C RMANの互換性

この付録では、Recovery Manager (RMAN)環境の異なるコンポーネント間の互換性要件について説明します。ここでは、次の項目について説明します。

関連項目:

『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』

C.1 RMANの互換性について

表C-1に、RMAN環境のコンポーネントを示します。各コンポーネントには、対応するリリース番号が付いています。

表C-1 RMAN環境のコンポーネント

コンポーネント リリース番号の照会

RMANクライアント

RMANクライアントのリリース(RMAN起動時に表示される)

リカバリ・カタログ・データベース

Oracle Databaseのリリース

リカバリ・カタログ・データベースにあるリカバリ・カタログ・スキーマ

リカバリ・カタログの作成に使用されるRMANクライアントのリリース

ターゲット・データベース

Oracle Databaseのリリース

補助データベース

Oracle Databaseのリリース

Oracle Database 12c以上では、RMANクライアントのバージョン、ターゲット・データベースのバージョンおよび補助データベースのバージョンが同じである必要があります。リカバリ・カタログ・スキーマには、RMANクライアントのバージョンより新しいバージョンの任意のサポート対象カタログ・スキーマを使用できます。たとえば、Oracle Database 12cのRMANクライアントが接続できるのは、バージョンがOracle Database 12cのターゲット・データベース、バージョンがOracle Database 12cの補助データベース、およびOracle Database 12c以上のバージョンで作成されたリカバリ・カタログ・スキーマのみです。

C.2 リカバリ・カタログ・スキーマのバージョンの確認

リカバリ・カタログ・スキーマのバージョンを確認するには、SQL問合せを使用します。

リカバリ・カタログ・スキーマの現在のリリースを確認する手順は次のとおりです。

  1. SQL*Plusを使用して、カタログ所有者としてリカバリ・カタログ・データベースに接続します。たとえば、次のように入力します。
    % sqlplus rco@catdb
    
  2. rcverカタログ表を問い合せます。たとえば、次の問合せを実行します。
    SQL> SELECT * FROM rcver; 
    
         VERSION 
         ------------ 
         12.01.00.01
    

C.3 RMANの互換性マトリックス

RMANの互換性には一定のルールがあります。

RMANの互換性のルールには、次が含まれます。

  • RMANクライアントのバージョンは、ターゲット・データベースのバージョンと同じである必要があります。

  • 補助データベース・インスタンスのバージョンは、RMANクライアントのバージョンと同じである必要があります。

  • リカバリ・カタログ・スキーマのバージョンは、RMANクライアントのバージョン以上である必要があります。

  • リカバリ・カタログが仮想プライベート・カタログ(CREATE CATALOGを参照)である場合、これに接続するRMANクライアントのバージョンはOracle Database 10gリリース1 (10.1.0.6)またはOracle Database 10gリリース2 (10.2.0.3)である必要があります。Oracle9iのRMANクライアントは、仮想プライベート・カタログに接続できません。このバージョン制限は、Oracle Database 11gのベース・リカバリ・カタログに接続するRMANクライアントには適用されません。ベース・カタログに仮想プライベート・カタログのユーザーがいる場合も同様です。

  • Oracle Database 10g以上のリリースをOracle9i RMANクライアントでバックアップしているときには、データファイル・バックアップ・セットにはCOMPATIBLE=10.0.0を使用して作成した制御ファイルを含めることはできません。この状況に対処するには、制御ファイルの自動バックアップをONに設定します。

  • すべてのリリースのOracle Databaseで、以前のOracle Databaseリリースで作成されたバックアップ・セットとコピーをリストアできます。

表C-2に、RMANコンポーネントのリリース固有の要件を示します。リリースの前にある記号>=は、このリリース以上のすべてのOracle Databaseのリリースおよびそれらのパッチを示します。

表C-2 RMANの互換性一覧

ターゲット/補助データベースのバージョン RMANクライアントのバージョン リカバリ・カタログ・データベースのバージョン リカバリ・カタログ・スキーマのバージョン

10.1.0.5

>= 10.1.0.5および<=ターゲット・データベースの実行可能ファイル

>= 10.1.0.5

>= RMANクライアントのバージョン

10.2.0

>= 10.1.0.5および<=ターゲット・データベースの実行可能ファイル

>= 10.1.0.5

>= RMANクライアントのバージョン

11.1.0

>= 10.1.0.5および<=ターゲット・データベースの実行可能ファイル

>= 10.2.0.3

>= RMANクライアントのバージョン

11.2.0

>= 10.1.0.5および<=ターゲット・データベースの実行可能ファイル

>= 10.2.0.3

>= RMANクライアントのバージョン

>= 12.1.0.x

= ターゲット・データベースの実行可能ファイル

>= 10.2.0.3

>= RMANクライアントのバージョン

新しいリリースのデータベースで、古いリリースのRMANクライアントを使用する場合、新しいリリースで追加された機能は使用できません。

C.4 リカバリ・カタログのエクスポートとインポートに関するバージョン間の互換性

リカバリ・カタログのデータ・ポンプ・エクスポートは、データベースの内容をバックアップする方法としてよく利用されます。データ・ポンプ・エクスポートを使用してリカバリ・カタログの論理バックアップを行う予定の場合に、Oracle Databaseの複数バージョンをまたいでエクスポートする場合の特定の互換性の問題に注意する必要があります。

新しいバージョンのデータベースからエクスポートした内容を、古いバージョンで稼働するデータベースにインポートすることはできません。リカバリ・カタログで使用する古いバージョンのOracle Databaseのリカバリ・カタログ・データは、エクスポート・ユーティリティを使用してエクスポートする必要があります。

たとえば、リカバリ・カタログ・データをOracle Database 11gリリース2 (11.2)データベースからエクスポートし、Oracle Database 10gリリース1 (10.1.0.5)データベースにインポートして障害時リカバリを行うには、Oracle Database 10gリリース1 (10.1.0.5)のエクスポート・ユーティリティを使用してエクスポート操作を実行する必要があります。このリリースを指定しない場合、インポート操作は失敗します。

関連項目:

Oracle Databaseの複数バージョンをまたいでエクスポートする場合の特定の互換性の詳細は、『Oracle Databaseユーティリティ』を参照してください

C.5 RMANの互換性: 使用例

この項では、様々なOracle Databaseバージョンを使用する製品データベースに使用するRMANクライアント・バージョンおよびリカバリ・カタログ・データベース・バージョンの例を示します。

次のリリースの本番データベースをメンテナンスするとします。

  • Oracle Database 10gリリース2(10.2)

  • Oracle Database 11gリリース1(11.1)

  • Oracle Database 11gリリース2(11.2)

  • Oracle Database 12c リリース1(12.1)

これらのデータベースに関するRMANリポジトリ・データを単一のリカバリ・カタログ・データベースに記録する必要があります。「RMANの互換性マトリックス」に基づいて、すべてのターゲット・データベースに対して、バージョンがOracle Database 12cリリース1 (12.1)の単一のリカバリ・カタログ・データベースを、バージョンがOracle Database 12cリリース1 (12.1)のカタログ・スキーマとともに使用できます。

各ターゲット・データベースのバックアップに使用するRMANクライアントのリリースが、次の要件に一致することを確認します。

  • Oracle Database 10gリリース2 (10.2)データベースのバックアップには、Oracle Database 10gリリース2 (10.2) RMANクライアントを使用します。

  • Oracle Database 11gリリース1 (11.1)データベースのバックアップには、Oracle Database 10gリリース2 (10.2)またはOracle Database 11gリリース1 (11.1)のRMANクライアントを使用します。

  • Oracle Database 11gリリース2 (11.2)データベースのバックアップには、Oracle Database 10gリリース2 (10.2)、Oracle Database 11gリリース1 (11.1)、またはOracle Database 11gリリース2 (11.2)のRMANクライアントを使用します。

  • Oracle Database 12cのバックアップには、Oracle Database 12c RMANクライアントを使用します。