2.13.7 Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)の既知の不具合
次に、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)でのOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)の既知の不具合を示します。
2.13.7.1 Oracle Bug#24805974
拡張されたクラスタで、ストレージ分割問題に対処した後、管理者はコマンドcrsctl modify site <site_name> -s rejuvenate
を発行してサイトを復活させます。ただし、このコマンドは、復活したサイトでデータベース・インスタンスなどのOracle ASMインスタンスまたはそのクライアントを自動的に再起動しません。
回避策:
このサイトで実行しているOracle ASMインスタンスを識別し、srvctl start asm
またはsrvctl relocate asm
コマンドを手動で発行します。
2.13.7.2 Oracle Bug#20760821
Oracle Database 12cリリース1 (12.1)データベース・インスタンスは、COMPATIBLE.ASM
属性がOracle Database 12cリリース2 (12.2)に設定されているディスク・グループにはアクセスできません。アクセスしようとすると、次のエラーが返されます。
ORA-15001: diskgroup %s does not exist or is not mounted
ORA-15040: diskgroup is incomplete
回避策:
Oracle Database 12cリリース1 (12.1)のORACLE_HOME
ディレクトリにOracle Bug#20760821のパッチを適用します。
2.13.7.3 Oracle Bug#12332603
Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)では、Cluster Ready Services (CRS)がすべてのノードで停止され、Oracle ASMの初期バージョンがOracle Database 12cリリース1 (12.1.0.2)より古い場合には、ローリング移行状態がなくなります。
回避策:
Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.4)で、Oracle Database 12cリリース2 (12.2.0.1)にアップグレードされる4つのノード(node1
、node2
、node3
、node4
)の次のシナリオを考えてみます。
-
node1
およびnode2
は12.2.0.1にアップグレードされ、実行中です。 -
node3
およびnode4
は11.2.0.4のままで、実行中です。
停電によってすべてのCRSスタックが停止し、クラスタが異種混在状態になったとします(たとえば、11.2.0.4の2ノードと12.2.0.1の2ノード)。
アップグレードを続行するには、まだ11.2.0.4のノード(たとえば、node3
またはnode4
あるいはその両方)のみを起動し、12.2.0.1のノードを起動する前に、Oracle ASMインスタンスでnode3
またはnode4
あるいはその両方に対して次のコマンドを実行します。
ALTER SYSTEM START ROLLING MIGRATION TO '12.2.0.1'
これ以降ですでに記載されているように、アップグレード手順を続行します。
なお、前述のステップを実行してOracle ASMクラスタをローリング移行に戻すまでは、クラスタ内でバージョンの異なる2つのノードを起動することはできません。これを行うと、いずれかのOracle ASMバージョンが失敗し、ORA-15153
またはORA-15163
エラー・メッセージが返されます。