レプリケーション用のOracle ACFSコマンドライン・ツール
このトピックでは、Oracle ACFSスナップショットベースのレプリケーション用コマンドの概要を示します。
表16-29に、Oracle ACFSのスナップショットベースのレプリケーション・コマンドと簡単な説明を示します。Oracle ACFSレプリケーションの概要は、「Oracle ACFSレプリケーション」を参照してください。
Oracle ACFS acfsutil
コマンドの実行の詳細は、「Oracle ACFSコマンドライン・ツールの使用について」を参照してください。
表16-29 Oracle ACFSレプリケーション用のコマンドの概要
コマンド | 説明 |
---|---|
Oracle ACFSレプリケーション・バックグラウンド・プロセスを開始、停止、または情報を表示します。 |
|
Oracle ACFSファイルシステム上でファイルがレプリケートされていることを確認します。 |
|
Oracle ACFSファイルシステムのレプリケーション・プロセスに関する情報を表示します。 |
|
Oracle ACFSファイルシステムのファイルのレプリケーションを開始します。 |
|
Oracle ACFSファイルシステムのレプリケーションを一時停止します。 |
|
Oracle ACFSファイルシステムのレプリケーションを再開します。 |
|
プライマリおよびスタンバイ・ファイルシステムを同期します。 |
|
Oracle ACFSファイルシステムのファイルのすべてのレプリケーション・アクティビティを停止します。 |
|
レプリケーション情報のトレース・レベルを指定します。 |
|
レプリケーションの実行中にレプリケーション情報を更新します。 |
|
スナップショットベースのレプリケーションを使用するために、アクティブな既存のレプリケーション・インストールをアップグレードします。 |
acfsutil repl bg
目的
Oracle ACFSレプリケーション・バックグラウンド・プロセスを開始、停止、または情報を表示します。
構文および説明
acfsutil repl bg -h
acfsutil repl bg {start | stop | info} mount_point
acfsutil
repl
bg
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-30に、acfsutil
repl
bg
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-30 acfsutil repl bgコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
レプリケーション・バックグラウンド・プロセスを開始します。 |
|
レプリケーション・バックグラウンド・プロセスを停止します。 |
|
レプリケーション・バックグラウンド・プロセスの情報を表示します。 |
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
Oracle ACFSレプリケーションでは、プライマリ・クラスタでバックグラウンド・プロセスを使用してファイルシステムの変更をスタンバイ・ファイルシステムに転送します。このプロセスは、レプリケーションが機能するために実行する必要があります。レプリケーションがacfsutil
repl
init
コマンドで開始されると、このプロセスが開始されてOracle Clusterwareに登録され、再起動またはシステム・クラッシュ後に自動的に再開できるようになります。このプロセスは、クラスタ規模です。
Oracle ACFSレプリケーション・バックグラウンド・プロセスがプライマリ・サイトで実行中かどうかを判別するには、acfsutil
repl
bg
info
コマンドをプライマリ・クラスタで実行できます。コマンドの使用例は、例16-26を参照してください。
注意:
acfsutil
repl
bg
info
でレプリケーション・バックグラウンド・プロセスが実行中であることを示す場合、Oracle ACFSファイルシステムのアンマウント前にバックグラウンド・プロセスを停止する必要があります。ファイルシステムがレプリケーションに関与している場合、Oracle ACFSレプリケーション・バックグラウンド・プロセスを先に停止しないと、アンマウントできません。このプロセスを先に停止しないでファイルシステムをアンマウントしようとすると失敗します。システムを停止すると、ACFSファイルシステムのアンマウント前にacfsutil
repl
bg
コマンドが自動的に実行されます。
acfsutil
repl
bg
start
またはacfsutil
repl
bg
stop
コマンドを実行するには、システム管理者権限が必要です。acfsutil
repl
bg
info
コマンドを実行するには、システム管理者またはOracle ASM管理者権限が必要です。
例
例16-26に、acfsutil
repl
bg
コマンドの使用を示します。
例16-26 acfsutil repl bgコマンドの使用方法
$ /sbin/acfsutil repl bg start /acfsmounts/acfs1 $ /sbin/acfsutil repl bg info /acfsmounts/acfs1 ACFS clusterwide replication background process is running. $ /sbin/acfsutil repl bg stop /acfsmounts/acfs1 $ /sbin/acfsutil repl bg info /acfsmounts/acfs1 ACFS clusterwide replication background process is stopped.
acfsutil repl compare
目的
Oracle ACFSファイルシステム上でファイルがレプリケートされていることを確認します。
構文および説明
acfsutil repl compare -h acfsutil repl compare [-v] [ -a [-s] | -t { all | tagname, ...} [-s] ] primary_mount_point standby_mount_point
acfsutil
repl
compare
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-31に、acfsutil
repl
compare
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-31 acfsutil repl compareコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
すべてのファイルとその拡張された属性名を比較します。 |
|
|
|
|
|
プライマリ・ファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
|
このスタンバイ・ファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
repl
compare
コマンドは、プライマリ・マウントポイントのすべてまたは一部がスタンバイ・マウントポイントにレプリケートされたことを確認します。スタンバイ・マウントポイントは、比較のためにローカルにマウントされる必要があります。最適な結果は、プライマリ・ファイルシステムの変更が最小限のときに得られます。コマンドでは常に、スタンバイ・ファイルシステム上のファイルに照らして、プライマリ・ファイルシステム上のすべてのファイルをチェックします。
通常、acfsutil
repl
init
操作中に指定されたタグ名がない場合に-a
オプションが使用されます。-a
オプションは、プライマリ・ファイルシステム上のすべてのファイルをスタンバイ・ファイルシステム上のファイルと比較します。また、-a
オプションは、プライマリには存在しないスタンバイ・ファイルシステム上のその他のファイルをテストできます。その他のファイルのテスト時に、コマンドでは拡張属性のチェックも試行します。ただし、NFSを使用してスタンバイ・ファイルシステムをローカルにマウントする場合、スタンバイではNFSプロトコル制限のため拡張属性の一致をチェックできません。
acfsutil
repl
init
操作中にタグが指定された場合に-t
オプションが使用されます。-t
操作では、指定されたタグ名を持つ、プライマリ・ファイルシステム上のすべてのファイル名を配置してスタンバイ上の対応するファイルと比較します。-t
オプションは、引数としてall
オプションかまたはタグ名のカンマ区切りリストのどちらかを取ります。-t
オプションがall
引数とともに使用される場合、acfsutil
repl
init
操作で指定されたすべてのタグ名が選択されます。そうでない場合、指定されたタグ名は、acfsutil
repl
init
操作中に指定されたタグ名と正確に一致する必要があります。-t
オプションも同様に、acfsutil
repl
init
操作中に指定された関連するタグ名を持たないスタンバイ・ファイルシステムのその他のファイルをテストします。NFSを使用してスタンバイ・ファイルシステムをローカルにマウントする場合、スタンバイは、NFSプロトコル制限のためタグ名と拡張属性の一致をチェックされません。
acfsutil
repl
info
-c
オプションを使用して、acfsutil
repl
init
操作中に指定されたタグを特定できます。
-a
オプションと-t
オプションは両方を同時に指定できません。-a
または-t
の指定時に、—s
オプションも指定してsymlinkについての拡張属性の比較を省略できます。-a
または-t
のオプションのどちらも提供されない場合、プライマリからスタンバイへのファイル比較はタグ名または拡張属性のテストを行わずに実行されます。
-v
オプションを指定して、ファイルの比較後に各ファイルの名前を出力できます。
このコマンドを実行するには、システム管理者またはOracle ASM管理者権限が必要です。
例
例16-27に、acfsutil
repl
compare
コマンドの使用を示します。
例16-27 acfsutil repl compareコマンドの使用方法
$ /sbin/acfsutil repl compare /acfsmounts/acfs1 /nfs_mounted_standby
acfsutil repl info
目的
Oracle ACFSファイルシステムのレプリケーション・プロセスに関する情報を表示します。
構文および説明
acfsutil repl info -h acfsutil repl info -c [-v] mount_point acfsutil repl info -c -u user [-o sshStrictKey=ynvalue] standby_host [standby_host]...] primary_mount_point acfsutil repl info -s [-v][-l] [-n number{m|h|d|w|y}] {-f eventlog | mount_point} acfsutil repl info [-a|-e|-t] [-v][-l] {-f eventlog | mount_point }
acfsutil
repl
info
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-32に、acfsutil
repl
info
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-32 acfsutil repl infoコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
レプリケーション・イベント・ログから適用レコードのみを表示します。適用レコードには、ファイルシステムの変更のセットがプライマリ・ファイルシステムで取得された日付と時間と、それらがスタンバイ・ファイルシステムで適用された日付と時間が含まれます。 |
|
構成情報を表示します。 |
|
レプリケーション・イベント・ログからエラー・レコードのみを表示します。 |
|
情報のソースとして使用されるレプリケーション・イベント・ログへの絶対パスを指定します。デフォルトの場所は、 |
|
ヘルプ・テキストを表示します。 |
|
最後のイベントのみを表示します。 |
|
情報を表示する間隔を指定します。 統計は指定した時間単位でまとめられます。 |
|
userをアクセス権が有効なユーザーとして使用して、現行ホストとstandby引数で指定されている各スタンバイ・ホスト間で現在構成されているホスト鍵およびユーザー鍵を検証します。 |
|
|
|
統計情報を表示します。このオプションはプライマリ・ファイルシステムで実行するときのみ有効です。統計を意味のあるものにするために、プライマリおよびスタンバイ・ノードがネットワーク・タイム・サービスを実行していることが重要です。 |
|
レプリケーション・イベント・ログから転送レコードのみを表示します。 |
|
冗長出力を表示します。 |
|
|
|
プライマリ・ファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
|
ファイルシステム(プライマリまたはスタンバイ)がマウントされるディレクトリを指定します。 |
レプリケーション構成の情報を表示するには、-c
オプションを指定したacfsutil
repl
info
を使用します。構成情報には、スタンバイ・ファイルシステムによって表されるプライマリ・ファイルシステムでのポイント・イン・タイムを識別するApplied
primary
as
of
タイムスタンプが含まれます。このタイムスタンプを使用すると、Oracle ACFSファイルシステム内のデータを、Oracle Data Guardでレプリケートされたデータベース・データと同期する必要がある場合に、このポイント・イン・タイムにデータベースを戻すことができます。
—u
オプションを指定する場合は、コマンドをプライマリ・クラスタの各ホストでroot
(またはローカルSYSTEM
)として実行し、スナップショットベースのレプリケーションで使用されるように、ssh
ですべてのスタンバイ・ホストに接続し、各ホストでuserとしてログインできることを確認する必要があります。指定するuserは、acsfutil
repl
init
コマンドで指定するrepluserと同じにする必要があります。各standby_host文字列は、スタンバイ・ノードのホスト名またはホストIPアドレスを指定します。指定するprimary_mount_pointは、レプリケーションに使用されるプライマリ・クラスタ内のアクティブなOracle ACFSマウント・ポイントにする必要があります。-o sshStrictKey=no
を使用して、このようなacsfutil
repl
init
primary
の使用に対して厳密なホスト鍵チェックが無効になっていた(または無効になっている)場合、ここでもオプションを指定してホスト鍵検証を省略する必要があります。primary_mount_pointでレプリケーションが現在アクティブであろうとなかろうと、acfsutil
repl
info
-c
-u
はいつでも実行できます。
レプリケーション統計の情報を表示するには、-s
オプションを指定したacfsutil
repl
info
を使用します。
すべてのレプリケーション・イベントの情報を表示するには、オプションを指定せずにacfsutil
repl
info
を使用します。特定の種類のイベントの情報を表示するには、-a
、-e
または-t
オプションを指定してacfsutil
repl
info
を使用します。
このコマンドを実行するには、システム管理者またはOracle ASM管理者権限が必要です。
例
例16-28に、acfsutil
repl
info
コマンドの使用を示します。
例16-28 acfsutil repl infoコマンドの使用方法
検証コマンドの形式は次のとおりです。
# /sbin/acfsutil repl info -c -u repluser standby-addr1 [standby-addr2 …] my_primary_mountpoint
このコマンドは、ユーザーrepluser
がssh
を使用して、初期化時にレプリケーションと同じように指定された各standby-addrに接続できることを確認します。指定するmy_primary_mountpointは、レプリケーションに使用されるアクティブなOracle ACFSマウント・ポイントにする必要があります。
前述のコマンドで指定したstandby1およびstandby2クラスタの鍵設定を検証するには、プライマリ・クラスタの各ノードで次のコマンドを使用できます。
# /sbin/acfsutil repl info -c -u repluser standby1 standby2 my_primary_mountpoint
クラスタへの接続にVIP standby12_vip
を使用する予定だった場合、同じコマンドを使用します。
厳密なホスト鍵チェックを無効にする予定の場合は、-o
sshStrictKey=no
オプションをコマンドラインに追加して、このチェックを省略できます。
統計および適用レコードを表示するためのその他のコマンドは、次のとおりです。
$ /sbin/acfsutil repl info -s -n 5d /acfsmounts/acfs1 $ /sbin/acfsutil repl info -a -v /acfsmounts/acfs1
acfsutil repl init
目的
Oracle ACFSファイルシステムのすべてのファイルまたは指定したタグのリストを持つファイルのみでレプリケーションを開始します。
構文および説明
acfsutil repl init -h acfsutil repl init standby -u repluser [-d trace_level] standby_mount_point acfsutil repl init primary -s repluser@netname { -C | -i interval} [tagname...] [-m standby_mount_point] [-d trace_level] [-z {on | off}] [-o sshCmdPath=pathname] [-o sshStrictKey=ynvalue] [-o sshCipher=ciphername] primary_mount_point
acfsutil
repl
init
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-33に、acfsutil
repl
init
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-33 acfsutil repl initコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
プライマリ・ファイルシステムのレプリケーションを指定します。 |
|
スタンバイ・ファイルシステムのレプリケーションを指定します。 |
|
プライマリ・サイトがスタンバイ・サイトに接続するための標準 接続文字列のrepluserは、スタンバイ・ノードで 接続文字列のnetnameは、ホスト名、VIP名、IPアドレスなど、ネットワーク・エンドポイントを指定します。 |
|
常時モードのレプリケーションを指定します。スナップショットが絶えず生成され、スタンバイ・サイトにレプリケートされます。各スナップショットのレプリケーションが完了するとすぐに、新しいスナップショットの生成が開始されます。 |
|
間隔(スケジュール)モードのレプリケーションを指定します。新しいスナップショットが取得され、可能な場合は、指定した頻度でレプリケートされます。接尾辞を指定して、間隔の測定単位を指定する必要があります。接尾辞は、 |
|
レプリケーションの制限で使用するタグ名を1つ以上指定します。タグ名を指定すると、それらのタグ名の少なくとも1つを使用してタグ付けされているファイルのみがレプリケートされます。Oracle ACFSタグの詳細は、「Oracle ACFSタグ付け」を参照してください。 |
|
スタンバイ・ファイルシステムがマウントされているディレクトリがプライマリ・ファイルシステムと異なる場合にそのディレクトリを指定します。 |
|
トレース・レベル設定[0..6]を指定します。 |
|
プライマリからスタンバイに送信されるレプリケーション・データ・ストリームの圧縮を有効または無効にします。 |
|
|
|
|
|
セッションを暗号化するために |
|
repluserを指定します。 |
|
このスタンバイ・ファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
|
プライマリ・ファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
repl
init
primary
およびstandby
の各コマンドは、指定されたプライマリ・サイトと指定されたスタンバイ・サイトの間でレプリケーションを開始します。 acfsutil
repl
init
standby
コマンドを先に実行する必要があります。 コマンドを実行する前に、指定したファイルシステムがスタンバイ・クラスタの1つのノードのみにマウントされていることを確認します。 コマンドが正常に完了したら、指定したファイルシステムをスタンバイ・クラスタのすべてのノードにマウントします。 次に、acfsutil
repl
init
primary
コマンドを実行します。
acfsutil
repl
init
primary
コマンドが正常に完了すると、指定したすべてのファイルの最初のコピーをスタンバイ・ファイルシステムにレプリケートする処理が開始します。さらに、これらのファイルへの変更や、プライマリ・ファイルシステム上のファイルシステムでその後作成された新しいファイルが取得され、スタンバイ・ファイルシステムに転送されます。しかし、コマンドが正常に完了しても、指定したファイルがスタンバイ・ファイルシステムに完全にコピーされたことは示されません。指定した全ファイルのスタンバイ・ファイルシステムへの初回レプリケーションの進行を監視するには、acfsutil
repl
info
-c
コマンドを実行できます。
初回レプリケーション操作は、スタンバイ・ファイルシステム全体に転送されるプライマリ・ファイルシステムのスナップショットに基づきます。後続の各レプリケーション操作ではその後のプライマリのスナップショットが使用され、そのスナップショットと直前のスナップショットの差異のみがスタンバイに転送されます。
プライマリ・ファイルシステムのディレクトリはすべて、タグが指定されている場合でも、常にスタンバイにレプリケートされます。
シンボリック・リンク・ファイルはそのままレプリケートされます。シンボリック・リンクが絶対パス名に解決され、そのパス名がスタンバイ・ファイルシステムに存在しない場合、シンボリック・リンクの参照はエラーになります。
指定されたソケット、キャラクタ・デバイス・ファイルまたはブロック・デバイス・ファイルをサポートするプラットフォームでは、これらのファイル・タイプがレプリケートされません。
レプリケートされているファイルシステムはプライマリまたはスタンバイ・ファイルシステムの1つのパスにのみマウントできます。
レプリケートされたOracle ACFSファイルシステムはクラスタ内の同じディレクトリにマウントされる必要があります。ファイルシステムは1つのクラスタ内のすべてのノードにマウントされる必要はありませんが、マウントされる場合は、acfsutil
repl
init
コマンドで指定したディレクトリにマウントする必要があります。さらに、他のノードのそのディレクトリには他のファイルシステムはマウントできません。
1つのOracle ACFSファイルシステムは、プライマリおよびスタンバイ・ファイルシステムの両方として構成できません。レプリケーションを同じホストまたは同じクラスタ内で構成する場合、プライマリおよびスタンバイ・ファイルシステムは同じ名前のマウント・ポイントを使用できません。
プライマリまたはスタンバイ・ファイルシステムをホストするいずれかのサイトがWindows上で稼働している場合、どちらのサイトもWindows上で稼働している必要があります。Linux、SolarisまたはAIXのオペレーティング・システムの組合せで稼働しているサイト間ではレプリケーションが可能です。
このコマンドを実行するには、システム管理者権限が必要です。
例
例16-29に、プライマリからスタンバイ・サイトへのスナップショットベースのレプリケーションを開始するためのacfsutil
repl
init
の使用方法を示します。
例16-29 acfsutil repl initコマンドの使用方法
# /sbin/acfsutil repl init standby -u my_repluser /my_standby/repl_data # /sbin/acfsutil repl init primary -s my_repluser@my_host -i 2h -m /my_standby/repl_data /my_primary/repl_data
acfsutil repl pause
目的
Oracle ACFSファイルシステムのレプリケーションを一時停止します。
構文および説明
acfsutil repl pause -h
acfsutil repl pause mount_point
acfsutil
repl
pause
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-34に、acfsutil
repl
pause
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-34 acfsutil repl pauseコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
repl
pause
コマンドは、プライマリ・レプリケーション・サイトでのみ発行します。レプリケーション操作を続行するには、後でacfsutil
repl
resume
を同じプライマリ・サイトで実行する必要があります。
acfsutil
repl
pause
は、レプリケーション・デーモンの操作を一時的に停止します。その後にacfsutil
repl
resume
を実行すると、デーモンの操作が再開されます。
レプリケーション操作がアクティブであるときにacfsutil
repl
pause
を実行すると、一時停止アクションに関係なく、アクティブなレプリケーション操作は完了します。この場合、一時停止操作は有効でなく、現行データ・ストリームがスタンバイに適用されるまで、コマンドは戻りません。その後、acfsutil
repl
resume
が発行されるまで、このレプリケーションに関して操作は実行されません。
このコマンドを実行するには、システム管理者またはOracle ASM管理者権限が必要です。
例
例16-30に、acfsutil
repl
pause
コマンドの使用を示します。
例16-30 acfsutil repl pauseコマンドの使用方法
$ /sbin/acfsutil repl pause /acfsmounts/acfs1
acfsutil repl resume
目的
一時停止されたOracle ACFSファイルシステムのレプリケーションを再開します。
構文および説明
acfsutil repl resume -h
acfsutil repl resume mount_point
acfsutil
repl
resume
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-35に、acfsutil
repl
resume
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-35 acfsutil repl resumeコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
repl
resume
コマンドは、acfsutil
repl
pause
コマンドの実行後にレプリケーション・プロセスを再開します。このコマンドは、acfsutil
repl
pause
コマンドでレプリケーションを一時停止したすぐ後に、同じプライマリ・サイトで実行する必要があります。
このコマンドを実行するには、システム管理者またはOracle ASM管理者権限が必要です。
例
例16-31に、acfsutil
repl
resume
コマンドの使用を示します。
例16-31 acfsutil repl resumeコマンドの使用方法
$ /sbin/acfsutil repl resume /acfsmounts/acfs1
acfsutil repl sync
目的
プライマリおよびスタンバイ・ファイルシステムを同期します。
構文および説明
acfsutil repl sync -h
acfsutil repl sync [apply] primary_mount_point
acfsutil
repl
sync
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-36に、acfsutil
repl
sync
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-36 acfsutil repl syncコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
すべての変更をスタンバイ・ファイルシステムに適用するように指定します。現在は、コマンドの動作に影響しません。 |
|
プライマリ・ファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
repl
sync
コマンドは、プライマリ・サイトおよびスタンバイ・サイトの状態を同期するのに使用できます。このコマンドは、プライマリ・サイトでのみ実行できます。同期された状態がユーザーにわかり、意味のあるものにするためには、まずアプリケーションを停止してsync(1)
コールを発行する必要があります。次に、acfsutil
repl
sync
を実行すると、確実にすべての未処理のレプリケーション・データがプライマリ・サイトからスタンバイ・サイトに送信されます。具体的には、このコマンドは処理中のレプリケーション操作を完了でき、その後にプライマリのすべての変更が確実にレプリケートされるようにもう一度レプリケーションを実行します。
このコマンドは、スタンバイ・サイトですべての変更がファイルシステムに正常に適用されると、成功を返します。この時点で、プライマリ・サイト・クラスタ上の最後のノードがアンマウントされようとしていないかぎり、アプリケーションは再開できます。
プライマリ・サイトでレプリケートされたファイルシステムを正常にアンマウントしても、アンマウント前に加えられたファイルシステムへの変更がすべてスタンバイ・サイトに正常に送信された、あるいはスタンバイ・ファイルシステムに適用されたとはかぎりません。プライマリ・ファイルシステムがプライマリ・サイトのあるノードでアンマウントされても、プライマリ・サイトの1つ以上のノードでマウントされたままの場合、アンマウント前に加えられたファイルシステムへの変更は引き続き、アンマウント後に他のノードからスタンバイ・サイトに転送されます。しかし、マウントされているプライマリ・サイトの最後のノードでプライマリ・ファイルシステムのアンマウントの処理中である場合に、プライマリ・ファイルシステムでのファイルシステムの変更がすべて、その時点までにスタンバイ・ファイルシステムに正常に適用されていることを把握するには、次の操作を実行してスタンバイ・ファイルシステムが最新であることを保証する必要があります。
-
プライマリ・サイトで、ファイルシステムを変更するアプリケーションを停止します。
-
acfsutil
repl
sync
を実行します。
次に、acfsutil
repl
bg
stop
を実行してレプリケーション・バックグラウンド・プロセスを停止します(これは、常にレプリケートされたファイルシステムをアンマウントする前に実行する必要があります)。バックグラウンド・プロセスが停止したら、ファイルシステムをアンマウントします。
このコマンドを実行するには、システム管理者またはOracle ASM管理者権限が必要です。
例
例16-32に、acfsutil
repl
sync
コマンドの使用を示します。
例16-32 acfsutil repl syncコマンドの使用方法
$ /sbin/acfsutil repl sync /acfsmounts/acfs1
acfsutil repl terminate
目的
コマンドを実行するサイトで、Oracle ACFSファイルシステムのファイルのすべてのレプリケーション・アクティビティを停止します。
構文および説明
acfsutil repl terminate -h acfsutil repl terminate primary [-d trace_level] mount_point acfsutil repl terminate standby [immediate] [-k] [-d trace_level] mount_point
acfsutil
repl
terminate
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-37に、acfsutil
repl
terminate
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-37 acfsutil repl terminateコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
プライマリ・ファイルシステムのレプリケーションを停止します。 |
|
スタンバイ・ファイルシステムのレプリケーションを停止します。 |
|
スタンバイ・ファイルシステムのレプリケーション処理を即時停止します。 |
|
スタンバイ用に保持されているバックアップ・スナップショットを保存することを指定します。このオプションを指定しないと、スナップショットは削除されます。 |
|
トレース・レベル設定[0..6]を指定します。 |
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
repl
terminate
コマンドは、すべてのレプリケーション処理を停止します。レプリケーションを停止する場合、先にプライマリ・ファイルシステム、次にスタンバイ・ファイルシステムのレプリケーションを停止する必要があります。プライマリ・サイトを停止する前にすべての変更がスタンバイ・ファイルシステムに送信されたことを確認する場合は、すべてのアプリケーションを停止し、acfsutil
repl
sync
コマンドを実行します。ファイルシステムをホストしている両方のサイトが利用可能な場合は、両方のサイトでterminateコマンドを実行する必要があります。
acfsutil
repl
terminate
standby
の実行後は、スタンバイ・ファイルシステムを読取り/書込みモードで使用できます。acfsutil
repl
terminate
の実行後にレプリケーションを再開する場合は、acfsutil
repl
init
コマンドを使用して最初からレプリケーションを再開する必要があります。
repl
terminate
standby
コマンドは、スタンバイ・ファイルシステムのレプリケーション・データが適用されるまで待機します。すべてのレプリケーション・データを適用せずにレプリケーションを即時停止する場合は、immediate
オプションを使用します。しかし、このオプションではスタンバイ・ファイルシステムに不確定な状態のファイルが残されることがあります。
Oracle ACFSレプリケーションを一時的に停止するには、acfsutil
repl
pause
コマンド、その後すぐにacfsutil
repl
resume
コマンドを使用できます。
このコマンドを実行するには、システム管理者権限が必要です。
例
例16-33に、acfsutil
repl
terminate
コマンドの使用を示します。
例16-33 acfsutil repl terminateコマンドの使用方法
$ /sbin/acfsutil repl terminate /acfsmounts/acfs1
acfsutil repl trace
目的
Oracle ACFSファイルシステムのトレース情報の収集のレプリケーション・トレース・レベルを設定します。
構文および説明
acfsutil repl trace -h acfsutil repl trace level mount_point
acfsutil
repl
trace
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-39に、acfsutil
repl
trace
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-38 acfsutil repl traceコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
トレース・レベル設定[0..6]を指定します。デフォルトのレベルは2です。 |
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
トレース・レベルを上げると、パフォーマンスに影響する場合があるので、Oracleサポート・サービスの推奨に従い実行する必要があります。
Oracle ACFSレプリケーションのトレース・ファイルは次の場所に保存されます。
GRID_HOME/diag/crs/hostname/crs/trace
このコマンドを実行するには、システム管理者またはOracle ASM管理者権限が必要です。
例
例16-34に、acfsutil
repl
trace
コマンドの使用を示します。
例16-34 acfsutil repl traceコマンドの使用方法
$ /sbin/acfsutil repl trace 5 /acfsmounts/acfs1
acfsutil repl update
目的
レプリケーションが開始されOracle ACFSファイルシステムで実行されている間にレプリケーション情報を更新します。
構文および説明
acfsutil repl update -h acfsutil repl update [-s repluser@netname] [-C | -i interval] [-d trace_level] [-z {on | off}] [-o sshCmdPath=pathname] [-o sshStrictKey=ynvalue] [-o sshCipher=ciphername] primary_mount_point acfsutil repl update [-u repluser] [-d trace_level] standby_mount_point
acfsutil
repl
update
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-39に、acfsutil
repl
update
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-39 acfsutil repl updateコマンドのオプション
オプション | 説明 |
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プライマリ・サイトがスタンバイ・サイトに接続するための標準 接続文字列のrepluserは、スタンバイ・ノードで 接続文字列のnetnameは、ホスト名、VIP名、IPアドレスなど、ネットワーク・エンドポイントを指定します。 |
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常時モードのレプリケーションを指定します。スナップショットが絶えず生成され、スタンバイ・サイトにレプリケートされます。各スナップショットのレプリケーションが完了するとすぐに、新しいスナップショットの生成が開始されます。 |
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間隔(スケジュール)モードのレプリケーションを指定します。新しいスナップショットが取得され、可能な場合は、指定した頻度でレプリケートされます。接尾辞を指定して、間隔の測定単位を指定する必要があります。接尾辞は、 |
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トレース・レベル設定[0..6]を指定します。 |
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プライマリからスタンバイに送信されるレプリケーション・データ・ストリームの圧縮を有効または無効にします。 |
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セッションを暗号化するために |
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repluserを指定します。 |
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プライマリ・ファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
repl
update
コマンドは、レプリケーションの開始後にレプリケーション情報および構成を更新します。たとえば、リモート・サイトへの接続のためにレプリケーションで現在使用されているネットワーク・インタフェースをシステム管理者が変更できます。この状況でacfsutil
repl
update
コマンドを発行して構成を更新すると、レプリケーションを中断せずに実行を継続できます。
acfsutil
repl
update
をプライマリ・サイトで実行すると、スタンバイ・サイトへの接続に使用されるユーザー名およびネットワーク・インタフェース名(ホスト名またはVIP名)の変更できます。また、このコマンドは、レプリケーション間隔またはトレース・レベルの変更、ssh
で使用される暗号やパス名の変更、圧縮の有効化/無効化にも使用できます。
acfsutil
repl
update
をスタンバイ・サイトで実行すると、トレース・レベルまたはスタンバイ・サイトへの接続にプライマリ・サイトで使用されるユーザー名を変更できます。
このコマンドを発行する場合、オプションを少なくとも1つ指定する必要があります。必須のマウント・ポイントのみ使用してこのコマンドを実行することはできません。
acfsutil
repl
update
コマンドは、更新後の情報がローカル・サイトで受け入れられると、成功を返します。ユーザー名を変更するには、コマンドをプライマリ・サイトとスタンバイ・サイトの両方で実行する必要があります。-C
または-i
オプションを指定してレプリケーション間隔を変更すると、acfsutil
repl
update
の実行時点でレプリケーション操作が発生します。次のレプリケーション操作は、新たに指定された間隔に基づいて発生します。
このコマンドを実行するには、システム管理者権限が必要です。
例
例16-35に、acfsutil
repl
update
コマンドの使用を示します。
例16-35 acfsutil repl updateコマンドの使用方法
$ /sbin/acfsutil repl update -i 1h /my_primary/repl_data
acfsutil repl upgrade
目的
スナップショットベースのレプリケーションに、既存のレプリケーション・インストールをアップグレードします。
構文および説明
acfsutil repl upgrade -h acfsutil repl upgrade prepare -s {repluser@netname | -u} primary_mount_point acfsutil repl upgrade standby -u repluser standby_mount_point acfsutil repl upgrade primary {-C | -i interval} [-d trace_level] [-z {on | off}] [-o sshCmdPath=pathname] [-o sshStrictKey=ynvalue] [-o sshCipher=ciphername] primary_mount_point
acfsutil
repl
upgrade
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-39に、acfsutil
repl
upgrade
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-40 acfsutil repl upgradeコマンドのオプション
オプション | 説明 |
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スナップショットベースのレプリケーションにアップグレードできるように、既存のレプリケーション・インストールを準備します。 |
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プライマリ・サイトがスタンバイ・サイトに接続するための標準 接続文字列のrepluserは、スタンバイ・ノードで 接続文字列のnetnameは、ホスト名、VIP名、IPアドレスなど、ネットワーク・エンドポイントを指定します。 |
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完了した このアクションは、 |
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スタンバイ・ファイルシステムのレプリケーションを指定します。 |
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このスタンバイ・ファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
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プライマリ・ファイルシステムのレプリケーションを指定します。 |
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常時モードのレプリケーションを指定します。スナップショットが絶えず生成され、スタンバイ・サイトにレプリケートされます。各スナップショットのレプリケーションが完了するとすぐに、新しいスナップショットの生成が開始されます。 |
|
間隔(スケジュール)モードのレプリケーションを指定します。新しいスナップショットが取得され、可能な場合は、指定した頻度でレプリケートされます。接尾辞を指定して、間隔の測定単位を指定する必要があります。接尾辞は、 |
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トレース・レベル設定(0..6)を指定します。 |
|
プライマリからスタンバイに送信されるレプリケーション・データ・ストリームの圧縮を有効または無効にします。 |
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セッションを暗号化するために |
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プライマリ・ファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
repl
upgrade
コマンドは、スナップショットベースのレプリケーションを使用するために、アクティブな既存のレプリケーション関係をアップグレードすることをサポートします。アップグレード・プロセスの目的は、レプリケーションを終了または再開せずに、レプリケーション・プロセスでデータの失うことなく、現在のプライマリ・ファイルシステムとスタンバイ・ファイルシステムの間にアクティブなスナップショットベースのレプリケーション関係を提供することです。
アップグレード手順を開始する前に、プライマリ・ファイルシステムがクラスタの1つのノードにのみマウントされていることを確認する必要があります。最適なアップグレードを保証するには、プライマリ・ファイルシステムまたはスタンバイ・ファイルシステムを対象とするアプリケーション・アクティビティを停止する必要がありますが、この推奨を無視してもアップグレードは続行されます。
注意:
アップグレードを開始したら、プロセスは完了する必要があります。acfsutil
repl
upgrade
prepare
操作は、-u
オプションを使用して元に戻すことができます。しかし、acfsutil
repl
upgrade
standby
操作が開始されると、アップグレード・プロセス全体を完了する必要があります。その時点から、アップグレードの停止または取消しのための対処はありません。
アップグレード・プロセスを開始するには、まずプライマリ・クラスタでacfsutil
repl
upgrade
prepare
コマンドを実行します。このコマンドは、スナップショットベースのレプリケーションに使用されるユーザー名およびホスト名またはインタフェース名の他、プライマリ・マウント・ポイントも指定します。ユーザー名およびホスト名は、acfsutil
repl
init
primary
コマンドのスナップショットベースのレプリケーション用オプションと同様に、—s
オプションを使用して指定します。
次に、スタンバイ・サイトをアップグレードします。スタンバイで、acfsutil
repl
upgrade
standby
コマンドを実行します。このコマンドは、スナップショットベースのレプリケーションに使用されるrepluserの他、スタンバイ・マウント・ポイントも指定します。ユーザー名は、acfsutil
repl
init
standby
コマンドのスナップショットベースのレプリケーション用オプションと同様に、-u
オプションを使用して指定します。
このコマンドを発行したら、acfsutil
repl
upgrade
primary
コマンドを発行してアップグレードを完了する必要があります。
スタンバイ・サイトでacfsutil
repl
upgrade
standby
コマンドを実行したら、プライマリ・サイトでacfsutil
repl
upgrade
primary
コマンドを実行して、スナップショットベースのレプリケーションへのアップグレードを完了する必要があります。このコマンドは、元のレプリケーション・プロセスを自動的に終了し、スナップショットベースのレプリケーションを開始します。acfsutil
repl
upgrade
primary
は、acfsutil
repl
init
primary
コマンドで受け入れられたスナップショットベースのレプリケーション用のコマンドライン・オプションを受け入れます(ただし-m
オプション、-s
オプションおよびタグ名を除きます)。-m
オプションと-s
オプションに必要な情報は、他のソースから取得されています。元のレプリケーション関係に指定されたタグ名は、新しい関係に自動的に移動されます。Oracle ACFSタグの詳細は、「Oracle ACFSタグ付け」を参照してください。
指定されたソケット、キャラクタ・デバイス・ファイルまたはブロック・デバイス・ファイルをサポートするプラットフォームでは、スナップショットベースのレプリケーションでこれらのファイル・タイプはレプリケートされません。しかし、acfsutil
repl
upgrade
プロセスでは、スタンバイ・ファイルシステムにすでに存在するこれらのタイプのファイルは維持されます。これ以上更新されることはありませんが、アップグレードの一環として削除されることもありません。
このコマンドを実行するには、システム管理者権限が必要です。
例16-36 acfsutil repl upgradeコマンドの使用方法
# /sbin/acfsutil repl upgrade prepare -s my_repluser@my_host /my_primary/repl_data # /sbin/acfsutil repl upgrade standby -u my_repluser /my_standby/repl_data # /sbin/acfsutil repl upgrade primary -i 2h /my_primary/repl_data