データベースのバックアップについて

データベースのバックアップ方法は、データベースのアーカイブ・モードと、コンポーネント・ベースまたはボリューム・ベースのどちらのバックアップを作成するかによって異なります。

VSSライターを使用してOracle Databaseをバックアップする場合、コンポーネント・モードで取得したシャドウ・コピーを使用することをお薦めします。Oracle VSSライターは、データベース・ファイルのセットを含むコンポーネントを定義します。その後、Oracle VSSライターは、スナップショットの作成時にホット・バックアップ・モードで生成されたREDOをバックアップのライター・メタデータ・ドキュメントに保存します。

Oracle VSSライターによって定義されるコンポーネント階層を「Oracle VSSライターのコンポーネント階層」に示します。

図9-1 Oracle VSSライターのコンポーネント階層

図9-1の説明が続きます
「図9-1 Oracle VSSライターのコンポーネント階層」の説明

コンポーネント・ベースのバックアップについて

「Oracle VSSライターによりバックアップされるコンポーネント」に、Oracle VSSライターでバックアップされるコンポーネントを示します。

コンポーネントの名前は、OnIdentify VSSメッセージによって戻される値です。「バックアップに選択可能か」列は、そのコンポーネントをVSSシャドウ・コピーに選択できるかどうかを示しています。

表9-2 Oracle VSSライターによりバックアップされるコンポーネント

コンポーネント 説明 バックアップに選択可能か

Oracle Database

データベース・ファイル、制御ファイルおよびサーバー・パラメータ・ファイルを含みます。

制御ファイル

ARCHIVELOGモードで稼働しているデータベースの制御ファイルのスナップショットの場所を含みます。または、すべてのデータベース・ファイルが一貫性のあるSCNにリカバリされる場合、現行の制御ファイルの場所を含みます。

注意: 制御ファイル・コンポーネントに含まれるファイルにより、現行の制御ファイルまたはスナップショット制御ファイルのどちらが除外されるかが決定されます。たとえば、データベースが読取り専用モードでオープンされている場合、スナップショット制御ファイルの場所は、スナップショットから除外されます。

不可

サーバー・パラメータ・ファイル

サーバー・パラメータ・ファイルの場所を含みます(インスタンスがサーバー・パラメータ・ファイルを使用している場合)。

不可

すべての表領域

スナップショットにすべての表領域を含みます。

不可

tablespace_names

表領域を個別に選択します。

不可

データ・ファイル番号=n

データ・ファイルを個別に選択します。メタデータには、RESETLOGS情報、表領域番号、表領域名およびDBIDが含まれます。

不可

ArchiveLogDest_n

高速リカバリ領域以外のローカルのアーカイブ先を個別に選択します。

高速リカバリ領域

VSSスナップショットに高速リカバリ領域内のすべてのバックアップ・ファイルおよびアーカイブ・ログを含みます。

高速リカバリ領域からVSSによりバックアップされたファイルは、領域制限のために削除される可能性があります。

アーカイブ・ログ

高速リカバリ領域内のログ

不可

バックアップ・ファイル

高速リカバリ領域からのバックアップ

不可

バックアップ時にOracle VSSライターによって公開される、Oracle DatabaseArchiveLogDest_nおよびFast Recovery Areaのみ選択できます。「Oracle VSSライターによりバックアップされるコンポーネント」のコンポーネントの可用性は、データベースの状態に応じて変化します。たとえば、データベースがNOARCHIVELOGモードの場合、Archived Logsコンポーネントは戻されません。同様に、インスタンスがサーバー・パラメータ・ファイルを使用して起動されない場合、Server Parameter Fileコンポーネントは戻されません。

注意:

バックアップに選択可能であると示されていないコンポーネントは、バックアップに選択可能であると示されているコンポーネントに暗黙的に含まれます。

バックアップまたはリストアでOracle Databaseコンポーネントを選択すると、他のすべてのコンポーネントは暗黙的にバックアップまたはリストアで選択されます。これは、選択されたコンポーネントの一部であるすべてのファイルが、バックアップまたはリストアの候補であることを意味します。

ArchiveLogDest_nおよびFast Recovery Areaコンポーネントは、ログ・ファイルまたは増分ファイルのみを含むように定義されます。これは、リクエスタが、増分または差分バックアップのログの作成時にのみ、これらのコンポーネントのファイルをバックアップする必要があることを意味します。同様に、リクエスタは、増分または差分バックアップのログからのリストア時にのみ、これらのコンポーネントのファイルをリストアする必要があります。

ArchiveLogDest_nおよびFast Recovery Area以外のすべてのコンポーネント内のファイルは、データベース・ファイルを定義します。これは、リクエスタが、全体またはコピー・バックアップの作成時にのみ、これらのコンポーネントのファイルをバックアップする必要があることを意味します。同様に、リクエスタは、全体またはコピー・バックアップからのリストア時にのみ、これらのコンポーネントのファイルをリストアする必要があります。

ARCHIVELOGモードのデータベースのバックアップについて

ARCHIVELOGモードのデータベースをバックアップする方法について説明します。

この手順では、データベースが読取り/書込みモードでオープンしていると仮定します。閉じたバックアップおよび一貫性のあるバックアップを作成することもできます。

ARCHIVELOGデータベースのコンポーネント・ベースのバックアップの作成

データベース全体をバックアップする方法について説明します。バックアップできるのは、「Oracle VSSライターによりバックアップされるコンポーネント」に示されているOracle DatabaseArchiveLogDest_nおよび高速リカバリ領域のみです。

データベース全体をバックアップするには、次のようにします。

  1. ターゲット・データベースでSQL*Plusセッションを開始し、データベースがREAD WRITEモードでオープンしていることを確認します。
  2. サード・パーティのVSSリクエスタを使用して、Oracle Databaseコンポーネントを選択します。
  3. データベースのスナップショットを作成します。

    Oracle VSSライターのスナップショットには、サーバー・パラメータ・ファイル、制御ファイルおよびデータ・ファイルが含まれます。オンラインREDOログは、スナップショットに含まれません。

ARCHIVELOGデータベースのボリューム・ベースのバックアップの作成

読取り/書込みモードでオープンしているOracle Databaseのボリューム・ベースのシャドウ・コピーを作成するには、アーカイブREDOログが、Oracleのデータ・ファイル、制御ファイル、サーバー・パラメータ・ファイルおよびオンラインREDOログを含むボリュームとは異なるボリュームに物理的に存在している必要があります。

ボリューム単位でデータベースおよびアーカイブREDOログをバックアップするには、次のようにします。

  1. ターゲット・データベースでSQL*Plusセッションを開始し、データベースがREAD WRITEモードでオープンしていることを確認します。
  2. サード・パーティのVSSリクエスタを使用して、データ・ファイル、制御ファイルおよびサーバー・パラメータ・ファイルが物理的に存在しているボリュームを選択します。
  3. データベース・ファイルのスナップショットを作成します。

    Oracle VSSライターのスナップショットには、サーバー・パラメータ・ファイル、制御ファイルおよびデータ・ファイルが含まれます。オンラインREDOログは、スナップショットに含まれません。サーバー・パラメータ・ファイルは個別にリストアできますが、制御ファイルとデータ・ファイルは常に一緒にリストアする必要があります。

  4. サード・パーティのVSSリクエスタを使用して、すべてのアーカイブREDOログ(または高速リカバリ領域)が物理的に存在しているボリュームを選択します。
  5. アーカイブREDOログのスナップショットを作成します。

NOARCHIVELOGモードのデータベースのバックアップについて

NOARCHIVELOGモードのデータベースをバックアップする方法について説明します。

NOARCHIVELOGモードで稼働しているOracle Databaseの場合、VSSスナップショットを作成する際にデータベースが一貫性のある状態である必要があります。データベースが読取り/書込みモードでオープンしているときに作成されるバックアップは、サポートされません。

NOARCHIVELOGデータベースのコンポーネント・ベースのバックアップの作成

NOARCHIVELOGモードのOracle Databaseでは、タイプがフル、デフォルトまたはコピーの場合、サポートされるコンポーネント・ベースのVSSスナップショットは、Oracle Databaseのみです。

コンポーネント単位でデータベースをバックアップするには、次のようにします。

  1. ターゲット・データベースでSQL*Plusセッションを開始し、データベースを一貫性のある状態にします。たとえば、次のコマンドを入力します。
    SHUTDOWN
    STARTUP MOUNT
    
  2. サード・パーティのVSSリクエスタを使用して、Oracle Databaseコンポーネントを選択します。
  3. ボリューム・ベースのVSSスナップショットを作成します。

    Oracle VSSライターのスナップショットには、サーバー・パラメータ・ファイル、制御ファイルおよびデータ・ファイルが含まれます。オンラインREDOログは、スナップショットに含まれません。

NOARCHIVELOGデータベースのボリューム・ベースのバックアップの作成

NOARCHIVELOGデータベースのボリュームベースのバックアップを作成する方法について説明します。

ボリューム単位でデータベースをバックアップするには、次のようにします。

  1. ターゲット・データベースでSQL*Plusセッションを開始し、データベースを一貫性のある状態にします。たとえば、次のコマンドを入力します。
    SHUTDOWN
    STARTUP MOUNT
    
  2. サード・パーティのVSSリクエスタを使用して、データ・ファイル、制御ファイルおよびサーバー・パラメータ・ファイルが物理的に存在しているボリュームを選択します。
  3. ボリューム・ベースのVSSスナップショットを作成します。

    Oracle VSSライターのスナップショットには、サーバー・パラメータ・ファイル、制御ファイルおよびデータ・ファイルが含まれます。オンラインREDOログは、スナップショットに含まれません。サーバー・パラメータ・ファイルは個別にリストアできますが、制御ファイルとデータ・ファイルは常に一緒にリストアする必要があります。