータ・ファイルをリストアします。RMANが以前のRESTOREコマンドで設定された疎バックアップを選択するかどうかに応じて、リカバリ動作が変わります。

この機能では、ベース・データ・ファイルに影響を与えることなく、疎データベースをリストアできます。

RMAN: 疎データベースのリストア

RMANリカバリ操作は、疎データベースを現在の時間、または過去のある時点の状態になるように実行されます。これは通常、リストア操作に続きます。

この機能では、ベース・データ・ファイルに影響を与えることなく、疎データベースの完全または不完全な(ある時点の)リカバリを許可します。

RMAN: 疎バックアップのパージ

疎データベースの廃止されたバックアップを削除するには、パージ操作が必要です。

これは、必要なくなった疎データベースの不要または廃止されたバックアップをクリーンアップするハウスキーピング・アクティビティです。保持ポリシーも、廃止とマークするバックアップのカテゴリ化ステータスに影響を与える場合があります。

管理性

自動パフォーマンス管理

Oracle Data GuardでのOracle Diagnostics Packのサポート

Oracle Diagnostics Packは、読取り専用アクセスでオープンされているActive Data Guardスタンバイ・データベースとともに使用できます。これにより、Active Data Guardスタンバイ・データベース用の自動ワークロード・リポジトリ(AWR)へのパフォーマンス・データを取得し、AWRデータに関する自動データベース診断モニター(ADDM)分析を実行できます。

この機能は、Active Data Guardスタンバイ・データベースで実行中の読取り専用ワークロードのパフォーマンス・チューニングを有効にします。

Active Data GuardでのSQLチューニング・アドバイザのサポート

SQLチューニング・アドバイザは、あるデータベース上でチューニングを開始したときに実際のチューニング・プロセスは別のデータベース上でリモートに実行されるように、強化されました。これにより、DBAは、Active Data Guardスタンバイへのプライマリ・データベース・ワークロードのチューニング、およびActive Data Guard自体のActive Data Guard SQLワークロードのチューニングをオフロードできます。 プライマリ・データベース・ワークロードのSQLチューニングをActive Data Guardスタンバイにオフロードすると、SQLチューニング・プロセスはプライマリ・データベースから開始されますが、コストの高いチューニング・プロセスがActive Data Guardスタンバイ上でリモートに実行され、データベース・リンクを使用して結果がプライマリ・データベースに書き戻されます。Active Data Guardワークロードのチューニング時に、データベースの読取り専用の性質を維持している間、SQLチューニング・プロセス全体がActive Data Guardスタンバイでローカルに実行されます。これは、プライマリ・データベースからデータベース・リンクを介して必要な情報を収集し、データベース状態の変更(SQLプロファイル実装など)をプライマリ・データベースに書き戻すことによって実現されます。プライマリ・データベースに実装されたSQLプロファイルの推奨事項は、Redo Applyメカニズムを使用してActive Data Guardスタンバイに適用されます。

SQLチューニング・アドバイザのリモートSQLチューニング機能は、Active Data Guardワークロードのチューニング、およびActive Data Guardスタンバイへのプライマリ・データベース・ワークロードのチューニングのオフロードをサポートします。この機能のビジネス上の利点は次のとおりです。

  • アプリケーション・チューニングのサポートによる、Active Data Guardデータベースの管理性の改善
  • プライマリ・ワークロード・チューニングのためにActive Data Guardで使用可能なリソースの利用による、投資に対する最適なリターン
  • Active Data Guardおよびプライマリ・データベース・ワークロードのアプリケーション・パフォーマンスの改善
  • リーダー・ファーム環境など、要求の多いアプリケーションの読取りパフォーマンスの改善
  • SQLチューニング・アドバイザの開始および異なるデータベースへの結果のリモートな格納における柔軟性
  • SQLパフォーマンス・アナライザまたはその他の方法で使用する際の、ワークフローのエンドツーエンドのチューニングとテストのサポート
SQLパフォーマンス・アナライザおよびSQLチューニング・セットの拡張機能

SQLパフォーマンス・アナライザ(SPA)は、次の3つの新しいタスク・パラメータを提供するように拡張されています。

  • EXECUTE_FULLDML_TRIGGERS: このパラメータを使用して、SPA試行がFULLDMLモードで実行されたときに再帰的に呼び出されるデータベース・トリガーを有効化または無効化します。
  • EXECUTE_WITH_FIXED_DATE: このパラメータをSPA試行で使用して、SYSDATE関数を参照するSQLに固定日付を設定します。
  • NUM_ROWS_TO_FETCH: このパラメータを使用すると、オプティマイザ・モード設定に基づいてSQL文がフェッチする行数を制限できます。

SQLチューニング・セット(STS)は次のように拡張されています。

  • DBMS_SQLTUNE PL/SQLパッケージのstart_captureおよびstop_capture APIを明示的に使用することによって、STSキャプチャを起動および停止できます。
  • STSキャプチャは、Oracle Real Application Cluster (Oracle RAC)のすべてのインスタンスでSQLワークロード・キャプチャをサポートするように拡張されています。
  • STSキャプチャに、Exadata、SQLモニタリングおよびインメモリー・データベースに固有の追加の統計が含まれるようになりました。
  • STSキャプチャ・サポートは、スタンバイまたはアクティブOracle Data Guardデータベースで実行中のワークロードをレポートするために提供されます。

これらの拡張機能によって、パフォーマンス問題の正確な診断が行われ、Oracle Quality of Service Managementが改善し、低リスクおよび少ない労力でテストの品質が向上します。また、これにより、システム・パフォーマンスおよび信頼性が向上し、管理コスト全体が低くなります。

一般

データベース・リプレイが拡張されたPL/SQLサポート

データベース・リプレイには常に、PL/SQLを取得およびリプレイする機能があります。これは、上位レベルのPL/SQLコールの取得およびリプレイによって行われます。Oracle Database 12cリリース2 (12.2)では、データベース・リプレイで、上位レベルのPL/SQLコールまたはプロシージャ内で呼び出された再帰的SQLのリプレイを選択できます。ワークロードに応じて、新しいリプレイ・モードは、少ない相違で正確にリプレイを実行できます。

PL/SQLサポートの強化では、少ない相違でデータベース・リプレイを実行し、多数のPL/SQLを持つワークロードの高速、簡単および完全なテストを行える機能をDBAに提供します。

索引使用状況のトラッキング

新しいビューV$INDEX_USAGE_INFOは、データベース内の索引の使用に関する情報を提供します。ビューの情報は、索引を使用するかどうかと、その頻度を決定するために、およびデータベースの索引付け方式を評価するために使用できます。

使用する索引とその使用頻度に関する詳細情報により、使用頻度の低い索引を消去できます。この結果、データベース・パフォーマンスが向上し、システムの利用効率が向上します。

Oracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)リソース・マネージャのサポート

EM Expressには、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)と非CDBデータベースの両方のリソース・マネージャ計画を作成、削除、編集、アクティブ化および非アクティブ化する機能があります。データベース管理者(DBA)は、環境に対して適切なレベルの詳細を持つリソース・マネージャ計画を作成できます。CDBでは、個々のプラガブル・データベース(PDB)に、そのワークロードに適したレベルのリソースを割り当てることができます。

この機能により、DBAはデータベースの適切なサービス品質(QOS)を保証できます。

EM Express: SQLパフォーマンス・アナライザ(SPA)のサポート

Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降、DBAは、Oracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)からSQLパフォーマンス・アナライザ(SPA)およびSPAクイック・チェックを実行できるようになりました。SPAおよびSPAクイック・チェックにより、DBAは、データベース・パフォーマンスに影響を及ぼす可能性があるデータベース環境への変更を迅速に評価し、データベースで高いパフォーマンスが確実に持続されるようにして、潜在的なパフォーマンス回帰を修正できます。

SPAおよびSPAクイック・チェックがEM Expressで使用可能な場合、DBAは、高いパフォーマンスが確実に持続されるようにするため、およびパフォーマンス回帰が発生した場合にすぐに修正できるようにするために、データベースへの変更を他の方法でも検証および確認できます。

EM Express: 単一ポートのアクセスによるマルチテナントの構成の簡素化

Oracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)がマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)向けに拡張され、CDB内の任意のプラガブル・データベース(PDB)にアクセスするために使用される単一ポートまたはURLをサポートするようになりました。EM Expressにログインするときに、プラガブル・データベースに直接ログインするためのPDB名を指定できます。

データベース環境におけるセキュリティは非常に重要です。単一ポートからマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)のすべてのPDBへのアクセスを可能にして、オープン・ポートおよび潜在的な攻撃ベクトルを削減することでデータベース・セキュリティが強化されます。また、単一ポートおよびURLを使用して、マルチテナント・アーキテクチャ内のPDBの管理を簡素化できます。

EM Express: パフォーマンス・ハブの拡張機能

Oracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)がマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)アーキテクチャをサポートするよう拡張され、パフォーマンス・ハブ情報が個々のプラガブル・データベース(PDB)のコンテキストで表示されるようになりました。追加のパフォーマンス・タブには非CDBデータベースと同様の情報が詳細に表示されます。

DBAが個々のPDBを管理している環境では、PDBでワークロードを正しく調整するために必要なすべての情報を表示できることが重要です。この拡張機能により、DBAは、必要なサービス品質を提供し、必要なサービス・レベル合意を満たすことができます。

データベース・リソース管理簡素化のためのOracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)のサポート

この機能では、次の拡張機能によってデータベース・リソースの管理性が大幅に向上します。

  • 「リソース・マネージャ・ダッシュボード」を使用して、リソース・マネージャ計画を使用せずにデータベース・リソース消費のモニターを有効化
  • 次を通じてリソース・マネージャ計画を新規作成するためのガイダンス:
    • 最も一般的なリソース・マネージャ計画のタイプを作成する必要がある場合のクイック・セットアップ
    • 計画のディレクティブを設定するための完全なセットアップとチャートの使用方法
  • 現在アクティブな計画の効果のモニター(「リソース・マネージャ・ダッシュボード」とEM Expressの計画ホーム・ページ)
  • マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)レベル計画(ディレクティブはプラガブル・データベース(PDB)にあります)およびPDBレベル計画(ディレクティブはコンシューマ・グループにあります)を使用したマルチテナント環境の完全サポート

EM Expressによるデータベース・リソース管理の簡素化のサポートによって、リソース・マネージャ計画の作成および管理を支援してデータベース管理者(DBA)の負担を大幅に軽減できます。

プラガブル・データベース(PDB)に対する自動ワークロード・リポジトリ(AWR)のサポート

AWRをPDBで使用できます。これにより、PDBのSYSAUX表領域でパフォーマンス・データを取得および保存できます。

この機能により、PDBで実行中のワークロードのパフォーマンス・チューニングとトラブルシューティングが可能になります。

リアルタイムなデータベース操作の監視

リアルタイム・データベース操作(DBOP)モニタリング機能は、次のように大幅に強化されました。

  • DBOPの動的および外部の起動と停止: 特定のセッションのセッション識別子とシリアル番号を指定して、データベース内の任意のセッションからDBOPを起動および停止できます。
  • DBOPの永続性および比較: DBOP監視対象の実行は、自動ワークロード・リポジトリ(AWR)に対して自動的に永続化され、それらをオフラインおよび履歴パフォーマンス分析に使用できます。特定の実行に時間がかかる理由を把握するために、同じDBOPの複数の実行を比較できるようになりました。
  • DBOPレポートおよび傾向分析: レポート作成の強化には、同じDBOPでのSQLおよびPL/SQLの実行詳細が含まれます。時間とともにDBOPの複数の実行を分析すると、特定のワークロードが時間とともにどのように動作するかを適切に把握できます。
  • 複数セッションのDBOPサポート: これは、抽出、変換および読込み(ETL)タスクとバッチ・ジョブに共通の複数のセッションで実行されるSQLまたはPL/SQLをモニタリングする際に役立ちます。

これらのDBOPの拡張機能では、ビジネス活動の監視をエンド・ユーザーのニーズと合せることによってDBAの効率が上がり、ビジネス・アプリケーションのサービスの品質が向上します。

その他

一般

選択的なPDBアップグレード

顧客はアップグレードおよびPDBへのプラグインについてプラガブル・データベース(PDB)に優先順位をつけてから、アップグレード対象のPDBのサブセットを選択できます。

優先度の高いPDBが最初にアップグレードされるように、PDBのアップグレードに優先順位を設定できます。

AWR_PDB_AUTOFLUSH_ENABLED初期化パラメータ

AWR_PDB_AUTOFLUSH_ENABLED初期化パラメータを使用して、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)のすべてのプラガブル・データベース(PDB)またはCDB内の個々のPDBに対して自動ワークロード・リポジトリ(AWR)スナップショットを指定できます。

ENABLE_AUTOMATIC_MAINTENANCE_PDB初期化パラメータ

ENABLE_AUTOMATIC_MAINTENANCE_PDB初期化パラメータを使用して、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)のすべてのプラガブル・データベース(PDB)またはCDB内の個々のPDBに対して自動メンテナンス・タスクを有効/無効にできます。

AUTOTASK_MAX_ACTIVE_PDBS初期化パラメータ

AUTOTASK_MAX_ACTIVE_PDBS初期化パラメータを使用して、自動メンテナンス・タスクを同時に(メンテナンス期間中)スケジュールできるプラガブル・データベース(PDB)の最大数を指定できます。

パフォーマンス

汎用データベース・パフォーマンス

アドバンスト・キューイング: PL/SQLエンキューおよびデキューでのシャード・キューのJMSペイロードのサポート

PL/SQL APIは、シャード・キューでJava Message Service (JMS)ペイロードに対してエンキューおよびデキュー操作を実行できるようになりました。同様に、PL/SQL配列APIはシャード・キューJMSユーザーに公開されます。 JMSシャード・キューでの異種メッセージのサポート以降、デキューでは、5つのJMSメッセージ・タイプのうち1つを取得しますが、次に受信されるメッセージがどのタイプかを予測することはできません。そのため、PL/SQLの型の不一致でアプリケーション・エラーが発生することがあります。アプリケーションが汎用タイプのAQ$_JMS_MESSAGEを使用してシャード・キューから常にデキューすることを提案します。PL/SQL管理もサポートされています。

重要でハイエンドの顧客は、使いやすさにより非シャード・キューのJMSペイロードをエンキューおよびデキューし、クライアントとサーバーのラウンドトリップ時間を回避するために、PL/SQL APIを使用します。

アドバンスト・キューイング: PL/SQLエンキューおよびデキューでのシャード・キューの非JMSペイロードのサポート

PL/SQL APIは、シャード・キューでADTおよびRAWペイロードに対してエンキューおよびデキュー操作を実行できるようになりました。同様に、PL/SQL配列APIはシャード・キュー・ユーザーに公開されます。

重要なハイエンドの顧客は、非シャード・キューのADTまたはRAWペイロードをエンキューおよびデキューするために、PL/SQL APIを使用します。ADTペイロードは、アプリケーションで必要な様々なキュー・ペイロードを指定する方法であるため重要です。

ZFS分析

データベース固有のドリルダウン機能がZFS分析に追加されいます。データベースID (DBID)およびプラガブル・データベースID (PDBID)に基づいて、Oracle ZFSストレージ・アプライアンス(ZFSSA)で統計をフィルタ処理できるようになりました。この機能は、NFSv4およびNFSv4.1プロトコルを使用して、Oracle Direct NFSクライアントの上部に作成されます。

この機能を使用すると、ZFSSAを含むOracle Databaseを使用している顧客は、各データベース(マルチテナント・コンテナ・データベース内の各プラガブル・データベースなど)がZFSSAモニタリング・ツールを使用して記憶域と対話する方法の詳細を理解できます。

ExaDirect SQL*Netアダプタ

ExaDirect SQL*Netアダプタは、低いオーバーヘッドのデータベース・アクセスに使用します。Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.2)では、ExadataおよびExalogic環境用にこのサポートが追加されました。

新しいメッセージ・キュー・トランスポートを使用すると、インフィニバンド環境でRemote Direct Memory Access (RDMA)を利用することによって、待機時間およびスループットが向上します。

Parallel NFSをサポートするDirect NFSクライアント

Direct NFSクライアントはParallel NFSをサポートするようになりました。Parallel NFSはNFS 4.1プロトコルの一部です。

Parallel NFSにより、NFSワークロードのパフォーマンスが大幅に向上します。Parallel NFSをサポートするようにDirect NFSクライアントを拡張すると、Parallel NFSをサポートするNFSサーバーとともにDirect NFSクライアントを使用する際に、これらの利点がOracle Databaseワークロードに拡張されます。

Direct NFSクライアント・ディスパッチャのサポート

Direct NFSクライアントのディスパッチャ・インフラストラクチャは、このリリースで追加されます。ディスパッチャにより、データベース・プロセスは、I/O操作を実行するI/Oスレーブ・プロセスを使用できるため、ネットワーク・ファイル・システム(NFS)サーバーに接続するDirect NFSクライアントによって、ソケットおよび伝送制御プロトコル(TCP)接続の数を制限する必要があります。

Direct NFSクライアントを実行する大規模データベース・デプロイメントの場合、ディスパッチャは、ソケットのスケーリング、マルチパスへのTCP接続、およびクラスタ化されたNetwork Attached Storage (NAS)をサポートします。

Oracle CloudおよびマルチテナントOracleデータベースのグローバルおよび共有接続プール

この機能では、マルチテナント・データ・ソースの共有Java接続プールが導入されます。この機能では、マルチテナント(プラガブル)データベースでプールされた接続を再利用するために、新しいスイッチ・サービス機能を利用します。

この機能により、グローバルおよび共有の接続プールを介したOracle Database接続のスケーラビリティ、Oracle Cloudデプロイメント、マルチテナント・デプロイメント、診断機能および管理性が向上します。 

Oracle Java Virtual Machineのパフォーマンスの拡張機能

この機能では、JIT (just-in-time)コンパイラへの追加のループ最適化の実装によって、Oracle Java Virtual Machineで実行中のJava、HadoopまたはJavaScriptモジュールのパフォーマンスが向上します。次の最適化が実装されました。

  • ループ前およびループ後のパスへの境界チェックを分離するために、ループ本体のコピーを作成し、適切な索引チェックを挿入することによって、境界チェックは、頻繁に実行されるループから排除されます。
  • ループ展開は小さな、頻繁に実行されるループで実行されます。
  • ベクトル(SIMD)命令は、アンロールされたループ本体で可能な場合に使用されます。

JavaおよびJavaScriptのストアド・プロシージャおよびデータベース内でJavaを使用するOracle Databaseコンポーネント(InterMedia、Spatial、Text、およびHadoop向けIn-Database Containerなど)のパフォーマンスが改善されています。 

インメモリー

インメモリー式

インメモリー列ストアを使用すると、オブジェクト(表、パーティションおよびサブパーティション)を圧縮列形式でメモリーに移入できます。インメモリー式により、頻繁に評価される問合せ式を、後で再利用するためにインメモリー列ストアでマテリアライズできます。

頻繁に使用される問合せ式のマテリアライズド値をインメモリー列ストアに移入すると、問合せの実行に必要なシステム・リソースが大幅に減少し、スケーラビリティが向上します。

インメモリー仮想列

インメモリー仮想列により、表の一部またはすべてのユーザー定義の仮想列の値を、マテリアライズ(事前計算)、およびその表のすべての非仮想列とともにインメモリー列ストアに移入できます。

ユーザー定義の仮想列の値をインメモリー列ストアにマテリアライズすると、非仮想列と同様に、SIMD (1つの命令、複数のデータ)ベクトル処理などのインメモリー手法を使用して、仮想列値のスキャンおよびフィルタ処理を有効にすることによって、問合せのパフォーマンスを大幅に向上させることができます。

インメモリー・ファスト・スタート

インメモリー列ストアを使用すると、オブジェクト(たとえば、表、パーティションおよびサブパーティション)を圧縮列形式でメモリーに移入できます。 これまで、列形式はインメモリーでのみ使用できました。つまり、データベースの再起動後、従来の行のフォーマット済データを圧縮列形式に変換する複数のステップのプロセスを使用して最初からインメモリー列ストアを移入し、インメモリーに配置する必要がありました。インメモリー・ファスト・スタートにより、圧縮列形式でディスク上のインメモリー列ストアに現在移入されているデータのコピーを保存することによって以前に可能だった方法より大幅に速く、インメモリー列ストアにデータを再移入できます。

インメモリー・ファスト・スタートにより、システムの再起動後にインメモリー列ストアにデータを再移入する時間が大幅に減少します。これにより、ビジネスでは、以前よりはるかに早く列形式のデータにアクセスする、分析問合せのパフォーマンスの利点を活用できるようになります。

インメモリー列ストア用の自動データ最適化のサポート

自動データ最適化(ADO)は、情報ライフサイクル管理(ILM)タスクを自動化できます。ADOの自動機能は、行レベル(ブロックレベル統計に集計)とセグメント・レベルでアクセスを追跡するヒート・マップ機能を利用します。最初、ADOは、セグメントまたは表領域レベルで定義されたポリシーを使用して、圧縮階層化とストレージ階層化の両方をサポートしていました。ADOサポートは、インメモリー列ストアを含むように拡張されました。ADOは、ヒート・マップ統計に基づいたインメモリーおよびメモリー外のオブジェクト(表、パーティションまたはサブパーティション)を移動することによって、インメモリー列ストアを管理します。

インメモリー列ストアのADOサポートにより、ヒート・マップ統計に基づいたインメモリー列ストアの最適な使用が保証されます。インメモリー列ストアがシステム・グローバル領域(SGA)から割り当てられているため、限定され、コストの高いリソースであるメイン・メモリーが使用されます。ADOにより、最適な候補オブジェクトのみがインメモリー列ストアに移入されます。DBAがインメモリー列ストアのコンテンツを手動で管理することによって、これは、通常の操作の必要なく、最適なパフォーマンスを提供します。

結合グループ

インメモリー列ストアに移入されたデータは、多数の異なるエンコーディング技術を使用して圧縮されます。結合で一緒に使用される2つの列が異なる方法を使用してエンコードされた場合、結合を行うために、両方の列を解凍する必要があります。結合グループを使用すると、ユーザーは、同じエンコーディング方法を使用して常に列を圧縮できるように、表間の結合にどの列を使用するかを指定できます。

結合で一緒に使用される列を同じ方法を使用してエンコードすると、列を解凍する必要なく結合を行うことができ、結合の効率が大幅に上がります。

式トラッキング

SQL文には一般的に"+"または"-"などの式が含まれます。より複雑な例として、LTRIMTO_NUMBERなどのPL/SQL関数やSQL関数があります。リポジトリは、コンパイル中に識別される式および実行中に取得される式に関する使用方法情報を維持します。複数の列または関数を含む複雑な式により、オプティマイザで選択を正確に見積ることが難しくなり、次に最適な計画を選択することになります。式とその使用方法の詳細を処理すると、最適な問合せ実行計画を確立する際に役立ちます。

顧客は、式を含む文の問合せパフォーマンスの向上の恩恵を受けます。

Oracle Active Data GuardでのOracle Database In-Memoryのサポート

Oracle Active Data Guardは、スタンバイ・データベースを読取り専用モードでオープンできます。この機能により、企業は、プライマリ・データベースから同期化されたスタンバイ・データベースへのプロダクション・レポート・ワークロードの負荷を軽減できます。そのため、Oracle Active Data Guardスタンバイ・データベース上でインメモリー列ストアを使用できるようになりました。これにより、スタンバイ・データベースで処理されたレポート・ワークロードが、インメモリーの圧縮列形式のデータへのアクセスを利用できます。これを使用すると、実行された従来のディスク上フォーマットより、スキャン、結合および集約の実行速度を上げることもできます。

また、アプリケーションで使用できるインメモリー列ストアのサイズを効率的に2倍にして、プライマリおよびスタンバイ・データベース上で、完全に異なるインメモリー列ストアのデータのセットを移入することもできます。

Oracle Active Data Guardスタンバイ・データベースを実行しているレポート・ワークロードがインメモリー列ストアを使用できるようにすることによって、ワークロードの実行パフォーマンスが大幅に向上します。 これは、処理がインメモリーの圧縮列形式のデータへのアクセスを完全に利用できるためです。

インメモリー列ストアの動的サイズ変更

データベースが開いているときにインメモリー領域のサイズを動的に増やすことができるようになりました。SGA内で使用可能なメモリーが十分であることが前提となっています。

データベースを再起動せずに、インメモリー列ストアをサイズ変更できます。

非構造化データ

Oracle Database File Systemのファイル・ロック

この機能により、dbfs_clientをフロントエンド・インタフェースとして使用するPOSIX形式のアプリケーション、およびDBFSへのPL/SQLインタフェースを使用するアプリケーション用のファイル・ロック・サポートを提供するように、Oracle Database File System (DBFS)の機能が拡張されます。特に、完全ファイル・レベルでのロック、ロック解除およびロックのテストのサポートが追加されています。

DBFSファイル・ロックにより、アプリケーションは、使い慣れたファイル・ロック・メカニズムを使用して、DBFSファイル・システムに格納されたファイルでのファイル・アクセスを調整および同期できます。これにより、ファイル・ロックを使用して複数の接続またはユーザー間のアプリケーション動作を調整するアプリケーションを含めるように、DBFSのユーザビリティが拡張されます。

Oracle Multimedia PL/SQL API

Oracle Multimediaでは、Oracle Database BLOBに格納されたイメージ、オーディオおよびビデオ・データを管理するための簡略化されたAPIが提供されるようになりました。このAPIを使用すると、メタデータ抽出およびイメージ処理操作が、より自発的にSQLおよびPL/SQLアプリケーションに含まれます。

BLOBに格納されたマルチメディア・データ用の、自動的に発生し、使いやすいPL/SQL APIにより、開発者は、アプリケーションで共通の操作(イメージ・サムネイルの作成、イメージの切取り、Webフレンドリな形式へのイメージの変換、メタデータの抽出など)を簡単に含めることができます。包括的なデータベース・ツールおよび機能のセットが、このAPIで動作します。マルチメディア・データは、レポートおよびWeb UIで簡単に表示するために、データベース内の他のタイプのデータと統合できます。これらの利点により、インメモリー・データベースおよびマルチメディア・データを含むその他のアプリケーションの開発およびデプロイメントが高速になります。

パブリック・クラウド

一般

Oracle Cloud経由のSQL*Netの直接アクセス

この機能により、Oracle CloudでのSQL*Net経由のOracle Databaseのサポートが可能になります。

既存のアプリケーションは、コードを変更することなく、Oracle Cloudを使用できるようになりました。

アウトバウンド・データベース・リンク・オプションの制御

新しい初期化パラメータは2つあります。OUTBOUND_DBLINK_PROTOCOLS初期化パラメータを使用して、アウトバウンド・データベース・リンク接続で許可されたネットワーク・プロトコルを指定します。これは、セキュアなプロトコルを使用するようにデータベース・リンクを制限するために使用できます。ALL_GLOBAL_DBLINKS初期化パラメータを使用して、デフォルトでLDAPをルックアップするグローバル・データベース・リンクを許可または禁止します。

ネットワーク・プロトコルを保護する(暗号化を選択する)ことによってのみ、中間者攻撃に対処できます。データベース・リンクは(接続オプションに応じて)機密情報を転送できるため、保護する必要があります。OUTBOUND_DBLINK_PROTOCOLS初期化パラメータでは、非SSLプロトコルを使用したデータベース・リンク通信をデータベース内で許可するかどうかを指定します。ALL_GLOBAL_DBLINKS初期化パラメータでは、データベース・リンクのLDAP参照をデータベースに対して許可するかどうかを指定します。

RACおよびグリッド

自動ストレージ管理

Oracle ASMディスク・グループ割当て容量管理

Oracle Flex ASMディスク・グループは、記憶域管理にASMを使用する異なるデータベース間での統合の機会を増やす強力な機能のセットを提供します。割当て容量管理により、ASM管理者は、記憶域消費を制御できます。

記憶域レベルで統合が増加すると、記憶域管理者(この場合、ASM管理者)は、特定のデータベースによる記憶域の消費を制限する必要があります。

優先リバランス

優先リバランスは、あるファイル・セットが別のファイル・セットの前にリバランスされる、Oracle Flex ASMディスク・グループの機能です。ファイル・セットは、データベースまたはプラガブル・データベース(PDB)に属しているASMファイルのコレクションと考えることができます。Oracle Flex ASMディスク・グループにより、ファイル・セット内のファイルのミラー・コピーを分割し、リバランス操作中に新しいミラー・コピーを作成できます。優先リバランスでは、よりクリティカルなデータベースまたはPDBをクリティカルではないものより優先できます。

Oracle Flex ASMディスク・グループにより、特定のデータベース操作の優先度付けの必要性を拡張する、高レベルの統合が可能になります。この優先リバランス機能により、優先度付けを行うことができます。

Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)構成のサポートの強化

地理的に分散されたデータ・センター全体で、または単に同じビルディングまたはキャンパス内の異なる場所のストレージ・アレイ間でデータがミラー化されるように、Oracle RACデータベースを使用すると、Oracle RACインストールは拡張されたOracle RAC構成とみなされます。以前のリリースでは、このような構成は手動で確立する必要があり、インストール後のセットアップ・ステップが必要でした。Oracle Database 12cリリース2 (12.2)より、サイトの把握が導入され、インストール中にスタック全体の正しい構成を設定できるようになり、Oracle RACの拡張された操作が最適化されます。

識別可能なOracle RAC構成の拡張によって、ストレージ・アレイ障害に対する保護が必要なサイト間または小さい設定において、拡張されたOracle RAC設定の信頼性が向上します。

I/Oサーバー

この機能を使用すると、Oracleデータベースは、現時点で必要な基礎となるディスクへの物理"記憶域接続"の必要なく、Oracle ASMディスク・グループのデータにアクセスできます。データベースによるデータへのアクセスがネットワークを介して行われます。これは、NFSサーバーのNFSクライアントへのデータの提供方法と似ています。

この機能により、クライアント・クラスタは、記憶域を共有する必要なくディスク・グループにアクセスできます。

使いやすさの向上

クラスタ・リソース・アクティビティ・ログ

レポート作成エラーの状況に主に重点を置いた既存のログに加えて、クラスタ・リソース・アクティビティ・ログには、クラスタ全体のリソース・アクティビティに関する情報が含まれます。

クラスタ・リソース・アクティビティ・ログを使用して、クラスタ内のリソースの動作を追跡し、個々のリソースの計画的または計画外の再配置によってトリガーされた連鎖反応を理解できます。

クラスタ検証ユーティリティ - 第2世代コマンドライン出力

クラスタ検証ユーティリティ(CVU)は、Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)のインストールと構成に役立ちます。CVUは、完全なOracle RACスタックのインストールおよび構成中のすべての中間ステージを網羅して、様々なテストを実行します。たとえば、第2世代コマンド・ライン出力機能であるCVUを使用して、各チェックの進行状況についてユーザーに通知し、ユーザーがリクエスト時に出力形式(XMLやHTMLなど)を指定できるようにします。

Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)のインストールと構成の様々なレベルの詳細なエラー情報のレポート、および検証チェックの統合された要約により、ユーザー・エクスペリエンスが向上します。

フォルト・トレラント・データベース・サービス

スイッチ・サービスの拡張機能

この機能では、データベースおよびインスタンスで公開されたサービスの別の接続へのリクエスト境界で接続に関するサービスを切り替えることができるように、物理接続を論理サービスから分離します。次の2つの統合のユースケースは、物理接続でサービスを切り替える機能に応じて異なります。

  • 複数のテナントを提供するプールから接続を借りているときの、マルチテナント・コンテナ・データベース・アクセスのためのサービスとコンテナの切替え
  • データベース・アクセスをスケーリングする共有接続プール、Oracle Databaseおよびサード・パーティ

これらの2つのユースケースは交差し、スタンドアロン・モードで使用することもできます。

この機能はOracle Multitenantおよびカスタム統合データベースをサポートし、すべてのデータベース使用のセッション・オーバーヘッドを削減します。この機能により、サービス機能が失われたことによる、マルチテナント・コンテナ・データベースへの統合の障害がなくなります。また、これらのテナントを提供する接続プールおよび接続が多すぎることによる、少数のデータベースへ統合の障害もなくなります。最後に、この機能により、アプリケーションは、追加の接続プールを消費せずに、ワークロード制御にさらに多くのデータベース・サービスを使用できます。顧客は、データベース接続のサイズが大きくなりすぎることなく、サービスを使用したワークロードを識別し、優先することができます。

高可用性および信頼性

GI用のVM Managerエージェント

仮想マシン(VM)管理機能の開発では、Oracle Virtual Machine (Oracle VM) ManagerとのインタフェースとなるGI専用のVM Managerエージェントを使用し、クラスタウェア・リソースとしての非GIのVMの管理を有効にします。

この機能は、デプロイメントやVM内で実行中のものに影響を与えることなく、クラスタウェア・リソースとしてブラック・ボックスVMを管理する際に役立ちます。VM内にGIをインストールまたは構成する必要はありません。

共有グリッド・ネーミング・サービスの高可用性

グリッド・ネーミング・サービス(GNS)は会社のドメイン名サービス(DNS)にリンクされるため、クライアントは動的アドレスを解決し、データ・センター内のクラスタおよびデータベースに透過的に接続できます。共有GNSを使用すると、1つのクラスタで動的な名前解決を実行したり、複数のクラスタに解決を通知できるため、単一のGNSインスタンスで、登録された複数のクラスタに対して名前解決を実行できます。共有GNS高可用性(HA)では、セカンダリGNSインスタンスを使用して、共有GNSインスタンスの障害保護を実現します。

共有GNS高可用性では、プライマリ・ロールおよびセカンダリ・ロールを持つGNSの複数のインスタンスを実行して、クライアントに対する参照およびその他のサービスの高可用性を実現します。クライアントからのすべての更新は、プライマリ・インスタンスによって処理されます。 プライマリ・インスタンスとセカンダリ・インスタンスの両方で参照問合せが処理されます。セカンダリ・インスタンスは、プライマリ・インスタンスのバックアップとして機能します。既存のプライマリ・インスタンスが失敗するか、クラスタ管理者によって削除されたときでも、セカンダリ・インスタンスをプライマリ・ロールに昇格できます。また、共有GNS高可用性では、ゾーン転送メカニズムを使用してセカンダリ・インスタンスでデータ・バックアップを取ることによって、フォルト・トレランスが提供されます。セカンダリ・インスタンスは、インストール中にプライマリからデータのコピーを受信します。これ以降、プライマリ・インスタンス上の更新は、セカンダリ・インスタンスにレプリケートされます。

Oracle Clusterwareリソース・グループ

リソース・グループは、アプリケーション高可用性モデリングで基本的なエンティティです。これは、論理的に関連したリソースのグループのコンテナを表します。

リソース・グループを使用して、Oracle Clusterwareは、単一のコンポジット・エンティティとして様々なリソースで構成されるアプリケーションを管理および監視する、直感的なモデルを提供します。

妥当なWhat-Ifコマンドの評価(Why-If)

Oracle Clusterware 12cリリース1 (12.1)では、操作を実行する前に特定の操作の影響を判断するための一連の評価コマンドおよびAPIを提供していました。このリリースでは、妥当なWhat-Ifコマンドの評価機能が、ポリシー決定の背後にある根拠を提供し、関与するエンティティ、その属性、および実行可能な各アクションへのアクセスに使用される基準を説明します。 

Why-Ifコマンドの評価は、容量計画および構成管理に関与するアプリケーション、クラスタおよびシステム管理者がリソース管理ポリシーを設定およびテストする際に役立ちます。

サーバーの重みベースのノード削除

サーバーの重みベースのノード削除は、すべてのノードが削除に対して同じ選択を表すクラスタから、Oracle Clusterwareが特定のノードまたはノードのグループを削除する必要がある状況で、タイブレークのメカニズムとして機能します。このような場合、サーバーの重みベースのノード削除メカニズムは、これらのサーバーの負荷に関する追加情報に基づいて、削除するノードまたはノードのグループを特定するのに役立ちます。2つの原則メカニズム(システム固有の自動メカニズムおよびユーザー入力ベースのメカニズム)が、それぞれのガイダンスを提供するために存在します。

サーバーの重みベースのノード削除を使用すると、ビジネス要件を含むクラスタで特定の失敗が発生した場合に削除されるノードの選択をあわせて、最も重要なワークロードが必ずできるだけ長く維持されるようにし、サーバー間で同じ選択をしているとみなすことができます。

ロード対応のリソース配置

ロード対応のリソース配置により、サーバーが実行可能な数より多くアプリケーションを持つサーバーのオーバーロードが防止されます。起動の一環として、またはフェイルオーバーの結果として、アプリケーションを指定のサーバー上で起動できるかどうかを決定するために使用されるメトリックは、CPUおよびメモリーの観点から、アプリケーションの予想されるリソース消費およびサーバーの容量に基づいています。  

新しいアプリケーションの起動を制限してサーバーがオーバーロードしないようにすると、高度に統合された環境の管理が軽減され、カスケード障害が回避されます。

Oracle Clusterware Application Clusters

アプリケーション集中型のOracle Clusterwareデプロイメントをサポートするために、Oracle Clusterware Application Clustersでは、非データベース・アプリケーションの操作に必要なコンポーネントのみを使用したOracle Clusterwareのデプロイメントを有効にします。 

Oracle Clusterware Application Clustersでは、非データベース・アプリケーションを管理するために不可欠なコンポーネントに対してのみユーザー入力をリクエストすることによって、Oracle Clusterwareベースのクラスタを管理およびデプロイする目的で、Oracle Clusterwareの選別および構成を容易にする他の軽量クラスタリング・ソリューションに対する代替ソリューションを提供します。

Oracle Grid InfrastructureインストールでのApplication Clusterインストール・タイプのサポート

Oracle Database 12cリリース2 (12.2)では、Oracle Grid Infrastructureのインストールには、Application Clusterのデプロイのオプションが含まれます。Application Clusterは、非Oracleアプリケーションを含むアプリケーションの可用性を高める、Oracle Grid Infrastructureの汎用的なフォームです。

Oracle ASMクラスタ・ファイル・システム(ACFS)

Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイル・システム(Oracle ACFS)スナップショットの拡張

Oracle ACFSスナップショットの拡張機能は、次のもので構成されます。

  • Oracle ACFSスナップショットの割当てにより、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)の個々のOracle ACFS RWスナップショットは、指定のスナップショットに割り当てることができる新しい記憶域の容量を制限できます。これは、各スナップショットの領域の使用での割当てを提供します。
  • Oracle ACFSのスナップショットの再マスタリングでは、Oracle ACFSスナップショット階層の指定のスナップショットをOracle ACFSプライマリ・ファイル・システムに変換します。以前のOracle ACFSプライマリ・ファイル・システムおよび以前のすべてのスナップショットは削除されます。
  • Oracle ACFSスナップショットの名前変更: 既存のACFSスナップショットの名前を変更します。
  • オープン・ファイルを含むOracle ACFSスナップショット削除: オープン・ファイル参照を含むスナップショットをOracle ACFSから削除できる、強制的なスナップショット削除です。
  • スナップ重複: スナップ重複は、ある時点の2つのスナップショット間の違いをデータ・ストリームにエンコードするコマンドを作成します。このスナップ重複操作は、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)で独立したOracle ACFSスナップショット・コマンドとして提供されます。
  • スナップ重複の適用コマンド: 適用コマンドを使用して、スタンバイOracle ACFSファイル・システム・スナップショットにエンコードされたスナップショットを適用します。

これらのOracle ACFSスナップショット機能により、スナップショット機能が大幅に向上し、ファイル・システムのスナップショット操作が簡略化されます。

Oracle ACFSシステム・デフラガ

このリリースのOracle ACFSでは、ファイル・デフラグ・ツールが提供されます。acfsutilコマンドを使用して、ライブOracle ACFSファイル・システムでデフラグ・ツールを実行できます。また、自動データベース・ファイル・デフラガは、同時に複数のノード・データベース・ファイルのデフラグメンテーションをサポートする、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)のスケーラビリティのために更新されました。

Oracle ACFSでは、慎重な割当てと空き領域の結合により、非データベースのデフラグや汎用的なアプリケーション・ファイルが必要になることは、ほとんどありません。ただし、まれに、デフラグが必要な場合のために、Oracle ACFSは最適なファイル・システム・パフォーマンスを実現するのに役立つデフラガ・ツールを提供します。

Oracle ACFSの4Kセクターおよびメタデータの拡張機能

Oracle ACFSでは、4096バイトの倍数の論理セクター・サイズのI/Oリクエストがサポートされ、512バイトの論理セクター・サイズのI/Oリクエストも引き続きサポートされます。Oracle ACFSでは、4096バイト(4KB)のサイズのメタデータ構造を持つOracle ACFSファイル・システムの作成のサポートも追加されます。

新しいOracle ACFSによりファイル・システムを切り替えると、Oracle Automatic Storage Management Dynamic Volume Manager (Oracle ADVM)ボリュームに複数の512バイトの論理セクターで構成された4096バイトのメタデータ構造を持つOracle ACFSファイル・システムをフォーマットできます。また、Oracle ACFSメタデータI/Oは、4Kの倍数になります。

この機能では、Oracle Automatic Storage Managementディスク・グループが512バイト・セクターをエミュレートするすべての新しい拡張書式ドライブで構成される場合に、Oracle ACFSメタデータの最適な位置合せを行います。

Oracle ACFSメタデータ収集の拡張機能

Oracle ACFSメタデータ・コレクタ・ツールは、後続の分析および診断に使用できる新しい別の出力ファイルに、選択したOracle ACFSメタデータ構造をコピーするために使用できます。

これは、Oracle ACFSファイル・システムをオフラインにする必要なく、診断用のOracle ACFSメタデータを収集できるため、顧客サイトで役立つツールです。メタデータ・コレクタ・ツールは、ファイル・システム・チェッカ(fsck)ツールの代替ではありません。

Oracle ACFSメタデータ・コレクタ・ツールは、Oracle ACFSファイル・システムをオフラインにする必要なく、診断用のOracle ACFSメタデータを収集できるため、顧客サイトで役立つツールになります。Oracle ACFSメタデータ・コレクタ・ツールは、ファイル・システム・チェッカ(fsck)ツールの代替にはなりません。

ファイル・コンテンツのためのOracle ACFSプラグイン

この機能では、Oracle ACFSプラグインの追加のメトリック・タイプMetric2のサポートが提供されます。この拡張機能により、ファイル・コンテンツ・メトリックを取得できます。

この機能では、Oracle ACFSプラグイン・ソリューションを拡張してファイル・コンテンツの収集をサポートし、ポーリングと間隔に基づく取得の両方をサポートします。 ポーリング・モデルで、アプリケーションは、ファイル・コンテンツの変更に対してポーリングし、Oracle ACFSは、どのファイルが変更されたか、および各ファイル内の変更場所を特定するサマリー・メッセージを返します。 間隔ベースのモデルでは、Oracle ACFSは、選択した時間隔ベースで、ファイル・コンテンツの変更を含むメッセージを投稿します。Oracle ACFSファイル・システムが待機中のアプリケーションのAPIコールに警告すると、アプリケーションは、どのファイルが変更されたか、および各ファイル内の変更場所を特定するレコードのセットを収集します。

この機能により、アプリケーションで使用するために追加のトラッキング・データを提供するように、Oracle ACFSを拡張できます。

Oracle ACFSループバック・デバイス

Oracle ACFSループバック・デバイスは、Oracle ACFSファイルにブロック・デバイスとしてアクセスできる、オペレーティング・システムの疑似デバイスです。 この機能は、Oracle ACFSファイル・システムで作成され、Oracle ACFSループバック・デバイスによって提供された、Oracle Virtual Machineのイメージ、テンプレートおよび仮想ディスクをサポートするOracle Virtual Machineと連携します。

Oracle ACFSループバック・デバイスにより、クライアントとサーバーのコンポーネント間の高パフォーマンス・ブロック記憶域I/Oを有効にします。

スナップショット、ファイル・タグ、プラグイン・メトリックのOracle ACFS APIアクセス

この機能では、Oracle ACFSスナップショット、Oracle ACFSファイル・タグ、およびOracle ACFSプラグイン・メトリックなどのOracle ACFS機能の外部クライアントをサポートする、完全な機能を備えたCライブラリを作成します。このライブラリのターゲット・コンシューマの例は、サード・パーティ・アプリケーションおよびOracle Fusion Middlewareです。

また、プラットフォーム固有のOracle ACFS Cライブラリ用のラッパーとして効率的に機能するOracle Databaseに、汎用的なOracle ACFSライブラリが作成されます。このライブラリは、プラットフォーム固有の詳細および動的ライブラリの問題を回避して、Oracle ACFSへの汎用プログラムでのアクセスをサポートします。このライブラリのコンシューマの例は、Oracle ACFSスナップショットを使用したOracle Database PDBクローニングです。

この機能を使用すると、Oracle ACFSにプログラムでアクセスし、サード・パーティ・アプリケーションのプラットフォーム固有の詳細および動的ライブラリの問題を回避できます。

Oracle ACFS圧縮の拡張機能

Oracle ACFS圧縮プロジェクトにより、Oracle Databaseと汎用的なファイル記憶域の両方が改善されます。しかし、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)のこのプロジェクトで特に重要なのは、データ・ファイル、アーカイブ・ログ、データ・ポンプ・ファイル、およびRecovery Manager (RMAN)用に最適化されたデータ圧縮を行う点です。

この機能は、Oracle ACFSファイルを使用する様々な顧客環境で必要なディスク記憶域が大幅に減少する、費用効率が高い方法を提供します。

Oracleスナップショット・ベースのレプリケーションの拡張機能

この機能では、プライマリOracle ACFSファイル・システムの連続するスナップショット間の一連の違いとして、指定の時間間隔でOracle ACFSファイルの変更を取得します。この機能は、指定の時間間隔でのOracle ACFSファイルのすべての変更のレコードが含まれる、複数のノードローカル・レプリケーション・ログを移入およびトランスポートするかわりに実行されます。Oracle ACFSのスナップショット・ベースのレプリケーションは、次のコンポーネントに依存しています。

  • ある時点の2つのスナップショット間の違いをデータ・ストリームにエンコードする、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)の新しいスナップ・クローン作成コマンド。
  • Oracle ACFSのスナップショット・ベースのレプリケーションでは、SSHを使用して、エンコードされたスナップショット・クローン・ストリームをスタンバイ・サイトに送信します。SNAP CLONE APPLYコマンドを使用して、エンコードされたスナップショット・クローン・ストリームを指定のスタンバイ・サイトに適用します。

スナップショット・ベースのレプリケーションにより、レプリケーションのパフォーマンスが大幅に向上します。

Oracle ACFS自動サイズ変更の拡張機能

自動サイズ変更機能により、使用可能なファイル・システムの空き領域がこの値を下回った場合にOracle ACFSファイル・システムで自動的に増加するサイズの増分を指定できます。 ファイル・システムは、この増分に等しい量だけ拡張されます。ファイル・システムで自動的に変更されるサイズの最大サイズを指定することもできます。これにより、ファイル・システムの拡張を制限し、ランナウェイ記憶域消費を防ぐことができます。この機能は、Oracle ACFSファイル・システムの割当て容量としての役割を効率的に果たします。

この機能により、ファイル・システムのサイズの割当て容量を指定し、必要に応じてファイル・システムのサイズを自動的に増やすことができます。

Oracle ACFS疎ファイルの拡張機能

   疎ファイルは、ファイルがほとんど空の場合にファイル・システム領域をより効率的に使用します。記憶域デバイス上の空のブロックの表現を説明している簡単な情報を書き込むことによって、これが実現します。記憶域デバイス上の空(書き込まれていない)であるが割り当てられている領域に実際にゼロを挿入するのではありません。 ブロックに実際の(空ではない)データが含まれている場合のみ、完全なブロック・サイズが実際のサイズとして記憶域デバイスに書き込まれます。疎ファイルに関連付けられた記憶領域の節約は明らかですが、さらなる動機付け要因はパフォーマンスの向上です。 

Oracle ACFS疎ファイルは、NFSサーバーおよび関連付けられたOracle ACFSファイル・システムによって、一般に適切な順序で受信されなかったNFSクライアント書込み操作に大きな利点を与えます。 疎ファイルは、Oracle Virtual Machineのイメージの作成および管理にも役立ちます。疎ファイルの方法は、未使用のファイル記憶域を割り当ててゼロで埋める必要がないため、イメージ・ファイルの作成に必要な時間のオーバーヘッドを減らすことができます。また、この機能では、未使用で空の領域に記憶域を割り当てる必要がないため、領域消費のオーバーヘッドを減らすことができます。  

Oracle ACFSメタデータ・アクセラレーション

Oracle ACFSメタデータ・アクセラレーション機能により、ファイル・システムの作成中にファイル・システムに関連付けられる記憶域アクセラレータ・ボリュームをオプションで指定できます。この記憶域アクセラレータ・ボリュームは、SSDまたは他の高パフォーマンス・ディスクで構成されます。Oracle ACFSメタデータは、アクセラレータ・ボリュームに格納されます。このメタデータの例には、Oracle ACFSボリューム・ログ、間接ノード(エクステント・ノードとも呼ばれる)、領域管理構造、およびその他のOracle ACFSメタデータがあります。 アクセラレータ機能により、Oracle ACFSプライマリ・ファイル・システムまたはOracle ACFSスナップショットに格納されたOracle ACFSのファイル・アクセスのパフォーマンスが大幅に向上します。

この機能により、Oracle ACFSのパフォーマンスが大幅に向上します。

Oracle ACFS NAS Maximum Availability eXtensions

Oracle ACFSサーバー・メッセージ・ブロック(SMB)プロトコル・クライアントに、フェイルオーバーおよび他のNAS拡張機能のための透過的なサービスを提供します。  

この機能では、既存のOracle ACFSの可用性の高いネットワーク・ファイル・アクセス機能をSMBクライアントに拡張します。 また、この機能は、NFSv4のサポートに拡張機能を提供します。

高速ホーム・プロビジョニングおよびパッチ管理

高速ホーム・プロビジョニング

高速ホーム・プロビジョニングでは、次の新機能が提供されます。

  • Oracle Grid Infrastructureリリース12.2、12.1.0.2および11.2.0.4のプロビジョニング、パッチ適用およびアップグレード
  • 様々なクライアント・クラスタ・バージョンでの単一インスタンスのOracleデータベースのプロビジョニング
  • Oracle Databaseのアップグレード

高速ホーム・プロビジョニングにより、ゴールド・イメージを使用したOracle DatabaseおよびOracle Grid Infrastructureの自動リモート・プロビジョニング、パッチ適用およびアップグレードが容易になります。これにより、クラウド環境でのOracle Grid InfrastructureクラスタおよびOracle Databaseのデプロイメントがサポートされます。 

非常にスケーラブルなクラスタ

Oracle Cluster Interconnect用のIPv6ベースのIPアドレスのサポート

プライベート・ネットワーク上のIPv4またはIPv6ベースのIPアドレスを使用するようにクラスタ・ノードを構成でき、複数のプライベート・ネットワークをクラスタに使用できます。

プライベート・インターコネクトのIPv6サポートにより、Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)のIPv6拡張作業は完了します。Oracle Database 12cリリース1 (12.1)から、Oracle RACではパブリック・ネットワーク用のIPv6をサポートしています。パブリック・ネットワークの場合とは異なり、プライベート・インターコネクトのIPv6サポートは、IPv4ベースまたはIPv6ベースのいずれかのIPアドレスのサポートに制限され、両方のバージョンは同時にサポートされません。

非常にスケーラブルなOracle RAC

Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)リーダー・ノード

この機能では、Oracle Flex Clusterアーキテクチャで、OLTPワークロードを実行している一連の読取り/書込みインスタンスおよび一連の読取り専用データベース・インスタンスをクラスタ内のハブ・ノードとリーフ・ノードに割当てできるようにします。このアーキテクチャでは、読取り/書込みインスタンスで行われた更新は、オンライン・レポート作成または即座の問合せに使用できるリーフ・ノード上の読取り専用インスタンスにただちに伝播されます。

Oracle Flex ClusterアーキテクチャでOLTP操作と読取り操作を分離すると、クラスタの結合および離脱を行う読取り専用インスタンスを高速に再構成し、そのインスタンス上のバッファ・キャッシュに効率的に更新できます。

サービス指向のバッファ・キャッシュ・アクセスの最適化

クラスタ管理のサービスは、クラスタで実行中の様々なOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)データベース・インスタンスにワークロードを割り当てるために使用されます。これらのサービスによって、各データベース・インスタンスのバッファ・キャッシュにキャッシュされたデータベース・オブジェクトにアクセスします。この機能を使用すると、サービスを介してアクセスされるオブジェクトに対して、データ・ブロックを含むインスタンスをOracle RACでキャッシュできるため、アクセス時間が改善されます。

データ依存型キャッシュにより、クラスタで実行中のOracle RACデータベース・インスタンスでデータにアクセスする際、一貫したレスポンス時間が実現されます。

セキュリティ

暗号化

TDE表領域のライブ変換

透過的データ暗号化(TDE)表領域のライブ変換を使用して、既存の表領域を暗号化、復号化およびキー更新できるようになりました。停止時間がゼロの暗号化された表領域に移行する内部暗号化を実行して、TDE表領域を簡単にデプロイできます。また、この機能は、停止時間がゼロのバックグラウンドでTDE表領域暗号化によって使用されるデータ暗号化鍵の自動化された大規模な回転を有効にします。

この機能は、表領域が、挿入、削除、選択、変更などを行うSQL文の処理を続行できるように、バックグラウンドでの表領域データのTDE表領域暗号化のための最初の暗号移行を実行します。

完全に暗号化されたデータベース

透過的データ暗号化(TDE)表領域暗号化は、SYSTEMSYSAUXおよびUNDOなどのデータベース内部に適用されます。

TDE表領域暗号化の内部使用を、SYSTEMSYSAUXおよびUNDOを含めるように拡張すると、Oracle Databaseのセキュリティがさらに強化されます。

TDEでのARIA、SEEDおよびGOST暗号化アルゴリズムのサポート

この機能は、次の暗号化アルゴリズムに対する高度な透過的データ暗号化(TDE)サポートを提供します。

  • 韓国のSEED (Korea Information Security Agency (KISA))
  • 韓国のARIA (Academia, Research Institute, and Agency)
  • ロシアのGOST (GOsudarstvennyy STandart)

この機能には、暗号化アルゴリズムとハッシュ・アルゴリズム両方のサポートが含まれ、保存データ暗号化とともに使用できます。

特定の国では、暗号化に国固有の国家および政府標準を使用する必要があります。各国および政府のアルゴリズムがサポートされているため、これらの国のTDEデータベース暗号化のデプロイメントを続行できます。

TDE表領域のオフライン変換

このリリースには、記憶域のオーバーヘッドがない場所にある表領域ファイルを暗号化する新しいSQLコマンドが導入されています。このコマンドは、複数のコアにわたり、複数のインスタンスで実行できます。この機能を使用する場合は、表領域を一時的にオフラインにする必要があるため、停止時間が必要です。Data Guard構成を使用すると、まずフィジカル・スタンバイを暗号化してからスイッチオーバーするか、プライマリ・データベースを、一度に1表領域ずつ暗号化できます。

この機能では、既存のクリア・データをTDEの暗号化された表領域にオフラインで高速に変換します。

データベース内のアプリケーション・セキュリティの施行

RASセッション権限の範囲指定

この新しい機能では、データベース全体ではなくReal Application Security (RAS)ユーザーの限定されたグループに対して特権ユーザー・コマンドを実行するRASユーザーの範囲を制限します。

クラウドまたは統合環境で、この新しい機能は、RASユーザーの特権ユーザー・コマンドの実行権限を自身のグループに制限します。

RAS列権限の拡張機能

Real Application Security (RAS)ユーザーは、保護された列のデータを明確に挿入、更新または削除する権限があります。RASを使用して、SELECT文のパフォーマンスがさらに強化されました。

SELECTのパフォーマンスの向上に加えて、この新機能を使用すると、さらに細かいレベルまでデータ管理が可能になります。

RASスキーマ・レベル・ポリシー管理

システム全体のRAS管理者が変更を行う必要なく、スキーマ・ベースのReal Application Security(RAS)ポリシー管理者が、スキーマ内のセキュリティ・ポリシーを作成、変更および削除できるようになりました。 これにより、異なるアプリケーション間で義務を明確に分離できます。

クラウド・データベースまたは統合データベース環境では、システム全体のRAS管理者がスキーマ上でセキュリティ・ポリシーを変更する必要のないスキーマごとのRAS管理が必要です。 これにより、各アプリケーションのセキュリティ・プロファイルが向上します。

RASとOLSとの統合

明示的なデータ・ラベルおよびユーザー・セキュリティ・ラベルを提供するOracle Label Security (OLS)は、管理、ポリシー施行およびユーザー・コンテキストにおいてOracle Real Application Securityと統合されます。 

RASの暗黙的なデータ・レルムをOracle Label Securityの明示的なデータがラベル付けされたセキュリティと組み合せると、強力なセキュリティ機能が提供され、以前は別々だったデータベースを1つのデータベースに統合でき、統合前に使用できたデータの区切りを保持できます。

セキュリティの管理と統合の改善

Oracle Virtual Private Databaseの述語監査

Oracleデータベースの監査証跡に、Oracle Virtual Private Database (VPD)ポリシーによって追加された述語またはWHERE句が含まれるようになりました。

監査証跡にVPD述語を提供することによって、統合監査と従来の監査では、より豊富なフォレンジック情報を提供します。

Oracle Database Vaultポリシー

Oracle Database Vaultポリシーにより、顧客は、複数のOracle Database Vaultの保護をポリシーと呼ばれる単一のエンティティにグループ化できます。具体的には、有効化、無効化および認可する単一ユニットとして管理できる単一のOracle Database Vaultポリシーにレルムおよびコマンド・ルールをグループ化できます。これにより、アプリケーションに対するOracle Database Vault保護の管理が簡単および効率的になります。また、顧客は様々な動作モード(本番モードやパッチ適用モードなど)に対応するように、同じアプリケーションに対して複数のOracle Database Vaultポリシーを作成し、容易に管理できます。Oracle Database Vaultポリシー認可委任も許可されます。

追加のセキュリティ制御はOracle Database Vault内で作成および管理されるため、管理性の向上は重大です。 ポリシー管理の委任によって、義務の分離が強化されます。この機能により、アプリケーション・セキュリティ所有者は、Oracle Database Vaultポリシーを簡単に管理できるようになります。

Oracle Database Vaultシミュレーション・モードの保護

Oracle Database Vaultのシミュレーション・モードの保護により、顧客は、ソフト施行を使用してOracle Database Vaultのレルムおよびコマンド・ルールの保護をテストできます。これは、操作をブロックしたり、潜在的にビジネス・プロセスを中断するのではなく、トレーニング・ログ・ファイルにOracle Database Vaultの違反を記録するだけです。

シミュレーション・モードでは、操作を中断せずに、新規および更新されたセキュリティ制御の信頼度を高めるために、本番環境にテストを追加できます。シミュレーション・モード・ログに違反が記録されている間もアプリケーションを引き続き実行できるため、Oracle Database Vaultにおけるアプリケーション認証時間が大幅に短縮されます。新しいセキュリティ制御は、本番環境への影響を最小限にして、迅速に本番にロールアウトできます。

Oracle Multitenant用Oracle Database Vaultの一般的なレルムおよびコマンド・ルール

Oracle Multitenantデータベース用のOracle Database Vaultの一般的なレルムおよびコマンド・ルールを使用すると、マルチテナント・コンテナ・データベースの共通オブジェクトが、一般的なレルムおよびコマンド・ルールによって保護されます。これらの共通のOracle Database Vaultの制御は、Oracle Database Vaultが有効なすべてのプラガブル・データベース(PDB)で共通のオブジェクトを保護します。混合モードは、Oracle Database Vaultが有効なPDBと有効でないPDBが存在することが許可されているため、Oracle Database Vaultが有効になっているPDBでのみ、共通のレルムおよびコマンド・ルールの保護が有効になります。Oracle Database Vaultのstrictモードをオンにすることによって、すべてのPDB間で、一般的なレルムおよびコマンド・ルールの保護を施行する方法があります。Oracle Database Vaultのstrictモードは、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)内のすべてのPDBでOracle Database Vaultが有効になっている必要があります。

複数のPDB間で同じアプリケーションをデプロイするマルチテナント・コンテナ・データベース・アーキテクチャは、アプリケーション共通オブジェクトのDatabase Vault保護を、PDBごとにローカルで管理するのではなく、集中管理できます。このように共通オブジェクトの管理機能が向上することにより、時間を節約するだけでなく、同様のPDBに異なるセキュリティ・プロファイルを持つリスクを低くすることができます。

権限分析の拡張機能

このプロジェクトでは、次に対する権限を取得するために権限分析が拡張されています。

  • 実行権限を取得する現在の機能に加え、PL/SQLパッケージ、プロシージャおよびファンクションのコンパイル。
  • Oracle Javaプログラムの実行。
  • コード・ベースのアクセス制御(CBAC)ロールおよびセキュア・アプリケーション・ロール。

付与されている未使用の権限を顧客が容易に識別するために役立つ、新しい表が導入されます。

これらの拡張機能は、顧客が、保持する権限およびユーザーまたはロールから取り消す権限について、情報に基づいた判断をする際に役立ちます。

権限分析の結果比較

権限分析ポリシーは、複数回実行でき、実行ごとに個別に結果が生成されます。結果は、権限使用状況に違いがあるかどうかを確認するために比較できます。

この機能では、権限分析の実際の使用状況を綿密に追跡し、ユーザビリティを向上させます。

リダクション: 様々なデータ・リダクション・ポリシー式

ユーザーは、同じ表またはビュー内の異なる列に対して異なるOracle Data Redactionポリシー式を関連付けることができるようになりました

この機能により、Oracle Data Redactionの顧客に対する柔軟性が向上します。様々な実行時条件に従って、各列をリダクションできます。

リダクション: データ・リダクション・ポリシー式で許可された新しい関数

データ・リダクション・ポリシー式で使用できる追加のデータベース関数です。標準的なデータベース部分文字列関数がサポートされます。

部分文字列など、Data Redactionポリシー式の新しい関数のサポートにより、実行時条件をさらに組み込むことができる包括的なポリシーを有効にします。

リダクション: 追加のデータ・リダクション変換

CLOBおよびNCLOBREGEXPリダクションを使用する機能、およびNULL値にリダクションする機能など、新しい変換がサポートされます。

これらの新しい変換により、データ・リダクションの機能および潜在的なユースケースが拡張されます。以前のデータベース・バージョンでは、NULLにリダクションできませんでした。またLOBデータの場合、値全体を固定した定数にリダクションすることのみできました。

OCIクライアントの構成時のKDCの自動検出

Oracle Call Interface (OCI)クライアントは、Kerberosキー配布センター(KDC)およびドメイン名サービス(DNS)を使用したレルムを自動的に参照するように構成できるようになりました。

これらの拡張機能により、Oracle Databaseクライアントをプロビジョニングするために管理者が必要とする手動のステップが少なくなることで、セットアップ時間とエラーのリスクが減少します。

Oracleデータベース用のKerberosキータブの自動プロビジョニング

新しいokcreateユーティリティは、Kerberosサービス・プリンシパルとしてのOracleデータベースの登録、そのキータブの作成、およびKerberos認証で使用するデータベースへのキータブの安全なコピーを自動化します。

この拡張機能により、OracleデータベースのKerberos認証をプロビジョニングするために管理者が必要とする手動ステップの数が少なくなることで、セットアップ時間とエラーのリスクが減少します。

ロールベースの条件付き監査

ロールベースの条件付き監査では、ユーザーによって監査する現在の機能に加えて、ロールに基づいてユーザーを条件付きで監査する統合監査ポリシーを定義する機能を提供します。

この機能は、監査の条件としてデータベース・ロールを使用することによって、強力なポリシー・ベースの条件付き監査を有効にします。たとえば、DBAロールを持つ新規ユーザーの監査は、ロールを付与されると自動的に開始します。

Inherit Remote Privileges

新しい権限INHERIT REMOTE PRIVILEGESにより、現在のユーザーは、定義者の権限プロシージャ内から接続されたユーザー・データベース・リンクを使用できます。この権限がない場合、定義者の権限プロシージャは接続済のユーザー・データベース・リンク経由で接続できません。

データベース上で無意識に接続されたユーザーは、そのデータベース上の定義者の権限プロシージャ所有者が、その接続ユーザーとしてログインし、リモート・データベース上でデータベース操作を実行することを許可しません。このような操作を許可するには、この新しい権限を明示的に付与する必要があります。

データベースのセキュリティ状態の改善

SYSRAC - Real Application Clustersを管理する義務の分離

SYSRACはOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)管理の新規ロールです。SYSDGSYSBACKUP、およびSYSKMと同様に、SYSRACは業務の分離徹底を支援し、本番システムでSYSDBAを使用する必要性を削減します。この管理権限は、srvctlなどのOracle RACユーティリティのかわりに、クラスタウェア・エージェントによってデータベースに接続するためのデフォルト・モードです。

Oracle RAC (SYSRAC)の管理職務を分離することによって、Oracle Databaseのセキュリティが強化され、Oracle RAC管理を実行するために必要なSYSDBA権限の必要性が軽減されます。SYSRACは、SYSKMSYSDGおよびSYSBACKUP (Oracle Database 12cリリース1 (12.1)でそれぞれ、キー管理、Oracle Data GuardおよびRMANバックアップのために義務の分離を提供する)の後に導入します。これらの管理権限を適切に配置すると、顧客は、ビジネス・ニーズに適した方法で、環境に義務の分離を実装することを選択できます。たとえば、顧客は指定の管理アカウントを作成し、SYSRACSYSDGなど、Oracle RACとOracle Data Guard構成の両方の管理に必要な管理権限のみを付与できます。

透過的機密データ保護機能の統合

この拡張機能では、Oracle Advanced Security透過的データ暗号化および統合監査などの追加のデータベース機能をサポートすることによって、透過的機密データ保護(TSDP)が簡略化および拡張されます。

この機能は、アプリケーション内に格納された機密データへの追加の制御(暗号化や監査など)のアプリケーションを合理化します。

デフォルトで必要な強力なパスワード検証

Oracle Database 11gおよびOracle Database 12cでは、強力なパスワード検証が導入されました。これらの新しい検証では、salt付きハッシュ、最新のSHA-1およびSHA-2ハッシュ・アルゴリズム、および大/小文字が混在したパスワードが使用されます。ユーザー・ログインに対する強力な検証を使用する必要があるため、ALLOWED_LOGON_VERSION_SERVERパラメータがデフォルトで設定されます。

強力なパスワード検証を使用すると、攻撃者は完全な検索でユーザー・パスワードを見つけるのが困難になり、ユーザー認証のセキュリティが改善されます。

ユーザー認証および管理の改善

非アクティブなユーザー・アカウントの自動ロック

ユーザー・プロファイル内で、INACTIVE_ACCOUNT_TIMEパラメータは、アカウントが未使用のままである最大時間を制御します。指定された日数の間にログインが発生しない場合、アカウントは自動的にロックされます。

非アクティブ・ユーザー・アカウントをロックすると、攻撃者がそのアカウントを使用してデータベースにアクセスできなくなります。

ネットワーク認証および暗号化の最新化

Direct NFSでのKerberosベースの認証

Oracle Databaseでは、Direct NFS通信によるKerberos実装がサポートされるようになりました。

この機能は、認証とメッセージの整合性の問題を解決し、さらに必要に応じて、セキュリティ機能のないネットワークでのOracle DatabaseとNFSサーバーの間のDirect NFSプロトコルを使用したデータ交換のための暗号化の問題を解決します。

空間およびグラフ

グラフの機能

RDFセマンティック・グラフでのW3C標準のサポート

Oracle Spatial and GraphのRDFセマンティク・グラフ機能では、新しいWorld Wide Web Consortium (W3C)標準をサポートします。Oracle SQLでは、W3C SPARQL更新をサポートするようになりました。これにより、Oracle Databaseに完全なW3C SPARQL 1.1問合せ、更新およびフェデレーテッド問合せのサポートが提供されます。SPARQL更新は、RDFグラフ用の更新言語です。SPARQL Updateを使用すると、単一のSPARQL要求で多数の操作を実行できます。

  • グラフの作成および削除
  • あるグラフから別のグラフへのデータのコピー、移動または追加(データをソース・グラフまたは宛先グラフから削除する場合としない場合がある)
  • 1つ以上のRDFグラフでのデータの挿入、削除および更新(削除および挿入)

アプリケーション開発者は、Oracle Database RDFグラフ・ストアへの単一のSPARQLリクエストえ生産性を高めることができます。

プロパティ・グラフのサポート

Oracle Spatial and Graphの新しいプロパティ・グラフ・サポートでは、Oracle Databaseを利用して、業界をリードするグラフ・パフォーマンス、スケーラビリティおよびセキュリティを提供します。Oracle Databaseの制限までのサイズのグラフがサポートされています。頂点(ノード)、エッジ(関係)、プロパティと関係のタイプの数は制限されません。 データのロードおよびグラフ操作はパラレル化されます。オープンTinkerPopグラフ・インタフェースに基づいたJava APIおよびGroovyやPythonなどのスクリプト言語のサポートによって、アプリケーション・デプロイメントは容易になります。テキスト・パターンおよびファセット検索機能は、Oracle TextおよびApache Luceneを使用して有効化されます。ユーザーは、必要に応じてSOLRcloudのサポートをオプションで有効化できます。一連の35の組込みグラフ分析には、グラフ・トラバース、接続性、パス、ページ・ランキング、および結束性、中心性、ランキング、およびロールのグラフを評価するクラスタリング係数分析が含まれます。

プロパティ・グラフにより、データの関係およびプロパティの検出および分析が可能になります。Oracle Spatial and Graphのプロパティ・グラフは、制限のないスケーラビリティ、セキュアな記憶域、柔軟性のあるデプロイメント、アプリケーション・デプロイメントのしやすさ、および様々なソーシャル・メディア、ナレッジ・ネットワークおよび各国のセキュリティ・アプリケーション用の豊富なプロパティ・グラフ分析の一意の組合せを提供します。

空間の機能

空間操作を使用したOracle DatabaseでのJSONサポートの拡張

Oracle Spatial and Graphには、ユーザーが空間操作を実行できるGeoJSON形式のサポートが含まれています。これには、SDO_GEOMETRYデータをJSONオブジェクトとして取得する機能、空間問合せの結果をJSONドキュメントとして取得する機能、およびGeoJSONドキュメントを格納、索引付けおよび問合せする機能が含まれます。

JSONとGeoJSONは、Webとモバイルのアプリケーション間で最も一般的なデータ交換形式です。これらの形式のネイティブ・サポートにより、アプリケーション開発とRESTデータ・サービスの作成が簡略化されます。 

ロケーション・データ・エンリッチメント・サービス

Oracle Spatial and Graphには、よく使用されるテキストのロケーション・データ(場所名、郵便番号、住所のすべておよび一部、緯度と経度の情報など)を強化するために、場所名データ・セットおよび階層APIとサービスAPIが含まれています。ロケーション情報は、製品に付属されているGeoNames地理データベースの情報に関連付けることができます。また、ユーザーは階層データをGeoNamesに追加するか、選択したカスタムの地理データベースを使用できます。

ロケーション・タグはテキスト・データから抽出され、Oracle Textを使用して既知の場所名と照合され、既知の場所名に関連付けられた他の地理的情報を使用して強化されます。

結果は、元のデータを持つ追加の属性として格納できます。

この機能により、ユーザーは少ない量の構造化された地理的データおよびロケーション・データを自動的に処理し、情報を分類、比較、フィルタ処理、および他のデータと関連付けできます。たとえば、州レベルの情報を持つ可能性がある他のデータ・セットと結合または分析できる、市区町村、郡、州および国を含めるように、郵便番号を持つデータのみを強化できます。これは、使用可能なシステムおよびデータ・ウェアハウスの構造化された情報とBig Dataの結果を比較する場合に特に役立ちます。

インデータベース・ロケーション・トラッキング・データ・モデルおよびサービス

Oracle Spatial and Graphには、ユーザーが地理的ゾーン、パスおよび関連オブジェクトを定義できるようにするためのPL/SQLおよびJava APIが含まれています。Oracle Advance Queuingは、オブジェクトが事前定義済のゾーンに入るかゾーンから出る、または計画済か承認済のパスから外れるときのアラートを管理するために使用されます。

1秒ごとに、Oracle Databaseは、数千から数十万のリージョンと相互作用する数万から数百万の移動オブジェクトを追跡できます。この規模は、携帯電話、車両、自動車および個人のGPSデバイスなど、モバイル資産の大規模な分析を可能にします。  

ネットワーク・データ・モデルでのOracle Coherenceのサポート

このリリースでは、Oracle Coherence分散キャッシュ・システムをサポートする分散キャッシュ・フレームワークが、Oracle Spatial and Graphのネットワーク・データ・モデルに追加されました。

パス計算ヒューリスティックの改善と組み合せた分散キャッシュのサポートにより、ネットワークおよびルートの計算のパフォーマンスが向上します。 また、この分散キャッシュ・サポートにより、大きいネットワーク・セグメントをインメモリーで分析できます。

APIを編集するネットワーク・データ・モデルの機能

APIを編集するJavaおよびPL/SQLネットワーク機能がOracle Spatial and Graphのネットワーク・データ・モデルに追加され、機能の編集、実行できる編集に関するルールの定義と適用、およびインメモリーとインデータベース両方のネットワークの作成を実行できるようになりました。

これらのAPIを使用すると、PL/SQL、JavaおよびHTML5ベースのアプリケーションでネットワーク機能を編集することができ、ネットワーク・ベースの操作およびアプリケーション開発が簡略化されます。

時間ベースのルーティング・エンジンの拡張機能

Oracle Spatial and Graphのルーティング・エンジンでは、タイム・ゾーン、トラフィック・パターン、時間ベースの制約(たとえば、午前6時から午前9時までターンなし)など、時間ベースのデータを使用できるようになりました。

つまり、ルーティング・エンジンによって生成されたルートは、より正確および詳細になり、以前カスタム開発を必要としていたアプリケーションでルーティング・エンジンを使用できる場合があります。

空間索引のハッシュおよびリスト・パーティション化のサポート

レンジ・パーティション化の既存のサポートに加えて、空間索引をハッシュおよびリストのメカニズムに基づいてパーティション化できるようになりました。

この機能では、現在使用しているか、ハッシュおよびリスト・パーティション化索引を必要とするアプリケーションで、空間分析を使用できます。顧客は、空間データを含む表のレンジ・パーティション化に制限されなくなります。

GeoRaster Map Algebraおよびイメージ処理の拡張機能

Oracle Spatial and Graph GeoRasterに対する拡張機能により、分析および処理操作を実行する際に、無制限の数のイメージ・レイヤー(画像のセット、センサー読取りのセット、マルチスペクトルおよびハイパースペクトル・データ)を使用できます。気候モデリング、数値標高モデル(DEM)処理、および低解像度の画像の分析で使用される正確な計算に必要な、セルまたはピクセル・レベルでの高度な統計分析もサポートされます。新しいイメージ処理パッケージは、より多くのイメージ変換および処理(線形ストレッチ、区分的ストレッチ、正規化、等化、色ランプ、および拡張ワーピングとアファイン変換など)を提供します。また、レイヤーを追加し、物理モザイクと仮想モザイクを作成するときのカラー・バランシングのための構文およびアルゴリズムが追加されています。

これらの拡張機能によって、中間層サーバーまたはクライアント・アプリケーションにデータを移動する必要なく、非常に大きい(テラバイトおよびペタバイトの規模)ラスター画像のセットにおいて、強力なインデータベース・ラスター分析およびイメージ処理を有効にします。

空間マップの視覚化

マップ視覚化機能は、SQLおよびJavaScriptに詳しい開発者がビジネス・アプリケーションに多様なマップ・スタイルおよび空間分析を組み込むことができるOracle Spatial and GraphのHTML5ベースのマッシュアップ・コンポーネントです。

マップの視覚化は、WebLogic Server (WLS)、Apache Tomcat、JBossなど、サポートされているJava EEコンテナにデプロイできるJava EE (Java Platform, Enterprise Edition)アプリケーションです。 これには、次のものが含まれます。

  • SDOVISという名前のコア・レンダリング・エンジン(Javaライブラリ)。地図レンダリングを実行します。レンダリング機能をWebアプリケーションに公開するためのサーブレットが提供されています。
  • マップ視覚化機能に対するプログラマブルなアクセスを許可する一連のアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)。これらのAPIには、RESTとAJAXベースの両方のJavaScript APIが含まれています。
  • グラフィカル・マップ・ビルダー・ツール。マップ記号の作成、空間データ・レンダリング・ルールの定義、およびマップ・オブジェクトの作成と編集が行えます。
  • インタラクティブな地理空間Webアプリケーションの開発を容易にするマップ・キャッシュ・サーバーおよびFOI (対象地物)サーバー。

マップ視覚化機能では、Oracle Spatial and Graphに格納されている2次元ベクター・ジオメトリ、GeoRasterのデータ、およびOracle Spatial and Graphのトポロジおよびネットワーク・データ・モデル内のデータをサポートしています。これは、Open Geospatial Consortium (OGC)に準拠したWeb Map Service (WMS)およびWeb Map Tile Service (WMTS) サーバーでもあります。

Oracle Spatial and Graphのマップ視覚化機能では、データベースに空間および地理的データを提供および表示する汎用的なWebベースの手段を提供することによって、空間データ管理機能を強化します。これにより、多くのコーポレート・ウェアハウス内のエンタープライズ情報をロック解除し、基本的なマッピング・アプリケーションで使用できるようにすることで、ビジネスの地理的コンポーネントを理解および取得する大きな可能性があります。たとえば、Field Service、Transportation and Logistics、Asset Lifecycle Management、Human Resources、Real Estateなどのビジネス・アプリケーションは、データに関連付けられた住所などの地理的コンポーネントがある場合、制御する大量のデータをレンダリングおよび視覚化できるようになりました。

ロケーション・ベースのサービスの開発者、州および地方自治体のデータ・パブリッシャ、Webサービスおよび従来のアプリケーションのアーキテクトはすべて、これらのマッピング機能をWebベースのソリューションに簡単に統合できます。

Open Geospatial Consortium Webマップ・サービスおよびWebマップ・タイル・サービスのサポート

Oracle Spatial and Graphには、Open Geospatial Consortium (OGC) Webマップ・サービス(WMS 1.3.0)およびWebマップ・タイル・サービス(WMTS 1.0.0)のサポートが含まれています。これらのサービスは、単純なHTTP RESTインタフェースをオンライン・マップ・サービスおよびタイル・サービスにそれぞれ提供します。

これらの標準ベースのインタフェースを介して、Oracle Spatial and Graphのマップ視覚化を使用するアプリケーションは、OGC Webマップ・サービスおよびマップ・タイル・サービスを介して他のアプリケーションで使用できるOracle Databaseにマップ・データを作成できます。 また、Oracle Spatial and Graphからの地理的データおよび問合せ結果を、OGCに準拠したサービスからのマップおよびマップ・タイルを使用して表示できます。

Geospatial Consortium Web Coverage Service 2.0のサポート

Open Geospatial Consortium, Inc. (OGC)のWeb Coverage Service (WCS)では、衛星画像、センサー・データ、数値標高モデル、気候/海洋データ、およびその他のラスター・データ・セット、グリッドおよびメッシュを共有するためのWebサービスを定義します。これらのデータは、地理空間カバレッジと呼ばれます。Oracle Spatial and Graph WCSのサポートは、すべての地理マークアップ言語(GML)およびISOカバレッジ・タイプへの相互運用可能なアクセスを有効にするために、OGC WCS 2.0仕様に記述された操作を実装します。

この標準を実装することによって、Oracle Spatial and Graphに格納されているラスター・データを、Web上の広範囲のアプリケーションにアクセスできるようにします。また、この標準WCSを使用してWebで公開された他のカバレッジを簡単に検出し、Oracle Spatial and Graphアプリケーションに組み込むことができます。この機能により、アプリケーションを完成および強化するための広範囲のラスター・データ・セットが提供されます。

Oracle Workspace Managerの拡張

Oracle Workspace Managerの管理性およびユーザビリティが拡張されます。

  • DBAは、削除されたワークスペースの行の削除を別の時間に延期できます。
  • 共有ロックは、ワークスペースの作成プロシージャで有効化されます。
  • データの変更を他のワークスペースに伝播できないようにワークスペースを構成できます。
  • セッションが使用するワークスペースは追跡されます。   

ワークスペースの削除手順の柔軟性が高まり、処理が迅速化され、ユーザーは同じ親ワークスペースでワークスペースを同時に作成できるようになりました。完全に分離したテストのみのサンドボックス・ワークスペースを作成できます。DBAは、セッションで使用されるワークスペースを簡単に見つけることができます。

Windows

一般

Windowsグループ管理サービス・アカウント

Windows 8およびWindows Server 2012で、Microsoftは、新しいサービス・アカウントであるグループ管理サービス・アカウント(gMSA)を導入しました。これはドメイン・レベルのアカウントで、このアカウントでサービスを実行するためにそのドメイン内の複数のサーバーで使用できます。gMSAはドメイン内の複数のサーバーに関連付けることができますが、MSAはドメイン内の単一のサーバーにのみ関連付けることができるため、gMSAはスタンドアロンMSAとは異なります。gMSAは、Oracle Database Real Application Clusters (Oracle RAC)、単一インスタンスおよびクライアント・インストールのOracleホーム・ユーザーになることができます。

gMSAを使用すると、サービスの作成中にパスワードが不要で、一度サービスが作成されるとサービス・パスワードのメンテナンスが不要になるため、Oracleデータベースのインストールおよび管理が簡略化されます。

Windows仮想アカウント

Windows 7およびWindows Server 2008 R2で、Microsoft社は仮想アカウントを導入しました。これは、ネットワーク・リソースにアクセスするためのコンピュータの資格証明を使用する管理対象ローカル・アカウントです。仮想アカウントは、Oracle Database単一インスタンスおよびクライアント・インストールのOracleホーム・ユーザーになることができます。

Windows仮想アカウントを使用すると、サービスの作成中にパスワードが不要で、一度サービスが作成されるとサービス・パスワードのメンテナンスが不要になるため、Oracle Databaseのインストールおよび管理が簡略化されます。

最新のWindowsプラットフォームおよびサービスとの統合

Windows Resilient File System

Resilient File System (ReFS)は、NTFSより信頼性がありスケーラブルな、Windowsの新しいローカル・ファイル・システムです。Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.4)以降、Oracle DatabaseはReFSでのインストールをサポートしています。最新のOracle Databaseリリースでは、I/Oの変更でReFSのスケーラビリティ機能が利用されます。

ReFSを使用するアプリケーションは、Oracle Databaseを使用してスケーラビリティが向上します。

Windowsインストール: 仮想アカウントおよびグループ管理アカウントのサポート

このリリースでは、Windowsサービスを作成および管理するための仮想アカウントおよびグループ管理アカウントのサポートが追加されます。

仮想アカウントおよびグループ管理アカウントにより、サービス管理を簡略化するためにWindowsサービス・アカウントのパスワードを管理する必要がなくなります。

WindowsでのOracle Databaseの管理性

Oracle Databaseを管理できるMicrosoft管理コンソール

管理者は、Microsoft管理コンソール(MMC)内から、作成、編集、削除、起動、停止などの基本的なOracle Database管理タスクを実行できるようになりました。このリリースでは、これらの機能を実行できるように、新しいMMCスナップインが導入されます。

基本的なOracle Database管理タスクを実行する必要があるWindows管理者は、MMCの使い慣れたグラフィカル・ユーザー・インタフェース内でこれを行うことができます。

広く受け入れられているすべてのNFSパス形式をサポートするWindows Direct NFSクライアント

以前は、OracleのWindows Direct NFS (dNFS)クライアントは、Windows固有のネットワーク・ファイル・システム(NFS)パスのみを使用できました。この新しい機能は、広く受け入れられているすべてのNFSパス形式(Windows形式とUNIX形式の両方のNFSパスを含む)をサポートできるように、dNFSクライアントを強化します。

管理者は、優先NFSパス形式を柔軟に使用できます。