Oracleディレクトリ・オブジェクト用のアクセス制御リスト管理の概要

Active Directory内のOracleディレクトリ・オブジェクトに固有のセキュリティ・グループを特定し、セキュリティ・グループのメンバーを追加および削除する方法について説明します。

セキュリティ・グループの概要

セキュリティ・グループは、OracleコンテキストがActive Directoryに作成される際に自動的に作成されます。

アクセスを構成する(およびそれによりOracleコンテキストを作成する)ユーザーは各グループに自動的に追加されます。

OracleDBCreatorsについて

OracleDBCreatorsグループは、Oracle Databaseサーバーを登録するユーザー用のグループです。

ドメイン管理者は、自動的にこのグループのメンバーになります。このグループに属すユーザーは、次のことが実行できます。

  • Oracleコンテキストでの新しいOracle Databaseオブジェクトの作成。

  • 自分が作成したOracle Databaseオブジェクトの変更。

  • このグループのメンバーシップの読取り(ただし変更はできません)。

OracleNetAdminsについて

このグループのユーザーが実行できる様々なタスクについて説明します。

OracleNetAdminsグループに属すユーザーは、次のことが実行できます。

  • Oracle Net Servicesオブジェクトと属性の作成、変更および読取り。

  • このグループのグループ・メンバーシップの読取り。

Oracle Net Servicesオブジェクトについて

Oracle Database Client 11g以降のディレクトリ・クライアントは、オプションで、DB名を接続文字列に解決すると同時にディレクトリで認証を行うよう構成できます。

これにより、ACLを使用してOracle Net Servicesオブジェクトを保護することが可能になります。

ディレクトリ内でのユーザーの識別情報を定義する方法と、そのユーザーまたはそのユーザーの所属グループを一部またはすべてのNet Servicesにアクセスできるようにする方法は多くあります。Oracle Databaseは事前定義済のグループを提供しておらず、このデータへの読取りアクセスの制限を定義するための方法は構成ツールにありません。このため、管理者は使用しているディレクトリ・システムの標準のオブジェクト管理ツールを使用して、必要なグループおよびACLを手動で作成する必要があります。既存の識別情報の構造は、ネット・サービスのACLと考えることもできます。

オブジェクトのアクセス定義は複雑であり、DIT (ディレクトリ情報ツリー)の親ノードから継承されるセキュリティ・プロパティに影響する場合があります。

管理者が、使用しているディレクトリ・システムの関連するツールおよびマニュアルを参照し、Oracle Net Servicesオブジェクトのアクセス管理の構成、またはディレクトリ全体のポリシーやセキュリティ実装との統合を行うことをお薦めします。

注意:

11gよりも前のクライアントは匿名としてのみディレクトリにバインド可能であるため、Net ServicesにACLの保護をかけようとすると、旧バージョンのクライアントが無効になります。アクセス制御を実装できるのは、各オブジェクトに対するアクセスを必要とするすべてのクライアントが11g以上である場合のみです。

ネット・サービス・エントリのACLの設定

ディレクトリ・オブジェクトにACLを設定するには、MicrosoftのDsacls.exeツールを使用します。

dsacls.exeコマンドライン・ツールにより、Active Directoryに含まれるオブジェクトのアクセス制御リスト(ACL)の権限(アクセス制御エントリ)を表示および変更できます。このコマンドライン・ツールは、CD-ROMのサポート・ツールに含まれます。

次に例を示します。

orclサービスに対する一般的な匿名読取りを有効化するには、次のコマンドを実行します。

dsacls "CN=orcl,CN=OracleContext,OU=Example,O=Com" /G "anonymous logon":GR

EXAMPLEドメインのsmithユーザーのorclサービスに対する一般的な読取りを有効化するには、次のコマンドを実行します。

dsacls "CN=orcl,CN=OracleContext,OU=Example,O=Com" /G example\smith:GR

orclサービスに対する一般的な匿名読取りを無効化するには、次のコマンドを実行します。

dsacls "CN=orcl,CN=OracleContext,OU=Example,O=Com" /R "anonymous logon"

EXAMPLEドメインのsmithユーザーのorclサービスに対する一般的な読取りを無効化するには、次のコマンドを実行します。

dsacls "CN=orcl,CN=OracleContext,OU=Example,O=com" /R example\smith

関連項目:

Dsacls.exeツールの詳細は、http://support.microsoft.com/kb/281146を参照してください。

セキュリティ・グループ・メンバーの追加および削除

「Active Directoryユーザーとコンピュータ」を使用してセキュリティ・グループに対してユーザーの追加および削除を行う方法について説明します。

「Active Directoryユーザーとコンピュータ」を使用してセキュリティ・グループに対してユーザーの追加および削除ができます。

注意:

この項で説明した手順を実行するには「Active Directoryユーザーとコンピュータ」を使用します。Windowsエクスプローラには必要な機能がありません。

ユーザーを追加または削除するには、次のようにします。

  1. 「スタート」メニューから、「すべてのプログラム」「管理ツール」「Active Directoryユーザーとコンピュータ」の順に選択します。
  2. メイン・メニューの「表示」メニューから「拡張機能」を選択します。

    この操作で、通常非表示の情報が表示され、編集できます。

  3. Oracleコンテキストが存在するドメイン(管理コンテキスト)を開きます。
  4. 「ユーザー」を開きます。

    右側のウィンドウ・ペインにセキュリティ・グループが表示されます。

  5. 表示または変更するOracleセキュリティ・グループを右クリックします。

    いくつかのオプションとともにメニューが表示されます。

  6. 「プロパティ」を選択します。
  7. 「メンバ」タブを選択します。

    選択したグループのプロパティ・ダイアログが表示されます(この例ではOracleDBCreators)。

  8. ユーザーを追加するには、「追加」をクリックします。

    「ユーザーの選択」、「コンピュータ」、サービス・アカウント、または「グループ」ダイアログが表示されます。

  9. 追加するユーザーまたはグループを選択し、「追加」をクリックします。

    選択した項目が、「ユーザーの選択」、「コンピュータ」、サービス・アカウント、または「グループ」ダイアログに表示されます。

  10. ユーザーを削除するには、「メンバ」リストからユーザー名を選択し、「削除」をクリックします。
  11. ユーザーの追加または削除が終了したら、「OK」をクリックします。