1 Oracle Provider for OLE DBの概要
次の各項では、Oracle Provider for OLE DB (OraOLEDB)の概要を示します。
1.1 OLE DBの概要
OLE DBは、オープンで標準的なデータ・アクセス方法であり、様々なタイプのデータに対するアクセスおよび操作において、一連のComponent Object Model(COM)インタフェースを使用します。このインタフェースは様々なデータベース開発元から提供されています。
1.1.1 OLE DBの設計
OLE DBの設計の中心となるのは、コンシューマおよびプロバイダの概念です。図1-1にOLE DBシステムを示します。コンシューマは旧来のクライアントを表します。プロバイダはデータを表形式で格納し、コンシューマにデータを返します。
OLE DBデータ・プロバイダ
OLE DBデータ・プロバイダは、データソースからコンシューマにデータを転送する一連のCOMコンポーネントです。OLE DBプロバイダは、コンシューマからのコールに応答して、そのデータを表形式で格納します。プロバイダは、単純にも複雑にもできます。プロバイダは、表を返すこと、コンシューマがその表形式を決定すること、そのデータに対して操作を実行することができます。
各プロバイダはコンシューマからの要求を処理する標準COMセットを実装します。プロバイダは、追加機能を提供するCOMインタフェースをオプションとして実装できます。
標準インタフェースにより、どのプロバイダからのデータに対しても、すべてのOLE DBコンシューマからアクセスできます。COMコンポーネントにより、コンシューマはC++、Visual BasicおよびJavaなど、COMをサポートする任意のプログラム言語でアクセスできます。
OLE DBデータ・コンシューマ
OLE DBデータ・コンシューマは、プロバイダのOLE DBインタフェースを利用して様々なデータにアクセスするためのアプリケーションまたはツールです。
1.2 OraOLEDBの概要
Oracle Provider for OLE DB(OraOLEDB)は、高いパフォーマンスを提供し、OLE DBコンシューマがOracleデータへ効率的にアクセスできるようにするOLE DBデータ・プロバイダです。
通常、この開発者ガイドでは、OLE DBまたはADOを介してOraOLEDBを使用していることを想定しています。
.NETフレームワークの出現により、OraOLEDBでのOLEDB.NETデータ・プロバイダの使用がサポートされるようになりました。適切な接続属性を設定することで、OLEDB.NETデータ・プロバイダでOraOLEDBを利用してOracle Databaseにアクセスできます。
関連項目:
OLEDB.NETデータ・プロバイダのサポートの詳細は、OLEDB.NETデータ・プロバイダの互換性を参照
1.3 システム要件
Oracle Provider for OLE DBを使用するシステムには次の要件が必要です。
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Windowsオペレーティング・システム:
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64ビット: Windows 7 x64 (Professional、Enterprise、Ultimateの各エディション)、Windows 8 (ProおよびEnterpriseの各エディション)、Windows 8.1 (ProおよびEnterpriseの各エディション)、Windows Server 2012 x64 (Standard、Datacenter、Essentials、Foundationの各エディション)、Windows Server 2012 R2 x64 (Standard、Datacenter、Essentials、Foundationの各エディション)、Windows 10 x64 (Pro、Enterprise、Educationの各エディション)またはWindows Server 2016 x64 (Standard、Datacenter Editionsの各エディション)。
Oracleでは、これらのWindows x64オペレーティング・システムで、32-bit Oracle Provider for OLE DBおよび64-bit Oracle Provider for OLE DBがサポートされます。
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Oracle Database(Oracle 10.2以上)へのアクセス
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Oracle ClientおよびOracle Net Services(Oracle Provider for OLE DBのインストールに付属)。
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Microsoft Data Access Components (MDAC) 2.1以上で提供される再配布可能ファイルは、プロバイダで必要です。これらのファイルは、次のMicrosoft社のWebサイトから入手できます。
http://msdn.microsoft.com/en-us/data/aa937730.aspx
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Microsoftトランザクション・サーバー用のOracleサービスMicrosoft Transaction Server(MTS)またはCOM+を使用するコンシューマに必要です。
1.4 OraOLEDBのインストール
Oracle Provider for OLE DBは、Oracleのインストールに含まれています。これには、この製品を使用して実際の問題を解決する方法を例示する機能およびデモが含まれています。
インストール・プロセス中に、次のファイルがシステムにインストールされます。一部のファイル名にあるver
は、リリース・バージョンを示しています。
表1-1 Oracle Provider for OLE DBファイル
ファイル | 説明 | 場所 |
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Oracle Provider for OLE DB |
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Oracle行セット・ファイル・キャッシュ・マネージャ |
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Oracle行セット・メモリー・キャッシュ・マネージャ |
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Oracle行セット |
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Oracle ODBC SQLパーサー |
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( |
言語固有のリソースDLL |
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プロパティの説明 |
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OraOLEDBユーティリティDLL |
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OraOLEDBタイプ・ライブラリ |
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OraOLEDBヘッダー・ファイル |
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OraOLEDBライブラリ・ファイル |
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( |
言語固有のメッセージ・ファイル |
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Readme |
リリース・ノート |
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関連項目:
インストール手順は、Oracle Databaseインストレーション・ガイドfor Microsoft Windowsを参照
1.5 コンポーネントの認証
オラクル社では、各種プラットフォーム上のコンポーネントに関するサポート情報、互換性のあるクライアントとデータベース・バージョンの一覧、ならびにパッチと対処方法の情報を提供しています。
最新の動作保証情報は、次の場所にあるMy Oracle Support(以前のOracleMetaLink)を参照してください。
https://support.oracle.com