1. インストレーションおよび構成ガイド
  2. Oracle Database Gateway for DRDAのインストールおよび構成
  3. DRDAサーバーの構成

13 DRDAサーバーの構成

この項では、DRDAサーバーを構成するために実行する必要のあるタスクについて説明します。サポートされるオペレーティング・システムごとに、個別に説明します。所定のオペレーティング・システムおよびデータベースの使用経験が必要です。

リモートDRDAサーバーを構成する手順は、次のDRDAサーバーに適用されます。

  • DB2 UDB for z/OS

  • DB2 UDB for iSeries

  • DB2 UDB for Linux、Unix、Windows

DRDAデータベースを構成してゲートウェイによるアクセスを可能にするには、DRDAデータベースに対する操作と、ホスト・オペレーティング・システムの特定のコンポーネントに対する操作が必要です。ホスト・システムにOracleソフトウェアがインストールされない場合でも、ホスト・システムおよびDRDAデータベースに対するアクセスと、それらに関する知識が構成時に必要になります。ホスト・システムおよびDRDAデータベースの詳細は、ベンダーのドキュメントを参照してください。

この章の内容は次のとおりです。

13.1 DB2 UDB for z/OS用のDRDAサーバーの構成

次のタスクを実行して、z/OSシステム上のDB2でDRDAサーバーを構成します。

  1. パッケージを所有するユーザーIDを定義します。

    特定のDRDAサーバーに対してゲートウェイを初めて使用するときに、Oracleが提供するパッケージがDRDAサーバーに自動的にバインドされます。使用されるユーザーIDとパスワード(現在のOracleユーザーとして暗黙的に示されるユーザー、またはCREATE DATABASE LINKコマンドで明示的に定義されたユーザー)に、DRDAサーバーでパッケージを作成するための適切な権限を付与する必要があります。このユーザーに最低限必要な権限は次のとおりです。

    • BIND、COPYおよびEXECUTEのパッケージ権限。たとえば、次のようにします。 

      GRANT BIND    ON PACKAGE oraclegtw.* TO userid
GRANT COPY    ON PACKAGE oraclegtw.* TO userid
GRANT EXECUTE ON PACKAGE oraclegtw.* TO PUBLIC

    • CREATE INのコレクション権限。たとえば、次のようにします。 

      GRANT CREATE IN COLLECTION oraclegtw TO userid

    • BINDADDおよびBINDAGENTのシステム権限。たとえば、次のようにします。 

      GRANT BINDADD   TO userid
GRANT BINDAGENT TO userid

    • CREATETABのデータベース権限。たとえば、次のようにします。 

      GRANT CREATETAB ON DATABASE database TO userid

    オプションで、DRDAゲートウェイ・パッケージを手動でバインドすることもできます。DB2 UDB for z/OSに対してパッケージを手動でバインドする方法は、DRDAゲートウェイ・パッケージの手動バインドを参照してください。

    パッケージを所有するユーザーIDを選択し、このユーザーIDがDB2とOS/390 (MVS)の両方に定義されていることを確認します。

    このユーザーIDには、表SYSIBM.SYSPACKSTMTに対するSELECT権限を付与する必要があります。

  2. リカバリ・ユーザーIDを定義します。

    ゲートウェイの構成時に、HS_FDS_RECOVERY_ACCOUNTおよびHS_FDS_RECOVERY_PWDパラメータを使用して、ゲートウェイ初期化ファイルにリカバリ・ユーザーIDおよびパスワードが指定されます。分散トランザクションが失敗した場合、リカバリ・プロセスは、これらのパラメータに定義されているユーザーIDおよびパスワードを使用してリモート・データベースに接続します。このユーザーIDは、パッケージに対する実行権限を持つとともに、DRDAデータベースに定義されている必要があります。HS_FDS_RECOVERY_ACCOUNTにユーザーIDが指定されていない場合、分散トランザクションがインダウト状態になると、ゲートウェイはRECOVERのユーザーIDへの接続を試みます。

    リカバリに使用するユーザーIDとパスワードを決定します。

    HS_TRANSACTION_LOG表は、リカバリ・ユーザーと同じスキーマに作成される必要があります。

    このリカバリ・ユーザーIDには、表SYSIBM.SYSPACKSTMTに対するSELECT権限を付与する必要があります。

  3. DB2インスタンス用のDRDAのロケーション名を確認します。

    ゲートウェイ・パラメータとして、DRDAのロケーション名が必要です。ロケーション名を確認するには、DB2 SPUFIセッションで次のSQL問合せを実行します。

    SELECT CURRENT SERVER FROM any_table

    ここで、any_tableは、1つ以上の行が含まれる有効な表です。

    この問合せで戻された値が空白またはNULLの場合、DRDAのロケーション名は確定していません。システム管理者に連絡して、インスタンスのロケーション名を設定してください。

  4. ゲートウェイ用のDB2分散データ機能を構成します。

    DB2の分散データ機能(DDF)は、DRDAとDRDA以外のすべての分散データベース操作を管理するDB2のコンポーネントです。

    現在のサイトでDB2の分散操作を使用している場合、通常は、ゲートウェイを通じてアクセスする予定のDB2インスタンス上でDDFが稼働しています。DDFが稼働していない場合、適切なDB2のドキュメントに従ってDDFを構成および起動する必要があります。

    DB2インスタンス上でDDFが稼働していない場合でも、状況によってはDDFの通信データベース(CDB)表を変更し、ゲートウェイからのDRDAセッションの認可処理を指定する必要があります。この作業は、DB2 SPUFIユーティリティなどのユーティリティを使用して、適切に権限付与されたユーザーにより実行できます。CDB表を変更する場合、変更を反映するにはDDFを停止してから再起動する必要があります。追加のCDB表およびセキュリティの情報は、セキュリティ上の考慮事項を参照してください。

  5. オプション・ステップ: z/OS上のDB2にOracle Date Exitをインストールします

    Oracleが提供するDB2 Date Exitにより、ユーザーはOracle固有の構文を使用して日付文字列を指定できます。Exitをインストールする際には、アセンブラ・ソースとJCLのアップロード、JCLのカスタマイズ、およびData Exitのアセンブルとインストールを行うためのジョブの実行が必要になります。Oracle Date Exitをインストールする手順は、次のとおりです。

    1. パラメータDSORG=PO、RECFM=FB、LRECL=80およびBLKSIZE=6160を使用して、パーティション化したデータセットを割り当てます。たとえば、次のようにします。 

        userid.SRCLIB

    2. $ORACLE_HOME/dg4db2/adminにある次のファイルを所定のPDSメンバーとして割当て済PDSにASCIIモードでFTP転送します。 

        dg4db2_zos_dta.asm  ->  DSNXVDTA
  dg4db2_zos_dta.jcl  ->  ORAXVDTA
  dg4db2_zos_dtx.asm  ->  DSNXVDTX
  dg4db2_zos_dtx.jcl  ->  ORAXVDTX

    3. ORA* JCLを編集し、指示に従ってJCLを更新します。更新が完了したら、JCLを送信してExitをアセンブル、リンクおよびインストールします。

13.2 DB2 UDB for iSeries用のDRDAサーバーの構成

次の手順を実行するには、DB2 UDB for iSeriesおよびAS/400の使用経験が必要です。

  1. パッケージを所有するユーザーIDを定義します。

    特定のDRDAサーバーに対してゲートウェイを初めて使用するときに、Oracleが提供するパッケージがDRDAサーバーに自動的にバインドされます。使用されるユーザーIDとパスワード(現在のOracleユーザーとして暗黙的に示されるユーザー、またはCREATE DATABASE LINKコマンドで明示的に定義されたユーザー)に、DRDAサーバーでパッケージを作成するための適切な権限を付与する必要があります。このユーザーに最低限必要な権限は次のとおりです。

    • CRTSQLPKGコマンドに対する使用権限:

    • パッケージが作成されるライブラリに対する変更権限

    パッケージを所有するユーザーIDを選択し、そのユーザーIDがDB2 UDB for iSeriesおよびAS/400で定義されていることを確認します。

    このユーザーIDには、表QSYS2.SYSPACKAGEに対するSELECT権限を付与する必要があります。

  2. リカバリ・ユーザーIDを定義します。

    ゲートウェイの構成時に、HS_FDS_RECOVERY_ACCOUNTおよびHS_FDS_RECOVERY_PWDパラメータを使用して、ゲートウェイ初期化ファイルにリカバリ・ユーザーIDおよびパスワードが指定されます。分散トランザクションが失敗した場合、リカバリ・プロセスは、これらのパラメータに定義されているユーザーIDおよびパスワードを使用してリモート・データベースに接続します。このユーザーIDは、パッケージに対する実行権限を持つとともに、DRDAデータベースに定義されている必要があります。HS_FDS_RECOVERY_ACCOUNTにユーザーIDが指定されていない場合、分散トランザクションがインダウト状態になると、ゲートウェイはRECOVERのユーザーIDへの接続を試みます。

    リカバリに使用するユーザーIDとパスワードを決定します。

    HS_TRANSACTION_LOG表は、リカバリ・ユーザーと同じスキーマに作成される必要があります。

    このリカバリ・ユーザーIDには、表QSYS2.SYSPACKAGEに対するSELECT権限を付与する必要があります。

  3. DB2 UDB for iSeriesインスタンス用のDRDAのロケーション名を確認します

    ゲートウェイ・パラメータとして、DRDAのロケーション名が必要です。ロケーション名を確認するには、STRSQLセッションで次のSQL問合せを実行します。システムでSQLを使用できない場合、AS/400コマンドのDSPRDBDIREを使用してLOCAL DRDAサーバーを識別します。 

    SELECT CURRENT SERVER FROM any_table

    ここで、any_tableは、1つ以上の行が含まれる有効な表です。

    この問合せで戻された値が空白またはNULLの場合、DRDAのロケーション名は確定していません。システム管理者に連絡して、インスタンスのロケーション名を設定してください。

13.3 DB2 UDB for Linux、Unix、Windows用のDRDAサーバーの構成

次の手順を実行するには、DB2 UDB for Linux、Unix、Windowsの使用経験が必要です。また、DB2 UDB for Linux、Unix、Windowsの通信サブシステムを構成し、ホストのシステム管理ツールを所有している必要があります。

  1. パッケージを所有するユーザーIDを定義します。

    特定のDRDAサーバーに対してゲートウェイを初めて使用するときに、Oracleが提供するパッケージがDRDAサーバーに自動的にバインドされます。使用されるユーザーIDとパスワード(現在のOracleユーザーとして暗黙的に示されるユーザー、またはCREATE DATABASE LINKコマンドで明示的に定義されたユーザー)に、DRDAサーバーでパッケージを作成するための適切な権限を付与する必要があります。このユーザーに最低限必要な権限は次のとおりです。

    • BINDおよびEXECUTEのパッケージ権限。たとえば、次のようにします。 

      GRANT BIND    ON PACKAGE oraclegtw.* TO userid
GRANT EXECUTE ON PACKAGE oraclegtw.* TO PUBLIC

    • CREATEINのスキーマ権限。たとえば、次のようにします。 

      GRANT CREATEIN ON SCHEMA otgdb2 TO userid
GRANT CREATEIN ON SCHEMA oraclegtw TO userid

    • CONNECT、BINDADDおよびCREATETABのデータベース権限。たとえば、次のようにします。 

      GRANT CONNECT   ON DATABASE TO userid
GRANT BINDADD   ON DATABASE TO userid
GRANT CREATETAB ON DATABASE TO userid

    オプションで、DRDAゲートウェイ・パッケージを手動でバインドすることもできます。DB2 UDB for Linux、Unix、Windowsに対してパッケージを手動でバインドする方法は、DRDAゲートウェイ・パッケージの手動バインドを参照してください。

    パッケージを所有するユーザーIDを選択し、このユーザーIDがDB2インスタンスIDおよびオペレーティング・システムの両方に定義されていることを確認します。

    このユーザーIDには、表SYSIBM.SYSPLANに対するSELECT権限を付与する必要があります。

  2. リカバリ・ユーザーIDを定義します。

    ゲートウェイの構成時に、HS_FDS_RECOVERY_ACCOUNTおよびHS_FDS_RECOVERY_PWDパラメータを使用して、ゲートウェイ初期化ファイルにリカバリ・ユーザーIDおよびパスワードが指定されます。分散トランザクションが失敗した場合、リカバリ・プロセスは、これらのパラメータに定義されているユーザーIDおよびパスワードを使用してリモート・データベースに接続します。このユーザーIDは、パッケージに対する実行権限を持つとともに、DRDAデータベースに定義されている必要があります。HS_FDS_RECOVERY_ACCOUNTにユーザーIDが指定されていない場合、分散トランザクションがインダウト状態になると、ゲートウェイはRECOVERのユーザーIDへの接続を試みます。

    リカバリに使用するユーザーIDとパスワードを決定します。

    HS_TRANSACTION_LOG表は、リカバリ・ユーザーと同じスキーマに作成される必要があります。

    このリカバリ・ユーザーIDには、表SYSIBM.SYSPLANに対するSELECT権限を付与する必要があります。

  3. DB2 UDB for Linux、Unix、Windowsインスタンス用のDRDAのロケーション名を確認します

    ゲートウェイ・パラメータとして、DRDAのロケーション名が必要です。ロケーション名を確認するには、DB2 CLIセッションで次のSQL問合せを実行します。

    SELECT CURRENT SERVER FROM any_table

    ここで、any_tableは、1つ以上の行が含まれる有効な表です。

    この問合せで戻された値が空白またはNULLの場合、DRDAのロケーション名は確定していません。システム管理者に連絡して、インスタンスのロケーション名を設定してください。

13.4 DRDAゲートウェイ・パッケージの手動バインド

ゲートウェイではいくつかのDB2パッケージが使用され、これらは、通常、DB2インスタンスへのゲートウェイの初回接続時にアップロードおよびバインドされます。ユーザーの環境によっては、接続に使用されるユーザーIDに、バインドを実行するために必要な権限がなかったり、ゲートウェイにバインドを許可するのではなく、パッケージを手動でバインドする方が望ましい場合もあります。

そのような場合のために、手動バインド用の事前定義された一連のパッケージが用意されています。ただし、これらのパッケージにはいくつかの制限があり、特定のゲートウェイ初期化パラメータに値を設定することでこれに対応する必要があります。そうしないと、ゲートウェイによりパッケージのリバインドが自動的に試行されます。

この項の内容は次のとおりです。

13.4.1 DB2 UDB for z/OS用のパッケージの手動バインド

DB2 UDB for z/OS用のパッケージを手動でバインドする手順は、次のとおりです。

  1. パラメータDSORG=PS、RECFM=FB、LRECL=80およびBLKSIZE=3120を使用して、z/OSに順編成データセットを割り当てます。たとえば、次のようにします。
    userid.DBRMFILE.XMIT
  2. パラメータDSORG=PO、RECFM=FB、LRECL=80およびBLKSIZE=6160を使用して、パーティション化したデータセットを割り当てます。たとえば、次のようにします。
    userid.TG4DRDA.CNTL
  3. 次のファイルを割当て済の順編成データセットにBINARYモードでFTP転送します。
    $ORACLE_HOME/dg4db2/admin/dg4db2_zos_dbrm.xmit

    PUTコマンドを使用して、順編成データセットの内容を置き換えます。

  4. 次のファイルを割当て済のPDSにASCIIモードでFTP転送します。
    $ORACLE_HOME/dg4db2/admin/dg4db2_zos_bind.jcl

    PUTコマンドを使用して、ファイルをメンバー名BINDとしてPDSに配置します。

  5. ISPFのTSOコマンド・オプション(オプション6)を使用して、RECEIVEコマンドを発行します。
    RECEIVE INDS('userid.DBRMFILE.XMIT')

    RECEIVEコマンドのパラメータとしてDA(userid.DDODBC.DBRMLIB)を指定します。これにより、xmitファイルが解凍され、指定したPDS名が作成されます。

  6. BIND JCL (userid.TG4DRDA.CNTL(BIND))を編集し、指示に従ってJCLを更新します。更新が完了したら、JCLを送信してパッケージを実際にバインドし、パッケージに対する実行権限を付与します。

ゲートウェイでこれらのパッケージを使用するには、ゲートウェイ初期化ファイルで次の初期化パラメータを設定してください。

  • HS_OPEN_CURSORS=200

  • HS_FDS_PACKAGE_COLLID=NULLID

13.4.2 DB2 UDB for Linux、Unix、Windows用のパッケージの手動バインド

DB2 UDB for Linux、Unix、Windows用のパッケージを手動でバインドする手順は、次のとおりです。

  1. $ORACLE_HOME/dg4db2/adminディレクトリから、DB2インスタンスが実行されているホストに次のファイルをコピーします。
     DDOC510A.bnd
 DDOC510B.bnd
 DDOC510C.bnd
 DDON510A.bnd
 DDON510B.bnd
 DDON510C.bnd
 DDOR510A.bnd
 DDOR510B.bnd
 DDOR510C.bnd
 DDOS510A.bnd
 DDOS510B.bnd
 DDOS510C.bnd
 DDOU510A.bnd
 DDOU510B.bnd
 DDOU510C.bnd
 dg4db2_luw_pkglist.lst

    FTPでコピーする場合は、拡張子が.bndのファイルはBINARYモードで転送し、拡張子が.lstのファイルはASCIIモードで転送する必要があります。

  2. DB2インスタンスに接続し、bindコマンドを発行します。たとえば、次のようにします。
    $ db2 'connect to <database_name> user <userid> using <password>'
$ db2 'bind @dg4db2_luw_pkglist.lst grant public'

ゲートウェイでこれらのパッケージを使用するには、ゲートウェイ初期化ファイルで次の初期化パラメータを設定してください。

  • HS_OPEN_CURSORS=200

  • HS_FDS_PACKAGE_COLLID=NULLID